JP2016152094A - 多孔質炭素電極とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面の平滑性が高い固体高分子型燃料電池用多孔質炭素電極の製造方法の提供。
【解決手段】平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤及び界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程、多孔質炭素電極基材上に前記コーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成する工程、塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃で塗工膜を乾燥する工程、乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃で焼成して、コーティング層を形成した多孔質炭素電極を製造する工程から成る多孔質炭素電極の製造方法。第一カーボン粉の重量に対して、5〜300重量%である第二カーボン粉からなるコーティング液から作成されたコーティング膜を有する多孔質炭素電極。
【選択図】図1
【解決手段】平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤及び界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程、多孔質炭素電極基材上に前記コーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成する工程、塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃で塗工膜を乾燥する工程、乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃で焼成して、コーティング層を形成した多孔質炭素電極を製造する工程から成る多孔質炭素電極の製造方法。第一カーボン粉の重量に対して、5〜300重量%である第二カーボン粉からなるコーティング液から作成されたコーティング膜を有する多孔質炭素電極。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池に用いられる多孔質炭素電極、およびその製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池は、水素等の燃料ガスと酸素等の酸化ガスを電気化学的に反応させることにより起電力を得る装置であり、前記固体高分子型燃料電池には、水素イオン(プロトン)を選択的に伝導する高分子電解質膜を有する。また、高分子電解質膜の両面には、内側から貴金属系触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層及びガス拡散電極基材とを有する2組のガス拡散電極が接合されている。
このような高分子電解質膜と2組のガス拡散電極からなる接合体は膜−電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。また、MEAの両外側には、燃料ガスまたは酸化ガスを供給し、かつ生成ガスおよび過剰ガスを排出することを目的とするガス流路を形成したセパレーターが設置されている。
ガス拡散電極基材は、主に次の3つの機能が要求される。第一の機能は、その外側に配置されたセパレーターに形成されたガス流路から触媒層中の貴金属系触媒に均一に燃料ガスまたは酸化ガスを供給する機能である。第2の機能は、触媒層での反応により生成した水を排出する機能である。第3の機能は、触媒層での反応に必要な電子または触媒層での反応により生成される電子をセパレーターへ導電する機能である。これらの機能を充足する基材としては、通常、炭素質材料からなる多孔質構造を有する基材が使用される。具体的には、カーボンペーパー、炭素繊維クロス、炭素繊維フェルト等の炭素繊維を用いた基材が一般的に用いられる。これらの基材は炭素繊維によって高い導電性を示すだけでなく、多孔質材料であるため、燃料ガスおよび生成水などの液体の透過性が高いためガス拡散層に好適な材料である。
以上に挙げたカーボンペーパーやカーボンクロスなどの多孔質炭素電極基材と電極触媒層との接触抵抗を下げ、発電時に発生する生成水を効率よく排出することを目的として、カーボン微粒子や撥水剤からなるコーティング層を多孔質炭素電極基材と電極触媒層との間に設けることがある。また、排水性の観点からガス拡散電極基材自体の撥水性を高める処理がなされることが一般的であり、その方法としてはガス拡散電極基材にフッ素系化合物の溶液を含浸後・乾燥させた後焼結させる方法がある。多孔質炭素電極基材に設けられるコーティング層の平滑性を高くするために、スプレー法によってコーティング層を形成する方法(特許文献1参照)、気相成長炭素繊維をコーティング層の一部に導入する方法(特許文献2参照)等が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているスプレーによって多孔質炭素電極基材にコーティング層を形成する方法では、スプレーの孔が経時変化により目詰まりを起こすため、形成されるコーティング層の目付ムラが大きくなってしまう問題が生じていた。また、特許文献2に記載されている気相成長炭素繊維を用いる方法では、コーティング層内の多孔度が増すため、多孔質炭素電極の透気度は高くすることが可能であるが、気相成長炭素繊維が非常に高価であることと、非常に凝集性が高く取扱い性に難があるため、大量生産時に使用することは実質困難であるという問題があった。
本発明は、簡便な製造方法でありながらも、コーティング層の平滑性が高い固体高分子型燃料電池用の多孔質炭素電極を提供することを目的とする。
具体的には、前記課題は以下の発明(1)〜(6)によって解決される。
(1) 以下の工程[1]〜[4]を含む多孔質炭素電極の製造方法。
工程[1]:平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤および界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程。
工程[2]:多孔質炭素電極基材上に上記[1]の工程で作成したコーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成させる工程。
工程[3]:塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下において塗工膜を乾燥させる工程。
工程[4]:乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃の環境下において焼成することで、コーティング層を形成した多孔質炭素電極を製造する工程。
工程[1]:平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤および界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程。
工程[2]:多孔質炭素電極基材上に上記[1]の工程で作成したコーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成させる工程。
工程[3]:塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下において塗工膜を乾燥させる工程。
工程[4]:乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃の環境下において焼成することで、コーティング層を形成した多孔質炭素電極を製造する工程。
(2) コーティング液における第二のカーボン粉のその濃度が、第一のカーボン粉の重量に対し、5〜300重量%である上記(1)に記載の多孔質炭素電極の製造方法。
(3) コーティング液における第二のカーボン粉のその濃度が、第一のカーボン粉の重量に対し、5〜100重量%である請求項1に記載の多孔質炭素電極の製造方法。
(4) 形成されるコーティング層の厚みが2〜100μmである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔質炭素電極の製造方法。
(5) 多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成された多孔質炭素電極であって、コーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さが0.1〜2μm、かつ、最大表面粗さが5〜20μmであり、多孔質炭素電極の嵩密度が0.20〜0.75g/cm3、かつ、ガーレー法によって10点測定を行った際に測定される多孔質炭素電極の面直方法の透気度が5〜300ml/hr・cm2・mmAqである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質炭素電極。
(6) 多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成された多孔質炭素電極であって、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、8μm〜30μmである多孔質炭素電極。
簡便な製造方法でありながらも、コーティング層の平滑性が高い固体高分子型燃料電池用の多孔質炭素電極を提供できる。
以下、本発明について詳細に示す。
1.多孔質炭素電極の製造方法
本発明の多孔質炭素電極は、以下の工程[1]〜[4]を含む製造方法によって製造することができる。
工程[1]:平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤および界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程。
工程[2]:多孔質炭素電極基材上に上記[1]の工程で作成したコーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成させる工程。
工程[3]:塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下において塗工膜を乾燥させる工程。
工程[4]:乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃の環境下において焼成することで、コーティング層を形成した多孔質炭素電極を製造する工程。
本発明の多孔質炭素電極は、以下の工程[1]〜[4]を含む製造方法によって製造することができる。
工程[1]:平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤および界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程。
工程[2]:多孔質炭素電極基材上に上記[1]の工程で作成したコーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成させる工程。
工程[3]:塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下において塗工膜を乾燥させる工程。
工程[4]:乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃の環境下において焼成することで、コーティング層を形成した多孔質炭素電極を製造する工程。
<工程[1]:平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤および界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程>
使用する第一のカーボン粉および第2のカーボン粉としては、たとえば、黒鉛粉やカーボンブラックなどを用いることができる。例えばカーボンブラックとしてはアセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)、ファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)などを用いることができる。より高い導電性を発現するといった観点から、カーボンブラックが好ましい。
使用する第一のカーボン粉および第2のカーボン粉としては、たとえば、黒鉛粉やカーボンブラックなどを用いることができる。例えばカーボンブラックとしてはアセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)、ファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)などを用いることができる。より高い導電性を発現するといった観点から、カーボンブラックが好ましい。
また、ここでいう平均粒径とはカーボン粉の一次粒径ではなく、実際に使用する際の平均粒径のことを指す。第一のカーボン粉としては一次粒径の小さいカーボンブラックが好適である。第二のカーボン粉としては、比較的平均粒径の大きなカーボンブラックや黒鉛粉などを用いることができる。
