JP4172978B2 - 油性ボールペン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールペン用油性インキとして好適に用いられ、滑らかな書き味を持ち、堅牢性、発色性、顔料の分散安定性を良好にすることに優れたボールペン用油性インキ組成物、及びその油性インキ組成物を用い逆流防止機構を搭載した油性ボールペンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来上市されている油性ボールペンでは、溶剤としては2−フェノキシエタノールとベンジルアルコールの混合物で構成されており、化学構造式(1)
【0003】
【化2】
Figure 0004172978
【0004】
の溶剤を主溶剤として用いている油性ボールペンはこれまで上市されていない。
【0005】
本発明者は、滑らかな書き味を持ち、筆記面に対するすばやいインキの浸透性、ペン先での乾燥性などを追求して、化学構造式(1)の溶剤を主溶剤として使用するインキ組成物を検討している(特願平12−232004号)。
【0006】
また、従来の油性ボールペンでは、通常、油性ボールペンでは顔料を使用できにくいので堅牢性を高める上で含金染料などを使用し、耐光性を確保していた。しかし、堅牢性は顔料が優れている。
【0007】
また、従来の油性ボールペンでは、高粘度インキが用いられるので、逆流防止のためにインキ追従体やチップとインキ収容管とをつなぐ継ぎ手部分に逆流防止機構を設けることにより逆流しにくい構造をとることはされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、化学構造式(1)の溶剤を主溶剤として使用したインキ組成物を用いた油性ボールペンでは、溶剤の流動性が高くペン先から空気が混入し不具合を生じ易いので、逆流防止機構を搭載することが必要であることに考えがいたり、また堅牢性のために顔料を使用することを企図し、化学構造式(1)の溶剤を主溶剤とし顔料を用いたインキ組成物と逆流防止機構を搭載した油性ボールペンにおいて、堅牢性、発色性、顔料の分散安定性が良好な油性インキ組成物を提供すべく検討した。
【0009】
即ち、本発明は、従来の方法とは異なり、滑らかな書き味を持ち、堅牢性、発色性、顔料の分散安定性を良好にすることに優れ、かつ逆流防止機構を搭載したボールペン用の油性インキ組成物、およびその油性インキ組成物を用い逆流防止機構を搭載した油性ボールペンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、下記を特徴とするものである。
(1)少なくとも顔料、および分散剤として平均分子量10,000〜30,000のポリビニルブチラールを含み、かつ、化学構造式(1)
【化3】
Figure 0004172978
の溶剤を主溶剤として含み、25℃で500〜3,000mPa・sのインキ粘度となるボールペン用油性インキ組成物を用い、チップとインキ収容管とをつなぐ継ぎ手部分に逆流防止機構を設けたことを特徴とする油性ボールペン。
【0011】
(2)顔料と染料を併用したことを特徴とする上記(1)に記載の油性ボールペン
【0012】
(3)さらにインキ収容管のインキ後端部にインキ揮発防止および逆流防止用にインキ追従体を搭載したことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の油性ボールペン。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のボールペン用油性インキ組成物に用いられる溶剤の主溶剤としては、化学構造式(1)
【0014】
【化4】
Figure 0004172978
【0015】
の溶剤であり、具体例には1,3ブタンジオール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。これらの溶剤を使用することにより滑らかな書き味を持つことが可能となる。主溶剤とは、全溶剤の50重量%以上をいうが、必要に応じて70重量%以上、さらには80重量%以上、特に90重量%以上用いることができる。
【0016】
更に補助溶剤として使用するものとしては、25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上のアルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる溶剤が適している。具体的に、アルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,6−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコールやその他多種の高級アルコール等が挙げられる。
【0017】
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
【0018】
グリコールエーテルとしては、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレグリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0019】
