JP4693382B2 - 光学システムによる細胞の解析 - Google Patents

光学システムによる細胞の解析 Download PDF

Info

Publication number
JP4693382B2
JP4693382B2 JP2004255895A JP2004255895A JP4693382B2 JP 4693382 B2 JP4693382 B2 JP 4693382B2 JP 2004255895 A JP2004255895 A JP 2004255895A JP 2004255895 A JP2004255895 A JP 2004255895A JP 4693382 B2 JP4693382 B2 JP 4693382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
cells
image
neurite
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004255895A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005095172A (ja
Inventor
リチック ゴーシュ、
ロビン エル. デビアシオ、
プレム ジャナルダーン、
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cellomics Inc
Original Assignee
Cellomics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cellomics Inc filed Critical Cellomics Inc
Publication of JP2005095172A publication Critical patent/JP2005095172A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4693382B2 publication Critical patent/JP4693382B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • C12N15/1089Design, preparation, screening or analysis of libraries using computer algorithms
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/5005Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells
    • G01N33/5008Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells for testing or evaluating the effect of chemical or biological compounds, e.g. drugs, cosmetics
    • G01N33/5082Supracellular entities, e.g. tissue, organisms
    • G01N15/1433

Description

本発明は薬物発見のための蛍光−ベースの細胞および分子生化学アッセイの分野にある。
相互参照
本出願は米国仮特許出願番号60/147,443(1999年8月5日)、60/176,589(2000年1月18日)、60/205,696(2000年5月19日)、60/151,797(1999年8月31日)、60/168,408(1999年12月1日)に対する優先権を主張し、1997年2月27に出願された米国出願S/N 08/810983で、現在米国特許番号5,989,835の一部継続出願である1998年2月27日に出願された出願番号09/031,271の一部継続出願である1999年9月17日に出願された09/398,965の一部継続出願であり、共有し、共に係属中の米国特許出願番号09/380,259(1998年2月27日)、09/352,171(1999年7月12日)、09/598,347(2000年6月21日)、09/293,209(1999年4月16日)、09/293,210(1999年4月16日)、09/398,965(1999年9月17日)、09/430,656(1999年10月29日)、09/513,783(2000年2月25日)、そして09/569,508(2000年5月12日)に関連しており、全ての参照物は、ここに参照することでその全てを組込んでいる。
当該分野で現在行われている薬物発見は、特異的病気標的の同定、特異的標的に基づくアッセイの開発、このアッセイの有効化、スクリーニングを得るためのアッセイの最適化および自動化、「ヒット」を同定するためのアッセイを用いる化合物ライブラリの高スループットスクリーニング、ヒット有効化およびヒット化合物の最適化を含む長い複数工程のプロセスである。このプロセスの結果は、前臨床および、有効化されれば、結局は臨床試験に至る先導的化合物である。このプロセスにおいては、スクリーニング相はアッセイ開発相から区別され、生きた生物学的系において化合物の効率をテストすることを含む。
歴史的には、薬物発見は遅くてコストがかかるプロセスであり、何年にもわたり、創製された薬物あたり数億ドルを消費する。ゲノミックスおよび高スループットスクリーニングの領域における開発の結果、評定の同定およびスクリーニングした化合物の容量の領域において能力および効率が増大した。自動DNA配列決定、PCR適用、位置クローニング、ハイブリッド形成アッセイおよび生物情報学におけるかなりの進歩は、潜在的薬物標的をコードする遺伝子(および遺伝子断片)の数を大いに増加させた。しかしながら、薬物スクリーニングについての基本的なスキームは依然として同一である。
現行の方法およびプロトコルを用いる治療的介入のためのポイントとしてのゲノム標的の有効化は、インビボ機能的モデル、組換えタンパク質の機能的分析、および候補遺伝子の安定な細胞系発現等の、使用される遅い手動方法のため、薬物発見プロセスにおいてネックとなった。自動配列決定を介して取得された一次DNA配列データは遺伝子機能の同定を可能としないが、公知の配列データベースと比較すると、共通の「モチーフ」および特異的遺伝子相同性についての情報を提供することができる。減算ハイブリッド形成およびRADE(分別発現の迅速増幅)等のゲノム方法を用いて、病気状態モデルで上方または下方調節される遺伝子を同定することができる。しかしながら、同定および有効化は依然として同一経路を進む。いくつかのプロテオミック方法は逆遺伝学と組み合わせてタンパク質同定(全体的発現アレイ、2D電気泳動、コンビナトリアルライブラリ)を用いて注目する候補遺伝子を同定する。無傷cDNAとして単離されたそのような推定「病気関連配列」またはDASはこれらの方法に対して大きな利点があるが、それらは、コードされたタンパク質のタイプ、活性および分布に関するいずれの情報も提供する事なく多くのものによって同定される。薬物スクリーニング標的としてのDASのサブセットの選択は「ランダム」であり、このように、病気とのメカニズム的結合を提供するための機能的データなくして、極端に非効率的である。従って、生物学的機能を達成するDASを迅速にスクリーニングし、それにより、薬物発見における標的有効化および候補最適化を改良する新しい技術を提供する必要がある。
