JP4702099B2 - 変速指示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、変速操作を指示する変速指示装置に関し、特に、車両の走行状態に応じて運転者に対して適切に変速操作の指示を行なう変速指示装置に関する。
従来、アクセル開度と車速あるいはスロットル開度との関係に基づいて、運転者に対して変速操作を指示する変速操作装置について開示されている。たとえば、特許文献1(実開昭59−6529号公報)に開示された最適シフト位置表示装置は、手動変速機を備えた自動車において、車速を検出する車速センサと、エンジンスロットルの開度を検出するスロットル開度センサと、変速機のシフト位置を検出するシフト位置センサと、ハンドルの角度位置を検出するハンドル位置センサと、車速センサとスロットル開度センサからの検出データに基づいて理想状態のシフト位置を決定し、現シフト位置と理想状態のシフト位置とを比較するとともに、バキュームセンサからの検出データに基づいて増速状態かあるいは減速状態かを判定することによって状態に応じた最適シフト位置を表示手段に表示し、かつハンドル位置センサからの検出データに基づいて自動車のハンドルが曲進状態の場合にはシフト位置の表示変更を禁止するコントローラとを備える。
上述した公報に開示された最適シフト位置表示装置によると、運転者は表示にしたがってシフト位置を最適状態にすることができ、自動車本来の性能を引き出して燃費の良い快適な運転を行なうことができる。
実開昭59−6529号公報
しかしながら、上述した公報に開示された最適シフト位置表示装置においては、運転者の変速意図に沿って適切に変速操作の指示が行なえないという問題がある。手動変速機が搭載された車両においては、運転者は、シフト時には、アクセルペダルを戻すため、アクセル開度が全閉状態に近づく場合がある。そのため、アクセル開度と車速あるいはスロットル開度との関係に基づいて、運転者に対して変速操作を指示するようにすると、減速側への変速完了直後にアクセル開度が全閉状態であるために、増速側への変速操作の指示が出力される場合がある。そのため、運転者は車両を加速させようと意図的に減速側に変速操作したにも関わらず、増速側への変速操作が指示されるため、運転者にとっては変速操作の指示について違和感を感じる場合がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、運転者の意図に反する変速操作の指示を抑制する変速指示装置を提供することである。
第1の発明に係る変速指示装置は、車両に搭載され、運転者の操作に応じて前進走行における変速が可能な変速機構に対する変速操作を運転者に指示する。変速機構は、手動変速機構および手動変速モードを有する自動変速機構のうちのいずれかの変速機構である。この変速指示装置は、運転者に対して変速機構の変速操作を指示するための指示手段と、変速線図を用いて車両の状態に対応した変速指令信号が生成され、生成された変速指令信号に基づいて変速機構の増速側および減速側のうちのいずれかの変速操作を指示するように指示手段を制御するための制御手段とを含む。制御手段は、減速側への変速がなされたことを検知し、減速側への変速がなされたタイミングから、予め定められた時間が経過するまで、増速側への変速操作の指示を禁止するための手段を含む。
第1の発明によると、制御手段は、減速側への変速がなされてから、予め定められた時間が経過するまで、増速側への変速操作の指示(アップシフト指示)を禁止する。これにより、加速中の車両が減速側に変速される際(ダウンシフトされる際)に、アクセル開度が全閉状態になるなどして、アップシフト線をアップシフト側に交差しても、予め定められた時間が経過するまでは、増速側への変速操作の指示が禁止される。すなわち、運転者は、変速機構を意図的に減速側に変速するように操作した後に増速側への変速操作の指示がなされることがない。そのため、運転者は、車両の加速中において変速操作の指示について違和感を感じることはない。また、予め定められた時間が経過した後には、増速側への変速操作の指示が許可されるため、変速操作が終了してアクセル開度を変速前の位置に戻している場合には、車両の状態に応じて運転者に対して適切な変速操作の指示を行なうことができる。したがって、運転者の意図に反する変速操作の指示を抑制する変速指示装置を提供することができる。
第2の発明に係る変速指示装置は、第1の発明の構成に加えて、変速機構における変速状態を検知するための変速検知手段をさらに含む。制御手段は、変速検知手段の検知結果により減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまで、増速側への変速操作の指示を禁止するための手段を含む。
第2の発明によると、制御手段は、変速状態の検知結果により減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまで、増速側への変速操作の指示(アップシフト指示)を禁止する。これにより、車両の加速中に減速側に変速される際(ダウンシフトされる際)に、アクセル開度が全閉状態になるなどして、車両の状態が、変速線図のアップシフト線をアップシフト側に交差してアップシフト指示がなされ得る状態になっても、増速側への変速操作の指示が禁止される。すなわち、運転者は、変速機構を意図的に減速側に変速するように操作した後に増速側への変速操作の指示がなされることがない。そのため、運転者は、車両の加速中において変速操作の指示について違和感を感じることはない。また、予め定められた時間が経過した後には、増速側への変速操作の指示が許可されるため、変速操作が終了してアクセル開度を変速前の位置に戻している場合には、車両の状態に応じて運転者に対して適切な変速操作の指示を行なうことができる。したがって、運転者の意図に反する変速操作の指示を抑制する変速指示装置を提供することができる。
第3の発明に係る変速指示装置は、第2の発明の構成に加えて、運転者の車両に対する駆動力の要求の度合を検知するための検知手段をさらに含む。制御手段は、変速検知手段の検知結果により減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまでに、検知手段により検知された要求の度合と変速前の要求の度合との差の絶対値が予め定められた度合以下になると、増速側への変速操作の指示を許可するための手段を含む。
