JP3774973B2 - ブローバッグ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱殺菌用ブローバッグ及びその製造方法に関するもので、より詳細には成形性、排液性、表面の平滑性、透明性に優れ、しかも加熱殺菌が可能であるブローバッグ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、輸液、注射液等の液体医薬のための容器として、ガラス製容器が使用されていたが、耐衝撃性に劣ると共に取扱いが不便であるため、ポリオレフィン等の合成樹脂の容器が提案されていた(特開平1−249057号公報)。
【0003】
合成樹脂から成る容器として、プロピレン系樹脂から成るものが広く使用されていたが、ポリプロピレンを用いた容器は硬く、排液性に難点があり、また溶融押出時の熱安定性の面から酸化防止剤が必須であり、医薬液への溶出の問題がある。
【0004】
このような観点より、排液性に優れ、酸化防止剤等の添加剤を配合しなくても押出ブロー成形により容器を成形できる特定密度のポリエチレンが用いられるに至っているが、ポリエチレンから成る容器であっても、例えば高密度ポリエチレンを用いた場合には耐熱性は優れるが、透明性及び柔軟性に劣ったものとなり、また低密度ポリエチレンを用いたものは、柔軟性と透明性とには優れているが耐熱性に劣ったものになる。
【0005】
ポリエチレンのこのような欠点を解決するものとして、エチレンとα−オレフィンの共重合体である線状低密度ポリエチレン(以下、単にLLDPEと呼ぶこともある)を用いたものも知られている(特開平3−94756号公報)。
【0006】
線状低密度ポリエチレンから成るブローバッグを用いることも公知であり、本出願人の提案にかかる実開平6−55640号公報には、メルトフローレートが0.1乃至2.5g/10minの線状低密度ポリエチレン基体と、メルトフローレートが3乃至12g/10minの線状低密度ポリエチレンの外表面層との同時押出積層体のブロー成形物から成ることを特徴とする加熱殺菌可能な液体医薬容器が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LLDPEは分子量分布が狭く、これを用いた容器は、透明性及び耐熱性に優れるという利点を奏するものである一方、押出ブロー成形により成形物表面にシャークスキンと呼ばれるキズが発生しやすく、外観特性に劣るという問題があった。
【0008】
輸液等の液体医薬の充填に使用される容器では、内容物の保存性の点で加熱殺菌が不可欠であり、これに耐える耐熱性が必要であり、スムースに内溶液を排液するための柔軟性も必要であり、更に内容物に異常がないことを確認するための器壁の透明性も必要である。更に、ブローバッグでは、製袋工程を経ることなく、バッグが得られるという利点があるが、その反面樹脂の成形性に優れていること、例えばドローダウン傾向が少なく、シャークスキンの発生が少ないことなどが要求される。
【0009】
従って本発明の目的は、成形性、排液性、表面の平滑性、透明性に優れ、しかも加熱殺菌が可能であるブローバッグ及びその製造方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、密度が0.925g/cm
以上でメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にある高圧法ポリエチレン、及び該高圧法ポリエチレン100重量部当たり0.5乃至50重量部の高密度ポリエチレンを含有して成る中間層と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含有して成る内外層との積層体をブロー成形して成ることを特徴とする加熱殺菌用ブローバッグが提供される。
【0011】
本発明によればまた、密度が0.925g/cm
以上でメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にあり且つメルトテンション(190℃)が2.0g以上である高圧法ポリエチレン、及び該高圧法ポリエチレン100重量部当たり0.5乃至50重量部の高密度ポリエチレンを含有して成る中間層と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含有して成る内外層とを、積層パリソンの形に溶融押出し、割型内でブロー成形して成ることを特徴とする加熱殺菌用ブローバッグの製造方法が提供される。
【0012】
本発明においては、
1.前記高圧法ポリエチレンが炭素数1000当たり15個以上の分岐数を有するものであること、
.前記高密度ポリエチレンが0.940乃至0.968g/cm
の密度と0.3乃至30g/10minのメルトフローレートとを有するものであること、
.内外層を構成する他のオレフィン系樹脂が線状低密度ポリエチレンであるか、プロピレン系重合体であること、
