JPH05286096A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

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Publication number
JPH05286096A
JPH05286096A JP4090679A JP9067992A JPH05286096A JP H05286096 A JPH05286096 A JP H05286096A JP 4090679 A JP4090679 A JP 4090679A JP 9067992 A JP9067992 A JP 9067992A JP H05286096 A JPH05286096 A JP H05286096A
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JP
Japan
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linear low
olefin copolymer
ethylene
density
density ethylene
Prior art date
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Pending
Application number
JP4090679A
Other languages
English (en)
Inventor
Michio Takano
野 道 雄 高
Satoshi Akiyama
山 聡 秋
Kazuo Yagi
木 和 雄 八
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP4090679A priority Critical patent/JPH05286096A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、ヒートシール強度、ホットタック
性、押出コーティング加工適性が良好で、経済性にも優
れる新規な直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重
合体からなる層を有する積層フィルムを提供することを
目的としている。 【構成】 本発明に係る積層フィルムは、(a) エチレン
と、炭素数4〜18のα-オレフィンとの共重合体であ
り、(b) 密度が0.900〜0.940g/cm3 であり、
(c) 190℃において240KPaのずり応力下での剪
断速度(γ240KPa)と、メルトフローレートMFR(g/
10分)とが、式[I] log γ240KPa≧ 0.982log MFR+2.272 …[I] で示される関係を満たし、かつ(d) 190℃における溶
融張力(メルトテンション)MT190 と、メルトフロー
レートMFR(g/10分)とが、式[II] logMT190 ≧−log MFR+0.477 …[II] で示される関係を満たす直鎖状低密度エチレン・α-オ
レフィン共重合体からなる層を、少なくとも一層有して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、積層フィルムに関し、特
に新規な直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合
体からなる層を有する積層フィルムに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】エチレンと、炭素数4〜18のα
-オレフィンとの共重合体は、直鎖状の分子構造をと
り、0.940g/cm3 以下の密度を有しており、直鎖
状低密度ポリエチレン(LLDPE)として知られてい
る。このような直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン
共重合体は、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)と
比較してヒートシール強度、ホットタック性、破袋強度
に優れており、包袋材料、特にフィルム、ラミネーショ
ンなどの分野で広く用いられている。また高密度ポリエ
チレン(HDPE)と比較して透明性、耐衝撃性、耐ク
リープ性に優れている。
【0003】しかしながらラミネーション材料としての
直鎖状低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレ
ンと比較して溶融時における流動性に劣り、成形加工性
に劣るという問題点があった。
【0004】また溶融伸長変形時の抵抗力すなわち溶融
張力(メルトテンション)が高圧法低密度ポリエチレン
と比較して極めて小さく、このためラミネーション成形
時に溶融膜の安定性を欠き、ラミネーション成形時にラ
ミネート基材上に薄く均一に延展することができないな
どの問題点があった。
【0005】このような問題点を解決するため、直鎖状
低密度エチレン・α-オレフィン共重合体に10〜50
重量%の高圧法低密度ポリエチレンを配合したりしてい
るが、直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体
に高圧法低密度ポリエチレンを配合すると、流動性ある
いはメルトテンションは多少改善されるが、直鎖状低密
度エチレン・α-オレフィン共重合体が本来有する優れ
た物性を損うばかりでなく、配合コスト増も無視しえな
いという新たな問題点が生じている。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、ヒートシール
強度、ホットタック性、押出コーティング加工適性が良
好で、経済性にも優れる新規な直鎖状低密度エチレン・
α-オレフィン共重合体からなる層を有する積層フィル
ムを提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る積層フィルムは、(a) エチ
レンと、炭素数4〜18のα-オレフィンとの共重合体
であり、(b) 密度が0.900〜0.940g/cm3 であ
り、(c) 190℃において240KPaのずり応力下で
の剪断速度(γ240KPa)と、メルトフローレートMFR
(g/10分)とが、式[I] log γ240KPa≧ 0.982log MFR+2.272 …[I] で示される関係を満たし、かつ(d) 190℃における溶
融張力(メルトテンション)MT190 と、メルトフロー
レートMFR(g/10分)とが、式[II] logMT190 ≧−log MFR+0.477 …[II] で示される関係を満たす直鎖状低密度エチレン・α-オ
レフィン共重合体からなる層を、少なくとも一層有する
ことを特徴としている。
【0008】本発明によれば、ヒートシール強度、ホッ
トタック性、押出コーティング加工適性に優れる直鎖状
低密度エチレン・α-オレフィン共重合体からなる層を
有する積層フィルムが提供される。
【0009】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る積層フィルム
について具体的に説明する。まず本発明で用いられる直
鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体について
説明する。
【0010】このような直鎖状低密度エチレン・α-オ
レフィン共重合体は、下記のような特性(a) 〜(d)を有
している。 (a) エチレンと、炭素数4〜18、好ましくは炭素数4
〜8のα-オレフィンとの共重合体であること。
【0011】炭素数4〜18のα-オレフィンとして
は、ブテン-1、4-メチル-ペンテン-1、ペンテン-1、ヘ
キセン-1、オクテン-1などが用いられる。これらのα-
オレフィンは単独であるいは組合せて用いられる。
【0012】この直鎖状低密度エチレン・α-オレフィ
ン共重合体では、エチレンから導かれる構成単位は、9
3〜99モル%好ましくは95〜99モル%さらに好ま
しくは96〜98モル%の量で存在し、炭素数4〜18
のα-オレフィンから導かれる構成単位は、1〜7モル
%好ましくは1〜5モル%さらに好ましくは2〜4モル
%の量で存在している。 (b) 密度が0.900〜0.940g/cm3 、好ましくは
0.900〜0.930g/cm3 、さらに好ましくは0.
