JP4696416B2 - 可視光領域で触媒活性を有する光触媒 - Google Patents

可視光領域で触媒活性を有する光触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複合酸化物から成る光触媒に係り、特に、可視光領域でも触媒活性を有する光触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光触媒が発揮する高い酸化力と還元力を積極的に利用して、汚染大気・汚染水の清浄化などグローバルな環境浄化から、消臭・防汚・抗菌などの生活環境浄化に至るまで、さまざまな分野で光触媒の実用化に向けた研究開発が進められている。
【0003】
ところで、光触媒作用を有する最も代表的な酸化物として、例えば、アナターゼ型酸化チタンが知られており、脱臭・抗菌・防汚材として既に実用化されている。但し、酸化チタンが光触媒としての性能を発揮するのは、太陽光線のうち4%程度にすぎない紫外線に対してのみである。このため、屋外における酸化チタンの高機能化・可視光領域での応答性を目指してさまざまな改良が試みられている。例えば、酸化チタン上に色素を吸着させ可視光を吸収して生じた吸着色素の励起状態から酸化チタンへ電子を注入する方法、Cr、V、Mn、Fe、Niなどの金属イオンを化学的に注入する方法、プラズマ照射によって酸素欠陥を導入する方法、異種イオンを導入する方法などさまざまな試みが国内外で行われてきている。
【0004】
しかしながら、いずれの方法も均一分散が難しい、電子と正孔の再結合による光触媒活性が低下する、調整コストが高いなどの問題があるため、未だ工業化には至っていない。
【0005】
他方、ペロブスカイト型酸化物が高い触媒活性を有するとして最近注目されている。例えば、特開平7−24329号公報においては、一般式A3+3+3で表されるLaFeO3および一般式A2+3+Oxで表されるSrMnOxなどが提案されているが、高い触媒活性は得られていない。
【0006】
また、層状ペロブスカイト型酸化物の研究も盛んに行われている。例えば、特開平10−244164号公報には層状ペロブスカイト型のABCO4が提案され、特開平8ー196912号公報にはKLaCa2Nb310系複合酸化物が提案され、また、特開平11−139826号公報には、KCa2Nb310が提案されている。但し、これらの原理および製法は複雑であり、また、得られた酸化物の化学的安定性にも問題があるため未だ工業化には至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、可視光領域においてシンプルな新しい機構に基づいて光触媒活性を発揮する安価な光触媒を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは上記課題を解決するために光触媒の性能について鋭意研究を重ねたところ、組成式(I)A2-X2+X8-2δで表され、複数の価数を取り得るAイオンとBイオンがそれぞれ規則配列をした組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yのパイロクロア型酸化物の蛍石型構造から見た酸素欠損位置または侵入型位置の少なくとも一方に酸素イオンが挿入されたパイロクロア関連構造酸化物においては、挿入された酸素イオンの高い活性度を利用し、さらに挿入する酸素イオン量を変えてエネルギーバンドギャップと挿入された酸素イオンに起因する欠陥準位を変化させることにより、可視光領域においても触媒活性を持たせられることを見出した。本発明は、このような技術的発見に基づき完成されたものである。
【0010】
すなわち、請求項に係る発明は、
可視光領域で触媒活性を有する光触媒を前提とし、
組成式(I)A 2-X 2+X 8-2 δ (但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表され、複数の価数を取り得る上記AイオンとBイオンがそれぞれ規則配列をした組成式(II)A 2-X 3+ 2+X 4+ 7+(X/2)+Y (但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.2<Y<+0.2)のパイロクロア型酸化物の蛍石型構造から見た酸素欠損位置または侵入型位置の少なくとも一方に酸素イオンが挿入されたパイロクロア関連構造酸化物から成り、上記組成式(I)A2-X2+X8-2δ中、Aイオンは複数の価数を取り得る1種以上のランタノイド元素、または、この元素に3価のランタノイド元素、イットリウムから選択された1種以上が添加されており、BイオンはIVa族の4価をとり得る元素から選択された1種以上の元素、または、この元素にイットリウム、Va族元素から選択された1種以上が添加されていることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項記載の発明に係る可視光領域で触媒活性を有する光触媒を前提とし、
