JP3948252B2 - 多層プラスチック容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック容器に関するもので、より詳細には容器の透明性、剛性、容器表面の光沢性、表面硬度、低溶媒溶出性に優れ、落下強度等の耐衝撃性に優れた多層プラスチック容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、プラスチック容器として、各種ポリプロピレン系重合体のものが広く使用されている。
しかしながら、ポリプロピレンからなる容器は、例えばポリエチレンからなる容器と比較して、耐熱性は優れるが、容器の光沢性及び透明性や落下衝撃強度等の耐衝撃性に劣ったものとなっている。
外観の光沢性や透明性を向上させる手段として、特定の組成、メルトフローレート(MFR)のポリプロピレン系樹脂を用いること(特許第2135306号公報)が提案されているが、従来のチーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたプロピレン系重合体(Z−Nプロピレン系重合体)ではタクティシティーが低いために、アタックティックポリプロピレン(atac−PP)や低分子量成分の含有量が多く、溶媒溶出量が増大するといった問題や成形時に樹脂のべたつきが生じるといった成形上の問題があり、また容器とした場合、耐衝撃性と透明性のバランスをとるのが困難であった。例えば、外観の光沢性や透明性を向上させる手段として、結晶核剤を添加すること(特許第3106834号公報)が提案されているが、十分な耐衝撃性を示さないとの問題点があった。
耐衝撃性を向上させる手段としては、線状ポリエチレンを配合すること(特許第2691494号公報)や、メタロセン触媒を用いて重合された低密度エチレン−α・オレフィン共重合体を配合すること(特開平10−371672号公報)が提案されているが、従来のプロピレン系重合体にこれらエチレン系重合体を配合するとプロピレン系重合体のタクティシティーが低いために、耐衝撃性の改良効果が小さく、耐熱性の不足、及び表面硬度不足による耐傷付き性の不足といった問題や溶媒溶出量が多いといった問題が発生した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形時の樹脂のべたつきといったハンドリングの悪さを伴わずに、容器の透明性、耐熱性、容器表面の光沢性、表面硬度、耐衝撃性、低溶媒溶出性に優れた多層プラスチック容器の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。すなわち、
1.メタロセン触媒で重合されたアイソタクティックプロピレン系重合体(メタロセンiso−PP)を主たる樹脂とする樹脂組成物からなる1層を有することを特徴とする多層プラスチック容器。
2.容器の外層が1に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする多層プラスチック容器。
3.容器の主層が1に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする多層プラスチック容器。
4.容器の内層が1に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする多層プラスチック容器。
5.樹脂組成物中のメタロセンiso−PPのペンタッドアイソタクティシティーが95%以上であることを特徴とする1ないし4のいずれかに記載の多層プラスチック容器。
6.メタロセンiso−PPが、プロピレンと、2〜15mol%のエチレン及び/又はα・オレフィン成分からなり、MFRが1.0以上15g/10分以下のプロピレン−エチレン及び/又はα・オレフィンの共重合体であることを特徴とする1〜5に記載の多層プラスチック容器。
7.メタロセンiso−PPが、プロピレンと、エチレン及び/又はα・オレフィンのランダム共重合体(メタロセンiso−ランダムPP)であることを特徴とする1〜6に記載の多層プラスチック容器。
8.エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロン、環状ポリオレフィンから選ばれたバリヤー材層を有することを特徴とする1〜7記載の多層プラスチック容器。
9.バリヤー材を含有する回収樹脂を含む層を有することを特徴とする1〜8記載の多層プラスチック容器。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の多層プラスチック容器では、少なくとも1層が、メタロセンiso−PPからなる樹脂で形成されることを特徴とする。
メタロセンiso−PPは、特開平08−003230号公報、特開平08−134121号公報等に記載のメタロセン触媒を用いて重合する。その際、特開平3−512376号公報、特開2001−226543号公報等に記載のアルミノキサン等の助触媒を用いることができる。また、触媒は、特開平3−303912号公報、特開2001−226543号公報等に記載の無機、有機担体に担持させてもよい。
メタロセン触媒を用いて重合することで比較的分子量が狭く、低分子量成分の少ないポリマーが得られる。また、メタロセンiso−ランダムPPの場合、コモノマーであるエチレン及び/又はα・オレフィンが規則的に配置された均一性の高いポリマーが得られる。