以上挙げた溶剤の中で特に好ましいのは、炭素数2〜7のグリコールエーテルが特に効果が解り易い。また、安全性及び経口毒性等の点から好ましくはエチレングリコール誘導体等以外の有機溶剤を使用した方が好ましい。
【0020】
また、以上に挙げた溶剤の他に、限定するわけではないが、特にリン酸エステルとアミン系化合物の混合物との溶解性や発揮性能を妨げない範囲で、以下に挙げる溶剤を添加することも可能である。
【0021】
それらの例として、多価アルコール類誘導体があり、ソルビタン脂肪酸系、ポリグリセリン高級脂肪酸系、ショ糖脂肪酸系、プロピレングリコール脂肪酸系等の誘導体も挙げられる。
【0022】
エステル類の溶剤としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート等様々なエステルが挙げられる。
【0023】
また、分子内に水酸基を持たない溶剤ジエーテルやジエステルは、具体的には、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0024】
本発明のボールペン用油性インキでは、着色剤として顔料を用いることを特徴とする。従来油性ホールペンで用いられてきた含金染料と比べて、安全性、堅牢性の点で優れることができる。顔料は単独で用いてもよいが、特に発色性のために顔料と染料併用の形で使用してもよい。
【0025】
顔料としては、カーボンブラックやフタロシアニン系やモノアゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、キレートアゾ等の不溶性アゾ系と難溶性アゾ、可溶性アゾ等の溶性アゾを含むアゾ系やキナクリドン系やジケトピロロピロール系やスレン系やジオキサジン系およびイソインドリノン系等の有機顔料を使用することができる。
【0026】
特にカーボンブラックに関しては、なるべく比表面積の小さなものを使用しなければならず、具体的にはBET法にて測定した値で100m2 /g以下のものが好ましい。具体的には三菱化成製カーボンブラックとして#33、#32、#30、#25、CF9等があり、キャボット社製カーボンブラックとしてREGAL(400R、500R、330R、300R)、ELFTEX(8、12)、STERLING R等があり、デグサ社製としてPrintex(45、40、300、30、3、35、25、200、A、G)、SB(250、200)等があり、コロンビアン社製としてRAVEN(1040、1035、1020、1000、890、890H、850、500、450、420、410、H20、22、16、14)等がある。
【0027】
また、顔料としては、用いる化学構造式(1)の有機溶剤に溶解し難く分散後の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。顔料の配合量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜25重量%、好ましくは0.5〜20%までの範囲で必要に応じて配合することができる。
【0028】
使用できる顔料は、単独又は2種以上の混合で使用することができる。また、必要に応じて無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度で添加することができる。更に、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルションや、インキ中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、または、これらのエマルション自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等が挙げられる。
【0029】
本発明に使用する色材が顔料である場合は、顔料分散インキ組成物を製造するには、従来から公知の種々の方法が採用できる。例えば、上記各成分を配合し、ディゾルバー等の攪拌機により混合攪拌することによって、また、ボールミルやロールミル、ビーズミル、サンドミル、ピンミル等によって混合粉砕した後、遠心分離や濾過によって顔料の粗大粒子、及び未溶解物、混入固形物を取り除くことによって容易に得ることができる。
【0030】
顔料に対して併用する染料としては、分散系を破壊しないものであれば、特に制限なく使用することができる。それらの染料としては、通常の染料インキ組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料等や通常の顔料インキ組成物に用いられる無機および有機顔料の中から任意のものを使用することができる。その配合量は、組成物全量当たり1〜50重量%の範囲で選ばれる。
【0031】
顔料を用いることで堅牢性には優れるが、発色性を高めるためには染料を併用することが望ましい。しかし、本発明の油性インキ組成物において顔料と併用する染料は、化学構造式(1)の溶剤の50%溶液が0℃に3日間放置しても安定でありかつ粘度が2,000mPa・s 以下であることができる染料であることが好ましい。
【0032】