第3の発明によると、制御手段は、変速状態の検知結果により減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまでに、検知された要求の度合(たとえば、アクセル開度)と変速前の要求の度合との差の絶対値が予め定められた度合以下であると、増速側への変速操作の指示を許可する。変速後の要求の度合と変速前の要求の度合との差の絶対値が予め定められた度合以下となる状態とは、変速前と変速後の要求の度合が略同じ度合となる状態である。すなわち、変速後の要求の度合は、変速する前まで要求していた度合とほぼ同じ状態になっている。この時点において、増速側への変速操作の指示が禁止されていると、増速側への変速操作の指示が遅れる可能性がある。そのため、変速後の要求の度合が変速前とほぼ同じ状態になると、増速側への変速操作の指示を許可することにより、増速側への変速操作の指示の遅れを抑制することができる。したがって、車両の状態に応じて運転者に対して適切な変速操作の指示を行なうことができる。
第4の発明に係る変速指示装置においては、第3の発明の構成に加えて、制御手段は、変速検知手段の検知結果により減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまでに、検知手段により検知された要求の度合と変速前の要求の度合との差の絶対値が予め定められた度合以下であっても、検知手段により検知された要求の度合の変化量が予め定められた変化量以上になると、増速側への変速操作の指示を禁止するための手段を含む。
第4の発明によると、制御手段は、変速状態の検知結果により減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまでに、検知された要求の度合(たとえば、アクセル開度)の変化量が予め定められた変化量以上であると、増速側への変速操作の指示を禁止する。減速側への変速が検知された後、検知された要求の度合が予め定められた度合以下であっても、検知された要求の度合の変化量が予め定められた変化量以上であるという状態は、運転者は、アクセルペダルの踏み込み量を増加させて車両をさらに加速させようとしている状態である。したがって、この状態における増速側への変速操作の指示は、運転者が車両を加速させようとする意図に反するため、アップシフトの指示があると、運転者は変速操作の指示について違和感を感じる可能性がある。そのため、要求の度合の変化量が予め定められた変化量以上であると、増速側への変速操作の指示を禁止することにより、運転者の意図に反する変速操作の指示を抑制することができる。
第5の発明に係る変速指示装置においては、第2の発明の構成に加えて、変速機構は、手動変速モードを有する自動変速機構である。変速指示装置は、運転者の車両に対する駆動力の要求の度合を検知するための検知手段をさらに含む。制御手段は、変速検知手段の検知結果により減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまでに、検知手段により検知された要求の度合が予め定められた度合よりも小さいと、増速側への変速の指示を許可するための手段を含む。
第5の発明によると、制御手段は、減速側への変速が検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまでに、検知された要求の度合が予め定められた度合よりも小さいと、増速側への変速の指示を許可する。手動変速モードを有する自動変速機構においては、手動変速機構と異なり、駆動力の要求の度合(たとえば、アクセル開度)を戻す必要がない。そのため、要求の度合が予め定められた度合より小さい場合、運転者は車両を加速させる意思がないと判断することができる。したがって、この場合、増速側への変速の指示を許可することにより、車両の走行状態に基づいて運転者に対して適切に変速指示を行なうことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る変速指示装置を搭載した車両について説明する。この車両は、FF(Front engine Front drive)車両である。なお、FF以外の車両であってもよい。
車両は、エンジン1000と、手動変速機構2000と、クラッチ3200と、ディファレンシャルギヤ5000と、ドライブシャフト6000と、前輪7000と、ECU(Electronic Control Unit)8000とから構成される。
エンジン1000は、インジェクタ(図示せず)から噴射された燃料と空気との混合気を、シリンダの燃焼室内で燃焼させる内燃機関である。燃焼によりシリンダ内のピストンが押し下げられて、クランクシャフトが回転させられる。
手動変速機構2000は、クラッチ3200を介してエンジン1000に連結される。手動変速機構2000は、運転者によるシフトレバー8004の操作により選択された変速ギヤ段に応じて、クランクシャフトの回転数を所望の回転数に変速する。シフトレバー8004と手動変速機構2000とは、たとえば、プッシュプルケーブル等のコントロールケーブルを介して接続される。これにより、たとえば、シフトレバー8004を1速段に対応する位置に移動させると、手動変速機構2000において1速段に対応する変速ギヤ段が形成される。なお、手動変速機構2000の構造については、周知の技術であるため、その詳細な説明は行なわない。
クラッチ3200は、クラッチシリンダ(図示せず)と油圧回路とを介してクラッチペダル8012に接続される。クラッチ3200は、運転者によりクラッチペダル8012が踏込まれて、クラッチシリンダにより油圧回路の油圧が上昇させられると、エンジン1000と手動変速機構2000との間が動力遮断状態となるようにクラッチ3200が作動する。また、クラッチ3200は、運転者がクラッチペダル8012の踏み込みを解除すると、エンジン1000と手動変速機構2000との間を動力伝達状態とする。クラッチペダル8012には、クラッチペダル8012の踏み込み量(ストローク量)が予め定められた踏み込み量以上になると、ECU8000にオン信号を送信するクラッチスイッチ8014が設けられる。
手動変速機構2000の出力ギヤは、ディファレンシャルギヤ5000と噛合っている。ディファレンシャルギヤ5000にはドライブシャフト6000がスプライン嵌合などによって連結される。ドライブシャフト6000を介して、左右の前輪7000に動力が伝達される。
ECU8000には、車速センサ8002と、シフトレバー8004のポジションスイッチ8006と、アクセルペダル8008のアクセル開度センサ8010と、クラッチペダル8012のクラッチスイッチ8014と、電子スロットルバルブ8016のスロットル開度センサ8018と、エンジン回転数センサ8020とがハーネスなどを介して接続されている。
