JP6299576B2 - 燃料電池用ガス拡散層用シート及び不織布 - Google Patents

燃料電池用ガス拡散層用シート及び不織布 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池のガス拡散層に使用される燃料電池用ガス拡散用シートに関する。
燃料電池は、燃料として水素、メタノール、化石燃料からの改質水素等の還元剤を用い、空気や酸素を酸化剤として、電池内で燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものである。そのため、内燃機関に比較して効率が高く、静粛性に優れると共に、大気汚染の原因となるNOx、SOx、粒子状物質(PM)等の排出量が少ない。このことから、近年、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。例えば、自動車用エンジンの代替、住宅用等の分散型電源や熱電供給システムとしての利用が期待されている。
固体高分子形燃料電池の場合、一つのセルの構造が、(1)セパレータ、(2)ガス拡散層、(3)触媒層、(4)イオン伝導性固体高分子電解質膜、(5)触媒層及び(6)ガス拡散層、(7)セパレータが順次積層された構成を有している。なお、(2)〜(6)の構成は膜・電極接合体(MEA)と呼ばれている。
このうち、ガス拡散層は、供給されるガスを触媒層に均一に行き渡らせる役割を果たすため、良好なガス透過性及び拡散性を備えていることが必要とされる。また、触媒層で発生した電子が効率的にセパレータへ輸送されるための導電性を有していることも必要である。このため、通常、ガス拡散層の材質には、カーボンペーパー等の導電性多孔質基材が使用されている。
導電性多孔質基材は特許文献1のように炭素繊維などからなる導電性繊維にフェノール樹脂を含浸させた基材を焼成して炭素化したカーボンペーパーや、特許文献2のようにセルロース系ペーパーを焼成したカーボンペーパーなど、不活性ガス雰囲気中において1000℃以上で焼成された炭素系の多孔質焼成物が用いられる。これらは導電性多孔質基材に安定したガス透過性及び拡散性を与えつつ、導電性多孔質基材の固有電気抵抗を下げることを目的として実施される。
ガス拡散層に求められる性能としては、更に撥水性が挙げられる。これは電池反応により触媒層上で水が発生し、この生成した水がガス拡散層の細孔を埋めてしまうと、ガス拡散性に悪影響を及ぼす。このため、水はけを良くし、速やかに水をMEA系外に排出させるため撥水性が必要である。
通常使用されるカーボンペーパー等の導電性多孔質基材そのものには、一般的に撥水性が備わっていない。そこで、導電性多孔質基材に撥水性を付与するため、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂を焼成後の導電性多孔質基材に撥水処理させたものを使用することが一般的である(特許文献3、4、5)。
しかしながら、前記の方法では導電性多孔質基材の作製の際、抄紙工程の他に焼成工程とフッ素樹脂の塗布工程が含まれ、製造工程の増加と製造コストの点で問題となっている。更に、撥水処理に用いられるフッ素樹脂そのものが高価である問題も有する。
特開平9−157052号公報 特開平7−220735号公報 特開2002−313359号公報 特開2010−192425号公報 特開2013−177775号公報
本発明は、燃料電池に用いられるガス拡散層用シートにおいて、焼成工程を含まず、熱プレス成形するのみで、安定した撥水性及びガス透過性・拡散性を付与する技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、ガス拡散層に所望の性能を付与すべく、鋭意研究を重ねてきた。その結果、ガス拡散層用シートの内部に、導電性強化繊維と接着性を示し且つ撥水性と有する高分子樹脂を用いて抄紙、熱プレス成形することにより、シート内部の撥水性を高めることができ、かつ安定した撥水性及びガス透過性・拡散性を付与できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)燃料電池のセパレータと触媒層の間に配置される燃料電池用ガス拡散層用シートであって、該シートは導電性強化繊維と、該導電性強化繊維と接着性を示し且つ撥水性と有する高分子樹脂を含むことを特徴とする燃料電池用ガス拡散層用シートである。
(2)前記導電性強化繊維100質量部に対し、前記高分子樹脂を15〜50質量部含有する(1)記載の燃料電池用ガス拡散層用シートである。
(3)前記高分子樹脂が、JIS K 7209で規定する24hrでの吸水率が0.1以下である(1)又は(2)に記載の燃料電池用ガス拡散層用シートである。
前記高分子樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテルが好ましい樹脂である。
燃料電池用ガス拡散層用シートの透気度が5〜50cc/cm/secであることが好ましい。また、燃料電池用ガス拡散層用シートの多孔度が50%以上80%以下であることが好ましい。
前記燃料電池用ガス拡散層用シートの少なくとも片面に撥水剤を含有する撥水層を有することが好ましい。
(4)燃料電池が固体高分子形燃料電池である(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層用シートである。
