JP3686240B2 - 樹脂組成物および多層構造体 - Google Patents

樹脂組成物および多層構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融成形性の良好な樹脂組成物、および外観が美麗で、耐層間剥離性、透明性、耐衝撃性、ガスバリアー性に優れた多層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略すことがある)は、溶融成形が可能で、ガスバリア性に優れた材料として、広く用いられている。特に、耐湿性、機械的特性等に優れた熱可塑性樹脂、なかでもポリオレフィン系樹脂の層と積層した多層プラスチック包装材は、バッグ、ボトル、カップ、パウチ等の形で酸素バリアー性に優れた容器として食品、化粧品、医化学薬品、トイレタリー等の種々の分野で広く使用されている。
【0003】
このような多層プラスチック容器を製造する際、シート、フィルムの押出成形における端部、ボトル等の押出ブロー成形におけるピンチオフによるバリ、カップ成形等における打抜きクズ等の各種リグラインド(スクラップ)が必然的に発生し、その再生利用がコスト及び資源の節約の見地から必要とされている。このリグラインドを有効に再利用するために、主材料のポリオレフィン等の熱可塑性樹脂層にリグラインドを混合して利用する方法(特公昭59−29409)、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂層とEVOH層との間にリグラインド層を介在させる方法(特開昭59−101338)が提案されている。
【0004】
しかしながら、多くの熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン系樹脂とEVOHとを含むリグラインド樹脂を同時溶融押出成形する場合、EVOHが劣化する傾向にあり、混合溶融押出に際して押出機内部における黒色状付着物(焦げ)等が発生したり、ダイリップ等にゲル状物質(メヤニ)等が付着したり、不均一な相分離異物が発生したり、あるいは流動異常が生じたりする。そのため、容器の外観特性の低下、樹脂分解物の匂いの発生、耐衝撃性等の機械的特性の低下等があり、押出成形は実質的に全く実施出来ないか、出来ても短時間しか運転出来ない場合が多いのが実情である。また、ポリオレフィンとEVOHからなるブレンド組成物をEVOHあるいはポリオレフィンと共押出成形する場合、成形物表面に波模様が発生し、さらにデラミネーション(層内および層間剥離)も発生する。
【0005】
かかる問題を解決する目的で、EVOHとポリオレフィン系樹脂とを配合する際にカルボン酸変性ポリオレフィンに代表される各種の極性基変性ポリオレフィンを添加することについては、特開昭49−57086号、特開平3−72539号、特開平5−98084号、特開昭61−111346号、特開平8−27332号などに記載されている。
【0006】
近年ポリオレフィンの中でも、重合活性点が均一な触媒、すなわちシングルサイト触媒を用いて製造されたものが注目を集めている。かかるシングルサイト触媒を用いて重合されたポリオレフィンは、従来のポリオレフィンに比べて分子量分布、組成分布が狭いという特徴を有している。その結果、透明性、強度、接着性、ヒートシール性、耐衝撃性、耐溶出性、耐ブロッキング性など多くの有用な性能を有しているので、各種検討が進められている。
【0007】
シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体とEVOHとの積層物については、包装材料用積層フィルムについて特開平7−232418号公報、共押出フィルムについて特開平7−314624号公報、バルーン形成用複合フィルムについて特開平7−284570号公報、熱収縮フィルムについて特開平7−309962号公報、レトルト用包材について特開平7−266520号公報にそれぞれ記載されており、その用途は多岐に渡っている。しかしながら、これらの積層体に関する出願においてはEVOHとエチレン−α−オレフィン共重合体との組成物について、あるいは製造時のリグラインドを再使用することについての記載はなされていない。
【0008】
特開平7−102133号公報にはシングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体とカルボン酸変性ポリオレフィンとからなる樹脂組成物層とEVOH層を有する積層体について記載されている。これはナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種樹脂に対して接着性の良好な組成物を提供することを主目的とするものである。したがって、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体とカルボン酸変性ポリオレフィンに加えてEVOHをも含む組成物については記載されておらず、積層体中にリグラインド層を形成することについても記載されていない。
【0009】
特開平7−329262号公報には従来の触媒で重合された回収ポリエチレンとカルボン酸変性ポリオレフィンとからなる組成物層と、シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体層と、EVOH層を有する積層体について記載されている。これは、回収ポリエチレンとカルボン酸変性ポリオレフィンとからなる組成物層とシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体層との層間接着性が良好であることを特長とする発明である。しかしながら、シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体にEVOHを配合すること、さらに加えてカルボン酸変性ポリオレフィンを配合することについては記載されていない。
【0010】
また、特開平6−166157号公報には、シングルサイト触媒を用いて重合されたシンジオタクチックポリプロピレン層、EVOH層、カルボン酸変性ポリオレフィン層、リグラインド層を有する積層体が記載されている。しかしながら、リグラインド層の組成については何ら記載されておらず、シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体からなる層を含むものではない。
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】
上述のように、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体とEVOHとからなる積層体はさまざまな特長を有しているが、かかる積層体を用いた成形物を製造する際には、通常製造上のロス、すなわちリグラインドが発生する。
かかるリグラインドをいかに有効に用いるかは、経済上、資源節約上重要な問題である。しかしながら、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体とEVOHとを含むリグラインドの適当な使用法については従来知られていない。また、従来の触媒(チーグラー系触媒)で製造したエチレン−α−オレフィン共重合体を用いた時との差異についても知られていない。
【0012】
本発明は、かかる組成物において特定の樹脂組成、相溶化剤、配合比率、分散形態等を採用したものである。その結果として、溶融成形性を改善し、リグラインド等のスクラップ組成物を有効に再利用することができ、外観美麗で、しかも、耐層間剥離性、透明性、耐衝撃性、ガスバリアー性に優れた成形物、とくに多層構造体を得ることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレンを主成分とする共重合体(A)およびエチレン含量が20〜60モル%でケン化度が95%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなり、下記式(1)を満足する樹脂組成物を提供することによって達成される。
