JP2000176282A - リーン排ガス浄化用触媒 - Google Patents

リーン排ガス浄化用触媒

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JP2000176282A
JP2000176282A JP10358044A JP35804498A JP2000176282A JP 2000176282 A JP2000176282 A JP 2000176282A JP 10358044 A JP10358044 A JP 10358044A JP 35804498 A JP35804498 A JP 35804498A JP 2000176282 A JP2000176282 A JP 2000176282A
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solid solution
oxide
ceria
cerium
zirconia
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JP10358044A
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English (en)
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Akihiko Suda
明彦 須田
Hirobumi Shinjo
博文 新庄
Toshio Kamitori
利男 神取
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リーン排ガス中におけるセリア・ジルコニア固
溶体の硫黄被毒を抑制し、耐久性を向上させる。 【解決手段】セリアに対するジルコニアの固溶度が50
%以上で結晶子の平均径が10nm以下のセリア・ジル
コニア固溶体を含み、かつセリア・ジルコニア固溶体中
のジルコニウムの比率がモル比で0.55≦Zr/(C
e+Zr)≦0.90の範囲にあり、さらにセリウム以
外の希土類元素Mの酸化物をセリア・ジルコニア固溶体
にモル比で0.03≦M/(Ce+Zr+M)≦0.1
5の組成範囲で含む酸化物固溶体と、耐火性の多孔質体
と、これらに担持された触媒貴金属と、よりなる構成と
した。硫酸塩を作りやすいセリウムの量が相対的に少な
く、かつ固溶体相が熱力学的に安定となって硫酸塩を作
りにくくなるため、硫黄被毒が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンなどからの排ガスなど、被酸化性成分を酸化するのに
必要な量よりも過剰の酸素を含むリーン排ガス中の有害
物質を効率よく除去できるリーン排ガス浄化用触媒に関
する。
【0002】
【従来の技術】ガソリンエンジンについては、排ガスの
厳しい規制とそれに対処できる技術の進歩により、排ガ
ス中の有害物質は確実に減少している。しかしディーゼ
ルエンジンについては、有害成分が主としてパティキュ
レートとして排出されるという特異な事情から、規制も
技術の開発もガソリンエンジンに比べて遅れており、有
害物質を確実に浄化できる排ガス浄化触媒の開発が望ま
れている。
【0003】現在までに開発されているディーゼルエン
ジン排ガス浄化用触媒としては、大きく分けてトラップ
触媒と、オープン型SOF(Soluble Organic Fractio
n)分解触媒とが知られている。このうちトラップ触媒
は、ディーゼルパティキュレートを捕捉してその排出を
規制するものであり、特にドライスーツの比率の高い排
ガスに有効である。しかしながらトラップ触媒では、捕
捉されたディーゼルパティキュレートを焼却するための
再生処理装置が必要となり、再生時の触媒構造体の割
れ、アッシュによる閉塞あるいはシステムが複雑になる
など、実用上多くの課題を残している。
【0004】一方オープン型SOF分解触媒は、例えば
特開平3−38255号公報に示されるように、ガソリ
ンエンジンと同様に活性アルミナなどの担持層に白金族
金属などの触媒貴金属を担持した触媒が利用され、CO
(一酸化炭素)やHC(炭化水素)とともにSOFを酸
化分解して浄化している。このオープン型SOF分解触
媒は、ドライスーツの除去率が低いという欠点がある
が、ドライスーツの量はディーゼルエンジンや燃料自体
の改良によって低減することが可能であり、かつ再生処
理装置が不要という大きなメリットがあるため、今後の
一段の技術の向上が期待されている。
【0005】ところがオープン型SOF分解触媒は、高
温下ではSOFを効率良く分解可能であるが、低温条件
では触媒貴金属の触媒作用が低いためにSOFの浄化性
能が低いという欠点がある。また未燃のSOFによって
触媒貴金属が覆われるために、触媒貴金属の活性が低下
するというSOF被毒が生じることも多い。そのためエ
ンジン始動時やアイドリング運転時などには、排ガスの
温度が低く、未分解のSOFが排出されるという不具合
があった。また排出されないまでも煤となってハニカム
