JP2014167173A - 炭素繊維不織布の製造方法および不織布 - Google Patents

炭素繊維不織布の製造方法および不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、炭化焼成時の皺と目付バラツキが抑制された低目付の炭素繊維不織布を提供することにある。
【解決手段】平均繊維長が30mm〜100mmの炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率を10〜30重量%、炭化率が1.0%以下の消失繊維(A)の含有率を70〜90重量%とした混合原綿を用い、各工程を下記の順に行うことを特徴とする炭素繊維不織布の製造方法。
工程1:前記混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m以上とする工程。
工程2:工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程。
工程3:工程2で重ね合わせられたウェブを絡合させ不織布とする工程。
工程4:工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維不織布、特に、固体高分子形燃料電池などの電極基材に適した炭素繊維不織布の製造方法に関する。
近年、石油の枯渇やCO排出による地球温暖化への意識の高まりから、環境負荷の小さい風力発電や太陽光発電などクリーンエネルギーへの取り組みが盛んになってきている。
また将来的には、自動車においてもガソリンや軽油を必要としない、電気自動車や燃料電池自動車などが広く普及していくものと予想される。特に、燃料電池はCOを排出しない究極のクリーンエネルギーとも言われており、次世代自動車の動力源として注目されている。
燃料電池の一つである固体高分子型燃料電池は、GDL(Gas Diffusion. Layer)と呼ばれるガス拡散体が、触媒が一体化された電解質膜の両面に配置された構造を有し、水素と酸素のガスを供給することにより発電し、発電反応により水が生成する。GDLは、供給されたガスの拡散および発電反応で生じた水の排出を行う部材であり、一般的には、炭素繊維に樹脂炭化物が付着したカーボンペーパーが用いられてきた。
発電反応においては、ガスの供給と水の排出のいずれかが滞ると発電能力が低下するため、GDLには高い気体透過性が求められる。カーボンペーパーの気体透過性を上げるため、細孔モード径をコントロールする方法が提案されているが(例えば、特許文献1)、この方法のみで気体透過性を大幅に向上させるには限界があった。
そこで、可撓性のある耐炎繊維にクリンプ処理し、カード加工を行って作製した乾式ウェブに、ウォータージェットパンチやニードルパンチを行い、樹脂付与や熱プレスした後に炭化焼成した炭素繊維不織布をGDLとして利用することが提案されている(例えば、特許文献2)。乾式ウェブは湿式抄造法で作製されるカーボンペーパーに比べ、基材に多くの空隙が形成されるため、気体透過性の向上が容易である。しかしながら、この方法で得られる炭素繊維不織布は嵩密度が低いため、圧縮による変形で炭素繊維が壊れやすく、さらに目付が大きいためGDLとして用いるのに適したものではなかった。また、強度向上のため、あるいは炭素繊維間の接触面積を増やして電気抵抗を低下するために、耐炎繊維の乾式ウェブに熱硬化性樹脂などを付与して炭化焼成すると、耐炎繊維に付着した樹脂が焼成時の耐炎繊維の収縮を阻害して皺が入ったり、シートが硬くなったりするという課題があった。
炭素繊維不織布を用いたGDLが有する課題の解決のためには、耐炎繊維に熱可塑性繊維を混合して乾式ウェブとする方法が提案されている(例えば、特許文献3)。この方法であれば、耐炎繊維炭化時の皺を抑制することができ、熱可塑性繊維が炭化してバインダーとなるため、耐炎繊維のみのウェブを炭化焼成する場合に比べ、シートの硬化を抑えながら強度を向上することができる。
国際公開番号WO2007/037084号公報 特許第4582905号公報 特開2005−240224号公報
しかし、特許文献3に記載の方法では、GDL用として乾式ウェブを低目付化したことで目付けバラツキが大きくなるという課題があった。本発明は、炭化焼成時の皺が発生せず、かつ低目付でも目付バラツキが小さい炭素繊維不織布を提供することを目的とする。
ここで発明者らは、上述の炭素繊維不織布では耐炎繊維と熱可塑性繊維の炭化収率に大きな差があることに着目し、炭素繊維不織布の製造方法において、低炭化収率の繊維含有率とウェブ目付を特定の範囲とした不織布を形成した後に炭化焼成を行うことで、目付バラツキが抑制された低目付の炭素繊維不織布を製造できるのではないかと考え、以下の発明に想到した。
すなわち、本発明は、平均繊維長が30mm〜100mmの炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率を10〜30重量%、炭化率が1.0%以下の消失繊維(A)の含有率を70〜90重量%とした混合原綿を用い、各工程を下記の順に行うことを特徴とする炭素繊維不織布の製造方法である。
工程1:前記混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m以上とする工程。
工程2:工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程。
工程3:工程2で重ね合わせられたウェブを絡合させ不織布とする工程。
工程4:工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程