1/99≦{(A)の重量}/{(B)の重量}≦99/1 ・・・(1)
【0014】
このとき、エチレンを主成分とする共重合体(A)が、α−オレフィンの炭素数が3〜8であるエチレン−α−オレフィン共重合体であること、あるいはその分子量分布の比Mw/Mnが4以下であることが好適である。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)がリン元素換算で2〜200ppmのリン化合物を含有することも好適である。
【0015】
特に好適な樹脂組成物として、エチレンを主成分とする共重合体(A)の密度が0.90〜0.94g/cm3であり、カルボン酸変性ポリオレフィン(C)を含み、かつ下記式(2)および(3)を満足する樹脂組成物を挙げることができる。
60/40≦{(A)の重量}/{(B)の重量}≦99/1 ・・・(2)
0.1/99.9≦X≦20/80 ・・・(3)
但し、X={(C)の重量}/{(A)と(B)の合計重量}
【0016】
このとき、エチレンを主成分とする共重合体(A)のマトリックス中にエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)およびカルボン酸変性ポリエチレン(C)からなる平均粒径が5μm以下の樹脂粒子が分散していることが好適である。
また、エチレンを主成分とする共重合体(A)のメルトフローレートMaとエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)のメルトフローレートMbの比が下記式(4)を満たすことも好適である。
0.05≦Ma/Mb≦5 ・・・(4)
【0017】
さらにハイドロタルサイト系化合物(D)を有し、かつ(D)の重量は(A)と(B)の合計重量に対し0.0001〜2%であること、また高級脂肪族カルボン酸の金属塩(E)を有し、かつ(E)の重量は(A)と(B)の合計重量に対し0.0001〜2%であることも好適である。
【0018】
かかる樹脂組成物の層とエチレン含量が20〜60モル%でケン化度が95%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体の層の少なくとも2層からなる多層構造体は好適な実施態様である。またシングルサイト触媒を用いて製造された、α−オレフィンの炭素数が3〜8であり、密度が0.90〜0.94g/cm3であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなる層およびカルボン酸変性ポリオレフィンからなる層をそれぞれ少なくとも1層以上有する多層構造体も好適な実施態様である。
このような多層構造体は共押出成形されてなることが好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるエチレンを主成分とする共重合体(A)は、シングルサイト触媒を用いて製造されたものである。ここで、エチレンを主成分とする共重合体とはエチレンの含有量が50重量%以上である共重合体のことをいう。
エチレンと共重合されるコモノマーは、特に限定されるものではなく、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどから選ばれたα−オレフィン、スチレン、ジオレフィン、N−ビニルカルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルエーテルなどのビニル化合物、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルおよびその酸無水物あるいはこれらにヒドロキシル基またはエポキシ基を付加したものなどがあげられる。
【0020】
エチレンと共重合するコモノマーの中でも特に好適なものとして、α−オレフィンの炭素数が3〜8であるエチレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。炭素数が3〜8のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンがモノマーコストが安く、共重合組成を幅広く制御できる点から好ましい。
炭素数が9以上の場合にはモノマーコストが高くなると同時に、重合時の共重合反応性が低く、共重合体中への導入が困難な点でも好ましくない。
【0021】
シングルサイト触媒とは、活性点が均一(シングルサイト)である特徴を有する触媒のことである。代表的なものとして、メタロセン系触媒があげられる。かかるメタロセン系触媒を用いてポリオレフィンの重合を行う際には、メタロセン化合物とアルミノキサンに代表される有機アルミニウム化合物を併せ用いること、あるいはメタロセン化合物と、これと反応して安定なアニオンを形成する化合物とを併せ用いることが好ましい。
【0022】
ここで、メタロセン系遷移金属化合物としては、周期律表の第3〜10族またはランタノイド系列の金属に、少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子がη5結合様式で配位している化合物が用いられる。金属の一例としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、ランタン、ニッケル、パラジウム、ロジウム、イリジウム等が挙げられ、特にチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニッケル、パラジウムが好ましい。
【0023】
上記シクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を有する配位子としては、例えば、シクロペンタジエニル基、アルキル置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、アルキル置換インデニル基、1,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、アルキル置換1,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基またはアルキル置換フルオニル基等が挙げられる。これらの基の置換アルキル基はハロゲン原子、トリアルキルシリル基等で置き換えられていてもよい。これらの配位子のうちでも、シクロペンタジエニル基またはアルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。メタロセン化合物1分子中に上記シクロペンタジエニル基を2個以上含む場合には、シクロペンタジエニル基を有する基同志がエチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基等のアルキレン基や、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基を介して結合されていてもよい。
【0024】
メタロセン化合物の例としては、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)(テトラメチル−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−プロピルアミド)などを挙げることができる。
【0025】