組成式(I)A2-X2+X8-2δで表されるパイロクロア関連構造酸化物が、組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yで表されるパイロクロア型酸化物を酸素含有ガス中、300〜900℃の条件で酸化処理して得られていることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項1または2記載の発明に係る可視光領域で触媒活性を有する光触媒を前提とし、
上記パイロクロア関連構造酸化物を表す組成式(I)A2-X2+X8-2δにおいて、AはCe、Prから選択された1種以上の元素、BはZr、Hfから選択された1種以上の元素であることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明に係る光触媒は、組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表され、複数の価数を取り得る上記AイオンとBイオンがそれぞれ規則配列をした組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Y(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.2<Y<+0.2)のパイロクロア型酸化物の蛍石型構造から見た酸素欠損位置または侵入型位置の少なくとも一方に酸素イオンが挿入されたパイロクロア関連構造酸化物から成っており、挿入された上記酸素イオンの高い活性度を利用して高い触媒活性を発揮させることができ、更に、挿入する酸素イオン量を変えてエネルギーバンドギャップと挿入された酸素イオンに起因する欠陥準位を変化させることにより可視光領域においても有効に作用させられることを特徴としている。
【0013】
ここで、上記組成式(I)A2-X2+X8-2δにおいてδの値は−0.5<2δ<+0.5であることを要する。酸素の欠損量(2δ)が0.5よりも多くなった場合、酸素の過剰量が0.5よりも多くなった場合とも、パイロクロア関連構造を保てなくなり、異相の析出量が増して触媒性能が低下してしまうからである。
【0014】
また、パイロクロア関連構造酸化物から成る本発明に係る光触媒の形状は、光を有効に利用するために表面積の大きい粒子であることが望ましく、一般には粒子の大きさは0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜1μmが適当である。このような粒径を得る慣用的な手段として、最終的に焼結試料を得た後に、例えば、ボールミル、遊星回転ボールミル等を用いて粉砕あるいは乳鉢を用いて手粉砕する方法が挙げられる。
【0015】
次に、上記組成式(I)A2-X2+X8-2δで表されるパイロクロア関連構造酸化物の前駆体となる組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yで表されるパイロクロア型酸化物は、通常の固相法、すなわち原料となる各金属成分の酸化物または炭酸塩や硝酸塩等の塩類を目的組成比で混合し焼成することで合成されるが、これ以外の湿式法あるいは気相法で合成してもよい。
【0016】
なお、現状、入手可能な例えばZrO2には不可避的に0.9〜2.0モル%程度のHfO2が含まれておりHfO2を含んだ状態でZrO2の秤量が行われているが、最終的に調製された光触媒においても特性を悪化させてはいない。
【0017】
ところで、上記組成式(I)A2-X2+X8-2δで表されるパイロクロア関連構造酸化物を得る場合、実際には、中間酸化物として歪んだ蛍石型構造酸化物である組成式(III)t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2相を一旦製造し、この組成式(III)t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2相を還元して組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yのパイロクロア型酸化物を製造し、次いで、パイロクロア型酸化物を酸化して酸素を挿入することにより、組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表されるパイロクロア関連構造酸化物が得られる。