JP4697845B2 - 接着剤用の水性エマルジョン及びその組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、常態接着性、耐煮沸接着性及び耐熱接着性に優れた例えば木材用接着剤として好適な接着剤用の水性エマルジョンに関するものであり、さらに詳しくは水溶性樹脂、水性エマルジョン、イソシアネート系化合物を含む組成物からなる接着剤に適し、特にヤニ等の接着阻害成分を多く含む木材に対して優れた初期接着性及び耐煮沸接着性を提供する水性エマルジョンに関する。
水性エマルジョンに、水溶性樹脂及びイソシアネート系化合物を配合した接着剤は、従来のアミノ・ユリア系接着剤とは異なりホルムアルデヒドの発生がなく、常温或いは加温下に短時間で圧締するだけで、極めて高い接着強さが得られる。この接着剤は常態の接着性能ばかりでなく、耐水性、耐熱性などの2次性能も良好であり、特に木材接着用に優れた性能を示す。
従来この接着剤に使用されている水性エマルジョンとしてはポリビニルアルコールを分散剤とする酢酸ビニルエマルジョンまたはエチレン-酢酸ビニルエマルジョンなどが知られている。
しかしながら、接着した木材の使用環境が過酷な方向に向かっていることと、近年接着する木材種が多様化してきていることから、現在はより高度な性能が要求されてきている。例えば、使用条件の過酷さに対してはさらなる耐煮沸接着性の向上、及び長期高温放置下での接着性保持が必要とされている。また、木材種の多様化に対しては、例えばヤニ等の接着阻害成分を含む木材に対しても良好な接着性を発現することが求められている。
これに対して、従来から使用されている酢酸ビニルエマルジョンまたはエチレン-酢酸ビニルエマルジョンでは、常態接着性、初期接着性は良好であるものの、耐煮沸接着性が十分でないという問題を有している。これは、酢酸ビニルエマルジョン、またはエチレン-酢酸ビニルエマルジョンの耐水性不良に起因していると言われている。
これに対して、先のエマルジョンに比較して耐水性が良好である合成ゴム系エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系またははスチレン-(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョンはこの接着剤に使用されているが、酢酸ビニルエマルジョン、またはエチレン-酢酸ビニルエマルジョンに比べ初期接着性が十分でない。これについては、合成ゴム系エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系、又はスチレン-(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョンに、酢酸ビニルエマルジョンまたはエチレン-酢酸ビニルエマルジョンとをブレンドすることにより、初期接着性と耐煮沸性をバランスすることが試みられているが、その接着性能はそれぞれのエマルジョンの中間となり、十分ではない。
更に上記課題に対して、ブレンドではなく、単一のエマルジョンを改良する方法による解決が試みられている。酢酸ビニル単量体、一級水酸基含有ビニル化合物、及びそれらの共重合可能な疎水性のエチレン性不飽和単量体からなる共重合体であって、平均粒子径0.5μm以上のエマルジョンが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、単量体組成にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなどを選択し、粒子径が0.2〜2.0μmであるエマルジョンが好ましいことが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらで開示されたエマルジョンはポリビニルアルコール系重合体を保護コロイドとして乳化重合を行ったエマルジョンであるため、初期接着性は改良されるものの、先に挙げた酢酸ビニルエマルジョン、エチレン-酢酸ビニルエマルジョンと同様に、現在求められている初期接着性と耐煮沸接着性との高度なバランスを図ることはできていない。
さらに、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上とヒドロキシ基含有ビニル系単量体、及び不飽和カルボン酸単量体を界面活性剤を用いて乳化重合し、粒子径が100〜400nmのエマルジョンが好ましいことが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
本開示エマルジョンは初期接着性、耐煮沸接着性は良好なものの、木材の多様化、特にヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への接着に関しては記載がなく、また、それを示唆する記載もない。特許文献3のエマルジョンでは上記課題を解決することは十分でなかった。
従来は接着用の水性エマルジョンのポットライフを良好にしようとすると、イソシアネートとの反応を抑える等の手法が取られていたが、常態接着性、耐煮沸接着性が不良となる等の問題点があった。
以上の様に従来の接着用の水性エマルジョンは、ポットライフ、常態接着性、耐煮沸接着性、耐熱接着性、初期接着性、ヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への接着を全て満足するものはなかった。
特開平5-1270号公報 特開平5-279648号公報 特開2002−129121号公報
本発明は、水溶性樹脂、水性エマルジョン、イソシアネート化合物からなる接着剤において、ポットライフが良好であり、常態接着性、耐煮沸接着性、及び耐熱接着性も良好であり、かつ初期接着性も良好であり、ヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への接着が優れる水性エマルジョン、及びその組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、特定の単量体組成を界面活性剤を用いて乳化重合して得られるエマルジョンを含む組成物であって、そのエマルジョンを特定の粒子径にすることにより、前記課題を解決するために有効であることを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