910〜0.925g/cm3 であること。
【0013】密度の測定は、直鎖状低密度エチレン・α
-オレフィン共重合体パウダーをASTM記号D1928-68ポリ
エチレンの圧縮成形試験片の作成方法に準拠してプレス
シートとし、これを用いて密度勾配法にて測定すること
ができる。 (c) 190℃における240KPaのずり応力下での
剪断速度γ240KPa(sec-1)と、メルトフローレートMF
R(g/10分)とが、式[I] log γ240KPa≧ 0.982log MFR+2.272 …[I] 好ましくは log γ240KPa≧ 0.982log MFR+2.427 …[I´] で示される関係を満たすこと。
【0014】なお190℃における240KPaのずり
応力下での剪断速度γ240KPa(sec-1) は、通常のキャピ
ラリー型レオメータ(たとえば島津製作所製細管型押出
レオメータ)により容易に測定することができる。この
際の操作、算出手順については、J.M.Mckelvey著、“Po
lymer Processing”Wiley,New York(1962)などに記載さ
れている。 (d) 190℃における溶融張力(メルトテンション)M
190 と、メルトフローレートMFR(g/10分)とが、
式[II] log MT190 ≧−log MFR+0.477 …[II] 好ましくは log MT190 ≧−log MFR+0.699 …[II´] で示される関係を満たすこと。
【0015】なお、190℃における溶融張力(メルト
テンション)MT190 は、たとえば東洋精機製メルトテ
ンションテスタを用いて下記のようにして測定すること
ができる。すなわち同装置内で直鎖状低密度エチレン・
α-オレフィン共重合体を、190℃に加熱し、この直
鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体を2mmφ
のノズルから0.75cc/分で23℃の雰囲気下に押出
してストランドとし、このストランドを90cmのエアギ
ャップを介して25〜60m/分の速度で引きとる際の糸
条の張力を測定し、この値をMT190 とする。
【0016】上記のような直鎖状低密度エチレン・α-
オレフィン共重合体は、さらに下記のような特性を有し
ていることが好ましい。 (e) X線回折法による測定において、結晶化度が30〜
60%好ましくは40〜50%であること。 (f) メルトフローレートが0.5〜30g/10分であるこ
と。
【0017】なおこのメルトフローレートは、ASTM D12
38E に準拠して測定した値である。 (g) 融点が100〜125℃好ましくは110〜120
℃であること。 (h) 分子量分布がMw(重量平均分子量)/Mn(数平
均分子量)で表示して3〜12、好ましくは5〜7であ
ること。 (i) 後述するようにして測定されるg値が、0.90以
上好ましくは0.95以上であること。 (j) ゲル分率が1.0%以下好ましくは0.5%以下であ
ること。
【0018】上記のような特性(a) 〜(d)を有する直鎖
状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体は、従来公
知の直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体が
有する良好なヒートシール強度、ホットタック性を備え
ているとともに、従来公知の直鎖状低密度エチレン・α
-オレフィン共重合体と比較して、流動性に優れるとと
もに溶融張力(メルトテンション)が大きく、押出しコ
ーティング特性に優れている。
【0019】本発明で用いられる直鎖状低密度エチレン
・α-オレフィン共重合体が上記のような優れた特性を
有している理由は明らかではないが、下記のように考え
られる。
【0020】従来公知の直鎖状低密度エチレン・α-オ
レフィン共重合体が耐衝撃性に優れているのは、直鎖状
の分子構造と低密度とに起因していると考えられ、従来
公知の直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体
では直鎖状の分子が長く分布し、隣接分子と絡み合うこ
とによって耐衝撃性を発現しているが、その反面分子が
絡み合っているため成形流動性に劣っていると考えられ
る。
【0021】一方高圧法低密度ポリエチレンは、その分
子構造がY型の長鎖分岐構造であり、分子は糸鞠状に存
在し、隣接分子と多点で接するものの、頑強な分子間の
絡み合いを持っていない。このため高圧法低密度ポリエ
チレンは、流動性に優れ溶融時のメルトテンションが大
きいが、耐衝撃強度にはあまり優れていない。
【0022】これに対して本発明で用いられる直鎖状低
密度エチレン・α-オレフィン共重合体は、従来公知の
直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体と同様
に直鎖状の分子構造を有するとともに、高圧法低密度ポ
リエチレンが有するY型長鎖分岐構造以外の新たな構造
を有している。
【0023】このような本発明で用いられる直鎖状低密
度エチレン・α-オレフィン共重合体が、Y型長鎖分岐
構造を有していないことは、下記のようにして確認され
る。ここで長鎖分岐構造とは、主鎖に対して炭素数18
以上の分岐鎖を有していることを意味し、ポリマー主鎖
にメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペ
ンチルなどの炭素数17個以下の短鎖基が結合している
構造を含んでいない。
【0024】ところでエチレン系重合体の長鎖分岐構造
の度合いは、一般的にはg値で評価される。このg値
は、式
【0025】
【数1】
【0026】から求められる。式中、[η]lin は、エ
チレン系重合体が線状であると仮定して、GPCデータ
から計算することができる。すなわちMw(重量平均分
子量)およびMn(数平均分子量)の測定に用いられる
と同じパラメータを用い、マルク・ホウインク(Mark-H
owink)の式およびGPCで得られたWi値から、下記式
により[η]linを求めることができる。
【0027】[η]lin =ΣWiηi ここでηi=KMid であり、Miは標準GPC較正法に
よる溶出時間(elutiontime)に対して確認される。ま
たWiは、分子量iを有するポリマーの単純なフラクシ
ョン重量である。Kは3.95×104 であり、dの数
値は0.7〜9である。
【0028】[η]brは、実際には[η]obs で代用さ
れる。[η]obs は、140℃におけるエチレン系重合
体の0.015重量%トリクロルベンゼン溶液および標
準手法によるウッベローデ粘度計を用いて求めることが
できる。詳細は、J.Appl.Polymer Sci.,21, 3331 〜33
43(1977)に記載されている。
【0029】高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)