車速センサ8002は、ドライブシャフト6000の回転数から車両の速度を検知し、検知結果を表わす信号をECU8000に送信する。シフトレバー8004の位置は、ポジションスイッチ8006により検知され、検知結果を表わす信号がECU8000に送信される。
アクセル開度センサ8010は、アクセルペダル8008の踏み込み量、すなわちアクセル開度を検知し、検知結果を表わす信号をECU8000に送信する。アクセル開度が、運転者の車両に対する駆動力の要求の度合に対応する。
スロットル開度センサ8018は、アクチュエータにより開度が調整される電子スロットルバルブ8016の開度を検知し、検知結果を表わす信号をECU8000に送信する。電子スロットルバルブ8016により、エンジン1000に吸入される空気量(エンジン1000の出力)が調整される。
エンジン回転数センサ8020は、エンジン1000の出力軸(クランクシャフト)の回転数を検知し、検知結果を表わす信号をECU8000に送信する。
表示装置102は、運転席に設けられ、運転者に対して減速側への変速操作の指示(以下、ダウンシフト指示という)および増速側への変速操作の指示(以下、アップシフト指示という)のうちのいずれか一方の指示を表示する。
具体的には、図2に示すように、表示装置102は、運転席のコンビネーションメータ100に設けられる。コンビネーションメータ100には、速度メータ502と、タコメータ504と、燃料メータ506と、水温メータ508と、表示装置102とが設けられる。
表示装置102には、図2の紙面上方向に頂角の一つが向けられる三角形状のアップシフト指示灯106と、図2の紙面下方向に頂角の一つが向けられる三角形状のダウンシフト指示灯104が設けられる。本実施の形態において、アップシフト指示灯106が点灯すると、運転者に対してアップシフトを指示していることを意味する。また、ダウンシフト指示灯104が点灯すると、運転者に対してダウンシフトを指示していることを意味する。さらに、アップシフト指示灯106およびダウンシフト指示灯104のいずれも消灯しているときは、現変速ギヤ段の維持を指示していることを意味するものとする。
なお、アップシフト指示灯106およびダウンシフト指示灯104は、たとえば、LED(Light Emitting Diode)により点灯されるものとするが、特にLEDによる点灯に限定されるものではない。たとえば、表示装置102は、アップシフト指示灯106およびダウン指示灯104に代えてLCD(Liquid Crystal Display)等の液晶パネルを用いるようにしてもよい。すなわち、表示装置102は、アップシフト指示時には、図2の紙面上方向に頂角の一つが向けられる三角形状の図形を液晶パネルに表示し、ダウンシフト指示時には、図2の紙面下方向に頂角の一つが向けられる三角形状の図形を液晶パネルに表示するようにしてもよい。
また、アップシフト指示灯106およびダウンシフト指示灯104の形状は三角形状に限定されるものではない。たとえば、アップシフト指示灯106の形状は図2の紙面上方向に向いた矢印の形状であって、ダウンシフト指示灯104の形状は図2の紙面下方向に向いた矢印の形状であってもよい。
さらに、表示装置102は、アップシフト指示およびダウンシフト指示に対応する表示に代えて、現在選択されている変速ギヤ段と変速操作の指示に対応する変速ギヤ段とを表示するようにしてもよいし、あるいは、単に、変速操作の指示に対応する変速ギヤ段だけを表示するようにしてもよい。すなわち、変速操作の指示に対応する変速ギヤ段が現在選択されている変速ギヤ段よりも小さいと、運転者はダウンシフトが指示されていると判断でき、変速操作の指示に対応する変速ギヤ段が現在選択されている変速ギヤ段よりも大きいと、運転者はアップシフトが指示されていると判断できる。
表示装置102は、ECU8000からのアップシフト指示あるいはダウンシフト指示に対応する信号を受信すると、受信した信号に応じてアップシフト指示あるいはダウンシフト指示のいずれか一方を表示する。すなわち、表示装置102は、ECU8000からアップシフト指示に対応する信号を受信すると、アップシフト指示灯106を点灯させる。表示装置102は、ECU8000からダウンシフト指示に対応する信号を受信すると、ダウンシフト指示灯104を点灯させる。
ECU8000は、車速センサ8002、ポジションスイッチ8006、アクセル開度センサ8010、クラッチスイッチ8014、スロットル開度センサ8018、エンジン回転数センサ8020などから送られてきた信号、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両が所望の走行状態となるように、機器類を制御する。さらに、ECU8000は、車両の走行状態に応じて、アップシフト指示およびダウンシフト指示に対応する信号を表示装置102に送信する。なお、本実施の形態に係る変速指示装置は、車速センサ8002と、アクセル開度センサ8010と、クラッチスイッチ8014と、エンジン回転数センサ8020と、ECU8000と、表示装置102とから構成される。
ECU8000は、現在選択されている変速ギヤ段と車速とアクセル開度とに基づいて、アップシフト指示およびダウンシフト指示のうちのいずれか一方に対応する信号を表示装置102に送信する。ECU8000のメモリには、図3に示すような車速とアクセル開度とに対応する予め規定された減速側への変速線(ダウンシフト線)(破線)および増速側への変速線(アップシフト線)(実線)を含む変速線図が予め記憶される。なお、図3において、横軸は車速を示し、縦軸はアクセル開度を示す。図3に示す変速線図は、自動変速機構の前進走行時に用いられる変速線図と同様である。
図3の破線に示すダウンシフト線は、減速側への変速タイミングを規定する。すなわち、ダウンシフト線を境界線として、検知されたアクセル開度と車速とに基づいて図3上に特定される位置がダウンシフト線の右側の領域から左側の領域へと移動すると、ECU8000は、現在選択されている変速ギヤ段に基づいて減速側への変速を要するか否かを判断する。ECU8000は、減速側への変速を要すると判断すると、ダウンシフト指示に対応する信号を表示装置102に送信する。表示装置102は、ダウンシフト指示に対応する信号の受信に応じて、ダウンシフト指示灯104を点灯させる。ダウンシフト線は、各変速ギヤ段間毎に規定される。ECU8000は、検知されたアクセル開度と車速とに基づいて図3上に特定される位置が、たとえば、図3に示す「1←2」のダウンシフト線を越えると、2速段から1速段への変速を要すると判断する。なお、同様にECU8000は、「2←3」、「3←4」および「4←5」のダウンシフト線を越えると、3速段から2速段への変速、4速段から3速段への変速および5速段から4速段への変速を要すると判断する。
