JP3502159B2 - シリカ粒子複合水性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

シリカ粒子複合水性樹脂組成物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙の表面加工剤、水性
塗料や水性インキにおけるバインダー、各種の表面処理
剤等の用途に供せられる耐ブロッキング性、耐摩擦性に
優れ、かつ透明性の高い水性樹脂組成物及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水性媒体中にポリマー成分を分散させた
分散液は、紙の表面加工剤、水性塗料や水性インキにお
けるバインダー、各種の表面処理剤等に種々利用されて
いるが、従来の水性分散液は一般に造膜性能に難点を有
するため、水性媒体中に分散される重合体をガラス転移
温度(以下Tgという)の低いものにすることにより、造
膜性能の向上が図られているが、ここで得られる塗膜は
耐熱性に乏しく、耐ブロッキング性に劣るものであり、
その用途は自ずから限定されている。
【0003】近年、環境保全及び安全衛生面等により、
前記各種用途における水性化の要望が強いが、それに伴
って水性分散液の塗膜の耐久性、耐汚染性の向上と共
に、耐ブロッキング性等高度の塗膜性能が要求されてお
り、かかる性能の向上が水性分散液の重要課題として問
題提起され、多くの研究が提案されている。
【0004】かかる問題点を解決する一つとして、Tgの
比較的高い重合体組成物に多量の水溶性有機溶剤を造膜
助剤として添加したものが提案されているが(特開昭6
3ー221105号公報)、有機溶剤の選択が難しく、
また、水性化という要望には満足できるものではない。
また、シード重合法による高Tg組成層、低Tg組成層をも
ったコアーシェル型多層構造組成物の提案(特開昭57
ー65704号公報)もなされているが、極めて複雑な
操作が要求されるのが難点である。
【0005】一方、無機質のコロイダルシリカに乳化重
合させた複合化組成物の提案(特開平3ー118147
号公報)や、無機質又はポリスチレンのような硬質の有
機物の微粉末を造膜可能な水性組成物に混合する方法の
提案(特開平5ー32916号公報、特開昭60ー21
419号公報)がなされているが、前者は充分な耐ブロ
ッキング性を得るためコロイダルシリカの配合比率を高
くしなければならず、塗膜性能において耐摩擦性に劣る
ばかりか、複合化時に乳化剤を用いるため耐水性に乏し
く、そのため白化現象等美粧性に欠ける欠点があった。
【0006】更に、前者の改良として、コロイダルシリ
カの配合比率を下げ、数回の乳化重合による複合化も提
案されているが(特開平4ー110302号公報)、操
作が複雑となる欠点がある。また、後者においては、単
に無機質、有機質の微粉体を混合したものであり、これ
らの塗布面での経時的な微粉体の欠落は避けられず、塗
布面の耐汚染性に劣るほか、微粉体の沈降、分離といっ
た弊害があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を解決するため、鋭意研究の結果、
高酸価、高Tgのアルカリ可溶性重合体のアルカリ水溶液
を分散剤とし、これにシリカ粒子の存在下で乳化重合す
ることにより、耐ブロッキング性に優れ、耐摩擦性良好
で、かつ透明性の高い造膜性・安定性良好な水性樹脂
成物が簡便な手段で得られることを確認し、本発明を達
成したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本第1の発明は、酸価25
0〜400、Tg 100〜160℃であるアルカリ可溶性重合体(a)
を分散剤として、シリカ粒子 (c) の存在下、α、βーエ
チレン性不飽和単量体(b)を乳化重合して得られるシリ
カ粒子複合水性樹脂組成物であって、該水性樹脂組成物
の樹脂成分のTgが10℃以下であり、かつ該樹脂成分に対
して5〜20重量%のシリカ粒子(c)を含有している安定
性、造膜性能良好なシリカ粒子複合水性樹脂組成物であ
、得られる塗膜は高い透明性を示し、耐ブロッキング
性に優れ、耐摩擦性においても実用の範囲を充分に満足
できるものである。
【0009】 また、第2の発明は、酸価250〜400、Tg
100〜160℃であるアルカリ可溶性重合体(a)のアルカリ
水溶液に、該水性樹脂組成物の樹脂成分に対して 5 20
重量%のシリカ粒子の存在下に、該アルカリ可溶性重合
体(a)のアルカリ水溶液とα、βーエチレン性不飽和単
量体(b)を滴下しながら乳化重合せしめるシリカ粒子複
合水性樹脂組成物の製造方法である。
【0010】
【作用】本発明は以上の如き構成のものであって、従来
紙の表面加工剤、水性塗料や水性インキにおけるバイン
