JP4698390B2 - 筆記具用油性インキ組成物及びそれを用いた筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、油性インキ組成物、特に、油性サインペン、油性ボールペン等の油性インキ組成物に関し、また、本発明はそのような油性インキ組成物を用いた筆記具に関するものである。
油性サインペンや油性ボールペン等の筆記具及び机上用品等の油性インキ組成物に添加する配合剤としてワックスを添加することが行われている。ワックスは、その溶解性、界面膜形成能力を利用して、種々の目的で筆記具用インキに用いられている。そのような例としては、特開平11−335612号公報、特開2001−240788号公報、特開2003−213162号公報及び特開平11−92706号公報等がある。
特開平11−335612号公報には、速乾性油性マーキングペンのキャップを外したままで放置した場合のドライアップを防止するために、酸化ワックスをインキ組成物に添加することが記載されている。酸化ワックスのインキ組成物への添加方法は単なる混合によるものである。
特開2003−213162号公報には、修正具としての筆記具のペン先の乾燥防止のために、修正液組成物にパラフィンワックス類を添加することが記載されている。ここでのインキ組成物への添加方法は、単にパラフィンワックスを溶解させた後、そのまま修正液組成物に混合させるというものである。
特開平11−92706号公報には、ボールペン用油性インキ組成物に、融点が60℃〜100℃のワックス、特にカルナウバワックスやモンタン系ワックス等を添加することにより筆記感を向上させることが記載されているが、具体的な添加方法は記載されていない。
ポリエチレンワックス等を含めて、ワックス系物質を筆記具に使用する場合、その界面膜形成能力の存在及びワックスを溶解させる配合方法等の点から、油性インキ組成物中にこれらのワックスを均一に混合させることは困難であった。
また、この界面膜形成能力の存在、又は溶存状態によっては、経時的に、あるいは寒暖差により、保存中のインキの気液界面等にワックス膜が発生したり、また、インキ内の原材料と相互作用して沈降物を生成する場合がある。さらには、ワックスのインキ溶剤への濡れ性が悪いことから、ワックスの継紛状化又は沈降が発生する等の問題が多かった。
特開平11−335612号公報 特開2001−240788号公報 特開2003−213162号公報 特開平11−92706号公報
通常、油性インキ組成物にワックスを導入すると、ワックスは膜を形成する。この膜はインキ組成物にとっては異物となってしまう。したがって、インキ組成物中で、膜を形成しないように、ワックスを分散させることが行われる。筆記具用油性インキ組成物にワックス系物質を使用した場合の上述した種々の問題は、このインキ組成物中に分散されたワックス分散体の安定性が悪いことに起因するものであることがわかった。
本発明の目的は、書き出し時にカスレを生じないで滑らかな筆感を付与するために添加したオレフィン系ワックス分散体を含むインキ組成物において、経時的な安定性を格段に向上させた油性インキ組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究した結果、以下に示す特徴を有する油性インキ組成物によりこれらの課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は、一価アルコール、多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる溶剤、顔料、染料、及び顔料と染料との混合物から成る群より選ばれる色材、並びに樹脂を含んで成る油性インキ組成物であって、さらに、オレフィン系ワックス再析出粒子分散体を含むことを特徴とする油性インキ組成物である。
また、本発明のもう一つの態様は、上述の油性インキ組成物を用いた筆記具である。
本発明の油性インキ組成物は、配合されたオレフィン系ワックス粒子分散体が非常に安定しているので、インキ保存時における寒暖の差による気液界面でのワックス膜の発生が抑制される。またインキ内の原材料とワックス粒子との相互作用による沈殿物の発生等が無いので、インキの経時的な安定性を格段に向上させる。さらには、ワックスのインキ溶剤への濡れ性が良いことから、ワックスの継紛状化又は沈降が発生しない。
さらに上述の利点に加えて、本発明の油性インキ組成物はオレフィン系ワックス分散体を添加したことにより、
・筆記性の向上(筆記する上のスティック性Up)
・ペン先を下にした場合のペン先端でのインキ付着性(直流性)の抑制
・筆記時、過剰なインキがペン先や描線に付着又は転写される現象(ボテ性)の抑制
等の効果を有することができる。
また、ワックス粒子を予め粉体にして溶剤又は油性インキ組成物に添加する場合と異なり、溶剤中で析出させて直接に粒子化して分散体を形成させるので、製造工程が少なく油性インキの製造上有利である。
さらに、本発明のインキ組成物に用いるオレフィン系ワックス再析出粒子分散体は、油性インキ組成物中で他の成分と相互作用して経時的に凝集、沈降を生じることがなく、非常に安定であるので、外観視認性を付与する添加剤としても機能することが思いがけず見いだされた。「外観視認性」とは、インキ外観色がその描線色と一致した色を呈することをいう。インキの色材が染料の場合、通常、インキ外観色は殆ど黒色に近い暗色であり、インキ外観色は描線色とは大きく異なって見え、外観視認性が非常に悪い状態となる。インキ外観色と描線色とが比較的一致した色を呈するため(即ち、「外観視認性」を有するため)には、従来、一般的に、添加物として白色エマルションや粒子を油性インキ中に配合することが行われているが、インキ溶剤として中間極性溶剤を用いる場合は多くの問題がある。本発明の油性インキ組成物では、そのような外観視認性付与のための特定の添加物を用いなくても良好な外観視認性を有するという利点がある。
