JP4694762B2 - 多層プラスチック容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック容器に関するもので、より詳細には落下衝撃等の耐衝撃強度に優れ、容器表面の光沢性、透明性に優れた多層プラスチック容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プラスチック容器としては、各種ポリプロピレン系重合体製のものが広く使用されている。
しかしながら、ポリプロピレンからなる容器は、例えばポリエチレンからなる容器と比較して、耐熱性は優れるが、落下衝撃等の耐衝撃性や光沢性及び透明性に劣ったものとなっている。
【0003】
落下衝撃を向上させる手段としては、線状低密度ポリエチレンを配合すること(特許文献1参照)や、メタロセン触媒により重合されたエチレン−α・オレフィン共重合体を配合することが提案されている(特許文献2参照)、また外層の光沢感を向上させる手段として、特定の組成、MFRのポリプロピレン系樹脂を用いること(特許文献3参照)や結晶核剤を添加すること(特許文献4参照)等が提案されているが、いずれも完全なる機能を満足するものでなかった。
【0004】
また、透明性に優れ、白っぽさの少ないプロピレン系重合体製容器を得るために、結晶性プロピレン重合体(融点120〜145℃)95〜80重量%、水素添加されたブロック共重合体5〜20重量%からなる組成物を成形した容器が記載されている(特許文献5参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2691494号
【特許文献2】
特開2000−190438号公報
【特許文献3】
特許第2135306号
【特許文献4】
特許第3106834号
【特許文献5】
特開平10−87921号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、剛性、耐熱性、透明性などポリプロピレン系樹脂の数々の優れた性質を生かしながら、落下衝撃強度等の耐衝撃性、特に低温での落下衝撃性を改善されたプラスチック容器を提供する。さらに、第2の目的は耐衝撃性を保持しながら透明性、表面光沢に格段に優れたプラスチック容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、
1.少なくとも1層が、プロピレン系重合体を主たる樹脂とし、これにスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーを樹脂成分の5〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物からなる層であり、前記プロピレン系重合体がエチレンが2〜15mol%、MFRが1.0g/10分以上15g/10分以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体からなることを特徴とする多層プラスチック容器。
2.前記樹脂組成物からなる層が容器の外層に位置することを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック容器。
3.前記樹脂組成物からなる層が容器の主層であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック容器。
4.前記樹脂組成物がさらにエチレン系重合体を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の多層プラスチック容器。
5.エチレン系重合体がメタロセン触媒により重合された低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項4に記載の多層プラスチック容器。
6.前記樹脂組成物からなる層が、結晶核剤を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多層プラスチック容器。
7.前記樹脂組成物からなる層の結晶融解熱が50〜175J/gであることを特徴とする請求項6に記載の多層プラスチック容器。
8.前記樹脂組成物からなる外層、接着性樹脂層、バリヤー樹脂層、接着性樹脂層、プロピレン系重合体もしくは回収樹脂を含むプロピレン系重合体からなる層、プロピレン系重合体もしくは前記樹脂組成物からなる層から構成される4種6層乃至5種6層からなる請求項1ないし7のいずれか1項に多層プラスチック容器。
9.エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリアミド、環状オレフィン共重合体から選ばれたバリヤー樹脂層を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多層プラスチック容器。
10.前記バリヤー樹脂層が、回収樹脂を含むことを特徴とする請求項9に記載の多層プラスチック容器。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の多層プラスチック容器では、少なくとも1層が、プロピレン系重合体に水素添加ポリマーを配合した樹脂組成物からなることを特徴とする。
樹脂組成物中の主成分であるプロピレン系重合体は、ポリプロピレン、プロピレン−α・オレフィン共重合体を挙げることができ、さらに詳しくはプロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体を挙げることができが、この中でもプロピレン−エチレンランダム共重合体が透明性の点で好ましく、エチレン成分が2〜15mol%のMFRが1.0g/10分以上、特に外層に使用する場合は光沢性の点でエチレン成分が4mol%以上、MFRが3.0g/10分以上のプロピレン−エチレンランダム共重合体が好ましく使用される。
