JP2005240224A - 高密度耐炎繊維不織布及び炭素繊維不織布、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

高密度耐炎繊維不織布及び炭素繊維不織布、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 厚さ、目付の均一性に優れ、適度な剛性とガス透過性を有する炭素繊維不織布、その前駆体である高密度耐炎繊維不織布、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 高密度耐炎繊維不織布は、耐炎繊維含有率が55〜95質量%、熱可塑性合成繊維含有率が5〜45質量%、目付が80〜320g/m2、目付の変動係数が3.0%以下、並びに、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、嵩密度が0.40〜0.85g/cm3及び厚さの変動係数が3.0%以下である。炭素繊維不織布は、目付が30〜100g/m2及び目付の変動係数が5.0%以下、並びに、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、嵩密度が0.20〜0.50g/cm3及び厚さの変動係数が5.0%以下である。前記炭素繊維は、前記高密度耐炎繊維不織布を不活性ガス雰囲気下で1000〜2800℃の温度で処理することにより得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、適度な剛性を持ち、取扱性に優れた高密度耐炎繊維不織布及び炭素繊維不織布、並びにそれらの製造方法に関する。更に詳しくは、適度なガス透過性を持ち、厚さ、目付の均一性に優れた、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層に好適に用いられる炭素繊維不織布、及びその炭素繊維不織布の原料として好適に用いられる高密度耐炎繊維不織布、並びに、それら不織布の製造方法に関する。
通電性、ガス透過性を有し、化学的安定性に優れた特性を有するシート状の炭素材料を、燃料電池用のガス拡散層として用いる応用開発が進められている。中でも固体高分子型燃料電池では、ガス拡散層、高分子電解質膜、セパレータを接合したセルを、用途に応じて数十〜数百枚積層する。そのため、特にガス拡散層として用いる炭素材料には厚さや目付に関し高い均一性が要求されている。
このような炭素材料の一つとして、耐炎繊維不織布を不活性ガス雰囲気下、1000℃以上の温度で焼成して得られる炭素繊維不織布が知られている。炭素繊維不織布は、適度な柔軟性を有することから、炭素繊維織物や炭素繊維紙等、他のタイプのガス拡散層用炭素材料に比べ取扱性に優れている事が特徴として挙げられる。
しかし、炭素繊維不織布は一般的に嵩密度が低く、燃料電池用ガス拡散層として重要な特性の一つである厚さ方向の電気抵抗値が高いという問題がある。また、炭素繊維不織布はガス透過性が高くなりすぎる傾向にある。特に、高電流密度域で燃料電池を作動させた場合は高分子電解質膜が適度な水分を保持できず、抵抗が増加して電池性能が低下するという問題がある。
この問題を解決するため、本発明者が属する研究グループは、炭素繊維不織布の前駆体である耐炎繊維不織布を熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等のバインダー溶液に含浸し、樹脂処理した後に圧縮処理で厚さを薄くして高密度にし、その後に焼成して嵩密度の高い炭素繊維不織布を得る方法を提案し、先に出願した(特許文献1)。
しかし、この方法では繊維同士の接点の大部分がバインダーにより接着されている。そのため、繊維間の自由度が少なく、焼成時に発生する耐炎繊維の収縮が繊維間の滑りによって緩和されないことから、焼成時に皺が発生し、厚さの均一性が低くなるという問題がある。
更に、液状のバインダー、特にフェノール樹脂等の熱硬化性バインダーを用いると、バインダー成分が複数の繊維によって構成される網目構造に付着して膜を形成する。この膜が焼成後も炭化された状態で残るため、ガスの透過や電池反応によって生成する水の排出を阻害する問題がある。
また、一般的に炭素繊維不織布は、炭素繊維織物や炭素繊維紙に比べて厚さや目付等の特性の均一性が低い。そのため、ガス拡散層として用いた場合、薄い部分や目付の低い部分は電池内で他部材との接触抵抗が高くなり、電池性能が低下するという問題がある。
目付の均一性を高めるため、一般的な合成繊維不織布では、低目付のウェブを複数枚積層して厚さを均一化させる手法がとられる。しかし、耐炎繊維は一般の合成繊維に比べて結節強度が低いため、低目付のウェブの製造が困難である。
特開2002−194650号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0044]〜[0060])