本発明の油性インキ組成物に用いることができるオレフィン系ワックスは、70℃以上かつ200℃以下の滴点を有しているワックスである。ここで滴点とは、ワックスを規定の容器で加熱した場合、高温で液状になり滴下し始める温度である。オレフィン系ワックスの具体的な例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、低分子量アイオノマーワックス、ポリ四フッ化エチレンワックスが挙げられる。特に好ましいオレフィン系ワックスは、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスである。
本発明に用いることができるポリエチレンワックスの具体的な例としては、例えば、三井化学株式会社製の30200B(エチレンブテンコポリマー)、同2203A、同1105及び同45192BA(カルボン酸変性エチレンブテンコポリマー)、並びに同HW26502PE(酸化タイプのエチレンプロピレンコポリマー)があり、またHoney Well社製のA−C6及び6A、A−C8及び8A、A−C9及び9A、A−C617及び617A、並びにA−C629及び629Aがある。更には、具体例としてヤスハラケミカル社製のネオワックスLA(融点105℃)等も挙げられる。
さらに、酸化処理されて極性基が導入されているか、又はアクリル酸共重合、酢酸ビニル共重合、酸化共重合、もしくは無水マレイン酸共重合されている、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスも好ましい。
本発明に係る分散体調製手順によって得られるオレフィン系ワックス分散体は、分散粒子の径が10nm〜50μmである。
本発明の油性インキ組成物に用いるオレフィン系ワックスを溶解させる非極性媒体は、その後の析出工程を考慮すると以下の条件を満たすものである。
(1) 60℃〜250℃の間の温度で前記オレフィン系ワックスと相溶する媒体、
(2) グリコールエーテル性水酸基を有する溶剤と相溶する媒体、
(3) 0℃以上且つ50℃以下の温度で、前記オレフィン系ワックスの溶解度が10質量%以下である媒体、及び
(4) 150℃以上の沸点を有する媒体。
60℃のより低い温度でオレフィン系ワックスと相溶する媒体は、通常の室内環境でも溶解する場合があり、250℃より高い温度で相溶する媒体は再析出させて粒子化する操作及び使用する分散媒としての溶剤の性質を考慮すると高温過ぎて危険を伴う。また、極性が中間的な溶剤であるアルコール性水酸基を有する溶剤に相溶することは、その後の析出工程で当該非極性媒体を析出した粒子から溶剤へ移行し易くする。0℃以上且つ50℃以下の温度で、オレフィン系ワックスの溶解度が10質量%以下であるという条件は、本来溶解し難い状態にしておくことにより再析出粒子化時に粒子化し易くするためである。さらに、オレフィン系ワックスを溶解させる際の作業上の安全性を確保するためには当該媒体の沸点は150℃以上であるのが望ましい。
本発明の筆記具用分散体に用いることができる非極性媒体の例は、モノテルペン系溶媒又は液状テルペン系樹脂である。テルペン類としては、常温で液体のモノテルペン類が好ましい。モノテルペンは、環式モノテルペン、非環式モノテルペンのいずれでもよい。
モノテルペン系溶媒の具体的な例としては、以下のものが挙げられる。ピネン(2環式モノテルペン)、例えば、ヤスハラケミカル社製の商品名α―ピネン及びβ−ピネン、ミルセン(非環式モノテルペン)、リモネン(単環式モノテルペン)、例えば、ヤスハラケミカル社製の商品名D−リモネンN、テルピノレン(単環式モノテルペン)、例えば、ヤスハラケミカル社製の商品名ターピノーレン、シネオール(2環式モノテルペン)、例えば、ヤスハラケミカル社製の商品名シネオールD及びシネオールC、アネトール(単環式モノテルペン)、例えば、ヤスハラケミカル社製の商品名アネトールG及びアネトールU、テルピネオール(単環式モノテルペン)、例えば、ヤスハラケミカル社製の商品名ターピネオール、ぺリラ油(単環式モノテルペン)、例えば、ヤスハラケミカル社製の商品名ペラオイル。
液状テルペン系樹脂の例としては、ヤスハラケミカル社製の商品名ダイマロン(テルペン低重合体)、商品名ダイマーレジン(変性テルペン低重合体)、商品名YSオイルDA(テルペン低重合体)が挙げられる。
また、それら以外としては日本テルペン化学(株)社製の n-Bomeol、dl-Camphor、I-Carveol、I-Carvyl acetate、Caryophylene、Caryopyllene oxide、1,4-Cineole、1,8-Cineole、Citronellal、I-Citroncol、p-Cymene、d-Dihydrocarveol、I-Dihydrocarveol、d-Dihydrocarvone、d-Dihydrocarvyl acetate、I-Dihydrocarvyl acetate、Dihydroterpineol、Dihydroterpinyl acetate、Dimal H、Elemene、Eugenol、β-Famesene、Isobornyl acetate、Isobornyl cyclohexanol、d-Limonene、I-Limonene、d-Limonene oxide、I-Limonene oxide、Linalool oxide furanoid、Linalool oxide pyranoid、p-Menthane、I-Menthol、I-Menthone、β-Myrcene、Myrtenal、Myrtenol、Myrtenyl acetate、I-perillyl alcohol、I-Perillyl acctate、3-Octanol、3-Octyl acetate、I-Pcrillaldehyde、α-Pinene、β-Pinene、α-Pinene oxide、d-Puregone、dl-Rose oxide、Sobrerol、α-Terpinene、γ-Terpinene、Terpineol C、α-Terpineol、I-α-Terpineol、4-Terpineol、Terpinolene、α-Terpinyl acetate、Verbenol、Verbenone、3-Carene、Carane oxide、Terusolve DTO-210、Terusolve THA-90、Terusolve THA-70、Terpinyloxy ethanol、Dihydroterpinyloxy ethanol、Terpinyloxy methylether、Dihydroterpinyl methylether、等があり、それらを主成分とした製品類等が挙げられる。