通路内に堆積する現象が起こる。そして堆積した煤によ
り触媒に目詰まりが生じ、触媒性能が低下するという不
具合があった。
【0006】そこで従来より、助触媒として酸化セリウ
ムを併用することが行われている。酸化セリウムは酸素
ストアレージ能を有し、酸化セリウムから放出される酸
素は低温活性が高い。したがってエンジン始動時やアイ
ドリング運転時などにおいても、酸化セリウムが触媒貴
金属に活性な酸素を与えるため、触媒貴金属を失活させ
ているSOFが燃焼しやすくなり触媒活性が復活する。
【0007】なお、排ガス浄化用触媒は高温で使用され
るので、高温における浄化活性が高いことが必要であ
る。そのため酸化セリウムには、高温での使用時に比表
面積の低下が生じないこと、つまり耐熱性に優れている
ことが要求されている。そこで従来より、酸化セリウム
に酸化ジルコニウムやセリウムを除く希土類元素の酸化
物を固溶させて安定化することが行われている。
【0008】例えば特開平4−55315号公報には、
セリウムの水溶性塩とジルコニウムの水溶性塩の混合水
溶液から酸化セリウムと酸化ジルコニウムとを共沈さ
せ、それを熱処理する酸化セリウム微粉体の製造方法が
開示されている。この製造方法によれば、共沈物を熱処
理することによりセリウムとジルコニウムは複合酸化物
となり、互いに固溶したセリア・ジルコニア固溶体が生
成する。
【0009】また特開平4−284847号公報には、
含浸法又は共沈法により、酸化ジルコニウム又は希土類
元素の酸化物と酸化セリウムとが固溶した粉末を製造す
ることが示されている。このように酸化セリウムに酸化
ジルコニウムを固溶させることにより、セリア・ジルコ
ニア固溶体における高熱による比表面積の低下が抑制さ
れ、酸化セリウムの酸素ストアレージ能の低下を防止す
ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが本発明者らの
研究によれば、セリア・ジルコニア固溶体では比表面積
の低下が抑制されているにもかかわらず、耐久試験後に
はその酸素ストアレージ能が約1/10にまで低下する
ことが明らかとなった。この原因は、排ガス中に含まれ
る硫黄酸化物とセリア・ジルコニア固溶体とが反応し、
硫酸塩となることによって酸素ストアレージ能が失活す
るという硫黄被毒が生じるためである。特にリーン雰囲
気の排ガスでは、硫酸塩の還元が困難であり酸素ストア
レージ能の復活は困難である。
【0011】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、リーン排ガス中におけるセリア・ジルコニ
ア固溶体の硫黄被毒を抑制し、耐久性に優れた排ガス浄
化用触媒とすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1記載のリーン排ガス浄化用触媒の特徴は、酸化セリ
ウムに酸化ジルコニウムが固溶したセリア・ジルコニア
固溶体を含み、セリア・ジルコニア固溶体中の酸化セリ
ウムに対する酸化ジルコニウムの固溶度が50%以上で
結晶子の平均径が10nm以下であり、かつセリア・ジ
ルコニア固溶体中のジルコニウムの比率がモル比で0.
55≦Zr/(Ce+Zr)≦0.90の範囲にあり、
さらにセリウム以外の希土類元素Mの酸化物をセリア・
ジルコニア固溶体にモル比で0.03≦M/(Ce+Z
r+M)≦0.15の組成範囲で含む酸化物固溶体と、
耐火性の多孔質体と、酸化物固溶体及び多孔質体の少な
くとも一方に担持された触媒貴金属とよりなることにあ
る。
【0013】また請求項2に記載のリーン排ガス浄化用
触媒の特徴は、請求項1に記載のリーン排ガス浄化用触
媒において、セリウム以外の希土類元素Mはイットリウ
ム、プラセオジム及びランタンから選ばれる少なくとも
一種であることにある。さらに請求項3に記載のリーン
排ガス浄化用触媒の特徴は、請求項1に記載のリーン排
ガス浄化用触媒において、酸化物固溶体の比表面積は1
2/g以上であることにある。
【0014】
【発明の実施の形態】セリア・ジルコニア固溶体中の酸
化セリウムに対する酸化ジルコニウムの固溶度とは、次
式(1)によって定義される値をいう。 固溶度(%)= 100×(酸化セリウムの総量に固溶した酸化ジルコニウムの量)/酸化 ジルコニウムの総量 … (1) ここで、セリア・ジルコニア固溶体(固溶度100%)
のジルコニア濃度x(mol%)と格子定数a(オング
ストローム)の間には式(2)の関係がある。
【0015】 x=(5.423−a)/0.003 …(2) これは次のように導出された。すなわち、各酸化セリウ
ム、酸化ジルコニウムの配合比において界面活性剤の量
を増加させながら後述の実施例1と同様の調製を行い格
子定数を測定すると、その格子定数の値はある一定の値
に漸近する。酸化セリウム/酸化ジルコニウム=5/5
の組成の例を図3に示す。これを各組成で行い、界面活
性剤の多い領域で得られる格子定数を、酸化ジルコニウ
ム濃度に対してプロットすると図4となる。この値を最
小二乗法によって整理したものが式(2)である。