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、耐炎繊維と熱可塑性合成繊維とを所定割合含有させた耐炎繊維不織布に、所定の条件で圧縮処理を施すことにより、耐炎繊維含有率、熱可塑性合成繊維含有率、並びに、目付、嵩密度及びそれらの変動係数等の諸物性が所定範囲内にある高密度耐炎繊維不織布が得られることを知得した。
また、この高密度耐炎繊維不織布は、適度な剛性を持ち、取扱性に優れていることを本発明者は知得した。
更に、この高密度耐炎繊維不織布を所定の条件で焼成して得た炭素繊維不織布は、適度なガス透過性を持ち、厚さ、目付の均一性に優れ、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層に好適に用いられることを本発明者は知得し、本発明を完成するに到った。
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した、高密度耐炎繊維不織布及び炭素繊維不織布、並びにそれらの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 耐炎繊維含有率が55〜95質量%、熱可塑性合成繊維含有率が5〜45質量%、目付が80〜320g/m2、目付の変動係数が3.0%以下、並びに、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、嵩密度が0.40〜0.85g/cm3及び厚さの変動係数が3.0%以下であることを特徴とする高密度耐炎繊維不織布。
〔2〕 熱可塑性合成繊維がその分子主鎖中に芳香族を含む構造である〔1〕記載の高密度耐炎繊維不織布。
〔3〕 耐炎繊維の繊度が0.5〜3.4dtex、熱可塑性合成繊維繊度が0.9〜3.4dtexである〔1〕記載の高密度耐炎繊維不織布。
〔4〕 耐炎繊維含有率55〜95質量%、熱可塑性合成繊維含有率5〜45質量%の耐炎繊維不織布に、温度100〜240℃、圧力1〜100MPaの条件で圧縮処理を施すことを特徴とする高密度耐炎繊維不織布の製造方法。
〔5〕 圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布の嵩密度を0.40〜0.85g/cm3とする〔4〕記載の高密度耐炎繊維不織布の製造方法。
〔6〕 圧縮処理前の耐炎繊維不織布を、目付が30g/m2以下のウェブを複数枚積層して目付を80〜320g/m2とすることにより得る〔4〕記載の高密度耐炎繊維不織布の製造方法。
〔7〕 目付が30〜100g/m2及び目付の変動係数が5.0%以下、並びに、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、嵩密度が0.20〜0.50g/cm3及び厚さの変動係数が5.0%以下であることを特徴とする炭素繊維不織布。
〔8〕 剛軟度が30〜100mN・cmである〔7〕記載の炭素繊維不織布。
〔9〕 ガス透過性が200〜700ml/min・cm2・mmH2Oである〔7〕記載の炭素繊維不織布。
〔10〕 〔1〕乃至〔3〕の何れか1項に記載の高密度耐炎繊維不織布を、不活性ガス雰囲気下で1000〜2800℃の温度で処理することを特徴とする炭素繊維不織布の製造方法。
本発明の高密度耐炎繊維不織布は、バインダーとして熱可塑性合成繊維を所定量配合して用いており、繊維間に適度な自由度が存在するため、厚さ、目付の均一性に優れ、適度な剛性を持ち、取扱性に優れている。
また、この高密度耐炎繊維不織布は、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層に用いる炭素繊維不織布の前駆体として適したものである。即ち、この高密度耐炎繊維不織布を炭素化して得られる炭素繊維不織布は、厚さ、目付の均一性に優れ、適度な剛性とガス透過性、良好な通電性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高密度耐炎繊維不織布は、耐炎繊維含有率が55〜95質量%、好ましくは65〜92質量%、特に好ましくは70〜90質量%、熱可塑性合成繊維含有率が5〜45質量%、好ましくは8〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。ここで、耐炎繊維とは、プリカーサ繊維を耐炎化させることによって得られる繊維のことである。本発明で用いる耐炎繊維としては、臨界酸素指数が30〜60の耐炎繊維が好ましい。
熱可塑性合成繊維含有率が5質量%未満の場合、後述するウェブ形成時にウェブの強度が低くなり、目付30g/m2以下の低目付のウェブが得難く、目付の変動係数が3.0%以下の耐炎繊維不織布を得られない。
本発明の高密度耐炎繊維不織布は、バインダーとして繊維状バインダーの熱可塑性合成繊維を用いているため、繊維間に適度な自由度が存在する。しかし、バインダー含有率が45質量%を超える場合は、バインダーが熱可塑性合成繊維であっても、繊維間の自由度が小さくなりすぎ、後述する焼成時に皺が発生しやすく、厚さの変動係数が5.0%以下の炭素繊維不織布が得られない。