ダー、その他各種の表面処理剤として、アルカリ可溶性
重合体のアルカリ水溶液を分散剤としてビニル単量体を
乳化重合して得られる水性組成物が使用されている。
【0011】しかし、前述従来の水性組成物は造膜性能
に難点を有するため、Tgを低くすることにより造膜性の
向上を図っているため、耐熱性に乏しく、耐ブロッキン
グ性に難点があった。また、前記欠点を改善するため、
高Tgを有するアルカリ可溶性重合体を用いることは良く
知られているが満足するまでには至っていない。
【0012】本発明の酸価250〜400、Tg100〜160℃のア
ルカリ可溶性重合体(a)は、カルボキシル基を有する
α、βー不飽和カルボン酸及びα、βーエチレン性不飽和
単量体(b)との共重合体である。カルボキシル基を有す
るα、βー不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリ
ル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、フマール酸、アコ
ニット酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、
無水イタコン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イ
タコン酸モノアルキルエステル等の不飽和単量体の1又
は2以上が使用できる。
【0013】また、α、βーエチレン性不飽和単量体(b)
としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基を有する
アルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンタジエニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート等の各種の(メタ)アクリレート
系単量体、スチレン、αーメチルスチレン、ビニルトル
エン等の芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリルニト
リル若しくは(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテ
ルビニルピロリドン、ビニルアセトアミド、ビニルピリ
ジン、ビニルピロリドン等の各種ビニル系単量体、マレ
イン酸ジアルキルエステル、フマール酸ジアルキルエス
テル、イタコン酸ジアルキルエステル等の不飽和二塩基
酸アルキルジエステル系単量体等が使用できる。
【0014】 尚、本第1の発明では、アルカリ可溶性
重合体(a)のTgを考慮して、前記各単量体の1又は2以
上を適宜組合わせて使用できる。また、アルカリ可溶性
重合体(a)は、カルボキシル基の一部に、例えばグリシ
ジル(メタ)アクリレート若しくはグリシジルアリール
エーテル等の反応性不飽和化合物が導入されている側鎖
不飽和基を有するアルカリ可溶性重合体(a)とされてい
ても良く、かかる不飽和基を有する場合には、乳化重合
時に側鎖不飽和基がグラフト活性点として作用するため
に、得られる水性樹脂組成物は、各種性能に対する安定
性に優れたものが得られる場合がある。
【0015】 また、必要に応じて前記単量体と共重合
可能な架橋性単量体、例えば、ジビニルベンゼン、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和
結合を一分子中に2つ以上有する単量体を使用すること
ができる。しかし、架橋性単量体を過剰に使用すると、
乳化重合時の安定性、得られる水溶性樹脂組成物の安定
性を損なうため、該架橋性単量体は前記α、βーエチレ
ン性不飽和単量体(b)に対して5重量%以下、好ましくは
3重量%以下とする。
【0016】他方、無機質シリカの水分散物としてコロ
イダルシリカは良く知られており、一般的には酸性又は
塩基性の粒子径1〜70mμの超微粒子状シリカの水分散物
である。しかし、かかるコロイダルシリカとの相溶性良
好な水溶性高分子物質は、一部カゼイン等を除いて未だ
知られていないのが現状である。
【0017】 本発明は、前述従来の無機質シリカの欠
点につき研究の結果、乳化共重合に用いるシリカ粒子の
粒径が1〜20μの微粉体であり、公知のコロイダルシリ
カの粒径0.05〜1μより大きな粒径を使用するものであ
る。粒子径1μ未満のものでは、粒子本来の性質上、一
定重量当りの表面積が大きく、ゲル形成時の吸水量が増
大し、また、アルカリ可溶性重合体との吸着能も増大
し、その結果重合混合物の流動性が悪くなり、重合時に
多量の希釈水が必要となり、更に得られる水性樹脂組成
物の固形分が低くなり好ましくない。
【0018】本発明におけるシリカ粒子の添加量は、水
性樹脂組成物の樹脂成分の重量に対して5〜20重量%が