本発明により、皺と目付バラツキが抑制された、特に、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極に適した炭素繊維不織布が提供できる。
<炭素繊維前駆体繊維>
本発明において、炭素繊維前駆体繊維とは、焼成工程を経て炭素繊維不織布とした場合に、消失せずに炭素繊維として残存する繊維をいう。本発明に用いることができる炭素繊維前駆体繊維の種類は特に限定されるものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系耐炎繊維やピッチ系不融化繊維、フェノール樹脂繊維などを用いることがでる。なかでも、強伸度が高く、加工性の良いPAN系耐炎繊維を用いることが好ましい。
PAN系耐炎繊維としては、アクリロニトリル90重量%、好ましくは95重量%以上からなるアクリル系共重合体を使用することが好ましい。アクリロニトリルと共重合するコモノマーとしては、アクリル酸、イタコン酸等の有機酸、若しくはそれらの有機酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、またはアリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸等の有機酸、若しくはそれら有機酸の金属塩等が挙げられる。
アクリル系共重合体は、乳化重合、塊状重合あるいは溶液重合等の公知の方法によって重合することができ、紡糸原液は、ジメチルアセチアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、硝酸あるいはロダンソーダー水溶液等により調製することができる。なお、紡糸原液中のアクリロニトリル共重合体の濃度は、好ましくは13〜25重量%、より好ましくは15〜20重量%である。アクリロニトリル共重合体の濃度が13重量%未満の場合は、乾湿式紡糸法により得られる繊維の表面に、フィブリルに起因する凹凸の発生が顕在化し、得られる炭素繊維の強度特性が低下することがある。
次に、この紡糸原液を口金から一旦空気中に押し出し、溶媒と水から成る凝固浴中に紡出する乾湿式紡糸法により紡糸後、水洗、浴延伸する。ここで構成単繊維間での接着を有効に抑止するために、例えば、アミノ変性シリコーンを必須成分としたシリコーン系油剤等を付与することが好ましい。その後、乾燥緻密化し必要に応じて加圧スチーム等の熱媒中で延伸することによりPAN系前駆体繊維を得る。
このようにして得られたPAN系前駆体繊維を、200〜300℃の空気雰囲気中で、必要に応じて延伸しながら加熱することによりPAN系耐炎化繊維を得る。
炭素繊維前駆体繊維は、炭化率が40%以上のものを用いることができる。ここで、炭化率とは、電気炉を用いて窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で、昇温速度10℃/分にて1000℃まで加熱して繊維を焼成した際の、焼成前重量に対する焼成後重量の比を百分率で表した値であり、以下の式から求めることができる。
炭化率(%)=焼成後重量/焼成前重量×100
本発明に用いられる炭素繊維前駆体繊維は、平均繊維長30〜100mmに切断し、短繊維とされたものが用いられる。平均繊維長が30mm未満である場合は、紡出工程においてカードを通過する際の落綿が増加する傾向にあり、100mmを超えるとウェブの均一性が悪化する傾向がある。炭素繊維前駆体繊維の平均繊維長は30mm〜80mmであることがより好ましく、40〜70mmであることがさらに好ましい。なお、本発明における平均繊維長は、数平均繊維長を意味する。
また、不織布作製の際のカード通過性とウェブの均一性の観点から、捲縮数が2.3〜7.1山/cm、捲縮率が7〜18%の捲縮が繊維に付与されていることが好ましい。
<消失繊維(A)>
消失繊維(A)は、カードから紡出されるウェブの目付を嵩上げし、ウェブおよびウェブを複数枚積層して作製する不織布の目付バラツキを抑制する目的で炭素繊維前駆体繊維と混合する繊維である。消失繊維(A)としては炭化率が1.0%以下の繊維を用いることができる。繊維種は特に限定されるものではないが、例えばポリアミドやポリプロピレンなどを用いることができ、融点が高く炭化焼成時の寸法安定性が良い点で、脂肪族ポリアミドを用いることが好ましい。脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド11、ポリアミド12などを用いることができるが、中でも融点が高い、ポリアミド6やポリアミド6,6を用いることが特に好ましい。炭化率が1.0%を超えるポリエチレンテレフタレート、アクリルなどの繊維を消失繊維(A)として使用した場合、焼成時に消失繊維(A)の炭化物が炭素繊維前駆体の収縮を阻害して皺が入りやすくなったり、炭素繊維不織布が硬くなるため折れやすく、巻き取りが困難になったりする傾向がある。
また、本発明において、消失繊維(A)は、平均繊維長が前記炭素繊維前駆体繊維と同様のものを用いることが好ましい。
<混合原綿>
混合原綿は、平均繊維長が30mm〜100mmかつ炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率が10〜30重量%、炭化率が1.0%以下の消失繊維(A)の含有率が70〜90重量%となるように繊維を混合して作成する。炭素繊維前駆体繊維は、平均繊維長30mm〜100mmとなるように切断して短繊維とする前に、クリンパーによる捲縮付与を行うことが好ましい。また、短繊維の混合方法は特に限定されず、所望の比率となるように各繊維をカードに供給する方法等を用いることができる。
