JP2017139219A - 炭素シート、ガス拡散電極基材、および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高電流密度での発電性能低下の抑制に優れ、なおかつ搬送時の破断や構造の破壊や短絡による発電出力低下を抑制可能であり、さらには安定的に生産できるガス拡散電極基材を提供する。【解決手段】 少なくとも炭素繊維を含む多孔質の炭素シート、及び、少なくとも導電性フィラーを含むマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材であって、ガス拡散性が31.0〜35.5%であり、前記ガス拡散電極基材を厚み方向に小孔部と大孔部とに分けた際に、大孔部の厚みが3μmより小さい、ガス拡散電極基材。【選択図】なし
Description
本発明は、燃料電池、特に固体高分子型燃料電池に好適に用いられる炭素シート、さらにマイクロポーラス層を含むガス拡散電極基材、該ガス拡散電極基材を含む燃料電池に関するものである。
水素を含む燃料ガスをアノードに供給し、酸素を含む酸化ガスをカソードに供給して、両極で起こる電気化学反応によって起電力を得る固体高分子型燃料電池は、一般的に、セパレータ、ガス拡散電極基材、触媒層、電解質膜、触媒層、ガス拡散電極基材、およびセパレータを順に積層して構成されている。上記のガス拡散電極基材には、セパレータから供給されるガスを触媒層へと拡散するための高いガス拡散性と、電気化学反応に伴って生成する水をセパレータへ排出するための高い排水性、および発生した電流を取り出すための高い導電性が必要である。そのため、炭素繊維などからなる炭素シートを基材としてその表面にマイクロポーラス層を形成したガス拡散電極基材が広く用いられている。
しかしながら、このようなガス拡散電極基材の課題として、(1)固体高分子型燃料電池を高電流密度領域において作動させる場合、燃料ガスと酸素ガスの触媒層への供給が不足したり、70℃未満の比較的低い温度かつ高電流密度領域において作動させる場合、大量に生成する水でガス拡散電極基材が閉塞し、ガスの供給が不足する結果、発電性能が低下する問題と(2)ガス拡散性を向上するためにガス電極基材を構成する炭素シートを薄膜化したり、低密度化すると燃料電池製造過程にてガス電極基材を構成する炭素シートが破断したり、伸長され構造が破壊されるという問題、(3)燃料電池セルを組み上げる時の圧力や、繰り返し発電時の電解質膜の膨潤・収縮によりガス拡散電極に含まれる炭素繊維が電解質膜を突き破る短絡を生じ、発電できなくなるという問題がある。そのため、ガス拡散電極基材には、高いガス拡散性及び生成水の排水性と、機械的強度、耐短絡特性も求められる。
そこで、たとえば、炭素シートの内部と片側にマイクロポーラス層を形成した燃料電池用ガス拡散電極基材が提案されている(特許文献1)。
また、炭素シートにマイクロポーラス層の塗料を流し込み、熱処理することで、炭素シートの全面または一部にマイクロポーラス層を形成したガス拡散電極基材や(特許文献2)、炭素シートの内部に浸み込んだマクロポーラス層の先端が炭素シートの厚みの大部分に達するガス拡散電極基材(特許文献3)が提案されている。
また、炭素繊維と有機繊維をマイクロポーラス層を構成する材料と混合した塗料から、ガス拡散層を形成することが提案されている(特許文献4)。
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、大孔部の厚みが大きく、大孔部で生成水が大きな液滴として凝集してしまうため、発電性能が低下するという問題が残されている。また、特許文献2に記載の発明においては、炭素シートの厚みが厚くガス拡散性が高電流密度領域で発電するためには不十分である上、大孔部の厚みの定量的な範囲は明らかになっていない。また、特許文献3に記載の発明においては、炭素シートの厚みの大部分の深さまで浸み込んだ部分以外の炭素シートは、大孔径を有するため生成が大きな液滴として凝集してしまうため部分的に発電性能が低下する箇所があり、発電出力が不安定になるという問題が残されている。また、特許文献4に記載の発明においては、有機繊維を混合することからガス拡散性に求められる導電性が不十分であり、また機械強度も取り扱いの上で十分ではない上、炭素繊維がガス拡散層の表面に位置することがあり、耐短絡性においても課題がある。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の背景に鑑み、従来困難であった高電流密度での発電性能低下の抑制に優れ、発電出力が安定的であり、なおかつ搬送時の破断や構造の破壊を抑制可能であり、短絡に対する耐性を有するガス拡散電極基材を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、上記ガス拡散電極基材を含む燃料電池を提供することにある。
本発明の実施形態は、以下のとおりである。
少なくとも炭素繊維を含む多孔質の炭素シート、及び、少なくとも導電性フィラーを含むマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材であって、
ガス拡散性が31.0〜35.5%であり、
前記ガス拡散電極基材を厚み方向に小孔部と大孔部とに分けた際に、大孔部の厚みが3μmより小さい、ガス拡散電極基材。
ガス拡散性が31.0〜35.5%であり、
前記ガス拡散電極基材を厚み方向に小孔部と大孔部とに分けた際に、大孔部の厚みが3μmより小さい、ガス拡散電極基材。
本発明によれば、従来困難であった高電流密度での発電性能低下の抑制に優れ、なおかつ搬送時の破断や構造の破壊を抑制可能であり、短絡に対する耐性を有するガス拡散電極基材を得ることができる。
本発明は、少なくとも炭素繊維を含む多孔質の炭素シート、及び、少なくとも導電性フィラーを含むマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材であって、ガス拡散性が31.0〜35.5%であり、前記ガス拡散電極基材を厚み方向に小孔部と大孔部とに分けた際に、大孔部の厚みが3μmより小さい、ガス拡散電極基材である。
以下、本発明のガス拡散電極基材を構成する炭素シート、ガス拡散電極基材、及び燃料電池について詳細に説明する。
[炭素シート]
本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートは、少なくとも炭素繊維を含む多孔質のものをいい、必要に応じて撥水加工することもできる。
本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートは、少なくとも炭素繊維を含む多孔質のものをいい、必要に応じて撥水加工することもできる。
また本発明において炭素シートは結着材を含んでも良い。ここで結着材とは、炭素シート中の炭素繊維以外の成分を表す。そのため結着材には、炭素繊維同士を結合させる役割を果たす材料である樹脂組成物の炭化物が含まれる。また、本発明の炭素シートに撥水材を含有させた場合には、撥水材は結着材に含まれる。
ガス拡散電極基材は、高い導電性を有し、多孔質であることが重要であるため、本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シート、つまり少なくとも炭素繊維を含む多孔質の炭素シートとしては、例えば、炭素繊維織物、カーボンペーパーおよび炭素繊維不織布などの炭素繊維を含む多孔体、および炭素繊維を含む炭素質の発泡多孔体を用いることが好ましい様態である。
中でも、炭素シートの取扱いに関わる引張強度や電解質膜の厚み方向の寸法変化を吸収する特性、すなわち「ばね性」に優れていることから、炭素シートとしては炭素繊維の抄紙体を炭化物(結着材)で結着してなるカーボンペーパーを用いることが好ましい態様である。
また、本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートは、製造コストが安価となることから、ロールトゥロールで連続的に製造することが好ましい様態である。
そして本発明の炭素シートは、厚みが30〜95μmであり、気体透過抵抗が0.5〜8.8Paであり、引張強度が5〜50N/cmであることが好ましい。
本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートの気体透過抵抗が8.8Pa以下であると、ガス拡散性が良好となり、高電流密度領域での発電特性が優れたものとなる。より好ましくは、8.0Pa以下、さらに好ましくは7.0Pa以下である。一方、炭素シートの気体透過抵抗が0.5Pa以上であると機械強度とのバランスのとれた炭素シートを得ることが出来る。
