JP5753469B2 - 導電シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電シート及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、フッ素成分と導電成分とが一体に抄造され、通気性及び導電性が高い燃料電池電極材用の撥水性導電シート及びその製造方法に関する。
燃料電池は使用される電解質の種類によって、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、リン酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池の4種類に分類される。最近は、酵素や微生物を触媒とする燃料電池の開発が進められている。
固体高分子型燃料電池を構成する単電池は、薄板状の高分子電解質膜の両面にそれぞれ触媒層を備えるガス拡散電極を積重してなる。なお、触媒層を備えるガス拡散電極を膜‐電極接合体(以下、「MEA」ともいう)と呼ぶ。固体高分子燃料電池は、セパレータを介して前記単電池が複数積層されるスタック構造を有する。上記高分子電解質膜は、水素イオン(プロトン)を選択的に透過させるものである。上記触媒層は、白金等から成る貴金属系触媒を担持する炭素微粒子を主成分とするものである。上記ガス拡散電極には、触媒層に燃料ガスや空気を導くとともに生成ガスや過剰ガスを排出するガス拡散性能と、発生した電流を損失なく外部に取り出す高い導電性と、生成するプロトンに起因する強酸性雰囲気に対する耐性とが要求される。
このガス拡散電極の材料には、機械的特性、耐酸性及び導電性に優れ、軽量であるという理由から、炭素繊維クロスや炭素繊維フェルト、炭素繊維ペーパー等の炭素繊維シートが用いられることが多い。
炭素繊維シートの製造方法としては、以下の方法が例示される。フィラメント糸やステープル糸、カットファイバー等の炭素繊維を、製織や抄紙等によりシート加工することにより、炭素繊維シートを製造する方法がある。また、炭素繊維の前駆体繊維である耐炎化繊維を予めシート加工し、このシートを1000℃以上で焼成することにより、炭素繊維シートを製造する方法がある(例えば、特許文献1)。さらには、炭素繊維と抄造用バインダーとを混合してシートを抄造し、得られたシートにフェノール等の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させた後、1000℃以上の温度で焼成することにより、炭素繊維シートを製造する方法がある(例えば、特許文献2)。
ガス拡散電極には、発電反応により発生する生成水をセパレータに排出する機能を有していることが要求される。その理由は、生成水がMEA内に滞留すると、触媒層への燃料ガスの供給が阻害されるからである(以下、この現象を「フラッディング」ともいう)。発電反応による生成水の排出を促進してフラッディングを抑制するために、ガス拡散電極を構成する炭素繊維シートには撥水性が付与されているのが一般的である。炭素繊維シートに撥水性を付与する方法としては、炭素繊維シートなどの導電シートにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの撥水性物質を含浸させ、200〜500℃で焼結処理する方法が一般的である(例えば、特許文献3)。
ガス拡散電極は、触媒層に燃料ガスを均一に拡散させる機能や、MEA内の湿潤性をコントロールする機能が要求される。燃料ガスが触媒層に均一に拡散されると、燃料ガスと触媒層との反応面積が増加する。また、MEA内の湿潤性がコントロールされると、高分子電解質膜の乾燥が抑制され、高分子電解質膜の電気抵抗が低下する。その結果、このガス拡散電極を用いて構成する燃料電池は、高電圧を発生させることができる。
ガス拡散電極に燃料ガスを均一に拡散させる機能を付与するために、炭素繊維シートの表面上に微多孔質層(Micro Porous Layer(MPL))を設けることが一般的である。このMPLは、カーボンブラック等の炭素質粒子とフッ素系樹脂とから構成されており、平均径が数μm程度の孔を有する。MPLを有する炭素繊維シートは、MPLを有しない炭素繊維シートと比べて、ガスを均一に拡散させることができる。また、MPLを有する炭素繊維シートは、水分が保持されるため、湿潤性のコントロールが可能である。MPLは、炭素質粒子とフッ素系樹脂とを適度な濃度で含むスラリーを、スプレーやナイフコートする方法等により形成される。塗工方法は、炭素繊維シートの表面に塗工して形成するのが一般的である(例えば、特許文献4)。
上述のように、固体高分子型燃料電池用のガス拡散電極は、炭素繊維シートに撥水加工を行い、次いでMPLを形成することにより製造される撥水性の導電シートが使用されるのが一般的である。
上記の撥水性導電シートは、固体高分子型燃料電池だけでなく、バイオ燃料電池や空気亜鉛電池等の燃料ガスや燃料液体の拡散性と排水性との両立が求められる燃料電池用の電極材として広く利用されている。
しかし、この撥水性導電シートは、先に示したように、多くの工程を経て製造されるため、生産効率が悪い。その結果、このシートが電極材として使用される燃料電池は高価である。これらの問題に対し、種々の提案がされている。
特許文献5には、フッ素樹脂とカーボンブラック等の炭素材料が分散してなるスラリーに、ポリアリレート不織布から成る基材を浸漬後、乾燥させる燃料電池用電極材の製造方法が記載されている。
特許文献6には、ガラス繊維不織布から成る基材に、アクリル樹脂や酢酸ビニル樹脂を付着させ、次いでPVDFやPTFEと炭素粒子とを溶媒に加えた導電性ペーストを被着させて乾燥させる燃料電池用電極材の製造方法が記載されている。