初期の薬物発見の生産性を改良するには3つの主な道がある。まず、増大した情報取り扱い能力を提供するツールに対する要望がある。生物情報学はDNA配列決定システムの迅速な発展およびゲノミックスデータベースの進化で花咲いた。ゲノミックスは潜在的新しい標的の同定で非常に重要な役割を果たし始めている。プロテオミックスは、薬物相互作用を予測するためにタンパク質標的の構造および機能を関連づけるのに不可欠なものとなった。しかしながら、生物学的複雑性の次のレベルは細胞である。従って、細胞からの多次元情報を取得し、管理しサーチする要望がある。第2に、より高いスループットツールに対する要望がある。DNA配列決定および高スループット一次スクリーニングにおいてすでに示されているように、自動化は生産性を改良する鍵である。本発明は、より高いスループットのツールに対する要望を満足する細胞から複数パラメータ情報を抽出する自動システムを提供する。また、本発明は、各アッセイで必要な試薬およびテスト化合物の容量を減少させつつ、この方法を小型化し、それにより増大したスループットを可能とすることを提供する。
放射能は初期の薬物発見アッセイでは支配的な読み出し情報であった。しかしながら、より多い情報、より高いスループットおよび小型化に対する要望は、蛍光検出の使用に向けてのシフトを引き起こした。蛍光−ベースの試薬は、スループットおよび情報含有量が高いより強力な複数パラメータアッセイを生じさせることができ、より低い容量の試薬およびテスト化合物を必要とする。また、蛍光は放射能−ベースの方法よりも安全かつ安価である。
色素および蛍光試薬で処理した細胞のスクリーニングは当該分野でよく知られている。レポータ分子としての修飾された緑色蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光タンパク質を生じる細胞の遺伝子工学に関連するかなり膨大な文献がある。野生型GFPのいくつかの特性はモリス(Morise)ら(Biochemistry 13(1974)2656−2662頁)およびワード(Ward)ら(Photochem,Photobiol.31(1980),611−615頁)によって開示されている。オワンクラゲ(Aequorea Victoria)のGFPは395nmにおける励起最大および510nmにおける発光最大を有し、蛍光活性に外因的因子を要しない。文献に開示されたGFPの使用は普及しており、細胞下小器官の可視化(リゾット(Rizzuto)ら,Curr.Biology 5(1995),635−642頁)、分泌経路に沿ったタンパク質輸送の可視化(ケーサー(Kaether)およびゲルデス(Gerdes),FEBS Letters 369(1995),267−271頁)、植物細胞(フー(Hu)およびチェン(Cheng),FEBS Letters 369(1995),331−334頁)およびショウジョウバエ胚(デービス(Davis)ら,Dev.Biology 170(1995),726−729頁)における発現のためのツールとして、および注目する別のタンパク質に融合したレポータ分子として(米国特許第5,491,084号)、遺伝子発現およびタンパク質位置決定(チャルフィー(Chalfie)ら,Science 263(1994),12501−12504頁)の研究を含む。同様に、WO96/23898は、タンパク質キナーゼ活性化部位を有するGFP構築体を利用することによる細胞内プロセスに影響する生物学的活性物質を検出する方法に関する。この特許、および本出願で引用した全ての他の特許は参照してその全体に組み込まれる。
多数の文献が生物学的系におけるGFPタンパク質に関係する。例えば、WO96/09598はGFP様タンパク質の発現を利用する注目する細胞を単離するためのシステムを説明する。WO96/27675は植物におけるGFPの発現を説明する。WO95/21191は、突然変異誘発を検出するための軽質転換生物で発現された修飾GFPタンパク質を説明する。米国特許第5,401,629号および第5,436,128号は、細胞表面受容体を発現し、細胞表面受容体の活性に応答する転写調節要素を含むレポータ遺伝子構築体を含有する組換え細胞を用いる細胞外シグナルの細胞内変換を検出し、評価するためのアッセイおよび組成物を説明する。
数千の化合物についてスクリーニングを行うには、多くの化合物および多くの成分試薬の平行した取り扱いおよび処理を必要とする。標準的な高スループットスクリーニング(「HTS」)は、96または384ウェルを備えた標準的なマイクロタイタープレート中のウェルのアレイに負荷されたいくつかのインジケータ化合物と共に化合物および生物学的試薬の混合物を用いる。各ウェルから測定されたシグナル(蛍光または発光)、光学密度、または放射能はウェル中の全ての物質からのシグナルを統合し、ウェル中の全ての分子の総じての集団平均を与える。
サイエンス・アプリケーション・インターナショナル株式会社(Science Applications International Corporation(SAIC))(130 fifth Avenue,Seattle,WA 98109)はイメージングプレートリーダーを説明する。このシステムはCCDカメラを用いて、96ウェルプレートの全領域をイメージする。このイメージは解析され、ウェル中のすべての物質につきウェル当たりの全蛍光が計算される。
モレキュラー・デバイス社(Molecular Devices, Inc.)(Sunnyvale,CA)は、標準的な96ウェルプレート中のウェルの底部のほぼ200ミクロン内で選択的に蛍光を励起するのに低角レーザー走査照射およびマスクを用いて、細胞単層をイメージする場合のバックグラウンドを低下させるシステム(FLIPR)を説明する。このシステムはCCDカメラを用いてプレート底部の全領域をイメージする。このシステムはウェルの底部の細胞単層に由来するシグナルを測定するが、測定されたシグナルはウェルの領域にわたって平均化され、従って、細胞の集団の平均的応答の測定であると依然として考えられる。イメージを解析して、細胞−ベースのアッセイにつきウェル当たりの全蛍光を計算する。FLIPRシステム等の流体送達デバイスを細胞ベースのスクリーニングシステムに取り込んで、応答を開始させ、次いで、これは、マクロ−イメージングシステムを用いて全ウェル集団平均応答として観察される。