本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートの引張時の破壊特性(応力‐変位カーブ)における最大応力点である引張強度が、5N/cm以上であると、炭素シートを破断なく搬送することができる。引張強度は好ましくは、10N/cm以上であり、より好ましくは15N/cm以上である。10N/cm以上とすることで、搬送時に張力を十分にかけることができるため炭素シートのズレを抑制でき、15N/cm以上とすることで、搬送速度を上げることによる衝撃に耐えることができため、生産性が向上する。一方、炭素シートの引張強度が50N/cm以下であると気体透過抵抗とのバランスのとれた炭素シートを得ることが出来き、更に30N/cm以下であると優れた気体透過抵抗との両立が容易となる。
また、本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートは、炭素シートの引張時の破壊特性(応力‐変位カーブ)において、最大応力までの変位を元の炭素シートの長さ(60.0mm)を除して100倍した伸度の値を、最大引張強度までの伸度(%)としたとき、これが10%以下であることが好ましい。最大引張強度までの伸度が10%以下であると搬送時に炭素シートが伸び、多孔質構造が変形することを抑制できる。さらに3%以下とすると張力をかけた際に発生する縦シワの発生を良好に抑制できる。また、最大引張強度までの伸度に特に下限はないが、0.05%以上であると搬送性が良好となる。
また本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートは、後述する方法により測定される炭素シートの貫通孔に関して、炭素シートの面積を100%とすると、当該炭素シート中の貫通孔の合計の面積が7〜40%であることが好ましい。生成水が排出される際に、炭素シートを貫通する孔を有すると排水が速やかに行われる。炭素シート中の貫通孔の合計の面積が7%以上であると、耐フラッディング性が良好となり、14%以上であると特に顕著となる。また、炭素シート中の貫通孔の合計の面積が40%以下であると、機械特性とのバランスに優れたものとなる。貫通孔は、炭素シートを構成する材料を適切に選定することで形成する方法や、炭素シートに機械的に孔を形成する方法などが挙げられるが、炭素シートを構成する材料を適切に選定することで形成する方法が機械特性に優れ好ましい。つまり、炭素シートの孔径の分布において、特定の孔径が独立して存在しているのではなく、連続的な分布を有することが好ましい。耐フラッディング性とは、比較的低温または高電流密度領域において作動させる場合、発電により大量に生成する液水によりガス拡散電極基材が閉塞し、燃料ガスの供給が不足する結果、発電性能が低下する現象を抑制することをいう。
また本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートは、後述する方法により測定される炭素シートの貫通孔に関して、25μm以上の孔径を有する貫通孔を5個/mm2以上有することが好ましい。25μm以上の孔径を有する貫通孔が5個/mm2以上であると耐フラッディング性が良好となり、15個/mm2以上であると特に顕著となるので、25μm以上の孔径を有する貫通孔は15個/mm2以上であることがより好ましい。また、25μm以上の孔径を有する貫通孔の数に特に上限はないが、500個/mm2以下であると機械特性とのバランスに優れたものとなる。
また、本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートは、厚みが30μm以上95μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは40〜85μmである。炭素シートの厚みが95μm以下と薄いことによりガスの拡散性が大きくなり、また生成水も排出されやすくなる。さらに、燃料電池全体としてサイズも小さくなるため好ましい。一方、炭素シートの厚みは30μm以上であることが好ましい。30μm以上であると、厚みあたりの炭素繊維数が十分となり炭素シートの巻回体として搬送できるようになるためである。
30μm以上95μm以下の厚みを有する炭素シートは、後述する炭素シートの製法において説明するように、炭素繊維の目付、炭素繊維に対する樹脂成分の付着量、および、予備含浸体の加熱加圧工後の厚み、加熱加圧方法を制御することにより得られる。
本発明において、ガス拡散電極基材に用いる炭素シートの密度は0.20〜0.40g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.22〜0.35g/cm3である。密度が0.20g/cm3以上であると、炭素シートの機械特性が向上し、電解質膜と触媒層を十分に支えることができ、加えて、導電性が高く発電性能が向上する。一方、密度が0.40g/cm3以下であると排水性が向上し、フラッディングを抑制することができる。
0.20〜0.40g/cm3の密度を有する炭素シートは、後述する炭素シートの製法において説明するように、炭素繊維の目付、炭素繊維に対する樹脂成分の付着量、および、炭素シートの厚みを制御することにより得られる。ここで、炭素シートの密度は、電子天秤を用いて秤量した炭素シートの目付(単位面積当たりの質量)を、面圧0.15MPaで加圧した際の炭素シートの厚みで除して求めることができる。本発明において、結着材は炭素繊維同士を結着させる役割を果たす材料であり、樹脂組成物またはその炭化物が用いられる。
次に、本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートを製造するに好適な方法を以下、炭素繊維抄紙体を多孔体として用いるカーボンペーパーを代表例に具体的に説明する。
<多孔体>
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系およびレーヨン系などの炭素繊維が挙げられる。中でも、機械強度に優れていることから、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維が、本発明において好ましく用いられる。また、後述の炭化工程により炭素繊維となる耐炎糸を用いても良い。
本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シート及びそれを得るために用いる抄紙体などの多孔体中の炭素繊維は、単繊維の平均直径が3〜20μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜10μmの範囲内である。単繊維の平均直径が3μm以上であると、細孔の径が大きくなり排水性が向上し、フラッディングを抑制することができる。一方、単繊維の平均直径が20μm以下であると、後述の好ましい炭素シートの厚み範囲に制御することが容易となるため好ましい。
本発明で用いられる炭素繊維は、単繊維の平均長さが3〜20mmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5〜15mmの範囲内である。単繊維の平均長さが3mm以上であると、炭素シートが機械強度、導電性および熱伝導性が優れたものとなる。一方、単繊維の平均長さが20mm以下であると、抄紙の際の炭素繊維の分散性に優れ、均質な炭素シートが得られる。
多孔体中の繊維状物質として炭素繊維以外の繊維状物質の量を極力減らす、好ましくは多孔体中の繊維状物質を炭素繊維のみとすることで、得られる炭素シートに25μm以上の孔径を有する貫通孔を形成し易くなるので好ましい。
また、本発明の炭素繊維を含む多孔体には、パルプや合繊繊維などを含んでもよく、木材パルプ、バガスパルプ、ワラパルプなどの天然パルプを含むと、貫通孔の形成を阻害し易いものの引張特性が良好となる。
炭素繊維における単繊維の平均直径や平均長さは、通常、原料となる炭素繊維についてその炭素繊維を直接観察して測定されるが、炭素シートを観察して測定することもできる。
炭素シートを得るために用いる多孔体の一形態である、抄紙により形成された炭素繊維抄紙体は、面内の導電性と熱伝導性を等方的に保つという目的で、炭素繊維が二次元平面内にランダムに分散したシート状であることが好ましい。炭素繊維抄紙体を得る際の炭素繊維の抄紙は、一回のみ行なっても、複数回積層して行なうこともできる。
<樹脂組成物の含浸>
本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートを得る際においては、炭素繊維抄紙体などの炭素繊維を含む多孔体に結着材となる樹脂組成物が含浸される。
本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートを得る際においては、炭素繊維抄紙体などの炭素繊維を含む多孔体に結着材となる樹脂組成物が含浸される。
本発明において、炭素繊維を含む多孔体に結着材となる樹脂組成物を含浸する方法としては、樹脂組成物を含む溶液中に多孔体を浸漬する方法、樹脂組成物を含む溶液を多孔体に塗布する方法、および樹脂組成物からなるフィルムに多孔体を積層し貼り合わせる方法などが用いられる。中でも、生産性が優れることから、樹脂組成物を含む溶液中に多孔体を浸漬する方法が特に好ましく用いられる。なお、炭素繊維を含む多孔体に、結着材となる樹脂組成物を含浸したものを「予備含浸体」と記載する。