.全体の厚みが200乃至1000μmで、中間層と内外層との厚みの比が5:95乃至95:5の範囲にあること、
が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、ブローバッグとは、普通の意味、即ちブロー成形で形成されたバッグを意味する。本発明の加熱殺菌用ブローバッグは、中間層及び内外層の少なくとも三層構造を有するが、中間層として、密度が0.925g/cm3 以上でメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にある高圧法ポリエチレンを含有するものを選択し、これを融点が113℃以上のオレフィン系樹脂を含有して成る内外層と組み合わせたことが特徴である。
【0014】
本発明では、ブローバッグの基体となる中間層として、前記の密度とメルトフローレートとを有する高圧法ポリエチレンを用いることにより、優れた成形性を保持しながら、レトルト殺菌に耐える耐熱性を得ることができる。
【0015】
先ず、耐熱性の点では、高圧法ポリエチレンであっても、密度が0.925g/cm3 以上であることが重要であり、密度が上記範囲よりも小さな通常の低密度ポリエチレンを使用すると、成形性、成形品の透明性には優れているが、殺菌に必要な耐熱性が得られない(後述する比較例1参照)。
【0016】
また、ブローバッグへの成形性や平滑性等の外観特性の点では、高圧法ポリエチレンであってしかもメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にあるものを使用することが重要である。線状低密度ポリエチレンは、耐熱性には優れているが、成形時にドローダウンが著しく、また、成形速度が上がるとシャークスキンがひどく、外部ヘイズが著しく高くなり、透明性が損なわれ、商品価値のある外観が得られない(比較例3参照)。
【0017】
高圧法ポリエチレンは、高密度ポリエチレンに比して分岐鎖が多く、また線状低密度ポリエチレンに比して分岐鎖が長いのが特徴であり、この構造上の特徴により優れた成形性が得られるものと考えられる。しかしながら、メルトフローレートが上記範囲を下回ると、成形に際してシャークスキン等が発生する傾向があり、また上記範囲を上回ると、成形に際してドローダウン等が発生する傾向がある。
【0018】
本発明においては、上記高圧法ポリエチレンを中間層とし、これに融点が113℃以上のオレフィン系樹脂を内外層として組み合わせることにより、容器の耐熱性を損なうことなく、容器の透明性を向上させることが可能となる。
【0019】
比較的高密度の高圧法ポリエチレンを、単独(単層)でブローバッグの成形に使用すると、バッグの透明性が著しく低下するという問題を生じる(比較例2)。特に、この場合外部ヘイズが高くなること、及び殺菌時の熱履歴により内部ヘイズが大きく上昇することがその原因であると思われる。
【0020】
これに対して、前記高圧法ポリエチレンの両側に、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂の内外層を積層すると、後述する実施例1に示すとおり、耐熱性を低下させることなしに、透明性を顕著に改善することが可能となる。
【0021】
本発明におけるこの改善は、多数の実験の結果現象として見いだされたものであり、以下の説明によって格別の拘束を受けるものではないが、比較的高密度の高圧法ポリエチレンでは、成形時に樹脂表面が冷却される際、樹脂の結晶化による体積収縮に起因すると思われる微小凹凸が生成し、これが外部ヘイズの増加につながっていると信じられる。これに対して、高圧法ポリエチレンの表面に他のオレフィン系樹脂を積層すると、このような微小凹凸の生成が抑制されるか、或いは微小凹凸が生成しても、その表面が他のオレフィン系樹脂で埋められて、外部ヘイズが減少するものと思われる。また、内外層として存在する他のオレフィン系樹脂は、加熱殺菌時における高圧法ポリエチレン中間層の内部ヘイズの増加をも抑制するものと信じられる。
【0022】
内外層に設ける他のオレフィン系樹脂は、113℃以上と高い融点を有するため、レトルト殺菌時の容器の熱変形等を有効に防止できるばかりではなく、高圧法ポリエチレンの場合に認められる加熱殺菌時のブロッキング傾向をも完全に解消することができる。
【0023】
[ブローバッグ]
本発明のブローバッグの一例を示す図1において、このブローバッグ1は、内容物が充填される胴部2、胴部の下の閉塞底部3、胴部の上の肩部4、肩部に設けられた内容物充填口5並びに内容物取り出し部6及び閉塞底部に設けられた支持部7からなっている。内容物取り出し部6は管状の形に成形されており、その内部には内容物取り出し用栓体8が液密にはめ込まれている。支持部7には係止用の貫通孔9が形成されている。
【0024】