特許文献5、6に記載される製造方法は、従来の方法に比べて生産効率は良い。しかし、基材となるポリアリレート不織布及びガラス繊維不織布の導電性が低いため、この電極材を用いて構成する燃料電池は、内部抵抗が高い。その結果、高い電池性能が得られない。
また、導電性を有し、かつ生産性の高い燃料電池用電極材として、種々の提案がされている(例えば、特許文献7、特許文献8)。
特許文献7には、金属メッシュに貴金属コートを施すことによって金属メッシュの耐酸性を高めた燃料電池用電極材が記載されている。しかし、コートに用いる貴金属材料は高価であるため、燃料電池は高価格になる。貴金属コートが施されていない金属メッシュは、腐蝕に伴って溶出する金属イオンが電解質膜を劣化させる。そのため、金属メッシュは貴金属コートを施す等の耐酸処理が施されている必要がある。
特許文献8では、ガラス繊維等の無機繊維や有機繊維から成る織布や不織布、又は金属メッシュからなる基材シートに、炭素繊維、炭素微粒子及び樹脂を付着させて製造する燃料電池用電極材が記載されている。この電極材は、炭素繊維間に炭素微粒子が介在しているため、特許文献5や特許文献6に記載された電極材に比べて導電性が高い。しかし、導電性の高い電極材を製造するには、充分な量の炭素繊維及び炭素微粒子が基材シートの内部に含浸されている必要がある。炭素繊維及び炭素微粒子の充分な量を基材シートの内部に含浸させるには、炭素繊維及び炭素微粒子が分散する希薄な樹脂溶液を基材シートに塗布して乾燥させることを所定の含浸量になるまで繰り返す。しかし、この方法は、樹脂溶液の塗布と乾燥を繰り返すため、生産効率が悪い。
抄造で製造される撥水性を有するシートとして種々の提案がされている。抄造で製造されるシートは生産効率が良い。特許文献9には、芳香族ポリアミドとフッ素樹脂粒子とを水中に分散させて抄造する撥水性シートの製造方法が記載されている。この方法により得られるシートは、導電性を有していない。そのため、このシートを用いて構成する燃料電池は、電池性能が低い。
燃料電池は通常その用途や発電方法により、様々な発電条件で用いられる。特に高加湿−高電流密度領域では、水素及び酸化剤の分圧低下とガスの供給不足による出力電圧の低下が懸念される。そのため、シートに細孔を形成してガスの供給性能を向上させたシートとして種々の提案がされている(例えば、特許文献10、11)。
特許文献10には、炭素材料を分散させたフッ素樹脂膜を作製し、該フッ素樹脂膜に穴開け加工を施して貫通孔を形成させた撥水性導電シートが記載されている。しかし、穴開け加工は、レーザー照射又はドリル等の機械的な加工工程が必要となる。そのため、生産性が低下して製造コストを上昇させる。その結果、燃料電池が高価格となる。また、基材となるフッ素樹脂膜は、導電性が低い。そのため、このシートを用いて構成する燃料電池は、内部抵抗が高くなり、電池性能が低くなる。
特許文献11には、カーボン繊維と焼失物質とを水中に分散させて抄造してシートを得、このシートを焼成して焼失物質を除去することによりシートに細孔を形成させた導電シートが記載されている。しかし、この導電シートは、シートの抄造後に熱硬化性樹脂の含浸と撥水剤の含浸及び加熱とを行うため、多くの工程が必要となり、生産性が低い。
特開2003−268651号公報(特許請求の範囲) 特開2001−196085号公報(特許請求の範囲) 特開平6−203851公報 (特許請求の範囲) 特開平7−220734公報 (特許請求の範囲) 特開2008−210725号公報 (特許請求の範囲) 特開2008−204945号公報 (特許請求の範囲) 特開2008−103142号公報 (特許請求の範囲) 特開2010−153222号公報 (特許請求の範囲) 特開平9−188767号公報 (特許請求の範囲) 特開2007−179870号公報(特許請求の範囲) 特開2007−335370号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、抄造により製造することが可能で、かつ通気性及び導電性が高い、燃料電池用電極材に適した撥水性導電シート及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、芳香族ポリアミドパルプと、フッ素樹脂粒子と、炭素系導電物質と、シートの焼成温度以下で分解する物質(以下、「焼失物質」ともいう)と、を原料とするスラリー中で、フッ素樹脂粒子を芳香族ポリアミドパルプに沈着させた後、このスラリーを抄造して導電シート前駆体を得た。その後、この導電シート前駆体を所定条件で熱プレスし、次いでこのシートを所定の温度で焼成した。これにより、シートに撥水性が付与されるとともに、シート内に分散する焼失物質が消失して通気性及び排水性が極めて高い導電シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下の構成よりなる導電シート及びその製造方法である。
〔1〕芳香族ポリアミドパルプと、前記芳香族ポリアミドに融着されたフッ素樹脂と、炭素系導電性物質とを含んで成る導電シートであって、
通気度が30〜10000ml/min.・cmであり、かつ面間電気抵抗値が2000mΩ/cm以下であることを特徴とする導電シート。
〔2〕バブルポイント法により測定される平均細孔直径が、0.3〜40μmである〔1〕に記載の導電シート。
〔3〕前記炭素系導電性物質が、黒鉛粒子、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、カーボンミルドファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンから成る群から選択される〔1〕又は〔2〕に記載の導電シート。