樹脂組成物中の主成分であるメタロセンiso−PPは、メタロセン触媒を用いて重合されたメタロセンiso−ホモPP、エチレン及び/又はα・オレフィンをコモノマーとするメタロセンiso−ランダムPPまたはメタロセンiso−ブロックPPを挙げることができるが、この中でもメタロセンiso−ランダムPPが透明性の点で好ましく、プロピレンと2〜15mol%のエチレン及び/又はα・オレフィン成分からなりMFRが1.0g/10分以上、特に外層に使用する場合は光沢性の点でプロピレンと4mol%以上のエチレン及び/又はα・オレフィン成分からなりMFRが3.0g/10分以上のメタロセンiso−ランダムPPが好ましく使用される。
メタロセンiso−ランダムPPにおいてエチレン及び/又はα・オレフィン含量が低いと、成形条件によっては透明性が低下する。また、15mol%を越えるエチレン及び/又はα・オレフィン含量のメタロセンiso−ランダムPPは重合が難しく収率が著しく悪かったり、低分子量物を多く含んだりするため,工業生産は極めて困難である。
外層に使用する場合MFRが3.0g/10分以下では光沢性を確保しづらく、光沢性を確保するためにある程度分子量分布の狭いものを用いる場合には成形時にシャークスキン等を生成し、外観を著しく損なう。耐衝撃性を損なわない範囲である程度高いMFRのものが適している。
本発明におけるメタロセンiso−PPは、95%以上、好ましくは97%以上のアイソタクティシティーを示す立体規則性を有することを特徴とする。
【0006】
本発明の多層プラスチック容器では、少なくとも外層が、メタロセンiso−PPからなる樹脂で形成されることを特徴としており、この場合には容器の剛性、表面硬度、耐衝撃性、透明性及び光沢性が向上するとともに、容器成形時においては樹脂のべたつき防止によって作業性が向上する。
メタロセンiso−PPは、Z−Nプロピレン系重合体に比べて、atac−PPの含有率が極めて低い点やコモノマーがより規則的に導入される点が特徴であり、この結果、より均一で緻密な結晶構造のポリマーが得られる。ポリマーにおける、このような特徴的な結晶構造が、容器の剛性、表面硬度、耐衝撃性、透明性及び光沢性等の容器物性の大幅な向上に寄与しているものと考えている。
プラスチック容器成形時における樹脂のべたつき防止効果は、メタロセンiso−PPの高いタクティシティーによって、Z−Nプロピレン系重合体に比べてatac−PP成分の含有が極めて少なくなった結果、融点及び軟化点が比較的低い低分子量成分の生成が抑えられるためと考察している。
【0007】
本発明の多層プラスチック容器では、少なくとも主層(最も厚い層)が、メタロセンiso−PPからなる樹脂で形成されることを特徴としており、この場合には容器の剛性、耐衝撃性、透明性が向上する。
メタロセンiso−PPは、Z−Nプロピレン系重合体に比べて、より均一で緻密な結晶構造のポリマーが得られるために、容器の剛性、耐衝撃性、透明性等、容器物性が大幅に向上するものと考えている。
【0008】
本発明の多層プラスチック容器では、少なくとも内層が、メタロセンiso−PPからなる樹脂で形成されることを特徴としており、この場合には耐衝撃性の向上と溶媒溶出量の大幅に低減する。
【0009】
本発明の多層プラスチック容器では、耐衝撃性や透明性、光沢性等の更なる向上を意図して、上記のメタロセンiso−PPに第2成分としてエチレン系重合体を、メタロセンiso−PPの特性を阻害しない範囲で配合してもよい。
エチレン系重合体として、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンラバー、EPDM、さらにメタロセン系触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体を挙げることができる。特に、メタロセン系触媒を用いて重合した、密度0.89〜0.90g/cc、MFR1.0〜5.0g/10分、Mw/Mn=2.5〜3.5のエチレン−1−ヘキセン共重合体が好ましい。また、スチレンと共役二重結合を有する化合物との共重合体に水素を添加したポリマーを配合してもよく、この中でも、特にスチレン成分が5〜15mol%、水素添加率70%以上のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加ポリマーが好ましい。
本発明のメタロセン触媒によるアイソタクティックPP系重合体は、多層容器の主材あるいは外層材として用いられるが、他に従来の公知の手法により変性して用いる樹脂のベースポリマーとしても有効に用いられる。アタクティックポリマーの含有率が低いことが、それぞれ変性された樹脂の特性に反映され、従来に無い特性が発揮されるものと考えている。
例えば、無水マレイン酸等の酸無水物によるグラフト変性では、グラフト反応が均一に進む結果、少量の変性材で変性が可能となり、これを接着樹脂として多層容器に用いた場合には、安定した接着強度が達成される。
また、ブロー成形性を改善する目的で、過酸化物等を用いて分岐構造を導入することも容易になり、ねらった分子量分布のものを容易に実現できる。
【0010】
本発明の多層プラスチック容器では、内容物が酸素に対して敏感なものの場合には、さらにバリヤ性樹脂層として酸素バリヤ性樹脂層を設けることができる。酸素バリヤ性樹脂層を構成する好適な材料としては、エチレン含有量が20〜50モル%でケン化度が95モル%以上のエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物があげられる。他のバリヤ性樹脂として、炭素数100個当たりアミド基の数が3〜30個、特に4〜25個であるポリアミド類や、環状ポリオレフィン,ポリアクリロニトリルも用いられる。これらのバリヤ性樹脂は単独で又は2種以上を混合して使用することができ、またその性状を損なわない範囲内で、他の熱可塑性樹脂を混合してもよい。