図3の実線に示すアップシフト線は、増速側への変速タイミングを規定する。すなわち、アップシフト線を境界線として、アクセル開度と車速とに基づいて図3上に特定される位置がアップシフト線の左側の領域から右側の領域へと移動すると、ECU8000は、現在選択されている変速ギヤ段に基づいて増速側への変速を要するか否かを判断する。ECU8000は、増速側への変速を要すると判断すると、アップシフト指示に対応する信号を表示装置102に送信する。表示装置102は、アップシフト指示に対応する信号の受信に応じて、アップシフト指示灯106を点灯させる。アップシフト線は、各変速ギヤ段間毎に規定される。ECU8000は、検知されたアクセル開度と車速とに基づいて図3上に特定される位置が、たとえば、図3に示す「1→2」のアップシフト線を越えると、1速段から2速段への変速を要すると判断する。なお、同様にECU8000は、「2→3」、「3→4」および「4→5」のアップシフト線を越えると、2速段から3速段への変速、3速段から4速段への変速および4速段から5速段への変速を要すると判断する。
以上のような構成を有する変速指示装置において、たとえば、車速V(0)、アクセル開度A(0)であるときに(図3に示すA点)、運転者が加速をしようとアクセルペダル8008を踏込む場合を想定する。運転者がアクセルペダル8008を踏込むことにより、アクセル開度がA(0)からA(1)になると、車速とアクセル開度とに基づいて特定される位置は、A点からB点に移動する。このとき、「3←4」のダウンシフト線を境界線として右側の領域のA点から左側の領域のB点に移動するため、ECU8000は、4速段から3速段への変速を要すると判断する。そのため、ECU8000は、現在の変速ギヤ段が4速段であれば、ダウンシフト指示に対応する信号を表示装置102に送信する。表示装置102は、ダウンシフト指示灯104を点灯させる。
運転者がダウンシフト指示灯104の点灯に応じて手動変速機構2000を4速段から3速段に変速する際、運転者はアクセルペダル8008の踏み込み量を緩める。たとえば、運転者がアクセル開度が略ゼロになるまでアクセルペダル8008の踏み込み量を緩めると、車速とアクセル開度とに基づいて特定される図3上の位置は、B点からC点に移動する。このとき、「3→4」のアップシフト線を境界線として左側の領域のB点から右側の領域のC点に移動するため、ECU8000は、3速段から4速段への変速を要すると判断する。そのため、ECU8000は、アップシフト指示に対応する信号を表示装置102に送信する。表示装置102は、アップシフト指示灯106を点灯させる。
このように、運転者が車両を加速させようと意図的にダウンシフトの操作をしたにもかかわらず、変速時にアクセルペダル8008を緩めるため、ダウンシフト後すぐにアップシフト指示灯106が点灯される場合がある。そのため、運転者は変速操作の指示について違和感を感じる可能性がある。
そこで、本発明は、ECU8000が減速側への変速を検知したタイミングから、予め定められた時間が経過するまで、増速側への変速操作の指示を禁止する点に特徴を有する。
具体的には、ECU8000は、変速ギヤ段のダウンシフトが検知されると、アップシフト指示灯106の点灯を禁止して、タイマを作動させる。ECU8000は、タイマを作動させてから予め定められた時間が経過した後にアップシフト指示灯106の点灯を許可する。
以下、図4を参照して、本実施の形態に係る変速指示装置を構成するECU8000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdを判定する。ECU8000は、たとえば、クラッチスイッチ8014がオフであるときの(すなわち、クラッチ3200が動力伝達状態であるときの)、車速センサ8002により検知された車速と、エンジン回転数センサ8020により検知されたエンジン回転数との比に基づいて判定ギヤ段Gcdを判定する。なお、判定ギヤ段Gcdは、車速とエンジン回転数とに基づいて判定されることに特に限定されるものではない。たとえば、ECU8000は、クラッチスイッチ8014がオフであるときの、ポジションセンサ8006により検知されるシフトレバー8004の位置に対応する変速ギヤ段に基づいて判定ギヤ段Gcdを判定するようにしてもよい。
また、本実施の形態において、ECU8000は、車速センサ8002により検知された車速が略ゼロであると、判定ギヤ段Gcdは1速段であると判定する。さらに、本実施の形態において、ECU8000は、クラッチスイッチ8014がオンであると(すなわち、クラッチ3200が動力遮断状態であると)、前回の計算サイクルにおいて判定された判定ギヤ段Gcd’を今回の計算サイクルにおける判定ギヤ段Gcdとして判定する。
S102にて、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdに変化があるか否かを判断する。具体的には、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdが、前回の計算サイクルにおいて判定された判定ギヤ段Gcd’と異なるか否かを判断する。判定ギヤ段Gcdに変化があると(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS116に移される。
S104にて、ECU8000は、運転者の変速操作によりダウンシフトされたか否かを判断する。具体的には、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdが、前回の計算サイクルにおいて判定された判定ギヤ段Gcd’よりも小さいと、ダウンシフトされたことを判断する。運転者の変速操作によりダウンシフトされると(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S104にてNO)、処理はS116に移される。
S106にて、ECU8000は、アップシフト指示灯106の点灯を禁止する。S108にて、ECU8000は、タイマの作動を開始する。すなわち、ECU8000は、タイマのカウント値を初期値(たとえば、ゼロ)にリセットして、予め定められたカウント値を初期値に加算していく。