【0016】図4中で酸化ジルコニウム濃度0%及び1
00%の時のプロットは、JCPDSカードに示されて
いる値である。図4の各プロットはベガード(Vegard)
の法則に従っており、式(2)は固溶度100%の際の
酸化ジルコニウム濃度と格子定数の関係を示しているこ
とが判断できる。式(1)と式(2)を基に、セリア・
ジルコニア固溶体の固溶度S(%)は式(3)によって
示される。
【0017】 S=100×(x/C)×〔(100−C)/(100−x)〕 …(3) ここでxは式(2)によって求められる。試料中の酸化
ジルコニウム含有率Cは、セリウムとジルコニウムの配
合比から求められる。請求項1に記載の本発明の排ガス
浄化用触媒では、セリア・ジルコニア固溶体中の酸化セ
リウムに対する酸化ジルコニウムの固溶度が50%以上
である。固溶度が50%以上であれば、酸素吸蔵容量
(OSC)は250〜800μmolO 2 /g以上とな
り、酸素ストアレージ能にきわめて優れる。
【0018】また本発明にいう酸化物固溶体では、セリ
ア・ジルコニア固溶体の結晶子の平均径が10nm以下
である。この結晶子の大きさは、X線回折ピークの半値
幅より、次式のシェラーの式を用いて算出される。 D=kλ/(βcosθ) ここでk:定数0.9、λ:X線波長(Å)、β:試料
の回折線幅−標準試料の回折線幅(ラジアン)、θ:回
折角(度)である。
【0019】結晶子の平均径が10nm以下であれば、
結晶子が緻密な充填になっておらず、結晶子間に細孔を
もった固溶体となっている。平均径が10nmを超える
と、細孔容積及び比表面積が低下し耐熱性も低下するよ
うになる。なお本発明にいう酸化物固溶体の比表面積は
1m2 /g以上、さらには20m2 /g以上、より好ま
しくは50m2 /g以上であることが望ましい。
【0020】本発明にいうセリア・ジルコニア固溶体で
は、酸化第2セリウムの蛍石構造を保ったままセリウム
の位置の一部をジルコニウムが置換して固溶体となり、
ジルコニアが十分固溶している。その固溶体中では、ジ
ルコニウムイオンはセリウムイオンよりも15%程度小
さい。したがって、その固溶体が多くの酸素を排出し、
それに伴ってセリウムイオンが4価から3価に変化して
15%程度体積膨張を起こしても、ジルコニウムイオン
の存在が結晶格子の歪みを緩和できるために、酸素の脱
離が容易となると考えられる。また正方晶や単斜晶など
に比べて立方晶は酸素イオンの移動が容易であるため、
より高いOSCを示す。
【0021】また結晶子の平均径が10nm以下と小さ
ければ、結晶子間の粒界が大きくなり、粒界を移動する
酸素イオンが移動しやすくなるため、酸素の吸蔵・放出
速度が十分大きくなり、酸素ストアレージ能が一層向上
する。そして酸素の吸蔵・放出は表面で行われるから、
比表面積が20m2 /g以上と大きければ、酸素の吸蔵
・放出速度が十分大きくなり、高いOSCと相まって優
れた酸素ストアレージ能を示す。比表面積が50m2
gであればさらに好ましい。
【0022】セリア・ジルコニア固溶体中のセリウムと
ジルコニウムは、モル比で0.55≦Zr/(Ce+Z
r)≦0.90の範囲にある。ジルコニウムの含有率が
55モル%以下になると、固溶体の結晶中でジルコニウ
ムの骨格を形成する作用が弱まり、酸素の脱離により蛍
石構造の立方晶を維持することが困難となるため、酸素
が脱離できなくなりOSCが低下する。そして硫酸塩を
作りやすいセリウムの量が相対的に多くなるため、ある
いは固溶体相が熱力学的に不安定となって硫酸塩を作り
やすくなるため、硫黄被毒が生じやすくなり耐久後のO
SCが低下する。
【0023】また酸素の吸蔵・放出能はセリウムの3価
と4価の価数変化によるため、ジルコニウムの含有率が
90モル%以上になると、セリウムの絶対量が不足する
ことによりOSCが低下する。すなわち本発明の排ガス
浄化用触媒では、酸化物固溶体中に含まれるセリア・ジ
ルコニア固溶体において、モル比で0.55≦Zr/
(Ce+Zr)≦0.90としたことにより、硫酸塩を
作りにくいジルコニウムの方が硫酸塩を作りやすいセリ
ウムより相対的に多くなり、かつジルコニウムが多い方
が固溶体相が熱力学的に安定となって硫酸塩を作りにく
くなるため、硫黄被毒が防止され耐久性が向上する。
【0024】本発明にいう酸化物固溶体は、セリア・ジ
ルコニア固溶体粒子に対して、さらにセリウム以外の希
土類元素Mの酸化物をモル比で0.03≦M/(Ce+
Zr+M)≦0.15の組成範囲で含んでいる。希土類
元素Mの酸化物粒子がセリア・ジルコニア固溶体粒子に
混合された構成としてもよいし、後述するように、少な
くとも一部がセリア・ジルコニア固溶体に固溶した構成
とすることも好ましい。また特性に悪影響を与えない範
囲で、他の金属の酸化物を混合あるいは固溶してもよ
い。
【0025】ところでセリア・ジルコニア固溶体は、熱
力学的な安定相ではないため、酸化雰囲気での使用にお
いて固溶度が低下する場合がある。そこで本発明では、
セリア・ジルコニア固溶体にセリウム以外の希土類元素
Mの酸化物をセリア・ジルコニア固溶体にモル比で0.