本発明の高密度耐炎繊維不織布は、目付が80〜320g/m2、好ましくは90〜280g/m2、特に好ましくは100〜200g/m2である。目付が80g/m2未満の場合、後述する圧縮処理工程で伸びが生じ易く、目付や厚さの制御が困難となる傾向にある。また、後述する炭素化後の炭素繊維不織布の強度が低く、取扱いが難しい。目付が320g/m2を超える場合、後述する焼成後の炭素繊維不織布の電気抵抗が高く、ガス拡散層として用いることが出来ない。
本発明の高密度耐炎繊維不織布は、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの嵩密度が0.40〜0.85g/cm3、好ましくは0.50〜0.80g/cm3、特に好ましくは0.60〜0.75g/cm3である。嵩密度が0.40g/cm3未満の場合、嵩高くなるために後述する焼成後の炭素繊維不織布の電気抵抗が高くなり、ガス拡散層として用いることが出来ない。また、嵩密度が0.85g/cm3を超える場合、繊維状のバインダーとして熱可塑性合成繊維を用いていても、繊維間の自由度が小さくなりすぎ、後述する焼成時に皺が発生しやすく、厚さの変動係数が5.0%以下の炭素繊維不織布が得られない。なお、高密度耐炎繊維不織布の厚さは100〜400μmであることが好ましい。
本発明の高密度耐炎繊維不織布は、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、厚さ、目付の変動係数が共に3.0%以下、好ましくは2.8%以下、特に好ましくは2.5%以下である。厚さ、目付の変動係数が3.0%を超える場合、この高密度耐炎繊維不織布の後述する焼成後において、厚さ、目付の変動係数が5.0%以下の炭素繊維不織布が得られない。
以下、本発明の高嵩密度耐炎繊維不織布の製造方法について説明する。
本発明の高密度耐炎繊維不織布は、耐炎繊維と熱可塑性合成繊維とを用いて乾式不織布加工された不織布である。
[耐炎繊維]
耐炎繊維の原料となるプリカーサ繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、フェノール系、レーヨン系など従来公知のいずれの繊維でも用いられる。なお、不織布加工を行う上では、強伸度の比較的高いPAN系耐炎繊維が最も好適である。例えばPAN系耐炎繊維は、PAN系繊維を空気中、高温で処理することにより環化反応を生じさせ、酸素結合量を増加させて不融化、難燃化させる耐炎化処理によって得られる。
このようにして得た耐炎繊維は、定長カット又はトウリアクターでバイアスカットしてステープルとする。
不織布とするための耐炎繊維のステープルとしては、その繊度が0.5〜3.4dtexが好ましく、より好ましくは0.6〜2.3dtexの範囲である。繊度が低い方が均一な特性の不織布を得ることが出来るが、0.5dtex未満の場合、繊維強度も低くなる為、ウェブの形成が難しくなる。繊度が3.4dtexを超える場合、均一な特性の耐炎繊維不織布が得難い。
耐炎繊維ステープルのクリンプ数は2.4〜5.5ヶ/cmの範囲が好ましい。クリンプ数が2.4ヶ/cm未満の場合、繊維同士の絡合が起きにくく不織布加工が行いにくい傾向にある。クリンプ数が5.5ヶ/cmを超える場合、単繊維強度が低下したり、クリンプ加工時に繊維切れが生じたりする傾向にある。
耐炎繊維ステープルのクリンプ率は8〜16%であることが好ましい。クリンプ率がこの範囲外にある場合、耐炎繊維不織布を製造する際の繊維の分散性、目付、厚さ等の特性むらが生じ易い。
耐炎繊維ステープルの標準状態の乾強度は8〜40mN/dtexの範囲が好ましい。同じく標準状態での乾伸度は8〜30%であることが好ましい。乾強度が8mN/dtex未満の場合及び乾伸度が8%未満の場合には、耐炎繊維不織布製造時の加工性が低下する傾向にある。
耐炎繊維ステープルの平均繊維長は24〜77mmが好ましく、より好ましくは24〜40mmである。平均繊維長が24mm未満の場合、繊維同士の絡合が起きにくく不織布加工が行いにくい傾向にある。平均繊維長が77mmを超える場合、繊維の分散性が悪くなる傾向にあり、均一な特性の不織布が得がたく、好ましくない。
[熱可塑性合成繊維]
熱可塑性合成繊維としては、ナイロン系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等、従来公知のいずれの熱可塑性合成繊維でも用いられる。これら熱可塑性合成繊維のうちでも、好ましくはその分子主鎖中に芳香族を含む構造を有する熱可塑性合成繊維であり、より好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)繊維等のポリエステル系芳香族繊維である。
分子主鎖中に芳香族を含む構造の熱可塑性合成繊維は、他の熱可塑性合成繊維と比較して焼成時に炭素として残存しやすく、厚さの復元が抑制される為、厚さ変動係数の低い炭素繊維不織布が得られる傾向にある。