尚、中間酸化物である上記組成式(III)で示されるt’相に異相が混じっていても、その後の還元で得られるパイロクロア型酸化物A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Y中の異相が少なければ問題はない。また、組成式(III)t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2の中間酸化物を作る過程を省略し、出発原料粉末を混合して、還元雰囲気で反応させることにより、直接、組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yのパイロクロア型酸化物を製造し、その後の酸化処理により、同様の組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表されるパイロクロア関連構造酸化物を得ることができる。
【0018】
まず、中間酸化物としての上記組成式(III)t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2で表される酸化物を得るには、出発原料を秤量し、上記ボールミル等で混合し、15〜20mmφ程度の円盤状に圧粉成形し、空気などの酸素含有ガス中、1500〜1750℃で30〜70時間焼成することにより得る。次に、製造された組成式(III)t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2で表される酸化物を平均粒径1〜2mmに粉砕する。これをロジウム/白金箔上に乗せ酸素気流中500〜700℃で5時間程度熱処理し酸素量を調整する。
【0019】
次に、このt’相を、1%H2/Arまたは5%H2/Ar気流中で700〜1350℃で10〜20時間還元する。還元処理後取り出した試料の質量を精秤し、還元処理前の組成式(III)t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2相からの質量変化から、得られた組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yのパイロクロア型酸化物の酸素量を決定する。尚、この組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Y中のYは、パイロクロア型酸化物におけるAイオン、Bイオンの価数とそのイオンの量によって変化する部分を示す量である。Aイオンが3価よりも小さく、Bイオンが4価よりも小さい価数をとれば、Yは負数となる。また、製造条件によっては、Aイオンの一部がBイオン位置に回り込んだり、Bイオンの一部がAイオンの位置に回り込むことが起こるが、これによってもYの値は変化する。このとき、Yの値が−0.2より小さい場合、+0.2より大きい場合には、パイロクロア型構造を保てなくなってしまう。従って、上記組成式(II)中、−0.2<Y<+0.2であることを要する。
【0020】
この後、上記パイロクロア型酸化物をロジウム/白金箔上に乗せ酸素気流中300〜900℃で5時間程度熱処理すれば、陽イオンの規則配置を保ったまま酸素イオンを挿入することができ、組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表されるパイロクロア関連構造酸化物が得られる。尚、上記熱処理が300℃より低いと酸素が十分に結晶中に挿入されない。また、900℃を越えると陽イオンの規則配置が崩れてランダム配置となり、−0.4>Xか、+0.6<Xであると異相の析出量が増えるため触媒性能が低下してしまう。
【0021】
このような組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表されるパイロクロア関連構造酸化物を光触媒に用いると、酸素イオンの挿入からも推察できるように挿入された酸素イオンは動きやすく活性であるため光触媒活性は非常に大きくなる。さらに、この酸化物においては、蛍石型構造から見た侵入型位置にも酸素イオンが侵入できるという特徴を有しており、酸素イオンの溶解サイトが無数にあるという点からも触媒活性は非常に高い。さらに、酸化の温度、時間を変えて挿入酸素イオン量を変化させ、あるいはAイオンをより低価数若しくは高価数の陽イオンで置換したり、Bイオンを低価数あるいは高価数の陽イオンで置換して挿入酸素イオン量を変化させることによりエネルギーバンドギャップと挿入された酸素イオンに起因する欠陥準位を変化させて光吸収特性を制御することが可能となる。これらの原理を応用することにより、可視光領域で応答性を有し、高い触媒活性を発揮する光触媒を得ることができる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。但し、本発明はこれ等の実施例に限定されるものではない。