〔4〕芳香族ポリアミドパルプと、
前記芳香族ポリアミドパルプに沈着するフッ素樹脂と、
炭素系導電物質と、
焼失物質と、
を含むスラリーを調製し、
前記スラリーを抄造して導電シート前駆体を得、
前記導電シート前駆体を空気中において、温度120〜250℃、接圧0.1〜50MPaで1〜300分間熱プレスした後、
不活性ガス中において焼成温度200〜500℃で焼成することを特徴とする〔1〕に記載の導電シートの製造方法。
〔5〕前記焼失物質が、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂、スチレン樹脂、セルロースおよびこれらの誘導体から成る群から選択される1種又は2種以上である〔4〕に記載の導電シートの製造方法。
〔6〕前記焼失物質の不活性ガス中における熱分解開始温度が、前記焼成温度より30℃以上低い物質である〔4〕又は〔5〕に記載の導電シートの製造方法。
本発明の導電シートは、導電性と通気性とを有しており、燃料電池電極材として好適に用いることができる。さらに、このシートは撥水性を有しているため、これを用いて構成する電極は排水性が優れる。
本発明の導電シートは、抄造法により一体として製造されるため、生産性が高い。
(撥水性導電シート)
本発明の導電シート(以下、「本導電シート」ともいう)は、芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂と炭素系導電性物質とを含んで構成される。芳香族ポリアミドパルプの繊維表面には、フッ素樹脂が融着されている。このフッ素樹脂により、本導電シートは撥水性が付与されている。芳香族ポリアミドパルプの繊維同士の間には、炭素系導電物質が分散されている。この炭素系導電物質により、本導電シートはシートの厚み方向に導電性が付与されている。
本発明において、導電シートの通気性は後に記載する方法で測定される通気度の大きさにより評価される。通気度が大きいほど、導電シートの通気性が高い。
本導電シートの通気度は、30〜10000ml/min.・cmであり、30〜2000ml/min.・cmであることが好ましい。通気度が30ml/min.・cm未満の導電シートは通気性が低い。通気度が30ml/min.・cm未満の導電シートが燃料電池電極材として用いられると、特に高電流密度領域において、触媒層に対する燃料ガスの供給量が不足する。その結果、出力電圧が低下し、電池性能が低くなる。導電シートの通気度は、導電シート製造過程で使用する焼失物質の種類や量によって制御できる。
本導電シートの面間電気抵抗値は、2000mΩ/cm以下が好ましく、1000mΩ/cm以下がより好ましい。面間電気抵抗が2000mΩ/cmを超える導電シートが燃料電池電極材として用いられると、セル抵抗が増大して出力電圧が低下し、電池性能が低くなる。本導電シートの面間電気抵抗値は、炭素系導電性物質の種類や量によって制御できる。
本導電シートのバブルポイント法により測定される平均細孔直径は、0.3〜40μmが好ましい。平均細孔径が0.3μm未満の場合、シートの排水性が悪く、電極内に生成水が滞留するフラッディングが発生して電池性能を低下させやすい。平均細孔径が40μmを超える場合、触媒層に燃料ガスを均一に拡散させることが困難になるため、高い発電性能が得られにくい。さらに、水の浸透性が高くなり(すなわち、遮水性が低い)、高分子電解質膜が乾燥するドライアウトが発生する。その結果、特に低温加湿条件における電池性能が低くなる。本導電シートのバブルポイント法により測定される平均細孔直径は、導電シート製造過程で使用する焼失物質の種類や量によって制御できる。
本導電シートの厚さは、50〜500μmが好ましく、100〜400μmが特に好ましい。厚さが50μm未満の場合は、導電シートの強度が低くなり、取扱い性が低下する。厚さが500μmを超える場合は、ガス拡散性、排水性が悪くなり、電池性能の低下を引き起こす。導電シートの厚さは、導電シートの目付や、導電シート前駆体を熱プレスする際の温度や圧力を調整することにより制御できる。
本導電シートの目付は、30〜200g/mが好ましく、50〜150g/mがより好ましい。目付が30g/m未満の場合は、導電シートの強力が低くなり、取扱い性が低下する。目付が200g/mを超える場合は、所定の厚さの導電シートを得ることが困難になる。
本導電シートの嵩密度は、0.2〜0.7g/cmが好ましい。嵩密度が0.2g/cm未満の場合は、導電シートの強度が低くなり、取扱い性が悪化する。嵩密度が0.7g/cmを超える場合は、ガス拡散性、排水性が悪くなり、電池性能の低下を引き起こす。
(炭素系導電性物質)
本導電シートに含まれる炭素系導電性物質は、炭素含有率が94質量%以上であって、比抵抗値が100Ω・cm以下の物質であれば、特に限定されない。炭素含有率が94質量%未満の場合は、得られる導電シートの通電性が低下する。さらに、この導電シートを組み込んだ電池を長期間に亘って作動させると、導電シートが劣化し易くなる。
上記の条件を満たす炭素系導電性物質としては、黒鉛粒子、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、カーボンミルドファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンが例示される。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