本発明の製造方法に用いる熱可塑性合成繊維の繊度は0.9〜3.4dtexが好ましく、より好ましくは1.0〜2.3dtexの範囲である。繊度が低い方が均一な特性の不織布を得ることが出来る。繊度が0.9dtex未満の場合、繊維強度も低くなる為、ウェブの形成が難しくなる。繊度が3.4dtexを超える場合、均一な特性の耐炎繊維不織布が得難い。
熱可塑性合成繊維ステープルのクリンプ率は8〜19%であることが好ましい。クリンプ率がこの範囲外にある場合、耐炎繊維不織布を製造する際の繊維の分散性不良が生じ易い。
ステープルのクリンプ数は3.3〜6.3ヶ/cmの範囲が好ましい。クリンプ数が3.3ヶ/cm未満の場合、絡合が起きにくく不織布加工が行いにくい傾向にある。またクリンプ数が6.3ヶ/cmを超える場合、単繊維強度が低下したり、クリンプ加工時に繊維切れが生ずる傾向にある。
熱可塑性合成繊維ステープルの標準状態の乾強度は25〜67mN/dtexの範囲が好ましい。同じく標準状態での乾伸度は24〜50%であることが好ましい。乾強度が25mN/dtex未満の場合及び乾伸度が24%未満の場合には、耐炎繊維不織布製造時の加工性が低下する傾向にある。
熱可塑性合成繊維ステープルの平均繊維長は24〜77mmが好ましく、より好ましくは24〜40mmである。平均繊維長が24mm未満の場合、繊維同士の絡合が起きにくく不織布加工が行いにくい傾向にある。平均繊維長が77mmを超える場合、繊維の分散性が悪くなる傾向にあり、厚さ、目付の変動係数が小さな不織布、即ち分散性の均一な不織布が得難く、好ましくない。
[耐炎繊維不織布]
本発明で用いる耐炎繊維不織布を作製するに際しては、先ず上記の耐炎繊維ステープル55〜95質量部と、熱可塑性合成繊維ステープル5〜45質量部を混打綿加工後、カーディングしてウェブを作製する。得られるウェブの目付は30g/m2以下にすることが好ましい。次に、このウェブを複数枚積層して、ニードルパンチ法やウォータージェット法等の不織布加工方法によって耐炎繊維不織布を作製する。
これらの加工方法は従来公知の方法が適宜採用できる。以上の耐炎繊維不織布の作製時において、繊維分散性の均一化がなされる。この均一化により、後述する圧縮処理において、厚さ、目付の変動係数が3.0%以下の高密度耐炎繊維不織布を得ることができる。
耐炎繊維不織布の厚さは、その後の圧縮処理によって最終調整する。圧縮処理後、同じ目付であれば不織布の厚さはより薄い方が、低温、低圧力の圧縮処理で、繊維の損傷の少ない耐炎繊維不織布が得られるので好ましい。しかし、耐炎繊維不織布の製造工程で厚さを薄くするために、例えばウォータージェットの水圧を高くすると、耐炎繊維不織布の表面平滑性と強度が低下する。
そのため、圧縮処理前の段階における耐炎繊維不織布厚さ調整等の耐炎繊維不織布製造条件は、繊維の損傷度、不織布の表面平滑性と強度などの点を考慮した上で決定する必要がある。以上のことから、圧縮処理前の段階における耐炎繊維不織布の好ましい厚さは0.5〜1.5mmである。
[高密度耐炎繊維不織布]
次に、この耐炎繊維不織布を所定の温度、圧力の条件で圧縮処理して高密度耐炎繊維不織布を作製する。圧縮処理方法は、ホットプレスやカレンダーローラー等を用いることが好ましい。
圧縮処理温度は、100〜240℃、更に好ましくは110〜220℃、特に好ましくは120〜210℃である。また、圧縮処理圧力は、1〜100MPa、更に好ましくは2〜50MPa、特に好ましくは3〜20MPaである。
圧縮処理温度が100℃未満の場合、若しくは圧縮処理圧力が1MPa未満の場合、耐炎繊維と熱可塑性合成繊維の接着が不充分であり、焼成時に厚さが復元しやすく、目標とする嵩密度の炭素繊維不織布を得ることが出来ない。また、高密度耐炎繊維不織布、炭素繊維不織布の厚さ変動係数が高くなる傾向にある。
圧縮処理温度が240℃を超える場合、若しくは圧縮処理圧力が100MPaを超える場合、単繊維の損傷が生じ、得られる耐炎繊維不織布の強度低下が起きる。その結果、炭素化時において、連続炭素化処理が困難になる。また、繊維間の自由度が低くなりすぎ、焼成時の高密度耐炎繊維不織布の収縮が均一に生じず、皺が発生し、炭素繊維不織布の厚さ、目付の変動係数が高くなる傾向にあり、好ましくない。
耐炎繊維不織布の圧縮処理時間は、上記条件において好ましくは3分間以内、より好ましくは0.1秒〜1分間である。3分間よりも長時間圧縮処理を行っても、厚さ低減効果はそれほど変わらない。繊維の損傷は時間が短いほど防止することができる。
上記圧縮処理において、圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布の嵩密度は0.40〜0.85g/cm3に合わせることが好ましい。
このようにして得られた本発明の高密度耐炎繊維不織布は、高密度でありながら繊維間に適度な自由度があり、目付、厚さの均一性に優れた炭素繊維不織布の原料として好適である。