S110にて、ECU8000は、図3に示す変速線図に基づく変速指令がアップシフト指令であるか否かを判断する。すなわち、ECU8000は、車速センサ8002により検知された車速と、アクセル開度センサ8010により検知されたアクセル開度と、図3に示す変速線図とに基づいて、走行状態に対応した変速ギヤ段(要求ギヤ段Gr)を判定する。ECU8000は、判定ギヤ段Gcdが要求ギヤ段Grよりも小さいと変速指令がアップシフト指令であると判断する。変速指令がアップシフト指令であると(S110にてYES)、処理はS112に移される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS116に移される。
S112にて、ECU8000は、タイマが作動してからタイマ設定時間TUが経過したか否かを判断する。すなわち、ECU8000は、初期値からカウントされたカウント値がタイマ設定時間TUに対応する値Ca以上であるか否かを判断する。なお、「タイマ設定時間TU」は、実験等により適合される時間であって、特に限定されるものではない。タイマ設定時間TUが経過していると(S112にてYES)、処理はS114に移される。もしそうでないと(S112にてNO)、処理はS110に戻される。
S114にて、ECU8000は、アップシフト指示灯106の点灯を許可する。すなわち、図3に示す変速線図に基づく変速指令がアップシフト指令であれば、ECU8000は、表示装置102に対してアップシフト指示に対応する信号を送信する。このとき、表示装置102は、ECU8000からのアップシフト指示に対応する信号の受信に応じてアップシフト指示灯106を点灯させる。
S116にて、ECU8000は、通常点灯制御を実施する。すなわち、図3に基づく変速指令がアップシフト指令であれば、ECU8000は、アップシフト指示に対応する信号を表示装置102に送信する。また、たとえば、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdが要求ギヤ段Grよりも大きいと変速指令がダウンシフト指令であると判断する。この場合、ECU8000は、ダウンシフト指示に対応する信号を表示装置102に送信する。さらに、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdと要求ギヤ段Grとが同じである場合には、表示装置102にはいずれの信号も送信しない。このとき、表示装置102は、アップシフト指示灯106もダウンシフト指示灯104も消灯する。なお、ECU8000は、判定ギヤ段の変化があった場合には、判定ギヤ段Gcdが変化したことが判断されてから予め定められた時間TNが経過した後にアップシフト指示およびダウンシフト指示を許可するようにしてもよい。なお、予め定められた時間TNは、タイマ設定時間TUよりも短い時間であれば特に限定されるものではない。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る変速指示装置の動作について図5および図6を参照しつつ説明する。なお、図5(A)に、クラッチ3200が動力伝達状態であるときの、手動変速機構2000において形成される実変速ギヤ段の変化を示し、図5(B)に、ECU8000において判定される変速ギヤ段(判定ギヤ段Gcd)の変化を示す。また、図6に3速段から4速段へのアップシフト線(実線)および4速段から3速段へのダウンシフト線(破線)を含む変速線図を示す。
たとえば、シフトレバー8004が4速段に対応する位置に移動されて、かつクラッチペダル8012が踏み込まれていないときには、図5(A)に示すように、手動変速機構2000において4速段が形成される。このとき、図5(B)に示すように、車速とエンジン回転数との比に基づいて、判定ギヤ段Gcdが4速段であることが判定される(S100)。
時間T(0)にて、運転者がアクセル開度をA(0)からA(1)まで増加させると、車速V(0)とアクセル開度とから特定される位置は、図6の変速線図に示すA点からX点において「3←4」のダウンシフト線(破線)を越えて、B点に到達する。このとき、4速段が維持されるため(S102にてNO)、この間、通常点灯制御が実施される(S116)。
すなわち、車速センサ8002により検知された車速とアクセル開度センサ8010により検知されたアクセル開度と図6に示す変速線図とに基づく要求ギヤ段Grが、車速とエンジン回転数とから検知された変速ギヤ段(4速段)よりも小さいと、ECU8000は、変速指令がダウンシフト指令であると判断する。そのため、図5(C)に示すように、ダウンシフト指令がオンされる。また、図5(E)に示すように、アップシフト指示はオフのままとなる。このとき、ECU8000は、表示装置102に対してダウンシフト指示に対応する信号を送信する。そのため、図5(D)に示すように、時間T(0)にて、ダウンシフト指示灯104が点灯する。
時間T(1)にて、図5(A)に示すように、運転者がクラッチペダル8012を踏込んで、クラッチ3200が動力遮断状態になるとともに、図5(H)に示すように、アクセルペダル8008の踏込みを解除すると、アクセル開度はA(1)から略ゼロとなる。
時間T(2)にて、アクセル開度が略ゼロとなることに応じて、図6に示す変速線図に基づく要求ギヤ段Grが4速段になると、判定ギヤ段Gcdは4速段であるため、(S102にてNO)、ダウンシフト指示がオフされる(S116)。すなわち、ECU8000から表示装置102に対してダウンシフト指示に対応する信号が送信されない。そのため、ダウンシフト指示灯104が消灯する。
また、時間T(1)〜時間T(3)の間においては、クラッチスイッチ8014がオンされ、クラッチ3200の動力伝達状態が変化するため、図5(A)に示すように手動変速機構2000において形成される実変速ギヤ段は不定となる。ECU8000は、クラッチスイッチ8014がオンされているため、時間T(1)の直前に判定された判定ギヤ段Gcd’(4速段)を現時点の判定ギヤ段Gcdとする。そのため、判定ギヤ段は4速段のままである。
時間T(3)にて、運転者がシフトレバー8004を3速段に対応する位置に移動した後、クラッチペダル8012の踏み込みを解除すると、クラッチ3200が動力伝達状態となり、図5(A)に示すように手動変速機構2000において形成される実変速ギヤ段が3速段となる。このとき、クラッチスイッチ8014がオフされと、車速とエンジン回転数との比に基づいて判定ギヤ段Gcdが3速段であることが判定される(S100)。