1.芳香族ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体ならびにヒドロキシル基含有ビニル単量体、不飽和カルボン酸単量体および架橋性単量体とを含み、架橋性単量体の含有割合が0.02〜3重量%である単量体組成物を界面活性剤を用いて乳化重合して得られ平均粒子径が200〜600nmである水性エマルジョン(1)と、イソシアネート系化合物(2)とを含むことを特徴とする接着剤用の水性エマルジョン組成物
2.ヒドロキシル基含有ビニル系単量体が全単量体組成中0.5〜5質量%である上記1に記載の接着剤用の水性エマルジョン組成物である。
本発明の接着剤用の水性エマルジョン及びその組成物から得られる接着剤は、ポットライフが良好であり、耐煮沸接着性が良好で、かつ常態接着性、耐熱接着性、及び初期接着性が良好であり、ヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への良好な接着性を発現する効果を有する。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の水性エマルジョン(1)は、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体、及びヒドロキシル基含有ビニル系単量体、不飽和カルボン酸単量体及び架橋性単量体とを含む単量体組成物を界面活性剤を用いて乳化重合して得られる。
本発明の水性エマルジョン(1)に用いられる芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
また、本発明の水性エマルジョン(1)中に用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートである。
また、本発明の水性エマルジョン(1)中に用いられるヒドロキシル基含有ビニル系単量体としては、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。好ましくはヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートである。
また、本発明の水性エマルジョン(1)中に用いられる不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはそのモノエステル、フマル酸またはそのモノエステル、イタコン酸またはそのモノエステルなどが挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリ酸、イタコン酸の不飽和カルボン酸単量体であり、さらに好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。
さらに本発明の水性エマルジョン(1)中に用いられる架橋性単量体として、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体や、または重合中、重合後に自己架橋構造を与える官能基を有している単量体が挙げられる。
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体としては、例えばジビニルベンゼン等のラジカル重合性の二重結合を2個以上有している芳香族化合物、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート等のポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート等のアルキルジオールジ(メタ)アクリレート等のジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のトリオールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等のテトラオール(メタ)アクリレート等の2個以上の(メタ)アクリル酸とのエステル化合物等を挙げることができる。
重合中、重合後に架橋構造を与える官能基を有している単量体としては、例えばエポキシ基含有ビニル単量体、メチロール基含有単量体、アルコキシメチル基含有単量体、加水分解性シリル基を有するビニル単量体等を挙げることができる。
上記単量体に加えて、本発明の水性エマルジョン(1)に要求される様々な品質・物性を改良するために、上記以外の単量体成分を使用することができる。上記以外の単量体として、例えば(イ)アミド基含有ビニル単量体、(ロ)シアノ基含有ビニル単量体、(ハ)その他のエチレン性不飽和単量体等を挙げることができる。
(イ)アミド基含有ビニル単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等を挙げることができる。
(ロ)シアノ基含有ビニル単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。
またその他の単量体(ハ)も使用できる。例えば、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基を有する各種のビニル単量体、さらには酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなども所望に応じて使用できる。
本発明の水性エマルジョン(1)に用いられる芳香族ビニル系単量体は全単量体中5〜80質量%である。芳香族ビニル系単量体が5質量%以上で耐煮沸接着性に問題がなく、80質量%以下で耐熱接着性に問題がない。好ましくは、10〜60質量%である。