炭素繊維前駆体繊維の含有率が10重量%未満では隣接する炭素繊維前駆体繊維との距離が離れるため、繊維同士の絡みが減少して、炭化焼成後の炭素繊維不織布の強度が低下する傾向にあり、30重量%を超えると、消失繊維(A)の目付が減ることになるため、炭素繊維前駆体繊維と消失繊維(A)を混合したウェブの目付が減少して均一性が下がり、目付バラツキが悪化する傾向にある。炭素繊維不織布の強度と目付バラツキのバランスから、炭素繊維前駆体繊維の含有率は15〜30重量%とすることが好ましく、20〜30重量%とすることがさらに好ましい。
混合原綿における消失繊維(A)の含有率は、カードから紡出されるウェブの目付を嵩上げし、ウェブの目付バラツキを抑制する効果を得る観点から70〜90重量%であり、70〜85重量%であることが好ましく、70〜80重量%であることがさらに好ましい。
本発明¥で得られる炭素繊維不織布を固体高分子形燃料電池のGDLとして用いる場合、炭素繊維前駆対と消失繊維(A)からなる不織布の炭化焼成後の目付を20〜100g/m程度とすることが好ましい。消失繊維(A)の混率が低い場合、焼成後の炭素繊維不織布の目付を20〜100g/mにするには、ウェブの目付を低くするか、ウェブの重ね枚数を少なくすることになるため、目付バラツキが大きくなりやすい。
本発明の炭素繊維不織布の製造方法は、
工程1:前記混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m以上とする工程。
工程2:工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程。
工程3:工程2で重ね合わせられたウェブを絡合させ不織布とする工程。
工程4:工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程。
の各工程を有する。以下、各工程について説明する。
<工程1>
工程1は、混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m以上とする工程である。カードから紡出されるウェブの目付は、カード時の通過性と紡出されるウェブの均一性の観点から、20.0g/m以上に調整されるが、20.0〜80.0g/mであることがより好ましく、25〜70g/mであることがさらに好ましく、30.0〜60.0g/mであることが一層好ましい。ウェブの目付が20.0g/m未満であると、目付の均一性が低下する傾向にあり、80.0g/mを超えるとカードの通過性が低下する傾向にある。
<工程2>
工程2は、工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程である。
ウェブの重ね合わせの枚数の上限は特にないが、枚数を多くすると生産速度が低下するため、重ね枚数は8〜15枚が好ましく、10〜15枚がより好ましく、10〜13枚がさらに好ましい。重ね枚数が8枚未満であると、目付の均一性が低下する傾向にあり、目付バラツキが小さい耐炎繊維不織布を得ることが難しい。
<工程3>
工程3は、工程2で得られたウェブを絡合させ不織布とする工程である。
重ね合わせたウェブは、機械的に絡合させることで不織布を作成する。絡合方法は、特に限定されないが、ウェブが高目付であるため高圧水流処理による交絡では十分に絡ませることが難しいため、ニードルパンチによる交絡が好ましい。また、後の工程のハンドリングを良好にするため、不織布の密度を0.05g/cm以上とすることが好ましい。
不織布の目付は、ウェブ1枚当たりの目付とウェブの重ね枚数を増やし、目付バラツキを抑制する観点から、160.0g/m以上であることが好ましい。不織布の目付の上限は特になく、炭化焼成後の不織布目付が20〜100.0g/mとなるように調整すれば良いが、経済性と目付バラツキとのバランスから180.0〜500.0g/mとすることがより好ましく、200.0〜450.0g/mとすることがさらに好ましい。
また、不織布の目付の変動係数は2.0%以下であることが好ましい。目付の変動係数は、不織布の目付の標準偏差を目付の平均値で除することで算出した値である。固体高分子型燃料電池は発電時に熱が生じるため、温度により電解質膜の膨張・収縮が起きる。電解質膜は厚さが数十μmと薄いため、目付の変動係数が2.0%を超えると部分的に厚みが厚い箇所が生じ、ガスの拡散性や水の排水性にムラが生じて電池性能が低下したり、電解質膜の膨張時に炭素繊維が突き刺さり、ガスや電流のリークが増加したりする傾向にある。目付の変動係数は2.0以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
工程3では、得られた不織布をさらに圧縮処理に供し、緻密化する工程を行うことが好ましい。圧縮処理はカレンダーやプレス機を用いて行うことができる。プレス時の温度は、消失繊維(A)および後述する消失繊維(B)の溶融温度以下とすることが好ましく、160〜240℃であることがより好ましい。また、プレス圧力は1MPa以下であることが好ましい。この圧縮処理により、不織布の見かけ密度を0.400〜1.000g/cmとすることが好ましく、0.500〜0.900g/cmとすることがより好ましく、0.600〜0.900g/cmとすることがさらに好ましい。
また、工程4の前に、工程2または工程3で得られた炭素繊維前駆体繊維と消失繊維(A)からなるウェブまたは不織布を、別途作製した炭化率が5.0%以下の消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布と絡合し、一体化した不織布とすることは、気体や液体を通す際の通過抵抗がさらに小さい炭素繊維不織布を得ることができる点で本発明の好ましい態様の一つである。