【0009】
プロピレン−エチレンランダム共重合体において、エチレン含有量が低いと、成形条件によっては透明性が低下する。また、15mol%を越えるエチレン含有量のプロピレン−α・オレフィン共重合体は重合が難しく収率が著しく悪かったり、低分子量物を多く含んだりするため、工業生産は極めて困難である。外層に使用する場合MFRが3.0g/10分以下では光沢性を確保しずらく、光沢性を確保するために、ある程度分子量分布の狭いものを用いる場合には成形時にシャークスキンなどが発生し、外観を著しく損なう。耐衝撃性を損なわない範囲で、ある程度高いMFRのものが適している。
【0010】
いわゆるプロピレン−エチレンブロック共重合体として、プロピレンあるいはプロピレンとエチレンの初段の重合に引き続き、エチレン、プロピレンのゴム成分を次段で重合したプロピレン系重合体が用いられ、トータルのエチレン含有量25モル%以下、MFRが0.5〜4.0g/10分の樹脂が主層あるいは内層に用いられる。
この樹脂を中間層もしくは内層に配設することで衝撃強度、剛性を高く維持できることに加えて、外部ヘイズが小さくなり、透明性の優れたボトルとすることも可能である。
【0011】
また、少量成分としては、水素添加ポリマーを上記プロピレン系重合体に配合する。水素添加ポリマーとして、芳香族ビニル化合物と共役二重結合を有するビニル化合物からなる共重合体の水素添加ポリマーが挙げられる。この中でも、特にスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマー、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加ポリマー、スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体の水素添加ポリマーが好ましく使用される。主成分であるプロピレン系重合体に対し、水素添加ポリマーを好ましくは、1〜35重量%の割合で配合する。
【0012】
以下の実施例にも示すように、水素添加ポリマーは比較的少量の添加で衝撃強度の向上に効果を示す。すなわち、1〜10重量%の少量の添加では、繰り返し単位のスチレン構造がある種の核剤としてプロピレン系重合体に作用するため、緻密な結晶構造を形成する結果、衝撃強度及び光沢性が向上する。この緻密な結晶構造は、表面欠陥の数を飛躍的に少なくするため、落下による割れのきっかけを少なくしているものと推定している。
10重量%以上35重量%までの添加量では、水素添加ポリマーのゴム状成分の寄与により高い衝撃強度が達成される。しかし、柔軟成分が増えることにより硬度が低下し、容器に傷が入りやすくなったり、滑り難くなり、ライン搬送で詰まったりする。滑剤の添加量を増やすことである程度の対応は可能であるが、内容品へのフレーバーの影響が無視できない。
35重量%より多い場合には容器の剛性が低下し、さらに成形時に樹脂の吐出が不安定になり、通常シャークスキンなどと呼ばれる容器表面の肌荒れが発生する。また、容器の透明性、光沢性も低下するという問題が発生する。
【0013】
本発明の多層プラスチック容器では、少なくとも外層を、特定のプロピレン系重合体と水素添加ポリマーを配合した樹脂組成物で形成することを特徴としており、この場合には、落下衝撃強度等の耐衝撃性が向上すると共に、容器表面の光沢性、容器の透明性も向上する。
水素添加ポリマーは、芳香族ビニルモノマー、イソプレン、ブタジエンなどの共役二重結合を有するモノマーより通常の溶液法にて重合して得られる共重合体を公知の方法にて水素添加することで得られる。
【0014】
ペレットのハンドリング可能な程度の芳香族ビニルモノマーを含有することが望ましく例えばスチレンの場合、6〜30mol%が好適である。芳香族ビニルモノマーが余り少ないとペレットとしてのハンドリングが困難となるのみならず、プロピレン系重合体の緻密な結晶核の形成に効果が乏しくなる。芳香族ビニルモノマーが余り多いと衝撃強度の向上効果が相殺されてしまう。
【0015】
ブタジエンは、1,4構造以外に1,2構造をある程度含有する方がプロピレン系重合体の衝撃強度向上効果が大きい。また、イソプレンはプロピレン系重合体との相溶性の点で有効である。同じように、水素添加率も70%以上であることが熱安定性や溶出性を抑える観点から望ましい。芳香族ビニルモノマーと共役ジエン系モノマーとは連鎖上如何なる配列であっても構わないが、ペレットのハンドリングをある程度安定化するためには、芳香族ビニルモノマーがややブロック的に配列していることが望ましい。水素添加ポリマーには、公知の酸化防止剤あるいは老化防止剤、成形助剤を用いることができる。
【0016】
水素添加ポリマーの添加方法として公知の方法を用いることができる。すなわち、ベース樹脂に所定量ペレットにてブレンドすることができる。また、パウダー原料を用い、所定の配合にてあらかじめ2軸押出機を用いて混練配合することができる。水素添加ポリマーを特に少量混合したり、エチレン系樹脂など他の樹脂を混合する場合にはこの方法が有効である。通常のフルフライトスクリューを装備した押出機も用いられるが、均一に混合する観点から圧縮比の比較的大きな押出機が適している。
【0017】
また、本発明の多層プラスチック容器では、少なくとも主層(最も厚い層)を、プロピレン系重合体と水素添加ポリマーを配合した樹脂組成物で形成することを特徴としており、この場合には、落下強度等の耐衝撃性と容器の透明性が向上する。
【0018】