[炭素繊維不織布]
本発明の炭素繊維不織布は、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの嵩密度が0.20〜0.50g/cm3、好ましくは0.22〜0.48g/cm3、特に好ましくは0.25〜0.45g/cm3である。嵩密度がこの範囲外である場合、電気抵抗とガスの透過性とのバランスを確保することができない。例えば嵩密度が0.20g/cm3未満の場合には、電気抵抗値が増加する傾向にある。逆に嵩密度が0.50g/cm3を超える場合には、通気性が低下する傾向にある。特に本発明の炭素繊維不織布を、ガス拡散層として用いる場合には、嵩密度が低いと通電性が低下し、嵩密度が高いとガス透過性が低下し、電池性能低下の原因となる。
本発明の炭素繊維不織布は、目付が30〜100g/m2、好ましくは50〜90g/m2、特に好ましくは60〜80g/m2である。目付が30g/m2未満の場合、強度が低く、取扱性が難しい。目付が100g/m2を超える場合、電気抵抗が高く、ガス拡散層として用いることが出来ない。厚さは、100〜400μmの範囲であるがことが好ましい。
本発明の炭素繊維不織布は、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、厚さ、目付の変動係数が共に5.0%以下、好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.0%以下である。厚さ、目付の変動係数が5.0%を超える場合、燃料電池スタック内の圧力分布が均一にならず、特に目付の低い部分では他部材接触抵抗が高くなり、電池性能が低下する。
本発明の炭素繊維不織布は、剛軟度が30〜100mNcm、好ましくは35〜90mNcm、好ましくは40〜70mNcmである。剛軟度が30mNcm未満の炭素繊維不織布は、ガス拡散層として燃料電池に組み込んだ場合にセパレータの凹部で膜を保持できず、膜との接触状態が悪くなる傾向にあり、好ましくない。剛軟度が100mNcmを超える場合、剛直すぎることからロール状にすることが出来ず、取扱性が悪い。
本発明の炭素繊維不織布は、ガス透過性が200〜700ml/min・cm2・mmH2Oの範囲であることが好ましく、250〜500ml/min・cm2・mmH2Oの範囲であることがより好ましく、300〜450ml/min・cm2・mmH2Oの範囲であることが特に好ましい。
ガス透過性が200ml/min・cm2・mmH2O未満の場合、燃料電池に組み込み、特に高電流密度で運転した場合に、燃料ガスや酸素の供給が不十分となり、電池性能の低下を引き起こす。また、ガス透過性が700ml/min・cm2・mmH2Oを超える場合、ガス透過性が高くなりすぎる傾向にあり、特に高電流密度域で燃料電池を作動させた場合は高分子電解質膜が適度な水分を保持できず、抵抗が増加して電池性能が低下するので好ましくない。
本発明の炭素繊維不織布は、厚さ方向の電気抵抗値が100mΩ・cm2以下が好ましく、90mΩ・cm2以下が更に好ましく、75mΩ・cm2以下が特に好ましい。厚さ方向電気抵抗値が100mΩ・cm2を超える場合、ガス拡散層としての電気抵抗が高くなり、ガス拡散層として用いることが出来ない。
炭素繊維不織布の破断強度は1N/cm以上が好ましく、一般には1〜7N/cmの範囲である。破断強度が1N/cm未満の場合、連続的な加工等で不織布自体に張力をかける場合に破断し易く、取扱性が悪い。
また、本発明の炭素繊維不織布は、本発明の耐炎繊維不織布を、不活性ガス雰囲気下で1000〜2800℃の温度で処理して炭素化することにより製造することができる。
炭素化は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下、1000〜2800℃で行う。なお、昇温下で炭素化する場合の昇温速度は200℃/分以下が好ましく、170℃/分以下がより好ましい。昇温速度が200℃/分を超える場合、結晶子の成長速度は向上するが、繊維強度が低下し、炭素微粉末が多量に発生する。
最高温度での滞留時間は30分間以内が好ましく、0.5〜20分がより好ましい。
このようにして得られた本発明の炭素繊維不織布は、適度なガス透過性を持ち、厚さ、目付の均一性に優れ、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層として極めて適したものである。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各物性の測定は次の方法によった。
(1)繊維物性
耐炎繊維ステープル、熱可塑性合成繊維ステープルの繊度、乾強度、乾伸度、クリンプ数、クリンプ率、平均繊維長はJIS L 1015により測定した。
(2)厚さ
直径5mmの円形圧板で厚さ方向に1.2Nの荷量(61.9kPa)を負荷したときの厚さを測定した。
(3)目付
200mm×250mmの不織布を120℃で1時間真空乾燥した後の質量値より算出した。