03≦M/(Ce+Zr+M)≦0.15の組成範囲で
含んでいる。これによりセリア・ジルコニア固溶体を一
層安定化させることができる。そして、希土類元素Mの
酸化物を固溶又は共存させたセリア・ジルコニア固溶体
からなる酸化物固溶体の結晶子の平均径は10nm以下
が望ましく、比表面積が20m2 /g以上であることが
望ましい。50m2 /gであればさらに望ましい。
【0026】セリア・ジルコニア固溶体に対するセリウ
ム以外の希土類元素Mの酸化物の共存は、900℃以上
の酸化雰囲気においてセリア・ジルコニア固溶体相の安
定度を高める効果をもつ。つまりセリア・ジルコニア固
溶体の酸化ジルコニウムの固溶度が50%以上で、セリ
ウムが理想的に働く環境下において、希土類元素Mの酸
化物粒子がセリア・ジルコニア固溶体粒子と混合されて
いる場合は、希土類元素Mの酸化物粒子はセリア・ジル
コニア固溶体粒子の間に位置し、焼結の進行を妨げるよ
うになる。このためセリア・ジルコニア固溶体粒子の凝
集が抑制され、比表面積の低下が防止される。
【0027】またセリア・ジルコニア固溶体の酸化ジル
コニウムの固溶度が50%以上で、セリウムが理想的に
働く環境下において、希土類元素Mの酸化物の少なくと
も一部がセリア・ジルコニア固溶体に固溶している場合
には、希土類元素Mの酸化物はセリア・ジルコニア固溶
体の熱力学的安定性を高めるように作用する。セリア・
ジルコニア固溶体のOSCを高めるという意味でも、セ
リウム以外の希土類元素Mの酸化物の共存は効果的であ
る。高温の酸化雰囲気において長時間使用する場合にお
いては、セリア・ジルコニア固溶体では固溶体相が徐々
に2相に分離し、OSCが低下する傾向がある。そのよ
うな条件下で使用する場合、セリウム以外の希土類元素
Mの酸化物が共存すれば、固溶体相が相対的に安定とな
るため、使用後のOSCの低下がほとんど生じない。ま
た、実際の触媒反応においては、酸素の吸放出の容量だ
けでなく吸放出速度も重要である。価数が3価の希土類
元素Mの酸化物がセリア・ジルコニア固溶体に固溶する
ことによって固溶体中に定常的に酸素欠陥が導入される
と、これが酸素の拡散を起こりやすくするため、過渡的
な触媒反応において実質的にOSCを高めることができ
る。
【0028】なお、セリア・ジルコニア固溶体に対する
セリウム以外の希土類元素Mの共存量が多すぎる場合に
は、酸素の固体内拡散の促進に適当な酸素欠陥の導入量
を超えてしまうこと、及びセリア・ジルコニア固溶体の
含有率が相対的に小さくなってしまうこと、の2つの理
由によって、かえってOSCを小さくしてしまうことに
なる。つまり、セリウム以外の希土類元素Mの酸化物の
量がモル比で0.03≦M/(Ce+Zr+M)≦0.
15の範囲より多くなると、上記2つの理由によってO
SCがかえって小さくなる。また、成分が増えコスト的
に不利となる。
【0029】またセリア・ジルコニア固溶体とセリウム
以外の希土類元素Mの酸化物とからなる酸化物固溶体の
結晶子の平均径が10nmより大きかったり、又は比表
面積が20m2 /g未満であると、酸素の吸放出速度が
小さくなるため、急激に酸素分圧が変化する雰囲気で用
いた場合、実質的なOSCが小さくなる場合がある。な
おセリウム以外の希土類元素Mとしては、イットリウ
ム、プラセオジム、ネオジム、ランタンなどが例示され
るが、これに限定されるものではない。
【0030】セリア・ジルコニア固溶体粒子を製造する
には、例えば、3価のセリウムを含む化合物及びジルコ
ニウムを含む化合物が溶解した水溶液に、過酸化水素と
界面活性剤及びアルカリ性物質を添加することによりア
ルカリ溶液中に沈殿物を形成する第1工程と、沈殿物を
含むアルカリ溶液を蒸発乾固させ乾燥物を得る第2工程
と、乾燥物を加熱することで、酸化セリウムに酸化ジル
コニウムが固溶したセリア・ジルコニア固溶体を含み、
セリア・ジルコニア固溶体中の酸化セリウムに対する酸
化ジルコニウムの固溶度が50%以上かつ結晶子の平均
径が10nm以下であり、さらにセリア・ジルコニア固
溶体中のジルコニウムの比率がモル比で0.55≦Zr
/(Ce+Zr)≦0.90の範囲にあるセリア・ジル
コニア固溶体を得る第3工程と、よりなる製造方法を採
用することができる。
【0031】上記した製造方法では、先ず第1工程にお
いて、3価のセリウムを含む化合物及びジルコニウムを
含む化合物が溶解した水溶液に、過酸化水素と界面活性
剤及びアルカリ性物質を添加することにより沈殿物を得
る。この第1工程では、先ず3価のセリウムが過酸化水
素と錯体を作り酸化されて4価のセリウムとなるため、
酸化セリウムが酸化ジルコニウムと容易に固溶されやす
くなる。
【0032】過酸化水素の添加量は、セリウムイオンの
1/4以上であることが望ましい。過酸化水素の添加量
がセリウムイオンの1/4未満であると、酸化セリウム
と酸化ジルコニウムの固溶が不十分となる。過酸化水素
の過剰の添加は特に悪影響を及ぼさないが、経済的な面
で不利となるのみでメリットはなく、セリウムイオンの
1/2〜2倍の範囲にあることがより望ましい。
【0033】なお、過酸化水素の添加時期は特に制限さ
れず、アルカリ性物質及び界面活性剤の添加前でもよい