上述したオレフィン系ワックスを溶解した媒体からワックス粒子を析出させるのに用いることができる溶剤は、一価アルコール、多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる溶剤である。特に、70℃以上の沸点を有するものが好ましい。これは製造作業時の取り扱いの危険性を回避するためである。
一価アルコール類としては、例えば、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n-ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノールやその他多種の高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
特に好ましいのは次の化学式1に示されるような溶剤である。
化学式1:
Figure 0004698390
化学式1を有する溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3ブタンジオール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。
本発明の油性インキ組成物に用いるオレフィン系ワックスを溶剤中に析出させて粒子化する際又は分散させる際には分散剤を用いることができる。そのような分散剤は、特に、界面活性剤又はポリマー樹脂である。
好ましい界面活性剤は、分子内に、ポリオキシエチレン(POE)もしくはポリオキシプロピレンを反復単位5〜300で有するか、又は分子内にポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを併用して反復単位5〜300で有するポリマー物質である。
分散剤として用いることができる界面活性剤の具体的な例は、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、グリセリン・ポリグリセリン脂肪酸エステル及び酢酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン・プロピレングリコール脂肪酸エステルの酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポロオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体類、ラノリン・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン及び脂肪酸アミド類、並びにそれらの誘導体を用いることができ、市販のものを用いてもよい。
界面活性剤を添加する場合、その量はワックス粒子を形成するために使用するオレフィン系ワックスの質量に対して2倍量以下である。
分散剤としてポリマー樹脂を用いる場合は、25℃で上述したワックス粒子を析出させる溶剤に5%以上溶解するポリマー樹脂である。好ましいポリマー樹脂は、グリコモノエーテルに10質量%以上溶解する、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂である。これらのうち、特に好ましいポリマー樹脂は、スチレン−アクリル樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸系樹脂及びフェノール系樹脂等である。ポリマー樹脂を添加する場合、その量はワックス粒子を形成するために使用するオレフィン系ワックスの質量に対して等倍量以下である。
本発明の油性インキ組成物に用いるオレフィン系ワックス分散体の調製例としては、ワックス粒子形成用のオレフィン系ワックスとして滴点が100℃以上の、例えばポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスを用意し、これを非極性媒体、例えば液状テルペン樹脂と一緒にして70℃〜160℃の温度範囲に加熱して、攪拌することにより固体のワックスを溶解させる。この溶液を70℃〜100℃に冷却する。そして、同じように70℃〜100℃に加熱したグリコールエーテルと相溶可能な溶剤、例えば、3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノールを、このワックス溶液に徐々に添加する。この際、3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノールに予め表面被覆用分散剤POE(5)アルキルアルコールを所定量溶解させておく。ワックス溶液に徐々に添加すると、溶解していたオレフィン系ワックスが3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール中に析出して粒子化し、分散体が得られる。更に、放置して冷却して温度を下げながら撹拌を続ける。表面被覆用分散剤POE(5)アルキルアルコールはこの時に添加することもできる。以上の手順でオレフィン系ワックス分散体を得ることができる。