消失繊維(B)は、炭化率が5.0%以下の繊維であれば特に限定されないが、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンなどの繊維を用いることができる。また、消失繊維(B)は、消失繊維(A)と同じ繊維であっても良い。
この場合、工程3においては、炭素繊維前駆体繊維と消失繊維(A)からなるウェブまたは不織布を、消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布に重ね、ニードルパンチで炭素繊維前駆体繊維を表面から裏面まで貫通させて一体化し、炭素繊維前駆体繊維が表裏面に存在する不織布を作製する。このようにすることで、炭化焼成後に消失繊維(A)、(B)が消失し、炭素繊維前駆体繊維のみが炭素繊維として残留し、炭素繊維が表裏面を形成し、内部に大きな空隙を有する炭素繊維不織布が得られる。この炭素繊維不織布は、内部に大きな空隙が存在するため、気体や液体を通す際の圧力損失が低下し、通過抵抗をさらに小さいものとなる。
消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布を一体化した場合でも、消失繊維(B)と炭素繊維前駆体繊維とは部分的に接触するのみである。そのため、消失繊維(B)の炭化率が消失繊維(A)に比べて高い場合であっても、焼成により消失繊維(B)の炭化物が付着して皺が入ったり、炭素繊維不織布が硬化したりすること少ないが、消失繊維(B)の炭化率が大きくなる程得られる炭素繊維不織布は硬くなる傾向にある。そのため、消失繊維(B)の炭化率は5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
消失繊維(B)からなる織編物の構造としては、特に制限されるものではないが、織物の組織としては、平織、綾織、絡み織、朱子織などを用いることができる。また、編物の組織としては、平編、ゴム編などのヨコ編みや、シングルデンビー編、シングルアトラス編などタテ編みなどを用いることができる。
消失繊維(B)からなる織編物または不織布の目付は特に限定されるものではないが、目付が30.0〜300.0g/mであることが好ましく、40.0〜250.0g/mであることがより好ましく、50.0〜200.0g/mであることがさらに好ましい。目付が30.0g/m未満であると炭化焼成後に形成される空隙が小さく、気体透過性改善効果が小さいく、目付が300.0g/mを超えると空隙が大きくなり過ぎ、炭素繊維不織布の物理強度が低下する傾向にある。
なお、低目付の不織布と消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布を一体化した場合、不織布自体の目付ばらつきや、一体化工程で目付ばらつきが大きくなる傾向にあるが、本発明においては、消失繊維(A)による目付の嵩上げにより、一体化を行っても目付ばらつきを抑制することができる。
<工程4>
工程4は、工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程である。
焼成は、バッチ式、連続式のいずれの加熱炉でも用いることができる。焼成は、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下にて1500℃以上で行うことが好ましい。焼成温度は1800℃以上であることがより好ましく、2000℃以上であることがさらに好ましい。焼成温度が低い場合、焼成で得られる炭素繊維の導電性が低くなり、固体高分子形燃料電池のGDLとして用いた場合に、電気抵抗が大きくなるため電池性能が低下する。また、加熱炉の消費エネルギーの観点から、焼成温度は3000℃以下であることが好ましい。
固体高分子形燃料電池のGDLとして用いる場合、不織布を不活性雰囲気下にて2000℃で焼成した後の炭素繊維不織布の目付は、20.0〜100.0g/mであることが好ましく、20.0〜70.0g/mであることがより好ましく、20.0〜60.0g/mであることがさらに好ましい。炭素繊維不織布の目付が20.0g/m未満であると、得られる炭素繊維不織布の強度が低くハンドリングが悪くなる傾向にあり、100.0g/mを超えるとガスの拡散性や水の排水性が低下したりする傾向にある。
なお、工程4の前に、不織布の焼成後の引張強度、圧縮強度を上げるため、不織布に熱硬化樹脂と黒鉛を付着させてもよい。この場合、熱硬化樹脂溶液に黒鉛粉末を分散させた溶液を不織布に含浸して乾燥することで、不織布に黒鉛を付着させることができる。熱硬化樹脂と黒鉛は、不織布の重量に対して合計10〜30重量%付着させることが好ましい。また、不織布は、消失繊維(A)および消失繊維(B)が焼成中に消失して空隙となるため、付着した熱硬化性樹脂が炭素繊維前駆体繊維の収縮を阻害することがなく、焼成時に皺が入ることを抑制することができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂およびエポキシ樹脂などを用いることができるが、不活性雰囲気下で加熱した際の炭化収率が高いフェノール樹脂を用いることが好ましい。
また、熱硬化性樹脂の急激な炭化収縮による樹脂炭化物のひび割れを抑制するため、付着させる黒鉛の平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、1〜8μmがより好ましく、3〜6μmがさらに好ましい。また、黒鉛付着量に対して熱硬化性樹脂が少ない場合、黒鉛が脱落しやすくなるため、熱硬化性樹脂と黒鉛の混合溶液中の固形分比率は、3:2〜9:1とすることが好ましい。