高スループットスクリーニングとは対照的に、細胞構成要素およびプロセスの時間的−空間的動力学についてのより詳細な情報に対する必要性に対処するために、種々の高含有量スクリーニング(「HCS」)が開発されている。高含有量スクリーニングは、細胞に取り込まれた特異的蛍光−ベースの試薬に由来する多色蛍光情報の抽出を自動化する(ジュリアノ(Giuliano)およびテーラー(Taylor)(1995),Curr.Op.Cell Biol.7:4、ジュリアノら(1995)Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.24:405)。空間的、ならびに時間的動力学を測定することができる光学システムを用いて細胞を分析する(ファーカス(Farkas)ら(1993)Ann.Rev.Physol.55:785、ジュリアノら(1990)In Optical Microscopy for Biology.ハーマン(B.Herman)およびジャコブソン(K.Jacobson)(編),543−557、Wiley−Liss,New York、ハーン(Hahn)ら(1992)Nature 359:736、ワグナー(Waggoner)ら(1996)Hum.Pathol。27:494)。この概念は、標識された構成要素の活性についての空間的および時間的情報を有する「ウェル」として各細胞を処理することである。
今や、細胞に適用された蛍光−ベースの試薬を介して接近可能なタイプの生化学的および分子的情報はイオン濃度、膜ポテンシャル、特異的移動、酵素活性、遺伝子発現、ならびに代謝産物、タンパク質、脂質、炭水化物および核酸配列の存在、量およびパターンを含む(デビアシオ(DeBiasio)ら(1996)Mol.Biol.Cell.7:1259、ジュリアノら(1995)Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.24:405:ヘイム(Heim)およびツシーン(Tsien),(1996)Curr.Biol.6:178)。
高含有量スクリーニングは、蛍光標識された抗体、生物学的リガンド、および/または核酸ハイブリッド形成プローブを用いて固定細胞につき、あるいは多色蛍光インジケータおよび「バイオセンサー」を用いて生細胞につき行うことができる。固定もしくは生細胞スクリーニングの選択は、必要な特異的細胞−ベースのアッセイに依存する。
固定細胞アッセイは最も単純である。なぜなら、マイクロタイタープレート様式における最初に生きる細胞のアレイは、テストすべき種々の化合物および用量で処理することができ、次いで、細胞は固定し、特異的試薬で標識し、測定することができるからである。固定後に、細胞の環境の制御は必要でない。空間的情報が取得されるが、1つの時点におけるのみである。細胞に適用することができる数千の抗体、リガンドおよび核酸ハイブリッド形成の利用可能性は、これを、多くのタイプの細胞−ベースのスクリーニングに対する魅力的アプローチとする。固定および標識工程は自動化することができ、アッセイの効果的処理を可能とする。
生細胞アッセイはより技巧的かつ強力である。なぜなら、所望の試薬を含有する生細胞のアレイは時間、ならびに空間にわたってスクリーニングすることができるからである。細胞の環境的制御(温度、湿度および二酸化炭素)が測定の間に必要である。なぜなら、細胞の生理学的健康が、時間にわたっての複数蛍光測定で維持されなければならないからである。細胞内での生化学的および分子的活性の変化を報告することができる蛍光生理学的インジケータおよび「バイオセンサー」の増大するリストがある(ジュリアノら(1995)Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.24:405、ハーンら(1993)In Fluorescent and Luminescent Probes for Biological Activity.ネーソン(W.T.Nason)(編),349−359,Academic Press,San Diego)。
蛍光−ベースの試薬の利用可能性および使用は、固定および生細胞高含有量スクリーニング双方の発達を進めるのを助けてきた。多色高含有量情報を自動的に抽出するための装置化の進歩は、最近、HCSを自動ツールに開発するのを可能とした。テーラーらによる論文(American Scientist 80(1992),322−335)は、これらの方法およびそれらの適用の多くを説明する。例えば、プロフィット(Proffitt)ら(Cytometry 24:204−213(1996))は、種々の組織培養プレート様式、特に、96−ウェルマイクロタイタープレートウェルにおいて原位置で相対的細胞数を定量するための半自動蛍光デジタルイメージングシステムを説明する。このシステムは電動段階を設けたエピ蛍光倒立顕微鏡、ビデオカメラ、イメージ増感剤、およびPC−ビジョンデジタイザーを設けたマイクロコンピュータからなる。Turbo Pascalソフトウェアは段階を制御し、プレートを走査し、ウェル当たりの複数のイメージを撮る。このソフトウェアはウェル当たりの全蛍光を計算し、日キャリブレーションを提供し、種々の組織培養プレート様式につき容易に配置を形成する。デジタルイメージの閾値設定および生細胞によって取られる場合のみ蛍光を発する試薬を用いて、過剰の蛍光試薬を除去することなくバックグラウンド蛍光を減少させる。
走査共焦点顕微鏡イメージング((ゴー(Go))ら(1997)Analytical Biochemistry 247:210−215、ゴールドマン(Goldman)ら(1995)Experimental Cell Research 221:311−319)および多光子顕微鏡イメージング(デンク(Denk)ら(1990)Science 248:73、グラトン(Gratton)ら(1994)Proc.of the Microscopical Society of America,154−155)もまた、顕微鏡試料の高分解能イメージを取得するための良く確立された方法である。これらの光学系の主な利点は、非常に浅い焦点深度であり、これは限定された軸方向の程度の特徴がバックグラウンドに対して分解されることを可能とする。例えば、細胞表面の特徴から接着性細胞の内部細胞質特徴を分解するのが可能である。走査多光子イメージングは必要な高光子束を達成するのに非常に短い持続のパルスレーザー系が必要であるので、蛍光の寿命もまたこれらの系で測定することができ(ラコウィッツ(Lakowicz)ら(1992)Anal.Biochem.202:316−330、ゲリツセン(Gerrittsen)ら(1997),J.of Fluorescence 7:11−15)、異なる検出モードに対してさらなる能力を提供する。半導体レーザーによるポンプドレーザー等の小さくて信頼ができかつ比較的安価なレーザー系が、今日、多光子共焦点顕微鏡がかなり日常的に適用されるのを可能とするために入手できる。