これらの配合やプロピレン系重合体の選択は任意に行えるが、比較的MFRの高い光沢樹脂には水素添加ポリマーを用い、容器剛性に最も影響する主層には、上記剛性を高めたプロピレン系重合体を用いるのが好適である。外層に光沢樹脂層を配するのが衝撃強度の向上に最も効果的で、主層及び/又は内層に剛性の高い樹脂層を配することが好ましい。効果的な層構成はこれに限定されないが、水素添加ポリマー含有光沢樹脂層(外層)/接着性樹脂層/バリヤー樹脂層/接着性樹脂層/スクラップ樹脂含有プロピレン系重合体(*)層/水素添加ポリマー含有光沢樹脂層(内層)、あるいは、水素添加ポリマー含有光沢樹脂層(外層)/接着性樹脂層/バリヤー樹脂層/接着性樹脂層/スクラップ樹脂含有プロピレン系重合体(*)層/プロピレン系重合体(*)層(内層)などがある。ここで*は剛性の高いプロピレン系重合体を示している。
【0019】
また、本発明の多層プラスチック容器では、水素添加ポリマーをプロピレン系重合体に配合することで、衝撃強度、落下耐性を向上させ得ることから、より剛性の高いプロピレン系重合体の多層構造体への適用が可能となり、より剛性が高く座屈変形し難いボトルが得られる。
【0020】
剛性の高いプロピレン系重合体としては、コモノマーとしてエチレンやブテン−1を0〜10mol%の共重合比で用いたMFR0.5〜8g/10分のランダム重合体や、初期の重合では3mol%以下のコモノマー含有量で、後段の重合と改質を含めてエチレン含有量として15重量%以下、MFR0.5〜8g/10分のブロック共重合体が挙げられる。いずれの場合も樹脂剛性を確保する観点から、結晶融解熱が50〜175J/gにあることが望ましい。結晶融解熱はこの測定法に限定されないが、パーキンエルマーDSC7型を用いて、10℃の昇温下で標準試料にて熱量更正して測定される。
【0021】
これらの剛性の高いプロピレン系重合体の例として、エチレンコモノマーを低水準としたもの、塩化マグネシウム担持型立体規則性重合触媒:マグネシウム、チタン、ハロゲンを必須成分とする固体触媒、有機アルミニウム化合物、炭素数4以上の分岐したアルキル基を有する有機ケイ素化合物からなる触媒系等を用いてアイソタクティシティが13C−NMRより計算されるアイソタクティクペンタッド分率で0.97以上と高いホモポリマー樹脂等、あるいは低エチレンランダム共重合体樹脂が挙げられ、これらの樹脂をベースに逐次のエチレン・プロピレン共重合を行ったり、あるいは炭素数4〜20のエチレン・α−オレフィン共重合体を配合したりして、剛性と衝撃性をバランスした重合体を得ることができる。
【0022】
本発明の多層プラスチック容器では、内容物が酸素に対して敏感なものの場合には、さらにバリヤー性樹脂層として酸素バリヤー性樹脂層を設けることができる。酸素バリヤー性樹脂層を構成する好適な材料としては、エチレン含有量が20〜50mol%でケン化度が95モル%以上のエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物が挙げられる。他のバリヤー性樹脂として、炭素数100個当たりアミド基の数が3〜30個、特に4〜25個であるポリアミド類や、環状オレフィン共重合体、ポリアクリロニトリルも用いられる。これらのバリヤー性樹脂は単独で又は2種以上を混合して使用することができ、またその性状を損なわない範囲内で、他の熱可塑性樹脂を混合してもよい。
【0023】
また、本発明では、プラスチック容器の成形時に発生するバリや不良品等のスクラップからなるスクラップ樹脂層(リグラインド:REG、あるいは回収樹脂層)を形成することができる。スクラップ樹脂層は、スクラップ樹脂のみからなる層であってもよく、未使用のプロピレン系重合体との混合物でもよい。さらに、別個に水素添加ポリマーを配合してもよい。スクラップ樹脂層を、スクラップ樹脂と主たる樹脂の未使用樹脂との混合物から形成する場合には、スクラップ樹脂の配合量は、未使用樹脂に対し、1〜50重量%とする。
【0024】
また、スクラップ樹脂の使用に際し、スクラップ樹脂の特性を改善する目的で、特にプロピレン系樹脂中にスクラップ樹脂を配合する際の分散性を向上させ、耐衝撃性や透明性を改善するために、スクラップ樹脂、プロピレン系重合体の他に、例えば無水マレイン酸変性したプロピレン系重合体(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)を添加してもよい。
一般にスクラップ樹脂を含有する層は、ベースの樹脂と非相溶なバリヤー性樹脂を含有するため透明性が低くなる一方で、衝撃強度も低下する。特にプロピレン系樹脂ではこの影響が無視できない。水素添加ポリマーを含有する外層をスクラップ樹脂として用いたり、あるいは別個に水素添加ポリマーを添加すること、その他の分散性を良くする助剤、助剤樹脂を添加することで、耐衝撃性や透明性を改良することができる。
【0025】
本発明の多層プラスチック容器が、外層に加え、スクラップ樹脂層及び/又はガスバリヤ性樹脂層を配した構造の場合には、各樹脂層間に、所望により接着性樹脂層を設けることができる。この接着性樹脂としては特に制限はないが、酸変性オレフィン樹脂、例えば無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体等を使用することが好ましい。
【0026】
本発明の多層プラスチック容器では、上記のプロピレン系重合体と水素添加ポリマーとを配合した樹脂組成物にさらに第3成分としてエチレン系重合体を配合することもできる。エチレン系重合体として、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンラバー、EPDM、さらにメタロセン系触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレンを挙げることができる。