また、工程4の後に、工程4で得られた炭素繊維不織布に熱硬化樹脂と黒鉛を付着させ、不活性雰囲気下で再度焼成する工程を含めることは本発明の好ましい態様の一つである。このようにすることで、気体や液体を通す際の通過抵抗が小さく、かつ電気抵抗も小さい、GDLとしての使用に適した炭素繊維不織布を得ることができる。
この場合、工程4で得られた炭素繊維不織布に対し、熱硬化樹脂と黒鉛を合計40〜150重量%付着させることが好ましい。焼成条件は、1度目の焼成と同様の条件で行うことができる。
実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
A.数平均繊維長
JIS L 1015 8.4.1 A法(2001)に準拠して測定した。
B.炭化率
炭化率は、熱重量測定(TG:Thermo Gravimetry)により求めることができる。繊維を90℃以上の熱湯に3分浸漬した後、新しい熱湯に3分浸漬を3回繰り返して付着した油剤を除去し、100℃の乾燥機で60分乾燥させる。その後、真空乾燥機中にて12時間以上乾燥させた試料について、電気炉を用い、窒素雰囲気下で10℃/minの昇温条件にて1000℃まで昇温した後、温度を10分キープして得られた減量カーブにおいて、重量保持率を炭化率とした。
C.目付
20cm×20cmの試験片を20枚採取し、それぞれの試験片の重量から目付を求めた。
D.目付の変動係数
上記の方法で測定した目付の平均値と標準偏差を算出し、下式から変動係数を算出した。
変動係数(%)=標準偏差/目付平均×100
E.気体透過抵抗
試験片(直径50mm)を内径12mm、外径100mmの円盤で挟み、1MPaに加圧した。片側の円盤の中空部に、空気を流量1.0L/分で供給し、もう一方の円盤の中空部は大気開放とした。このときの供給側圧力(開放側との圧力差)を気体透過抵抗とした。
F.電気抵抗
試験片(20mm×20mm)を100mm×100mmの金メッキした銅板に挟み、1MPaに加圧した。銅板間に1.0Aの電流を流し、試験片を挟まない場合との電気抵抗との差を試験片の電気抵抗とした。

炭素繊維前駆体繊維製造例1
アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法により、1デシテックス、フィラメント数12,000のPAN系繊維束を得た。得られたPAN系繊維束を240〜280℃の温度の空気中で、延伸比1.05で加熱し、PAN系耐炎繊維(密度1.38g/cm)とした。このPAN系耐炎繊維の炭化率は、52.1%だった。
混合原綿製造例1
炭素繊維前駆体繊維製造例1で作製したPAN系耐炎繊維を押し込み式クリンパーにより捲縮糸とした。得られたジグザグ形状の捲縮糸の捲縮数は7.1/25mm、捲縮率は12.7%であった。この耐炎繊維を平均繊維長76mmに切断した。その後、PAN系耐炎繊維を20重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を80重量%となるようにカードに供給して均一に混綿し、混合原綿を作製した。
混合原綿製造例2
PAN系耐炎繊維の平均繊維長を100mmに切断した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例3
PAN系耐炎繊維の平均繊維長を38mmに切断した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例4
PAN系耐炎繊維を15重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を85重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例5
PAN系耐炎繊維を75重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を25重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例6
PAN系耐炎繊維を55重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を45重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例7
PAN系耐炎繊維を5重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を95重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例8
PAN系耐炎繊維を30重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を70重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例9
PAN系耐炎繊維を20重量%、ポリアミド6の代わりに、炭化率1.4%、平均繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートを80重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
織物の製造例1