その他のシングルサイト触媒の例として、金属−ジイミン錯体化合物が挙げられ、その具体例として、N,N’−ビス(ジイソプロピルフェニル)ジイミンニッケルジブロミド、N,N’−ビス(ジイソプロピルフェニル)ジイミンニッケルジクロリド、N,N’−ビス(ジイソプロピルフェニル)ジイミンニッケルジメチル、N,N’−ビス(ジイソプロピルフェニル)ジイミンパラジウムジブロミド、N,N’−ビス(ジイソプロピルフェニル)ジイミンパラジウムジクロリド、N,N’−ビス(ジイソプロピルフェニル)ジイミンパラジウムジメチル、N,N’−ビス(ジメチルフェニル)ジイミンニッケルジブロミド、N,N’−ビス(ジメチルフェニル)ジイミンニッケルジクロリド、N,N’−ビス(ジメチルフェニル)ジイミンニッケルジメチル、N,N’−ビス(ジメチルフェニル)ジイミンパラジウムジブロミド、N,N’−ビス(ジメチルフェニル)ジイミンパラジウムジクロリド、N,N’−ビス(ジメチルフェニル)ジイミンパラジウムジメチル等が挙げられる。
【0026】
これらのシングルサイト触媒と組み合わせて使用される活性化用共触媒の例として、Al−O結合を有するアルミニウム化合物、例えば鎖状あるいは環状アルミノキサン等が挙げられる。この鎖状あるいは環状アルミノキサンは、アルキルアルミニウムと水を接触させて生成される。例えば、重合時にアルキルアルミニウムを加えておき、後に水を添加するか、あるいは、錯塩の結晶水または有機、無機化合物の吸着水とアルキルアルミニウムを反応させることで得られる。
【0027】
ここで、アルキルアルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。
【0028】
また、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンとなる成分としては、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ケイ素化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられる。
【0029】
重合条件は特に限定されるものではないが、チーグラー系触媒における周知の重合方法と同様の方法により通常行われる。すなわち、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等が挙げられ、また、これらの重合はバッチ法であっても連続法であってもよい。圧力が常圧から100気圧、好ましくは常圧から50気圧で、温度が0〜250℃、好ましくは25〜200℃の反応条件下に、高圧イオン重合法によって製造されるのが好ましい。
【0030】
本発明のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレンを主成分とする共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下)は特に限定されるものではないが、好ましくは0.1〜50g/10分、より好ましくは0.5〜30g/10分である。
【0031】
上記のような、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレンを主成分とする共重合体を用いることで、本願発明の目的を達成することができる。ここで、従来から用いられてきた一般的な触媒(チーグラー系触媒)を用いて製造されたエチレンを主成分とする共重合体を用いたのでは、比較例にも示すように組成物の透明性、接着性および耐衝撃性が十分でない。かかる理由は必ずしも明らかではないが、EVOH樹脂と、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレンを主成分とする共重合体樹脂との界面において、その界面接着力が大きい、あるいは溶融時の界面張力が小さいといった効果が発現しており、それが組成物に対して良好な分散性、力学強度を与えることになり、結果として良好な透明性、層間接着性および耐衝撃性に寄与しているのではないかと考えることもできる。カルボン酸変性ポリオレフィンを相溶化剤として用いたときには、界面接着力、界面張力をさらに改善することができ、より大きな効果が得られるものと考えられる。
【0032】
さらに、本発明のエチレンを主成分とする共重合体(A)の分子量分布の比Mw/Mnが4以下であることが好ましい。かかる範囲にあることで、良好な透明性、層間接着性および耐衝撃性を得ることができる。
【0033】
また、EVOH(B)とはエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、エチレン含有量は20〜60モル%、好適には25〜55モル%、より好適には30〜50モル%、最適には30〜40モル%の範囲から、またビニルエステル成分のケン化度は95%以上、好適には98%以上、最適には99%以上から選ばれる。またEVOH(B)の融点は限定されるものではないが、好ましくは125〜220℃、最適には135〜200℃から選ばれる。エチレン含有量が上記範囲を下回り、融点が上記範囲を上回る場合は、溶融成形性が悪く、一方エチレン含有量が上記範囲を上回る場合は、ガスバリアー性が不足する。また、ケン化度が上記範囲を下回る場合は、ガスバリアー性および熱安定性が悪くなリ、ゲル・ブツの発生量が増える。
【0034】
なお、EVOHのエチレン含有量およびケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により、また融点は示差熱分析(DSC)法(スキャンニングスピード10℃/分)により求めることができる。
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下、JIS K7210に基づく)は0.1〜100g/10min.、最適には0.5〜50g/10min.である。
【0035】
EVOH製造時に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0036】
また、EVOH(B)に共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合にはEVOH(B)の溶融粘性が改善され、ブレンドに際し分散性が改善されるだけでなく、均質な共押出多層フィルムの製造の面でも有効である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0037】
さらに、EVOH(B)がホウ素化合物を含有する場合にも、EVOH(B)の溶融粘性が改善され、ブレンドに際し分散性が改善されるだけでなく、均質な共押出多層フィルムの製造の面で有効である。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物うちでもオルトホウ酸(単にホウ酸と表示)、NaBH4が好ましい。
ホウ素化合物の含有量はホウ素換算で20〜2000ppm、望ましくは50〜1000ppmである。この範囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたエチレン−ビニルアルコール共重合体組成物を得ることができる。20ppm未満ではそのような効果が小さく、2000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
【0038】
さらに、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量体[例えば、プロピレン、ブチレン、不飽和カルボン酸又はそのエステル{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなど}、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリドンなど)を共重合することも出来る。
【0039】
また本発明においては二種以上のEVOHを配合して用いることもできるし、また本発明の目的を阻外しない範囲で熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、部分けん化エチレン−酢酸ビニル共重合体など)をEVOH樹脂にブレンドすることもできる。
【0040】