このブローバッグ1の器壁断面構造を示す図2において、器壁10は、密度が0.925g/cm3 以上でメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にある高圧法ポリエチレンを含有する中間層11と、融点が113℃以上のオレフィン系樹脂を含有して成る内層12並びに外層13とから成っている。
【0025】
このブローバッグ1は、上記積層構造のパリソンを多層多重ダイを通して共押出し、押し出されたパリソンを割型でピンチオフすると共にパリソン内に流体を吹き込んで、ブロー成形することにより、形成される。内容物取り出し用栓体8は、ブローバッグ成形後にはめ込んでもよいし、特開平7−171195号公報に記載されているとおり、ブロー成形時にインサートして、一体に成形されるようにしてもよい。
【0026】
本発明のブローバッグ1を、内容物充填に使用するには、内容物充填口5の一部を切り取ってこの部分から液体医薬等の内容物を充填し、充填後この部分をヒートシールに密封する。次いで、この包装体を、レトルト釜等の加熱殺菌装置に入れて、所定の条件下に加熱殺菌を行い、殺菌後冷却する。
【0027】
内容物を取り出して使用するときは、内容物取り出し用栓体8に中空針を突き刺し、支持部7の貫通孔8を架台のフック等に係止させ、ブローバッグを逆さまに吊るすことにより、中空針を通して重力による排液が行われる。このブローバッグでは、胴部2の材料が柔軟であるので、大気圧による変形が容易であり、排液性も良好である。
【0028】
[積層体]
本発明において、積層体の中間層として使用する高圧法ポリエチレンは、密度が0.925g/cm3 以上であり、好適には0.927乃至0.940g/cm3 の範囲にあるものである。耐熱性の点では上記下限値以上の密度を有するべきであるが、密度があまり高くなると、ヘイズが上昇し透明性が低下し、柔軟性が低下するので上記範囲にあるのがよい。成形の点で、高圧法ポリエチレンとして、メルトフローレートが0.3乃至10g/10min、特に0.5乃至8g/10minの範囲にあるものを使用すべきである。
【0029】
本発明で使用する比較的高密度の高圧法ポリエチレンは、炭素数1000当たり15個以上、特に25個以上の分岐鎖を有するのが好ましい。この分岐鎖の数は、高圧法ポリエチレンの耐熱性(結晶性)と成形性との両方に関係している。また、ブローバッグ成形時のドローダウンを防止するためには、高圧法ポリエチレンは2.0g以上、特に3.0乃至20gのメルトテンション(190℃)を有するのがよい。
【0030】
ブローバッグの中間層として、比較的高密度の高圧法ポリエチレンを単独で使用することもできるし、その本質を損なわない範囲で、他のオレフィン系樹脂、特にエチレン系樹脂とのブレンドで使用することもできる。
【0031】
例えば、高圧法ポリエチレン100重量部当たり、高密度ポリエチレン(HDPE)0.5乃至50重量部、特に1乃至30重量部の量で配合し、これを中間層として用いることができ、これによりブローバッグへの成形性や耐熱性を向上させることができる。特に0.5乃至5.0重量部の少ない添加量で用いることで、結晶核剤としての効果を奏し、透明性を向上させることができる。しかしながら、上記範囲よりも多い量で使用することは、内部ヘイズ値が大きくなるので避けるべきである。上記の高密度ポリエチレンとしては、密度が0.940乃至0.968g/cm3 でメルトフローレートが0.3乃至30g/10minのものが適している。
【0032】
ブローバッグの中間層として、ブロー成形時のバリ部分や成形開始時点や調整時に発生するスクラップを粉砕したもの、いわゆるリプロを、中間層樹脂全体の最大60%までの重量比にブレンドして用いることができ、この場合バック全体に占める比較的高密度の高圧法ポリエチレンの割合を40%以上とするのが成形性の確保の点から望ましい。
【0033】
ブローバッグの内外層としては、融点が113℃以上のオレフィン系樹脂が使用される。このオレフィン系樹脂の内外層は、既に指摘したとおり、外部ヘイズを減少させて透明性の向上に寄与すると共に、ブローバッグの耐熱性の向上、特に加熱殺菌時のブロッキング防止にも役立つものである。
【0034】
内外層として用いるオレフィン系樹脂の種類は、上記範囲の融点を有するものであれば特に制限されないが、本発明の目的に好適なものとして、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を挙げることができる。LLDPEとしては、従来のチーグラー系触媒を用いたもの、メタロセン系のいわゆるシングルサイト触媒を用いたものなど各種のものが使用される。特に後者の場合には、低分子量物が少ないため内容品への溶出が低く抑えられること、あるいは透明性、光沢性に優れるなどの利点がある。
【0035】