(5)燃料電池のセパレータと触媒層の間に配置される燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布であって、該不織布は導電性強化繊維と、該導電性強化繊維と接着性を示し且つ撥水性と有する熱可塑性樹脂を含み、該熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度条件でプレスされることにより燃料電池用ガス拡散層用シートとなることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布である。
(6)前記熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂繊維である(5)に記載の燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布である。
(7)燃料電池のセパレータと触媒層の間に配置される燃料電池用ガス拡散層用シートの製造方法であって、該シートは導電性強化繊維と、該導電性強化繊維と接着性を示し且つ撥水性と有する熱可塑性樹脂繊維を混合した不織布を製造する工程と、得られた不織布を前記熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い温度条件でプレスする工程とを含むことを特徴とする燃料電池用ガス拡散層用シートの製造方法である。
前記不織布の製造する工程が、前記導電性強化繊維と前記熱可塑性樹脂繊維とバインダを含む不織布であるであることが好ましい。
本発明によれば、安定した高い撥水性及びガス透過性、ガス拡散性を有する燃料電池用ガス拡散層用シートを提供することができる。特に、固体高分子形燃料電池用に適したガス拡散層用シートを提供する。
本発明の燃料電池用ガス拡散層用シートは、燃料電池のセパレータと触媒層の間に配置される燃料電池用ガス拡散層用シートである。特に、燃料電池用ガス拡散層用シートが導電性強化繊維と、導電性強化繊維と接着性を示し且つ撥水性と有する高分子樹脂を含むことにより、内部の撥水性を付与するところに特徴がある。
導電性強化繊維としては、特に限定はしないが例えば、炭素繊維が例示できる。炭素繊維としては、例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。これらの導電性強化繊維は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。繊維径は限定的でなく、平均が3〜15μm、好ましくは5〜10μm程度とすればよい。繊維長も限定的でなく、平均が2〜30mm程度、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長は走査型電子顕微鏡(SEM)などにより測定した画像等により測定できる。
導電性強化繊維と接着性を示し且つ撥水性と有する高分子樹脂としては、撥水性を示し、且つ上記導電性強化繊維との接着性を示す樹脂であれば特に限定するものではないが、撥水性を有する熱可塑性樹脂(以下、撥水性熱可塑性樹脂ともいう。)の使用が好ましい。導電性強化繊維との接着性を示す熱可塑性樹脂を用いることにより、燃料電池用ガス拡散層用シートの強度を高めることができる。また、撥水性を示すことにより、燃料電池用ガス拡散層用シートの内部の撥水性を高めることができる。
撥水性熱可塑性樹脂としては、熱可塑性であり、撥水性、疎水性を示す樹脂であれば特に限定するものではない。撥水性の目安として、JIS K 7209で規定する24hrでの吸水率が0.2以下であるとよく、0.15以下であることが好ましく、0.12以下であることがより好ましく、0.1以下であることが更に好ましい。例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、環状ポリオレフィン樹脂(COP)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m−PPE)などが例示できる。中でも、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂は前記の樹脂の中でも撥水性、強度に優れた特性を持ち、更に燃料電池の必要特性の一つである耐熱性に優れるため好ましい。
導電性強化繊維と撥水性高分子樹脂は、導電性強化繊維100質量部に対し、撥水性熱可塑性樹脂を10〜60質量部含有すると、撥水性とガス透過性、ガス拡散性をよりよく両立するので好ましい。より好ましくは18〜50質量部の範囲である。
撥水性熱可塑性樹脂の配合量を60質量部以下とすることで、燃料電池用ガス拡散層用シートのガス透過性、ガス拡散性を高くすることが出来る。10質量部以上とすることで、燃料電池用ガス拡散層用シートの強度を保つことができる。
このような燃料電池用ガス拡散層用シートは、例えば、(1)導電性強化繊維と撥水性熱可塑性樹脂繊維を含む材料を用いて不織布を製造する。或は(2)導電性強化繊維と撥水性熱可塑性樹脂を含む材料を用いて不織布を製造する。或は(3)導電性強化繊維を含む材料を用いて抄紙後、スプレー等で撥水性熱可塑性樹脂を付与して不織布を製造する。(1)〜(3)のいずれかの方法で得られた不織布を前記撥水性熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度条件でプレスすることによって得ることができる。
不織布の内部に撥水性熱可塑性樹脂が分布することによって、強度、撥水性、ガス透過性、ガス拡散性のバラツキが殆どない燃料電池用ガス拡散層用シートを得ることができる。
特に不織布を上記(1)の方法を用いて製造した場合、導電性強化繊維と撥水性熱可塑性樹脂繊維が均一に分布するため、より顕著な効果を得ることができる。
不織布は、公知の不織布の製造方法によって製造することができる。不織布の製造方法は大別すると湿式法と乾式法があり、どちらも採用することができるが、湿式法は均一性に優れるため好ましい製法である。