また、本発明のEVOH(B)中のリン化合物濃度は、リン元素換算で2〜200ppm、好適には3〜150ppm、最適には5〜100ppmの範囲であることが好ましい。組成物中のリン濃度が2ppmより少ない場合や200ppmより多い場合には、製膜性や熱安定性に問題を生じることがある。特に、長時間にわたる製膜を行なう際のゲル状ブツの発生や着色の問題が発生しやすくなる。
【0041】
EVOH(B)中に配合するリン化合物の種類は特に限定されるものではない。リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていても良く、そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩であることが好ましい。中でも、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリン化合物を添加することが好ましい。
【0042】
また、本発明のEVOH(B)に対し、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5〜5000ppm含有させることも好ましい。これにより、焦げ、目ヤニなどの流動異常がなくなり、そのためスクラップの回収性能が大巾に改善され、また耐衝撃性や耐屈曲疲労性の改善のためにも効果的である。
アルカリ金属塩のより好適な含有量はアルカリ金属元素換算で20〜1000ppm、さらには30〜500ppmである。ここでアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげられ、アルカリ金属塩としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、燐酸塩、金属錯体等が挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリウムが好適である。
【0043】
本発明の樹脂組成物において、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)とEVOH(B)の重量比率(A)/(B)は1/99〜99/1である。かかる配合比率を採用することで本発明の目的が達成される。
【0044】
本発明の樹脂組成物の内でも、特に好適な組成として、密度が0.90〜0.94g/cm3であるエチレンを主成分とする共重合体(A)、EVOH(B)およびカルボン酸変性ポリオレフィン(C)からなり、かつ下記式(2)および(3)を満足する樹脂組成物(以下、樹脂組成物−1と記す)が挙げられる。
60/40≦{(A)の重量}/{(B)の重量}≦99/1 ・・・(2)
0.1/99.9≦X≦20/80 ・・・(3)
但し、X={(C)の重量}/{(A)と(B)の合計重量}
【0045】
かかる樹脂組成物−1は、溶融成形性を改善し、リグラインド等のスクラップ組成物を有効に再利用することができ、外観美麗で、しかも、耐層間剥離性、透明性、耐衝撃性、ガスバリアー性に優れた成形物、とくに多層構造体を得ることができるものとして、特に好適なものである。
【0046】
樹脂組成物−1において、EVOH(B)とエチレンを主成分とする共重合体(A)の重量比率(A)/(B)は60/40〜99/1であり、好適には70/30〜98/2である。99/1を超える場合、カルボン酸変性ポリオレフィン(C)を添加しなくても比較的良好な成形性を示すが、ガスバリアー性が悪くなり、好ましくない。一方、60/40未満の場合EVOH(B)のマトリックス中にエチレンを主成分とする共重合体(A)やカルボン酸変性ポリオレフィン(C)からなる粒子が分散する形態となり易く、層間接着性が悪くなる。
【0047】
また、樹脂組成物−1で用いられるエチレンを主成分とする共重合体(A)は、シングルサイト触媒を用いて製造された、密度が0.90〜0.94g/cm3であるエチレンを主成分とする共重合体である。
エチレンを主成分とする共重合体(A)としては、α−オレフィンの炭素数が3〜8であるエチレン−α−オレフィン共重合体であることが好ましく、エチレンを80〜99重量%、好ましくは85〜98重量%、より好ましくは90〜97重量%と炭素数が3〜8の1種または2種以上のα−オレフィンを1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%とを原料とし、シングルサイト触媒の存在下に製造されたものが好ましい。
【0048】
樹脂組成物−1で用いられるエチレンを主成分とする共重合体(A)の密度は、0.90〜0.94g/cm3であり、好ましくは0.905〜0.935g/cm3、より好ましくは0.91〜0.935g/cm3である。密度が0.94g/cm3以上の場合は、層間接着性が低下するとともに透明性も低下する。一方密度が0.90g/cm3以下の場合には弾性率が極めて小さくなり、通常の容器等に用いるには剛性が不十分になるので望ましくない。
【0049】
樹脂組成物−1で用いられるカルボン酸変性ポリオレフィン(C)とは、分子中にカルボキシル基を有するポリオレフィンのことをいい、ポリオレフィンを不飽和ジカルボン酸無水物を用いてグラフト変性したものや、オレフィン単量体と不飽和カルボン酸とを共重合させたものが例示される。かかるカルボン酸変性ポリオレフィンをエチレンを主成分とする共重合体(A)及びEVOH(B)に加えることによって、相溶性の良好な、接着強度、透明性に優れた組成物を得ることができる。
【0050】
カルボン酸変性ポリオレフィン(C)のオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、スチレンなどがあげられ、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等の単量体が共重合されていてもよい。これらのうちカルボン酸変性ポリエチレンが、組成物の透明性、相溶性などに優れた本発明の目的物を得る上で好ましい。
【0051】
グラフト変性するのに用いる不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などがあげられ、このうち無水マレイン酸が好適である。また、オレフィン単量体と共重合させる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸などがあげられる。
【0052】
かかるカルボン酸変性ポリオレフィン(C)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜100g/10分であり、さらに好適には0.5〜50g/10分である。
【0053】
次に、樹脂組成物−1におけるカルボン酸変性ポリオレフィン(C)と、EVOH(B)とエチレンを主成分とする共重合体(A)の合計との重量比率(C)/{(A)+(B)}は0.1/99.9〜20/80であり、好適には0.5/99.5〜18/82、より好適には1/99〜15/85である。0.1/99.9未満の場合、本発明の目的とする性能が得られないことがある。一方、20/80を越えるとブツ、ゲル発生など熱安定性の面で好ましくない。
【0054】
樹脂組成物−1におけるエチレンを主成分とする共重合体(A)のメルトフローレートMaとエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)のメルトフローレートMbの比は下記式(4)を満たすことが望ましい。これにより、良好な分散性が得られ、溶融安定性、耐層間剥離性および透明性が良好なものとなる。
0.05≦Ma/Mb≦5 ・・・(4)
【0055】