撥水剤は、たとえば、フッ素樹脂などが挙げられる。フッ素樹脂としては例えばテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などがあげられ、とりわけポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。PTFEを界面活性剤によって水中に分散させても良いし、あらかじめ分散されたディスパージョンを用いることも出来る。
界面活性剤は公知のものを利用できる。例えばポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(例えばACROS ORGANICS社製のTriton X−100)、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテルなど非イオン性界面活性剤が挙げられる。取扱い性および分解温度から、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを用いることが好ましい。
第一のカーボン粉は、その平均粒径が0.05〜10μmである。平均粒径が小さすぎるとカーボン粉が多孔質電極基材の内部まで過度に侵入し、多孔質炭素電極のガス透過度が低下してしまい、大きすぎるとコーティング層のカーボン粉同士の隙間が大きくなり、コーティング層の強度低下や亀裂が生じやすくなるため、好ましくは0.05〜5μmである。
また、第二のカーボン粉は、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい。平均粒径の差が小さすぎると、第一のカーボン粉単体で適用する場合と差異が生じ得ず、差が大きすぎるとより粒径の大きなカーボン粉による影響が大きくなるため、カーボン層の強度低下等の問題が生じやすく、好ましくは0.05〜5μmである。なお、第2のカーボン粉の平均粒子径の差は0.1〜20μmであることが好ましい。
2種類の平均粒径の異なるカーボン粉と、撥水剤および界面活性剤と水よりコーティング液を作成する方法としては、公知の方法を用いることができる。カーボン粉の分散液および撥水剤の分散液をそれぞれ調製し、混合することで得られる。カーボン分散液を得るためには、カーボン粉に水を混合するが、このとき、カーボン粉の濡れ性をよくして分散性を向上させるために有機溶媒や界面活性剤を添加するのが好ましい。かかる有機溶媒としては、低級のアルコール類及びアセトンなどが好ましい。界面活性剤の添加量としては、カーボン粉の分散性を上げるためにと塗工液全体に対し0.1wt%以上であれば良く、また添加量が多すぎると発泡してしまうため、5wt%以下であることが好ましい。所望の粘度に応じて、増粘剤等を加えることも出来る。
本発明においては、コーティング液における第二のカーボン粉のその濃度が、第一のカーボン粉の重量に対し、5〜300重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜100重量%である。第二のカーボン粉のその濃度が低すぎると、第一のカーボン粉のみを用いた場合と、コーティング層の構造が変わらず、効果が得られない、高すぎると第二のカーボン粉によって形成されるコーティング層の構造が空隙の大きい構造となるため、所望の強度を有するコーティング層を得ることができない。
<工程[2]:多孔質炭素電極基材上に上記[1]の工程で作成したコーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成させる工程>
<多孔質炭素電極基材の処理>
多孔質炭素電極基材に撥水性を付与すべく行う撥水処理には、フッ素樹脂などの撥水剤の粒子を溶媒中に分散させた分散液を用いる。溶媒として水を用いる場合、撥水剤は、そのままでは水には分散しないため、適当な界面活性剤によって水中に分散させる。また、分散液としてはあらかじめ撥水剤が分散されたディスパージョン等を用いることもできる。
<<塗工膜の形成>>
多孔質炭素電極基材上に塗工膜を形成するための塗工液を塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えばバーコート法、ブレード法、スクリーン印刷法、スプレー法、カーテンコーティング法およびロールコート法などがあげられる。これらの方法により、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成することができる。
<多孔質炭素電極基材の処理>
多孔質炭素電極基材に撥水性を付与すべく行う撥水処理には、フッ素樹脂などの撥水剤の粒子を溶媒中に分散させた分散液を用いる。溶媒として水を用いる場合、撥水剤は、そのままでは水には分散しないため、適当な界面活性剤によって水中に分散させる。また、分散液としてはあらかじめ撥水剤が分散されたディスパージョン等を用いることもできる。
<<塗工膜の形成>>
多孔質炭素電極基材上に塗工膜を形成するための塗工液を塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えばバーコート法、ブレード法、スクリーン印刷法、スプレー法、カーテンコーティング法およびロールコート法などがあげられる。これらの方法により、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成することができる。
工程[2]で形成されるコーティング層の厚みは、好ましくは2〜100μmであり、より好ましくは5〜50μmである。コーティング層の厚みが薄すぎると燃料電池に組み入れた際に多孔質炭素電極基材を構成する炭素繊維がコーティング層を突き破り、電解質膜を破損する恐れがあり、厚すぎると多孔質炭素電極の抵抗値が大きくなるため、燃料電池に組み入れた際に発電性能が低下する。
<工程[3]:塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下において塗工膜を乾燥させる工程>
本発明においては、塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下におくことにより、塗工膜を乾燥させる。例えば熱風乾燥機やIRヒーターなどを用いて50〜200℃の環境を作ることができる。
本発明においては、塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下におくことにより、塗工膜を乾燥させる。例えば熱風乾燥機やIRヒーターなどを用いて50〜200℃の環境を作ることができる。
乾燥させる際の雰囲気温度としては、乾燥速度および塗工膜の凝集によるクラック発生を防ぐため、50〜200℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは70〜150℃である。時間としては、生産性を考慮すると5分〜20分であることが好ましく、より好ましくは7〜15分である。
<工程[4]:乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃の環境下において焼成させることで多孔質炭素電極を製造する工程>
本発明においては、乾燥後の「塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材」を300〜400℃の環境下において焼成させることで多孔質炭素電極を製造する。
本発明においては、乾燥後の「塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材」を300〜400℃の環境下において焼成させることで多孔質炭素電極を製造する。
この焼成工程においては、第一に多孔質炭素電極基材および塗工膜中に含まれる界面活性剤を消失させ、加えて撥水剤を融点付近まで加熱することによって、撥水剤粒子を溶融させてその形状をコントロールすることでコーティング層の細孔構造制御とカーボン粉のバインディングを強固にする。したがって、温度としては、300〜400℃の範囲が好ましく、より好ましくは340〜400℃である。また焼成時間としては5〜90分が好ましく、より好ましくは10〜60分である。
<<多孔質炭素電極基材>>
本発明の製造方法により、多孔質炭素電極基材から電気抵抗が低く、排水性の良い固体高分子型燃料電池用の多孔質炭素電極を製造することができる。多孔質炭素電極基材であれば、どのようなものであっても本発明の技術を使用することにより、従来の製造技術を使用するよりも上記の効果を発現することができる。
本発明の製造方法により、多孔質炭素電極基材から電気抵抗が低く、排水性の良い固体高分子型燃料電池用の多孔質炭素電極を製造することができる。多孔質炭素電極基材であれば、どのようなものであっても本発明の技術を使用することにより、従来の製造技術を使用するよりも上記の効果を発現することができる。
上述した通り、本発明における多孔質炭素電極基材はどのようなものであっても使用することができる。
多孔質炭素電極基材としては、導電性フィラーである炭素粉や炭素繊維や金属繊維そして樹脂などを原料とした導電性ペーパーやクロス、不織布などのあらゆる導電性多孔質材料を用いることができる。具体的には、市販のカーボンペーパーなどを用いることが出来るが、炭素繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材を用いることもできる。炭素繊維を結着する炭素としては、炭素繊維前駆体短繊維や樹脂等があり、これらを高温で処理することで炭素化する方法がある。炭素繊維と炭素源となる短繊維および樹脂などから炭素繊維シートを作成し、成形・炭素化工程を経て炭素繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材を製造することが出来る。これらの工程は品質および生産性の観点から連続的に製造されることが望ましい。また、上記の多孔質炭素電極基材に限らず、炭素化工程を有さない、エネルギーコストの小さい多孔質炭素電極基材も使用することができる。これらの例としては、炭素繊維を導電性物質粒子を充てんさせたバインダーで決着させた炭素繊維ウェブやカーボンなどの微細な導電性物質を樹脂などのバインダーで決着させた多孔質炭素電極基材などがある。
<多孔質炭素電極基材の製造方法>
シート状物を製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素繊維(A)を分散させて抄造する湿式法、空気中に、炭素繊維(A)を分散させて降り積もらせる乾式法などの抄紙方法を適用できる。好ましくは湿式法である。
シート状物を製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素繊維(A)を分散させて抄造する湿式法、空気中に、炭素繊維(A)を分散させて降り積もらせる乾式法などの抄紙方法を適用できる。好ましくは湿式法である。
炭素繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)を分散させることにより、炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)とが絡み合うことでシート状物の強度が向上し、実質的にバインダーフリーとすることもできる。
なお、本発明においては、有機高分子化合物をバインダーとして少量用いてもよい。バインダーとして使用する有機高分子化合物は特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール(PVA)や、熱融着するポリエステル系あるいはポリオレフィン系のバインダー等が挙げられる。バインダーは繊維や粒子のような固体状でも液体状でもよい。バインダーの含有量としては100g/m2以下が好ましく、より好ましくは50g/m2以下、特に好ましくは30g/m2以下である。バインダーの添加方法は特に限定されない。
以下、炭素繊維を用いた場合の多孔質炭素電極基材の製造方法の一例について詳細に述べる。多孔質炭素電極基材は以下の手順(1)〜(4)を経て製造される。
[課題手順(1):炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)を分散させた抄紙体を製造する工程]
<炭素繊維(A)>
炭素繊維(A)としては、その原料によらず用いることができるが、ポリアクリロニトリル(以後PANと略す。)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維から選ばれる1つ以上の炭素繊維を含むことが好ましく、PAN系炭素繊維あるいはピッチ系炭素繊維を含むことがより好ましい。炭素繊維(A)の平均直径は、ガス拡散層としての表面平滑性と導電性の観点から、3〜30μm程度が好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmがさらに好ましい。炭素繊維(A)の長さは、抄紙時の分散性とガス拡散層としての機械的強度の観点から、2〜12mmが好ましく、3〜9mmがさらに好ましい。
<炭素繊維(A)>
炭素繊維(A)としては、その原料によらず用いることができるが、ポリアクリロニトリル(以後PANと略す。)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維から選ばれる1つ以上の炭素繊維を含むことが好ましく、PAN系炭素繊維あるいはピッチ系炭素繊維を含むことがより好ましい。炭素繊維(A)の平均直径は、ガス拡散層としての表面平滑性と導電性の観点から、3〜30μm程度が好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmがさらに好ましい。炭素繊維(A)の長さは、抄紙時の分散性とガス拡散層としての機械的強度の観点から、2〜12mmが好ましく、3〜9mmがさらに好ましい。