(4)厚さ、目付の変動係数
試料の任意の場所で、厚さ、目付を上記方法で20点測定し、平均値(a)と標準偏差(σ)から変動係数を下式
変動係数(%)=100×σ/a
にて算出した。
(5)嵩密度
目付と厚さより算出した。
(6)破断強度
幅50mm、長さ120mm以上のサンプルを、チャック間距離100mmの治具に固定し、速度30mm/minで引っ張った時の破断強度を10mm幅に換算した値。
(7)剛軟度
JIS L 1096記載の方法(B法)に準拠して測定した。
(8)厚さ方向電気抵抗値
50mm角(厚さ10mm)の金メッキした電極板2枚で不織布の両面を全面接触するように挟み、荷重10kPaを厚さ方向にかけた時の電気抵抗値を測定した。この電気抵抗値と試料の面積(25cm2)の積を厚さ方向電気抵抗値とした。
(9)ガス透過性
炭素繊維不織布を直径50mm以上の円形に切り出し、内径35mmのカラム(断面積S=9.6cm2)に装着し、圧空を圧力50N/cm2、線速度Vを2L/minで流した時の圧力損失値(P;mmH2O)を測定し、ガス透過性を下式
ガス透過性(ml/min・cm2・mmH2O)=V/(S×P)
にて算出した。
[実施例1]
繊度1.3dtex、クリンプ数4.1ヶ/cm、クリンプ率13%、乾強度24mN/dtex、乾伸度21%、平均繊維長38mmのPAN系耐炎繊維ステープルと、繊度1.1dtex、クリンプ数4.7ヶ/cm、クリンプ率15%、乾強度42mN/dtex、乾伸度31%、平均繊維長38mmのPET繊維ステープルとを用い、PET繊維含有率15質量%、目付27g/m2の耐炎繊維ウェブを作製した。この耐炎繊維ウェブを5枚積層し、ウォータージェット法にて目付135g/m2、厚さ1.1mmの耐炎繊維不織布を作製した。
得られた耐炎繊維不織布に温度150℃、圧力5MPaの条件下、空気中で1分間圧縮処理を施した。その処理後、目付135g/m2、厚さ190μm、嵩密度0.71g/cm3、厚さ変動係数2.3%、目付変動係数2.4%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を窒素ガス雰囲気下、常温より昇温勾配120℃/分で2000℃まで昇温した後、この温度で2分間処理した。その結果、目付69g/m2、厚さ200μm、嵩密度0.35g/cm3、厚さ変動係数3.8%、目付変動係数3.6%、剛軟度52mNcm、ガス透過性380ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値72mΩcm2、破断強度4.5N/cmの良好な物性の炭素繊維不織布が得られた。以上の結果の要点を表1に示す。
[実施例2]
実施例1のPAN系耐炎繊維ステープル、PET繊維ステープルを用い、PET繊維含有率7質量%、目付29g/m2の耐炎繊維ウェブを作製した。この耐炎繊維ウェブを5枚積層し、ウォータージェット法にて目付145g/m2、厚さ1.2mmの耐炎繊維不織布を作製した。
この耐炎繊維不織布に実施例1の圧縮処理を行った。その処理後、目付145g/m2、厚さ250μm、嵩密度0.58g/cm3、厚さ変動係数2.6%、目付変動係数2.6%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。その結果、目付81g/m2、厚さ270μm、嵩密度0.30g/cm3、厚さ変動係数4.4%、目付変動係数4.0%、剛軟度43mNcm、ガス透過性480ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値69mΩcm2、破断強度4.1N/cmの良好な物性の炭素繊維不織布が得られた。以上の結果の要点を表1に示す。
[実施例3]
実施例1のPAN系耐炎繊維ステープル、PET繊維ステープルを用い、PET繊維含有率35質量%、目付25g/m2の耐炎繊維ウェブを作製した。この耐炎繊維ウェブを6枚積層し、ウォータージェット法にて目付150g/m2、厚さ1.3mmの耐炎繊維不織布を作製した。
この耐炎繊維不織布に実施例1の圧縮処理を行った。その処理後、目付150g/m2、厚さ200μm、嵩密度0.75g/cm3、厚さ変動係数2.3%、目付変動係数2.3%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。その結果、目付59g/m2、厚さ210μm、嵩密度0.28g/cm3、厚さ変動係数3.7%、目付変動係数3.5%、剛軟度47mNcm、ガス透過性550ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値71mΩcm2、破断強度4.7N/cmの良好な物性の炭素繊維不織布が得られた。以上の結果の要点を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の圧縮処理前の耐炎繊維不織布に温度110℃、圧力2MPaの条件下、空気中で1分間圧縮処理を施した。その処理後、目付135g/m2、厚さ320μm、嵩密度0.42g/cm3、厚さ変動係数2.8%、目付変動係数2.4%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。その結果、目付69g/m2、厚さ330μm、嵩密度0.21g/cm3、厚さ変動係数4.1%、目付変動係数3.4%、剛軟度25mNcm、ガス透過性630ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値77mΩcm2、破断強度5.6N/cmの良好な物性の炭素繊維不織布が得られた。以上の結果の要点を表1に示す。