極限粘度が0.66のポリエチレンテレフタレートを紡糸および延伸し、56デシテックス48フィラメントの繊維を得た。これをS撚りで2400T/m(撚係数17960)で撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った。同様に、Z撚りで2400T/m(撚係数17960)で撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った糸を作製した。タテ糸に、S撚りの糸とZ撚りの糸を交互に配し、ヨコ糸にS撚りの糸を用い、織組織を絡み織とし、タテ糸82本/2.54cm、ヨコ糸69本/2.54cmの織密度で、目付60g/mの織物を作製した。この織物の炭化率は、1.4%だった。
実施例1
混合原綿製造例1で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.2g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付313.2g/m、目付変動係数1.8%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.453g/cmとした。これをアルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付43.3g/m、目付変動係数1.7%の目付変動が小さい炭素繊維不織布が得られた。結果を表1に示す。
実施例2
混合原綿製造例2で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.2g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付308.4g/m、目付変動係数1.9%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.454g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付42.2g/m、目付変動係数2.0%の目付変動が小さい炭素繊維不織布が得られた。結果を表1に示す。
実施例3
混合原綿製造例3で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.0g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付312.6g/m、目付変動係数1.6%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.447g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付43.1g/m、目付変動係数1.8%の目付変動が小さい炭素繊維不織布が得られた。結果を表1に示す。
実施例4
混合原綿製造例4で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が50.5g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが8層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付424.4g/m、目付変動係数1.6%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.441g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付45.8g/m、目付変動係数1.6%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例1
炭素繊維前駆体繊維製造例1で作製したPAN系耐炎繊維を押し込み式クリンパーにより捲縮糸とした。得られたジグザグ形状の捲縮糸の捲縮数は7.1/25mm、捲縮率は12.7%であった。この耐炎繊維を平均繊維長76mmに切断した。その後、この耐炎繊維をカードに供給し、耐炎繊維からなる原綿を作製した。
この耐炎繊維からなる原綿を、カードから紡出されるウェブの目付が10.4g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが8層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付82.5g/m、目付変動係数5.1%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.397g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付57.1g/m、目付変動係数5.0%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例2
混合原綿製造例5で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が9.3g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付93.2g/m、目付変動係数4.0%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.409g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付47.2g/m、目付変動係数4.1%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例3