【0011】
また、本発明では、多層プラスチック容器の成形時に発生するバリや不良品等のスクラップからなるスクラップ樹脂層(リグラインド:REG、あるいは回収樹脂層)を形成することができる。スクラップ樹脂層は、スクラップ樹脂のみからなる層であってもよく、主たる樹脂であるメタロセンiso−PPのバージン樹脂からなる樹脂との混合物でもよい。スクラップ樹脂層を、スクラップ樹脂と主たる樹脂のバージン樹脂との混合物から形成する場合には、スクラップ樹脂の配合量は、バージンの樹脂に対し、1〜50重量%とする。
【0012】
また、スクラップ樹脂の使用に際し、スクラップ樹脂の特性を改善する目的で、特にメタロセンiso−PPからなる樹脂中にスクラップ樹脂を配合する際の分散性を向上させ、耐衝撃性や透明性を改善するために、スクラップ樹脂、メタロセンiso−PPの他に、例えば無水マレイン酸変性したプロピレン系重合体(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)を添加してもよい。
【0013】
本発明の多層プラスチック容器が、外層に加え、スクラップ樹脂層及び/又はガスバリヤ性樹脂層を配した構造の場合には、各樹脂層間に、所望により接着性樹脂層を設けることができる。この接着性樹脂としては特に制限はないが、酸変性オレフィン樹脂、例えば無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたポリプロピレン系重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体等を使用することが好ましい。
【0014】
本発明のプラスチック容器の好適な層構成としては、これに限定されるものではないが、
Tie:接着性樹脂、Bar:バリヤー樹脂、REG:回収樹脂、PP:メタロセンiso−PP(他のエチレン系樹脂も含む場合もある)で表す場合、
外層側より、
PP+REG/PP
PP/PP+REG/PP
PP/PP+REG/PP
PP+REG/Tie/Bar/Tie/PP+REG
PP/Tie/Bar/Tie/PP+REG/PP
PP/Tie/Bar/Tie/PP+REG/Tie/Bar
PP/PP+REG/Tie/Bar※/Tie/Bar※/Tie/PP
PP/PP+REG/Tie/Bar/Tie/PP+REG/PP
PP/PP+REG/Tie/Bar/Tie/PP+REG/PP
注)Bar※の外層側はEVOH、内層側はCOC
等をあげることができる。
【0015】
また、本発明のプラスチック容器を構成する各樹脂層中には、必要に応じてオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド等からなる滑剤や、プラスチック容器中に通常添加される紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料等の着色剤、酸化防止剤、中和剤等の添加剤を添加することができる。
【0016】
また、本発明では、メタロセンiso−PPからなる樹脂に結晶核剤を添加してもよい。結晶核剤としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族燐酸金属塩、ソルビトール系誘導体、ロジンの金属塩、芳香族系リン化合物の金属塩等が用いられる。これらの核剤のなかで、P−t−ブチル安息香酸アルミニウム、燐酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、燐酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)アルミニウム、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、ロジンのナトリウム塩等が好適に使用される。特に、p−エチル−ベンジリデンソルビトールが好適に使用される。結晶核剤は樹脂組成物中、50〜2000ppmの割合で添加される。
メタロセンiso−PPの高いアイソタクティシティーと相まって、相乗効果が得られる場合もある。
【0017】
本発明のプラスチック容器としては、図1に見られるような中空ボトルをはじめとする各種形状の容器が挙げられ、これらのプラスチック容器は、ロータリーブロー成形、シャトル方式のブロー方法等、常法により製造することができる。
好ましい成形方法としては、容器の各層を構成する多層パリソンを多層多重ダイスを用いた共押出しによって得たうえ、このパリソンをブロー型内でダイレクトブロー成形することによって中空プラスチック容器とする方法がある。
またこのようなメタロセン触媒を用いたアイソタクティックプロピレン系重合体を用いた層構成は、多層プラスチックシートを真空、圧空成形によりトレー、カップ等の形状に成形されるレトルト容器等の用途にも応用される。
【0018】
本発明の多層プラスチック容器は、例えば、酸素バリヤー性の必要なケチャップ、マヨネーズ、ソース等の食品用ボトルのほかに、一般のシャンプー、リンスあるいは洗剤用ボトル等としても有用である。
【0019】
アイソタクティシティーは、C13−NMR法や多段昇温溶出分離法によってペンタッドアイソタクティシティー率として測定される。