樹脂組成物は、樹脂成分からなるが、必要に応じて添加剤を添加してもよい。
予備含浸体を製造する際に用いる樹脂組成物は、焼成時に炭化して導電性の炭化物である結着材となる樹脂組成物が好ましく、必要に応じて炭素粉末や界面活性剤などの添加物を含むものである。
予備含浸体を製造する際に用いる樹脂組成物中の樹脂成分としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂およびフラン樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。中でも、炭化収率が高いことから、フェノール樹脂が好ましく用いられる。
また、樹脂組成物に必要に応じて添加する添加物としては、炭素シートの機械特性、導電性および熱伝導性を向上させる目的で、炭素粉末を用いることができる。ここで、炭素粉末としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラック、燐片状黒鉛、燐状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など薄片グラファイトなどのグラファイト、カーボンナノチューブ、線状カーボン、炭素繊維のミルドファイバーなどを用いることができる。
予備含浸体を製造する際に用いる樹脂組成物は、前述の構成により得られた樹脂組成物をそのまま使用することもできるし、必要に応じて、炭素繊維抄紙体などの多孔体への含浸性を高める目的で、各種溶媒を含むことができる。ここで、溶媒としては、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどを用いることができる。
含浸する際には、予備含浸体中の炭素繊維100質量部に対して、樹脂成分が30〜400質量部となるように樹脂組成物を含浸することが好ましく、50〜300質量部となるように含浸することがより好ましい態様である。予備含浸体中の炭素繊維100質量部に対して、樹脂組成物が30質量部以上であると、炭素シートが機械特性、導電性および熱伝導性の優れたものとなる。一方、予備含浸体中の炭素繊維100質量部に対して、樹脂組成が400質量部以下であると、炭素シートの厚み方向のガス拡散性の優れたものとなり、200質量部以下であると炭素シートの貫通孔の面積が増加するためより好ましい。
<貼り合わせと加熱加圧>
本発明においては、炭素繊維抄紙体などの多孔体に樹脂組成物を含浸した予備含浸体を形成した後、炭化を行うに先立って、予備含浸体を貼り合わせたり予備含浸体に熱処理を行うことができる。ここで加熱加圧工程を行うに際しては、樹脂組成物を含まない多孔体に対して加熱加圧処理しても良い。
本発明において、炭素シートを所定の厚みにする目的で、予備含浸体を複数枚貼り合わせることができる。この場合、同一の性状を有する予備含浸体を複数枚貼り合わせることもできるし、異なる性状を有する複数枚の予備含浸体を貼り合わせることもできる。具体的には、炭素繊維の単繊維の平均直径や平均長さ、予備含浸体を得る際に用いる炭素繊維抄紙体などの多孔体の炭素繊維の目付、および樹脂成分の含浸量などが異なる複数の予備含浸体を貼り合わせることもできる。
一方、貼り合わせることにより一枚当りの予備含浸体の強度が低下することから、本発明では炭素繊維抄紙体などの多孔体を貼り合わせずに一枚のみで用い、これに対し加熱加圧処理を行なうことが望ましい。
予備含浸体を加熱加圧することで、予備含浸体中の樹脂組成物を増粘および部分的に架橋し、炭素シートを目的の厚み、密度に調整することができる。加熱加圧においては、予備含浸体中の樹脂組成分の増粘、架橋を進める目的で、熱風などで追加の加熱処理を加えてもよい。加熱加圧する方法としては、加熱された熱板やロール、ベルトで加圧する方法を用いることができる。この加熱加圧装置の前後に巻き出し、巻き取り装置を設けることで、連続的に予備含浸体を加熱加圧することができる。
予備含浸体を連続的に加熱加圧するためには、巻き出し張力を外部より付与し、予備含浸体にシワが発生しないよう処理するのが一般的である。本発明の炭素シートの製造方法においては、加熱加圧工程における巻き出し張力が0.05N/cm以下であることが好ましい。ここで、外部より予備含浸体に付与される張力を外部張力とすると、この外部張力と予備含浸体の自重により生じる張力とを合わせたものが巻き出し張力である。
さらに本発明の炭素シートの予備含浸体に対して外部張力を付与し加熱加圧すると、炭素繊維を接着する樹脂組成分が溶融した時に炭素繊維が引き抜け、破断が発生することがある。例えばダブルベルトプレスを用いた場合、ベルトで挟まれた部分はほとんど張力がかからず、ベルト内の予備含浸体は破断しないものの、外部張力がかかっているとベルトで加圧される直前のベルトから予熱を受ける部分で予備含浸体が破断する。また、間欠的に搬送しながら互いに平行な熱板で加熱加圧する方法を用いると、加圧される直前の熱板から予熱を受ける部分のみならず、熱板中でも破断が生じる。しかしながら、加熱加圧工程における巻き出し張力について、外部張力をゼロとし、予備含浸体の自重による張力を0.05N/cm以下とすると、予備含浸体を破断なく連続的に加熱加圧することができるためより好ましい。予備含浸体の自重による張力はより好ましくは0.02N/cm以下とすることで、より炭素繊維の引き抜けが生じ易い予備含浸体を、破断なく連続的に加熱加圧することができる。予備含浸体の外部張力をゼロとする方法としては特に限定されないが、加熱加圧装置入り口側で予備含体をレーザーセンサーを用いて検知しながら一定の弛み量になるまで巻き出す方法、間欠的に搬送しながら互いに平行な熱板で加熱加圧する場合において、間欠的に搬送するための引取り装置を熱板の前後に設置し、予備含浸体を同時にニップし連動して引取ることで破断が生じる箇所にかかる外部張力を実質的にゼロとする方法、ダブルベルトプレスやロールプレスにおいて、加熱加圧するプレス装置の直前にそれと連動する冷却ダブルプレスやロールプレスを設置し加熱加圧することで、破断が生じる箇所にかかる外部張力を実質的にゼロとする方法が挙げられる。また、本発明の炭素シートの予備含浸体を加熱加圧の方法は、間欠的に搬送しながら互いに平行な熱板で加熱加圧する方法を用いると平滑性に優れた炭素シートを得ることができ好ましい。
つまり本発明のガス拡散電極基材に用いる炭素シートを製造するに際しては、長尺の予備含浸体を加熱加圧する工程(以下、加熱加圧工程という)を有する製造方法が好ましく、加熱加圧工程においては巻き出し張力を0.05N/cm以下として製造することが好ましい。さらに加熱加圧工程においては、予備含浸体を、間欠的に搬送しながら互いに平行な熱板で加熱加圧することが好ましい。後述する通り、長尺とは10m以上を意味する。
<炭化>
本発明において、炭素繊維抄紙体などの多孔体に樹脂組成物を含浸して予備含浸体とした後、樹脂組成物を炭化するために、不活性雰囲気下で焼成を行う。この焼成は、バッチ式の加熱炉を用いることもできるし、連続式の加熱炉を用いることもできる。
焼成の最高温度は1300〜3000℃の範囲内であることが好ましい。最高温度が1300℃以上であると、予備含浸体中の樹脂成分の炭化が進み、炭素シートが導電性と熱伝導性に優れたものとなる。一方、最高温度が3000℃以下であると、加熱炉の運転コストが低くなる。
本発明において、炭素繊維抄紙体などの多孔体に樹脂組成物を含浸した後、炭化したものを、「炭素繊維焼成体」と記載することがある。つまり炭素シートとは、炭素繊維焼成体を意味し、撥水加工がされる前の炭素繊維焼成体も、撥水加工がされた後の炭素繊維焼成体も、いずれも炭素シートに該当する。
<撥水加工>
本発明において、排水性を向上させる目的で、炭素繊維焼成体に撥水加工を施してもよい。施すことが好ましい。撥水加工は、炭素繊維焼成体に撥水材を塗布し熱処理することにより行うことができる。なお、撥水加工することにより、結着材として撥水材を含む炭素シートとすることができる。
本発明において、排水性を向上させる目的で、炭素繊維焼成体に撥水加工を施してもよい。施すことが好ましい。撥水加工は、炭素繊維焼成体に撥水材を塗布し熱処理することにより行うことができる。なお、撥水加工することにより、結着材として撥水材を含む炭素シートとすることができる。
ここで、撥水材としては、耐腐食性が優れることから、フッ素系のポリマーを用いることが好ましい。フッ素系のポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