内外層に用いる線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、エチレンとα−オレフィンの共重合体であり、α−オレフィンとしては、炭素数が4乃至8の範囲にあるものが好ましく、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等を挙げることができる。
【0036】
この線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、重合体の全体的構造としては線状であるが、この線状の鎖状構造中にα−オレフィンに基づく短い分岐鎖を有するのが特徴である。また、多段の重合プロセスにより若干の長鎖分岐を付加させることもでき、成形性向上のための流動性改質も可能である。本発明のこの態様では、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の内でも、融点が113℃以上、特に115乃至130℃であり、密度が0.918乃至0.942g/cm3 のものを用いるのが好ましい。また、メルトフローレートは、1.0乃至20g/10minの範囲にあるものが押出性の点で良好である。
【0037】
内外層の厚みがあまり大きくないという条件下で、内外層形成用樹脂として、プロピレン系重合体を用いることができる。融点が113以上であるものであれば、ホモポリプロピレンでも、プロピレン共重合体でもよく、また結晶形態は、アイソタクティック構造のものでも、シンジオタクティック構造のものでもよい。プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレンブロック共重合体が好適であり、透明性を重視する用途に対しては前者が、また成形性を重視する用途に対しては後者がそれぞれ使用される。内外層にプロピレン系重合体を用いる場合には、中間層の高圧法ポリエチレンとの接着性を改善するため、その耐熱性、透明性を損なわない範囲で30重量%までのそれ自体公知のプロピレン系重合体用改質樹脂を用いることができる。改質樹脂の例としては、エチレンプロピレン共重合体、EPR、EPDM、スチレン−ブタジエン共重合体やイソプレン−ブタジエン共重合体の水素添加物、酸変性オレフィン系樹脂などがあげられる。
【0038】
これらの中間層乃至内外層に用いる樹脂は理想的には無添加である事が望ましいが、成形性、熱安定性、紫外線殺菌等による変色防止、バックハンドリング性を考慮して、それ自体公知の添加剤:スチアリン酸カルシウムなどの成形助剤、塩酸吸収剤、フェノール系乃至リン系の酸化防止剤、アミン系などの帯電防止剤、アミド系などの滑剤、紫外線吸収剤などが用いられる。これらの添加剤は内容品の性状:油脂分を含むか否か、あるいは加熱殺菌条件に応じて移行の有無を考慮して選択される。
【0039】
本発明のブローバッグにおいて、器壁の全体としての厚みは、用途やバッグの大きさ等によっても相違するが、一般的にいって全体としての厚みが200乃至1000μm、特に300乃至800μmの範囲にあるのがよい。余り厚みが大きくなると、ポリエチレン系樹脂では透明性が限界となり、内容品の透視が困難となる。一方中間層と内外層の合計厚さとの比は、一般に5:95乃至95:5、特に10:90乃至90:10の範囲にあるのがよい。尚、内外層を構成する樹脂は、同一のものであるのが一般的であるが、内層と外層とは異なった樹脂で構成されていてもよいことが理解されるべきである。
【0040】
全体としての厚みが上記範囲よりも小さいと保形性や強度が不十分となり、一方上記範囲よりも大きいと柔軟性が失われて排液性が低下するようになる。また、中間層である高圧法ポリエチレン層の厚み比が上記範囲よりも大きくなると透明性が低下する傾向があり、この厚み比が上記範囲よりも小さくなると耐熱性や成形性が低下したり、ブローバッグの柔軟性が損なわれたりする傾向がある。
【0041】
本発明のブローバッグは、高圧法ポリエチレンから成る中間層と、それ以外のオレフィン系樹脂から成る内外層を備えていることが必須不可欠であるが、決して3層構成のものに限定されず、4層、5層、或いはそれ以上の多層構成のものであってもよい。
【0042】
例えば、中間層と外層との間に、ブローバッグの成形の際のスクラップ樹脂層を介在させることができる。また、中間層と内外層との間に接着性が得られない場合には、これら両層の間に接着剤層を介在させることができる。
【0043】
[ブローバッグの成形]
本発明のブローバッグは、密度が0.925g/cm3 以上でメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にあり且つメルトテンション(190℃)が2.0g以上である高圧法ポリエチレンを含有して成る中間層と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含有して成る内外層とを、積層パリソンの形に溶融押出し、割型内でブロー成形することにより得られる。
【0044】