炭素繊維、カーボンミルドファイバーとしては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、フェノール系炭素繊維などが挙げられる。特に、PAN系炭素繊維が好ましい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、中空シェル状の構造を持つケッチェンブラック(登録商標)などが挙げられる。上記カーボンブラックのうち、ケッチェンブラックが好ましい。
炭素繊維、カーボンミルドファイバーを用いる場合、その繊維径は5〜20μmが好ましく、6〜13μmが特に好ましい。扁平な断面の炭素繊維の場合、長径と短径との平均値を繊維径とする。繊維径が5μm未満の場合は、単繊維の強度が低いため、得られる導電シートの強力が不足しやすい。また、導電シートから脱落した炭素繊維が人体に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、導電シート前駆体の焼成時に繊維強度が低下して炭素繊維微粉末が多量に発生する。繊維径が20μmを超える場合は、導電シートを構成する炭素単繊維の外周の形状が導電シートのシート表面に浮き上がる。その結果、シート表面に凹凸が形成されてシートの表面平滑性が悪化し、シート表面に形成される凹凸に起因して、シートの接触電気抵抗が大きくなりやすい傾向がある。
炭素繊維やカーボンミルドファイバーの平均繊維長(カット長)は20mm以下が好ましい。平均繊維長が20mmを超える場合は、繊維の均一分散性が低下して、得られるシートの強力が低下する。
カーボンブラックの平均粒径は、0.5〜20μmであることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満の場合は、カーボンブラックの分散液を調製する際に、カーボンブラックが凝集して分散斑が起きやすい。平均粒径が20μmを超える場合は、カーボンブラック粒子がシートの内層部まで入らないため、得られる導電シートの導電性が低下する。
黒鉛粒子としては、公知の黒鉛粒子を使用することが出来る。中でも球状黒鉛、鱗片状黒鉛が好ましい。黒鉛粒子の平均粒径は0.05〜300μmが好ましい。
(芳香族ポリアミドパルプ)
本発明に用いられる芳香族ポリアミドパルプ(以下、「アラミドパルプ」ともいう)は、アミド結合の85モル%以上が芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分との脱水縮合により形成されるアミド結合を有する。本発明に用いられるアラミドパルプは、繊維が高度にフィブリル化されている。
芳香族ポリアミドパルプは、幹部と、幹部から繊維をフィブリル化させたフィブリル部とからなる。幹部は、繊維径が3〜70μm、長さが1〜500mmである。フィブリル部の繊維径は、0.01〜2μmである。
アミド結合の85モル%以上が芳香族ジアミン成分、芳香族ジカルボン酸成分からなる芳香族ポリアミドパルプとしては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン−3,4’オキシジフェニレン−テレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラベンズアミド、ポリ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、ポリパラフェニレン−2,6−ナフタリックアミド、コポリパラフェニレン/4,4’−(3,3’−ジメチルビフェニレン)テレフタルアミド、ポリオルソフェニレンテレフタルアミド、ポリパラフェニレンフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド等を挙げることができる。
本発明で「フィブリル化」とは、繊維の表面に、微小径の短繊維をランダムに形成させる方法をいう。本発明において、アラミド繊維のフィブリル化は公知の方法で行われる。例えば、特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報などに記載される、有機高分子重合体溶液に沈澱剤を加え、剪断力の生ずる系で混合する方法によりフィブリル化が行われる。また、特公昭59−603号公報に記載される、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から形成される分子配向性を有する成形物に、叩解等の機械的剪断力を与えてランダムに微小径の短繊維を形成させる方法によりフィブリル化が行われる。
フィブリル化の指標としてはBET比表面積が用いられる。アラミドパルプのBET比表面積は3〜25m/gが好ましく、5〜20m/gが特に好ましく、9〜16m/gがさらに好ましい。アラミドパルプのBET比表面積が3m/g未満である場合は、パルプ同士の絡み合いが十分に起こらないので、得られる導電シートの機械的強度が低い。また、アラミドパルプにフッ素樹脂粒子を沈着させることが困難となる。一方、アラミドパルプのBET比表面積が25m/gを超える場合は、導電シートの抄造時における濾水性が悪くなる。そのため、導電シートの抄造に長時間を要し、製造コストを上昇させる。
(フッ素樹脂)
本発明で用いられるフッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂(以下、「PTFE」と略記する)、パーフルオロ−アルコキシ樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、三フッ化塩化エチレンが例示される。その中でも、PTFEが耐熱性、摺動特性に優れるため、特に好ましい。