集団における細胞の生物学的不均一性(ブライト(Bright)ら(1989),J.Cell.Physiol.141:410、ジュリアノ,(1996)Cell Motil.Cytoskel.35:237))ならびに細胞内に存在する化学および分子情報の高い空間的および時間的頻度の組合せは、現存の全マイクロタイタープレートリーダーを用いて脂肪の集団から高含有量情報を抽出するのを不可能とする。個々に分析される細胞を用いる多色蛍光ベースのスクリーニングでは、高含有量スクリーニングプラットフォームでデザインされたものは現存しない。同様に、特にマイクロタイタープレートで増殖した細胞からHCS分析によって同定される細胞応答を誘導する能力につき化合物を組織的にスクリーニングする目的で、自動流体送達を細胞のアレインに組み合わせる方法現在利用できない。さらに、1つのアッセイで「ヒット」を同定するための高スループットウェル間測定、続いてのヒットと同定されたウェルのみの同一プレートについての第2の高含有量細胞間測定を組み合わせる方法は当該分野では存在しない。
本発明は、多くの細胞スクリーニング様式を蛍光ベースの分子試薬およびコンピュータベースの特徴抽出、データ解析、および自動化と組み合わせることによって標的の有効化および候補の最適化を有意に改良し、その結果データ収集の質およびスピードの増加、サイクル時間の短縮化、および最終的には有用な薬物候補のより早い評価をもたらす高スループットスクリーニング(HTS)および高含有量スクリーニング(HCS)を組み合わせるシステム、方法およびスクリーニングを提供する。また、本発明は、各アッセイで必要な試薬およびテスト化合物の容量を減少させつつ、この方法を小型化し、それにより増大したスループットを可能とすることを提供する。
本発明の一つの特徴は、位置のアレイに蛍光レポータ分子を含有する細胞を提供し、位置のアレイにおける細胞を1以上の試薬で処理し、各位置における多数の細胞を蛍光光学でイメージングし、光学情報をデジタルデータに転換し、デジタルデータを利用して細胞中の蛍光標識レポータ分子の分布、環境または活性および細胞の分布を測定し、次いで、生物学的機能についてテストすべき化合物の陽性効果、陰性効果、または無効果の項目につきその情報を解釈することを含む細胞の分析方法に関する。
この実施形態において、この特徴に係る方法は、特定の生物学的機能に特異的に影響するものにつき非常に多数の化合物をスクリーニングする目的で細胞中の蛍光標識レポータ分子の分布、環境または活性を迅速に測定する。位置のアレイは、マイクロタイタープレート、または位置のアレイに細胞を有するマイクロプレートであるマイクロチップであって良い。好ましい実施形態において、この方法は受領したデータを取得し、処理し、表示し、保存するためのコンピュータ化手段を含む。好ましい実施形態において、この特徴に係る特徴に係る方法は、さらに、細胞のアレイへの自動流体送達を含む。別の好ましい実施形態において、同一プレートでの高スループット測定から得られた情報を用いて、プレート上の細胞位置のサブセットのみについて選択的に高含有量スクリーニングを行う。
本発明の他の特徴は、
・顕微鏡対物レンズを有する高倍率蛍光光学系、
・細胞のアレイを含有するプレートを保持し、適当な整列のためにプレートを移動させ、細胞アレイ上に焦点を合わせるための手段を有するのに適したXY段階、
・デジタルカメラ、
・細胞アレイに励起光を向けるための光学手段および細胞から放出された蛍光をデジタルカメラに向けるための手段、および
・デジタルカメラからのイメージを受け取るためのデジタルフレームグラバー、使用者対話のためのディスプレイおよびアッセイ結果のディスプレイ、データの保存および検索のためのデジタル記録媒体、結果の制御、取得、処理および表示のための手段を含み、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り、それを処理するためのコンピュータ手段とを具備する細胞スクリーニングシステムを提供することである。
好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステムは、さらに、データを表示するためのコンピュータと操作可能に関連するコンピュータ画面を含む。
別の好ましい実施形態において、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り、それを処理するためのコンピュータ手段はこのデータをバイオインフォマティクスデータベースに保存する。さらなる好ましい実施形態において、この細胞スクリーニングシステムは、さらに、多くのまたは全てのウェルからのシグナルを平行して測定するリーダーを含む。別の好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステムは、さらに、システムの倍率を変化させて、高スループットおよび高含有量スクリーニングの間のモードの変化を可能とする機械、光学手段を含む。別の好ましい実施形態において、この細胞スクリーニングシステムは、さらに、細胞を生かしておくために必要なレベルにプレートの周囲の温度、CO濃度および湿度を維持するためのチャンバーおよび制御システムを含む。さらなる好ましい実施形態において、この細胞スクリーニングシステムは共焦点走査照明および検出システムを利用する。
本発明のさらに他の特徴は、特異的細胞の構成要素およびプロセスの分布および活性を規定するための手法を実行させるための指令の組を含有するプログラムを含む機械読み取り可能記録媒体を提供することである。好ましい実施形態において、この細胞スクリーニングシステムは、細胞を保持するのに適した段階および段階を移動させるための手段を備えた高倍率蛍光光学系、デジタルカメラ、デジタルカメラからデジタルデータを受け取り、それを処理するための光源、およびデジタルカメラからのデジタルデータを受け取り、それを処理するためのコンピュータ手段を含む。機械読み取り可能記録媒体の好ましい実施形態は、細胞スクリーニングシステムが、図9、11、12、13、14または15に記載された手法を実行させるための指令の組を含むプログラムを含む。別の好ましい実施形態は、細胞スクリーニングシステムが、特異的細胞の構成要素およびプロセスの分布および活性を検出するための手法を実行させるための指令の組からなるプログラムを含む。最も好ましい実施形態において、細胞プロセスは、限定されるものではないが、タンパク質の核移動、細胞肥大、アポトーシス、およびタンパク質のプロテアーゼ−誘導移動を含む。