<炭素繊維前駆体短繊維(b)>
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものである。炭素繊維前駆体短繊維(b)の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。炭素繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)の直径は、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることが好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものである。炭素繊維前駆体短繊維(b)の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。炭素繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)の直径は、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることが好ましい。
このような炭素繊維前駆体短繊維(b)として用いられるポリマーとして、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーを挙げることができる。
紡糸性および低温から高温にかけて炭素繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化時の残存質量が大きい点、さらに、後述する交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。従って、炭素繊維前駆体繊維(b)としては、アクリル繊維、(アクリロニトリル単位を50質量%以上含有する)アクリル系繊維が好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、1種類を用いてもよく、繊維直径やポリマー種が異なる2種類以上の炭素繊維前駆体短繊維(b)を用いてもよい。
<フィブリル状繊維(b´)>
フィブリル状繊維(b´)は、天然繊維、合成繊維の区別なく、いかなる繊維を用いることも出来る。たとえば、アクリル等を主成分とするフィブリル状炭素前駆体(b´−1)から天然繊維である木材パルプまで含む。中でも含有する金属分が少ないことが好ましいため、フィブリル状繊維(b´)は、合成繊維であることが好ましい。より好ましくはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)などを用いることができる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、炭素化収率を向上させるには、以下に示すフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)を用いることが好ましい。
フィブリル状繊維(b´)は、天然繊維、合成繊維の区別なく、いかなる繊維を用いることも出来る。たとえば、アクリル等を主成分とするフィブリル状炭素前駆体(b´−1)から天然繊維である木材パルプまで含む。中でも含有する金属分が少ないことが好ましいため、フィブリル状繊維(b´)は、合成繊維であることが好ましい。より好ましくはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)などを用いることができる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、炭素化収率を向上させるには、以下に示すフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)を用いることが好ましい。
フィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)とは、適当な長さにカットした長繊維状の易割繊性海島複合繊維であり、リファイナーやパルパーなどによって叩解しフィブリル化するものである。フィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造され、少なくとも1種類のポリマーが、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。中でも、紡糸性および炭素化処理工程における残存質量の観点から、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
フィブリル状繊維(b´)の断面形状は、特に限定されない。分散性、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、フィブリル状繊維(b´)の繊度は、1〜10dtexであることが好ましい。フィブリル状繊維(b´)の平均繊維長は、分散性の観点から、1〜20mmが好ましい。
<抄紙体の製造>
抄紙体の製造にあたっては、以下の方法をとることもできる。好適な長さに切断した炭素繊維(A)を水中に均一に分散させ、分散している炭素繊維を網上に抄造し、抄造した炭素繊維シートをポリビニルアルコールの水系分散液に浸漬し、浸漬したシートを引き上げて乾燥させる。前記ポリビニルアルコールは、炭素繊維同士を結着するバインダーの役目を果たし、炭素繊維が分散した状態において、それらがバインダーにより結着された状態の炭素繊維のシートが製造される。バインダーとしては、他に、スチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂などを用いることが出来る。
抄紙体の製造にあたっては、以下の方法をとることもできる。好適な長さに切断した炭素繊維(A)を水中に均一に分散させ、分散している炭素繊維を網上に抄造し、抄造した炭素繊維シートをポリビニルアルコールの水系分散液に浸漬し、浸漬したシートを引き上げて乾燥させる。前記ポリビニルアルコールは、炭素繊維同士を結着するバインダーの役目を果たし、炭素繊維が分散した状態において、それらがバインダーにより結着された状態の炭素繊維のシートが製造される。バインダーとしては、他に、スチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂などを用いることが出来る。
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)を分散させた抄紙体の製造方法としては、液体の媒体中に炭素繊維(A)と、炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)とを分散させて抄造する湿式法、空気中に炭素繊維(A)と、炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)とを分散させて降り積もらせる乾式法、などの抄紙方法を適用できる。しかし、抄紙体の均一性が高いという観点から、湿式法を用いることが好ましい。
炭素繊維(A)と、炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)の混合比としては、炭素繊維(A)100重量部に対し、炭素繊維前駆体繊維(b)およびフィブリル状繊維(b´)の総量が、20〜100重量部となるように混合することが好ましい。炭素繊維前駆体繊維(b)およびフィブリル状繊維(b´)の総量が少ないと、抄紙体の強度が低くなり、炭素繊維前駆体繊維(b)およびフィブリル状繊維(b´)の総量が多いと、結果的に得られる多孔質炭素電極基材の電気伝導性が低くなってしまう。また、炭素繊維前駆体繊維(b)とフィブリル状繊維(b´)との割合は、炭素繊維前駆体繊維(b)100重量部に対し、フィブリル状繊維(b´)が25〜100重量部の割合で含まれることが好ましい。
炭素繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、開繊した単繊維が再収束することを防止するためにも、炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)を使用する。また、必要に応じてバインダーを使用して、湿式抄紙することもできる。
バインダーとは、炭素繊維(A)と、炭素前駆体繊維(b)とを含む前駆体シート中で、各成分をつなぎとめる糊剤としての役割を有する。バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニルなどを用いることができる。特に、抄紙工程での結着力に優れ、炭素繊維(A)の脱落が少ないことから、ポリビニルアルコールが好ましい。本発明では、バインダーを繊維形状にして用いることも可能である。
本発明では、バインダーを用いずに抄紙化しても、炭素繊維(A)と、炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)との適度な絡みを得ることができる。
炭素繊維(A)および炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)を分散させる液体の媒体としては、例えば、水、アルコールなどの炭素前駆体繊維(b)が溶解しない媒体が挙げられる。この中でも、生産性の観点から、水を用いることが好ましい。
繊維質を分散させたスラリー中の繊維質濃度が1〜50g/L程度となる割合で水などの媒体を用いることが好ましい。スラリー中の繊維質濃度が低いと、抄紙速度を遅くせざるを得ず、生産性が悪くなり、繊維質濃度が高くなりすぎるとスラリー中の繊維質の分散性が低下するため、繊維質の塊が発生しやすく、目付ムラの大きな抄紙体が得られる。
炭素繊維(A)および炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)を混合する方法としては、水中で攪拌分散させる方法、これらを直接混ぜ込む方法が挙げられるが、均一に分散させる観点から、水中で拡散分散させる方法が好ましい。炭素繊維(A)と、炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)とを混合し、抄紙して抄紙体を製造することにより、抄紙体の強度を向上させることができる。また、その製造途中で、前駆体シートから炭素繊維(A)が剥離し、炭素繊維(A)の配向が変化することを防止することができる。
[手順(2)抄紙体に交絡処理を施す工程]
交絡処理は必ずしも必要ではないが、シート状物を交絡処理することで、炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)が3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。
交絡処理は必ずしも必要ではないが、シート状物を交絡処理することで、炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)が3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。
交絡処理は、交絡構造が形成される方法から必要に応じて選択することができ、特に限定されない。ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素繊維(A)の破断と、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)の破断を、容易に抑制することができ、かつ適切な交絡性が容易に得られるという点で、高圧液体噴射法が好ましい。
交絡処理工程により抄紙体の引張強度が向上するため、通常抄紙で使用されるポリビニルアルコール等のバインダーを使用せずに済み、かつ水中あるいは湿潤状態でもシートの引張強度を維持できる。
[手順(3):抄紙体に樹脂を含浸させ、乾燥・成形を行う工程]
<樹脂>
抄紙体に含浸させる樹脂としては、炭素化した段階でガス拡散層の炭素繊維を結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材を製造する場合は、炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際に炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。炭素化工程を有さない多孔質炭素電極基材を製造する際には、熱可塑性・熱硬化性樹脂を問わず、使用することができる。多孔質炭素電極基材の撥水性を高める観点から、フッ素樹脂が好ましい。また、炭素化工程の有無に関わらず、多孔質炭素電極基材の導電性をさらに向上させることを目的として、これらの樹脂に炭素粉を混合することも有効である。炭素粉としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、葉片状黒鉛、塊状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛粒子、更には、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。特に限定はされないが、上記炭素粉のうちでも、黒鉛粒子、カーボンブラックがより好ましい。これらを単数あるいは複数用いてもよい。
<樹脂>