は、全炭素原子10,000個当り最高30個までの長
鎖分岐構造を有することが知られており、この高圧法低
密度ポリエチレンのg値は、0.8以下多くは0.6以下
である。これに対して本発明で用いられる直鎖状低密度
エチレン・α-オレフィン共重合体のg値は、0.90以
上、好ましくは0.95以上であり、このような直鎖状
低密度エチレン・α-オレフィン共重合体は、長鎖分岐
構造を有していない。このことは13C−NMRからも確
認される。
【0030】次に本発明で用いられる直鎖状低密度エチ
レン・α-オレフィン共重合体の製造法について説明す
る。このような直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン
共重合体は、遷移金属触媒を用いてエチレンとα-オレ
フィンとを、所望密度となるように共重合させることに
よって製造することができる。
【0031】該遷移金属触媒としては、チタン化合物あ
るいはバナジウム化合物を含有する遷移金属触媒成分と
有機アルミニウム化合物成分の組合せ系、クロム化合物
担持型の高活性触媒成分などを挙げることができる。と
くにマグネシウム化合物により活性化されたチタン触媒
成分(A)と有機アルミニウム化合物触媒成分(B)の
組合せからなる触媒系が好適に使用できる。
【0032】マグネシウム化合物により活性化されたチ
タン触媒成分(A)としては、例えばマグネシウム、チ
タンおよびハロゲンを必須成分として含有する固体状チ
タン触媒成分あるいは炭化水素溶媒中にマグネシウム化
合物、可溶化剤およびチタン化合物を溶解した溶液状の
チタン触媒成分などの如き高活性チタン触媒成分を挙げ
ることができる。チタン触媒成分(A)中のチタンは、
通常4価および/または3価である。固体状の触媒成分
(A)は、通常好ましくはチタン含有量が約0.2〜約
18重量%、一層好ましくは約0.3〜約15重量%で
あり、また、ハロゲン/チタン(モル比)が好ましくは
約4〜約300、一層好ましくは約5〜約200であ
る。さらに、その比表面積は好ましくは約10cm2/g
以上、一層好ましくは約20〜約1000cm2/g、一
層好ましくは約40〜約900cm2/gである。
【0033】このような固体状の高活性チタン触媒成分
(A)に関しては、広く知られており、基本的には、マ
グネシウム化合物とチタン化合物を反応させて比表面積
の大きい反応物を得るか、または比表面積の大きいマグ
ネシウム化合物にチタン化合物を反応させる方法が多用
される。たとえば、マグネシウム化合物とチタン化合物
との共粉砕法、比表面積が充分に大きくされたマグネシ
ウム化合物とチタン化合物との熱反応、含酸素マグネシ
ウム化合物とチタン化合物との熱反応、電子供与体で処
理されたマグネシウム化合物を予め有機アルミニウム化
合物やハロゲン含有ケイ素化合物で処理し、あるいは処
理せずに、チタン化合物と反応させる方法などを代表例
として挙げることができる。
【0034】固体状の高活性チタン触媒成分(A)の製
造に使用されるマグネシウム化合物としては、種々のも
のがある。例えば塩化マグネシウム、臭化マグネシウ
ム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウム、水酸化マグ
ネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムヒドロキシ
ハライド、アルコキシマグネシウム、アルコキシマグネ
シウムハライド、アリロキシマグネシウム、アリロキシ
マグネシウムハライド、アルキルマグネシウムハライ
ド、あるいはこれらの混合物などを例示することができ
る。これらは如何なる製法で作られたものであってもよ
い。マグネシウム化合物はまた他の金属や電子供与体な
どが含有されていてもよい。
【0035】固体状の高活性チタン触媒成分(A)の製
法に使用されるチタン化合物としては、 Ti(OR)4-mm (Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦m≦4)で示さ
れる4価のチタン化合物が例示できる。このようなチタ
ン化合物の例としては、TiCl4、TiBr4、Ti(OC
25)Cl3 、Ti(OC252Cl2Ti(OC653
Cl 、Ti(OC254などを挙げることができる。
【0036】さらに、四ハロゲン化チタンを、アルミニ
ウム、チタン、水素、有機アルミニウム化合物などの還
元剤で還元して得られる各種三ハロゲン化チタン、例え
ば三塩化チタンを例示できる。これらチタン化合物は2
種以上複数種併用して利用することができる。
【0037】このような高活性チタン触媒成分(A)を
得る代表的な方法は、例えば特公昭46-34092号公報、特
公昭46-34094号公報、特公昭46-34098号公報、特公昭47
-41676号公報、特公昭47-46269号公報、特公昭50-32270
号公報、特公昭53-1796号公報、などに記載されてい
る。
【0038】チタン化合物あるいはバナジウム化合物を
含有する前記高活性触媒成分と共に用いることのできる
有機アルミニウム化合物触媒成分(B)としては、少な
くとも分子内に1個のAl−Cを有する化合物が利用で
き、例えば、 (i)一般式R1 mAl(OR2npq (ここでR1およびR2は炭素原子通常1〜15個、好ま
しくは1〜4個を含む炭化水素基で互いに同一でも異な
ってもよい。Xはハロゲン、mは0<m≦3、nは0≦
n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であっ
て、しかもm+n+p+q=3である)で表わされる有
機アルミニウム化合物、 (ii)一般式M1AlR1 4 (ここでM1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同じ)
で表わされる第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル
化物などを挙げることができる。
【0039】前記の(i)に属する有機アルミニウム化
合物としては、次のものを例示できる。 一般式R1 mAl(OR2 mAl(OR23-m (ここでR1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは
1.5≦m≦3の数である)、 一般式R1 mAlX3-m (ここでR1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好まし
くは0<m<3である)、 一般式R1 mAlH3-m (ここでR1は前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3
の数である)、 一般式R1 mAl(OR2nq (ここでR1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0
<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3