フッ素樹脂粒子の平均粒径は0.01〜10μmが好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。平均粒径が0.01μm未満である場合、アラミド繊維への沈着が困難となる。一方、平均粒径が10μmを超える場合、安定な分散液を調製することが困難である。その結果、導電シート中でフッ素樹脂が偏在しやすくなる。
(焼成温度以下で分解する物質)
焼成温度以下で分解する物質(以下、「焼失物質」ともいう)は、不活性雰囲気下での熱分解開始温度が500℃未満であり、後述の焼成温度以下で分解する物質である。本発明において、熱分解開始温度とは、物質の温度を徐々に上げていった際、物質の重量減少が始まる温度のことをいう。本発明の焼失物質は、不活性雰囲気下、焼成温度での残炭率が40%以下の物質が好ましく、残炭率が20%以下の物質がより好ましく、残炭率が10%以下の物質がより好ましい。焼失物質は、焼成温度により適宜選択される。焼失物質としては、焼成温度により選択される以外、特に限定されないが、抄造工程での歩留りが良好で且つ熱分解開始温度が低いパルプ形状若しくは繊維形状の有機物が好ましい。本発明の焼失物質としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂、スチレン樹脂、セルロースおよびこれらの誘導体などが例示される。中でも、500℃での残炭率が40%以下のPVA、脂肪族ポリエステル、ポリオレフィン、脂肪族ポリアミド、アクリル樹脂、スチレン樹脂、セルロースおよびこれらの誘導体が好ましく、中でも残炭率が20%以下のビニロン,ポリエチレンテレフタレート(PET)、レーヨンがさらに好ましい。焼失物質の形状は、長さ0.1〜100mm、径が0.1〜50μmが好ましい。
この焼失物質は、焼成工程において分解して消失し、本導電シート内に空隙を形成させる。焼失物質を配合して本導電シートを製造する場合、得られる導電シートの通気性や排水性は高くなる。
焼失物質の熱分解開始温度は、焼成温度よりも30℃以上低いことが好ましい。焼成温度と分解温度との差が30℃未満である場合、焼成後に焼失物質が消失せずにシート内に残りやすく、シートの通気度や排水性が向上しにくい傾向がある。また、シート内に焼失物質が残ると、電気抵抗の悪化を招く。
(本撥水性導電シートの製造方法)
本シートは、その物性が上記範囲内にあれば、製造方法は特に限定されるものではないが、例えば以下の方法で製造できる。
<スラリー調製工程>
先ず、芳香族ポリアミドパルプ(以下、「アラミドパルプ」ともいう)とフッ素樹脂粒子とが分散する分散液(以下、「アラミドパルプ−フッ素樹脂分散液」ともいう)を調製する。アラミドパルプ−フッ素樹脂分散液は、アラミドパルプが分散する分散液とフッ素樹脂粒子が分散する分散液とを各々調製し、これらを混合することにより製造できる。フッ素樹脂粒子の分散液にアラミドパルプを添加して分散させることにより調製しても良いし、この逆であっても良い。最も好ましいのは、フッ素樹脂粒子の分散液にアラミドパルプを添加して分散させる方法である。
分散媒体としては、水が好ましい。
アラミドパルプ−フッ素樹脂分散液におけるアラミドパルプとフッ素樹脂との配合比率は、目的とする最終製品に応じて適宜選択すれば良い。アラミドパルプ/フッ素樹脂比(質量比)として、10/90〜50/50の範囲であることが好ましく、20/80〜40/60の範囲であることが特に好ましい。アラミドパルプのフッ素樹脂に対する質量比が10/90未満の場合、アラミドパルプによるシートの補強が不十分である。一方、アラミドパルプのフッ素樹脂に対する質量比が50/50を超える場合、フッ素樹脂による十分な撥水性を備える導電シートが得られにくい。
フッ素樹脂粒子の分散液は、公知の方法によって調製することができる。例えば、界面活性剤の存在下、フッ素樹脂の原料モノマーをラジカル重合させることにより調製することができる。フッ素樹脂粒子の分散液に使用する界面活性剤としては、ノニオン性の界面活性剤、イオン性の界面活性剤などが挙げられる。また、市販のフッ素樹脂粒子の分散液をそのまま用いることもできる。市販品のフッ素樹脂粒子の分散液としては、旭硝子株式会社製のFluon PTFEディスパージョンAD911L(製品名)や、ダイキン工業株式会社製のポリフロン PTFE D−1E(製品名)が例示される。
アラミドパルプの分散液は、木質パルプを抄造する際に従来から用いられている方法など公知の方法で調製することができる。例えば、各種の離解機(パルパー)、ナイアガラビーター等の各種のビーター、あるいはシングルディスクリファイナー等の各種のリファイナー等を用いて分散させることができる。
分散液中のアラミドパルプやフッ素樹脂の濃度は特に制限されないが、分散液の流動性を損なわない範囲でできるだけ高い濃度とした方が製造コスト低減の点から好ましい。
また、フッ素樹脂粒子がアラミドパルプにより粒状に沈着させやすくするため、このアラミドパルプ−フッ素樹脂分散液に対し、凝集剤を添加して、フッ素樹脂粒子を解分散させてもよい。凝集剤の種類や添加量は、フッ素樹脂粒子の分散に用いられている界面活性剤の種類や、アラミドパルプの比表面積に応じて適宜決定すれば良い。
アラミドパルプ−フッ素樹脂分散液中のフッ素樹脂粒子は、実質全量がアラミドパルプに沈着されることが好ましい。「実質全量」とは、導電シートの抄造時に、フッ素樹脂粒子が、廃水処理が不要なほどの少量しか廃水へ流出せず、その流出量を差引いた量を意味する。フッ素樹脂粒子は高価格であるため、フッ素樹脂粒子がアラミドパルプに沈着されず、廃水中に流出すると経済性の面から好ましくない。また、フッ素樹脂が廃水中に流出すると、廃水処理操作が必要になり、製造コストを上昇させる。