【0023】
[実施例1]
試料調製
(t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2相の製造)
原料 CeO2粉末(三徳金属工業株式会社製、純度99.99%、ig.-loss3.75%):1.2100g、
ZrO2粉末(三徳金属工業株式会社製、ZrO2+HfO2の純度度99.60%、ig.-loss0.45%):0.8382g
尚、上記「ig.-loss」は、水分、吸収物等によるロスを示している。
【0024】
(混合処理) 1:秤量後の各試料をめのう製乳鉢を用い、乾式で15分間混合した。
【0025】
2:ジルコニア製ボールと混合後の試料をガラス瓶に入れ、ボールミルを用いて20時間粉砕混合した。
【0026】
(成形処理) 100MPaの圧力で17mmφの円盤状に成形した。
【0027】
(焼結処理) 試料を、ロジウム/白金製るつぼに入れ、空気中、1650℃で50時間焼成してt’−Ce0.5Zr0.52相を製造した。
【0028】
(パイロクロア型A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yの製造)
(粉砕処理) 上記t’−Ce0.5Zr0.52相の焼結体をめのう乳鉢を用いて平均粒径1〜2mmに粉砕した。
【0029】
(酸素量調整) これをロジウム/白金箔上に乗せ、酸素気流中で600℃で5時間熱処理し酸素量を調整した。尚、t’−Ce0.5Zr0.52相の酸素量調整処理により、t’−Ce0.5Zr0.52相において一部含まれていた3価のCeのほとんどが4価に調整される。
【0030】
(還元処理) 次に、このt’−Ce0.5Zr0.52相を、5%H2/Ar気流中で1300℃で10時間還元処理した。尚、この還元処理により、4価に調整された上記t’−Ce0.5Zr0.52相におけるCeのほとんどが3価に調整されてパイロクロア相となる。
【0031】
(パイロクロア相の酸素量決定) 還元処理後取り出した試料の質量を精秤し、還元処理前のt’−Ce0.5Zr0.52からの質量変化からパイロクロア型酸化物の酸素量を決定したところ、Ce2Zr27.02となった。
【0032】
(A2-X2+X8-2δ相の製造)
(酸化処理) 還元処理後の上記パイロクロア型相(パイロクロア型酸化物)を、ロジウム/白金箔上に乗せ酸素気流中で600℃で5時間熱処理して酸素量を調整しCe2Zr28.0のパイロクロア関連構造酸化物が得られた。
【0033】
[実施例2]
試料調製
(t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2相の製造)
原料 CeO2粉末(三徳金属工業株式会社製、純度99.99%、ig.-loss3.33%):1.0664g、
ZrO2粉末(三徳金属工業株式会社製、ZrO2+HfO2の純度度99.60%、ig.-loss0.53%):0.6678g、
Nb26粉末(株式会社高純度化学研究所社製、純度99.9%、ig.-loss0.20%):0.0798g
(混合処理) 1:秤量後の各試料を、めのう製乳鉢を用い、乾式で15分間混合した。
【0034】
2:ジルコニア製ボールと混合後の試料をガラス瓶に入れ、ボールミルを用いて20時間粉砕混合した。
【0035】
(成形処理) 100MPaの圧力で17mmφの円盤状に成形した。
【0036】
(焼結処理) 試料を、ロジウム/白金製るつぼに入れ、空気中、1650℃で50時間焼成してCe0.5Zr0.45Nb0.052.025組成物焼結体を製造した。
【0037】
(パイロクロア型A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yの製造)
(粉砕処理) 上記Ce0.5Zr0.45Nb0.052.025組成物焼結体を、めのう乳鉢を用いて平均粒径1〜2mmに粉砕した。
【0038】
(酸素量調整) これをロジウム/白金箔上に乗せ、酸素気流中で600℃で5時間熱処理し酸素量を調整した。
【0039】
(還元処理) 次に、上記Ce0.5Zr0.45Nb0.052.025組成物を、5%H2/Ar気流中で1300℃で10時間還元処理した。
【0040】
(パイロクロア相の酸素量決定) 還元処理後取り出した試料の質量を精秤し、還元処理前のCe0.5Zr0.45Nb0.052.025からの質量変化からパイロクロア型酸化物の酸素量を決定したところ、Ce2Zr1.8Nb0.27.11となった。