不織布を製造する際に、公知のバインダ成分を用いることで、プレスするまでの不織布の強度を保つことができる。バインダ成分は、繊維同士を結着して繊維の脱落を抑制する機能を有する。本発明において、燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布に含有されるバインダとしては、一般的に不織布製造に使用されるアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、EVA樹脂、ウレタン樹脂、PVA樹脂等が使用できる。なお、これらのバインダ成分は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも繊維状の樹脂が好ましく、PVA繊維やポリエチレンパルプ、或はPP/PE芯鞘繊維などが好適に用いることができる。
また、これらのバインダ成分は、繊維形状或いは粒子形状にして、上記の導電性強化繊維、撥水性熱可塑性樹脂と混合し、湿式抄紙することもできるし、エマルジョンや水溶液にして、ウエブにスプレー若しくは含浸法によって付与することもできる。
バインダ成分は、燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布の全質量に対して0.1〜13質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダ成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダ成分の量は多くなると表面強度、層間強度共に強くなるが、逆にガス透過性が低下する傾向にある。しかし、上記の範囲においてはガス透過性低下の問題はほとんど発生せず、燃料電池用ガス拡散層用シートを得ることができる。
本発明の燃料電池用ガス拡散層用シートの製造方法は特に限定しない。例えば、導電性強化繊維と、撥水性熱可塑性樹脂と、バインダ樹脂とを混合し、円網抄紙機、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用い、湿式不織布法で、まず燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布を製造する。なお、この製造工程に用いる撥水性熱可塑性樹脂は、撥水性熱可塑性樹脂繊維であることが好ましく、バインダ樹脂はバインダ樹脂繊維であることが好ましい。この場合、導電性強化繊維100質量部に対し、撥水性熱可塑性樹脂繊維を10〜60質量部が好ましく、より好ましくは18〜50質量部の範囲である。バインダ樹脂繊維は、1〜20質量部が好ましく、より好ましくは2〜15質量部の範囲である。
得られた燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布は、撥水性熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度条件でプレス加工することによって燃料電池用ガス拡散層用シートを得ることができる。プレス加工は、プレス圧が2〜30MPa程度、好ましくは5〜15MPaの範囲が目安となる。プレスの温度は撥水性熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い温度、好ましくは融点よりも20℃高い温度で行うことが好ましい。プレス時間は、プレス圧、プレス温度にもより一概に言えないが、3〜15分程度である。プレス加工は、撥水性熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度条件で行うが、撥水性熱可塑性樹脂繊維を用いる場合、撥水性熱可塑性樹脂繊維の全てを溶融する必要はない。燃料電池用ガス拡散層用シートの表面近傍に存在する撥水性熱可塑性樹脂繊維を溶解することによりシートの強度が向上し、内部に存在する撥水性熱可塑性樹脂繊維は、繊維として存在すると、より撥水性が向上する。
本発明の燃料電池用ガス拡散層用シートは、透気度が5〜50cc/cm/secであることが好ましい。また、多孔度が50%以上80%以下であることが好ましい。例えば撥水性熱可塑性樹脂の配合量や、導電性強化繊維の形状、バインダの種類や配合量、プレスの条件等により調節することができる。
本発明の燃料電池用ガス拡散層用シートは、そのままガス拡散層として使用してもよいが、撥水性をより向上させるために、シートの片面或は両面に撥水性を高める層を設けてもよく、かかる層を設けることが好ましい。例えば、ガス拡散層用シートに撥水剤を含む撥水層を設けたり、導電性粒子と撥水性材料を配合したマイクロポーラス層(「Micro−porous Layer」(MPL))を設けても良い。
撥水剤や撥水性材料としては、公知の材料が例示でき、フッ素系樹脂などが公知であり、又は市販されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
撥水層としては、上記撥水剤を含む塗液を燃料電池用ガス拡散層用シートに塗布することにより形成することができる。塗布する方法としては、含浸方式、サイズプレス、スプレー、ロールコーター、コンマコーター、スリットダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ロータリースクリーン等の公知の方法が例示できる。
マイクロポーラス層は、導電性粒子と上記撥水性材料を含有する層である。例えば、導電性炭素粒子や導電性炭素繊維と、撥水性材料を含有するペースト組成物を塗布及び乾燥させ、必要に応じて焼成することにより、形成することができる。