混合原綿製造例6で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が12.4g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付124.7g/m、目付変動係数3.5%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.414g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付46.4g/m、目付変動係数3.5%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例4
混合原綿製造例7で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が35.0g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが18層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付650.2g/m、目付変動係数1.8%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.462g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付25.2g/m、目付変動係数1.9%と目付変動が小さい炭素繊維不織布となったが、焼成前の不織布中に含まれる炭素繊維前駆体量が5%と低く、繊維同士の絡みが少ないため強度が低く折れやすい炭素繊維不織布となり、ハンドリングが悪いものであった。結果を表1に示す。
比較例5
混合原綿製造例8で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が16.5g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが8層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付132.9g/m、目付変動係数3.2%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.410g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付25.7g/m、目付変動係数3.1%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例6
混合原綿製造例1で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が50.5g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが5層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付253.1g/m、目付変動係数3.3%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.419g/cmとした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付34.3g/m、目付変動係数3.4%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例7
混合原綿製造例9で作製した混合原綿を用いた以外は、実施例1と同様に行い、目付311.5g/m、目付変動1.8%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.467g/cmとした。これをアルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付45.2g/m、目付変動係数2.7%の炭素繊維不織布となった。また、焼成で皺が入ったことに加え、炭素繊維不織布が硬く巻き取りが困難で高分子形燃料電池などの電極基材に向かないものであった。結果を表1に示す。
Figure 2014167173
実施例5
実施例1で熱プレスを行った不織布に、荒川化学(株)製レゾール型フェノール樹脂タマノル759と(株)中越黒鉛工業所製鱗片状黒鉛BF−5Aを固形分比8:2となるようにメタノール中で混合した溶液を含浸、乾燥を行い、不織布の重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて16重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付88.3g/m、目付変動係数2.0%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は28Pa、電気抵抗は2.2mΩだった。結果を表2に示す。
実施例6
実施例1で作製した炭素繊維不織布に、荒川化学(株)製レゾール型フェノール樹脂タマノル759と(株)中越黒鉛工業所製鱗片状黒鉛BF−5Aを固形分比8:2となるようにメタノール中で混合した溶液を含浸、乾燥を行い、炭素繊維不織布の重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて127重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付78.8g/m、目付変動係数1.8%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は26Pa、電気抵抗は2.1mΩだった。結果を表2に示す。
実施例7