【0027】
上記エチレン系重合体のなかでも、特にメタロセン系触媒を用いて重合した直鎖状超低密度ポリエチレンが耐衝撃性、光沢性、透明性向上の点で好ましい。この直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンと、コモノマーとしてブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等のα・オレフィンのいずれかを共重合させたもので、特に、プロピレン系樹脂の改質効果、相溶性の点でコモノマーとしてヘキセン−1を使用することが好ましく、経済性の点からも有利である。また、直鎖状超低密度ポリエチレンMFRは1.0〜10.0g/10分、密度0.850〜0. 910g/cc、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)で規定される分子量分布は3.0付近ものもが好適に使用される。直鎖状超低密度ポリエチレンのMFRが10.0g/10分より大きい場合には得られた樹脂組成物は激しいドローダウンを示し、成形性が悪化するため、主たる樹脂との相溶性を侵さない範囲で低いMFRのものが適している。分子量分布が2.5より小さいものを配合した場合には、ダイレクトブロー成形時に肌荒れが発生し、これに由来して、光沢性、透明性が低下するという問題がある。また、分子量分布が4.0付近のものを使用した場合には、低分子量成分の存在により、容器表面のべたつきが発生するという問題がある。
【0028】
直鎖状超低密度ポリエチレンは、樹脂組成物中、2〜50重量%、好ましくは2〜30重量%の割合で配合される。配合量が2重量%よりも少ないと、プラスチック容器の耐衝撃性、表面光沢、透明性の点で、さらに配合した効果がなく、50重量%よりも多く配合した場合には、シャークスキンなど容器の成形性が劣ってくる。
【0029】
MFR、密度はJIS K6758に従って、測定される。分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレンを標準分子量換算に用いて測定される。
【0030】
本発明のプラスチック容器の好適な層構成としては、これに限定されるものではないが、Ad:接着性樹脂、Bar:バリヤー樹脂、REG:回収樹脂、*:水素添加ポリマー、PP1、PP2、PP3:プロピレン系重合体(他のエチレン系樹脂を含む場合もある)で表すと、
外層より、
・ PP1+*/PP2+REG
・ PP1+*/PP2+REG/PP3
・ PP1+*/PP2+REG+*/PP2
・ PP1+REG+*/Ad/Bar/Ad/PP1+REG+*
・ PP1+*/Ad/Bar/Ad/PP2+REG/PP1+*
・ PP1+*/Ad/Bar1/Ad/PP2+REG/Ad/Bar2
・ PP1+*/PP2+REG/Ad/Bar1/Ad/Bar2/Ad/PP2
・ PP1+*/PP2+REG/Ad/Bar/Ad/PP2+REG/PP1+*
・ PP1+*/Ad/Bar/Ad/PP2/PP3
・ PP1+*/Ad/Bar/Ad/PP2+REG/PP3
・ PP1+*/PP2+REG/Ad/Bar/Ad/PP3
注)Bar1はエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、Bar2は環状オレフィン共重合体である。
【0031】
また、本発明のプラスチック容器を構成する各樹脂層中には、必要に応じてオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド等からなる滑剤や、プラスチック容器中に通常添加される紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料等の着色剤、酸化防止剤、中和剤等の添加剤を添加することができる。
【0032】
また、本発明では、プロピレン系重合体と水素添加ポリマーとを配合した樹脂組成物に結晶核剤を添加してもよい。水素添加ポリマーの添加と相俟って、相乗効果が得られる場合もある。
また、ある程度剛性の高いプロピレン系重合体を使用し、衝撃強度を改良し、剛性を確保する観点から、プロピレン系重合体に結晶核剤を少量添加することがある。
結晶核剤としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族燐酸金属塩、ソルビトール系誘導体、ロジンの金属塩、芳香族系リン化合物の金属塩等が用いられる。これらの核剤のなかで、P−t−ブチル安息香酸アルミニウム、燐酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、燐酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)アルミニウム、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、ロジンのナトリウム塩等が好適に使用される。結晶核剤は樹脂組成物中、樹脂に対して、0.05〜0.5重量%、好ましくは0.2〜0.3重量%の割合で用いられる。
【0033】
本発明のプラスチック容器としては、図1に見られるような中空ボトルをはじめとする各種形状の容器が挙げられ、これらのプラスチック容器は、ロータリーブロー成形、シャトル方式のブロー成形等、常法により製造することができる。