し、これらと同時あるいはそれより後に添加することも
できる。過酸化水素は後処理が不要となるので特に望ま
しい酸化剤である。そしてアルカリ性物質の添加によ
り、系がアルカリ性となり、セリウム及びジルコニウム
が不溶性の水酸化物あるいは酸化物となって沈殿する。
【0034】ここで界面活性剤の作用は明らかではない
が、以下のように推察される。つまり、アルカリ性物質
で中和したばかりの状態では、セリウム及びジルコニウ
ムは数nm以下の粒径の非常に微細な水酸化物又は酸化
物の状態で沈殿する。そして界面活性剤の添加により界
面活性剤のミセルの中に複数種の沈殿粒子が均一に取り
込まれ、ミセル中で中和、凝集及び熟成が進行すること
によって、複数成分が均一に含まれ濃縮された小さな空
間の中で固溶体粒子の生成が進行する。さらに、界面活
性剤の分散効果により沈殿微粒子の分散性が向上し、偏
析が小さくなって接触度合いが高まる。これらにより固
溶度が高くなるとともに、結晶子の平均径を小さくする
ことができる。
【0035】界面活性剤の添加時期は、アルカリ性物質
の先に添加してもよいし、アルカリ性物質と同時でもよ
く、またアルカリ性物質より後に添加することもでき
る。しかし界面活性剤の添加時期があまり遅くなると偏
析が生じてしまうので、アルカリ物質の添加と同時もし
くはそれより前に添加することが望ましい。第2工程で
は、沈殿物を含むアルカリ溶液を蒸発乾固させ、第3工
程でその乾燥物を加熱することにより、セリア・ジルコ
ニア固溶体が生成する。
【0036】なお第3工程における加熱温度は、300
〜1000℃の範囲とすることが望ましい。300℃よ
り低いとセリア・ジルコニア固溶体の生成が不十分とな
り、耐熱性が低下する。また1000℃より高くなる
と、比表面積の低下によりOSCが低下する。3価のセ
リウムを含む化合物としては、硝酸セリウム(III )、
塩化セリウム(III )、硫酸セリウム(III )などが例
示される。またジルコニウムを含む化合物としては、オ
キシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムなどが
例示される。
【0037】さらにアルカリ性物質としては、水溶液と
してアルカリ性を示すものであれば用いることができ
る。加熱時に容易に分離できるアンモニアが特に望まし
い。しかしアルカリ金属の水酸化物などの他のアルカリ
性物質であっても、水洗によって容易に除去することが
できるので用いることができる。界面活性剤としては、
陰イオン系、陽イオン系及び非イオン系のいずれも用い
ることができるが、その中でも形成するミセルが内部に
狭い空間を形成しうる形状、例えば球状ミセルを形成し
易い界面活性剤が望ましい。またアルカリによる沈殿形
成条件の下で臨界ミセル濃度(cmc)が0.1mol
/リットル以下のもの、より望ましくは、0.01mo
l/リットル以下の界面活性剤が望ましい。また界面活
性剤が形成するミセルの形状は、球状など内部に狭い空
間ができるものが望ましい。
【0038】これらの界面活性剤を例示すると、アルキ
ルベンゼンスルホン酸、及びその塩、αオレフィンスル
ホン酸、及びその塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキ
ルエーテル硫酸エステル塩、フェニルエーテル硫酸エス
テル塩、メチルタウリン酸塩、スルホコハク酸塩、エー
テル硫酸塩、アルキル硫酸塩、エーテルスルホン酸塩、
飽和脂肪酸、及びその塩、オレイン酸などの不飽和脂肪
酸、及びその塩、その他のカルボン酸、スルホン酸、硫
酸、リン酸、フェノールの誘導体などの陰イオン性界面
活性剤、ポリオキシエチレンポリプロレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンポリオキシポリプロピレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンポリオキシプロピレングリコール、多価ア
ルコール;グリコール;グリセリン;ソルビトール;マ
ンニトール;ペンタエリスリトール;ショ糖;など多価
アルコールの脂肪酸部分エステル、多価アルコール;グ
リコール;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;
ペンタエリスリトール;ショ糖;など多価アルコールの
ポリオキシエチレン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエ
チレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ
油、ポリグリセン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノール
アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタ
ノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミン
オキサイドなどの非イオン性界面活性剤、第一脂肪アミ