である)で表わされるものなどを例示できる。(i)に
属するアルミニウム化合物としては、より具体的には、
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなど
のトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミ
ニウムなどのトリアルケニルアルミニウム、ジエチルア
ルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシ
ドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチル
アルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセ
スキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアル
コキシドのほかに、R1 2.5Al(OR20.5などで表わ
される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたア
ルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、
ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウム
ブロミドなどのジアルキルアルミニウムハロゲニド、エ
チルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウム
セスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドな
どのアルキルアルミニウムセスキハロゲニド、エチルア
ルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリ
ド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアル
ミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化された
アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリ
ド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルア
ルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、
プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミ
ニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキル
アルミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、
ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニ
ウムエトキシプロミドなどの部分的にアルコキシ化およ
びハロゲン化されたアルキルアルミニウムが挙げられ
る。
【0040】また(i)に類似する化合物として、酸素
原子や窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合し
た有機アルミニウム化合物が挙げられる。このような化
合物として、例えば
【0041】
【化1】
【0042】などを例示できる。前記(ii)に属する化
合物としては、LiAl(C254、LiAl(C715
4などを例示できる。これらの中では、とくにトリアル
キルアルミニウムおよび/またはアルキルアルミニウム
ハライドを用いるのが好ましい。
【0043】触媒成分として、遷移金属触媒の他に、重
合体の分子量や分子量分布などの調節の目的であるいは
触媒活性を向上させる目的で、各種ハロゲン化合物や電
子供与体などを共存させてもよい。
【0044】エチレンとα-オレフィンとの共重合に際
しては、気相重合、溶解重合、懸濁重合などの反応形態
を採用しうるが、特に気相重合で直鎖状低密度エチレン
・α-オレフィン共重合体粒子を製造することが好まし
い。
【0045】このような直鎖状低密度エチレン・α-オ
レフィン共重合体粒子は、その粒径が最大径で3mm以
下、好ましくは30〜500μm さらに好ましくは60
〜180μm であることが望ましい。なお粒子とは、パ
ウダー、フレーク、顆粒などの形態を含んで意味する。
【0046】本発明では、上記のように製造された直鎖
状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体に、電子線
を照射して用いることが好ましい。このような照射は、
共重合体粒子(パウダー)に、該共重合体のβ分散温度
以上、かつα分散温度以下の温度で、電子線を、その吸
収線量が2〜10Mrad となるように行う。
【0047】ここで直鎖状低密度エチレン・α-オレフ
ィン共重合体粒子のβ分散温度とは、該共重合体中の分
子鎖のうちの結晶部分以外の部分に存在する分子鎖全体
の分子運動性が開始される温度を意味する。従って、こ
の温度以下では該共重合体の結晶部分以外に存在する分
子鎖の大部分はガラス状態となる。
【0048】またα分散温度とは、該共重合体の結晶部
分にある分子鎖の分子運動性が開始される温度を意味す
る。従ってこの温度以上では該共重合体の結晶部分は軟
化した状態となる。すなわち本発明で用いられる直鎖状
低密度エチレン・α-オレフィン共重合体においては、
結晶部分が頑強であり、かつ結晶部分以外の分子運動が
活発な状態で電子線を上述の吸収線量において照射し、
結晶部分以外を改質することが重要である。この理由は
明らかでないが、通常結晶部分は例えば分子鎖の中央部
分などの欠陥のない分子鎖部分で構成されており、また
逆に結晶部分以外は分子末端部分などの欠陥部分を多く
含んで構成されているため、欠陥のない部分をそのまま
にし、欠陥部分を多く含む部分を電子線照射により、改
質するためと考えられる。
【0049】通常、本発明に用いる直鎖状低密度ポリエ
チレン共重合体のα分散温度は、約80℃であり、β分
散温度は、コモノマーの種類と量にもよるが、−60℃
〜+40℃の範囲にある。
【0050】さらに本発明で用いられる直鎖状低密度エ
チレン・α−オレフィン共重合体の分子構造上の特徴と
しては、長鎖分岐構造を持たないことが挙げられるのに
加えて、本発明に用いられる通常の直鎖状低密度ポリエ
チレン共重合体が実質的に持っていないアミル分岐構造
を総炭素数一万個当り、2.0個以上持っていることが
挙げられる。アミル分岐構造が本発明で用いられる直鎖
状低密度ポリエチレン共重合体が発現する物性との関係
は明らかでない。アミル分岐の個数は13C−NMRを用
いることにより、常法で測定することができる。
【0051】本明細書における電子線とは、熱電子を真