好ましい成形方法としては、容器を構成する各樹脂層を多層多重ダイスを使用して共押出しして得られたパリソンを、ブロー型内でダイレクトブロー成形することによって中空プラスチック容器とする方法がある。また、このような層構成は、多層プラスチックシートを真空、圧空成形によりトレー、カップ等の形状に成形される容器にも応用される。
【0034】
本発明のプラスチック容器は、例えば、ケチャップ、マヨネーズ、ソース等の食品用ボトルのほかに、一般のシャンプー、リンスあるいは洗剤用ボトル等として有用である。
【0035】
【実施例】
本発明を次の例でさらに説明するが、本発明はこれらの例に制限されるものではない。以下の例においては、常法により多層多重ダイスを使用して、共押出しして得られたパリソンをロータリーブロー成形機でダイレクトブロー成形することによって、容器重量27g、内容積680cc、層構成、(外層)/(接着性樹脂)/(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物)/(接着性樹脂)/(スクラップ樹脂とプロピレン系重合体からなる樹脂組成物)/(内層)の多層ブローボトルを成形した。尚、実施例2乃至4、8、12乃至19は参考例である。
【0036】
(実施例1)
層構成として、外層から、(密度0.90g/cc、MFR9.0g/10分、エチレン含有量7mol%のプロピレン−エチレンランダム共重合体95重量%、スチレン含有量が10重量%であるスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマー5重量%からなる樹脂組成物層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(スクラップ樹脂層として外層に使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体(密度0. 90g/cc、MFR1.5g/10分、エチレン含有量5mol%)50重量%にブロー成形時に発生する不良品やバリをリグラインドしたスクラップ樹脂50重量%からなる樹脂組成物)/(外層に使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体)、層厚比20/2/3/2/63/10の多層プラスチックボトルを作成した。
【0037】
(実施例2)
外層に配合する水素添加ポリマーとして、実施例1で使用した水素添加ポリマーの代わりに、スチレン含有量が12重量%であるスチレン−ビニルイソプレン共重合体の水素添加ポリマーを5重量%の割合で配合した以外は実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0038】
(実施例3)
外層に配合する水素添加ポリマーとして、実施例1で使用した水素添加ポリマーの代わりにスチレン含有量が14重量%であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加ポリマーを5重量%の割合で配合した以外は実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0039】
(比較例1)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体100重量%で形成した以外は実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0040】
実施例1〜3、比較例1で得られた多層プラスチックボトルについて、落下衝撃強度、外観特性、剛性を評価した結果を表1に示す。
【0041】
(評価方法)
1. 落下衝撃強度
多層プラスチックボトルに飽和食塩水を650cc充填し、5℃または−5℃の冷蔵庫に24時間保存してから取り出し、1.0mの高さからコンクリート面に正立状態(ボトル底を下)で落下させ、破損本数を確認した。表中の数字は、各多層プラスチックボトルを10本ずつ用いて、それぞれについて最大10回ずつ落下させた時の破損本数を示す。
2. 光沢性、透明性
JIS K 7105に基づき、各多層プラスチック容器について、光沢は日本電色工業製グロスメーターVGS型を使用してグロス(60゜鏡面光沢)、透明性は日本電色工業製NDH1001を使用してヘイズ(曇り度)を測定した。
3. 剛性
多層プラスチックボトルを正立状態で静置し、オリエンテック製テンシロン万能試験機UCT−500を使用して、圧縮速度50mm/分にて最大圧縮強度を測定した。
4. 成形性
ダイレクトブロー成形法により多層プラスチックボトルを成形し、ボトル表面を目視にて確認する。
【0042】
【表1】
Figure 0004694762
【0043】
(評価結果)
外層を、プロピレン−エチレンランダム共重合体に水素添加ポリマーを配合した樹脂組成物で形成した実施例1〜3で作成した各多層プラスチックボトルは、成形性を損なうことなく、また剛性も大幅に低下させることなく、落下衝撃強度、光沢性、透明性を向上させることができた。
【0044】
水素添加ポリマーを外層に配合しない比較例1の多層プラスチックボトルは、光沢性、透明性の点で不十分であり、特に、落下衝撃強度においては、起点を特定しないガラス状割れが頻発し、10本中、全てのボトルが破損した。
【0045】
(実施例4)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体とスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーの配合割合をそれぞれ99重量%、1重量%とした以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0046】