前回の計算サイクルにおいて判定された判定ギヤ段Gcd’が4速段であって、今回の計算サイクルにおいて判定された判定ギヤ段Gcdが3速段であるため、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdに変化があることを判断する(S102にてYES)。
さらに、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdが前回の計算サイクルにおける判定ギヤ段Gcd’よりも小さいため、ダウンシフトしたことを判断する(S104にてYES)。このとき、アップシフト指示灯106の点灯が禁止され(S106)、図5(G)に示すように、タイマの作動が開始される(S108)。ECU8000は、初期値をゼロにリセットした後、予め定められたカウント値を加算していく。
車速センサ8002により検知された車速とアクセル開度センサ8010により検知されたアクセル開度と図6に示す変速線線図とに基づく要求ギヤ段Gr(4速段)が、車速とエンジン回転数との比に基づいて検知された変速ギヤ段(3速段)よりも大きいと、ECU8000は変速指令がアップシフト指令であると判断する(S110にてYES)。そのため、図5(E)に示すように、変速線図に基づくアップシフト指令がオンされる。しかしながら、図5(F)および図5(G)に示すように、時間T(3)からタイマ設定時間TUが経過する(カウント値が予め定められた値Ca以上となる)時間T(5)までの間は、アップシフト指示灯106の点灯は許可されない(S112にてNO)。
時間T(5)にて、時間T(3)から予め定められた時間TUが経過すると(S112にてYES)、アップシフト指示灯106の点灯が許可される(S114)。したがって、図6に示す変速線図に基づいてアップシフト指令がオンされる場合には、アップシフト指示灯106が点灯される。
このように、判定ギヤ段が3速段と判定された後に、タイマ設定時間TUが経過するまで、アップシフト指示灯106の点灯を禁止しない場合には、図5(F)の破線に示すよに、時間T(3)直後に、アップシフト指示灯106が点灯するが、予め定められた時間が経過するまで、アップシフト指示灯106の点灯が抑制される。
次に、車両が減速して完全に停止し、その後、発進する場合における変速指示装置の動作について、図7を参照しつつ説明する。なお、図7(A)に、クラッチ3200が動力伝達状態であるときの、手動変速機構2000において形成される実変速ギヤ段の変化を示し、図7(B)に、ECU8000において判定される変速ギヤ段の変化を示す。
たとえば、シフトレバー8004が4速段に対応する位置に移動されて、かつクラッチペダル8012が踏込まれていないときには、図7(A)に示すように、手動変速機構2000において4速段が形成される。このとき、図7(B)に示すように、車速とエンジン回転数との比に基づいて、判定ギヤ段Gcdは、4速段であると判定される(S100)。
時間T(7)まで4速段が維持されると(S102にてNO)、この間、通常点灯制御が実施される(S116)。
すなわち、車速センサ8002により検知された車速とアクセル開度センサ8010により検知されたアクセル開度と図3に示す変速線図とに基づく要求ギヤ段Grが、車速とエンジン回転数とから検知された変速ギヤ段(4速段)が同じであると、ダウンシフト指令およびアップシフト指令のいずれもオンされない。そのため、図7(C)に示すように、ダウンシフト指示灯104は消灯され、図7(D)に示すように、アップシフト指示灯106は消灯される。
また、図7(G)に示すように、運転者はブレーキペダル(図示せず)を操作するなどして車速は一定の変化量で減速している。また、図7(F)に示すように、運転者はブレーキペダルを操作しており、アクセル開度は略ゼロである。
時間T(7)にて、図7(A)に示すように、運転者が停車準備をするためクラッチペダル8012を踏込むと、クラッチ3200が動力遮断状態になる。このとき、クラッチスイッチが8014がオンされる。そのため、クラッチ3200の動力伝達状態が変化するため、図7(A)に示すように手動変速機構2000において形成される変速ギヤ段は不定となる。
ECU8000は、クラッチスイッチ8014がオンされているため、時間T(7)の直前に判定された判定ギヤ段Gcd’(4速段)を判定ギヤ段Gcdとする。そのため、判定ギヤ段は4速段のままである。
時間T(8)にて、図7(G)に示すように、車速センサ8002により検知された車速が略ゼロになると、図7(B)に示すように、判定ギヤ段Gcdが1速段であると判定される(S100)。
このとき、前回の計算サイクルにおいて判定された判定ギヤ段Gcd’が4速段であって、今回の計算サイクルにおいて判定された判定ギヤ段Gcdが1速段になると、ECU8000は、判定ギヤ段に変化があると判断する(S102にてYES)。さらに、ECU8000は、判定ギヤ段Gcdは前回の判定ギヤ段Gcd’よりも小さいため、ダウンシフトしたと判断する(S104にてYES)。このとき、アップシフト指示灯106の点灯が禁止され(S106)、図7(E)に示すようにタイマの作動が開始される(S108)。ECU8000は、初期値をゼロにリセットした後、予め定められたカウント値を加算していく。
時間T(9)にて、運転者がシフトレバー8004を1速段に対応する位置に移動させた後、アクセルペダル8008を踏込むとともに、クラッチペダル8012の踏み込みを緩めていくと、クラッチ3200が動力の伝達を開始するため、図7(G)に示すように車速が増加し始める。
時間T(10)にて、クラッチペダル8012の踏み込みが解除されて、クラッチスイッチ8014がオフされると、図7(A)に示すように手動変速機構2000において形成される実変速ギヤ段が1速段となる。図7(B)に示すように、判定ギヤ段Gcdは、時間T(8)以降、1速段のままである。
時間T(11)にて、タイマ設定時間TUが経過すると(カウント値が予め定められた値Ca以上になると)(S110にてYES)、アップシフト点灯が許可される(S112)。このとき、車速センサ8002により検知された車速とアクセル開度センサ8008により検知されたアクセル開度と図3に示す変速線図とに基づいて要求ギヤ段Grが2速段以上になると(S108にてYES,S110にてYES)、図7(D)に示すように、アップシフト指示灯が点灯される。
このように、車速が略ゼロとなった時点でタイマを作動させる場合のアップシフト指示が許可される時間T(11)は、実変速ギヤ段が1速段となった時点でタイマが作動される場合(図7(E)の破線)のアップシフト指示が許可される時間T(12)(図7(D)の破線)よりも早い時点となる。これにより、停車した後すぐに発進する場合のアップシフト指示灯106の点灯遅れが防止される。