別の好ましい実施形態において、転写因子活性、プロテインキナーゼ活性、細胞形態、微小管構造、アポトーシス、受容体内部化、タンパク質のプロテアーゼ−誘導移動および神経突起成長に影響する化合物を解析し、同定するためのスクリーニングを含めた種々の細胞スクリーニング方法を提供することである。
全ての引用された特許、特許出願および他の文献は、参照してその全体に組み込まれる。
本明細書中で用いるように、以下の用語は特定の意味を有する:
細胞ドメインのマーカ。特異的小器官または分子を含めた特異的細胞構成要素に対して高親和性を有するルミネセンスプローブ。これらのプローブは、「標識試薬」「環境インジケータ」または「バイオセンサー」として使用される小さなルミネセンス分子または蛍光タグ付きマクロ分子いずれかであり得る。
標識試薬。標識試薬は、限定されるものではないが、蛍光タンパク質アナログおよびバイオセンサーを含めたルミネセンス標識マクロ分子、緑色蛍光タンパク質およびその突然変異体とで形成されたものを含めたルミネセンスマクロ分子キメラ、生理学的応答に関与する細胞抗原と反応するルミネセンス標識一次または二次抗体、ルミネセンス染料、色素および他の小分子を含む。
細胞移動のマーカ。いくつかの細胞プロセスまたは生理学的応答の間に1つの細胞ドメインから別のドメインに移動するルミネセンスタグ付きマクロ分子または小器官。移動マーカは細胞ドメインのマーカに対する単にレポート位置であり得るか、あるいはそれらは同様にいくつかの生化学または分子活性を報告する「バイオセンサー」でもあり得る。
バイオセンサー。生物学的機能ドメインおよび内部またはその表面いずれかで起こる環境の変化を報告するルミネセンスプローブまたは複数プローブからなるマクロ分子。これらの変化を検知しそれを報告するほうにデザインされたルミネセンス標識マクロ分子のクラスは「蛍光−タンパク質バイオセンサー」と呼ばれてきた。バイオセンサーのタンパク質成分は高度に進化した分子認識部位を提供する。活性部位に隣接するタンパク質成分に付着した蛍光分子は、環境の変化を蛍光シグナルに変化させ、これは本発明の細胞スクリーニングシステム等の適当な時間および空間分解能を持つシステムを用いて検出される。生細胞内の天然タンパク質活性の変調は可逆的であるので、かつ蛍光−タンパク質バイオセンサーはタンパク質活性の可逆的変化を検知するようにデザインできるので、これらのバイオセンサーは実質的に再使用可能である。
病気関連配列。(「DAS」)。この用語は、薬物候補化合物についてのように、一次DNA配列データ等の標準的な技術、減算ハイブリッド形成およびRADE等のゲノム方法、および逆遺伝子学と組み合わせたプロテオミック方法によって同定された核酸配列をいう。この用語は、配列が病気状態に関連するに過ぎないということを意味しない。
高含有量スクリーニング(HCS)を用いて、シグナル変換経路等の複雑な分子事象、ならびに限定されるものではないがアポトーシス、細胞分裂、細胞接着、移動、エキソサイトーシスおよび細胞間通信を含めた細胞機能に対する薬物の効果を測定することができる。多色蛍光は複数の標的および細胞プロセスが単一のスクリーニングでアッセイできることを可能とする。細胞応答の交差−相関は標的の有効化およびリード最適化に要する価値のある情報を生じるであろう。
本発明の1つの態様において、顕微鏡対物レンズ、細胞を保持する位置のアレイを備えたプレートを保持し、顕微鏡対物レンズとこの位置を整列させるためにプレートを移動させるための手段を有するXY段階、および焦点合わせを行う方向にプレートを移動させるための手段を有する高倍率蛍光光学系、デジタルカメラ、位置のアレイにおける細胞に励起光を向けるための光学手段および細胞から放出された蛍光をデジタルカメラに向けるための手段を有する光源、およびデジタルカメラからのデジタルデータを受け取りそれを処理するためのコンピュータ手段、ここに、このコンピュータ手段はこのカメラからのイメージを受け取るためのデジタルフレームグラバー、使用者対話のためのディスプレイおよびアッセイ結果のディスプレイ、データの保存および検索のためのデジタル記録媒体、および結果の制御、取得、処理および表示のための手段を含む、を含む細胞スクリーニングシステムを提供することである。
図1は細胞走査システムの好ましい実施形態の概略図である。このカメラに対して1−100倍の倍率を持つ標準的な対物レンズ、および電源2を備えた白色光源(例えば、100Wの水銀灯ランプまたは75Wキセノンランプ)を用いるツァイス・アキシオバート(Zeiss Axiovert)倒立蛍光顕微鏡等の倒立蛍光顕微鏡1を用いる。顕微鏡対物レンズ上方にXY方向にプレート4を移動させるためのXY段階3がある。Z−軸焦点駆動5は焦点合わせのために対物レンズをZ方向に移動させる。操作レバー6はXYZ方向の段階の手動移動を提供する。高分解能デジタルカメラ7はプレート上の各ウェルまたは位置からイメージを取得する。カメラ電源8、自動コントローラ9および中央処理ユニット10がある。このPC11はディスプレイ12を提供し、関連するソフトウェアを有する。プリンタ13はハードコピーレコードの印刷を提供する。
図2は本発明の顕微鏡アセンブリ1の1つの実施形態の概略図であり、詳細に、XY段階3、Z−軸焦点合わせ駆動5、操作レバー6、光源2、および自動コントローラ9を示す。コンピュータ15および顕微鏡16へのケーブルが各々設けられる。加えて、図2はXY段階3上にXY方向に移動する96ウェルのマイクロタイタープレート17を示す。抗原2からの光はPC制御のシャッター18を通って励起フィルタ20を備えた電動フィルタホイール19へと通過する。この光は、ダイクロイックミラー26および発光フィルタ27を有するフィルタキューブ25に通過する。励起光はこのダイクロイックミラーで反射されてマイクロタイタープレート17中のウェルに向かい、蛍光28はダイクロイックミラー26および発光フィルタ27を通ってデジタルカメラ7へと通過する。
図3は好ましいカメラアセンブリの概略図を示す。露出制御のための自動シャッターおよび電源31を含有するデジタルカメラ7は顕微鏡アセンブリからの蛍光28を受け取る。デジタルケーブル30はデジタルシグナルをコンピュータにまで輸送する。
上述した標準的な光学配置は、カメラセンサー上の検体の拡大されたイメージを直接的に生じさせて、この検体の高分解能イメージを取得するための顕微鏡光学を使用する。この光学系は通常「広視野」顕微鏡といわれる。当業者であれば、検体の高分解能イメージは、限定されるものではないが、検体にわたって操作した照明の焦点を合わせた点または線の標準的な走査共焦点検出(ゴーら,1997,上記)、および多光子走査共焦点顕微鏡(デンクら,1990,上記)(これらの双方はCCD検出器にて、または光電子増倍管のアナログ出力の同調デジタル化によってイメージを形成できる)を含めた種々の他の光学系によって生じさせることができるのを認識できるであろう。