ン塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、テトラア
ルキルアンモニウム塩;トリアルキルベンジルアンモニ
ウム塩;アルキルピロジニウム塩;2−アルキル−1−
アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩;
N,N−ジアルキルモルホリニウム塩;ポリエチレンポ
リアミン脂肪酸アミド塩;などの第四級アンモニウム
塩、などの陽イオン性界面活性剤、ベタイン化合物など
の両イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種で
ある。
【0039】なお、上記臨界ミセル濃度(cmc)と
は、ある界面活性剤がミセルを形成する最低の濃度のこ
とである。界面活性剤の添加量としては、製造するセリ
ア・ジルコニア固溶体100重量部に対して1〜50重
量部となる範囲が望ましい。1重量部以上とすることに
より、より固溶度が向上する。50重量部を超えると、
界面活性剤が効果的にミセルを形成しにくくなるおそれ
がある。
【0040】また、前述した製造方法において、得られ
たセリア・ジルコニア固溶体に以下に示す後処理を施す
ことが望ましい。すなわち、還元雰囲気(例えば、一酸
化炭素、水素、炭化水素などの気体が含まれる状態)に
おいて、800〜1300℃で熱処理を行えば、固溶が
促進されセリア中にジルコニアの骨格を確実に形成させ
OSCを高めることができるので、好ましい。このよう
に、還元雰囲気における熱処理の際には、得られた固溶
体中の酸素の一部が欠落し、陽イオン(セリウム)の一
部が低い価数(3価)に還元された状態となっている。
しかし、その後空気中で約300℃以上に加熱されれば
容易に元の状態に復帰する。よって、熱処理後の冷却過
程で、約600℃以下で空気と接触させ、元の価数に復
帰させる処理をあわせて行ってもよい。
【0041】沈殿物の加熱の際に、噴霧乾燥により加熱
した場合には、粉末状のもの(乾燥物)として複合酸化
物が得られる。また、その他の加熱方法による場合に
は、得られる複合酸化物は塊状であるため、ハンマーミ
ル、ボールミル、振動ミルなどで乾式粉砕することによ
り粉末が得られる。本発明にいう酸化物固溶体を製造す
るには、前述した製造方法において、例えば第1工程で
セリウム以外の希土類元素Mを含む化合物と、3価のセ
リウムを含む化合物及びジルコニウムを含む化合物が所
定組成比で溶解した水溶液を用いる。すると、アルカリ
性物質の添加によりセリウム及びジルコニウムが不溶性
の水酸化物あるいは酸化物となって沈殿する際に、セリ
ウム以外の希土類元素Mを含む化合物も同時に不溶性の
水酸化物あるいは酸化物となって沈殿する。そして第2
工程で沈殿物を含むアルカリ溶液を蒸発乾固させて乾燥
物とし、第3工程で乾燥物を加熱することにより、セリ
ウム以外の希土類元素Mの酸化物がセリア・ジルコニア
固溶体に固溶した酸化物固溶体が生成する。
【0042】また上記酸化物固溶体の第2の製造方法と
して、4価のセリウムを含む化合物とジルコニウムを含
む化合物と、セリウム以外の希土類元素Mを含む化合物
とが溶解した水溶液に界面活性剤及びアルカリ性物質を
添加することにより沈殿物を含む第1溶液を形成する第
1工程と、第1溶液を蒸発乾固後加熱して酸化物固溶体
を得る第2工程と、よりなる製造方法を採用することも
できる。
【0043】また上記酸化物固溶体の第3の製造方法と
して、3価のセリウムを含む化合物とジルコニウムを含
む化合物とが溶解した水溶液に過酸化水素と界面活性剤
及びアルカリ性物質を添加することにより沈殿物を含む
第1溶液を形成させる。この第1工程では、前述の製造
方法の第1工程と同様の作用により、セリウム及びジル
コニウムの化合物が不溶性となって沈殿する。次に第2
工程として、セリウム以外の希土類元素の少なくとも一
種の化合物が溶解した水溶液に、アルカリ性物質又はシ
ュウ酸などの不溶性の塩を作る酸性物質を添加すること
により、沈殿を含む第2溶液を形成させる。そして第3
工程では、上記第1溶液と第2溶液とを混合攪拌し、蒸
発乾固後加熱する。これによりセリア・ジルコニア固溶
体が生成するとともに、セリウム以外の希土類元素酸化
物がセリア・ジルコニア固溶体中に固溶して酸化物固溶
体となる。
【0044】なお第1又は第2の製造方法のように、第
1工程においてセリウム以外の希土類元素Mが溶解した
溶液を0.03≦M/(Ce+Zr+M)≦0.15の
組成範囲となるように3価のセリウムを含む化合物及び
ジルコニウムを含む化合物が溶解した水溶液と共存さ
せ、アルカリ添加で共沈させることが最も好ましいが、
第3の製造方法のように、アルカリ添加後にゾル状の酸
化物又は水酸化物となった希土類元素Mを添加すること
もできる。さらに、セリア・ジルコニア固溶体に希土類
元素Mの化合物の溶液をスプレー法や浸漬法で含浸さ
せ、それを加熱することで製造する方法もある。
【0045】触媒貴金属としては、Pt、Rh、Pd、
Irなどが例示され、耐火性の多孔質体としては、アル
ミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ−アルミ