空中で加速して得られる電子流のことであり、一般的に
は、市販の電子線照射装置から照射される電子流を意味
する。
【0052】直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共
重合体粒子への電子線照射をα分散温度を超える温度で
行なうと、直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重
合体中にY型長鎖分岐構造が生じたり、ゲル分が発生し
たりすることがあり、一方直鎖状低密度エチレン・α-
オレフィン共重合体粒子への電子線照射をβ分散温度未
満の温度で行なうと、電子線照射の効果が充分に発揮さ
れないことがある。
【0053】なお直鎖状低密度エチレン・α-オレフィ
ン共重合体のβ分散温度およびα分散温度は、たとえば
オリエンテック社製レオバイブロンなどのレオメータを
用いて、密度測定用のプレスシートを利用して公知の方
法によって測定することができる。
【0054】直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共
重合体粒子に対する電子線照射は、空気、窒素ガス、炭
酸ガス中などで行なうことができるが、直鎖状低密度エ
チレン・α-オレフィン共重合体粒子のゲル化を防止す
るには、窒素ガスなどの不活性雰囲気下で行なうことが
好ましい。
【0055】直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共
重合体粒子に対する電子線照射は、その吸収照射量が2
〜10Mrad であるように行なわれるが、電子線照射前
の直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体粒子
のMFRb と、電子線照射後の直鎖状低密度エチレン・
α-オレフィン共重合体粒子のMFRa との比が次式 MFRb /MFRa ≧1.5 好ましくは MFRb /MFRa ≧3.0 を満足するようにして行なわれることが特に好ましい。
【0056】MFRb /MFRa を大きくすることは、
共重合体のメルトテンションを向上させるためには好ま
しいが、照射線量が大きくなると、フィルムインパクト
Yが著しく低下するため、このMFRb /MFRa の上
限は、 MFRb /MFRa ≦15 好ましくは MFRb /MFRa ≦10 である。
【0057】電子線照射が行なわれる直鎖状低密度エチ
レン・α-オレフィン共重合体粒子は、各種安定剤、顔
料などの添加剤を含んでいてもよいが、好ましくはこれ
ら添加剤を含んでいない直鎖状低密度エチレン・α-オ
レフィン共重合体粒子に電子線照射を行ない、次いで直
鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体粒子を添
加剤とともにペレタイズすることが望ましい。
【0058】このとき、電子線照射処理を施された直鎖
状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体パウダー
は、処理後できるだけ早期に熱安定剤とともにペレタイ
ズして、電子線照射により発生したラジカルの残存物を
安定化することが望ましい。このとき用いられる熱安定
剤としては、フェノール系耐熱安定剤、燐系耐熱安定
剤、硫黄系耐熱安定剤、アミン系耐熱安定剤などが挙げ
られるが、本発明の場合、フェノール系熱安定剤が好ま
しく、さらにはフェノール系耐熱安定剤と燐系耐熱安定
剤の併用系が特に好ましい。電子線照射処理を施した直
鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合パウダーを
長時間放置すると、残存活性ラジカルにより架橋が発生
し、ゲル分の生成およびインフレーション、T−ダイ成
膜時にフィッシュアイの生成の原因となる。特に、β分
散温度以下やβ分散温度近傍の雰囲気下で電子線処理さ
れた場合に、注意が必要であり、この理由からも電子線
の照射雰囲気温度はβ分散温度を20℃以上上廻る温度
であることが特に好ましい。
【0059】上記のように、本発明では、直鎖状低密度
エチレン・α-オレフィン共重合体粒子に、そのβ分散
温度以上、かつα分散温度以下の温度で、電子線を吸収
線量が2〜10Mrad の量で照射するが、このようにし
て得られる直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重
合体は、電子線照射前のそれと比較して、結晶化度、結
晶融点、ゲル分率の点でほとんど変化していない。
【0060】また本発明で用いられる直鎖状低密度エチ
レン・α-オレフィン共重合体では、g値が0.90以上
であることからもわかるように、電子線照射によってY
型長鎖分岐構造を生じておらず、耐衝撃性は低下してい
ない。
【0061】さらにまた本発明で用いられる直鎖状低密
度エチレン・α-オレフィン共重合体は、電子線照射に
よってMFRが低下することからもわかるように高分子
量化して分子量分布が広がっており、成形性が向上する
とともにメルトテンションも増加している。これは、本
発明で用いられる直鎖状低密度エチレン・α-オレフィ
ン共重合体では、電子線照射によって新規な短鎖分岐構
造が生じていることを意味していると考えられる。
【0062】以上のように、本発明で、従来公知の直鎖
状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体に、電子線
照射を行なって分子量を増加させても、ゲル分の発生が
なく、しかもY型長鎖分岐構造が発生しておらず、した
がって従来公知の直鎖状低密度エチレン・α-オレフィ
ン共重合体が有する耐衝撃性などを損うことなく成形性
およびメルトテンションを向上させた直鎖状低密度エチ
レン・α-オレフィン共重合体に改質することができ
る。
【0063】なお直鎖状低密度エチレン・α-オレフィ
ン共重合体中にゲル分が多量に発生すると、直鎖状低密
度エチレン・α-オレフィン共重合体の流動性が著しく
低下し、成形後のインフレーションフィルムでは、フィ
ッシュアイの生成原因となり、またラミネーションでは
フィルムの貼合せムラとなってしまう。直鎖状低密度エ
チレン・α-オレフィン共重合体中のゲル分率は、直鎖
状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体を沸騰パラ
キシレン中で4時間処理し、不溶解残存物の重量分率で
示すことができる。
【0064】なお従来公知の直鎖状低密度エチレン・α
-オレフィン共重合体への電子線照射は広く行なわれて
いる。たとえば特開昭57-202327号公報には、直鎖状低
密度エチレン・α-オレフィン共重合体に電子線を照射
することによって分子の架橋を行なって、気泡を閉じこ
めたシート状架橋ポリエチレン発泡体が開示されてい
る。しかしながらこの公報に開示されたポリエチレン発
泡体では、ゲル分率が10〜60%にも達しており、電