アラミドパルプと、炭素系導電性物質と、アラミドパルプに凝集したフッ素樹脂とを含むスラリー(以下、単に「スラリー」ともいう)は、上記により調製されたアラミドパルプ−フッ素樹脂分散液に、炭素系導電性物質を添加することにより得ることができる。炭素系導電性物質の添加順序は問われない。従って、炭素系導電性物質は、フッ素樹脂粒子をアラミドパルプに沈着させる前に添加しても良いし、フッ素樹脂粒子を沈着させた後に添加しても良い。また、炭素系導電性物質が予め分散されている分散液を添加しても良いし、炭素系導電性物質をアラミドパルプ−フッ素樹脂分散液に添加後、撹拌して分散させても良い。
アラミドパルプと炭素系導電性物質との配合比率は、目的とする最終製品に応じて適宜選択すれば良い。アラミドパルプ/炭素系導電性物質比(質量比)としては、90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、85/15〜15/85の範囲であることが特に好ましい。アラミドパルプ/炭素系導電性物質比が90/10を超える場合、炭素系導電性物質による導電性が得られにくい。一方、アラミドパルプ/炭素系導電性物質比が10/90未満の場合、アラミドパルプによる十分な補強効果が得られにくい。
上記スラリーには、前述の焼失物質が混合される。焼失物質の配合比率は、目的とする最終製品に要求される通気度等に応じて適宜選択すれば良い。アラミドパルプ/焼失物質(質量比)としては、60/40〜3/97であることが好ましく、50/50〜3/97であることが特に好ましい。アラミドパルプ/焼失物質比が60/40よりも高い場合、得られるシートの通気性が不足し、燃料ガスや燃料液体の拡散性能や、排水性が向上し難い。一方、アラミドパルプ/焼失物質比が3/97よりも低い場合、アラミドパルプによるシートの補強効果が不十分である。
焼失物質のスラリーへの配合方法は、焼失物質の分散液をスラリーに配合しても良いし、焼失物質をスラリーに配合した後に分散させても良い。
また、導電シートの性能を向上させる等、他の特性を付与する目的で、スラリーに金属酸化物のような充填材、添加剤等を添加することもできる。
スラリーは、上記の方法により調製される。スラリーにおける、芳香族ポリアミドパルプと、フッ素樹脂と、炭素系導電性物質と、焼失物質との含有比は、芳香族ポリアミドパルプが4〜36質量%であり、フッ素樹脂が4〜36質量%であり、炭素系導電性物質が4〜73質量%であり、焼失物質が10〜80質量%であることが好ましい。
<導電シート前駆体作製工程>
上記により調製したスラリーを抄造して導電シート前駆体を得る。抄造は、公知の方法により行えばよい。例えば、長網式や丸網式の抄造機を用いることができる。
<熱プレス工程>
次に、導電シート前駆体を空気中で熱プレスする。熱プレスの温度は、120〜250℃であり、140〜230℃が好ましく、160〜200℃が特に好ましい。熱プレスの加圧方向は、シートの厚さ方向である。熱プレス時の接圧は、0.1〜100MPaであり、1〜50MPaが好ましく、5〜20MPaが特に好ましい。熱プレスの時間は、1〜300分間であり、2.5〜60分間が好ましく、5〜30分間が特に好ましい。熱プレスは、公知の方法で行うことができる。
<焼成工程>
次に、この熱プレスされた導電シート前駆体を不活性ガス中で焼成する。これにより、アラミドパルプに沈着されているフッ素樹脂粒子が溶融してアラミドパルプ表面に融着される。また、焼失物質が熱分解により消失してシートに空隙が形成される。
焼成温度は、200〜500℃であり、230〜430℃が好ましい。焼成温度が200℃未満である場合、アラミドパルプに沈着しているフッ素樹脂粒子が溶融せず、得られるシートの撥水性が不十分になる。焼成温度が500℃を超える場合は、フッ素樹脂が分解してフッ酸が発生し、装置等に不具合を生じさせる。
焼成時間は、10〜120分間であり、30〜90分間が好ましい。
上記の焼成工程は、導電シートに面圧を付与しながら行っても良い。面圧は、1.0kPa以下であり、0.1〜0.5kPaが好ましい。面圧の付与は、バッチプレス、間欠プレス、カレンダプレス、ベルトプレス、ローラー等への接触による接圧付与等、公知の方法を用いて行われる。
(本導電シートの用途)
本導電シートは、燃料電池電極材に要求される、反応物質の拡散移動性と、生成物質の移動性と、生成水の排水機能を満足する撥水性とを備える。従って、本導電シートは、固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極やバイオ燃料電池用電極、空気亜鉛電池用電極など、燃料電池の電極材として用いることができる。中でも固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各物性の測定、評価は以下の方法によった。
[目付]
10cm角のシートを120℃で1時間乾燥し、乾燥後の質量値より算出した。
[厚み]
シートの厚さは、直径5mmの円形圧板を用いてシートの厚さ方向に1.2Nの荷重(61.9kPa)を負荷して測定した。厚さは、10cm角のシート面を9面の正方形に区分(即ち、約3.33cm角で9面に区分)し、この区分された各面の中心部における厚さの測定値を平均した値を表す。
[面間電気抵抗]
50mm角の導電シートを、50mm角(厚さ10mm)の金メッキした2枚の電極で挟んだ。この際、導電シートと電極とは、互いの対応する各辺が一致するように重ねた。2枚の電極で導電シートの厚さ方向に荷重1MPaを負荷し、この状態で導電シートの電気抵抗値R(Ω)を測定した。電気抵抗値Rと測定面積に基づいて、面間電気抵抗値を算出した。