エチレンを主成分とする共重合体(A)、EVOH(B)及びカルボン酸変性ポリオレフィン(C)をブレンドする方法に関しては、特に限定されるものではなく、該熱可塑性樹脂をドライブレンドしてそのまま使用する、あるいは、より好適にはバンバリーミキサー、単軸又は二軸スクリュー押出し機などでペレット化、乾燥する方法等がある。ブレンドが不均一であったり、またブレンドペレット化操作時にゲル、ブツの発生、混入があるとクラックが発生する可能性が大きいため、ブレンドペレット化操作時混練度の高い押出機を使用し、ホッパー口を窒素シールし、低温で押出しする事が望ましい。
【0056】
しかし、より性能を発揮させるためにはエチレンを主成分とする共重合体(A)および/またはEVOH(B)にカルボン酸変性ポリオレフィン(C)をあらかじめ溶融混合し、これをエチレンを主成分とする共重合体(A)および/またはEVOH(B)に配合して、溶融混合し、成形することが好ましい。このような方法で成形することにより、成形物の外観が一層改善され、さらにスクラップの回収性も著しく改善される。
【0057】
成形性改善の理由は定かではないが、エチレンを主成分とする共重合体(A)および/またはEVOH(B)とカルボン酸変性ポリオレフィン(C)とをあらかじめ混練した場合、両樹脂が分子オーダーで混合し、両者の特性を兼備えた組成物が作り出され、EVOH(B)とエチレンを主成分とする共重合体(A)との相溶性が増し、その結果、3者が均一に分散し品質、成形性を改善するものと予想される。
【0058】
また、こうして得られた樹脂組成物−1中の各樹脂成分の分散状況は、エチレンを主成分とする共重合体(A)のマトリックス中にEVOH(B)およびカルボン酸変性ポリオレフィン(C)からなる樹脂粒子が分散していることが好ましい。かかる分散状況を有することで、層間接着性がよく、透明性の良好な樹脂組成物が得られる。
【0059】
樹脂組成物−1におけるエチレンを主成分とする共重合体(A)のマトリックス中に分散しているEVOH(B)および/またはカルボン酸変性ポリオレフィン(C)からなる樹脂粒子の平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以下であり、最適には3μm以下である。上記平均粒径が5μmを超える場合には、層間接着性、透明性が低下し、本願発明の効果が低下する。なお、ここでいう平均粒径とは、任意の破断面を観察したときの粒子の直径の算術平均値のことをいう。
【0060】
本発明の樹脂組成物には、ハイドロタルサイト系化合物(D)をエチレンを主成分とする共重合体(A)とEVOH(B)の合計重量に対し、0.0001〜2%、好適には、0.0001〜1%配合することが好ましい。これにより、樹脂組成物からなる層において経時的に発生するゲルやフィッシュアイを防止することができ、長時間の運転安定性をさらに改善することができる。
【0061】
ここで、ハイドロタルサイト系化合物としては特にMxAly(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O(MはMg、CaまたはZn、AはCO3またはHPO4、x、y、z、aは正数)で示される複塩であるハイドロタルサイト系化合物を挙げることができ、このようなもので、特に好適なものとして次のようなものが例示される。
【0062】
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2
Mg8Al2(OH)20CO3・5H2
Mg5Al2(OH)14CO3・4H2
Mg10Al2(OH)22(CO32・4H2
Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2
Ca6Al2(OH)16CO3・4H2
Zn6Al6(OH)16CO3・4H2
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2
【0063】
また、ハイドロタルサイト系化合物として、特開平1−308439号(USP4954557)に記載されているハイドロタルサイト系固溶体である、[Mg0.75Zn0.250.67Al0.33(OH)2(CO30.167・0.45H2Oのようなものも用いることができる。
【0064】
また、本発明の樹脂組成物には、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(E)をエチレンを主成分とする共重合体(A)とEVOH(B)の合計重量に対し、0.0001〜2%、好適には、0.001〜1%配合することにより、経時的に発生するゲルやフィッシュアイを防止することができ、長時間の運転安定性をさらに改善することができる。
ここで、高級脂肪族カルボン酸の金属塩とは炭素数8〜22の高級脂肪酸の金属塩であり、炭素数8〜22の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などがあげられ、また金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウムなどがあげられる。このうちマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属が好適である。
【0065】
本発明の樹脂組成物では、上記(D)および(E)を併用することがより好適な態様である。
エチレンを主成分とする共重合体(A)とEVOH(B)とカルボン酸変性ポリオレフィン(C)に加えて上記(D)または(E)をブレンドし成形性の改善を行なう場合、(D)または(E)をそのまま上記組成物に配合するよりも、これらの添加剤をシングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体に代表されるポリオレフィン系樹脂で2〜100倍に希釈した後に配合する方が分散性が改善されるためか、より効果的である。
【0066】
さらに本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を増進させるために、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤の一種、または、二種以上をエチレンを主成分とする共重合体(A)およびEVOH(B)の合計重量に対し0.01〜1重量%添加することもできる。またその他の添加剤(可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー)を配合することもできる。添加剤の具体的な例としては次のようなものが挙げられる。
【0067】
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
【0068】
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
【0069】
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。
滑剤:エチレンビスステアロイルアミド、ブチルステアレート等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、ケイ酸カルシウム等。
【0070】
また、他の多くの高分子化合物を本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
【0071】
本発明の樹脂組成物−1を含む層と、エチレン含有量20〜60モル%、ビニルエステル成分のケン化度95%以上のEVOHを含む層とを積層、とくに共押出しにより積層することによりガスバリアー性の優れた、外観の良好な多層構造体を得ることができる。
この多層構造体に用いるEVOHのエチレン含有量は20〜60モル%であることが重要で、好ましくは25〜55モル%、さらに好適には30〜50モル%である。エチレン含有量が20モル%未満では溶融成形性が悪く、また60モル%以上ではガスバリアー性が不足する。またケン化度は95%以上であることが重要で、好ましくは99%以上である。ケン化度が95%以下であるとガスバリアー性が不足する。