子線照射によって直鎖状低密度エチレン・α-オレフィ
ン共重合体の流動成形性は実質的に失われている。
【0065】また特開昭57-78420号公報には、エチレン
・α-オレフィン共重合体などのエチレン系重合体粒子
に、少なくとも80℃以上の温度で水蒸気雰囲気下で電
子線を1.5Mrad 未満の量で照射することを特徴とす
るポリエチレンの照射方法が開示されている。しかしな
がらこの方法によれば、直鎖状低密度エチレン・α-オ
レフィン共重合体粒子に対する電子線の照射量および照
射条件が本発明とは異なるため、本発明で用いられる新
規な直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体は
得られない。
【0066】本発明に係る積層フィルムは、上記のよう
な直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共重合体から
なる層を、少なくとも一層有している。本発明に係る積
層フィルムにおいて、上記のような直鎖状低密度エチレ
ン・α-オレフィン共重合体からなる層以外の層を形成
しうる材料としては、フィルム形成能を有する任意の合
成樹脂、合成樹脂フィルム基材、天然繊維、金属箔など
が挙げられる。
【0067】このような合成樹脂としては、具体的に
は、低、中、高密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、
アイオノマー、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ
(4-メチル・1-ぺンテン)などのオレフィン重合体、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポ
リアクリレート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系
重合体、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-7、ナイ
ロン-10、ナイロン-11、ナイロン-12、ナイロン-610な
どのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートな
どのポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・
ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネートなどが挙
げられる。
【0068】これらの合成樹脂は、積層フィルムの目
的、用途により適宜選択することができる。たとえば、
透明性、剛性、水透過抵抗性などが要求される場合は、
合成樹脂フィルムとして二軸延伸ポリプロピレンフィル
ムを用いることができる。
【0069】また、透明性、剛性、ガス透過抵抗性が要
求される場合は、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、エ
チレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコ
ール、ポリエステルなどが選択される。
【0070】本発明で用いられる天然繊維としては、
紙、板紙、クラフト紙、セロファン紙、布などが挙げら
れる。また金属箔としては、たとえばアルミニウム箔、
銅箔などが挙げられる。
【0071】本発明では、直鎖状低密度エチレン・α−
オレフィン共重合体とこれら他の材料とから積層フィル
ムを形成するに際しては、従来公知のラミネーション法
を適用することができる。具体的には、たとえば直鎖状
低密度エチレン・α−オレフィン共重合体と合成樹脂と
を共押出する方法、予め形成された他の材料からなる基
材層上に直鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重合
体をラミネートする押出コーティング法などの溶融法、
別々に形成されたこれらの各層を貼り合わせるドライラ
ミネート法または溶液法などが挙げられる。
【0072】積層フィルムの製造に際しては、必要に応
じて接着剤(アンカーコート剤)を用いることもでき
る。このような接着層を形成しうる材料としては、イソ
シアネート系接着剤、有機チタン系接着剤、ポリエチレ
ンイミン系接着剤などが挙げられる。他の層を形成する
材料が、合成樹脂の場合には、イソシアネート系接着剤
が好ましく用いられ、接着剤は、通常、合成樹脂フィル
ム表面にコーティングされる。
【0073】本発明において、他の層が合成樹脂から形
成される場合には、より具体的には、下記のようにラミ
ネーションされる。共押出法は、直鎖状低密度エチレン
・α−オレフィン共重合体と他の合成樹脂とを、溶融状
態で多層構造のダイを用いて積層させる方法であるが、
一般的に直鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重合
体と合成樹脂との接着強度が低いため、これらの層の間
に接着性ポリオレフィン(不飽和カルボン酸変性ポリオ
レフィン等)を一層設けることが好ましい。
【0074】押出コーティング法では、予め形成された
合成樹脂フィルム層上に、アンカーコーティング剤を塗
工した後、直鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重
合体からなる層を溶融押出して形成し、両者を貼り合わ
せる。合成樹脂フィルムに直鎖状低密度エチレン・α−
オレフィン共重合体を押出しコーティングする際には、
層間接着力を向上させる為に、溶融膜にオゾンを吹かけ
酸化を促進したり、アンカーコーティング剤が塗工され
た合成樹脂の上に高圧法低密度ポリエチレンを高温(3
10℃以上)でコーティングし、下貼り層を設けて、そ
の上に直鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重合体
層を溶融押出して貼り合わせを行うこともできる。
【0075】ドライラミネート法では、予め形成された
合成樹脂フィルム層上に、主にイソシアネート系接着剤
を塗工し、次いで直鎖状低密度エチレン・α−オレフィ
ン共重合体フィルムを貼り合わせて積層させる。
【0076】上記のような合成樹脂フィルムは、未延
伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれの状態であってもよ
い。上記のような合成樹脂によって他の層が形成される
場合、積層フィルムの各層の厚さは、直鎖状低密度エチ
レン・α−オレフィン共重合体からなる層が3μm〜2
00μm、好ましくは10μm〜130μm、合成樹脂
フィルムからなる層が3μm〜200μm、好ましくは
10μm〜40μmであることが好ましい。
【0077】また天然繊維または金属箔によって、直鎖
状低密度エチレン・α−オレフィン共重合体層以外の層
が形成される場合には、積層フィルムの製造法として
は、通常の複合フィルムの製造法と同様な方法が挙げら