導電性材料としては、導電性炭素材が知られており、使用されている。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、黒鉛、活性炭等の炭素粒子や、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等の炭素繊維が挙げられる。これらは、適宜、単独使用或は併用することができる。
更に、ペースト組成物にするために、分散剤を用いることも出来る。
分散剤は、フッ素系樹脂を使用する場合に水とともに使用されるものであり、フッ素系樹脂を水中で分散させることができるものである限り限定されず、公知又は市販のものが使用できる。このような分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、酸性基含有構造変性ポリアクリレート等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に本発明では、導電性炭素繊維が、導電性炭素粒子及び導電性炭素繊維の合計量に対して、15〜40質量%含まれていることが好ましい。15質量%未満では撥水層に多数のクラックが発生しガス拡散性や撥水性に悪影響を及ぼし、40質量%以上では撥水層には殆どクラックが発生しないが、ガス透過性が悪化する。つまり、導電性炭素繊維の添加量を上記の範囲とすることにより、撥水層に発生するクラック状態を丁度良く制御でき、良好なガス透過性・拡散性が得られる。
塗布方法としては、公知又は市販のドクターブレード等のブレード、ワイヤーバー、スキージ等の器具やアプリケーター、ダイコート等を用いて塗布すればよい。ペースト組成物の塗布量は限定的でないが、例えば、厚みが1〜150μm程度、好ましくは5〜100μm程度となるようにすればよい。また、乾燥条件も限定的ではなく、使用する溶剤(アルコール等)の揮発温度、高分子重合体のガラス転移温度等の条件により適宜変更すればよい。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下に記載する「部」や「%」は、特に断らない限り「質量部」、「質量%」をいう。
〔吸水率〕
熱可塑性樹脂の吸水度は、JIS K7209に準じて測定した。即ち、熱可塑性樹脂或は熱可塑性樹脂繊維をプレスにより型成形して厚さ1mm試験片を得、測定した。
(実施例1)
導電性強度繊維としてPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長6mm)を水中に投入し、分散剤(商品名:花王製、エマノーン3199v)を繊維に対し0.6部加え、更に水を加えて炭素繊維スラリー濃度が0.2質量%となるように希釈した後攪拌し、炭素繊維を分散させた。
得られた炭素繊維スラリーを別容器に流送し、撥水性熱可塑性樹脂繊維として延伸ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維(延伸PPS繊維、繊維径14.5μm、繊維長5mm)を、表1に示した固形分配合比となるように投入した。なお、延伸ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維の吸水率は0.02%であった。更に、このスラリーに、繊維スラリー濃度として0.2質量%となるよう水を投入し、バインダとしてPVA繊維(クラレ製 VPB−105−2、繊維径11μm、繊維長3mm)を表1に示した固形分配合比となるように計量して投入し、攪拌し、繊維を混合、分散させた。
この繊維スラリーを傾斜ワイヤー抄紙機に連続的に流送し、ウエットウエブを製造した。その後、当該抄紙機に備えられたヤンキードライヤー及び熱風ドライヤーを用いて140℃で加熱乾燥させることで燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布を得た。
得られた不織布を厚みが200μmとなるように熱プレスして燃料電池用ガス拡散層用シートを得た。
実施例2
実施例1において、延伸ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維に変えて、撥水性熱可塑性樹脂としてPET/PBT芯鞘繊維(東洋紡社製、1.3dtex、繊維長3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして不織布および燃料電池用ガス拡散層用シートを得た。なお、PET/PBT芯鞘繊維の吸水率は0.08%であった。
実施例3
実施例1において、延伸ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維に変えて、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂繊維(繊維径29μm、繊維長15mm)を用いた以外は実施例1と同様にして不織布を得た。また得られた不織布および燃料電池用ガス拡散層用シートを得た。なお、ポリカーボネート樹脂繊維の吸水率は0.15%であった。
比較例1
実施例1において、延伸ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維を用いないで不織布を製造した。不織布の製造工程の乾燥工程前において、撥水剤としてポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)(ダイキン社製)をスプレーでコーティングした以外は実施例1と同様にして不織布および燃料電池用ガス拡散層用シートを得た。なお、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の吸水率は文献値で0.01%である。
比較例2