Figure 2005240224
[実施例5]
実施例1の圧縮処理前の耐炎繊維不織布に温度220℃、圧力70MPaの条件下、空気中で1分間圧縮処理を施した。その処理後、目付135g/m2、厚さ160μm、嵩密度0.84g/cm3、厚さ変動係数2.1%、目付変動係数2.4%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。その結果、目付69g/m2、厚さ180μm、嵩密度0.38g/cm3、厚さ変動係数4.6%、目付変動係数3.5%、剛軟度87mNcm、ガス透過性340ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値91mΩcm2、破断強度1.3N/cmの良好な物性の炭素繊維不織布が得られた。以上の結果の要点を表2に示す。
[実施例6]
実施例1のPAN系耐炎繊維ステープルと、繊度1.7dtex、クリンプ数4.4ヶ/cm、クリンプ率17%、乾強度37mN/dtex、乾伸度41%、平均繊維長38mmのアクリル繊維ステープルを用い、アクリル繊維含有率15質量%、目付27g/m2の耐炎繊維ウェブを作製した。この耐炎繊維ウェブを5枚積層し、ウォータージェット法にて目付135g/m2、厚さ1.1mmの耐炎繊維不織布を作製した。
この耐炎繊維不織布に実施例1の圧縮処理を行った。その処理後、目付135g/m2、厚さ200μm、嵩密度0.68g/cm3、厚さ変動係数2.3%、目付変動係数2.7%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。その結果、目付69g/m2、厚さ230μm、嵩密度0.30g/cm3、厚さ変動係数4.2%、目付変動係数3.9%、剛軟度52mNcm、ガス透過性360ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値88mΩcm2、破断強度3.7N/cmの良好な物性の炭素繊維不織布が得られた。以上の結果の要点を表2に示す。
[比較例1]
実施例1のPAN系耐炎繊維ステープル、PET繊維ステープルを用い、PET繊維含有率3質量%、目付37g/m2の耐炎繊維ウェブを作製した。この耐炎繊維ウェブを3枚積層し、ウォータージェット法にて目付111g/m2、厚さ0.9mmの耐炎繊維不織布を作製した。
この耐炎繊維不織布に実施例1の圧縮処理を行った。その処理後、目付111g/m2、厚さ340μm、嵩密度0.33g/cm3、厚さ変動係数3.6%、目付変動係数4.2%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。しかし、目付65g/m2、厚さ360μm、嵩密度0.18g/cm3、厚さ変動係数5.2%、目付変動係数5.8%、剛軟度18mNcm、ガス透過性780ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値67mΩcm2、破断強度6.2N/cmと、良好な物性の炭素繊維不織布は得られなかった。以上の結果の要点を表2に示す。
[比較例2]
実施例1のPAN系耐炎繊維ステープル、PET繊維ステープルを用い、PET繊維含有率53質量%、目付25g/m2の耐炎繊維ウェブを作製した。この耐炎繊維ウェブを7枚積層し、ウォータージェット法にて目付175g/m2、厚さ1.4mmの耐炎繊維不織布を作製した。
この耐炎繊維不織布に実施例1の圧縮処理を行った。その処理後、目付175g/m2、厚さ190μm、嵩密度0.92g/cm3、厚さ変動係数2.0%、目付変動係数2.2%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。しかし、目付56g/m2、厚さ200μm、嵩密度0.28g/cm3、厚さ変動係数6.1%、目付変動係数5.7%、剛軟度132mNcm、ガス透過性580ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値83mΩcm2、破断強度2.4N/cmと、良好な物性の炭素繊維不織布は得られなかった。以上の結果の要点を表2に示す。
Figure 2005240224
[比較例3]