スクリーニング適用において、しばしば、特定の細胞系または一次細胞培養を用いて、それらの細胞の特定の特徴を利用するのが必要である。細胞培養の分野の当業者であれば、いくつかの細胞系は接触阻止され、それらは他の細胞に囲まれるようになると増殖を停止することを意味し、他方、他の細胞はそれらの条件下で継続して増殖し、細胞は文字通り積みあがり、多くの層を形成することを認識するであろう。そのような細胞系の例はHEK293(ATCC CRL−1573)系である。多層調製物における単一の細胞層のイメージを取得できる光学系が、層を形成する蛍光にある細胞系での使用に必要である。広視野顕微鏡の大視野深度は、多くの層の細胞を通じての投影であるイメージを生じ、層−形成細胞で極端に困難な細胞下空間分布の解析を行う。別の方法として、共焦点顕微鏡で達成することができる非常に狭い視野深度(約1ミクロン)は高分解能にて単一の細胞層の区別を可能とし、細胞下空間分布の測定を単純化する。同様に、蛍光寿命イメージング等の検出モードが必要な場合には共焦点イメージングが好ましい。
顕微鏡のための標準的共焦点イメージングアタッチメントの出力はデジタルイメージであり、これは上述した他の細胞スクリーニングシステムの実施形態によって生じるイメージと同一の様式に変換でき、従って、イメージと正確に同一の方法で処理できる。この実施形態における全制御、取得および解析は実質的に同一である。共焦点顕微鏡システムの光学配置は、照明器および検出器を除いて上述したものに実質的に同一である。共焦点顕微鏡に必要な照明および検出系は、本発明のもののような標準的な顕微鏡光学系に取り付けられるアクセサリとしてデザインされてきた(ツァイス(Zeiss),ドイツ国)。従って、これらの別の光学系は上述した体系に容易に取り込むことができる。
図4は、参照してその全体に組み込まれる同時係属米国出願S/N 08/865,341に記載された、細胞アレイがマイクロプレート41上のマイクロウェル40にある本発明の別の実施形態を示す。典型的には、このマイクロプレートは、86mm×129mmである標準的な96ウェルのマイクロタイタープレートと比較して20mm×30mmである。マイクロプレート上の細胞のより高い密度のアレイは、高スループットで画素当たり数ミクロンの低分解能にてイメージされることを可能とし、このマイクロプレート上の特定の位置が画素当たり0.5ミクロン未満の高分解能にてイメージされることを可能とする。これらの2つの分解能濃度は、この系の全スループットを改良することを助ける。
マイクロプレートチャンバー42は化合物の細胞への添加のためのミクロ流動送達システムとして働く。マイクロプレートチャンバー42中のマイクロプレート41はXYマイクロプレートリーダー43に入れられる。デジタルデータは上述したように処理される。このマイクロプレートシステムの小さなサイズはスループットを増加させ、試薬容量を最小化し、速くて正確な細胞ベースの分析のための細胞の分布および設置の制御を可能とする。処理されたデータはPC画面11上に表示でき、バイオインフォマティクスデータベース44の一部をなす。このデータベースは本発明の方法を通じて得られたデータの保存および検索を可能とするのみならず、細胞に関する外部データの取得および保存を可能とする。図5は、ソフトウェアの操作を説明するPCディスプレイである。
代替実施形態において、高スループットシステム(HTS)は同一プラットホーム上または(ローカルエリアネットワークを介して)電子的に結合した2つの別々のプラットフォーム上のHCSと直接連結される。デュアルモード光学系と言われる本発明のこの実施形態は、それをHTSと連結させることによってHCSのスループットを増加させる利点を有し、それにより、連結したHTSにおける応答を示すウェルの小さなサブセットについてのみより遅い高分解能データ取得および分析を要する。
高スループット「全プレート」リーダーシステムは当該分野でよく知られており、多数の化合物をスクリーニングするのに使用されるHTSシステムの成分として通常は使用される(ベグス(Beggs)(1997),J.of Biomolec.Screening 2:71−78、マーカフレー(Macaffrey)ら(1996)J.Biomolec.Screening 1:187−190)。
デュアルモード細胞ベースのスクリーニングの1つの実施形態において、高スループット取得が1つのプラットフォームで起こり、高含有量取得が第2のプラットフォームで起こる2つのプラットフォーム構築体を提供することである。(図6)。処理は各プラットフォームで独立して起こり、結果はネットワークインターフェ-スを通過し、あるいは単一のコントローラを用いて両プラットフォームからのデータを処理する。
図6に示すように、例示された2つのプラットフォームデュアルモード光学系は2光の光学装備、高スループット60および高含有量プラットフォーム65よりなり、これはマイクロプレート上のマイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイ中で培養した細胞から放出された蛍光シグナルを読み取り、電子的結合64を介して相互に通信する。高スループットプラットフォーム60は全プレート中の全てのウェルを平行してまたは迅速系列様式いずれかで分析する。スクリーニングの分野の当業者であれば、デュアルモード細胞ベースのスクリーニングシステムに取り込むことができる多くのそのような商業的に入手可能な高スループットリーダーシステムがあることを認識するであろう(Topcount(パッカード・インスツルメント社(Packard Instruments),Meriden,CT)、Spectramax,Lumiskan(モレキュラー・デバイス社,Sunnyvale,CA)、Fluoroscan(ラブシステムズ(Labsystems),Beverly,MA))。上述した高含有量プラットフォーム65はウェル間を走査し、ウェル内の個々の細胞から収集された高分解能イメージデータを取得し、それを分析する。
システムのコンピュータ62に存在するHTSソフトウェアは高スループット装備を制御し、結果はモニター61に表示される。そのコンピュータのシステム67に存在するHCSソフトウェアは高含有量装備ソフトウェア65、および任意のデバイス(例えば、プレートローダー、環境チャンバー、流体ディスペンサー)を制御し、プレートからのデジタルイメージデータを分析し、結果をモニター66に表示し、取り込まれたデータベースで測定されたデータを管理する。また、2つのシステムは単一のコンピュータを共有し、この場合、全てのデータは、データを移動するためのローカルエリアネットワークの必要性なくして、そのコンピュータで収集され、処理され、表示される。マイクロタイタープレートは、当該分野で知られているように、手動により、またはロボットプレート移動デバイスによって、高スループットシステムから高含有量システム63に移動される(ベグス(1997),上記、マーカフレー(1996),上記)。