以上のようにして、本実施の形態に係る変速指示装置によると、ダウンシフトされた後に、アクセル開度が全閉状態になることに起因して、車両の状態がアップシフト指示がオンされ得る状態になっても、タイマ設定時間TUが経過するまでは、アップシフト指示が禁止される。すなわち、運転者は、変速機構を意図的にダウンシフトした後にすぐにアップシフト指示灯が点灯することがない。そのため、運転者は変速操作の指示について違和感を感じることはない。また、タイマ設定時間TUが経過した後には、アップシフト指示が許可されるため、変速後のアクセル開度が変速前のアクセル開度にほぼ同じになったときに、車両の状態に応じて運転者に対して適切な変速操作の指示を行なうことができる。したがって、運転者の意図に反する変速操作の指示を抑制する変速指示装置を提供することができる。
なお、本実施の形態においては、手動変速機構2000が搭載される車両に変速指示装置を適用する場合について説明したが、運転者の操作に応じて、運転者が任意のギヤ段を選択できる手動変速モードを有する自動変速機構が搭載される車両に適用するようにしてもよい。
なお、手動変速モードを有する自動変速機構が搭載される車両に適用する場合においては、好ましくは、ECUは、ダウンシフトが検知されたタイミングから、タイマ設定時間TUが経過するまでに、アクセル開度が予め定められた開度よりも小さいと、アップシフト点灯を許可することが望ましい。手動変速モードを有する自動変速機構においては、手動変速機構と異なり、アクセル開度を戻す操作をする必要がない。そのため、要求の度合が予め定められた度合より小さい場合、運転者は車両を加速させる意思がないと判断することができる。したがって、この場合、アップシフト点灯を許可することにより、車両の走行状態に基づいて運転者に対して適切に変速指示を行なうことができる。
<第1の実施の形態 変形例>
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る変速指示装置について説明する。本変形例においては、変速ギヤ段のダウンシフトの検知の仕方が異なり、上述の第1の実施の形態において説明した図4のフローチャートにおいて、S104におけるダウンシフトしたか否かの判断が図6の変速線図においてアップシフト線をアップシフト側に交差したか否か(図6のY点であるか否か)の判断である点が異なる。その他の構成については、上述の第1の実施の形態と同じ構成である。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
タイマの作動を開始する時点を、最も早いタイミングとして規定されるアップシフト線をアップシフト側に交差した時点とし、アップシフト線をアップシフト側に交差してからタイマ設定時間が経過するまでアップシフト指示を禁止することにより、上述の第1の実施の形態における効果に加えて、より早期にタイマの作動を開始することができるため、運転者がダウンシフトの変速操作を開始してから変速操作を終了してアクセルを変速前の開度に戻すまでの間にアップシフトの点灯を抑制することができる。なお、好ましくは、本変形例におけるタイマ設定時間は、実験等により適合される時間であって、上述の第1の実施の形態におけるタイマ設定時間TUに変速操作時間分を加えた程度の時間が望ましい。このようにすると、上述の第1の実施の形態においてアップシフト指示灯の点灯の禁止が解除される時点と略同じ時点にアップシフト指示灯の点灯の禁止を解除することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る変速指示装置について説明する。本実施の形態に係る変速指示装置を搭載する車両は、上述の第1の実施の形態に係る変速指示装置を搭載する車両の構成と比較して、ECU8000で実行されるプログラムの制御構造が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る変速指示装置を搭載する車両の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態においては、ECU8000が、判定ギヤ段Gcdの変化が検知されたタイミングでタイマを作動して、予め定められた時間が経過するまでに、変速後のアクセル開度と変速前のアクセル開度との差の絶対値が予め定められた開度以下になると、アップシフトを許可する点に特徴を有する。
以下、図8を参照して、本実施の形態に係る変速指示装置を構成するECU8000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
なお、図8に示したフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについて処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
変速指令がアップシフト指令であると(S110にてYES)、S200にて、ECU8000は、アクセル開度センサ8010により検知されたアクセル開度と変速前のアクセル開度との差の絶対値が予め定められた開度以下であるか否かを判断する。なお、「予め定められた開度」は、実験等により適合される開度であって、特に限定されるものではない。また、予め定められた開度はゼロであってもよい。
さらに、「変速前のアクセル開度」とは、クラッチスイッチ8014がオンされる直前に検知されたアクセル開度である。たとえば、ECU8000は、クラッチスイッチ8014がオンされると、アクセル開度センサ8010により検知されたアクセル開度をメモリに記憶させる。あるいは、ECU8000は、常時アクセル開度の変化を記憶しておき、クラッチスイッチ8014がオンされると、オンされる前の予め定められた期間のアクセル開度の平均値を算出してメモリに記憶させるようにしてもよい。アクセル開度と変速前のアクセル開度との差の絶対値が予め定められた値以下であると(S200にてYES)、処理はS116に移される。もしそうでないと(S200にてNO)、処理はS112に移される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る変速指示装置の動作について図9を参照しつつ説明する。なお、時間T(2)以前のECU8000の動作は、上述の第1の実施の形態において説明した図5における時間T(2)以前の変速指示装置の動作と同じであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