撥水加工の際の撥水材の塗布量は、炭素繊維焼成体100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜40質量部である。撥水材の塗布量が、炭素繊維焼成体100質量部に対して1質量部以上であると、炭素シートが排水性に優れたものとなる。一方、撥水材の塗布量が、炭素繊維焼成体100質量部に対して50質量部以下であると、炭素シートが導電性の優れたものとなる。
[ガス拡散電極基材]
次に、本発明のガス拡散電極基材について説明する。
次に、本発明のガス拡散電極基材について説明する。
本発明のガス拡散電極基材は、炭素シート及び後述する少なくとも導電性フィラーを含むマイクロポーラス層を有するものであり、ガス拡散電極基材を厚み方向に小孔部と大孔部に分けた際に、大孔部の厚みが3μmより小さく調整されている。
ここで小孔部とは、マイクロポーラス層、並びに、炭素シートを内包したマイクロポーラス層からなる領域である。一方で大孔部とは、炭素シートからなる領域であり、マイクロポーラス層を含まない領域である。これは、マイクロポーラス層が小さな孔径の孔を多数有する層であり、炭素シートが大きな孔径の孔を多数有する部分であり、また炭素シートを内包したマイクロポーラス層が、炭素シート中の大きな孔径の孔がマイクロポーラス層によって消失しているため、小さな孔径の孔を多数有する部分であることに由来する。また、マイクロポーラス層を構成する材料が炭素シートの炭素繊維に部分的に付着していても、後述する小孔部と大孔部の厚みの測定で大孔部に判定される付着状態であれば、炭素シート中の大きな孔径の孔がマイクロポーラス層によって消失しておらず実質的に大孔径を有する領域であるため、大孔部と見なすことができる。
本発明のガス拡散電極基材は、大孔部の厚みが3μmより小さいことが好ましく、より好ましくは1.5μm以下であり、0μmであることが最も好ましい。ここで、大孔部の厚みが0μmであるとは、大孔部を有さないことを意味し、これはつまり、炭素シートのみからなる領域を有さず、存在する炭素シートはマイクロポーラス層により覆われていることを意味する。発電時に触媒層からガス拡散電極基材に拡散した生成水の水蒸気は、一般に大孔部で液滴に成長し、ガス拡散性を阻害する。大孔部の厚みが3μmより小さいと、大孔部で形成する生成水の液滴サイズが小さくなり、発電性能の低下を抑制でき、1.5μm以下であるとその効果は顕著となる。さらに、0μmであると、ガス拡散層内部では小孔部の孔サイズ以上に液滴が凝集せず、水蒸気のまま生成水をセパレータに排出できる。尚、ガス拡散層内部に大孔部の空隙が存在すると、その空隙内で液滴が凝集し、ガスの拡散を阻害するため、マイクロポーラス層は、マイクロポーラス層を形成した表面から小孔部と大孔部の界面まで連続的に形成されていることが好ましい。
また、本発明のガス電極基材は、厚みが33〜140μmであることが好ましく、より好ましくは40〜115μmである。
厚みが33μm以上であると、ガス拡散電極基材として取扱いが容易となり、45μm以上であると発電時の電解質膜の膨潤収縮をクッションするバネ性が向上する。一方、ガス拡散電極基材の厚みが140μm以下であると厚み方向のガス拡散性が良好となり発電性能が向上し、115μm以下であると高電流密度領域が大量に発生する生成水を良好に排水することができ、発電性能を維持できる。
本発明のガス拡散電極基材は、ガス拡散性が31.0〜35.5%であることが好ましい。本発明のガス拡散電極基材のガス拡散性が31.0%以上であると、ガス拡散性が良好となり、高電流密度領域での発電特性が優れたものとなる。より好ましくは、32.0%以上、さらに好ましくは33.0%以上である。一方、ガス拡散電極基材のガス拡散性が35.5%以下であると機械強度とのバランスのとれたガス拡散電極基材を得ることが出来る。
<マイクロポーラス層の形成>
次に、本発明のガス拡散電極基材の構成要素の一つであるマイクロポーラス層について説明する。
マイクロポーラス層の目付は特に限定されないが、10〜50g/m2の範囲内であることが好ましく、より好ましくは30g/m2以下であり、さらに好ましくは25g/m2以下である。また、目付は14g/m2以上であることがより好ましく、さらに好ましくは16g/m2以上である。
マイクロポーラス層の目付が10g/m2以上であると、炭素シートの一方の表面をマイクロポーラス層によって覆うことができ、生成水の逆拡散がより促進され、ドライアップをより抑制することができる。また、マイクロポーラス層の目付が50g/m2以下であると、排水性がより向上し、フラッディングをより抑制することができる。なおドライアップとは、比較的高い温度で作動させる場合、水蒸気拡散により電解質膜が乾燥し、プロトン伝導性が低下する現象のことをいう。
本発明のガス拡散電極基材は、ガス拡散電極基材の少なくとも片面側に小孔部を有し、炭素シートを内包したマイクロポーラス層の厚みを除いた該小孔部の厚みが10〜40μmであることが好ましい。つまり本発明のガス拡散電極基材は、小孔部の内、炭素シートが内包されていない領域(炭素シートを内包しない小孔部)の厚みが10〜40μmであり、この領域がガス拡散電極基材の少なくとも片面側に存在することが好ましい。小孔部の内、炭素シートが内包されていない領域の厚みが10μm以上であると、炭素シートを構成する炭素繊維が発電時に電解質膜を突き破る短絡現象の発生を抑制できる。一方、小孔部の内、炭素シートが内包されていない領域の厚みが40μm以下であるとガス拡散性の低下を抑制できる。なお前述のとおり本発明では、炭素シートを内包したマイクロポーラス層の厚みを除いた小孔部の厚みが10〜40μmであることが好ましいが、このような態様としては、1)炭素シート中にマイクロポーラス層が全く染み込んでいない、つまり、炭素シートを内包したマイクロポーラス層を有さないガス拡散電極基材、2)炭素シートを内包しないマイクロポーラス層並びに炭素シートを内包したマイクロポーラス層の両方を有するガス拡散電極基材、があるが、好ましくは後者である。
本発明のガス拡散電極基材において、生成水の排出がより良好になることから、マイクロポーラス層を構成する材料が炭素シート部に付着していても良い。また、マイクロポーラス層を形成する表面と反対のガス拡散電極基材の表面の全ての炭素繊維に大孔を閉塞しない範囲でマイクロポーラス層を構成する材料が付着していることがより好ましく、マイクロポーラス層を形成する表面と反対のガス拡散電極基材の表面をセパレータ側に配置し発電した時に、ガス拡散電極基材を通し排出された生成水の液滴がガス拡散電極基材の表面から除去されやすくなる。マイクロポーラス層を形成する表面と反対のガス拡散電極基材の表面の炭素繊維にマイクロポーラス層を構成する材料が付着していることは、マイクロポーラス層を構成する導電性フィラーの形状および組成により判定できる。
本発明において、マイクロポーラス層は、導電性フィラーを含むことが好ましい。導電性フィラーとしては、炭素粉末が好ましい。炭素粉末としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラックや、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、および薄片グラファイトなどのグラファイト、カーボンナノチューブ、線状カーボン、炭素繊維のミルドファイバーなどが挙げられる。それらの中でもフィラーである炭素粉末としては、カーボンブラックがより好ましく用いられ、不純物が少ないことからアセチレンブラックが好ましく用いられる。
本発明において、排水を促進するとの観点から、マイクロポーラス層には撥水材を含むことが好ましい態様である。中でも、耐腐食性に優れていることから、撥水材としてはフッ素系のポリマーを用いることが好ましい。フッ素系のポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
マイクロポーラス層は、炭素シートの少なくとも片面に、前述の導電性フィラーを含む塗液(フィラー含有塗液)を塗布することによって形成することができる。
フィラー含有塗液は、水や有機溶媒などの分散媒を含んでも良く、界面活性剤などの分散助剤を含有させることもできる。分散媒としては水が好ましく、分散助剤にはノニオン性の界面活性剤を用いることが好ましい。また、前記したような、各種炭素粉末などの導電性フィラーや撥水材を含有させることもできる。
フィラー含有塗液の炭素シートへの塗工は、市販されている各種の塗工装置を用いて行うことができる。塗工方式としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、スプレー噴霧、凹版印刷、グラビア印刷、ダイ塗工、バー塗工、ロール塗工、ナイフ塗工、およびブレード塗工などの塗工方式を使用することができる。上に例示した塗工方法はあくまでも例示であり、必ずしもこれらに限定されるものではない。