必要である。5重量%未満では、有機物ー無機物による
強固な複合塗膜を形成できないために塗膜特性の向上は
期待できず、また、20重量%を超えると造膜性を阻害す
る結果となり、耐ブロッキング性、耐摩擦性に劣り、更
に塗膜の透明性も低下し、何れも好ましいものではな
い。
【0019】尚、前記シリカ粒子は、SiO2を基本単位と
する無機質微粉体で無機処理、有機処理又は未処理の何
れであっても良いが、乳化重合の諸条件、目的とする塗
膜性能に応じて適宜選択して使用することができる。例
えば、サイリシア(富士シリシア化学社製、商品名)、
ニプシル(日本シリカ工業社製、商品名)、カープレッ
クス(シオノギ製薬社製、商品名)等各種のものが使用
できる。
【0020】 本発明で使用するアルカリ可溶性重合体
(a)は、その酸価が250未満では、シリカ粒子との複合化
が不十分となり、塗膜の耐摩擦性に劣るものとなり、ま
た酸価400を超えると、得られる水性樹脂組成物は高酸
価となり塗膜の耐水性に劣るものとなる。
【0021】 また、Tgが100 ℃未満では塗膜の耐ブロ
ッキング性が損なわれることになり、Tgが160 ℃を越え
る場合では乳化重合に供するα、βーエチレン性不飽和
単量体(b)は、Tgの低いものを多量に使用せざるを得
ず、しかも得られる組成物の塗膜は、耐ブロッキング
性、耐摩擦性に劣るものとなる。また、本発明における
アルカリ可溶性重合体(a)の分子量は特に限定するもの
ではないが、一般的には平均分子量が3000〜100000、好
ましくは5000〜30000の範囲内のものが使用される。
【0022】次に、本発明の製造方法について説明すれ
ば、使用されるアルカリ可溶性重合体(a)とα、βーエチ
レン性不飽和単量体(b)との乳化重合時にシリカ粒子を
必須不可欠の要件とする。乳化重合は、重合反応容器中
にアルカリ可溶性重合体(a)のアルカリ水溶液を入れ、
これにシリカ粒子の存在下にα、βーエチレン性不飽和
単量体(b)を滴下させながら乳化重合させる。この場
合、アルカリ可溶性重合体(a)のアルカリ水溶液は全量
重合反応容器中に入れてもよく又は一部を滴下される液
中に入れてもよい。しかし、重合反応容器中にはアルカ
リ可溶性重合体(a)が存在することが必要である。
【0023】更に、乳化重合におけるシリカ粒子の存在
は、全量反応容器中に入れてもよく、一部又は全量滴下
される液中に入れてもよく、特に限定するものではない
が、本発明における乳化重合時の必須不可欠の要件であ
る。また、シリカ粒子は、微粉体のまま使用することが
できるが、必要に応じて水に分散させたスラリーとして
使用しても良い。
【0024】 本発明において使用されるアルカリ可溶
性重合体(a)のアルカリ水溶液に用いるアルカリ物質
は、水溶性の無機又は有機アルカリ物質の何れでも良
く、特に、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン
等の揮発性アルカリ物質を用いると、得られる水性樹脂
組成物の形成塗膜の耐水性が優れたものとなる。
【0025】 かかるアルカリ物質の量は、アルカリ可
溶性重合体(a)の全酸基量の80〜150当量となる程度が適
している。更に、得られる水性樹脂組成物の分散、安定
性を阻害することのない2価以上の多価アルカリ性物質
等によるアルカリ水溶液を使用する場合には、水性樹脂
組成物の形成塗膜の耐水性ほか各種の耐性が優れたもの
が得られるため好ましい。
【0026】 乳化重合に供するアルカリ可溶性重合体
(a)と、α、βーエチレン性不飽和単量体(b)との量的割
合は、特に限定するものではないが、好ましくは1:1〜
1:10である。例えば、アルカリ可溶性重合体(a) 100重
量部に対して、単量体(b)が100重量部未満の場合には得
られる水性樹脂組成物は、実質的には高酸価なものにな
り、形成される塗膜の耐水性が劣り、また、1000重量部
を超える場合には乳化重合時に安定した水性樹脂組成物
が得られないおそれがあり、仮に得られたとしてもシリ
カ粒子との複合化が不十分で塗膜の耐ブロッキング性に
劣る。
【0027】 また、シリカ粒子と重合体との複合化を
強化するために、シラン化合物、例えば、γーメタクリ
ロキシエチルトリメトキシシラン、γーメタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シラン化合
物、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N-
β(アミノエチル)γーアミノプロピルトリメトキシシ
ラン等の反応性シラン化合物を用いることは特に妨げる
ものではないが、過剰に使用することは乳化重合時の安
定性、得られる水性樹脂組成物の安定性を損なうので、
かかるシラン化合物の使用は極少量にとどめておくこと
が好ましい。