本発明の樹脂組成物−1からなる層を有する多層構造体には、その内層、外層または内外層にEVOH層を保護する層、好適には熱可塑性樹脂層を積層することもできる。
【0072】
ガスバリアー性を担うEVOH層の厚みは特に限定されないが、好適には5〜100μ、より好適には10〜50μの範囲から選ばれる。また樹脂組成物層−1からなるの厚みは好適には10〜2000μ、より好適には20〜1000μの範囲から選ばれる。内外層に使用する熱可塑性樹脂は、多層構造体に耐湿性、耐熱性、ヒートシール性、機械的特性を付与するために使用され、さらにEVOH層への水分などの侵入によるガスバリアー性の劣化を防止するためにも使用される。
【0073】
熱可塑性樹脂としてはとくに制限されるものではないが、前記エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸系共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられ、中でもエチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好適に用いられる。最も好適にはシングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体である。これらの樹脂層には前述したような酸化防止剤、着色剤、充填剤などの添加物を添加してもよい。
【0074】
本発明の多層構造体を得る際、必要に応じて、層間接着性樹脂(以下ADと略すことがある)を用いることもできる。ここで接着性樹脂としては、各層間を強固に接着するものであれば、特に限定されるものではないが、不飽和カルボン酸又はその無水物(無水マレイン酸など)をポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系重合体、あるいはエチレンとこれを共重合しうるモノマー(酢酸ビニル、アクリル酸エステルなど)との共重合体{たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合体}にグラフトしたものが、好適に用いられる。なかでも組成物中に含まれるカルボン酸変性ポリオレフィン(C)と同じものを用いることが好ましい。
【0075】
多層構造体を得る方法としては、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出成形法、溶液コート法などがあげられ、特に限定されるものではないが、製造が容易である点、経済的である点などから共押出成形法が好適である。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレ成形法、共押出ブロー成形法などを挙げることができる。
このようにして得られた多層構造体のシート、フィルム、パリソンなどをEVOHの融点以下の範囲で再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、あるいはインフレ延伸法、ブロー成形法などにより一軸、あるいは二軸延伸することによって延伸された成形品を得ることもできる。
【0076】
またこの場合、エチレンを主成分とする共重合体(A)および/またはEVOH(B)にカルボン酸変性ポリオレフィン(C)をあらかじめ溶融混合し、これをエチレンを主成分とする共重合体(A)および/またはEVOH(B)に配合した、(A)、(B)および(C)からなる樹脂組成物−1とEVOHとを共押出溶融成形することが、多層構造物の外観が改善され、さらにスクラップの回収性も著しく改善されるため、好適である。
【0077】
さらに、該多層構造体に放射線、電子線などを照射し、EVOH層、熱可塑性樹脂層を架橋すること、あるいは、押出成形時、化学架橋剤を添加し化学架橋してもよい。
【0078】
多層構造体の厚み比率に関しても、特に限定されるものではないが、成形性およびコスト等を考慮した場合、全厚みに対するEVOH層の厚み比率は0.5〜20%程度が好適であり、とくに1〜10%が好ましい。また、多層構造体の構成としては特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂として代表的なポリオレフィン(PO)を用いたときの積層構成例としては、EVOH/AD/樹脂組成物−1、EVOH/AD/樹脂組成物−1/PO、EVOH/AD/樹脂組成物−1/AD/PO、PO/AD/EVOH/AD/樹脂組成物−1/PO、樹脂組成物−1/AD/EVOH/AD/樹脂組成物−1/PO、樹脂組成物−1/AD/EVOH/AD/PO等が代表的なものとしてあげられる。ここでADは接着剤層である。複数のPO層を設ける場合は、該樹脂が異なっていてもよいし、また、同じものでもよい。
【0079】
この様な多層構造体において、本発明の樹脂組成物−1の原料としては多層構造体のスクラップを用いることができる。また、他のポリオレフィン成形体のスクラップを混合して使用することも出来る。
上記の層構成の多層構造体は、ガスバリアー性に優れたEVOHを含有しているので、特にガスバリアー性、透明性の要求される食品包装材、医療品(医薬品、医療用具等)包装材、工業材料として有用である。
【0080】
このようにポリオレフィン層およびEVOH層を有する多層構造体やそれからなる容器等のスクラップの回収、再利用を可能をならしめた本発明の樹脂組成物の工業的意義は極めて大きい。
【0081】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これにより何ら限定されるものではない。
本発明における各種試験方法は以下の方法にしたがって行った。
【0082】
・多層シートの外観評価
運転開始30分および6時間後に得られたシートの外観を目視で観察した。発生しているゲルやフィッシュアイ、スジ等に着目して、総合的に判断して、以下の4段階に分類した。
A(外観上全く問題がない)、B(わずかにゲル、フィッシュアイまたはスジが認められる)、C(明らかにゲル、フィッシュアイまたはスジが認められる)、D(ゲル、フィッシュアイまたはスジの発生が顕著である)
・多層シート中の分散粒径
シートの一部を切り取り、液体窒素に浸漬してから、押出方向に垂直な面で破断した。破断面を走査型電子顕微鏡で観察し、その粒径を測定し、得られた数値の算術平均値を分散粒径とした。
・多層シートのヘイズ
シートの一部を切り取りシリコンオイルを塗布して、村上色彩技術研究所製HR−100を用い、ASTM D1003−61に従ってヘイズ値を測定した。
【0083】
・熱成形容器の落下試験
成形されたカップに200ccの水を入れ、同じカップを逆向きに伏せて加熱溶着させた。この容器をコンクリート上に落下させ、容器の破壊(容器内部の水が漏れる)する高さをもとめた。破壊高さは、n=30の試験結果を用いて、JIS試験法(K7211の「8.計算」の部分)に示される計算方法を用いて、50%破壊高さとして求めた。
・熱成形容器の剥離強度
成形されたカップのフランジ部分を15mm巾に切り取って、剥離スピード250mm/分にて、T型剥離試験を行った。
【0084】
実施例1
シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体(A)としてダウケミカル製「アフィニティーFM1570」{1−オクテン7.5重量%共重合品、密度0.915g/cm3、MFR=1.0g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=3.6}を80重量部、EVOH(B)としてリン化合物(リン酸二水素カリウム)をリン元素換算で100ppm、ナトリウム塩(酢酸ナトリウム)をナトリウム元素換算で65ppm含むエチレン含有量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOHを20重量部、カルボン酸変性ポリオレフィン(C)として三井石油化学製「アドマーNF500」{無水マレイン酸グラフト変性低密度ポリエチレン、MFR=3.6g/10分(210℃、2160g荷重)}5重量部をドライブレンドした後、直径40mm、L/D=24、圧縮比3.8のマドック型混練部を有するスクリューで溶融押出し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0085】