抄紙体に含浸させる樹脂としては、炭素化した段階でガス拡散層の炭素繊維を結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材を製造する場合は、炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際に炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。炭素化工程を有さない多孔質炭素電極基材を製造する際には、熱可塑性・熱硬化性樹脂を問わず、使用することができる。多孔質炭素電極基材の撥水性を高める観点から、フッ素樹脂が好ましい。また、炭素化工程の有無に関わらず、多孔質炭素電極基材の導電性をさらに向上させることを目的として、これらの樹脂に炭素粉を混合することも有効である。炭素粉としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、葉片状黒鉛、塊状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛粒子、更には、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。特に限定はされないが、上記炭素粉のうちでも、黒鉛粒子、カーボンブラックがより好ましい。これらを単数あるいは複数用いてもよい。
<含浸方法>
熱硬化性樹脂を含浸させる方法としては、公知の方法を用いることが出来る。たとえば、ディップ法やキスコート法、スプレー法、カーテンコート法などを用いることが出来る。とりわけ製造コストの観点から、スプレー法やカーテンコート法を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂を含浸させる方法としては、公知の方法を用いることが出来る。たとえば、ディップ法やキスコート法、スプレー法、カーテンコート法などを用いることが出来る。とりわけ製造コストの観点から、スプレー法やカーテンコート法を用いることが好ましい。
<乾燥・成形工程>
乾燥方法としては、公知の技術を用いることが出来る。加熱されたロールに接触させて乾燥させるドラム乾燥や熱風による乾燥方法などを用いることが出来る。メンテナンスの簡便さから、非接触方式による乾燥が好ましい。乾燥温度としては、樹脂が硬化しない温度範囲60〜110℃、より好ましくは70〜100℃が好ましい。
乾燥方法としては、公知の技術を用いることが出来る。加熱されたロールに接触させて乾燥させるドラム乾燥や熱風による乾燥方法などを用いることが出来る。メンテナンスの簡便さから、非接触方式による乾燥が好ましい。乾燥温度としては、樹脂が硬化しない温度範囲60〜110℃、より好ましくは70〜100℃が好ましい。
樹脂含浸・乾燥後の抄紙体を成形する工程が重要である。炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材を製造する場合は、これにより前駆体シート中の炭素繊維(A)を炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)で融着させ、かつ熱硬化性樹脂を硬化させることで、炭素化後の多孔質炭素電極基材の強固な導電パスが形成される。炭素化工程を有さない多孔質炭素電極基材を製造する場合は、成形工程によって製品寸法が決まってしまうため、フィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)と樹脂の溶融状態をコントロールしなければならない。成形の後200−400℃の雰囲気中で熱処理を行うことで、炭素化工程の製造プロセスは終了となる。
成形方法は、抄紙体を均等に加熱加圧成形できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。例えば、抄紙体の両面に平滑な剛板を当てて熱プレスする方法、連続ロールプレス装置や、連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。
加熱加圧成形における加熱温度は、前駆体シートの表面を効果的に平滑にするために、200℃未満が好ましく、120〜190℃がより好ましい。
成形圧力は特に限定されないが、抄紙体中における炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b´)の含有比率が多い場合は、成形圧が低くても容易にシートYの表面を平滑にすることができる。このとき必要以上にプレス圧を高くすると、加熱加圧成形時に炭素繊維(A)が破壊されるという問題や、多孔質炭素電極基材の組織が緻密になりすぎるという問題等が生じる可能性がある。成形圧力は、20kPa〜10MPa程度が好ましい。
加熱加圧成形の時間は、例えば30秒〜10分とすることができる。抄紙体を2枚の剛板に挟んでまたは連続ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置で加熱加圧成形する時は、剛板またはロールやベルトに炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´)などが付着しないように、あらかじめ剥離剤を塗っておくことや、抄紙体と剛板またはロールやベルトとの間に離型紙を挟むことが好ましい。
[手順(4):前記手順(3)で得られた前駆体シートを、窒素雰囲気下において2000〜3000℃で炭素化して多孔質炭素質電極基材を製造する工程]
<炭素化>
炭素化処理は前駆体シート中の炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´)および熱硬化性樹脂を炭素化する。炭素化処理は多孔質炭素電極基材の導電性を高めるために、不活性ガス中で行うことが好ましい。炭素化処理は、通常1000℃以上の温度で行なわれる。炭素化処理温度範囲は、1000〜3000℃が好ましく、1000〜2200℃がより好ましい。炭素化処理時間は、例えば10分間〜1時間程度である。また、炭素化処理の前に、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行うことができる。
<炭素化>
炭素化処理は前駆体シート中の炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´)および熱硬化性樹脂を炭素化する。炭素化処理は多孔質炭素電極基材の導電性を高めるために、不活性ガス中で行うことが好ましい。炭素化処理は、通常1000℃以上の温度で行なわれる。炭素化処理温度範囲は、1000〜3000℃が好ましく、1000〜2200℃がより好ましい。炭素化処理時間は、例えば10分間〜1時間程度である。また、炭素化処理の前に、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行うことができる。
連続的に製造された前駆体シートを炭素化処理する場合は、製造コスト低減化の観点から、前駆体シートの全長にわたって連続で炭素化処理を行うことが好ましい。多孔質炭素電極基材が長尺であればハンドリング性が高く、多孔質炭素電極基材の生産性が高くなり、かつその後の膜−電極接合体(MEA)の製造も連続で行うことができるので、燃料電池の製造コストを低減できる。また、多孔質炭素電極基材や燃料電池の生産性および製造コスト低減化の観点から、製造された多孔質炭素電極基材を連続的に巻き取ることが好ましい。
上述した手順を経て多孔質炭素電極基材を得ることが出来る。なお手順(2)および手順(3)は省略することも出来る。
<炭素化工程を省略した多孔質炭素電極基材の製造方法>
炭素化工程を省略することで、炭素化を行う場合に比べてエネルギーコストを大幅に低減することができる。炭素化工程の省略による導電性の低下を抑制するため、さらなる導電性物質を導入することが必要である。上述した、炭素繊維が分散した抄紙体に前記導電性物質などを添加・定着させる方法や、導電性物質とバインダー樹脂からなるスラリーを調製し、それらを製膜後、熱処理を行って多孔質炭素電極基材を製造する方法がある。前者の方法であれば、上述した炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材の製造方法に準じて、抄紙体に樹脂含浸を行う要領で、導電性物質を添加し、その後にプレス成形することで定着させて多孔質炭素電極基材を製造することができる。また、後者の製造方法においても、上記抄紙体を製造する際のスラリー調製方法と同様にして、導電性物質を単数もしくは複数選択し、バインダー物質と溶液中で混合することでスラリーを調製し、公知のコーティング技術を用いて製膜後、乾燥・熱処理を施すことで多孔質炭素電極基材を製造できる。また、これらに供する導電性物質は、特に限定されるものではなく、例えば、炭素繊維であればポリアクリロニトリル系(PAN系)炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、その他、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどを適宜用いることができる。用いる種類は限定されず、単独で使用してもよくあるいは複数選択して用いてもよい。導電性物質を決着させるバインダーとしては、樹脂を用いることができる。樹脂としては、撥水性を有するフッ素系、あるいはシリコン系樹脂などが好適である。上記スラリーを調製するにあたっては、スラリーの溶媒として、水、アセトン、エタノール、メタノールなどを適宜用いることができるが、環境負荷の低減、製造装置のコスト低減の観点から、溶媒としては水を用いることが最も好ましい。また、スラリー中における導電性物質およびバインダー物質の分散性を向上させるべく、界面活性剤や粘剤などの添加剤を適宜用いてもよい。
炭素化工程を省略することで、炭素化を行う場合に比べてエネルギーコストを大幅に低減することができる。炭素化工程の省略による導電性の低下を抑制するため、さらなる導電性物質を導入することが必要である。上述した、炭素繊維が分散した抄紙体に前記導電性物質などを添加・定着させる方法や、導電性物質とバインダー樹脂からなるスラリーを調製し、それらを製膜後、熱処理を行って多孔質炭素電極基材を製造する方法がある。前者の方法であれば、上述した炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材の製造方法に準じて、抄紙体に樹脂含浸を行う要領で、導電性物質を添加し、その後にプレス成形することで定着させて多孔質炭素電極基材を製造することができる。また、後者の製造方法においても、上記抄紙体を製造する際のスラリー調製方法と同様にして、導電性物質を単数もしくは複数選択し、バインダー物質と溶液中で混合することでスラリーを調製し、公知のコーティング技術を用いて製膜後、乾燥・熱処理を施すことで多孔質炭素電極基材を製造できる。また、これらに供する導電性物質は、特に限定されるものではなく、例えば、炭素繊維であればポリアクリロニトリル系(PAN系)炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、その他、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどを適宜用いることができる。用いる種類は限定されず、単独で使用してもよくあるいは複数選択して用いてもよい。導電性物質を決着させるバインダーとしては、樹脂を用いることができる。樹脂としては、撥水性を有するフッ素系、あるいはシリコン系樹脂などが好適である。上記スラリーを調製するにあたっては、スラリーの溶媒として、水、アセトン、エタノール、メタノールなどを適宜用いることができるが、環境負荷の低減、製造装置のコスト低減の観点から、溶媒としては水を用いることが最も好ましい。また、スラリー中における導電性物質およびバインダー物質の分散性を向上させるべく、界面活性剤や粘剤などの添加剤を適宜用いてもよい。
2.多孔質炭素電極
本発明の製造方法により得られる多孔質炭素電極は、炭素繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成された多孔質炭素電極であって、面圧0.5MPaを付与した際の面直方向における電気抵抗が0.60Ω・cmより大で0.8Ω・cm以下であり、かつ下記剥離試験にて求める多孔質炭素電極基材とコーティング層との剥離度が50%未満である多孔質炭素電極である。
本発明の製造方法により得られる多孔質炭素電極は、炭素繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成された多孔質炭素電極であって、面圧0.5MPaを付与した際の面直方向における電気抵抗が0.60Ω・cmより大で0.8Ω・cm以下であり、かつ下記剥離試験にて求める多孔質炭素電極基材とコーティング層との剥離度が50%未満である多孔質炭素電極である。
<多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成された多孔質炭素電極>
本発明においては、「多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成されたもの」を「多孔質炭素電極」という。
本発明においては、「多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成されたもの」を「多孔質炭素電極」という。