[通気度]
JIS K 3832「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法」に準拠し測定した。測定には、パームポロメーター[PMI(Porous Material,Inc.)社製:商品名CFP−1100AEX]を用いた。乾き流量測定時の100mmHOの圧力下での1cmあたりの通気量を通気度とした。
[平均細孔径]
JIS K 3832「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法」に準拠し測定した。測定には、パームポロメーター[PMI(Porous Material,Inc.)社製:商品名CFP−1100AEX]を用いた。バブルポイント法により濡れ流量と乾き流量とを用いてシートの細孔分布を測定し、この細孔分布から体積平均細孔径を算出した。
[スラリー用分散液の調製]
パラ系芳香族ポリアミドパルプとして、トワロン1094(製品名、テイジン・アラミド B.V.製、BET比表面積:13.5m/g、濾水度:100ml)をイオン交換水に混合して分散液(以下、「分散液A」ともいう)を調製した。
PTFEのノニオン系分散液としてAD911L(製品名、旭硝子株式会社製、PTFEの平均粒径:0.25μm、PTFEを60質量%含有)をイオン交換水に混合して分散液(以下、「分散液B」ともいう)を調製した。
カーボンブラックとしてケッチェンブラックEC300JD(製品名、ライオン株式会社製、一次粒子径34.0nm)をイオン交換水に分散させ、分散液(以下、「分散液C」ともいう)を調製した。
炭素繊維(東邦テナックス株式会社製、平均繊維直径7μm、比重1.76)を長さ3mmにカットし、イオン交換水に分散させ、分散液(以下、「分散液D」ともいう)を調製した。
焼失物質として、ビニロン VPB103(製品名、株式会社クラレ製、繊度1.1dtex、長さ3mmカット品、熱分解開始温度340℃)をイオン交換水に分散させ、分散液(以下、「分散液E−1」ともいう)を調製した。
焼失物質として、PET繊維 テイジンテトロン(製品名、帝人ファイバー株式会社製、平均繊維直径10μm、長さ5mmカット品、熱分解開始温度430℃)をイオン交換水に分散させ、分散液(以下、「分散液E−2」ともいう)を調製した。
焼失物質として、レーヨン(ダイワボウレーヨン株式会社製、繊度2.2dtex、熱分解開始温度340℃)をイオン交換水に分散させ、分散液(以下、「分散液E−3」ともいう)を調製した。
[実施例1]
(1)スラリーの調製
分散液B、分散液Cを混合し、20分間攪拌した。その後、この混合された分散液に、分散液Aを加えて20分間攪拌した。次いで、この混合された分散液に、分散液D、分散液E−1を加えて3分間攪拌し、スラリーを得た。各分散液の配合割合は、表1に記載した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.75g、分散液B成分が0.75g、分散液C成分が1.19g、分散液D成分が1.06g、分散液E−1成分が2.50gである。
(2)導電シートの作製
このスラリーを、湿式抄紙して導電シート前駆体を得た。この導電シート前駆体を、温度180℃、圧力150kgf/cmの条件下で、10分間熱プレスした。その後、該導電シート前駆体を窒素ガス雰囲気下400℃で60分間、焼成処理することにより導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表1に記載した。
[実施例2]
焼失物質である分散液E−1成分の配合比を増加させた以外は、実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.75g、分散液B成分が0.75g、分散液成分Cが1.19g、分散液D成分が1.06g、分散液E−1成分が15.00gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙、熱プレス及び焼成処理して導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表1に記載した。
[実施例3]
焼失物質をビニロンからPET繊維に変更し、焼成温度を450℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.75g、分散液B成分が0.75g、分散液成分Cが1.19g、分散液D成分が1.06g、分散液E−2成分が2.50gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙、熱プレス及び焼成処理して導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表1に記載した。
[実施例4]
焼失物質をビニロンからレーヨンに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.75g、分散液B成分が0.75g、分散液成分Cが1.19g、分散液D成分が1.06g、分散液E−3成分が2.50gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙、熱プレス及び焼成処理して導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表2に記載した。
[実施例5]