混合原綿製造例1で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.2g/mとなるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとした。これを織物の製造例1で作成した織物の上に乗せ、ニードルパンチにて繊維を交絡させて目付369.7g/m、目付変動係数2.0%の織物が一体化した不織布を作製した。次いで、温度220℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.526g/cmとした。これをアルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付43.7g/m、目付変動係数2.0%であり、内部に織物の繊維径と同等の空隙が開いた炭素繊維不織布が得られた。これに実施例6と同様にフェノール樹脂と黒鉛の含浸、硬化、焼成を行い、目付77.3g/m、目付変動係数2.0%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は20Pa、電気抵抗は2.0mΩだった。結果を表2に示す。
比較例8
比較例1で熱プレスを行った不織布に、荒川化学(株)製レゾール型フェノール樹脂タマノル759と(株)中越黒鉛工業所製鱗片状黒鉛BF−5Aを固形分比8:2となるようにメタノール中で混合した溶液を含浸、乾燥を行い、不織布の重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて60重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付91.7g/m、目付変動係数6.5%と目付変動が大きかった。また、焼成により大きな皺が発生したことに加え、炭素繊維不織布が硬く巻き取りが困難で高分子形燃料電池などの電極基材に向かないものであった。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は29Pa、電気抵抗は2.4mΩだった。結果を表2に示す。
比較例9
東レ(株)製PAN系炭素繊維“トレカ”T300−6Kを平均繊維長12mmにカットし、水を抄造媒体として抄造した後、ポリビニルアルコールの10重量%水溶液に浸漬し、乾燥することで目付40.4g/mの炭素繊維紙を作成した。この炭素繊維紙に実施例4と同様にフェノール樹脂と黒鉛を含浸し、炭素繊維紙重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて127重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付70.5g/m、目付変動係数0.9%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は36Pa、電気抵抗は2.1mΩと実施例に比べて気体透過抵抗が大きいものであった。結果を表2に示す。
Figure 2014167173

Claims (8)

  1. 平均繊維長が30mm〜100mmの炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率を10〜30重量%、炭化率が1.0%以下の消失繊維(A)の含有率を70〜90重量%とした混合原綿を用い、各工程を下記の順に行うことを特徴とする炭素繊維不織布の製造方法。
    工程1:前記混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m以上とする工程。
    工程2:工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程。
    工程3:工程2で重ね合わせられたウェブを絡合させ不織布とする工程。
    工程4:工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程。
  2. 消失繊維(A)が脂肪族ポリアミド繊維である請求項1に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
  3. 工程4の前に、工程2で得られたウェブまたは工程3で得られた不織布と、炭化率5.0%以下の消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布を、一体化する工程を含む請求項1または2に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
  4. 工程4の前に、工程3で得られた不織布に熱硬化樹脂と黒鉛を付着させる工程を含む、請求項1〜3に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
  5. 工程4の後に、工程4で得られた炭素繊維不織布に熱硬化樹脂と黒鉛を付着させ、不活性雰囲気下で再度焼成する工程を有する請求項1〜請求項4に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
  6. 平均繊維長が30mm〜100mmで炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率が10〜30重量%、炭化率1.0%以下の消失繊維(A)の含有率が70〜90重量%であることを特徴とする不織布。
  7. 消失繊維(A)が脂肪族ポリアミドであることを特徴とする請求項6に記載の不織布。
  8. 請求項6または7に記載の不織布に、さらに別途作成した炭化率が5.0%以下の消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布が一体化されてなる不織布。
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