コーティング層に用いるカーボン粉は、たとえば、黒鉛粉やカーボンブラックなどを用いることができる。例えばアセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)、ファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)などを用いることができる。カーボン粉を用いる割合としては、カーボン粉を溶媒に分散させた際の濃度が、5〜30%となるように用いることが好ましい。撥水剤としてはフッ素樹脂やシリコン樹脂などが挙げられ、これらを水などの溶媒に分散させて用いることが出来る。撥水性の高さから特に好ましくはフッ素樹脂である。フッ素樹脂としては例えばテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などがあげられ、特にPTFEが好ましい。撥水剤を用いる割合としては、撥水剤を溶媒に分散させた際の濃度が、5〜60%となるように用いることが好ましい。
カーボン粉および撥水剤を分散させる溶媒としては、水や有機溶媒を用いることが出来る。有機溶媒の危険性、コスト及び環境負荷の観点から、水を使用することが好ましい。有機溶媒を使用する際には、水と混合可能な溶媒である低級アルコールやアセトンなどの使用が好ましい。これら有機溶媒を用いる割合としては、水1に対して0.5〜2の比率で用いることが好ましい。
カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層とは、カーボン粉がバインダーである撥水剤によって結合されたものである。言い換えれば、撥水剤によって形成されるネットワーク中にカーボン粉が取り込まれ、微細な網目構造を有する。コーティング層を形成させる際に、組成物の一部が多孔質炭素電極基材へと染み込むため、コーティング層と多孔質炭素電極基材との明確な境界線の定義は困難であるが、本発明においてはコーティング層組成物の多孔質炭素電極基材へのしみこみが生じていない部分、すなわちカーボン粉と撥水剤のみから構成される層のみをコーティング層と定義する。
本発明の多孔質炭素電極は、多孔質炭素電極基材の面のいずれか一方の面上にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を有している。両面に当該コーティング層を有していてもよいが、プロセスが増加による生産性の低下および両面にコーティング層を有することでガス拡散性と排水性が低下する可能性があることから片面塗布が好ましい。コーティング層を形成させる表面はどちらでも良いが、強固なコーティング層を形成させるためにはある程度の表面粗さを有する面であることが好ましい。ただし、多孔質炭素電極基材の一方の面にガス流路を形成したものなどはこの限りではなく、もう一方の平滑な面に形成することが好ましい。
<嵩密度>
本発明の多孔質炭素電極の嵩密度は、電気抵抗を下げる観点からは高いほど良いが、一方で液体や気体の排出性の観点からは、低い方が良い。具体的には0.20〜0.75g/cm3であり、0.30〜0.60g/cm3の範囲にあることが好ましい。
本発明の多孔質炭素電極の嵩密度は、電気抵抗を下げる観点からは高いほど良いが、一方で液体や気体の排出性の観点からは、低い方が良い。具体的には0.20〜0.75g/cm3であり、0.30〜0.60g/cm3の範囲にあることが好ましい。
本発明の嵩密度は、後述の実施例において具体的に説明する測定方法によって測定することができる。
<面直方向の透気度>
本発明の多孔質炭素電極の面直方向における透気度は、液体に加えて気体の拡散性を良好に保つためには、後述するガーレー法で10点測定した際に、5〜300ml/hr・cm2・mmAqである。好ましくは50〜200ml/hr・cm2・mmAqであることが好ましい。
本発明の多孔質炭素電極の面直方向における透気度は、液体に加えて気体の拡散性を良好に保つためには、後述するガーレー法で10点測定した際に、5〜300ml/hr・cm2・mmAqである。好ましくは50〜200ml/hr・cm2・mmAqであることが好ましい。
なお、本発明で用いる多孔質炭素電極基材は、液体を効率よく排出するという観点から、面直方向における透気度が2000〜20000ml/hr・cm2・mmAqであることが好ましい。
<コーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さと最大表面粗さ>
コーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さが0.1〜2μmであることが好ましい。算術平均表面粗さが0.1μmよりも小さいと、平滑性が高すぎるため、かえって触媒層との接触性が低下し、2μmよりも大きいと、凹凸によって触媒層及び、電解質膜へダメージを与えてしまう。また、最大表面粗さが5〜20μmであることが好ましい。5μmよりも小さいと、触媒層との接触性が低下し、燃料電池の内部抵抗が増大する。20μmよりも大きいと、コーティング層の凹凸によって触媒層及び、電解質膜へダメージを与え、燃料電池の耐久性が低下する。
コーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さが0.1〜2μmであることが好ましい。算術平均表面粗さが0.1μmよりも小さいと、平滑性が高すぎるため、かえって触媒層との接触性が低下し、2μmよりも大きいと、凹凸によって触媒層及び、電解質膜へダメージを与えてしまう。また、最大表面粗さが5〜20μmであることが好ましい。5μmよりも小さいと、触媒層との接触性が低下し、燃料電池の内部抵抗が増大する。20μmよりも大きいと、コーティング層の凹凸によって触媒層及び、電解質膜へダメージを与え、燃料電池の耐久性が低下する。
<多孔質炭素電極の厚み>
多孔質炭素電極の厚みは、良好な電気導電性と排水性を発現するために、50〜350μmの範囲にあることが好ましい。50μm以上であれば、ハンドリング可能であり、350μm以下であれば良好な電気伝導性が得られる。さらに好ましい厚みは、100〜250μmの範囲である。
多孔質炭素電極の厚みは、良好な電気導電性と排水性を発現するために、50〜350μmの範囲にあることが好ましい。50μm以上であれば、ハンドリング可能であり、350μm以下であれば良好な電気伝導性が得られる。さらに好ましい厚みは、100〜250μmの範囲である。
<面圧0.5MPaを付与した際の面直方向の電気抵抗>( 本発明の多孔質炭素電極の面圧0.5MPaを付与した際の面直方向における電気抵抗は、多孔質炭素電極基材の撥水性とのバランスが重要であるため、好ましい範囲は0.60〜1.00Ω・cmである。より好ましくは0.60〜0.80Ω・cmである。
本発明の「面圧0.5MPaを付与した際の面直方向における電気抵抗」は、後述の実施例において具体的に説明する測定方法によって測定することができる。
<多孔質炭素電極基材中のカーボン粉と撥水剤の付着率>
本発明の多孔質炭素電極における多孔質炭素電極基材は、コーティング層を有する面から、もう一方のコーティング層を有さない面に向かって、カーボン粉と撥水剤の付着率が低くなっている。
本発明の多孔質炭素電極における多孔質炭素電極基材は、コーティング層を有する面から、もう一方のコーティング層を有さない面に向かって、カーボン粉と撥水剤の付着率が低くなっている。
コーティング層を形成する際に、コーティング塗工液が多孔質炭素電極基材中にしみこむことで、カーボン粉及び撥水剤の付着が起こる。付着率は、コーティング塗工液の表面張力及びコーティング層の形成時間などによってコントロールすることが出来る。また、付着率は多孔質炭素電極断面を電子顕微鏡観察することで確認できるほか、付着率の変化によって、多孔質炭素電極基材由来の細孔構造が変化するため、細孔分布測定などによって確認することが出来る。上述のとおり本発明の方法であれば、コーティング層を形成する際に多孔質炭素電極基材中の撥水性を与えることが出来るため、従来は多孔質炭素電極基材を撥水剤溶液などの撥水剤に直接含浸させていたプロセスが不要となる。また本発明によれば、工程の削減に繋がるだけでなく、多孔質炭素電極基材とコーティング層の界面における細孔構造をコントロールし、多孔質炭素電極基材中の厚み方向において撥水性を段階的に制御できる。
<多孔質炭素電極の細孔径分布のシフト>
本発明の多孔質炭素電極は、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、8μm〜30μmであることが好ましい。シフト幅が小さすぎると、コーティング層の多孔質炭素電極基材への浸透が少なすぎるため、多孔質炭素電極基材にコーティング層が定着しない、大きすぎると多孔質炭素電極基材由来の細孔がコーティング層により埋没されるため、多孔質炭素電極としての排水性が低下する。より好ましくは8〜25μmである。
本発明の多孔質炭素電極は、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、8μm〜30μmであることが好ましい。シフト幅が小さすぎると、コーティング層の多孔質炭素電極基材への浸透が少なすぎるため、多孔質炭素電極基材にコーティング層が定着しない、大きすぎると多孔質炭素電極基材由来の細孔がコーティング層により埋没されるため、多孔質炭素電極としての排水性が低下する。より好ましくは8〜25μmである。
下記の手法を用いて各種物性値の測定を行った。
<嵩密度の算出>
製造した多孔質炭素電極から、3×3cm角の試験片を10点、ランダムに取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーターにより各サンプルに対して5点ずつ測定して平均厚みを算出し、重量を電子天秤により秤量した。下式に従って多孔質炭素電極の嵩密度を算出した。10点測定した嵩密度の平均値を其のサンプルの代表値として採用した。
製造した多孔質炭素電極から、3×3cm角の試験片を10点、ランダムに取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーターにより各サンプルに対して5点ずつ測定して平均厚みを算出し、重量を電子天秤により秤量した。下式に従って多孔質炭素電極の嵩密度を算出した。10点測定した嵩密度の平均値を其のサンプルの代表値として採用した。
(嵩密度)=試験片重量(g)/試験片厚み(cm)/試験片面積(cm2)
<面圧0.5MPaを付与した際の面直方向における電気抵抗の測定>
多孔質炭素電極の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質炭素電極を挟み、銅板の上下から0.5MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。なお多孔質炭素電極の試料サイズは直径=25mmである。
<面圧0.5MPaを付与した際の面直方向における電気抵抗の測定>
多孔質炭素電極の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質炭素電極を挟み、銅板の上下から0.5MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。なお多孔質炭素電極の試料サイズは直径=25mmである。
貫通方向抵抗(mΩ・cm2)=測定抵抗値(mΩ)×試料面積(cm2)
<ガーレー法による多孔質炭素電極の面直方向の透気度の測定>
JIS規格P−8117に準拠し、ガーレーデンソメーターを使用して200mLの空気が透過するのにかかった時間を測定し、ガス透気度(ml/hr/cm2/mmAq)を算出した。各サンプルに対して10点ずつ測定を行い、平均値よりガス透過度を決定した。
<ガーレー法による多孔質炭素電極の面直方向の透気度の測定>
JIS規格P−8117に準拠し、ガーレーデンソメーターを使用して200mLの空気が透過するのにかかった時間を測定し、ガス透気度(ml/hr/cm2/mmAq)を算出した。各サンプルに対して10点ずつ測定を行い、平均値よりガス透過度を決定した。
<算術平均表面粗さおよび、最大表面粗さの測定>
多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さおよび、最大表面粗さは、JIS規格B−0601に準拠し、表面粗さ計サーフテストSJ―402(ミツトヨ社製)を用いて算術平均表面粗さおよび、最大表面粗さをそれぞれ測定し、一つのサンプルについて10点測定を行い、その平均値を代表値として採用した。
<多孔質炭素電極のコーティング層の厚みの測定方法>
多孔質炭素電極基材および、製造した多孔質炭素電極から、3×3cm角の試験片を10点、ランダムに取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーターにより各サンプルに対して5点ずつ測定して平均厚みを算出し、下式に従ってコーティング層の厚みを算出した。
(コーティング層の厚み)
=多孔質炭素電極の厚み(μm)−多孔質炭素電極基材の厚み(μm)
<実施例1>
(多孔質炭素電極基材)
多孔質炭素電極基材は、市販のカーボンペーパーやカーボンクロスなどを用いることが出来るが、本発明では平滑な多孔質炭素電極基材を得るべく、多孔質炭素電極基材から製造を行った。
多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さおよび、最大表面粗さは、JIS規格B−0601に準拠し、表面粗さ計サーフテストSJ―402(ミツトヨ社製)を用いて算術平均表面粗さおよび、最大表面粗さをそれぞれ測定し、一つのサンプルについて10点測定を行い、その平均値を代表値として採用した。