フィラー含有塗液の炭素シートへの塗工後、80〜180℃の温度で塗液を乾かすことが好ましい。すなわち、塗工物を、80〜180℃の温度に設定した乾燥器に投入し、5〜30分の範囲で乾燥する。乾燥風量は適宜決めることができるが、急激な乾燥は、表面の微小クラックを誘発する場合がある。塗工物を乾燥した後、マッフル炉や焼成炉または高温型の乾燥機に投入し、好ましくは300〜380度の温度で5〜20分間加熱して、撥水材を溶融し、炭素粉末などの導電性フィラー同士のバインダーにしてマイクロポーラス層を形成することが好ましい。
本発明のガス拡散電極基材を構成する炭素シートの物性は、先ず、ガス拡散電極基材を空気雰囲気下400℃で2時間処理し、次いでメタノールなどのアルコール中で超音波洗浄した後に風乾して得た炭素シートを評価して求めることができる。
本発明のガス拡散電極基材は長尺であることが好ましい。さらに本発明のガス拡散電極基材は、長尺のガス拡散電極基材を巻いたものであることが好ましい。ここで長尺とは10m以上を意味する。なお、長さに上限は特にないが、長すぎると重くなりすぎてしまうことがあるため、1000m以下であることが好ましい。炭素シートやガス拡散電極基材を長尺とすることで、燃料電池セルとする際の工程を連続化でき、製造コストが安価となるため好ましい。
[膜電極接合体]
本発明において、前記したガス拡散電極基材を、両面に触媒層を有する固体高分子電解質膜の少なくとも片面に接合することにより、膜電極接合体を形成することができる。その際、触媒層側にガス拡散電極基材のマイクロポーラス層を配置することにより、より生成水の逆拡散が起こりやすくなることに加え、触媒層とガス拡散電極基材の接触面積が増大し、接触電気抵抗を低減させることができる。
本発明において、前記したガス拡散電極基材を、両面に触媒層を有する固体高分子電解質膜の少なくとも片面に接合することにより、膜電極接合体を形成することができる。その際、触媒層側にガス拡散電極基材のマイクロポーラス層を配置することにより、より生成水の逆拡散が起こりやすくなることに加え、触媒層とガス拡散電極基材の接触面積が増大し、接触電気抵抗を低減させることができる。
[燃料電池]
本発明の燃料電池は、本発明のガス拡散電極基材を含むものである。つまり本発明の燃料電池は、上述の膜電極接合体の両側にセパレータを有するものである。すなわち、上述の膜電極接合体の両側にセパレータを配することにより燃料電池を構成する。通常、このような膜電極接合体の両側にガスケットを介してセパレータで挟んだものを複数個積層することによって固体高分子型燃料電池を構成する。触媒層は、固体高分子電解質と触媒担持炭素を含む層からなる。触媒としては、通常、白金が用いられる。アノード側に一酸化炭素を含む改質ガスが供給される燃料電池にあっては、アノード側の触媒としては白金およびルテニウムを用いることが好ましい。固体高分子電解質は、プロトン伝導性、耐酸化性および耐熱性の高い、パーフルオロスルホン酸系の高分子材料を用いることが好ましい。このような燃料電池ユニットや燃料電池の構成自体は、よく知られているところである。
本発明の燃料電池は、本発明のガス拡散電極基材を含むものである。つまり本発明の燃料電池は、上述の膜電極接合体の両側にセパレータを有するものである。すなわち、上述の膜電極接合体の両側にセパレータを配することにより燃料電池を構成する。通常、このような膜電極接合体の両側にガスケットを介してセパレータで挟んだものを複数個積層することによって固体高分子型燃料電池を構成する。触媒層は、固体高分子電解質と触媒担持炭素を含む層からなる。触媒としては、通常、白金が用いられる。アノード側に一酸化炭素を含む改質ガスが供給される燃料電池にあっては、アノード側の触媒としては白金およびルテニウムを用いることが好ましい。固体高分子電解質は、プロトン伝導性、耐酸化性および耐熱性の高い、パーフルオロスルホン酸系の高分子材料を用いることが好ましい。このような燃料電池ユニットや燃料電池の構成自体は、よく知られているところである。
次に、実施例によって、本発明のガス拡散電極基材について具体的に説明する。実施例で用いた材料、炭素シートおよびガス拡散電極基材の作製方法と燃料電池の電池性能評価方法を、次に示した。
<炭素シートの作製>
・厚み95μmの炭素シートの作製
東レ(株)製ポリアクリルニトリル系炭素繊維“トレカ”(登録商標)T300(単繊維の平均直径:7μm)を短繊維の平均長さ12mmにカットし、水中に分散させて湿式抄紙法により連続的に抄紙した。さらに、バインダーとしてポリビニルアルコールの10質量%水溶液を当該抄紙に塗布して乾燥させ、炭素繊維の目付が20.0g/m2の炭素繊維抄紙体を作製した。ポリビニルアルコールの塗布量は、炭素繊維抄紙体100質量部に対して22質量部であった。
・厚み95μmの炭素シートの作製
東レ(株)製ポリアクリルニトリル系炭素繊維“トレカ”(登録商標)T300(単繊維の平均直径:7μm)を短繊維の平均長さ12mmにカットし、水中に分散させて湿式抄紙法により連続的に抄紙した。さらに、バインダーとしてポリビニルアルコールの10質量%水溶液を当該抄紙に塗布して乾燥させ、炭素繊維の目付が20.0g/m2の炭素繊維抄紙体を作製した。ポリビニルアルコールの塗布量は、炭素繊維抄紙体100質量部に対して22質量部であった。
次に、熱硬化性樹脂としてレゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂を1:1の質量比で混合した樹脂組成物と、炭素粉末として鱗片状黒鉛(平均粒径5μm)と、溶媒としてメタノールを用い、熱硬化性樹脂/炭素粉末/溶媒=10質量部/5質量部/85質量部の配合比でこれらを混合し、超音波分散装置を用いて1分間撹拌を行い、均一に分散した樹脂組成物を得た。
次に、長尺の炭素繊維抄紙体をバットに満たした樹脂組成物の含浸液に連続的に浸漬し、ロールで挟んで絞り含浸させた。その後、100℃の温度で5分間加熱して乾燥させ、予備含浸体を作製した。次に、欠的に搬送しながら互いに平行な熱板で加熱加圧する加熱された熱板の加熱加圧装置の前後に巻き出し、巻き取り装置を設け、連続的に予備含浸体を180℃の温度で合計5分間加熱加圧処理を行った。加圧の際に平板プレスにスペーサーを配置して、熱処理後の予備含浸体の厚みが105μmになるように、上下プレス面板の間隔を調整し、外部張力はゼロとし、この予備含浸体にかかる巻き出し張力は予備含浸体自体の重さによる0.005N/cmであった。
この予備含浸体を熱処理した基材を、加熱炉において、窒素ガス雰囲気に保たれた最高温度が2400℃の加熱炉に導入し、長尺の炭素繊維焼成体からなる炭素シートを得た。
上記にて作製した炭素シートを15cm×12.5cmにカットし、PTFE樹脂の水分散液(“ポリフロン”(登録商標)PTFEディスパージョンD−201C(ダイキン工業(株)製)ないしはFEP樹脂(“ネオフロン”(登録商標)FEPディスパージョンND−110(ダイキン工業(株)製))の水分散液に浸漬することにより、炭素繊維焼成体に撥水材を含浸した。その後、温度が100℃の乾燥機炉内で5分間加熱し乾燥し、撥水材が均一に付着するように撥水加工された炭素シートを作製した。なお、乾燥する際は、炭素シートを垂直に配置し、1分毎に上下方向を変更した。また、撥水材の水分散液は、乾燥後で炭素シート95質量部に対し、撥水材が5質量部付与されるように適切な濃度に希釈して使用した。
<ガス拡散電極基材の作製>
[材料]
・炭素粉末:アセチレンブラック:“デンカ ブラック”(登録商標)(電気化学工業(株)製)7.0g。
・撥水材:PTFE樹脂(PTFE樹脂を60質量部含む水分散液である“ポリフロン”(登録商標)PTFEディスパージョンD−1E(ダイキン工業(株)製)を使用)2.5g。PTFE樹脂の水分散液の配合量ではなく、PTFE樹脂自体の配合量を表す。
・界面活性剤“TRITON”(登録商標)X−100(ナカライテスク(株)製)14.0g。
・精製水75.8g。
上記の各材料を分散機を用いて混合し、フィラー含有塗液を形成した。このフィラー含有塗液をスリットダイコーターを用いて、撥水加工された炭素シートの一方の表面上に面状に塗布した後、120℃の温度で10分間、続いて380℃の温度で10分間加熱した。このようにして、撥水加工された炭素シート上にマイクロポーラス層を形成して、ガス拡散電極基材を作製した。
<発電特性の評価>
白金担持炭素(田中貴金属工業(株)製、白金担持量:50質量%)1.00gと、精製水1.00g、“Nafion”(登録商標)溶液(Aldrich社製“Nafion”(登録商標)5.0質量%)8.00gと、イソプロピルアルコール(ナカライテスク社製)18.00gとを順に加えることにより、触媒液を作製した。
次に、5cm×5cmにカットした“ナフロン”(登録商標)PTFEテープ“TOMBO”(登録商標)No.9001(ニチアス(株)製)に、触媒液をスプレーで塗布し、常温で乾燥させ、白金量が0.3mg/cm2の触媒層付きPTFEシートを作製した。続いて、8cm×8cmにカットした固体高分子電解質膜“Nafion”(登録商標)NRE−211CS(DuPont社製)を、2枚の触媒層付きPTFEシートで挟み、平板プレスで5MPaに加圧しながら130℃の温度で5分間プレスし、固体高分子電解質膜に触媒層を転写した。プレス後、PTFEシートを剥がし、触媒層付き固体高分子電解質膜を作製した。