ところで、本発明の化学構造式(1)の溶剤を主溶剤とする溶剤で顔料分散体を調製するためには、化学構造式(1)の溶剤は吸湿性が高いため、顔料分散剤には吸湿性の低いポリビニルブチラールが安定性に優れ好適であることを見出した。吸湿性の高いポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルなどを使用するとインキ全体の吸湿性が上がったり、粘度低下による紙面へのインキの付着が激しくなる不都合があるからである。その他の顔料分散剤、例えば、スチレン−マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレンーアクリル酸共重合体などでは顔料分散の安定性の面で使用する溶剤中では不安定になりやすく、凝集を起こしたり、顔料が沈降しれしまったりといった不具合を生じるのので、好適でない。
【0033】
また、本発明の化学構造式(1)の溶剤を主溶剤とする溶剤を用いて継ぎ手に逆流防止機構を設けると、従来の油性ボールペンインキの様に25℃粘度が6,000mPa・s 以上あると継ぎ手内の逆流防止ボールが極めて移動し難く、筆記時に不具合が生じるので、低粘度状態の顔料分散体であることが必要であることが判明した。継ぎ手内の逆流防止ボールが移動し易くなり好適に使用できるためには、25℃粘度が3,000mPa・s 以下であればよく、好適な粘度(25℃)は500〜3,000mPa・sであることが見出された。500mPa・s未満ではインキが紙面に対して滲みやすく、十分な性能が発揮できない。
【0034】
このように粘度を増加させないでなおかつ顔料の分散性を高めるためには、ポリビニルブチラールは平均分子量が比較的に低い10、000〜30、000のものが好適であることも見出した。限定されるわけではないが、分散剤として中重合度以上(平均分子量30,000以上)のタイプのポリビニルブチラールを使用すると、有機顔料では濃度依存性が高くなってしまい安定性にも不安が残る場合がある。また、中重合度以上の分散剤を使用した顔料分散体では、粘度が高くなりすぎ、インキ化をする際に上記に記載する粘度範囲を超えてしまう恐れもある。従って、平均分子量が10,000〜30,000までのポリビニルブチラールが好適である。
【0035】
本発明で用いるポリビニルブチラールとしては、積水化学社製のエスレックBシリーズやデンカ社製のデンカブチラールシリーズ等があり、具体的には、BL−1、BL−2、BL−2H、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−Lがある。
【0036】
ポリビニルブチラールの添加量は、顔料に対して分散剤量を20〜60質量%添加して分散することが好ましく、更に好ましくは25〜50質量%である。顔料の濃度は性能上使用範囲内で使用する。顔料濃度が高くなるとインキ化を行った際、やはり設定粘度範囲を超えてしまう可能性があるが、逆に顔料濃度が低すぎると堅牢性に問題が生じ、耐光性などに支障をきたす。
【0037】
本発明の油性インキ組成物では顔料分散剤及び固着剤としてポリビニルブチラールを用いるが、本発明の目的を阻害しない範囲で他の分散剤を併用してもよい。
【0038】
逆流防止機構に用いる逆流防止ボールは、なるべく移動し易い様に比重の重いものが好ましいので、金属ボール、特にSUS製ボールが好ましいが、更に比重が重い様な超硬製ボールは更に好ましい。
【0039】
本発明の油性インキ組成物を用いる油性ボールペンでは、チップとインキ収容管とをつなぐ継ぎ手部分に逆流防止機構を設ける。先に述べたように、滑らかな書き味を目的として化学構造式(1)の溶剤を主溶剤として用いた場合、空気の混入による不具合が見出されたので、それを防止するためである。
【0040】
本発明の油性ボールペンに搭載する逆流防止機構は、従来の水性ボールペン、ゲルインクボールペンにおいて公知の逆流防止機構であることができる。図1に典型的な逆流防止機構の例を示す。図1において、先端に金属あるいは超硬製の逆流防止ボール2が収容されたチップ1と、インキ組成物3を収容したインキ収容管4とをつなぐ継ぎ手部分5に逆流防止用ボール6とボール座7,8からなる逆流防止機構が形成されている。
【0041】
本発明の油性インキ組成物は、逆流防止機構を搭載した油性ボールペンに用いてペン先からの空気の混入を防ぐことができるように構成されている。
【0042】
本発明の油性インキ組成物をボールペンに用いる場合、さらに、ボールペン後端部にインキ追従体を付与することが好ましい。使用する化学構造式(1)の溶剤は揮発性があるので、揮発防止、吸湿性防止、インキ漏れ防止としてインキ追従体を添加するものである。
【0043】
インキ追従体としては、インキに使用する溶剤に対して低透過性、低拡散性が必要であり、そのベースとしては不揮発性や難揮発性の流動体、具体的には、ポリブテンや流動パラフィン等、化学構造式(1)の溶剤と基本的に相溶性を有さない非シリコン系の油脂類を使用することができる。これらの物質の粘度が低い場合、増粘剤やゲル化剤を用いるとよい。具体的には、金属セッケン類、ベントナイト類、脂肪酸アマイド類、水添ヒマシ油類、酸化チタンやシリカやアルミナ等を含む金属微粒子類、セルロース類、エラストマー類等が挙げられる。
【0044】
本発明のボールペン用油性インキ組成物に使用される樹脂としては、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂がある。
【0045】