れる。たとえば、上記の天然繊維からなる層または金属
箔に、直鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重合体
を溶融してコートさせる方法、または天然繊維層または
金属箔と、直鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重
合体からなる層を貼り合わせる方法などである。
【0078】このようにして得られる積層フィルムの各
層の厚さは、特に制限はされないが、直鎖状低密度エチ
レン・α−オレフィン共重合体からなる層が3μm〜2
00μm、天然繊維または箔からなる層が3μm〜20
0μmであることが好ましい。
【0079】本発明に係る積層フィルムは、上記のよう
な直鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重合体から
なる層と他の層とが、単層ずつから構成される積層フィ
ルムであってもよいし、その繰り返しから構成される積
層フィルムであってもよい。
【0080】また本発明に係る積層フィルムは、上記の
ような合成樹脂からなる層と、天然繊維からなる層と、
エチレン・α−オレフィン共重合体−オレフィン共重合
体からなる層との組み合わせからなる積層フィルムであ
ってもよい。
【0081】上記のようなラミネーションにおいて、本
発明で用いられる直鎖状低密度エチレン・α−オレフィ
ン共重合体は優れた成形加工性で他の層と積層される。
具体的に、押出ラミネート時には溶融膜の安定性に優れ
ており、またインフレーション共押出する時にはバブル
の安定性に優れている。
【0082】また本発明で用いられる直鎖状低密度エチ
レン・α−オレフィン共重合体は、高圧法低密度ポリエ
チレンなどを配合せずに単独で用いても、優れた成形性
でラミネート加工できるため、経済性にも優れている。
【0083】また上記のような直鎖状低密度エチレン・
α−オレフィン共重合体からなる層を少なくとも一層有
する本発明に係る積層フィルムは、他の材料からなる層
単層の場合に比べて、ヒートシール性、防湿性、離型性
などが向上される。具体的に、下記のような効果が挙げ
られる。
【0084】
【表1】
【0085】表1中、PEは直鎖状低密度エチレン・α
−オレフィン共重合体を示す。また、アルミニウム箔層
とポリエステルフィルム層との間に、直鎖状低密度エチ
レン・α−オレフィン共重合体からなる層を設けるサン
ドイッチ型のラミネーションを形成することも成形性が
良いため可能である。具体的には、ポリエステルフィル
ム層/LLDPE層/アルミニウム層/LLDPE層か
らなる積層フィルムが挙げられ、この積層フィルムは防
湿性に優れており、お茶包材などとして好適に用いられ
る。
【0086】本発明に係る積層フィルムは、エチレン・
α−オレフィン共重合体からなる層および他の層のいず
れかまたは全層に、本発明の目的を損なわない範囲で、
耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキ
ング剤、防曇剤、スリップ剤、滑剤、顔料、染料などの
通常合成樹脂に添加して使用される配合剤を配合させて
もよい。
【0087】さらに本発明に係る積層フィルムは、表面
に顔料、染料、金属粉末、感光材料、磁気材料、光磁気
材料などが結合剤中に分散された薄膜成形用材料を塗布
して、他の特性を賦与することもできる。
【0088】本発明において使用されている「フィル
ム」とは、一般的な意味で使用されるフィルムだけでな
く、所謂シートをも含む意味である。以下、本発明を実
施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。
【0089】
【発明の効果】本発明に係る積層フィルムは、新規な直
鎖状低密度エチレン・α−オレフィン共重合体からなる
層を少なくとも一層有しており、ヒートシール強度、ホ
ットタック性を損なうことなくさらに押出ラミネートで
も成形可能で経済的にも優れている。
【0090】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。
【0091】なお、本発明で用いられる直鎖状低密度エ
チレン・α−オレフィン共重合体の物性ならびに本発明
に係る積層フィルムの特性は、以下のようにして測定、
評価した。
【0092】[測定法] 溶融張力:東洋精機製メルトテンションテスターを使用
し、測定温度190℃、押出量0.3g/分の条件下
で、巻取ロールを5rpmの間隔で増速して行き、溶融
ストランドが切断したときの溶融張力を求めた。
【0093】ヒートシール強度:ヒートシール圧力2kg
/cm2、ヒートシール時間0.5秒間、引張速度300m
m/分、剥離角度90°の条件下で測定した。 ホットタック性:2枚の積層物サンプルのそれぞれの同
一端部にガイドロールを介して、45gの錘を別々につ
け、このサンプル同士をヒートシールした後、シールバ
ーが離れると同時にシール部に23°の角度で錘による
剥離力が働くようにして(この角度の設定は錘をかける
ガイドロールの位置関係により行われる)、この際にシ
ール部が何mm剥離したかを測定した。
【0094】静加圧破袋強度:圧力2kg/cm2、温度1
40℃、時間0.5秒間の条件下でヒートシールし、製
袋された100×160mmの袋に、水道水200mlを充
満し、自動プレスを使用して10mm/分の加圧速度で加
圧した。
【0095】衝撃破袋強度:破袋強度の測定に用いられ
た試料袋を静置し、これに荷重7kgの平板状錘を落下さ
せ、試料袋が破袋する点での荷重の高さを測定した。
【0096】
【実施例1】エチレンと4-メチル-1-ペンテンとの混合
ガス(組成比がモル比で97.5:2.5)を、高活性チ
タン触媒成分と有機アルミニウム化合物触媒成分との混
合触媒により60℃で連続気相重合を行なった。
【0097】得られたエチレン・4-メチル-1-ペンテン
共重合体パウダーの平均粒子径は150μmであり、嵩
密度は0.42g/cm3 であった。またメルトフローレ
ートは30g/10分であった。この共重合体は、プレスシ
ートに成形して求めた密度が0.920g/cm3 、動的
粘弾性測定装置で求めたα分散温度は80℃、β分散温
度は−10℃であった。
【0098】上記のようなエチレン・4-メチル-1-ペン
テン共重合体パウダーに、以下のようにして3.75M
rad の照射量で電子線照射処理を施した。電子線照射装
置(日新ハイボルテージ社製:加速電圧750KV )の照射
コンベアーに上述のパウダーを厚さほぼ3mmに均一に引
き詰めて、窒素雰囲気下で連続的に電子線照射処理を行
なった。このとき雰囲気温度は40℃であった。照射吸
収線量はフィラメント電流と照射時間を調節することに
より加減した。
【0099】照射処理パウダーは照射後、ただちにIrga
nox 1010(ムサシノガイギー社製)とAntioxidant701
(Ethyl,Corp社製)とをそれぞれパウダーに対して0.