本発明の水性エマルジョン(1)に用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体は全単量体中5〜80質量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体が5質量%以上で常態接着性に問題がなく、80質量%以下で耐煮沸接着性に問題がない。好ましくは、10〜60質量%である。
本発明のエマルジョン(1)に用いられるヒドロキシル基含有ビニル系単量体は全単量体中0.5〜5質量%である。0.5質量%以上で常態接着性に問題なく、且つポットライフ、耐煮沸接着性、及び耐熱接着性も良好であり、かつ初期接着性も良好であり、ヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への接着が優れるため好ましい。また、5質量%以下でポットライフに問題なく、常態接着性、耐煮沸接着性、及び耐熱接着性も良好であり、かつ初期接着性も良好であり、ヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への接着が優れるため好ましい。好ましくは1〜4質量%である。
本発明のエマルジョン(1)に用いられる不飽和カルボン酸単量体は全単量体中0.1〜4質量%である。0.1質量%以上で初期接着性に問題なく、4質量%以下で耐煮沸接着性に問題ない。好ましくは0.5〜3質量%である。
本発明のエマルジョン(1)に用いられる架橋性単量体は全単量体中0.01〜5重量%である。0.01重量%以上で耐煮沸接着性に問題なく、5重量%以下で常態接着性に問題ない。好ましくは0.05〜3重量%である。
本発明の水性エマルジョン(1)のガラス転移温度Tgは-40℃〜40℃が好ましい。-40℃以上で耐煮沸接着性に問題がなく、40℃以下で常態接着性に問題がない。好ましくは-30℃〜30℃である。
なお、ここで言う重合体のガラス転移温度は、単量体のホモ重合体のガラス転移温度と単量体の共重合比率より次式によって定義することが可能である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・
Tg:単量体1、2・・・よりなる重合体のガラス転移温度(゜K)
W1、W2・・:単量体1、単量体2、・・の質量分率
ここでW1+W2+・・=1
Tg1、Tg2・・:単量体1、単量体2、・・のホモ重合体のガラス転移温度(゜K)
計算に使用する単量体のホモ重合体のTg(゜K)は、例えばポリマーハンドブック(Jhon Willey & Sons)に記載されている。本願において用いた数値を例示する。カッコ内の値がホモ重合体のTgを示す。ポリスチレン(373゜K)、ポリメチルメタクリレート(378゜K)、ポリブチルアクリレート(219゜K)、ポリ2−エチルヘキシルアクリレート(205゜K)、ポリアクリル酸(379゜K)、ポリメタクリル酸(403゜K)、ポリアクリロニトリル(373゜K)、ポリ2−ヒドロキシエチルアクリレート(258゜K)、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(328゜K)である。
本発明の水性エマルジョン(1)は、乳化重合法によって得られる。乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、水性媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤および、必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本組成成分とする分散系で、単量体を重合することにより得ることができる。そして、重合に際しては、供給する単量体組成物の組成を全重合過程で一定にする方法や重合過程で逐次、あるいは連続的に変化させることによって生成するラテックス粒子の形態的な組成変化を与える方法など所望に応じてさまざまな方法が利用できる。
本発明でいう界面活性剤とは一分子中に少なくとも一つ以上の親水基と一つ以上の親油基を有する物を指す。界面活性剤としては、例えば脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらのほかに親水基と親油基を有する界面活性剤の化学構造式の中にエチレン性二重結合を導入した、いわゆる反応性界面活性剤を用いても良い。
界面活性剤の使用方法は特に限定されず、例えば乳化重合時に全量使用しても、また乳化重合後にさらに必要量を添加してもよい。
重合開始剤としては、熱または還元性物質によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、水溶性、油溶性の重合開始剤が使用できる。水溶性の重合開始剤としては例えばペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、水溶性のアゾビス化合物、過酸化物-還元剤のレドックス系などが挙げられ、ペルオキソ二硫酸塩としては例えばペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(NPS)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)などが挙げられ、過酸化物としては例えば過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t―ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、過酸化ベンゾイルなどが挙げられ、水溶性アゾビス化合物としては、例えば2,2-アゾビス(N-ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩化水素、4,4-アゾビス(4-シアノペンタン酸)などが挙げられ、過酸化物-還元剤のレドックス系としては、例えば先の過酸化物にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、第一鉄塩などの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いることもできる。