ナ、それらの固溶体、さらにそれらの複合酸化物、モル
デナイト、ZSM5などのゼオライト類などが例示され
る。触媒貴金属は一般にこの多孔質体に担持されるが、
上記酸化物固溶体に担持させてもよいし、多孔質体及び
酸化物固溶体の両方に担持してもよい。
【0046】触媒貴金属の担持量は、貴金属種によって
も異なるが、一般に排ガス浄化用触媒の体積1リットル
当たり0.1〜20gである。酸化物固溶体は、排ガス
浄化用触媒の体積1リットル当たりに0.1〜1モル
(陽イオンのモル数)含有することが望ましい。酸化物
固溶体が0.1モル/リットルより少ないと低温時の浄
化性能が低下し、1モル/リットルより多くなると多孔
質体が相対的に少なくなり吸着能の低下により浄化性能
が低下する。
【0047】また本発明の排ガス浄化用触媒は、粉末形
状からペレット形状やハニカム形状に成形して用いても
よいし、予め形成されたハニカム担体基材にコートして
用いることもできる。
【0048】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定され
るものではない。 (実施例1〜6及び比較例1〜3)硝酸セリウム(III
)とオキシ硝酸ジルコニウムを、モル比でCe/Zr
=30/70、すなわちZr/(Ce+Zr)=0.7
となるように混合した水溶液を調製し、次にこの水溶液
に、硝酸イットリウムの水溶液を添加した。各実施例及
び比較例において、この混合水溶液中のCeイオン、Z
rイオン及びYイオンのモル数の総和に対するYイオン
のモル比が所定値0〜0.17(0〜17モル%)とな
るようにした。
【0049】続いて、この混合水溶液に含まれるCeイ
オンと等モル数の過酸化水素を含む過酸化水素水と、こ
の混合水溶液を乾燥・焼成することによって得られる酸
化物の重量の5%に相当するポリオキシエチレンポリプ
ロピレンアルキルエーテルを含む水溶液を添加し、混合
攪拌した。さらに、攪拌しながらアンモニア水を滴下し
て中和し、沈殿を生成させた。
【0050】得られたスラリーを150℃で10時間乾
燥させて水分を除去した後、400℃で5時間加熱して
副生成物の硝酸アンモニウムを除去し、酸化物固溶体を
調製した。得られた酸化物固溶体の結晶子の径は、8n
m以下であった。セリア・ジルコニア固溶体にイットリ
ウムが固溶しても格子定数はほとんど変化しないので、
2元系におけるセリアとジルコニアの配合比と格子定数
の関係から固溶度を算出する前記式(3)を適用するこ
とができる。但し式(3)において、Cは試料中のジル
コニア含有率ではなく、試料中からイットリウムを引い
た残りの部分におけるジルコニア含有率とする。
【0051】この酸化物固溶体について、X線回折によ
る格子定数と出発原料の配合比から式(3)により算出
された酸化ジルコニウムの固溶度は97%以上であっ
た。また、結晶子の平均径をX線回折パターンの(31
1)ピークからシェラーの式を用いて算出したところ、
実施例1〜6及び比較例1〜3の全ての試料の平均径は
6〜8nmの範囲にあった。また、BET法により測定
された酸化物固溶体の比表面積は75〜95m2 /gの
範囲にあった。
【0052】得られた酸化物固溶体40gと、γ−アル
ミナ粉末60gとを、1リットルの水とともにボールミ
ルを用いて2時間それぞれ混合した。得られたスラリー
全量に1gのPtを含むジニトロジアンミン白金硝酸塩
溶液を加え、攪拌後蒸発乾固しそれぞれの触媒粉末を調
製した。なお、イットリウムの含有率が3,5,7,
9,12,15モル%の試料をそれぞれ実施例1〜6と
し、イットリウムの含有率が0,2,17モル%の試料
をそれぞれ比較例1〜3とした。
【0053】(実施例7〜11及び比較例4〜16)硝
酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコニウムを、モル
比で0.3≦{Zr/(Ce+Zr)}≦0.95とな
るように混合した水溶液を調製し、次にこの水溶液に、
硝酸イットリウムの水溶液を添加し、水溶液中のCeイ
オン、Zrイオン及びYイオンのモル数の総和に対する
Yイオンのモル比が0.07(7モル%)又はゼロとな
るようにした。これ以外は上記した実施例1〜6及び比
較例1〜3と同様にして、酸化物固溶体をそれぞれ調製
した。
【0054】この酸化物固溶体について、X線回折によ
る格子定数と出発原料の配合比から式(3)により算出
された酸化ジルコニウムの固溶度は97%以上であっ
た。また、結晶子の平均径をX線回折パターンの(31
1)ピークからシェラーの式を用いて算出したところ、
実施例7〜11及び比較例4〜16の全ての試料の平均
径は6〜8nmの範囲にあった。また、BET法により
測定された酸化物固溶体の比表面積は68〜90m2
gの範囲にあった。
【0055】得られた酸化物固溶体40gと、γ−アル
ミナ粉末60gとを、1リットルの水とともにボールミ
ルを用いて2時間それぞれ混合した。得られたスラリー
全量に1gのPtを含むジニトロジアンミン白金硝酸塩
溶液を加え、攪拌後蒸発乾固しそれぞれの触媒粉末を調
製した。なお、イットリウムの含有率が7モル%で{Z
r/(Ce+Zr)}の値が0.55,0.6,0.