本発明の油性インキ組成物に用いる溶剤は、ワックス分散体を調製するために使用する溶剤と同じタイプである。従って、本発明の油性インキ組成物に用いるインキ溶剤は、一価アルコール、多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる溶剤である。インキ溶剤として、一価アルコール、多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる溶剤がインキ総量に対して50〜100質量%であり、主溶剤である。
本発明のインキ組成物に用いる溶剤は、25℃での蒸気圧が25℃で0.001mmHg以上の蒸気圧を有するものであり、より好ましくは0.1mmHg以上の蒸気圧を有するものである。
蒸気圧が低すぎると油性インキ組成物として紙面に筆記した際に描線乾燥性、裏抜け等の問題が発生する。蒸気圧が高すぎるとボールペンとした際にペン先から溶剤が揮発し、初筆性が悪くなり、筆記不能の原因となる。また、ペン後端部にインキ追従体を置き直接揮発を抑制したとしても経時的に溶剤がインキ追従性を透過しインキの物性が変化する不具合が発生する。
なお、本発明の油性インキ組成物を用いたボールペンにおいては、上述した好適溶剤を使用したとしてもペン後端部からインキ溶剤の揮発を抑制し、インキ溶剤の吸湿を抑制するためにインキ追従体をインキリフィル後端部に充填することが好ましい。
本発明の油性インキ組成物に使用可能な溶剤具体例は、オレフィン系ワックス分散体のところで記載したものと同じである。
これらの溶剤が、溶剤の蒸気圧に起因する油性インキ組成物の性能面、安全性及び経口毒性等の点から好ましい。
本発明の油性インキ組成物に使用する染料としては、使用する染料がオレフィン系ワックス分散体を破壊しないものであれば一般的な油性インキ組成物に使用されているいずれの染料も使用することができる。それらの染料の例としては、通常の染料インキ組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料、造塩染料、樹脂に染料を染着した染料等の中から任意のものを使用することができる。これらの中で、造塩染料、樹脂に染料を染着した染料等が好ましい。染料の配合量は、インキ総量当たり1〜50質量%の範囲となることができる。
一般的な油性インキ組成物に使用されている造塩染料としては、パリファーストカラー(登録商標、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロン染料、アイゼンSOT染料(登録商標名、保土谷化学工業(株)製)がある。
樹脂に染料を染着した染料としては、keiko−Colot MPI−500シリーズ、keiko−Colot MPI−500Cシリーズ、keiko−Colot NKS−1000シリーズがある。
本発明の油性インキ組成物には、分散体、染料以外にボールペンの筆記性能を向上するための色剤、樹脂、界面活性剤、補助溶剤等を添加することが可能である。さらには油性インキ組成物に悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防徽剤、潤滑剤及び湿潤剤等を配合することがでる。
補助溶剤としては、脂肪族系の溶剤だけでなく、芳香族系の溶剤も使用可能である。特に、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテルは染料の溶解助剤として有効であるため、補助溶剤として使用すると好ましい場合がある。
本発明の筆記具は、具体的には、油性サインペン、油性ボールペン等が挙げられる。油性ボールペンの場合、ボール、チップホルダーからなるペン先、インキ収容管、チップと該収容管をつなぐ継ぎ手、ペン軸等から構成され、前記インキ収容管に本発明のインキ組成物を充填したものとなることができる。
本発明のインキ組成物をボールペンに用いる場合には、インキ追従体をボールペンリフィル後端部に付与することが好ましい。使用する溶剤は揮発性があるので、揮発防止、吸湿性防止、インキ漏れ防止としてインキ追従体を添加するものである。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって限定されるものではない。また例中で示したパーセントはいずれも質量%である。インキの調製として使用するオレフィン系ワックス再析出粒子分散体は予め調製し、ガラス瓶に密栓しておく。
(実施例1〜40)及び(比較例1〜32)は以下の通りである。また、下記例ではオレフィン系ワックス再析出粒子分散体と評価用インキ組成物とを各々所定量添加し、40℃以上の恒温槽にて混合し最終インキ組成物とした。
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−1>
オレフィン系ワックス:AC−9A 6.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 30.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
58.0%
表面被覆用分散剤:POE(40)ラノリンアルコール 6.0%
オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−1を以下の手順で調製した。
オレフィン系ワックスAC−9Aとこのオレフィン系ワッスを溶解させるための媒体YSオイルDAを、所定量容器に入れる。これを70〜160℃の範囲で加熱撹枠する。その後、冷却して70〜100℃程度に温度調節する。そして、溶剤3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノールに、分散剤POE(40)ラノリンアルコールを所定量溶解させて70〜100℃に加熱した溶液を、このワックス溶液に徐々に添加すると、溶解していたオレフィン系ワックスが3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール中に析出して粒子化し、分散体が得られる。更に、放置して冷却して温度を下げながら撹拌を続けて本発明のオレフィン系ワックス分散体を得た。