この樹脂組成物、及び上述のエチレン−α−オレフィン共重合体(A)、EVOH(B)、カルボン酸変性ポリオレフィン(C)を別々の押出機に仕込み(A)/(C)/(B)/(C)/樹脂組成物/(A)(膜厚み:200μ/25μ/100μ/25μ/450μ/200μ)の構成を有する全層厚み1000μの多層シートを4種6層の共押出シート成形装置により得た。押出成形はエチレン−α−オレフィン共重合体(A)が直径65mm、L/D=22の一軸スクリューを備えた押出機を200〜240℃の温度とし、EVOH(B)は直径40mm、L/D=26の一軸スクリューを備えた押出機を170〜210℃の温度とし、カルボン酸変性ポリオレフィン(C)は直径40mm、L/D=26の一軸スクリューを備えた押出機を160〜220℃の温度とし、樹脂組成物は直径40mm、L/D=22の一軸スクリューを備えた押出機を160〜210℃の温度として、フィードブロック型ダイ(巾600mm)を240℃で運転した。
【0086】
運転開始30分後および6時間後に得られたシートの外観を判断した。また、運転開始30分後のシートについてヘイズを測定したところ35%であった。
このシートの断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のマトリックス中に平均粒径1.5μmでEVOH(B)およびカルボン酸変性ポリオレフィン(C)の粒子が分散していた。
【0087】
こうして得られたシートを熱成形機(浅野製作所製)にてシート温度170℃で、カップ形状(金型形状70φ×70mm、絞り比S=1.0)に熱成形(圧空:5kg/cm2、プラグ:45φ×65mm、シンタックスフォーム、プラグ温度:150℃、金型温度:70℃を使用)を行った。成形されたカップの落下破壊試験を実施した結果、1.7m高さまでは破壊せず、また、カップのフランジ部分の剥離強度は2.0kg/15mm巾と実用レベルを満たしていた。以上の評価結果を表1および表2に示す。
【0088】
実施例2
実施例1で用いたのといずれも同じエチレン−α−オレフィン共重合体(A)、EVOH(B)、カルボン酸変性ポリオレフィン(C)を別々の押出機に仕込み(A)/(C)/(B)/(C)/(A)(膜厚み:400μ/25μ/200μ/25μ/400μ)の3種5層の多層シートを得た。この粉砕スクラップを実施例1の組成物のペレットの代わりに用いたほかは実施例1と同様にして、押出シート、カップを得て、同様に評価した。結果を表1および2に示す。
【0089】
実施例3、4、10、16、比較例1、3、4
実施例1において、樹脂組成物ペレットを得るために用いられたエチレン−α−オレフィン共重合体(A)のかわりに、以下に示す樹脂を用いた他は実施例1と同様にして樹脂組成物ペレットを得た。得られた樹脂組成物ペレットを樹脂組成物層として用い、それ以外の層は実施例1と同じ樹脂、同じ構成で、押出シート、カップを得て、評価した。結果を表1および2に示す。これらのうち、ダウケミカル社製「アフィニティー」はシングルサイト触媒を用いて重合されたものであり、その他のものは従来のチーグラー系の触媒を用いて重合されたものである。
なお、実施例16および比較例4で得られたカップは、剛性が低く、カップとして形態保持性が不充分であった。
・実施例3;ダウケミカル製「アフィニティーPL1845」{1−オクテン9.5重量%共重合品、密度0.910g/cm3、MFR=3.5g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=3.3}
・実施例4;ダウケミカル製「アフィニティーHF1030」{1−オクテン2.0重量%共重合品、密度0.935g/cm3、MFR=2.5g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=3.8}
・実施例10;ダウケミカル製「アフィニティーSM1350」{1−オクテン9.5重量%共重合品、密度0.913g/cm3、MFR=30g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=3.7}
・実施例16;ダウケミカル製「アフィニティーPF1140」{1−オクテン15重量%共重合品、密度0.895g/cm3、MFR=1.6g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=3.6}
・比較例1;三菱化学製LLDPE「UF420」{1−ヘキセン4.95重量%共重合品、密度0.925g/cm3、MFR=0.8g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=7.5}
・比較例3;東ソー製HDPE「ニポロンハード5730」{密度0.953g/cm3、MFR=1.0g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=6.8}
・比較例4;住友化学製エチレン−α−オレフィン共重合体「エスプレンN0372」{1−ブテン13重量%共重合品、密度0.89g/cm3、MFR=3.0g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=4.6}
【0090】
実施例5、6、7、8、11
実施例1で用いられたEVOH(B)のかわりに、以下に示す樹脂を用いた他は実施例1と同様にして、押出シート、カップを得て、同様に評価した。結果を表1および2に示す。
・実施例5;リン化合物(リン酸二水素カリウム)をリン元素換算で100ppm、ナトリウム塩(酢酸ナトリウム)をナトリウム元素換算で65ppm含むエチレン含有量27モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.9g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH
・実施例6;リン化合物(リン酸二水素カリウム)をリン元素換算で100ppm、ナトリウム塩(酢酸ナトリウム)をナトリウム元素換算で65ppm含むエチレン含有量44モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.5g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH
・実施例7;リン化合物をリン元素換算で0ppm、ナトリウム塩(酢酸ナトリウム)をナトリウム元素換算で65ppm含むエチレン含有量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH
・実施例8;リン化合物(リン酸二水素カリウム)をリン元素換算で100ppm、ナトリウム塩(酢酸ナトリウム)をナトリウム元素換算で3ppm含むエチレン含有量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH
・実施例11;リン化合物(リン酸二水素カリウム)をリン元素換算で100ppm、ナトリウム塩(酢酸ナトリウム)をナトリウム元素換算で65ppm含むエチレン含有量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=33g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH
【0091】
比較例2