7,0.8,0.9の試料をそれぞれ実施例7〜11と
し、イットリウムの含有率が7モル%で{Zr/(Ce
+Zr)}の値が0.3,0.4,0.5,0.95の
試料をそれぞれ比較例4〜7とし、イットリウムを含ま
ず{Zr/(Ce+Zr)}の値が0.3,0.4,
0.5,0.55,0.6,0.7,0.8,0.9
0,0.95の試料をそれぞれ比較例8〜16とした。
【0056】<耐硫黄被毒性評価>各実施例及び比較例
の触媒粉末を、それぞれ0.5gずつ内径10mmの石
英管に詰め、600℃で2時間SO2 を含むガスを流通
させて耐久試験を行った。ガスの組成は、2%SO2
スを80cc/min、酸素を132cc/min、窒
素を1120cc/min、水蒸気を40cc/min
である。それぞれの触媒粉末について耐久前後のOSC
を以下に示す昇温COパルス試験によって測定した。
【0057】昇温COパルス試験は、固定床流通反応装
置を用い、反応管内に充填した触媒粉末を予め600℃
で十分に酸化処理した後、Heガス中、COパルス注入
下で、室温から600℃まで昇温する際に生成するCO
2 を測定したものである。COパルスサイズは7.72
μmol、昇温速度10℃/minの条件下で測定を行
った。OSC値は、室温から300℃までに生成したC
2 量とした。すなわち、流通させたCOの総量は23
2μmolである。COは等量のCO2 に転化し、その
際に供給される酸素は、触媒中のセリアの還元によるも
のであるから、CO2 の生成量を求めることによって触
媒のOSCを測定することができる。
【0058】耐久試験後の比較例1の触媒のOSC値
は、CO2 量として21.3μmolであり、この値を
基準値すなわち1として、実施例1〜6及び比較例1〜
3の各触媒の耐久後OSCを図1に示した。図1より、
実施例1〜6の触媒は比較例1の触媒に対して1.3〜
1.7倍のOSCを示し、高いOSCが維持されている
ことが明らかである。
【0059】また耐久試験後の比較例10の触媒のOS
C値は、CO2 量として8.7μmolであり、この値
を基準値すなわち1として、実施例7〜11及び比較例
4〜16の各触媒の耐久後のOSCを図2に示した。図
2より、実施例7〜11の触媒は比較例10の触媒に対
して2.5〜4.0倍のOSCを示し、高いOSCが維
持されていることが明らかである。
【0060】
【発明の効果】すなわち本発明のリーン排ガス浄化用触
媒によれば、耐久時のOSCの低下が抑制されているの
で、始動時やアイドリング時など低温域の排ガス中のS
OFの高い浄化能が長期間維持される。また本発明のリ
ーン排ガス浄化用触媒は耐硫黄被毒性が高いことから、
リーン排ガスに限らず硫黄を含むストイキ排ガスに対し
ても有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Zr/(Ce+Zr)=0.7のセリア・ジル
コニア固溶体にYを17モル%まで添加した場合の各触
媒の、Y添加量に対する硫黄被毒耐久試験後のOSC
(Yを添加しないセリア・ジルコニア固溶体の硫黄被毒
耐久試験後のOSCを1とした)を示すグラフである。
【図2】Zr/(Ce+Zr)比に対する耐久後のOS
C(Zr/(Ce+Zr)=0.5のセリア・ジルコニ
ア固溶体の硫黄被毒耐久試験後のOSCを1とした)の
関係を示すグラフである。
【図3】アルキルベンゼンスルホン酸の添加率と形成さ
れた酸化物固溶体の結晶の格子定数との関係を示すグラ
フである。
【図4】セリア・ジルコニア固溶体中のジルコニア濃度
と格子定数との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神取 利男 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3G091 AA18 AB02 BA03 BA11 BA39 FA02 FA04 FA12 FA13 FB02 FB10 FB11 FC01 FC07 GA01 GA06 GA20 GB01W GB01X GB04W GB05W GB06W GB07W GB09X GB10W GB10X GB16X GB17X 4D048 AA21 BA03X BA08X BA18X BA18Y BA19X BA30X BA42X BB15 BC05 4G069 AA03 BB06A BB06B BC40A BC40B BC42A BC42B BC43A BC43B BC44A BC44B BC51A BC51B CA03 EC01X EC01Y ED07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化セリウムに酸化ジルコニウムが固溶
    したセリア・ジルコニア固溶体を含み、該セリア・ジル
    コニア固溶体中の酸化セリウムに対する酸化ジルコニウ
    ムの固溶度が50%以上で結晶子の平均径が10nm以
    下であり、かつ該セリア・ジルコニア固溶体中のジルコ
    ニウムの比率がモル比で0.55≦Zr/(Ce+Z
    r)≦0.90の範囲にあり、さらにセリウム以外の希
    土類元素Mの酸化物を該セリア・ジルコニア固溶体にモ
    ル比で0.03≦M/(Ce+Zr+M)≦0.15の
    組成範囲で含む酸化物固溶体と、 耐火性の多孔質体と、 該酸化物固溶体及び該多孔質体の少なくとも一方に担持
    された触媒貴金属と、よりなることを特徴とするリーン
    排ガス浄化用触媒。
  2. 【請求項2】 前記セリウム以外の希土類元素Mはイッ
    トリウム、プラセオジム及びランタンから選ばれる少な
    くとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のリ
    ーン排ガス浄化用触媒。
  3. 【請求項3】 前記酸化物固溶体の比表面積は1m2
    g以上であることを特徴とする請求項1に記載のリーン
    排ガス浄化用触媒。
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