<多孔質炭素電極のコーティング層の厚みの測定方法>
多孔質炭素電極基材および、製造した多孔質炭素電極から、3×3cm角の試験片を10点、ランダムに取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーターにより各サンプルに対して5点ずつ測定して平均厚みを算出し、下式に従ってコーティング層の厚みを算出した。
(コーティング層の厚み)
=多孔質炭素電極の厚み(μm)−多孔質炭素電極基材の厚み(μm)
<実施例1>
(多孔質炭素電極基材)
多孔質炭素電極基材は、市販のカーボンペーパーやカーボンクロスなどを用いることが出来るが、本発明では平滑な多孔質炭素電極基材を得るべく、多孔質炭素電極基材から製造を行った。
炭素繊維(A)として、平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を用意した。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、フィブリル状繊維(b´)として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を用意した。
以下の<1>〜<10>の操作によって多孔質炭素電極を製造した。
<1> 炭素繊維(A)の離解
炭素繊維(A)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
炭素繊維(A)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
<2> 炭素繊維前駆体短繊維(b)の離解
炭素繊維前駆体短繊維(b)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(Sb)とした。
炭素繊維前駆体短繊維(b)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(Sb)とした。
<3> フィブリル状繊維(b´)の離解
前記易割繊性アクリル系海島複合短繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散させミキサーを通して叩解・離解処理し、離解スラリー繊維(Sb´)とした。
前記易割繊性アクリル系海島複合短繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散させミキサーを通して叩解・離解処理し、離解スラリー繊維(Sb´)とした。
<4> 抄紙体の製造
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)およびフィブリル状繊維(b´)とが、質量比70:10:20で、かつスラリー中の繊維の濃度が、1.44g/Lとなるように離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb)、離解スラリー繊維(Sb´)、希釈水を計量し、分散させた。抄紙には、ネット駆動部及び幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、ネット下部に配置した減圧脱水装置からなる処理装置を用いた。処理装置の下流に下記の3本のウォータージェットノズルを備えた加圧水流噴射処理装置を配置した。
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)およびフィブリル状繊維(b´)とが、質量比70:10:20で、かつスラリー中の繊維の濃度が、1.44g/Lとなるように離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb)、離解スラリー繊維(Sb´)、希釈水を計量し、分散させた。抄紙には、ネット駆動部及び幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、ネット下部に配置した減圧脱水装置からなる処理装置を用いた。処理装置の下流に下記の3本のウォータージェットノズルを備えた加圧水流噴射処理装置を配置した。
ノズル1:孔径φ0.15mm×501孔
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル2:孔径φ0.15mm×501孔
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル3:孔径φ0.15mm×1002孔
幅方向孔間ピッチ1.5mm
3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm
加圧水流噴射圧力を1MPaノズル1、圧力2MPa(ノズル2)、圧力1MPa(ノズル3)として、繊維の分散したスラリーをスラリー供給部より投入し、減圧脱水を経た後、ノズル1、ノズル2、ノズル3の順で通過させて交絡処理を加え3次元交絡構造を持つ抄紙体を得た。抄紙体を、ピンテンター試験機(辻井染機工業(株)製PT−2A−400)により150℃で3分間、乾燥させて抄紙体を得た。なお、抄紙体における炭素繊維(A)および炭素繊維前駆体短繊維(b)、フィブリル状繊維(b´)の分散状態は、良好でさらにハンドリング性は良好であった。
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル2:孔径φ0.15mm×501孔
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル3:孔径φ0.15mm×1002孔
幅方向孔間ピッチ1.5mm
3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm
加圧水流噴射圧力を1MPaノズル1、圧力2MPa(ノズル2)、圧力1MPa(ノズル3)として、繊維の分散したスラリーをスラリー供給部より投入し、減圧脱水を経た後、ノズル1、ノズル2、ノズル3の順で通過させて交絡処理を加え3次元交絡構造を持つ抄紙体を得た。抄紙体を、ピンテンター試験機(辻井染機工業(株)製PT−2A−400)により150℃で3分間、乾燥させて抄紙体を得た。なお、抄紙体における炭素繊維(A)および炭素繊維前駆体短繊維(b)、フィブリル状繊維(b´)の分散状態は、良好でさらにハンドリング性は良好であった。
<5> 樹脂含浸・乾燥
得られた抄紙体にフェノール樹脂ディスパージョンを含浸させ、熱風乾燥機を用いて雰囲気温度100℃にて乾燥させた。
得られた抄紙体にフェノール樹脂ディスパージョンを含浸させ、熱風乾燥機を用いて雰囲気温度100℃にて乾燥させた。
<6> 加圧加熱成形
次に、この抄紙体の両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟み込むように配置し、ダブルベルトプレス装置にて190℃、ベルト速度0.2m/分にてプレス成形を行った。
次に、この抄紙体の両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟み込むように配置し、ダブルベルトプレス装置にて190℃、ベルト速度0.2m/分にてプレス成形を行った。
<7> 炭素化処理
その後、この前駆体シートをバッチ炭素化炉にて、窒素ガス雰囲気中、2000℃の条件下で1時間炭素化処理して多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材は反りやうねりが生じておらず平滑であった。
<8> コーティング液1の調製
第一のカーボン粉としてアセチレンブラック(平均粒径:0.035μm)、第二のカーボン粉として黒鉛粉(平均粒径:1μm)を用い、カーボン粉2をカーボン粉1に対して5重量%添加し、イオン交換水、イソプロピルアルコールをそれぞれ5:100:80の割合で混合し、ホモミクサーMARK−II(プライミクス株式会社製)を用いて、冷却しながら15000rpmで30分間撹拌を行って、コーティング液1を得た。
その後、この前駆体シートをバッチ炭素化炉にて、窒素ガス雰囲気中、2000℃の条件下で1時間炭素化処理して多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材は反りやうねりが生じておらず平滑であった。
<8> コーティング液1の調製
第一のカーボン粉としてアセチレンブラック(平均粒径:0.035μm)、第二のカーボン粉として黒鉛粉(平均粒径:1μm)を用い、カーボン粉2をカーボン粉1に対して5重量%添加し、イオン交換水、イソプロピルアルコールをそれぞれ5:100:80の割合で混合し、ホモミクサーMARK−II(プライミクス株式会社製)を用いて、冷却しながら15000rpmで30分間撹拌を行って、コーティング液1を得た。
<9> コーティング液2の調製
コーティング液1を冷却し、液温を10℃以下にした後、冷却しながらポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンをカーボンブラック1に対し、0.3の割合で添加しディスパーによって500rpmで5分間の撹拌を行い、コーティング液2を得た。
コーティング液1を冷却し、液温を10℃以下にした後、冷却しながらポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンをカーボンブラック1に対し、0.3の割合で添加しディスパーによって500rpmで5分間の撹拌を行い、コーティング液2を得た。
<10> 多孔質炭素電極基材用の撥水処理液の作成
多孔質炭素電極基材用の撥水処理液の作成には、PTFEディスパージョン(31−JR、三井デュポンフロロケミカル製)と界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)および蒸留水を用いた。撥水処理液における固形分濃度が、PTFEは1wt%、界面活性剤は2wt%となるように調整した後、蒸留水を添加して、ディスパーを用いて1000rpm、10分間撹拌することによって撥水処理液を作成した。
多孔質炭素電極基材用の撥水処理液の作成には、PTFEディスパージョン(31−JR、三井デュポンフロロケミカル製)と界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)および蒸留水を用いた。撥水処理液における固形分濃度が、PTFEは1wt%、界面活性剤は2wt%となるように調整した後、蒸留水を添加して、ディスパーを用いて1000rpm、10分間撹拌することによって撥水処理液を作成した。
<11> 多孔質炭素電極基材への撥水処理液の含浸
多孔質炭素電極基材を上記の撥水処理液に浸漬することによって含浸させた。含浸後の多孔質炭素電極基材をアプリケーター(テスター産業製)のガラス面に静置し、付属のアプリケーターバーを多孔質炭素電極基材に押し当て、アプリケーターバーを100mm/secの速度で搬送することによって、多孔質炭素電極基材に付着した余分な撥水処理液を取り除いた。
多孔質炭素電極基材を上記の撥水処理液に浸漬することによって含浸させた。含浸後の多孔質炭素電極基材をアプリケーター(テスター産業製)のガラス面に静置し、付属のアプリケーターバーを多孔質炭素電極基材に押し当て、アプリケーターバーを100mm/secの速度で搬送することによって、多孔質炭素電極基材に付着した余分な撥水処理液を取り除いた。
<12> コーティング層の形成
さらに、アプリケーター(テスター産業製)を用いてコーティング液2を多孔質炭素電極基材上に塗工し、ついで100℃に設定した熱風乾燥機を用いて20分間乾燥させた。さらに、乾燥後マッフル炉にて360℃1時間焼結処理をおこなってコーティング層を形成した多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、33μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は99ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.1μm、最大表面粗さは、12μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、8μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
さらに、アプリケーター(テスター産業製)を用いてコーティング液2を多孔質炭素電極基材上に塗工し、ついで100℃に設定した熱風乾燥機を用いて20分間乾燥させた。さらに、乾燥後マッフル炉にて360℃1時間焼結処理をおこなってコーティング層を形成した多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、33μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は99ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.1μm、最大表面粗さは、12μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、8μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例2>