積層パリソンを形成するに際しては、樹脂の種類に対応する数の押出機を使用し、ダイ通路内で溶融樹脂を積層体の順序となるように合流させる。内外層が同種の樹脂から成る場合には、分岐チャンネルを経て他のオレフィン系樹脂が中間層に対して内外層となるように分岐させ、ダイ内で合流させる。
【0045】
積層パリソンの溶融押出に際して、ダイヘッドの温度は160乃至230℃の温度が適当であり、ダイオリフイスとしては、円形或いは偏平形状のものが使用可能である。
【0046】
割金型としては、鏡面仕上げのものでも、サンドブラスト加工したものでも使用でき、割金型の表面温度は一般に10乃至50℃の範囲にあることが好ましい。また、ブロー成形用の流体としては、滅菌処理した空気を用いることが好ましく、その圧力は1乃至15kg/cm2 の範囲にあるのが適当である。
【0047】
【実施例】
本発明を次の例により更に説明する。
【0048】
実施例1
単層との比較(表1)
内外層に従来の線状ポリエチレンLL−1(MFR3.2g/10min、密度0.917g/cm3 、融点118℃)、中間層に比較的密度の高い高圧法低密度ポリエチレンHLD−1(MFR2.2g/10min、密度0.929g/cm3 )を用いる構成(層比:LL−1/HLD−1/LL−1=20/60/20)について(本発明1)と、比較のため、低密度ポリエチレンLD−1(MFR1.2g/10min、密度0.922g/cm3 )、比較的密度の高い高圧法低密度ポリエチレンHLD−1(MFR2.2g/10min、密度0.929/cm3 )そして線状ポリエチレンLL−2(MFR2.2g/10min、密度0.918/cm3 )をそれぞれ単独に用いる場合について(比較例1,2及び3)、樹脂温度およそ192℃、総吐出量22kg/hrにて、図1に示す匁付け量18g、容量300ccの偏平ブローバックを毎分10本の速度にて成形した。
【0049】
その結果、通常の低密度ポリエチレンでは成形性、透明性に優れるが殺菌に必要な耐熱性が得られない(比較例1)。また、この耐熱性を改良するため比較的密度の高い高圧法低密度ポリエチレンを用いると、耐熱性にほぼ実用レベルになるものの、透明性が著しく低下する。特に、この場合外部ヘイズが高くなること、殺菌時の熱履歴により内部ヘイズが大きく上昇することによると思われる(比較例2)。更に、線状ポリエチレンを用いると成形時にドローダウンが著しく、成形速度が上がるとシャークスキンがひどく、外部ヘイズが著しく高くなり透明性が損なわれ、商品価値のある外観が得られなかった(比較例3)。本発明1のように、比較的密度の高い高圧法低密度ポリエチレンを中間層として用いることで、成形性が大幅に改善するとともに、透明性と耐熱性の一般に相反する特性の双方を満足することができた。
【0050】
【表1】
Figure 0003774973
【0051】
実施例2
種々の層構成での比較(表2)
中間層に高圧法ポリエチレンを使用するいくつかの構成(層比は28/44/28とした)にて実施例1と同じ形状のブローバックを成形した(本発明2、比較例4、比較例5)。
本発明2で中間層に比較的密度の高い高圧法低密度ポリエチレンHLD−1(MFR2.2g/10min、密度0.929g/cm3 )、内外層にメタロセン系シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体mLL−1(MFR4.2g/10min、密度0.927g/cm3 、分子量分布Mw/Mn3.4、融点116℃)を用いたところ、先の実施例より更に透明性、耐熱性が向上した。一方、内外層に高圧法低密度ポリエチレンLD−2(MFR1.7g/10min、密度0.923g/cm3 、融点112℃)を用いたところ(比較例4)、先の比較例1と同じく、耐熱性が不足であった。また、中間層に一般の高圧法低密度ポリエチレンLD−1(MFR1.2g/10min、密度0.922g/cm3 )、内外層に本発明1と同じ線状ポリエチレンLL−1(MFR3.2g/10min、密度0.917g/cm3 )を用いたところ(比較例5)、成形性、透明性はほぼ良好であったが加熱殺菌時の容器変形が大きく商品価値のないものとなった。
【0052】
【表2】
Figure 0003774973
【0053】
実施例3
層比(表3)
先の本発明2と同じ樹脂を用い、層構成を種々変更して、先のと同じブローバッグの成形を行い、性能を評価した(本発明3〜6、比較例6〜7)。
中間層の割合が少なくなると成形性が劣る傾向にあり(比較例7)、シャークスキンが目立ち、表面外観が劣ってくる。また、中間層が支配的になると透明性の確保が困難になり、耐熱性も劣ってくる(比較例6)。成形性、透明性、耐熱性のいずれもが実用性能を満足するという見地から、中間層の好適な割合は95乃至5%、更に好ましくは、90乃至10%の範囲であった。
【0054】
【表3】
Figure 0003774973
【0055】
実施例4
中間層組成(表4)