MFR、密度はJIS K6758に従って測定される。
剛性は、多層プラスチックボトルを正立状態で静置し、オリエンテック製テンシロン万能試験機UCT−500を使用して、圧縮速度50mm/分にて常温下での最大圧縮強度を測定される。
表面硬度は、JIS K 7202に従って測定される。
溶媒溶出性は、厚生省告示第20号、食品、添加物等の規格基準第三器具及び包装容器Dの2の(1)及びDの2の(1)に従って測定される。
成形時の樹脂べたつきは、多層ダイスを用いた共押出しによって、多層パリソンを押出し、押出したパリソンの外表面のべたつきを官能評価される。
【0020】
【実施例】
本発明を次の実施例で更に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例においては、常法により多層多重ダイスを使用して、共押出しして得られたパリソンをロータリーブロー成形機でダイレクトブロー成形することによって、容器重量27g、内容積680cc、層構成、(外層)/(接着性樹脂)/(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物)/(接着性樹脂)/(主層)/(内層)の多層ブローボトルを成形した。
【0021】
(実施例1)
層構成として、外層から、(メタロセン触媒を用いて重合した、密度0.90g/cc、MFR9.0g/10分、エチレン含有量5mol%、アイソタクティシティー96%のメタロセンiso−ランダムPPからなる樹脂組成物層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(スクラップ樹脂層として、メタロセンiso−ランダムPP(密度0.90g/cc、MFR1.8g/10分、エチレン含有量5mol%、アイソタクティシティー97%)50重量%にブロー成形時に発生する不良品やバリをリグラインドしたスクラップ樹脂50重量%からなる樹脂組成物)/(外層に使用したメタロセンiso−ランダムPP)、層厚比20/2/3/2/63/10の図2に示す層構造からなる多層プラスチックボトルを作成した。
【0022】
(実施例2)
外層に使用するメタロセン触媒を用いて重合したアイソタクティックプロピレン−エチレンランダム共重合体のアイソタクティシティーが97%である以外は実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0023】
(実施例3)
外層に使用するアイソタクティックプロピレン−エチレンランダム共重合体のアイソタクティシティーが98%である以外は実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0024】
(比較例1)
内外層を、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合したメルロフローレート(MFR)9.0g/10分、アイソタクティシティーが94%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体で形成し、さらに、スクラップ樹脂層に、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合したメルロフローレート(MFR)1.8g/10分、アイソタクティシティーが94%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体を50重量%配合した以外は実施例1と同様の多層プラスチックボトルを作成した。
【0025】
実施例1〜3、比較例1で得られた多層プラスチックボトルについて、落下衝撃強度、外観特性、剛性を評価した結果を表1に示す。
【0026】
(評価方法)
落下衝撃強度:
多層プラスチックボトルに飽和食塩水を650cc充填し、5℃または−5℃の冷蔵庫に24時間保存してから取り出し、1.0mの高さからコンクリート面に正立状態(ボトル底を下)で落下させ、破損本数を確認した。表中の数字は、各多層プラスチックボトルを10本ずつ用いて、それぞれについて最大10回ずつ落下させた時の破損本数を示す。
光沢性、透明性:
JIS K 7105に基づき、各多層プラスチック容器について、光沢は、日本電色工業製グロスメーターVGS型を使用して、グロス(60゜鏡面光沢)、透明性は、日本電色工業製濁度計NDH1001を使用してヘイズ(曇り度)を測定した。
剛性:
多層プラスチックボトルを正立状態で静置し、オリエンテック製テンシロン万能試験機UCT−500を使用して、圧縮速度50mm/分にて常温下での最大圧縮強度を測定した。
表面硬度:
JIS K 7202に基づき、各多層プラスチック容器について、アカシ製自動ロックウェル硬度計ARK−F3000を使用してロックウェル硬度を測定した。
溶媒溶出性:
n−ヘプタンを溶媒に用いて、25℃、60分間抽出し、抽出液の蒸発残留物を測定した。
成形時の樹脂べたつき:
多層ダイスを用いた共押出しによって、多層パリソンを押出し、押出したパリソンの外表面のべたつきを官能評価した。
【0027】
【表1】
【0028】
(評価結果)
外層を、メタロセン触媒を用いて重合された、アイソタクティシティー96%、またはそれを超えるアイソタクティシティーを有するアイソタクティックプロピレン−エチレンランダム共重合体で形成した実施例1〜3で作成した各多層プラスチックボトルは、成形時の樹脂べたつきを発生させることもなく、落下衝撃強度、剛性、光沢性、透明性、低溶媒溶出性の全ての機能を満足させることができた。