カーボン粉2の添加割合をカーボン粉1に対して100重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、35μm、嵩密度は0.39g/cm3、透気度は91ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.7μm、最大表面粗さは、9μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、20μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
カーボン粉2の添加割合をカーボン粉1に対して100重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、35μm、嵩密度は0.39g/cm3、透気度は91ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.7μm、最大表面粗さは、9μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、20μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例3>
カーボン粉2を黒鉛粉(平均粒径7μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、28μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は100ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.3μm、最大表面粗さは、14μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、11μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例4>
カーボン粉2の添加割合をカーボン粉1に対して100重量%としたこと以外は、実施例3と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、34μm、嵩密度は0.37g/cm3、透気度は120ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.8μm、最大表面粗さは、9μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、22μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例5>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、36μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は60ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.3μm、最大表面粗さは、13μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、9μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例6>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、32μm、嵩密度は0.40g/cm3、透気度は66ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.6μm、最大表面粗さは、6μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、16μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例7>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例3と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、33μm、嵩密度は0.41g/cm3、透気度は94ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.4μm、最大表面粗さは、18μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、11μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例8>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例4と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は101ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.8μm、最大表面粗さは、7μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、22μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例9>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、30μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は99ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.8μm、最大表面粗さは、18μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、15μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例10>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、33μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は121ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.6μm、最大表面粗さは、15μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、21μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例11>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例3と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.41g/cm3、透気度は154ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.9μm、最大表面粗さは、17μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、14μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例12>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例4と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、35μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は201ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.7μm、最大表面粗さは、14μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、20μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<比較例1>
カーボン粉2をカーボンブラック(平均粒径0.040μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、30μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は61ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、4.4μm、最大表面粗さは、22μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、2μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
カーボン粉2を黒鉛粉(平均粒径7μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、28μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は100ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.3μm、最大表面粗さは、14μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、11μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例4>
カーボン粉2の添加割合をカーボン粉1に対して100重量%としたこと以外は、実施例3と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、34μm、嵩密度は0.37g/cm3、透気度は120ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.8μm、最大表面粗さは、9μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、22μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例5>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、36μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は60ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.3μm、最大表面粗さは、13μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、9μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例6>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、32μm、嵩密度は0.40g/cm3、透気度は66ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.6μm、最大表面粗さは、6μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、16μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例7>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例3と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、33μm、嵩密度は0.41g/cm3、透気度は94ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.4μm、最大表面粗さは、18μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、11μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例8>