以下、分散体−2〜10では種々のオレフィン系ワックスを用いて、<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−1>に記載した手順を繰り返して本発明のオレフィン系ワックス再析出粒子分散体(ワックス分散体)を調製した。各実施例で使用した分散体の配合を以下に記載する。
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−2>
オレフィン系ワックス:AC−629 7.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:α−Limonene 12.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:Isobornyl cyclohexanol
8.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
71.0%
表面被覆用分散剤:POE(40)ラノリンアルコール 2.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−3>
オレフィン系ワックス:45192BA 3.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 20.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
76.0%
表面被覆用分散剤:POE(15)オクチルフェニルエーテル 1.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−4>
オレフィン系ワックス:AC−597 8.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
60.0%
表面被覆用分散剤:POE(20)POP(8)セチルエーテル 7.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−5>
オレフィン系ワックス:AC−8A 5.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:p−Menthane 5.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:Isobornyl cyclohexanol
10.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
77.0%
表面被覆用分散剤:POE(4)オレイルエーテル 3.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−6>
オレフィン系ワックス:ネオワックスLA05 4.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 18.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
74.0%
表面被覆用分散剤:POE(23)ラウリルエーテル 4.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−7>
オレフィン系ワックス:AC−629 5.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:Dihydroterpinyl acetate
25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
68.0%
表面被覆用分散剤:POE(5)ラノリンアルコール 2.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−8>
オレフィン系ワックス:HW26502PE 8.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
65.0%
表面被覆用分散剤:ポリビニルブチラール 2.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−9>
オレフィン系ワックス:AC−597 5.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
68.0%
表面被覆用分散剤:POE(15.2)トリベンジルフェニルエーテル 2.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−10>
オレフィン系ワックス:2203A 8.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
65.0%
表面被覆用分散剤:レジンSK 2.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−11>/比較例用
オレフィン系ワックス:ネオワックスLA05を溶解しないで粉体の状態でグリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノールに投入して分散体を調製した。
得られた分散体は、<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−6>のところで記載したものと同様な配合となるが、オレフィン系ワックス溶解しないで粉体の状態で投入することからオレフィン系ワックス溶解用媒体及び表面被覆用分散剤は使用していない。