(実施例5)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体とスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーの配合割合をそれぞれ90重量%、10重量%とした以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0047】
(実施例6)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体とスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーの配合割合をそれぞれ80重量%、20重量%とした以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0048】
(実施例7)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体とスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーの配合割合をそれぞれ65重量%、35重量%とした以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0049】
(比較例2)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体とスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーの配合割合をそれぞれ60重量%、40重量%とした以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0050】
(比較例3)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体とスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーの配合割合をそれぞれ50重量%、50重量%とした以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0051】
実施例4〜7、比較例2〜3で得られた多層プラスチックボトルについて、落下衝撃強度、外観特性、剛性を評価した結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
Figure 0004694762
【0053】
(評価結果)
外層が、プロピレン−エチレンランダム共重合体と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加ポリマー1〜35重量%とを配合した樹脂組成物で形成した実施例4〜7で作成した各多層プラスチックボトルは、成形性、剛性を大幅に低下することなく、落下衝撃強度、光沢性、透明性を向上させることができた。水素添加ポリマー1重量%程度の低い添加量で十分効果が見いだせることは、ある意味では結晶核剤と類似の機能を示したものと考える。10重量%を越えると衝撃強度もさらに増大するが、表面がべたつき、滑り性が低下する傾向にあり、正常なライン搬送のためには滑剤を増量する必要があった(実施例6、7)。
【0054】
一方、水素添加ポリマーの配合量を40重量%、50重量%とした比較例2および3で作成した多層プラスチックボトルでは、容器の剛性が許容できるレベルではなく、ダイレクトブロー成形時に肌荒れが発生し、これに伴い光沢性、透明性が低下した。
【0055】
つぎに、主層(最も厚い層)を、プロピレン系重合体と水素添加ポリマーとを配合した樹脂組成物で形成した多層プラスチックボトルについて実施例を示す。
【0056】
(実施例8)
層構成として、外層から、(密度0.90g/cc、MFR8.5g/10分、エチレン含有量8mol%のプロピレン−エチレンランダム共重合体からなる層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(外層で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体45重量%、スチレン含有量が10重量%であるスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマー5重量%およびスクラップ樹脂50重量%を配合した主層)/(外層で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体層)、層厚比が20/2/3/2/63/10の多層プラスチックボトルを作成した。
【0057】
(比較例4)
主層を、密度0.90g/cc、MFR8.5g/10分、エチレン含有量8mol%のプロピレン−エチレンランダム共重合体70重量%とスクラップ樹脂30重量%とを配合した樹脂により形成した以外は、実施例8と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0058】
実施例8および比較例4で得られた多層プラスチックボトルについて、落下衝撃強度、透明性、剛性を評価した結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
Figure 0004694762
【0060】
(評価結果)
主層に水素添加ポリマーを配合した実施例8は、外観特性、剛性、成形性を損なうことなく、落下衝撃強度を向上させることができた。一方、水素添加ポリマーを配合していない比較例4で作成した多層プラスチックボトルでは、落下衝撃強度において許容できるレベルではなかった。