次に、触媒層付き固体高分子電解質膜を、5cm×5cmにカットした2枚のガス拡散電極基材で挟み、平板プレスで3MPaに加圧しながら130℃の温度で5分間プレスし、膜電極接合体を作製した。ガス拡散電極基材は、マイクロポーラス層を有する面が触媒層側と接するように配置した。
得られた膜電極接合体を燃料電池評価用単セルに組み込み、電流密度を変化させた際の電圧を測定した。ここで、セパレータとしては、溝幅、リブ幅が0.6mmの平行流路型セパレータを用いた。また、アノード側には無加圧の水素を、カソード側には無加圧の空気を供給し、評価を行った。
耐フラッディング性の確認のためには、水素と空気はともに40℃の温度に設定した加湿ポットにより加湿を行った。このときの湿度は、100%であった。また、水素と空気中の酸素の利用率は、それぞれ70mol%、40mol%とした。電流密度2.0A/cm2の出力電圧を測定し、ガス拡散性及び耐フラッディング性の指標として用いた。発電特性の判定は、出力電圧0.15V以上で良好、0.25V以上で極めて良好と判定した。
<目付の測定>
炭素シートおよびガス拡散電極基材の目付は、10cm四方に切り取ったサンプルの質量を、サンプルの面積(0.01m2)で除して求めた。
炭素シートおよびガス拡散電極基材の目付は、10cm四方に切り取ったサンプルの質量を、サンプルの面積(0.01m2)で除して求めた。
<炭素シート及びガス拡散電極基材の厚みの測定>
炭素シートおよびガス拡散電極基材を平滑な定盤にのせ、圧力0.15MPaをかけた状態での測定物(炭素シート又はガス拡散電極基材)がある場合からない場合の高さの差を測定した。異なる部位にて10箇所サンプリングを行い、高さの差の測定値を平均したものを厚みとし、ガス拡散電極基材の厚みとした。
炭素シートおよびガス拡散電極基材を平滑な定盤にのせ、圧力0.15MPaをかけた状態での測定物(炭素シート又はガス拡散電極基材)がある場合からない場合の高さの差を測定した。異なる部位にて10箇所サンプリングを行い、高さの差の測定値を平均したものを厚みとし、ガス拡散電極基材の厚みとした。
<炭素シートの気体透過抵抗の評価>
炭素シートの気体透過抵抗の評価は、炭素シートの厚み方向に14cm3/cm2/secの空気を透過させたときの差圧で測定した。
炭素シートの気体透過抵抗の評価は、炭素シートの厚み方向に14cm3/cm2/secの空気を透過させたときの差圧で測定した。
<ガス拡散電極基材の厚み方向のガス拡散性>
ガス拡散電極基材の西華産業製水蒸気ガス水蒸気透過拡散評価装置(MVDP−200C)を用い、ガス拡散電極の一方(1次側)に拡散性を測定したいガスを流し、他方(2次側)に窒素ガスを流す。1次側と2次側の差圧を0Pa近傍(0±3Pa)に制御しておき、2次側のガス濃度計により、平衡に達したときのガス濃度を測定し、この値(%)を厚み方向のガス拡散性とした。
ガス拡散電極基材の西華産業製水蒸気ガス水蒸気透過拡散評価装置(MVDP−200C)を用い、ガス拡散電極の一方(1次側)に拡散性を測定したいガスを流し、他方(2次側)に窒素ガスを流す。1次側と2次側の差圧を0Pa近傍(0±3Pa)に制御しておき、2次側のガス濃度計により、平衡に達したときのガス濃度を測定し、この値(%)を厚み方向のガス拡散性とした。
<炭素シートの引張特性(引張強度、伸度)の測定>
(株)島津製作所製“オートグラフ”(登録商標)AGS−Xの引張試験モードを用い、炭素シートの引張特性を測定した。引張試験機に60.0cmの間隔で取り付けられた上下2つの試料取り付け冶具に15cm×1.5cmのサイズで切り抜いた炭素シートを取り付ける。炭素シートを10mm/分の速度で引張り、破断までの応力‐変位カーブを得る。このカーブにおける最大応力を炭素シートの引張強度(N/cm)とし、そこまでの変位を元の炭素シートの長さ(60.0mm)を除して100倍した伸度の値を最大引張強度までの伸度(%)とし、5回測定し、その平均値を用いた。
(株)島津製作所製“オートグラフ”(登録商標)AGS−Xの引張試験モードを用い、炭素シートの引張特性を測定した。引張試験機に60.0cmの間隔で取り付けられた上下2つの試料取り付け冶具に15cm×1.5cmのサイズで切り抜いた炭素シートを取り付ける。炭素シートを10mm/分の速度で引張り、破断までの応力‐変位カーブを得る。このカーブにおける最大応力を炭素シートの引張強度(N/cm)とし、そこまでの変位を元の炭素シートの長さ(60.0mm)を除して100倍した伸度の値を最大引張強度までの伸度(%)とし、5回測定し、その平均値を用いた。
<炭素シートの貫通孔の合計の面積、及び25μm以上の孔径を有する貫通孔の数の測定方法>
炭素シートの貫通孔の面積及び数は、光学顕微鏡観察において炭素シートの表面を50倍に拡大して写真撮影することで得られる。写真撮影の際は、透過照明を用い、写真撮影する。取得した画像を、画像処理プログラムである「J−trim」を用い、輝度で明るさの最大と最小で256段階にて区切り、最小から128階調段階の部分を閾値として二値化を行なう。全体の面積中の、二値化された明るい側の面積の割合が、貫通孔の合計の面積である。
炭素シートの貫通孔の面積及び数は、光学顕微鏡観察において炭素シートの表面を50倍に拡大して写真撮影することで得られる。写真撮影の際は、透過照明を用い、写真撮影する。取得した画像を、画像処理プログラムである「J−trim」を用い、輝度で明るさの最大と最小で256段階にて区切り、最小から128階調段階の部分を閾値として二値化を行なう。全体の面積中の、二値化された明るい側の面積の割合が、貫通孔の合計の面積である。
さらにこの画像を画像処理プログラムである「ImageJ」を用い、パーティクル分析コマンド「Analyze particle」を実行することで、炭素シートの貫通孔の数と各貫通孔の面積を自動的に算出した。
いずれも測定に用いる光学顕微鏡は、ライカ製M205Cまたは同等の装置とし、測定回数を25回、露光:20ms、ゲイン:1.0、ガンマ:1.0、透過光、照明:50%、絞り:全開にて写真撮影した。
<小孔部と大孔部の厚みの測定方法>
小孔部と大孔部の厚みの測定方法を、図1を参照しながら示す。はじめに、走査型電子顕微鏡において0.15MPaの厚みに圧縮したガス拡散電極基材の断面を写真撮影することで得た。まず、イオンミリング装置を用い、無作為にガス拡散電極基材の厚み方向の断面観察用サンプルを10個作製した。次いで、ガス拡散電極基材を平行な金属板治具の間に0.15MPaの厚みに圧縮しセットし、圧縮した断面を走査型電子顕微鏡を用いて200倍に拡大して断面画像を取得した。
小孔部と大孔部の厚みの測定方法を、図1を参照しながら示す。はじめに、走査型電子顕微鏡において0.15MPaの厚みに圧縮したガス拡散電極基材の断面を写真撮影することで得た。まず、イオンミリング装置を用い、無作為にガス拡散電極基材の厚み方向の断面観察用サンプルを10個作製した。次いで、ガス拡散電極基材を平行な金属板治具の間に0.15MPaの厚みに圧縮しセットし、圧縮した断面を走査型電子顕微鏡を用いて200倍に拡大して断面画像を取得した。
取得した画像のガス拡散電極基材(1)のマイクロポーラス層(2)側の表面を厚み測定の始点(3)として、ここからガス拡散電極基材に対して垂直な線を引き、当該垂直な線と炭素シート内の大孔部中の空隙との交点を小孔部の終点(4)として、前記点(3)から前記点(4)までの長さを(厚み測定位置における)小孔部の厚み(5)とした。ここで、炭素シートの炭素繊維がマイクロポーラス層を構成する材料に内包されている場合や接している場合には、その場所が炭素シート内であっても大孔径を有していない領域であるため、小孔部と見なした。そして、前記垂線とガス電極基材のマイクロポーラス層を形成した側とは反対側の面との交点を、厚み測定の終点(6)として、前記点(4)から前記点(6)までの長さを(厚み測定位置での)大孔部の厚み(7)とする。200倍で取得した一つの断面の画像において、同様の測定を5箇所で行い、これを10個の断面観察用サンプルにおいて行うことで、合計50箇所の小孔部と大孔部の厚みを測定、それぞれ平均した値をガス拡散電極基材の小孔部と大孔部の厚みとした。
測定に用いる走査型電子顕微鏡は、日立ハイテクノロジーズ製SU8010または同等の装置、断面観察用サンプルの作製に用いるイオンミリング装置は、日立ハイテクノロジーズ製IM4000または同等の装置を用いた。
<炭素シートを含まない小孔部の厚みの測定方法>