好ましい実施形態において、デュアルモード光学系は単一のプレートシステムを利用する(図7)。それは、2つの別々の光学モジュール、HCSモジュール203およびHTSモジュール209よりなり、これは、一度に1つのみを用いてマイクロタイタープレート201からのデータを収集することができるように、独立してまたは集合的に移動させることができる。マイクロタイタープレート201は電動X,Y段階に設置され、そこで、それはHTSまたはHCSモードいずれかでのイメージングのために位置させることができる。後記するHTSデータを収集し、それを分析した後、HTS光学モジュール209を光路から外して移動させ、HCS光学モジュール203が所定の位置に移動される。
HTS209についての光学モジュールは投影レンズ214、励起波長フィルタ213およびダイクロイックミラー210よりなり、これを用いて、通常の顕微鏡ランプシステム(図示せず)からの特異的波長のバンドでプレート上の全底部を照明する。蛍光発光は、センサー215を備えたカメラ216上にイメージを形成するレンズ212によってダイクロイックミラー210および発光波長フィルタ211を通じて収集される。
HCS203についての光学モジュールは投影レンズ208、励起波長フィルタ207、ダイクロイックミラー204よりなり、これを用いて顕微鏡対物レンズ202の裏開口を照明し、それにより、標準的顕微鏡照明システム(図示せず)からその対物レンズの視野を照明する。蛍光発光は顕微鏡対物レンズ202によって収集され、ダイクロイックミラー204および発光波長フィルタ205を通って通過し、センサー215を備えた同一カメラ216上にイメージを形成するチューブレンズ206によって焦点を結ぶ。
本発明の別の実施形態において、細胞スクリーニングシステムは、さらに、細胞スクリーニングの方法の生細胞実施形態での使用のための流体送達デバイスを含む(以下参照)。図8は本発明のシステムで用いる流体送達デバイスを例示する。それは単一のモータ駆動によって駆動される12のシリンジポンプ701のバンクからなる。各シリンジ702は各ウェルへ送達されるべき容量、典型的には、1および100μLの間に従ったサイズとされる。各シリンジは柔軟なチューブ703を介して、標準的なピペット先端705を許容するコネクタの同様のバンクに付着される。ピペット先端のバンクは駆動システムに付着され、従って、それは、マイクロタイタープレート706に対して下降および上昇させて各ウェルへ流体を送達することができる。このプレートはX,Y段階に設置され、データ収集目的で光学系707に対する移動を行う。この設定はピペット先端の1つの組、または単一のピペット先端のみでさえプレート上の全てのウェルに試薬を送達するのを可能とする。シリンジポンプのバンクを用いて同時に12のウェルに、または先端のいくつかを除くことによってより少数のウェルに流体を送達することができる。
別の態様において、本発明は、複数細胞を含有する位置のアレイを提供し、ここに、この細胞は1以上の蛍光レポータ分子を含有し、細胞を含有する位置の各々における複数細胞を走査して、細胞中の蛍光レポータ分子からの蛍光シグナルが得られ、蛍光シグナルをデジタルデータに変換し、次いで、このデジタルデータを用いて、細胞内の蛍光レポータ分子の分布、環境または活性を測定することを含む細胞の分析方法を提供する。
細胞アレイ
特定の生物学的機能に関する活性についての非常に多数の化合物のスクリーニングは、細胞および試薬の平行した取り扱いのために細胞のアレイを調製することを必要とする。9mmピッチの6mm直径のウェルを備えた、86mm×129mmである標準的な96ウェルのマイクロタイタープレートは、現行の自動ローディングおよびロボット取り扱いシステムでの適合性にて使用される。このマイクロプレートは典型的には20mm×30mmであり、約500ミクロンのピッチで寸法が100−200ミクロンである細胞位置を備えている。マイクロプレートを作成する方法は、参照してその全体に組み込まれる米国特許出願番号08/865,341に記載されている。マイクロプレートは、それに細胞が付着しない材料でパターン化された、それに細胞が接着する材料の共平面層、または同様にパターン化された材料のエッチングされた三次元表面からなることができる。以下の議論の目的では、用語「ウェル」および「マイクロウェル」とは、それに細胞が接着し、その中で細胞がイメージされるいずれかの構築物のアレイにおける位置をいう。マイクロプレートはウェルの間の空間に流体送達チャネルを含むことができる。マイクロプレートの同様の様式は、調製の間の試薬、保存および取り扱いの量ならびに走査操作に必要な全移動を最小化することによって、システムの全効率を増加させる。加えて、マイクロプレートの全領域はより効果的にイメージすることができ、本明細書中で後に説明するようにマイクロプレートリーダーのための第2のモードの操作を可能とする。
蛍光レポータ分子
新しい薬物発見のパラダイムの主要な要素は、細胞内イオン、代謝産物、マクロ分子および小器官の時間的および空間的分布、含有量および活性を測定するのに使用される継続的に増大する一群の蛍光および蛍光試薬である。これらの試薬のクラスは、生細胞および固定細胞における分子の分布および量、時間および空間におけるシグナル変換事象を報告するための環境インジケータ、および生細胞の標的分子活性を測定するための蛍光タンパク質バイオセンサーを測定する標識試薬を含む。単一の細胞中でいくつかの試薬を組み合わせるマルチパラメータアプローチは薬物発見のための強力な新しいツールである。
本発明の方法は、特異的細胞成分に対する蛍光またはルミネセンス分子の高親和性に基づく。特異的成分に対する親和性は、イオン相互作用、共有結合(これは、タンパク質ベースの発色団、フルオロフォア、およびルミフォアを含む)、ならびに疎水性相互作用、電気的ポテンシャル、およびある場合には、細胞成分内での単純な取得等の物理的力によって支配される。ルミネセンスプローブは、限定されるものではないが緑色蛍光タンパク質キメラを含めた、小分子、標識されたマクロ分子、または遺伝子工学作成タンパク質であり得る。