時間T(3)以降、タイマ設定時間TUが経過する時間T(5)よりも前の時間T’(5)にて、図9(H)の実線に示すように、アクセル開度が変速前のアクセル開度A(2)との差の絶対値が予め定められた開度以下となる、アクセル開度A(5)以上となると(S200にてYES)、通常点灯制御が実施される(S114)。
すなわち、要求ギヤ段Grが、ポジションセンサ8006により検知された変速ギヤ段よりも小さいと、ダウンシフト指示灯104が点灯し、検知された変速ギヤ段よりも大きいと、アップシフト指示灯106が点灯する。
たとえば、図9に示すように、説明の便宜上、仮に、時間T(3)以降、変速線図に基づくアップシフト指令がオンされた状態であったとしても、判定ギヤ段が3速段に変化したことが検知されてから、タイマ設定時間TUが経過する時間T(5)よりも前の時間T’(5)にて、アップシフト指示灯106が点灯される。
以上のようにして、本実施の形態に係る変速指示装置によると、上述した第1の実施の形態における効果に加えて、減速側への変速が検知されたタイミングからタイマ設定時間TUが経過するまでに、変速後のアクセル開度と変速前のアクセル開度との差の絶対値が予め定められた開度以下となると、アップシフト指示を許可することにより、アップシフト指示灯の点灯遅れを抑制することができる。これにより、車両の状態に応じて運転者に対して適切な変速操作の指示を行なうことができる。
また、タイマ設定時間TUが経過するまでに、変速後のアクセル開度が変速前のアクセル開度よりも大きくなり、変速前と変速後のアクセル開度の差の絶対値が予め定められた開度より大きくなる場合においては、運転者は車両の加速を要求していると判断することができる。このとき、アップシフト指示灯の点灯が禁止されるため、運転者の意図に反する変速操作の指示を抑制することができる。
なお、アクセル開度の条件に加えて、アクセル開度の変化量(アクセルペダルの操作速度)の条件を加えて、アップシフト指示を禁止するようにしてもよい。たとえば、変速前後のアクセル開度の差の絶対値が予め定められた開度以下であっても、アクセル開度の変化量が予め定められた変化量以上であると、アップシフト指示灯の点灯を禁止するようにしてもよい。アクセル開度の変化量が予め定められた変化量以上であると、運転者は車両の加速を要求していると判断することができるため、アップシフト指示灯の点灯を禁止することにより、運転者の意図に反する変速操作の指示を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
第1の実施の形態に係る変速指示装置が搭載される車両のパワートレーンを示す概略構成図である。 第1の実施の形態におけるコンビネーションメータの外観を示す図である。 第1の実施の形態における車速とアクセル開度との関係に基づく変速線図を示す図である。 第1の実施の形態に係る変速指示装置を構成するECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。 第1の実施の形態に係る変速指示装置の動作を示すタイミングチャート(その1)である。 第1の実施の形態における車速とアクセル開度との関係に基づく3速−4速段間の変速線図を示す図である。 第1の実施の形態に係る変速指示装置の動作を示すタイミングチャート(その2)である。 第2の実施の形態に係る変速指示装置を構成するECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る変速指示装置の動作を示すタイミングチャートである。
符号の説明
100 コンビネーションメータ、102 表示装置、104 ダウンシフト指示灯、106 アップシフト指示灯、502 速度メータ、504 タコメータ、506 燃料メータ、508 水温メータ、1000 エンジン、2000 手動変速機構、3200 クラッチ、5000 ディファレンシャルギヤ、6000 ドライブシャフト、7000 前輪、8000 ECU、8002 車速センサ、8004 シフトレバー、8006 ポジションセンサ、8008 アクセルペダル、8010 アクセル開度センサ、8012 クラッチペダル、8014 クラッチスイッチ、8016 電子スロットルバルブ、8018 スロットルポジションセンサ、8020 エンジン回転数センサ。

Claims (2)

  1. 車両に搭載され、運転者の操作に応じて前進走行における変速が可能な変速機構に対する変速操作を前記運転者に指示する変速指示装置であって、前記変速機構は、手動変速機構および手動変速モードを有する自動変速機構のうちのいずれかの変速機構であって、
    前記運転者に対して前記変速機構の変速操作を指示するための指示手段と、
    変速線図を用いて前記車両の状態に対応した変速指令信号が生成され、前記生成された変速指令信号に基づいて前記変速機構の増速側および減速側のうちのいずれかの変速操作を指示するように前記指示手段を制御するための制御手段と
    前記変速機構における変速状態を検知するための変速検知手段と、
    前記運転者の前記車両に対する駆動力の要求の度合を検知するための検知手段とを含み、
    前記制御手段は、前記変速検知手段の検知結果により減速側への変速がなされたことが検知されたタイミングから、予め定められた時間が経過するまでに、前記検知手段により検知された要求の度合と変速前の要求の度合との差の絶対値が予め定められた度合以下になると、前記増速側への変速操作の指示を許可するための手段と、
    前記変速検知手段の検知結果により減速側への変速が検知された前記タイミングから、前記予め定められた時間が経過するまでに、前記検知手段により検知された要求の度合と前記変速前の要求の度合との差の絶対値が前記予め定められた度合以下であっても、前記検知手段により検知された要求の度合の変化量が予め定められた変化量以上になると、前記増速側への変速操作の指示を禁止するための手段とを含む、変速指示装置。
  2. 前記変速機構は、前記手動変速モードを有する自動変速機構であって、
    記制御手段は、前記変速検知手段の検知結果により減速側への変速が検知された前記タイミングから、前記予め定められた時間が経過するまでに、前記検知手段により検知された要求の度合が予め定められた度合よりも小さいと、前記増速側への変速の指示を許可するための手段を含む、請求項に記載の変速指示装置。
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