炭素シートを含まない小孔部の厚み、つまり炭素シートを内包したマイクロポーラス層の厚みを除いた小孔部の厚みは、走査型電子顕微鏡において0.15MPaの厚みに圧縮したガス拡散電極基材の断面を写真撮影することで得られる。まず、イオンミリング装置を用い、無作為にガス拡散電極基材の厚み方向の断面観察用サンプルを50個作製した。次いで、ガス拡散電極基材を平行な金属板治具の間に0.15MPaの厚みに圧縮しセットし、圧縮した断面を走査型電子顕微鏡を用いて200倍に拡大して断面画像を取得した。
炭素シートを含まない小孔部の厚み、つまり炭素シートを内包したマイクロポーラス層の厚みを除いた小孔部の厚みは、走査型電子顕微鏡において0.15MPaの厚みに圧縮したガス拡散電極基材の断面を写真撮影することで得られる。まず、イオンミリング装置を用い、無作為にガス拡散電極基材の厚み方向の断面観察用サンプルを50個作製した。次いで、ガス拡散電極基材を平行な金属板治具の間に0.15MPaの厚みに圧縮しセットし、圧縮した断面を走査型電子顕微鏡を用いて200倍に拡大して断面画像を取得した。
取得した画像において、ガス拡散電極基材の小孔部中のマイクロポーラス層を形成した表面と該表面から最も近い炭素繊維表面までの長さを炭素シートを含まない小孔部の厚みとする。これを50個の断面観察用サンプルにおいて行い、平均した値をガス拡散電極基材の炭素シートを含まない小孔部の厚みとした。
測定に用いる走査型電子顕微鏡は、日立ハイテクノロジーズ製SU8010または同等の装置、断面観察用サンプルの作製に用いるイオンミリング装置は、日立ハイテクノロジーズ製IM4000または同等の装置を用いた。
<マイクロポーラス層を形成した表面とは反対側の表面の炭素繊維へのマイクロポーラス層成分の付着の判定>
マイクロポーラス層を形成した表面とは反対側の表面に存在する炭素繊維へのマイクロポーラス層成分の付着の有無の判定は、走査型電子顕微鏡及び付属のEDXを用い観察することで判定できる。
マイクロポーラス層を形成した表面とは反対側の表面に存在する炭素繊維へのマイクロポーラス層成分の付着の有無の判定は、走査型電子顕微鏡及び付属のEDXを用い観察することで判定できる。
まず、無作為にガス拡散電極基材を切出し、走査型電子顕微鏡を用いて400倍に拡大してマイクロポーラス層を形成した表面とは反対側の表面における炭素繊維の画像を取得した。次いで、同じ位置から検出される特性X線をEDXを用い分析し、マイクロポーラス層の組成(例えば、炭素とフッ素)のピークを確認した。同様の観察をマイクロポーラス層を設けた表面でも実施し、マイクロポーラス層成分の形状(粒径およびアスペクト比)と組成が検出された場合を、マイクロポーラス層を形成した表面とは反対側の表面の炭素繊維にマイクロポーラス層成分が付着していると判定した。また、大孔部内部へのマイクロポーラス層成分の付着の有無も、ガス電極拡散層の断面を同様に観察することで判定できる。
測定に用いる走査型電子顕微鏡は、日立ハイテクノロジーズ製SU8010または同等の装置、EDXは、堀場製EMAXEvolution X−MAX(150mm2)または同等の装置を用い、加速電圧7kVで観察した。
(実施例1)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み95μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。結果を表1に示す。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み95μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。結果を表1に示す。
(実施例2)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み60μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、マイクロポーラス層の形成において、フィラー含有塗液の分散剤の量を実施例1より増加することで、フィラー含有塗液の粘度を高くし塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み60μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、マイクロポーラス層の形成において、フィラー含有塗液の分散剤の量を実施例1より増加することで、フィラー含有塗液の粘度を高くし塗工した。
(実施例3)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み30μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、マイクロポーラス層の形成において、フィラー含有塗液の分散剤の量を実施例2より増加することで、フィラー含有塗液の粘度を高くし塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み30μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、マイクロポーラス層の形成において、フィラー含有塗液の分散剤の量を実施例2より増加することで、フィラー含有塗液の粘度を高くし塗工した。
(実施例4)
ポリアクリロニトリルの長繊維を紡糸および水流交絡することにより不織布を作製し、ロールプレス後に150℃の温度で10分間の耐炎化処理を行い、次いで2400℃の温度の加熱炉に導入し、厚み93μmの不織布の炭素繊維焼成体からなる炭素シートを得た。結着剤(撥水材)として、固形分としてアセチレンブラックとPTFE樹脂を質量比1:1の組成を分散材と水に分散させた含浸液を作製した。この含浸液に耐炎化処理を行った不織布を含浸し加熱炉内で380℃の温度で10分間の加熱を行った。その結果、固形分量で5質量%の結着剤で結合された撥水処理済み炭素シートを得た。
ポリアクリロニトリルの長繊維を紡糸および水流交絡することにより不織布を作製し、ロールプレス後に150℃の温度で10分間の耐炎化処理を行い、次いで2400℃の温度の加熱炉に導入し、厚み93μmの不織布の炭素繊維焼成体からなる炭素シートを得た。結着剤(撥水材)として、固形分としてアセチレンブラックとPTFE樹脂を質量比1:1の組成を分散材と水に分散させた含浸液を作製した。この含浸液に耐炎化処理を行った不織布を含浸し加熱炉内で380℃の温度で10分間の加熱を行った。その結果、固形分量で5質量%の結着剤で結合された撥水処理済み炭素シートを得た。
(実施例5)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み95μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、マイクロポーラス層の形成において、焼結後のマイクロポーラス層の目付が10g/m2と22g/m2になる量の順に2回に分けてフィラー含有塗液を塗工し、10g/m2となる量のフィラー含有塗液を塗工する際は、実施例1における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を近づけて塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み95μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、マイクロポーラス層の形成において、焼結後のマイクロポーラス層の目付が10g/m2と22g/m2になる量の順に2回に分けてフィラー含有塗液を塗工し、10g/m2となる量のフィラー含有塗液を塗工する際は、実施例1における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を近づけて塗工した。
(実施例6)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み60μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、マイクロポーラス層の形成において、焼結後のマイクロポーラス層の目付が10g/m2と13g/m2になる量の順に2回に分けてフィラー含有塗液を塗工し、10g/m2となる量のフィラー含有塗液を塗工する際は、実施例2における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を近づけて塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み60μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、マイクロポーラス層の形成において、焼結後のマイクロポーラス層の目付が10g/m2と13g/m2になる量の順に2回に分けてフィラー含有塗液を塗工し、10g/m2となる量のフィラー含有塗液を塗工する際は、実施例2における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を近づけて塗工した。