【0061】
つぎに、さらに落下衝撃強度および光沢性を改良した例として、外層を、プロピレン系重合体、水素添加ポリマー、および、第3成分としてエチレン系重合体を配合した樹脂組成物で形成した多層プラスチックボトルについて述べる。
【0062】
(実施例9)
外層を、実施例1で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体93重量%、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマー5重量%、さらにコモノマーとして、ヘキセン−1を使用して、密度0.898g/cc、MFR3.5g/10分、Mw/Mn=3.3のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体(m−VLL)2重量%を配合した樹脂組成物で形成した以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0063】
(実施例10)
外層を、実施例8で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーおよびm−VLLの配合量をそれぞれ85重量%、5重量%、10重量%配合した樹脂組成物で形成した以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0064】
(実施例11)
外層を、実施例8で使用したプロピレン−エチレンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーおよびm−VLLの配合量をそれぞれ65重量%、5重量%、30重量%配合した樹脂組成物で形成した以外は、実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0065】
実施例9〜11で作成した多層プラスチックボトルについて、落下衝撃強度、外観特性、剛性を評価した結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
Figure 0004694762
【0067】
外層を形成する樹脂組成物に、さらに第3成分としてメタロセン系触媒を用いて重合されたm−VLLを配合した実施例9〜11では、透明性を損なうことなく、さらに低温時(−5℃)の落下衝撃強度および光沢性を向上させることができる。
【0068】
(実施例12〜16)
以下の実施例においては、多層プラスチック容器における水素添加ポリマーを外層のプロピレン系重合体樹脂に添加することで、他のプロピレン系重合体樹脂層に剛性の高い樹脂を用いて、衝撃強度を維持しつつ容器剛性を高めることができる例を示す。
【0069】
外層として、プロピレン系重合体樹脂(エチレン含有量7mol%、MFR10g/10分)に対し、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)の水素添加ポリマー(スチレン分子量1.5万、スチレン含有量30mol%)、および、密度0.900g/cc、MFR4.0g/10分のエチレン・α−オレフィンの共重合体を90:7:3重量%にて配合した樹脂組成物を用い、接着性樹脂として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MFR4.0g/10分、酸変性度0.5重量%)、バリヤー樹脂層にはエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)(エチレン含有量29mol%、MFR3.8g/10分(210℃))、主層および内層のプロピレン系重合体樹脂として表5に示す組成物を用い、外層/接着性樹脂層/EVOH/接着性樹脂層/主層/内層=20/2/3/2/63/10の厚み比にて、主層には回収樹脂を35重量%添加して、5種6層の、内容積680ml、容器重量27gの多層プラスチック容器を作成した。これらのボトルの特性を評価した結果を表6に示す。尚、表5において、プロピレン・エチレンランダム共重合体およびプロピレン・エチレンブロック共重合体については、Aでエチレン含有量を規定した。また、エチレン・α−オレフィン共重合体については、Aで密度を規定した。
【0070】
【表5】
Figure 0004694762
【0071】
下記表6に示すように、外層に水素添加ポリマーを配合して衝撃強度を確保した上で、主層あるいは内層、特に主層に用いるプロピレン系重合体として、結晶融解熱の高い樹脂、低エチレン含有量の樹脂(実施例13)、あるいは衝撃性の改良にプロピレン系重合体と比較的相溶し難いエチレン・α−オレフィン共重合体を配合したり(実施例14、15)、非常にアイソタクティシティの高いプロピレン系重合体をベースとすることで(実施例16)透明性等はあまり低下がなく、容器剛性が大幅に向上したボトルが可能となる。
【0072】
【表6】
Figure 0004694762
【0073】
(実施例17〜19)