【0029】
内外層及びスクラップ樹脂層を、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたアイソタクティシティー94%のプロピレン−エチレンランダム共重合体で形成した比較例1の多層プラスチックボトルは、落下衝撃強度、剛性、光沢性、透明性、低溶媒溶出性の全ての点で不十分であり、特に落下衝撃強度の評価においては全ての容器で破損が発生した。
【0030】
つぎに、主層(最も厚い層)を、メタロセン触媒を用いて重合した、アイソタクティシティー97%のアイソタクティックプロピレン−エチレンランダム共重合体で形成した多層プラスチックボトルについて実施例を示す。
【0031】
(実施例4)
層構成として、外層から、(チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合した、密度0.90g/cc、MFR9.0g/10分、エチレン含有量5mol%、アイソタクティシティー94%のプロピレン−エチレンランダム共重合体からなる樹脂組成物層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層)/(接着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン)/(スクラップ樹脂層として、メタロセン触媒を用いて重合したアイソタクティックプロピレン−エチレンランダム共重合体(密度0.90g/cc、MFR1.8g/10分、エチレン含有量5mol%、アイソタクティシティー97%)50重量%にブロー成形時に発生する不良品やバリをリグラインドしたスクラップ樹脂50重量%からなる樹脂組成物)/(外層に使用したアイソタクティックプロピレン−エチレンランダム共重合体)、層厚比20/2/3/2/63/10の多層プラスチックボトルを作成した。
【0032】
実施例4で得られた多層プラスチックボトルについて、落下衝撃強度、透明性、剛性を評価した結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
(評価結果)
主層を、メタロセン触媒を用いて重合した、アイソタクティシティー97%であるアイソタクティックプロピレン−エチレンランダム共重合体で形成した実施例4で作成した各多層プラスチックボトルは、落下衝撃強度、剛性、透明性の全ての機能を満足させることができた。
【0035】
【発明の効果】
上記構成をとることによって、本発明では成形性が良好で、耐衝撃性、容器表面光沢、透明性に優れた多層プラスチック容器を得ることができる。また、本発明では容器製造時に発生するスクラップ樹脂を有効に活用することができるので、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック容器の縦断面図である。
【図2】図1のプラスチック容器のA部の拡大図である。
【符号の説明】
1 多層プラスチックボトル
2 外層
3 接着樹脂層
4 ガスバリヤ性樹脂層
5 スクラップ樹脂層
6 内層
Claims (9)
- メタロセン系触媒を用いて重合されたアイソタクティックプロピレン系重合体を主たる樹脂とする樹脂組成物からなる1層と、
スクラップ樹脂と、メタロセン系触媒を用いて重合されたバージンのアイソタクティックプロピレン系重合体を含む回収樹脂層を有することを特徴とする多層プラスチック容器。 - 少なくとも容器の外層が、アイソタクティックプロピレン系重合体を主たる樹脂とする樹脂組成物からなる1層であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック容器。
- 少なくとも容器の主層が、アイソタクティックプロピレン系重合体を主たる樹脂とする樹脂組成物からなる1層であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック容器。
- 少なくとも容器の内層が、アイソタクティックプロピレン系重合体を主たる樹脂とする樹脂組成物からなる1層であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック容器。
- 樹脂組成物中のアイソタクティックプロピレン系重合体のペンタッドアイソタクティシティーが95%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多層プラスチック容器。
- アイソタクティックプロピレン系重合体が、プロピレンと、2〜15mol%のエチレン及び/又はα・オレフィン成分からなり、MFRが1.0以上15g/10分以下のプロピレン−エチレン及び/又はα・オレフィンの共重合体であることを特徴とする請求項1〜5に記載の多層プラスチック容器。
- アイソタクティックプロピレン系重合体が、プロピレンと、エチレン及び/又はα・オレフィンのランダム共重合体であることを特徴とする請求項1〜6に記載の多層プラスチック容器。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロン、環状ポリオレフィンから選ばれたバリヤー材層を有することを特徴とする請求項1〜7に記載の多層プラスチック容器。
- 回収樹脂層が、バリヤー材を含有することを特徴とする請求項1〜8に記載の多層プラスチック容器。
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