この乳化重合における重合温度は、通常60〜100℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行っても良い。また、例えば2段階重合においては、第1段での重合温度と第2段での重合温度は同じでも異なっていても良い。
本発明の水性エマルジョン(1)の平均粒子径は200〜600nmにコントロールする。平均粒子径が200nm以上でポットライフに問題がなく且つ常態接着性、耐煮沸接着性、及び耐熱接着性も良好であり、かつ初期接着性も良好であり、ヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への接着が優れるため好ましい。また、600nm以下で初期接着性に問題がなく、且つポットライフ、常態接着性、耐煮沸接着性及び耐熱接着性も良好であり、ヤニ等の接着阻害成分を含有する木材への接着が優れるため好ましい。好ましくは平均粒子径が300〜500nmである。
本発明の水性エマルジョン(1)の粒子径コントロール方法は特に限定されない。例えば、シード粒子、界面活性剤の使用割合などによって調整することができ、一般にそれらの使用割合を高くするほど生成共重合体ラテックスの平均粒子径は小さくなり、その逆は平均粒子径が大きくなる傾向がある。なお、シード粒子の重合は、本発明のラテックスの重合に先だって同一反応容器で行っても、異なる反応容器で重合したシード粒子を用いても良い。
本発明に用いられるイソシアネート系化合物(2)とは一分子中にイソシアネート基を2個以上含むものであればよく、例えばトリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビスジフェニルジイソシアネート、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート、水素化メチレンビスジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、水、多価アルコール、水酸基含有ポリエーテル、または水酸基含有ポリエステルと、過剰のイソシアネート系化合物とを予め反応させて得られるイソシアネート系重合物であってもよい。好ましくは疎水性のイソシアネート系化合物であり、さらに好ましくはトリレンジイソシアネート、メチレンビスジフェニルジイソシアネート、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート及びそれらの重合物である。
水性エマルジョン(1)の固形分100質量部に対して、イソシアネート系化合物(2)は1〜150質量部である。1質量部以上で接着性能が良好となり、150質量部以下でポットライフに問題ない。好ましくは2〜100質量部である。
本発明の水性エマルジョン、及び組成物には性能を向上させるために、以下の材料を配合してもよい。例えば、水溶性樹脂、溶剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、分散剤、着色剤、耐水化剤、潤滑剤、pH調整剤、防腐剤、無機顔料、有機顔料、界面活性剤、イソシアネート系化合物以外の架橋剤、例えばエポキシ系化合物、多価金属化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる水溶性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、エチレン性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、セルロース系樹脂(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシセルロース等)、キチン、キトサン、デンプン類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ゼラチン、カゼイン類、シクロデキストリン類、水性硝化綿等を挙げることができる。ポリビニルアルコールは完全けん化、部分けん化でも良い。特にポリビニルアルコールが好ましい。
無機または有機の顔料としては例えば、無機顔料ではマグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛などの各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩または珪酸化合物などが挙げられる。具体的には例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイトなどである。有機顔料ではポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの固体高分子微粉末などが挙げられる。
本発明を実施例に基づいて説明する。本発明の実施態様は、これらによって限定されるものではない。なお、例中の部数はすべて有り姿での部数(即ち、水性エマルジョンは水を含有したそのものの部数である)を示した。また、「部」は特に断らない限り「質量部」を示すものである。
各特性は次のようにして求めた。
(1)粒子径:
光散乱法により測定を行った。
測定装置は粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製、MICROTRACTMUPA150)を用い、体積平均粒子径を測定した。
(2)ポットライフ:
下記に示す配合組成の主剤100質量部に、イソシアネート化合物としてMR−100(日本ポリウレタン(株)製、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート)(登録商標)を10〜25部配合し、激しく5分間攪拌を行う。
その後、20℃に放置し、ゲル化するまでの時間を観測する。90分以上を合格とする。なお、ゲル化の判定は、15分毎にスパチュラで軽く攪拌を行い、攪拌できなくなった時点とした。
主剤の配合組成 水性エマルジョン(固形分50%) 60質量部