カーボン粉1をカーボンブラック(平均粒径:0.040μm)としたこと以外は、実施例4と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は101ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、0.8μm、最大表面粗さは、7μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、22μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例9>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、30μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は99ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.8μm、最大表面粗さは、18μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、15μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例10>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、33μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は121ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.6μm、最大表面粗さは、15μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、21μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例11>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例3と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.41g/cm3、透気度は154ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.9μm、最大表面粗さは、17μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、14μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<実施例12>
カーボン粉1を黒鉛粉(平均粒径:1μm)としたこと以外は、実施例4と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、35μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は201ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、1.7μm、最大表面粗さは、14μmと良好であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、20μmと良好であった。表1に結果をまとめた。
<比較例1>
カーボン粉2をカーボンブラック(平均粒径0.040μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、30μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は61ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、4.4μm、最大表面粗さは、22μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、2μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例2>
カーボン粉2をカーボンブラック(平均粒径0.040μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は80ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、5.5μm、最大表面粗さは、24μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、6μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例3>
カーボン粉2を黒鉛粉(平均粒径15μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、28μm、嵩密度は0.37g/cm3、透気度は102ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、6.3μm、最大表面粗さは、35μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、33μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例4>
カーボン粉2を黒鉛粉(平均粒径15μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、27μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は50ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、7.2μm、最大表面粗さは、42μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、50μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例5>
カーボン粉2を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、30μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は60ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、3.3μm、最大表面粗さは、19μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、2μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例6>
カーボン粉2を用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、29μm、嵩密度は0.39g/cm3、透気度は80ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、4.4μm、最大表面粗さは、21μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、3μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例7>
カーボン粉2を用いなかったこと以外は、実施例9と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は102ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、6.2μm、最大表面粗さは、33μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、4μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
カーボン粉2をカーボンブラック(平均粒径0.040μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は80ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、5.5μm、最大表面粗さは、24μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、6μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例3>
カーボン粉2を黒鉛粉(平均粒径15μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、28μm、嵩密度は0.37g/cm3、透気度は102ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、6.3μm、最大表面粗さは、35μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、33μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例4>
カーボン粉2を黒鉛粉(平均粒径15μm)としたこと以外は、実施例2と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、27μm、嵩密度は0.38g/cm3、透気度は50ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、7.2μm、最大表面粗さは、42μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、50μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例5>
カーボン粉2を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、30μm、嵩密度は0.35g/cm3、透気度は60ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、3.3μm、最大表面粗さは、19μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、2μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例6>
カーボン粉2を用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、29μm、嵩密度は0.39g/cm3、透気度は80ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、4.4μm、最大表面粗さは、21μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、3μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
<比較例7>
カーボン粉2を用いなかったこと以外は、実施例9と同様にして、多孔質炭素電極を得た。得られた多孔質炭素電極のコーティング層の厚みは、31μm、嵩密度は0.36g/cm3、透気度は102ml/hr・cm2・mmAqであった。多孔質炭素電極のコーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さは、6.2μm、最大表面粗さは、33μmと不良であった。また、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、4μmと不良であった。表1に結果をまとめた。
Claims (6)
- 以下の工程[1]〜[4]を含む多孔質炭素電極の製造方法。
工程[1]:平均粒径が0.03〜10μmである第一のカーボン粉と、第一のカーボン粉の平均粒径よりも平均粒径が0.05〜10μm大きい第二のカーボン粉の2種類の粒径の異なるカーボン粉と撥水剤および界面活性剤、水からなるコーティング液を作成する工程。
工程[2]:多孔質炭素電極基材上に上記[1]の工程で作成したコーティング液を塗布し、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成させる工程。
工程[3]:塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を50〜200℃の環境下において塗工膜を乾燥させる工程。
工程[4]:乾燥後の塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材を300〜400℃の環境下において焼成することで、コーティング層を形成した多孔質炭素電極を製造する工程。 - コーティング液における第二のカーボン粉のその濃度が、第一のカーボン粉の重量に対し、5〜300重量%である請求項1に記載の多孔質炭素電極の製造方法。
- コーティング液における第二のカーボン粉のその濃度が、第一のカーボン粉の重量に対し、5〜100重量%である請求項1に記載の多孔質炭素電極の製造方法。
- 形成されるコーティング層の厚みが2〜100μmである請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質炭素電極の製造方法。
- 多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成された多孔質炭素電極であって、コーティング層が形成された表面の算術平均表面粗さが0.1〜2μm、かつ、最大表面粗さが5〜20μmであり、多孔質炭素電極の嵩密度が0.20〜0.75g/cm3、かつ、ガーレー法によって10点測定を行った際に測定される多孔質炭素電極の面直方法の透気度が5〜300ml/hr・cm2・mmAqである請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質炭素電極。
- 多孔質炭素電極基材の一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成された多孔質炭素電極であって、多孔質炭素電極基材のみで測定される水銀圧入法により測定される細孔径分布のうち、最も細孔容積の大きなピークの値に対し、コーティング層を付与された多孔質炭素電極の細孔径分布における最大容積のピーク値とのシフト幅が、8μm〜30μmである多孔質炭素電極。
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