【0041】
(A2-X2+X8-2δ相の製造)
(酸化処理) 還元処理後の上記パイロクロア型相(パイロクロア型酸化物)を、ロジウム/白金箔上に乗せ酸素気流中で600℃で5時間熱処理して酸素量を調整しCe2Zr1.8Nb0.28.1のパイロクロア関連構造酸化物が得られた。
【0042】
[実施例3]
試料調製
(t’−A0.5-(X/4)0.5+(X/4)2相の製造)
原料 CeO2粉末(三徳金属工業株式会社製、純度99.99%、ig.-loss3.75%):5.9552g、
ZrO2粉末(三徳金属工業株式会社製、ZrO2+HfO2の純度度99.60%、ig.-loss0.45%):4.6130g、
La23粉末(和光純薬工業株式会社製、純度99.99%、空気中、800℃で12時間脱水したものを使用):0.6028g
(混合処理) 1:秤量後の各試料を、めのう製乳鉢を用い、乾式で15分間混合した。
【0043】
2:ジルコニア製ボールと混合後の試料をジルコニア製ポットに入れ、エタノールを加え、遊星回転ボールミルを用いて40分間粉砕混合した。
【0044】
(乾燥処理) 混合後の試料を120℃で30分以上乾燥した。
【0045】
(成形処理) 100MPaの圧力で17mmφの円盤状に成形した。
【0046】
(焼結処理) 試料を、ロジウム/白金製るつぼに入れ、空気中、1650℃で50時間焼成してCe0.45La0.05Zr0.51.975組成物焼結体を製造した。
【0047】
(パイロクロア型A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yの製造)
(粉砕処理) 上記Ce0.45La0.05Zr0.51.975組成物焼結体を、めのう乳鉢を用いて平均粒径1〜2mmに粉砕した。
【0048】
(酸素量調整) これをロジウム/白金箔上に乗せ、酸素気流中で600℃で5時間熱処理し酸素量を調整した。
【0049】
(還元処理) 次に、上記Ce0.45La0.05Zr0.51.975組成物を、5%H2/Ar気流中で1300℃で10時間還元処理した。
【0050】
(パイロクロア相の酸素量決定) 還元処理後取り出した試料の質量を精秤し、還元処理前のCe0.45La0.05Zr0.51.975からの質量変化からパイロクロア型酸化物の酸素量を決定したところ、Ce1.8La0.2Zr26.91となった。
【0051】
(A2-X2+X8-2δ相の製造)
(酸化処理) 還元処理後の上記パイロクロア型相(パイロクロア型酸化物)を、ロジウム/白金箔上に乗せ酸素気流中で600℃で5時間熱処理して酸素量を調整しCe1.8La0.2Zr27.9のパイロクロア関連構造酸化物が得られた。
【0052】
[比較例1]
硫酸チタン溶液を用い、アンモニアをアルカリ処理溶液として水酸化物の沈殿を生成させ、かつ、この沈殿物を、大気中、650℃で1時間の条件で焼成処理してアナターゼ型の酸化チタン(従来例に係る光触媒)を得た。
【0053】
[比較例2]
実施例1の前駆体として上記組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表されるパイロクロア関連構造酸化物における2δの条件が、2δ>+0.5である2δ=0.98の試料、すなわち、Ce2Zr27.02を作製し比較例2に係る光触媒を得た。
【0054】
[光触媒作用の評価]
実施例1〜3と比較例1〜2に係る光触媒の触媒活性評価は、メチレンブルー(MB)水溶液の光ブリーチング法を用いて行った。
【0055】
これは、メチレンブルー水溶液と測定試料(実施例1〜3と比較例1〜2に係る光触媒)を同一容器に入れ、光を照射し、光触媒効果によるメチレンブルーの分解の程度を分光光度計で調べる方法である。
【0056】
(メチレンブルー水溶液の調製)
メチレンブルー(関東化学株式会社製、試薬特級)
超純水(比抵抗18.2MΩcm以上)
上記メチレンブルー7.48mgを精秤し、全量をメスフラスコを用いて1リットルの超純水に溶解し、2.0×10-5mol/リットル(mol・dm-3)の水溶液を作製した。
【0057】
(光照射)
A 実験装置 装置概略は図1に示す。
【0058】
光源:下方照射型500WのXeランプ
フィルター:L42カットフィルターを使用して、波長λ>420nmの光(可視光)を照射。
【0059】
分光光度計:日立製作所製、U4000分光光度計
B 試料溶液
実施例1〜3と比較例1〜2に係る光触媒(試料)0.20gを、メチレンブルー水溶液200cm3中にマグネチックスターラーを用いてそれぞれ分散させた。
【0060】