<オレフィン系以外のワックス再析出粒子分散体−12>/比較例用
ワックス:ヒマシ油ワックス系DISPALON4300 8.0%
ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
60.0%
表面被覆用分散剤:POE(5)ラノリンアルコール 7.0%
<オレフィン系以外のワックス再析出粒子分散体−13>/比較例用
ワックス:ヒマシ油ワックス系DISPALON305 8.0%
ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
67.0%
<オレフィン系以外のワックス再析出粒子分散体−14>/比較例用
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−1>のところで用いたオレフィン系ワックスAC−9Aを変性アマイドワックスに変え、表面被覆用分散剤を用いなかった以外は、同じ操作手順で分散体を調製した。
ワックス:変性アマイドワックスDISPALON6650 5.0%
ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
70.0%
<オレフィン系以外のワックス再析出粒子分散体−15>/比較例用
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−1>のところで用いたオレフィン系ワックスAC−9Aをアマイド/ポリエチレン系に変え、表面被覆用分散剤を用いなかった以外は、同じ操作手順で分散体を調製した。
ワックス:アマイド/ポリエチレン系ワックスDISPALON F−9050
5.0%
ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
70.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−16>/比較例用
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−1>のオレフィン系ワックスをオレフィン系ワックスであるLA05に変え、溶剤3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノールをキシレンに変えた以外は同じ操作手順で分散体を調製した。
オレフィン系ワックス:ネオワックスLA05 5.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:YSオイルDA 25.0%
溶剤:キシレン 68.0%
表面被覆用分散剤:POE(5)ラノリンアルコール 2.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−17>/比較例用
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−1>のオレフィン系ワックスをオレフィン系ワックスである30200Bに変え、ワックス溶解媒体YSオイルDAをポリプロピレングリコールに変えた以外は同じ操作手順で分散体を調製した。
オレフィン系ワックス:30200B 5.0%
オレフィン系ワックス溶解媒体:ポリプロピレングリコール(分子量400)
25.0%
グリコールエーテルと相溶可能な溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール
68.0%
表面被覆用分散剤:POE(5)ラノリンアルコール 2.0%
<オレフィン系ワックス再析出粒子分散体−18>/比較例用
オレフィン系ワックス系再析出粒子分散体は添加せず、3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノールだけを5重量%添加した。
ワックス粒子分散体と混合する評価用インキ組成物は以下の配合を有した。
<評価用インキ組成物−1>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35 [デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ハイラック110H [日立化成製] 5.0%
GWIS−125 [日本エマルジョン製] 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 65.0%
<評価用インキ組成物−2>
スピロンブルーC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 4.0%
クロモフタルブルーA−3R [チバガイギー社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ハイラック110H [日立化成製] 8.0%
オレイン酸 0.5%
エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 62.5%
<評価用インキ組成物−3>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 10.0%
クロモフタルバイオレット B [チバガイギー社製] 5.0%
ポリビニルブチラール BL−S [積水化学製] 3.0%
ハイラック110H [日立化成製] 8.0%
エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.0%
3−メトキシブタノール 13.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 56.0%
<評価用インキ組成物−4>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35 [デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ハイラック110H [日立化成製] 5.0%