内外層にメタロセン系シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体mLL−2(MFR4.5g/10min、密度0.929g/cm3 、分子量分布Mw/Mn2.7、融点121℃)、高密度ポリエチレンHD−1(MFR1.0g/10min、密度0.952g/cm3
、融点130℃)の80:20のブレンドを用い、中間層には比較的密度の高い高圧法低密度ポリエチレンHLD−1(MFR2.2g/10min、密度0.929g/cm3 )に高密度ポリエチレンHD−2(MFR0.9g/10min、密度0.951g/cm3 )を種々の割合にて添加し(HLD−2:()内はHD−2の添加量:HLD−1 100重量部あたりの重量部を表わす)、層比30/40/30にて、先と同様のブローバッグを成形した(本発明7〜12、比較例8)。
【0056】
その結果、高密度ポリエチレンを極僅か添加した場合に透明性が顕著に改善されること(本発明7)、添加量が増加するに従い透明性は低下するが、耐熱性が著しく向上する(本発明8〜11)。メタロセン系シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体に高密度ポリエチレンを添加することで、融点が数℃高温側にシフトする現象が見られ、このことからも耐熱性が上昇したことが判定できた。中間層を更に薄くすることにより高密度ポリエチレンの添加量を増やすことができるが、本発明12で示されるように、高密度ポリエチレンの添加量50%程度が実用的透明性が確保できる限界と思われる。比較例8に参考までに中間層に高密度ポリエチレンHD−3(MFR0.9g/10min、密度0.945g/cm3 )単独で用いた例を示す。この場合、実用的な透明性を得るのは困難である。
【0057】
【表4】
Figure 0003774973
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の密度と特定のメルトフローレートを有する高圧法ポリエチレンを中間層とし、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を内外層ととしてブローバッグを形成することにより、成形性、排液性、表面の平滑性、透明性に優れ、しかも加熱殺菌が可能であるブローバッグを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブローバッグの一例を示す正面図である。
【図2】本発明のブローバッグの器壁の断面構造を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ブローバッグ
2 胴部
3 閉塞底部
4 肩部
5 内容物充填口
6 内容物取り出し部
7 支持部
8 内容物取り出し用栓体
9 貫通孔
10 器壁
11 中間層
12 内層
13 外層

Claims (7)

  1. 密度が0.925g/cm 以上でメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にある高圧法ポリエチレン、及び該高圧法ポリエチレン100重量部当たり0.5乃至50重量部の高密度ポリエチレンを含有して成る中間層と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含有して成る内外層との積層体をブロー成形して成ることを特徴とする加熱殺菌用ブローバッグ。
  2. 前記高圧法ポリエチレンが炭素数1000当たり15個以上の分岐数を有するものである請求項1記載のブローバッグ。
  3. 前記高密度ポリエチレンが0.940乃至0.968g/cm
    の密度と0.3乃至30g/10minのメルトフローレートとを有するものである請求項1又は2記載のブローバッグ。
  4. 内外層を構成する他のオレフィン系樹脂が線状低密度ポリエチレンである請求項1乃至の何れかに記載のブローバッグ。
  5. 内外層を構成する他のオレフィン系樹脂がプロピレン系重合体である請求項1乃至の何れかに記載のブローバッグ。
  6. 全体の厚みが200乃至1000μmで、中間層と内外層との厚みの比が5:95乃至95:5の範囲にある請求項1乃至の何れかに記載のブローバッグ。
  7. 密度が0.925g/cm 以上でメルトフローレートが0.3乃至10g/10minの範囲にあり且つメルトテンション(190℃)が2.0g以上である高圧法ポリエチレン、及び該高圧法ポリエチレン100重量部当たり0.5乃至50重量部の高密度ポリエチレンを含有して成る中間層と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含有して成る内外層とを、積層パリソンの形に溶融押出し、割型内でブロー成形して成ることを特徴とする加熱殺菌用ブローバッグの製造方法。
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