各試料をそれぞれ分散させたメチレンブルー水溶液を石英セルに各々採取し、透過スペクトルを分光光度計を用いそれぞれ測定した。
【0061】
測定した試料を元に戻し、撹拌と光照射を繰り返し、時間経過毎に、透過スペクトルを測定した。メチレンブルー水溶液の検量線からメチレンブルーの濃度を評価した。
【0062】
この結果を図2のグラフ図に示す。
【0063】
[可視光領域での光吸収測定]
次に、上記分光光度計(日立製作所製、U4000分光光度計)を用いて、拡散反射法により各試料粉末(実施例1〜3と比較例1)の光吸収スペクトルを測定し、試料の可視光領域での光吸収の状態を調べた。
【0064】
この結果を図3のグラフ図に示す。
【0065】
[確認]
1.図2のグラフ図から理解されるように、各実施例に係る光触媒(試料)を使用した場合、比較例1〜2に係る光触媒(試料)と比較して照射時間に対するメチレンブルー濃度の低下率が高い(すなわち、メチレンブルーの分解程度が高い)ことから、各比較例に比べて各実施例に係る光触媒(試料)の可視光領域での触媒活性が優れていることが確認される。
【0066】
2.また、図3のグラフ図から理解されるように、波長λ>420nmの可視光に対する各実施例に係る光触媒の拡散反射率が比較例1に係る光触媒の拡散反射率より低い値を示していることから、各実施例に係る光触媒の可視光域での光吸収は比較例1に係る光触媒より優れていることが確認される。
【0067】
【発明の効果】
請求項1〜記載の発明に係る光触媒によれば、
組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表され、複数の価数を取り得る上記AイオンとBイオンがそれぞれ規則配列をした組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Y(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.2<Y<+0.2)のパイロクロア型酸化物の蛍石型構造から見た酸素欠損位置または侵入型位置の少なくとも一方に酸素イオンが挿入されたパイロクロア関連構造酸化物から成り、可視光領域で高い触媒機能を発揮させることが可能となるため、環境汚染物質の分解・処理や脱臭、防汚、抗菌、防曇などへの用途に提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3と比較例1〜2に係る光触媒の触媒活性評価を行うための光照射実験装置における構成説明図。
【図2】光ブリーチング法によるメチレンブルー濃度の時間変化を示すグラフ図。
【図3】実施例1〜3と比較例1に係る光触媒の光吸収スペクトルを示すグラフ図。

Claims (3)

  1. 組成式(I)A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表され、複数の価数を取り得る上記AイオンとBイオンがそれぞれ規則配列をした組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Y(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.2<Y<+0.2)のパイロクロア型酸化物の蛍石型構造から見た酸素欠損位置または侵入型位置の少なくとも一方に酸素イオンが挿入されたパイロクロア関連構造酸化物から成り、上記組成式(I)A 2-X 2+X 8-2 δ 中、Aイオンは複数の価数を取り得る1種以上のランタノイド元素、または、この元素に3価のランタノイド元素、イットリウムから選択された1種以上が添加されており、BイオンはIVa族の4価をとり得る元素から選択された1種以上の元素、または、この元素にイットリウム、Va族元素から選択された1種以上が添加されていることを特徴とする可視光領域で触媒活性を有する光触媒。
  2. 組成式(I)A2-X2+X8-2δで表されるパイロクロア関連構造酸化物が、組成式(II)A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Yで表されるパイロクロア型酸化物を酸素含有ガス中、300〜900℃の条件で酸化処理して得られていることを特徴とする請求項記載の可視光領域で触媒活性を有する光触媒。
  3. 上記パイロクロア関連構造酸化物を表す組成式(I)A2-X2+X8-2δにおいて、AはCe、Prから選択された1種以上の元素、BはZr、Hfから選択された1種以上の元素であることを特徴とする請求項1または2記載の可視光領域で触媒活性を有する光触媒。
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