実施例2において、樹脂組成物ペレットを得るために用いられたシングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体(A)のかわりに、三菱化学製LLDPE「UF420」{1−ヘキセン4.95重量%共重合品、密度0.925g/cm3、MFR=0.8g/10分(210℃、2160g荷重)、Mw/Mn=7.5}を用いたほかは実施例2と同様にして樹脂組成物ペレットを得た。得られた樹脂組成物ペレットを樹脂組成物層として用い、それ以外の層は実施例2と同じ樹脂、同じ構成で、押出シート、カップを得て、評価した。
【0092】
実施例9
実施例1でカルボン酸変性ポリオレフィン(C)として用いられた三井石油化学製「アドマーNF500」{無水マレイン酸グラフト変性低密度ポリエチレン、MFR=7.8g/10分(210℃、2160g荷重)}のかわりに三井石油化学製「アドマーQF500」{無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、MFR=3.0g/10分(230℃、2160g荷重)}を用いたほかは実施例1と同様にして、押出シート、カップを得て、同様に評価した。結果を表1および2に示す。
【0093】
実施例17、18、19
実施例1で配合された(A)、(B)、(C)各成分の配合重量割合{(A):(B):(C)=80:20:5}を以下のように変えたほかは実施例1と同様にして、押出シート、カップを得て、同様に評価した。結果を表1および2に示す。
・実施例17;(A):(B):(C)=80:20:0
・実施例18;(A):(B):(C)=50:50:5
・実施例19;(A):(B):(C)=80:20:30
【0094】
比較例5、6、7
比較例1で配合された(A)、(B)、(C)各成分の配合重量割合{(A):(B):(C)=80:20:5}を以下のように変えたほかは比較例1と同様にして、押出シート、カップを得て、同様に評価した。結果を表1および2に示す。
・比較例5;(A):(B):(C)=80:20:0
・比較例6;(A):(B):(C)=50:50:5
・比較例7;(A):(B):(C)=80:20:30
【0095】
実施例12、14、15
実施例1で(A)、(B)、(C)3成分をドライブレンドする際に以下の化合物を添加したほかは実施例1と同様にして、押出シート、カップを得て、同様に評価した。結果を表1および2に示す。
・実施例12;ハイドロタルサイト{Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O}0.1重量部
・実施例14;ステアリン酸マグネシウム0.1重量部
・実施例15;ハイドロタルサイト{Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O}0.1重量部およびステアリン酸マグネシウム0.1重量部
【0096】
実施例13
実施例1で用いられたシングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体(A)のかわりに、実施例1で用いたエチレン−α−オレフィン共重合体(A)80重量部に対し0.1重量部のハイドロタルサイト{Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O}をドライブレンドした後、直径40mm、L/D=24、圧縮比3.8のマドック型混練部を有するスクリューで溶融押出して得たマスターチップを用いたほかは実施例1と同様にして、押出シート、カップを得て、同様に評価した。結果を表1および2に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0003686240
【0098】
【表2】
Figure 0003686240
【0099】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、溶融成形性が良好で、またこの樹脂組成物層とEVOH層とからなる多層構造体は、外観が美麗であるのみならず、透明性、耐衝撃性、耐層間剥離性に優れている。

Claims (12)

  1. シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレンを主成分とする共重合体(A)およびエチレン含量が20〜60モル%でケン化度が95%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなり、下記式(1)を満足する樹脂組成物。
    1/99≦{(A)の重量}/{(B)の重量}≦99/1 ・・・(1)
  2. エチレンを主成分とする共重合体(A)が、α−オレフィンの炭素数が3〜8であるエチレン−α−オレフィン共重合体である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. エチレンを主成分とする共重合体(A)の分子量分布の比Mw/Mnが4以下である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)がリン元素換算で2〜200ppmのリン化合物を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. エチレンを主成分とする共重合体(A)の密度が0.90〜0.94g/cm3であり、カルボン酸変性ポリオレフィン(C)を含み、かつ下記式(2)および(3)を満足する請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
    60/40≦{(A)の重量}/{(B)の重量}≦99/1 ・・・(2)
    0.1/99.9≦X≦20/80 ・・・(3)
    但し、X={(C)の重量}/{(A)と(B)の合計重量}
  6. エチレンを主成分とする共重合体(A)のマトリックス中にエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)およびカルボン酸変性ポリオレフィン(C)からなる平均粒径が5μm以下の樹脂粒子が分散している請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. エチレンを主成分とする共重合体(A)のメルトフローレートMaとエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)のメルトフローレートMbの比が下記式(4)を満たす請求項5または6に記載の樹脂組成物。
    0.05≦Ma/Mb≦5 ・・・(4)
  8. 請求項5ないし7のいずれかに記載の樹脂組成物に、さらにハイドロタルサイト系化合物(D)を有し、かつ(D)の重量は(A)と(B)の合計重量に対し0.0001〜2%である樹脂組成物。
  9. 請求項5ないし8のいずれかに記載の樹脂組成物に、さらに高級脂肪族カルボン酸の金属塩(E)を有し、かつ(E)の重量は(A)と(B)の合計重量に対し0.0001〜2%である樹脂組成物。
  10. 請求項5ないし9のいずれかに記載の樹脂組成物の層とエチレン含量が20〜60モル%でケン化度が95%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体の層の少なくとも2層からなる多層構造体。
  11. シングルサイト触媒を用いて製造された、α−オレフィンの炭素数が3〜8であり、密度が0.90〜0.94g/cm3であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなる層およびカルボン酸変性ポリオレフィンからなる層をそれぞれ少なくとも1層以上有する請求項10に記載の多層構造体。
  12. 共押出成形されてなる請求項10または11に記載の多層構造体。
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