実施例1において、延伸ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維に変えて、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂繊維(群栄化学製、繊維径14μm、繊維長6mm)を用いた以外は実施例1と同様にして不織布および燃料電池用ガス拡散層用シートを得た。なお、フェノール樹脂繊維の吸水率は0.2%であった。
比較例3
実施例1において、延伸ポリフェニレンサルファイド樹脂繊維に変えて、熱可塑性樹脂として6−ナイロン樹脂繊維(東レ社製、3.3dtex、繊維長15mm)を用いた以外は実施例1と同様にして不織布および燃料電池用ガス拡散層用シートを得た。なお、6−ナイロン樹脂繊維の吸水率は1.6%であった。
〔評価〕
(諸物性)
得られた燃料電池用ガス拡散層用シートの坪量は表1の通りであった。
(通気度)
ガス拡散性の指標として、シートの通気度を測定した。通気度はJIS L 1096に従って測定(フラジール型測定器を使用)した。値が大きいほど拡散性に優れる。
(水接触角)
撥水性の評価としてシートの水接触角を測定した。水接触角はJIS R 3257に基づき、FIBRO社製動的接触角試験機「DAT1100」を用いて測定した。滴下量は2μリットルである。値が大きいほど、撥水性が高くなる。水接触角として105°以上であるとよく、110°以上が好ましく、115°以上が特に好ましい。
(引張強度)
シートの接着性の評価として、引張強度を測定した。引張強度はJIS K 7161に基づき、オリエンテック社製引張試験機「テンシロン」を用いて測定した。値が大きいほど接着性が優れる。
(表面抵抗)
シートの導電性の評価として、表面抵抗値を測定した。表面抵抗値はJIS−K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に則り、4端子4探針法により三菱化学アナリテック社製ロレスタGP MCP−T610を用いて測定した。値が小さいほど、導電性が優れる。
Figure 0006299576
表1から明らかなように、本発明の実施例で得られた燃料電池用ガス拡散層用シートは、撥水性熱可塑性樹脂を用いたもので、シートの撥水性が優れるとともに、引張強度も高い。比較例1は、撥水層に使用される撥水剤をスプレーコーティングしたもので、シートの撥水性は優れるものの、シートとしての引張強度は劣るものである。比較例2は撥水性を示すが、強化繊維に対し接着性を示さない熱硬化性樹脂を用いたもので、引張強度が劣るものである。比較例3は、強化繊維に対し接着性を示すが、吸水性を有する熱可塑性樹脂を用いたもので、撥水性が劣るものである。ただし、実施例2は、比較例である。
本発明の燃料電池用ガス拡散層用シートは、導電性、撥水性、ガス拡散性に優れるため、単体として燃料電池用ガス拡散層として利用することができる。また、本発明の燃料電池用ガス拡散層用シートに、撥水層やマイクロポーラス層を形成することでより高性能な燃料電池用ガス拡散層として利用することができる。公知の撥水層やマイクロポーラス層を設けた燃料電池用ガス拡散層は、経時的な劣化、或は衝撃や振動などの要因で、撥水層やマイクロポーラス層が脱落したり、脱落がしなくても亀裂が生じたりする場合がある。脱落や亀裂を生じると、極端に撥水性の機能が低下してしまうが、本発明の燃料電池用ガス拡散層用シートを用いると、脱落や亀裂が生じても、燃料電池用ガス拡散層用シート自身が撥水性を有するため、撥水性の機能低下を生じることはない。

Claims (6)

  1. 燃料電池のセパレータと触媒層の間に配置される燃料電池用ガス拡散層用シートであって、該シートは炭素繊維と、該炭素繊維と接着性を示し且つ撥水性と有する高分子樹脂を含み、前記高分子樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂又はポリカーボネートであることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層用シート。
  2. 前記炭素繊維100質量部に対し、前記高分子樹脂を15〜50質量部含有する請求項1に記載の燃料電池用ガス拡散層用シート。
  3. 前記高分子樹脂が、JIS K 7209で規定する24hrでの吸水率が0.1以下である請求項1又は2に記載の燃料電池用ガス拡散層用シート。
  4. 燃料電池が固体高分子形燃料電池である請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用ガス拡散層用シート。
  5. 燃料電池のセパレータと触媒層の間に配置される燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布であって、該不織布は炭素繊維と、該炭素繊維と接着性を示し且つ撥水性とを有する熱可塑性樹脂を含み、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂又はポリカーボネートであり、
    該熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度条件でプレスされることにより燃料電池用ガス拡散層用シートとなることを特徴とする燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布。
  6. 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂繊維である請求項5に記載の燃料電池用ガス拡散層用シート用の不織布。
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