【0028】更に、本発明の方法で使用される重合開始
剤としては、通常の乳化重合に使用されている公知のも
のであれば何れでもよい。例えば、過硫酸カリウム、過
硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、
ベンゾイルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物
類、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類であ
る。また、これらの重合開始剤は必要に応じて還元剤と
組合わせてレドックス開始剤として使用することもでき
る。
【0029】また、乳化剤としては、例えば、アニオン
系或はノニオン系の通常の乳化剤が使用できる。また、
重合性不飽和基を有するような反応性乳化剤の使用は、
特に妨げるものではないが、乳化重合時に不安定でない
限り、形成塗膜の耐水性の低下を考慮すれば、かかる乳
化剤の使用は避けるのが望ましい。その他、必要に応じ
て着色剤、増粘剤、防腐剤、防蝕剤、芳香剤、消臭剤、
消泡剤、溶剤、架橋剤、充填剤、分散剤、顔料等の各種
添加剤を適宜配合してもよい。
【0030】本発明におけるシリカ粒子と共重合体との
複合化の機構は明かではないが、シリカ粒子の表面に存
在する-OH基とアルカリ可溶性重合体(a)のカルボキシル
基との反応によって架橋結合が形成されるものと考えら
れる。それ故、本発明ではアルカリ可溶性重合体(a)の
酸価は高い方が複合化には有利であり、また、耐ブロッ
キング性の向上という点から、カルボキシル基を含有す
るα、βーエチレン性不飽和単量体(b)は比較的高いTgの
ものが良い。
【0031】 以上の如き方法で得られたシリカ粒子複
合水性樹脂組成物は、Tgが10℃以下、粒径1〜20μのシ
リカ粒子を5〜20重量%含有したものであって、塗膜形
成において充分な塗膜性能が得られる範囲であれば、本
発明の目的である耐ブロッキング性を考慮した上、Tgを
適宜選択することができる。尚、Tgが0℃以下のもの
は、高いノンスリップ性を示し、滑り防止用途として有
用である。ただし、Tgが10℃を超える場合には、得られ
る水性樹脂組成物の造膜形成能は低下し、そのため塗膜
の耐摩擦性が低下する欠点が生じる。
【0032】
【実施例】以下、実施例、比較例を参照して本各発明を
具体的に説明する。アルカリ可溶性重合体(a)の調整 攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素ガス導入管及び滴
下ロートを備えた反応器に、酢酸セロソルブ1000部を仕
込み、加熱して還流温度に維持すると共に、攪拌下に窒
素ガスを導入し、予め調整された下記表1の単量体混合
物1000部に、ハイドロキノン0.5部、ジターシャリーブ
チルハイドロパーオキサイド20〜30部を添加した混合物
を滴下ロートを通して3時間かけて滴下した。滴下終了
後、更に還流温度に維持して重合を完結し、続いて酢酸
セロソルブを留去することによって表1の(a-1)〜(a-4)
のアルカリ可溶性重合体を得た。
【0033】
【表1】
【0034】アルカリ可溶性重合体(a)のアルカリ水溶
液の調整 攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた四つ口フラスコ
に、脱イオン水580部、前記表1のアルカリ可溶性重合
体(aー1)〜(a-4)を夫々300部仕込み、攪拌下に酸価に対
して100%当量の25%アンモニア水を添加し、80〜90℃
で2時間加熱し、溶解した後、冷却し、調整の後、固形
分30%、pH 8.4の水溶液を得た。
【0035】実施例1 攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素ガス導入管、重合
開始剤注入口及び滴下ロートを備えた反応器に、脱イオ
ン水13部、前記アルカリ可溶性重合体(aー1)のアルカリ
水溶液67部を仕込み、攪拌下に窒素ガスを導入しながら
60〜80℃に加熱維持した中に、脱イオン水5部、前記と
同一のアルカリ可溶性重合体(aー1)のアルカリ水溶液67
部、スチレン20部、2-エチルヘキシルアクリレート40
部、シリカ(粒径8μ、未処理)10部を混合した重合性
混合物を、過硫酸カリ(KPS)を3%溶解した水溶液1
0部と共に4〜6時間かけて滴下し、滴下終了後も同温度
に保持して重合反応を完結した後、冷却し、固形分46%
に調整し、pH 8.4、粘度120cpsの理論Tgが0℃の安定な
組成物を得た。
【0036】実施例2 単量体にスチレンとブチルアクリレートとを用いた以外
は、実施例1と同様の操作で、重合を行い、Tgが0℃の
安定な組成物を得た。 実施例3 表1のアルカリ可溶性重合体(a-2)、単量体にメチルメ
タクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートを用いた
以外は、実施例1と同様な操作で重合を行い、Tgが0℃
の安定な組成物を得た。
【0037】実施例4 実施例1の単量体のスチレンと2-エチルヘキシルアクリ
レートの配合量を変えた以外は、実施例1と同様な操作
で重合を行い、Tgが-10℃の安定な組成物を得た。 実施例5 実施例1の単量体のスチレンと2-エチルヘキシルアクリ
レートの配合量を変えた以外は、実施例1と同様な操作
で重合を行い、Tgが10℃の安定な組成物を得た。
【0038】実施例6 実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水17部、表1の
アルカリ可溶性重合体(a-2)のアルカリ水溶液33部を仕
込み、これに脱イオン水30部、アルカリ可溶性重合体(a
-2)のアルカリ水溶液50部、メチルメタクリレート30
部、2-エチルヘキシルアクリレート45部、シリカ(粒径
8μ、未処理)10部を混合した重合性混合物を実施例1
と同様の操作で滴下して重合を行い、Tgが-10℃の安定
な組成物を得た。
【0039】実施例7 実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水17部、表1の
アルカリ可溶性重合体(a-2)のアルカリ水溶液83部を仕
込み、これに脱イオン水5部、前記と同一のアルカリ可
溶性重合体(a-2)のアルカリ水溶液100部、2-エチルヘキ
シルアクリレート45部、シリカ(粒径8μ、未処理)10
部を混合した重合性混合物を実施例1と同様の操作で滴
下して重合を行い、Tgが-8℃の安定な組成物を得た。 実施例8 実施例1と同様な反応器中に仕込んだ重合性混合物にシ
リカの全量を添加した以外は、実施例1と同様の操作で
重合を行い、Tgが0℃の安定な組成物を得た。
【0040】実施例9 実施例1において、過硫酸カリ(KPS)の水溶液に代
えてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を重合性
混合物に添加した以外は、実施例1と同様な操作で重合
を行い、Tgが0℃の安定な組成物を得た。 実施例10 実施例1において、重合性混合物中の未処理シリカに代
えて有機処理したシリカを用いた以外は、実施例1と同
様な操作で重合を行い、Tgが0℃の安定な組成物を得
た。
【0041】比較例1 表1のアルカリ可溶性重合体(aー3)、単量体のスチレン
と2-エチルヘキシルアクリレートの配合量を変えた以外
は、実施例1と同様な操作で重合を行った。 比較例2 表1のアルカリ可溶性重合体(aー4)、単量体のスチレン
と2-エチルヘキシルアクリレートの配合量を変えた以外
は、実施例1と同様な操作で重合を行った。 比較例3 実施例1の単量体のスチレンと2-エチルヘキシルアクリ
レートの配合量を変えた以外は、実施例1と同様な操作
で重合を行った。
【0042】比較例4 実施例1中のシリカの添加を除いた以外は、実施例1と
同様な操作で重合を行った。 比較例5 実施例1中、シリカの添加を30部に増量した以外は、実
施例1と同様な操作で重合を行った。 比較例6 比較例4で得られた組成物100部に、固形分35%のシリ
カ(粒径8μ、未処理)の水分散液13部を加え、充分混
合し組成物を得た。
【0043】比較例7 実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水50部、ドデシ
ル硫酸ナトリウム 1部、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル1部を仕込み、これに脱イオン水60部、ド
デシル硫酸ナトリウム 1部、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル 1部、スチレン63部、2-エチルヘキシ
ルアクリレート37部、シリカ(粒径8μ、未処理)10部
を混合した重合性混合物を実施例1と同様の操作で重合
を行い、Tgが0℃の組成物を得た。
【0044】参考例 実施例8において、反応容器中のシリカをコロイダルシ
リカ(固形分35%)に変えた以外は実施例8と同様の操
作で重合を行った処、重合時に多量の夾雑物が発生し
た。
【0045】前記実施例1〜10、比較例1〜7及び参
考例の各配合組成並びに結果を表2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】尚、表2中、試験方法は下記の通りであ
る。 (1) 試験片 前記実施例、比較例及び参考例で得た各組成物を市販の
Kライナーに塗布量4g/cm2になるように塗布、乾燥させ
て試験片とする。 (2) 高温安定性 試験片を40℃の熱風循環乾燥機中に、7日間貯蔵した