(実施例7)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み30μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、マイクロポーラス層の形成において、焼結後のマイクロポーラス層の目付が10g/m2と4g/m2になる量の順に2回に分けてフィラー含有塗液を塗工し、10g/m2となる量のフィラー含有塗液を塗工する際は、実施例3における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を近づけて塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み30μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、マイクロポーラス層の形成において、焼結後のマイクロポーラス層の目付が10g/m2と4g/m2になる量の順に2回に分けてフィラー含有塗液を塗工し、10g/m2となる量のフィラー含有塗液を塗工する際は、実施例3における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を近づけて塗工した。
(比較例1)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み95μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。フィラー含有塗液を塗工する際は、実施例1における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を遠ざけて塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み95μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。フィラー含有塗液を塗工する際は、実施例1における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を遠ざけて塗工した。
(比較例2)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み60μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、フィラー含有塗液を塗工する際は、実施例2における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を遠ざけて塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み60μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、フィラー含有塗液を塗工する際は、実施例2における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を遠ざけて塗工した。
(比較例3)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み30μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、フィラー含有塗液を塗工する際は、実施例3における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を遠ざけて塗工した。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表に示す、厚み30μmからなる多孔質の炭素シートを用いたガス拡散電極基材を得た。この際、炭素繊維量と樹脂組成分の付着量を減少し、それに合わせて予備含浸体の加熱加圧厚みを減少するよう実施例1に対して変更した。また、フィラー含有塗液を塗工する際は、実施例3における塗工よりダイ口金先端と炭素シート間の距離を遠ざけて塗工した。
(比較例4)
実施例1の加熱加圧工程にて巻き出し装置より外部張力を0.1N/cm付与し加熱加圧処理した。結果、予備含浸体の巻回体は破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。尚、外部張力を0.1N/cmより下げた場合も破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。
実施例1の加熱加圧工程にて巻き出し装置より外部張力を0.1N/cm付与し加熱加圧処理した。結果、予備含浸体の巻回体は破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。尚、外部張力を0.1N/cmより下げた場合も破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。
(比較例5)
実施例2の加熱加圧工程にて巻き出し装置より外部張力を0.1N/cm付与し加熱加圧処理した。結果、予備含浸体の巻回体は破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。尚、外部張力を0.1N/cmより下げた場合も破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。
実施例2の加熱加圧工程にて巻き出し装置より外部張力を0.1N/cm付与し加熱加圧処理した。結果、予備含浸体の巻回体は破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。尚、外部張力を0.1N/cmより下げた場合も破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。
(比較例6)
実施例3の加熱加圧工程にて巻き出し装置より外部張力を0.1N/cm付与し加熱加圧処理した。結果、予備含浸体の巻回体は破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。尚、外部張力を0.1N/cmより下げた場合も破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。
実施例3の加熱加圧工程にて巻き出し装置より外部張力を0.1N/cm付与し加熱加圧処理した。結果、予備含浸体の巻回体は破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。尚、外部張力を0.1N/cmより下げた場合も破断し、連続的な炭素シートを得ることはできなかった。
なお、表において「孔面積」とは、炭素シートの面積を100%とした時の貫通孔の合計の面積を意味する。また「25μmの孔数」とは、25μm以上の孔径を有する貫通孔の数を意味する。また「200μmの孔数」とは、200μm以上の孔径の孔の数を意味する。
1:ガス拡散電極基材
2:マイクロポーラス層
3:厚み測定の始点
4:厚み測定位置での小孔部の終点
5:厚み測定位置での小孔部の厚み
6:厚み測定の終点
7:厚み測定位置での大孔部の厚み
8:炭素シート
2:マイクロポーラス層
3:厚み測定の始点
4:厚み測定位置での小孔部の終点
5:厚み測定位置での小孔部の厚み
6:厚み測定の終点
7:厚み測定位置での大孔部の厚み
8:炭素シート
Claims (7)
- 少なくとも炭素繊維を含む多孔質の炭素シート、及び、少なくとも導電性フィラーを含むマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材であって、
ガス拡散性が31.0〜35.5%であり、
前記ガス拡散電極基材を厚み方向に小孔部と大孔部とに分けた際に、大孔部の厚みが3μmより小さい、ガス拡散電極基材。 - ガス拡散電極基材の少なくとも片面側に、小孔部を有し、
炭素シートを内包したマイクロポーラス層の厚みを除いた、前記小孔部の厚みが、10〜40μmであることを特徴とする、請求項1に記載のガス拡散電極基材。 - 前記炭素シートの引張強度が5〜50N/cmである、請求項1または2のいずれかに記載のガス拡散電極基材。
- 前記炭素シートの最大引張強度までの伸度が10%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のガス拡散電極基材。
- 前記炭素シートの面積を100%とすると、該炭素シート中の貫通孔の合計の面積が7〜40%である、請求項1〜4のいずれかに記載のガス拡散電極基材。
- 前記炭素シートが、25μm以上の孔径を有する貫通孔を5個/mm2以上有する、請求項1〜5のいずれかに記載のガス拡散電極基材。
- 請求項1〜6に記載のガス拡散電極基材を含む燃料電池。
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