実施例1の圧縮処理前の耐炎繊維不織布に温度70℃、圧力0.5MPaの条件下、空気中で1分間圧縮処理を施した。その処理後、目付135g/m2、厚さ400μm、嵩密度0.34g/cm3、厚さ変動係数3.3%、目付変動係数2.4%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。しかし、目付69g/m2、厚さ430μm、嵩密度0.16g/cm3、厚さ変動係数4.5%、目付変動係数3.5%、剛軟度23mNcm、ガス透過性820ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値71mΩcm2、破断強度5.6N/cmと、良好な物性の炭素繊維不織布は得られなかった。以上の結果の要点を表3に示す。
[比較例4]
実施例1の圧縮処理前の耐炎繊維不織布に温度260℃、圧力120MPaの条件下、空気中で1分間圧縮処理を施した。その処理後、目付135g/m2、厚さ150μm、嵩密度0.90g/cm3、厚さ変動係数2.0%、目付変動係数2.4%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。しかし、目付69g/m2、厚さ160μm、嵩密度0.43g/cm3、厚さ変動係数6.7%、目付変動係数3.7%、剛軟度115mNcm、ガス透過性280ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値128mΩcm2、破断強度0.4N/cmと、良好な物性の炭素繊維不織布は得られなかった。以上の結果の要点を表3に示す。
[比較例5]
実施例1のPAN系耐炎繊維ステープルのみを用い、目付50g/m2の耐炎繊維ウェブを作製した。この耐炎繊維ウェブを2枚積層し、ウォータージェット法にて目付100g/m2、厚さ1.2mmの耐炎繊維不織布を作製した。
この耐炎繊維不織布に群栄化学工業株式会社製フェノール樹脂PL―2211を20質量%含浸し、温度180℃、圧力5MPaの条件下、空気中で20分間圧縮処理を施した。その処理後、目付116g/m2、厚さ140μm、嵩密度0.83g/cm3、厚さ変動係数2.5%、目付変動係数4.8%の高密度耐炎繊維不織布が得られた。
この圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布を実施例1と同じ方法で焼成した。しかし、目付70g/m2、厚さ150μm、嵩密度0.47g/cm3、厚さ変動係数7.2%、目付変動係数3.6%、剛軟度153mNcm、ガス透過性180ml/min・cm2・mmH2O、電気抵抗値184mΩcm2、破断強度8.2N/cmと、良好な物性の炭素繊維不織布は得られなかった。以上の結果の要点を表3に示す。
Figure 2005240224

Claims (10)

  1. 耐炎繊維含有率が55〜95質量%、熱可塑性合成繊維含有率が5〜45質量%、目付が80〜320g/m2及び目付の変動係数が3.0%以下、並びに、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、嵩密度が0.40〜0.85g/cm3及び厚さの変動係数が3.0%以下であることを特徴とする高密度耐炎繊維不織布。
  2. 熱可塑性合成繊維がその分子主鎖中に芳香族を含む構造である請求項1記載の高密度耐炎繊維不織布。
  3. 耐炎繊維の繊度が0.5〜3.4dtex、熱可塑性合成繊維繊度が0.9〜3.4dtexである請求項1記載の高密度耐炎繊維不織布。
  4. 耐炎繊維含有率55〜95質量%、熱可塑性合成繊維含有率5〜45質量%の耐炎繊維不織布に、温度100〜240℃、圧力1〜100MPaの条件で圧縮処理を施すことを特徴とする高密度耐炎繊維不織布の製造方法。
  5. 圧縮処理後の高密度耐炎繊維不織布の嵩密度が0.40〜0.85g/cm3である請求項4記載の高密度耐炎繊維不織布の製造方法。
  6. 圧縮処理前の耐炎繊維不織布が、目付30g/m2以下のウェブを複数枚積層して目付を80〜320g/m2にした耐炎繊維不織布である請求項4記載の高密度耐炎繊維不織布の製造方法。
  7. 目付が30〜100g/m2及び目付の変動係数が5.0%以下、並びに、厚さ方向に61.9kPaの荷重を負荷したときの、嵩密度が0.20〜0.50g/cm3及び厚さの変動係数が5.0%以下であることを特徴とする炭素繊維不織布。
  8. 剛軟度が30〜100mN・cmである請求項7記載の炭素繊維不織布。
  9. ガス透過性が200〜700ml/min・cm2・mmH2Oである請求項7記載の炭素繊維不織布。
  10. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の高密度耐炎繊維不織布を、不活性ガス雰囲気下で1000〜2800℃の温度で処理することを特徴とする炭素繊維不織布の製造方法。
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