後、室温に冷却させてその状態を目視にて観察した。 (3) 耐ブロッキング性 試験片の塗布面同士が対向するよう重ね、圧力500g/c
m2、湿度90%、温度40又は50℃の恒温恒湿機中に24時間
放置した後、試験片の剥離状態を判定した。
【0048】(4) 透明性 試験片の乾燥塗膜の状態を目視にて判定した。 (5) 耐摩擦性 試験片を学振型染色堅牢度摩擦試験機にて、荷重200g
(荷重面には乾燥ガーゼを取付)で、200回荷重をかけ
た後、塗膜表面の状態を目視にて判定した。 (6) ノンスリップ性 試験片の塗布面同士が対向するよう重ね、摩擦試験機に
て滑り角を測定し、5回の平均値で示した。
【0049】尚、表2中、高温安定性、耐ブロッキング
性、透明性、耐摩擦性における評価は下記の通りであ
る。 [評価]◎:非常に良い。○:良い。△:やや悪い。
×:悪い。
【0050】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明のシリカ粒子複
合水性樹脂組成物は、アルカリ可溶性重合体のアルカリ
水溶液を乳化重合の分散剤とし、該アルカリ可溶性重合
体とα、βーエチレン性不飽和単量体に、該水性樹脂組
成物の樹脂成分に対して5〜20重量%のシリカ粒子を
混合し乳化重合して得られたシリカ粒子複合水性樹脂
成物であり、該水性樹脂組成物のTgが10℃以下であるが
ゆえに、高い造膜形成能を有しており、形成された塗膜
は高い透明性を有し、かつ優れた耐ブロッキング性、耐
摩擦性にも優れたものである。
【0051】 また、シリカ粒子という無機質微粉体を
含有しているにかかわらず、その分散状態は極めて安定
しており、無機−有機の複合化がなされた結果、得られ
た水性樹脂組成物の分散、安定性が向上し、該塗膜は優
れた塗膜性能を有するものとすることができる。
【0052】また、本発明はその原料が何れも特別入手
困難なものではなく容易に入手し得るものであるから、
従来用いられている乳化重合の手段から甚だしく逸脱し
たものではなく、極めて簡便な操作により製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−260192(JP,A) 特開 昭58−125709(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸価250〜400、ガラス転移温度(Tg)100
    〜160℃であるアルカリ可溶性重合体(a)を分散剤とし
    、シリカ粒子 (c) の存在下、α、βーエチレン性不飽
    和単量体(b)を乳化重合して得られるシリカ粒子複合
    性樹脂組成物であって、該水性樹脂組成物の樹脂成分の
    Tgが10℃以下であり、かつ該樹脂成分に対して5〜20重
    量%のシリカ粒子(c)を含有していることを特徴とする
    シリカ粒子複合水性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 酸価250〜400、ガラス転移温度(Tg)100〜
    160℃であるアルカリ可溶性重合体(a)が、α、βー不飽
    和カルボン酸及びα、βーエチレン性不飽和単量体(b)
    の共重合体である請求項1記載のシリカ粒子複合水性
    組成物。
  3. 【請求項3】 シリカ粒子(c)の粒子径が1〜20μである
    請求項1記載のシリカ粒子複合水性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 酸価250〜400、ガラス転移温度(Tg)100
    〜160℃であるアルカリ可溶性重合体(a)のアルカリ水溶
    液に、該水性樹脂組成物の樹脂成分に対して 5 20 重量
    %のシリカ粒子の存在下に、該アルカリ可溶性重合体
    (a)のアルカリ水溶液とα、βーエチレン性不飽和単量
    体(b)を滴下しながら乳化重合せしめることを特徴とす
    るシリカ粒子複合水性樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸価250〜400、ガラス転移温度(Tg)100〜
    160℃であるアルカリ可溶性重合体(a)が、α、β不飽和
    カルボン酸及びα、βエチレン性不飽和単量体(b)の共
    重合体である請求項4記載のシリカ粒子複合水性樹脂
    成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 シリカ粒子(c)の粒子径が1〜20μである
    請求項4又は請求項5記載のシリカ粒子複合水性樹脂
    成物の製造方法。
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