3−メトキシブタノール 10.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 60.0%
これらの評価用インキ組成物に、発明例及び比較例の分散体を加え、最終インキ組成物を作成し、それらを実施例1〜40及び比較例1〜32とした。最終インキ組成物にするための配合量としては、下記の通りである。
ワックス粒子分散体:5重量%
評価用インキ組成物:95重量%
種々の評価用インキ組成物と、発明例及び比較例分散体の組合せは評価結果をまとめた表を参照されたい。
以上の様に実施例や比較例で得られたインキを充填し、下記評価テストを行った。
試験に用いたボールペンは、内径1.60mmのポリプロピレンチューブ、ステンレスチップ(ボールは超硬合金で、直径1.0mmである)を有するものである。また、充填した後、25℃65%条件下にて30分後に以下の評価を行った。
1) 書出時カスレ評価(官能評価)
「三菱」という文字を書き、文字のカスレ度合いを次の基準を用いて判定した。
ほとんどカスレないもの(「三」の2番目の線以降かすれない);○
少し多いもの(「菱」以降かすれない);△
非常に多いもの(「菱」が最後まで書けない);×
とした。
2) 書出時カスレ評価(機械評価)
25℃65%条件下にて、ペンを角度60°にセットし、200gの荷重をかけ、接触する紙を2m/minの速度で動かし、その筆記描線を観察した。その際の、始点から書出が開始した描線の距離を測定する。ペンは5本用意し、その平均値を計算して測定値とした。
尚、長期的なカスレ性を観察するために、充填後の放置期間は1日間とした。
測定値≦50mm:○
50mm<測定値≦100mm:△
100mm<測定値:×
とした。
3) 筆記性評価/線割れ性(官能評価)
室温下でPPC用紙を用い、連続的にラセン状に筆記した時の描線の線割れ(筆記時にインキが転写しない部分)度合いを観察し、以下の基準を用いて判定した。
ほとんど線割れしないもの、僅かに線割れする程度のもの;○
少し線割れが多いもの;△
非常に線割れが多いもの;×
とした。
4) 低温安定性・筆記性評価/線割れ性(官能評価)
0℃の周囲環境に3日間放置し、取り出し1時間後に、室温下でPPC用紙を用い、連続的にラセン状に筆記した時の描線の線割れ(筆記時にインキが転写しない部分)度合いを観察し、以下の基準を用いて判定した。
ほとんど線割れしないもの、又は僅かに線割れする程度のもの;○
少し線割れが多いもの;△
非常に線割れが多いもの;×
とした。
5) 低温安定性・インク気液界面及び沈降物評価(官能評価)
調製したインキ組成物を20mlのガラス瓶に密栓して保存し、0℃と50℃とを12時間サイクルで変化する恒温層に2週間放置した。取り出した後、気液界面上に異物の発生を目視にて観察し、また、沈降物の発生を金属製のヘラ(スパチュラ)にて低部をすくい取る様にかき混ぜ観察し、以下の基準を用いて判定した。
気液界面上での異物や沈降物がほとんど確認できないもの、無いもの;○
気液界面上での異物や沈降物が僅かに確認できるもの;△
気液界面上での異物や沈降物がはっきりと確認できるもの;×
とした。
これらの評価結果を次の表に示す。
Figure 0004698390
これらの結果から明らかなように本発明の範囲内である実施例1〜40のインキ組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜32のインキ組成物に比べて、書出時のかすれに対して非常に優れ、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れ、しかもインキの経時的な安定性に優れることで筆記時の線割れ等も格段に向上することが判明した。
したがって、本発明によれば、従来の方法とは異なり、書き出し時の筆記カスレを抑制し、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れ、インキの経時的な安定性に優れることで筆記時の線割れ等も格段に向上することを可能にしたボールペン用インキ組成物が提供される。

Claims (6)

  1. 一価アルコール、多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる溶剤、顔料、染料、及び顔料と染料との混合物からなる群より選ばれる色材、樹脂、さらに、オレフィン系ワックス再析出粒子分散体を含んで成る油性インキ組成物であって、前記オレフィン系ワックス再析出粒子分散体が、一旦、60℃〜250℃の間で当該オレフィン系ワックスを相溶又は溶解させることができるモノテルペン系溶媒又は液状テルペン系樹脂に溶解させたあと、前記溶剤に析出させたものであることを特徴とする油性インキ組成物。
  2. 前記オレフィン系ワックス再析出粒子分散体の配合量が、オレフィン系ワックスの固体分量として、インキ組成物の全質量に対して0.001%〜30%である請求項1記載の油性インキ組成物。
  3. 前記溶剤が、25℃で0.001mmHg以上の蒸気圧を有しており、インキ組成物中の全溶剤の50%以上を占めている請求項1又は2に記載の油性インキ組成物。
  4. 前記溶剤が、25℃で0.1mmHg以上の蒸気圧を有しており、インキ組成物中の全溶剤の50%以上を占めている請求項3記載の油性インキ組成物。
  5. 前記溶剤が下記に示す構造式(1):
    Figure 0004698390
    で表される請求項3又は4記載の油性インキ組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載のインキ組成物を用いる筆記具。
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