ポリビニルアルコール(固形分15%) 20質量部
炭酸カルシウム 20質量部
ポリビニルアルコールは(株)クラレ製PVA217(登録商標)を用いた。なお、主剤の製法は以下の通り。先ず、エマルジョンを攪拌しながら炭酸カルシウムを投入し、10分間攪拌を行う。次いで、ポリビニルアルコールを攪拌下に添加し、さらに10分間攪拌を行った。
(3)接着性試験:
a.初期接着強さ/常態接着強さ (2)のポットライフ試験に用いた配合品(イソシアネート混合後10分以内に使用)を接着剤として使用した。試験片の作製条件はJISK6806:2003 5.11.1に準拠した。
初期接着強さは、除圧後速やかに測定を行い、常態接着強さは除圧後14日静値後測定を行った。
b.耐煮沸接着強さ:JISK6806:2003 5.11.1に準拠した。但し、沸騰水浸漬は次の条件とした。試験片を沸騰水中に4時間浸漬した後、60±3℃の空気中で20時間乾燥し、更に沸騰水に4時間浸漬する。その後再度60±3℃の空気中で20時間乾燥し、更に沸騰水に4時間浸漬し、その後濡れたままの状態で試験を行った。
c.耐熱接着強さ:JISK6806:2003 5.11.1に準拠して作製した試験片を120℃の雰囲気下に120時間放置し、その後20℃に24時間放置し、試験を行った。
d.接着性阻害成分含有木材を用いたときの接着強さ:市販ロジン樹脂を10%トルエン/ミネラルスピリット混合溶液とし、接着性試験に用いる木材表面に刷けで2回塗布した。常温で1週間放置した。これを接着性阻害成分含有木材とした。その後、b.と同様に試験片を作製し、耐煮沸接着強さを測定した。
水性エマルジョン1〜8は次のように作製した。表1に示す全単量体1000質量部に、エマルゲン150(花王(株)製、ポリオキシエチレンアルキルルエーテル)(登録商標)の20%水溶液50質量部、エマールD−3−D(花王(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムの25%水溶液)(登録商標)80質量部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム3質量部、水440質量部を添加し、ホモミキサーで攪拌を行い、プレ乳化液を作製した。
別に攪拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた反応容器に、表1に示すシード粒子(平均粒子径50nm メチルメタクリレート/ブチルアクリレート=50/45(質量比)系重合体 固形分35%)の水性分散体を所定量投入し、さらに水350質量部を仕込み、内温を80℃に昇温し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム0.5質量部を水25質量部に溶解したものを添加した。これに、前記のプレ乳化物を4時間かけて一定流速で添加した。その後80℃の温度のまま、1時間保ち、さらにペルオキソ二硫酸アンモニウム1質量部、水25質量部の溶解したものを添加し、同温度で1時間重合を続けた。1時間後、冷却し、10質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを7とした。その後、200メッシュの金網を用いてろ過を行い、次いで固形分が50質量%となるよう水を配合し、水性エマルジョンを得た。
水性エマルジョン9は、水性エマルジョン1〜8と同様にプレ乳化液を作製した。反応容器にはシード粒子の代わりにエマルゲン150の20%水溶液20質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部を投入した。その後の操作は水性エマルジョン1〜8と同様に行った。
水性エマルジョン10は、水性エマルジョン1〜8と同様にプレ乳化液を作製した。反応容器には150nmの粒子径エマルジョン(スチレン/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート=10/40/45(質量比)系重合体 固形分50%)を20質量部投入した。その後の操作は水性エマルジョン1〜8と同様に行った。
[実施例1〜9]
表2に記載のエマルジョンを用いた主剤配合品を作製し、評価を行った。その評価結果も合わせて表2に示す。
[比較例1〜3]
表3に記載のエマルジョンを用いた主剤配合品を作製し、実施例と同様に評価を行った。その評価結果も合わせて表3に示す。
比較例1では架橋性単量体を使用していないので、接着性阻害成分含有木材を用いたときの接着強さが不良であり、比較例2では粒子径が小さいためポットライフが不良であり、比較例3では粒子径が大きいため初期接着性が不良であった。
Figure 0004697845
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本発明の水性エマルジョン及びその組成物は、合板、集成材などの木材用接着剤として好適である。それ以外にも例えばパーティクルボード用、段ボール用、あるいは金属箔接着用、紙用、布用、繊維加工用、さらには陶磁器用、無機板用、塩ビ、ポリプロピレンなどのプラスチックシート用、ガラス板用などの接着剤としても適用できる。

Claims (2)

  1. 芳香族ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体ならびにヒドロキシル基含有ビニル単量体、不飽和カルボン酸単量体および架橋性単量体とを含み、架橋性単量体の含有割合が0.02〜3重量%である単量体組成物を界面活性剤を用いて乳化重合して得られ平均粒子径が200〜600nmである水性エマルジョン(1)と、イソシアネート系化合物(2)とを含むことを特徴とする接着剤用の水性エマルジョン組成物。
  2. ヒドロキシル基含有ビニル系単量体が、全単量体組成中0.5〜5質量%である請求項1に記載の接着剤用の水性エマルジョン組成物。
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