導電シートの目付を減量した以外は、実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.38g、分散液B成分が0.38g、分散液成分Cが0.59g、分散液D成分が0.53g、分散液E−1成分が1.25gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙、熱プレス及び焼成処理して導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表2に記載した。
[比較例1]
焼失物質である分散液E−1を配合しなかった以外は実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.75g、分散液B成分が0.75g、分散液成分Cが1.19g、分散液D成分が1.06gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙、熱プレス及び焼成処理して導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表3に記載した。
[比較例2]
焼失物質である分散液E−1成分の配合比を減少させた以外は、実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.75g、分散液B成分が0.75g、分散液成分Cが1.19g、分散液D成分が1.06g、分散液E−1が0.42gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙、熱プレス及び焼成処理して導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表3に記載した。
[比較例3]
焼失物質である分散液E−1成分の配合比を増加させた以外は、実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.75g、分散液B成分が0.75g、分散液成分Cが1.19g、分散液D成分が1.06g、分散液E−1が33.75gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙、熱プレス及び焼成処理して導電シートを得た。この導電シートの各物性の測定結果は、表3に記載した。
[比較例4]
導電シートの目付を20g/mに設定した以外は、実施例1と同様の方法により、スラリーを調製した。このスラリーにおける各分散液の固形分(純分)は、分散液A成分が0.25g、分散液B成分が0.25g、分散液成分Cが0.40g、分散液D成分が0.35g、分散液E−1成分が0.83gである。実施例1と同様の方法により湿式抄紙したが、シート強力が足らず導電シート前駆体を作製できなかった。
Figure 0005753469
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実施例1〜5で得られた導電シートは、通気度が30ml/min.・cm以上で且つ面間電気抵抗値がいずれも2000mΩ/cm以下である。従って、これらの導電シートは燃料電池用電極材として好適である。
実施例1、2、4、5で得られた導電シートは、面間電気抵抗値が1000mΩ/cm以下である。従って、燃料電池の発電性能の向上に特に寄与する。
比較例1、2で得られた導電シートは、通気度が30ml/min.・cm未満である。通気性が必要な高加湿−高電流密度領域では燃料ガスの供給不足が発生する恐れがある。従って、燃料電池用電極材として不適である。
比較例3で得られた導電シートは脆く、シート形状を保持できなかった。
比較例4は、目付が低い為、導電シート前駆体の強力が足りず抄紙できなかった。

Claims (6)

  1. 芳香族ポリアミドパルプと、前記芳香族ポリアミドに融着されたフッ素樹脂と、炭素系導電性物質とを含んで成る導電シートであって、
    通気度が30〜10000ml/min.・cmであり、且つ面間電気抵抗値が2000mΩ/cm以下であることを特徴とする導電シート。
  2. バブルポイント法により測定される平均細孔直径が、0.3〜40μmである請求項1に記載の導電シート。
  3. 前記炭素系導電性物質が、黒鉛粒子、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、カーボンミルドファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンから成る群から選択される請求項1又は2に記載の導電シート。
  4. 芳香族ポリアミドパルプと、
    前記芳香族ポリアミドパルプに沈着するフッ素樹脂と、
    炭素系導電物質と、
    焼失物質と、
    を含むスラリーを調製し、
    前記スラリーを抄造して導電シート前駆体を得、
    前記導電シート前駆体を空気中において、温度120〜250℃、接圧0.1〜50MPaで1〜300分間熱プレスした後、
    不活性ガス中において焼成温度200〜500℃で焼成することを特徴とする請求項1に記載の導電シートの製造方法。
  5. 前記焼失物質が、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂、スチレン樹脂、セルロースおよびこれらの誘導体から成る群から選択される1種又は2種以上である請求項4に記載の導電シートの製造方法。
  6. 前記焼失物質の不活性ガス中における熱分解開始温度が、前記焼成温度より30℃以上低い物質である請求項4又は5に記載の導電シートの製造方法。
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