これらの樹脂の配合量としては、1〜30重量%がよく、より好ましくは1〜20重量%である。その配合量が1重量%未満であると粘度調整やペン先での摩耗が困難となり、30重量%超だと樹脂以外の原材料が配合できなくなったり、書き味に悪影響を及ぼすことになる。
【0046】
更に、本発明では必要に応じて、インキに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を配合することができる。特に脂肪酸などは、潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も配合することができる。
【0047】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって限定されるものではない。
【0048】
以下の実施例及び比較例に用いた成分は下記のである。
【0049】
ポリビニルブチラールBL−1:計算分子量19,000のポリビニルブチラール
ポリビニルブチラールBL−S:計算分子量23.000のポリビニルブチラール
ポリビニルブチラールBM−1:計算分子量40,000のポリビニルブチラール
YP90L:テルペンフェノール樹脂
スピロンバイオレットC−RH:メチルバイオレットを母体とした酒精溶性染料
スピロンイエローC−GNH:酒精溶性黄染料
Printex#35:カーボンブラック(顔料)
ハイラック110H:アルコール可溶性樹脂
クロモフタルブルーA−3R:インダスレン(顔料)
クロモフタルバイレットB:ジオキサジンバイオレット(顔料)
ポリビニルピロリドンK−39:ポリビニルピロリドン樹脂
ダイアナプロセスオイルPW−90:流動パラフィン(鉱油)
アエロジルR−972:微粒子シリカ
P−105:テルペン樹脂
以下に記載した粘度は、E型粘度計、EMD 10rpm値、レギュラーコーンを使用して測定した。
【0050】
実施例1〜5、比較例1〜4は以下の通りである
(実施例1)25℃粘度500mP・s
カーボンブラック#25 〔三菱化成製〕 10%
ポリビニルブチラール BL−S 〔積水化学製〕 5%
YP90L 〔ヤスハラケミカル製〕 10%
3−メトキシブタノール 5%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 70%
(実施例2)25℃粘度1100mP・s
スピロンバイオレットC−RH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 8%
スピロンイエローC−GNH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 5%
Printex#35 〔デグッサ社製〕 8%
ポリビニルブチラール BL−1 〔積水化学製〕 4%
ハイラック110H 〔日立化成製〕 12%
3−メトキシブタノール 10%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 53%
(実施例3)25℃粘度1300mP・s
スピロンブルーC−RH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 8%
スピロンバイオレットC−RH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 4%
クロモフタルブルーA−3R 〔チバガイギー社製〕 8%
ポリビニルブチラール BL−1 〔積水化学製〕 4%
ハイラック110H 〔日立化成製〕 8%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 68%
(実施例4)25℃粘度1300mP・s
スピロンバイオレットC−RH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 10%
クロモフタルバイオレット B 〔チバガイギー社製〕 5%
ポリビニルブチラール BL−S 〔積水化学製〕 3%
ハイラック110H 〔HULUSE製〕 12%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 70%
(実施例5)25℃粘度900mP・s
スピロンレッドC−GH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 10%
DPP Red BP 〔チバガイギー社製〕 5%
ポリビニルブチラール BL−1 〔積水化学製〕 3%
ハイラック110H 〔日立化成製〕 12%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 70%
(比較例1)顔料なし
スピロンバイオレットC−RH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 10%
ポリビニルブチラール BL−S 〔積水化学製〕 5%
YP90L 〔ヤスハラケミカル製〕 10%
3−メトキシブタノール 5%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 70%
(比較例2)分散剤がPVPなので吸湿性が高くボテが多くなる。
【0051】
スピロンバイオレットC−RH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 10%