1重量%の量で、均一にブレンドし、この後、スクリュ
ータイプの押出機にて190℃の温度で溶融混練し、残
存ラジカルの安定化を行ないペレットとした。
【0100】このペレットを用いて、エチレン・4-メチ
ル-1-ペンテン共重合体(LLDPE)の物性を測定し
た。結果を表2に示す。予めイソシアネート系アンカー
コート剤を用いて作成しておいた延伸ナイロンフィルム
(厚さ15μm)上に押出コートされた高圧法低密度ポ
リエチレン:LDPE(厚さ20μm)からなる二層樹
脂フィルムのポリエチレン面に対して、上記直鎖状低密
度エチレン・α−オレフィン共重合体ペレットを65m
m径の押出機によって、シリンダー先端温度310℃の
条件下で溶融混練後Tダイより押出し、加工速度80m
/分、コート厚さ40μmの条件で押出コーティング加
工を行い三層積層フィルムを得た。この時のダイ直下の
樹脂温度は295℃であった。積層フィルムの膜厚は4
0μmであった。
【0101】積層フィルムの構成は、ナイロン層/LD
PE層/LLDPE層である。得られた三層積層フィル
ムを評価した。得られた結果を表2に示す。
【0102】
【実施例2】実施例1において、電子線照射量を5.0
Mrad とした以外は実施例1と同様にして積層フィルム
を得た。
【0103】積層フィルムの構成は、ナイロン層/LD
PE層/LLDPE層である。電子線照射されたエチレ
ン・4-メチル-1-ペンテン共重合体の物性と、形成され
た積層フィルムの特性を表2に示した。
【0104】
【実施例3】実施例1において、電子線照射量を6.5
Mrad とした以外は実施例1と同様にして積層フィルム
を得た。
【0105】積層フィルムの構成は、ナイロン層/LD
PE層/LLDPE層である。電子線照射されたエチレ
ン・4-メチル-1-ペンテン共重合体の物性と、形成され
た積層フィルムの特性を表2に示した。
【0106】
【比較例1】実施例1で共重合によって得られた電子線
照射前のパウダー状のエチレン・4-メチル-1-ペンテン
共重合体の物性を表2に示す。
【0107】このパウダーから実施例1と同様にして積
層フィルムを形成しようとしたが、均一な膜が得られ
ず、積層フィルムは得られなかった。
【0108】
【比較例2】実施例1において電子線照射されたエチレ
ン・4-メチル-1-ペンテン共重合体に代えて、高圧法低
密度ポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様にし
て、積層フィルムを得た。
【0109】評価を表2に示す。
【0110】
【比較例3〜5】実施例1〜3において、電子線照射し
たエチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体とそれぞれ
ほぼ同等のメルトフローレートを有し、電子線照射がな
されていないエチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体
(重合方法、組成および密度は電子線照射がなされるエ
チレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体とほぼ同じ)の
物性を示す。
【0111】これらのエチレン・4-メチル-1-ペンテン
共重合体から、実施例1と同様にして三層積層フィルム
を形成しようとしたが、均一な膜が得られず、積層フィ
ルムは得られなかった。
【0112】
【表2】
【0113】*1)ラミネート成形性評価における×:
偏肉が観察されたり、耳ゆれ、膜揺れでラミネーショで
きなかったもの。 *2)測定不可:均一膜が形成されず、測定できなかっ
た。
【0114】
【実施例4】予めイソシアネート系アンカーコート剤を
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィル
ム(12μm)上にコーティングし、アルミニウム箔
(9μm)と高圧法低密度ポリエチレン:LDPE(2
0μm)でサンドイッチラミネーションし、更にアルミ
ニウム箔表面にイソシアネート系アンカーコート剤でL
DPE(20μm)を押出ラミネートし、次いで以下実
施例1と同様のエチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合
体(LLDPE)ペレットを同一の方法で40μmの厚
さで押出コーティングし、試料を作成した。
【0115】積層フィルムの構成は、PET層/LDP
E層/Al層/LDPE層/LLDPE層である。結果
を表3に示す。
【0116】
【比較例6】実施例4において、エチレン・4-メチル-1
-ペンテン共重合体(LLDPE)ペレットを押出コー
ティングする代わりに、表3に示す高圧法低密度ポリエ
チレン(LDPE)を用いた以外は、実施例4と同様に
して積層フィルムを得た。
【0117】結果を表3に示す。
【0118】
【実施例5】実施例1において、イソシアネート系アン
カーコート剤を使用せず、二軸延伸されたナイロン−6
フィルム表面に、無水マレイン酸変性ポリエチレン(A
DM)と実施例1のエチレン・4-メチル-1-ペンテン共
重合体(LLDPE)を厚み構成20μm/40μmで
共押出コーティングで試料を作成した。
【0119】積層フィルムの構成は、ナイロン層/AD
M層/LLDPE層である。結果を表3に示す。
【0120】
【比較例7】実施例5において、LLDPEに代えて比
較例2と同じ高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)を
用いた以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得
た。
【0121】結果を表3に示す。
【0122】
【表3】
【0123】*3)LDPE:表2における比較例2の
*高圧法低密度ポリエチレンと同じ。 *4)LDPE:表2における比較例2の*高圧法低密
度ポリエチレンと同じ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 4F 9:00 4F

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) エチレンと、炭素数4〜18のα-オ
    レフィンとの共重合体であり、 (b) 密度が0.900〜0.940g/cm3 であり、 (c) 190℃において240KPaのずり応力下での剪
    断速度(γ240KPa)と、メルトフローレートMFR(g/
    10分)とが、式[I] log γ240KPa≧ 0.982log MFR+2.272 …[I] で示される関係を満たし、かつ (d) 190℃における溶融張力(メルトテンション)M
    190 と、メルトフローレートMFR(g/10分)とが、
    式[II] logMT190 ≧−log MFR+0.477 …[II] で示される関係を満たす直鎖状低密度エチレン・α-オ
    レフィン共重合体からなる層を、少なくとも一層有する
    ことを特徴とする積層フィルム。
  2. 【請求項2】前記直鎖状低密度エチレン・α-オレフィ
    ン共重合体からなる層は、該共重合体のβ分散温度以上
    かつα分散温度以下の温度で、電子線が、吸収線量とし
    て2〜10Mrad の量で照射された直鎖状低密度エチレ
    ン・α-オレフィン共重合体から形成されていることを
    特徴とする請求項第1項に記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】直鎖状低密度エチレン・α-オレフィン共
    重合体からなる層が押出ラミネートにより成形された押
    出ラミネート層であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の積層フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5817386A (en) * 1996-03-28 1998-10-06 Norton Performance Plastics Corporation Silicone-free release films
JP2001253426A (ja) * 2000-03-14 2001-09-18 Toyo Seikan Kaisha Ltd 軽量スクイズボトル
JP2010027745A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Mitsui Chemicals Inc プリント配線基板の製造方法

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