ここでは、外層として、プロピレン系重合体樹脂(エチレン含有量7mol%、MFR10g/10分)に、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)の水素添加ポリマー(スチレン分子量1.3万、スチレン含有量35mol%)を3重量%にて配合した樹脂組成物を用い、接着性樹脂としてMFR4.0g/10分、酸変性度0.5重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(プロピレン・エチレン共重合体)、バリヤー樹脂層にはエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)(エチレン含有量28mol%、MFR4.8g/10分(210℃))、主層および内層のプロピレン系重合体樹脂として表7に示す組成物を用い、外層/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/主層/内層=15/3/5/3/64/10の厚み比にて、主層にはスクラップ樹脂を40重量%添加して、内容積680ml、容器重量27gのシリンダー形状の多層プラスチック容器を作成した。なお、実施例17では、内層にも水素添加ポリマーを5重量%添加し、内外層同一樹脂を使用し4種6層構成とし、実施例18、19では主層あるいは内層のプロピレン系重合体に衝撃性と剛性を確保するために結晶核剤として、燐酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム0.2重量%を添加し、内外層の樹脂組成を異にする5種6層構成とした。容器剛性の一つの指標として、ボトルを密栓し口部より真空ポンプで減圧し、ボトル胴部が大変形する真空度(mmHg)を計測した。これらの結果を表8に示す。尚、表7において、プロピレン・エチレンランダム共重合体およびプロピレン・エチレンブロック共重合体については、Aでエチレン含有量を規定した。また、エチレン・α−オレフィン共重合体については、Aで密度を規定した。
【0074】
【表7】
Figure 0004694762
【0075】
下記表8に示すように、プロピレン系重合体として、比較的アイソタクティシティの高いプロピレン・エチレンランダム共重合体(実施例18)、あるいは多段重合にて重合されるいわゆるプロピレン・エチレンブロック共重合体(実施例19)のいずれの場合でも結晶核剤を添加することで、著しい容器剛性の向上が可能となる。結晶核剤の付随の効果として、衝撃強度と透明性の向上も得られる。これらの複合効果は、本願発明の5種6層構成にて最も効果的に発揮されることがわかる。
【0076】
【表8】
Figure 0004694762
【0077】
【発明の効果】
上記構成をとることによって、本発明では成形性が良好で、耐衝撃性、容器表面光沢、透明性に優れた多層プラスチック容器を得ることができる。また、本発明では容器製造時に発生するスクラップ樹脂を有効に活用することができるので、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック容器の縦断面図である。
【図2】本発明のプラスチック容器のA部の層構成の1例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 多層プラスチックボトル
2 外層
3 接着樹脂層
4 ガスバリヤ性樹脂層
5 スクラップ樹脂層
6 内層

Claims (10)

  1. 少なくとも1層が、プロピレン系重合体を主たる樹脂とし、これにスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加ポリマーを樹脂成分の5〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物からなる層であり、前記プロピレン系重合体が、エチレンが2〜15mol%、MFRが1.0g/10分以上15g/10分以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体からなることを特徴とする多層プラスチック容器。
  2. 前記樹脂組成物からなる層が容器の外層に位置することを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック容器。
  3. 前記樹脂組成物からなる層が容器の主層であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック容器。
  4. 前記樹脂組成物がさらにエチレン系重合体を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の多層プラスチック容器。
  5. エチレン系重合体がメタロセン触媒により重合された低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項4に記載の多層プラスチック容器。
  6. 前記樹脂組成物からなる層が、結晶核剤を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多層プラスチック容器。
  7. 前記樹脂組成物からなる層の結晶融解熱が50〜175J/gであることを特徴とする請求項6に記載の多層プラスチック容器。
  8. 前記樹脂組成物からなる外層、接着性樹脂層、バリヤー樹脂層、接着性樹脂層、プロピレン系重合体もしくは回収樹脂を含むプロピレン系重合体からなる層、プロピレン系重合体もしくは前記樹脂組成物からなる層から構成される4種6層乃至5種6層からなる請求項1ないし7のいずれか1項に多層プラスチック容器。
  9. エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリアミド、環状オレフィン共重合体から選ばれたバリヤー樹脂層を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多層プラスチック容器。
  10. 前記バリヤー樹脂層が、回収樹脂を含むことを特徴とする請求項9に記載の多層プラスチック容器。
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