クロモフタルバイオレット B 〔チバガイギー社製〕 5%
ポリビニルピロリドン K−30 〔ISP社製〕 3%
ハイラック110H 〔日立化成製〕 12%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 70%
(比較例3)分散剤がPVB以外の分散できない樹脂。
【0052】
スピロンバイオレットC−RH 〔保土ヶ谷化学工業製〕 10%
クロモフタルバイオレット B 〔チバガイギー社製〕 5%
ハイラック110H 〔日立化成製〕 3%
ハイラック110H 〔日立化成製〕 12%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 70%
(比較例4)化学構造式(1)でないもの
Printex#35 〔デグッサ社製〕 15%
ポリビニルブチラール BM−1 〔積水化学製〕 8%
ハイラック110H 〔日立化成製〕 12%
ポリプロピレングリコール(分子量400) 40%
ポリプロピレングリコール(分子量1000) 25%
以上の様に実施例や比較例で得られたインキを充填し、下記評価テストを行った。
【0053】
試験に用いたボールペンは、内径1.60mmのポリプロピレンチューブ、ステンレスチップ(ボールは超硬合金で、直径1.0mmである)を有するものである。また、充填した後、25℃65%条件下にて30分後に下記評価を行う。尚、揮発防止、吸湿防止用のインキ追従体としては下記の配合とした。
【0054】
ダイアナプロセスオイル PW−90 67%
アエロジルR−972 3%
P−105(テルペン樹脂) 30%
逆流防止機構継ぎ手としては三菱鉛筆株社製シグノUM−100用の継ぎ手を利用し、更に金属管を使用してチューブとの接合を行った。
【0055】
1)耐光性評価(機械評価):
25℃65%条件下にてペンを60°にセットし、200gの荷重をかけ、接触する紙を4.5m/min の速度で螺旋的に動かし、その筆記描線を所定の大きさに切り取り、フェドメーターにて100hの退色度合いに基づき下記基準で判定した。
【0056】
螺旋が判読できるもの;○
かなり薄いが判読できるもの;△
ほとんど判読できないもの;×
2)分散安定性評価:
顔料、分散剤を実施例、比較例の染料、樹脂未添加状態の配合にてペイントシェーカーにてφ0.5ジルコニアビーズをメディアとして1時間分散させた。その後、各々実施例、比較例を所定の配合にて調製した。分散した後、メディアと分離し30分常温で放置した状態を目視にて観察した。異常に粘度上昇がありゲル化したものとの判別を行った。
【0057】
分散が問題なく流動性があるもの:○
やや流動性に乏しいもの:△
ゲル化してしまい流動性がないもの:×
3)逆流防止機構内ボール移動性評価:
25℃65%条件下にてペンを上向きに3日間放置した。その後、所定の筆記用紙に丸書きを連続的に行い、筆記上の不具合を観察した。
【0058】
全く問題なく、連続的な丸書きができるもの:○
書き出し後、3〜5周目くらいで1〜2周インキが転写できないもの:△
書き出し後、3〜5周目くらいで3周以上インキが転写できないもの:×
【0059】
【表1】
Figure 0004172978
【0060】
以上の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜5のインキ組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜4のインキ組成物に比べて、耐光性などの堅牢性に対して非常に優れ、分散安定性に関してもよく、ボールの動きがよくなることで逆流防止機構を確保することに優れていることが判明した。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の方法とは異なり、滑らかな書き味を持ち、堅牢性、発色性、顔料の分散安定性を良好にすることに優れ逆流防止機構を搭載したボールペン用油性インキ組成物およびそれを用いた油性ボールペンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】逆流防止機構を搭載したボールペンの1例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…チップ
2…金属あるいは超硬製ボール
3…インキ組成物
4…インキ収容管
5…継ぎ手部分
6…逆流防止用ボール
7,8…ボール座

Claims (3)

  1. 少なくとも顔料、および分散剤として平均分子量10,000〜30,000のポリビニルブチラールを含み、かつ、化学構造式(1)
    Figure 0004172978
    の溶剤を主溶剤として含み、25℃で500〜3,000mPa・sのインキ粘度となるボールペン用油性インキ組成物を用い、チップとインキ収容管とをつなぐ継ぎ手部分に逆流防止機構を設けたことを特徴とする油性ボールペン。
  2. 顔料と染料を併用したことを特徴とする請求項に記載の油性ボールペン
  3. さらにインキ収容管のインキ後端部にインキ揮発防止および逆流防止用にインキ追従体を搭載したことを特徴とする請求項1または2に記載の油性ボールペン。
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