当業者であれば、限定されるものではないが、タンパク質、リン脂質およびDNAハイブリダイジングプローブ等の蛍光標識生体分子を含めた、広く種々の蛍光レポータ分子を本発明で用いることができるのを認識するであろう。同様に、特異的に結合または会合の特定の化学的特性で合成された蛍光試薬が蛍光レポータ分子として使用されてきた(バラク(Barak)ら(1997),J.Biol.Chem.272:27497−27500、サウスウィック(Southwick)(1990),Cotometry 11:418−430、ツシーン(1989)in Methods in Cell Biology,Vol.29 テーラーおよびワン(Wang)(編),127−156頁)。蛍光標識抗体は、細胞または組織としての複合体としての分子の混合物中の単一分子標的に付着させるためのそれらの高度な特異性のため特に有用なレポータ分子である。
ルミネセンスプローブは生細胞内で合成することができるか、あるいは拡散、促進または能動輸送、シグナル配列−媒介輸送、およびエンドサイトーシスまたはピノサイトーシス摂取を含めたいくつかの非機械的モーデを介して細胞に輸送することができる。当該分野でよく知られた機械的バルクローディング方法を用いて、ルミネセンスプローブを生細胞に負荷することもできる(バーバー(Barber)ら(1996),Neuroscience Letters 207:17−20、ブライトら(1996),Cytometry 24:226−233、McNeil(1989)in Methods in Cell Biology,Vol.29,テーラーおよびワン(編),153−173)。これらの方法はエレクトロポレーションおよびスクレイプ−ローディング、ビード−ローディング、インパクト−ローディング、シリンジ−ローディング、低張および高張ローディング等の他の機械的方法を含む。加えて、細胞を遺伝子工学的に作成して、上述した注目するタンパク質に連結された、GFP等のレポータ分子を発現するようにすることができる(チャルフィー(Chalfie)およびプラッシャー(Prasher),米国特許第5,491,084号、キュビット(Cubitt)ら(1995),Trends in Biochemical Science 20:448−455)。
一旦細胞内に入れば、ルミネセンスプローブは、標的ドメインとの特異的かつ高親和性相互作用の結果として、あるいはシグナル配列−媒介輸送等の分子標的化の他の様式にてそれらの標的において蓄積する。蛍光標識レポータ分子は、レポータの位置、量および化学的環境を測定するのに有用である。例えば、レポータが親油性膜中にあるか、またはより水性の環境にあるかは決定することができる(ジュリアノら(1995),Ann.Rev.of Biophysics and Biomolecular Structure 24:405−434、ジュリアノおよびテーラー(1995),Methods in Neuroscience 27:1−16)。レポータのpH環境は測定することができる(ブライトら(1988),J.Cell Biology 104:1019−1033、ジュリアノら(1987),Anal.Biochem.167:362−371、トーマス(Thomas)ら(1979),Biochemistry 18:2210−2218)。キレート化基を有するレポータがCa++等のイオンに結合しているか否かは測定することができる(ブライト(1989),In Methods in Cell Biology,Vol.30,テーラーおよびワン(編),157−192、シモウラ(Shimoura)ら(1988),J.of Biochemistry(Tokyo)251:405−410、ツシーン(1989)In Methods in Cell Biology,Vol.30,テーラーおよびワン(編),127−156)。
さらに、生物内のある細胞タイプは、特異的に標識することができる成分を含有することができ、これは他の細胞タイプでは起こり得ない。例えば、上皮細胞は、しばしば、極性化膜成分を含有する。すなわち、組織細胞は、それらの原形質膜に沿ってマクロ分子を非対称に分布させる。結合もしくは支持組織は、しばしば、その細胞型に特異的な分子(例えば、ヘパリン、ヒスタミン、セロトニン等)がそれに取得される顆粒を含有する。ほとんどの筋肉組織細胞は筋形質小胞体、その機能が細胞質内のカルシウムイオンの濃度によって調節されるべき特殊化された小器官を含有する。多くの神経組織細胞は、神経ホルモンまたは神経伝達物質がそこに取得されている、分泌顆粒および小胞体を含有する。従って、蛍光分子は、特異的細胞内の特異的成分のみならず、混合された細胞型の集団内の特異的細胞も標識するようにデザインできる。
当業者であれば、蛍光を測定する広く種々の方法を認識するであろう。例えば、いくつかの蛍光レポータは励起または発光スペクトルの変化を呈し、いくつかは1つの蛍光レポータが蛍光を失い、他方、第2のものが蛍光の利得を得る共鳴エネルギー移動を呈し、いくつかは蛍光の喪失(消光)または出現を呈し、他方、いくつかは合理的移動を報告する(ジュリアノら(1995),Ann.Rev.of Biophysics and Biomol.Structure 24:405−434、ジュリアノら(1995),Methods in Neuroscience 27:1−16)。
走査細胞アッセイ
図9を参照し、実行されるべきアッセイに基づいて選択されるべきオペレータ−指向性パラメータ、試料内の蛍光シグナルの分布についての細胞スクリーニングシステムによるデータ取得、および対話形式のデータレビューおよび解析を含む細胞を分析するための好ましい実施形態が提供される。自動走査の開始において、オペレータは、試料を説明する情報100を入力し、フィルタ設定および蛍光チャネルを測定して、使用される生物学的標識および求められる情報を適合させ、カメラ設定を調整して、試料の明るさを適合させる。ある範囲の試料を取り扱う柔軟性のためには、ソウトウェアは、核および細胞質を同定するのに使用される種々のパラメータ設定の選択および異なる蛍光試薬の選択、形態または明るさに基づく注目する細胞の同定、およびウェル当たりの分析すべき細胞の数の同定を可能とする。これらのパラメータは、各自動実行につき容易な検索のために、システムに保存される。このシステムの対話形式細胞同定モードは、分析すべき細胞のサイズ、形状および同一性の範囲等の形態学的パラメータの限界の選択を単純化する。使用者は、プレートのいずれのウェルをシステムが走査するか、およびいくつの視野およびいくつの細胞を各ウェルで分析すべきかを特定する。
工程101において使用者によって選択された設定に基づいて、システムは、プレート102の「焦点を見出す」ためのオートフォーカス手法を用いて走査されるべきプレートの領域を自動的に予め焦点合わせし、あるいは使用者は、走査されるべき三角形領域を規定する3つの「タグ」点を選択することによって走査領域を予め焦点合わせする103。次いで、それらのタグ点から最小二乗適合「焦点面デモル」を計算して、自動走査の間に各ウェルの焦点を評価する。各ウェルの焦点は、走査の間に焦点面モデルから内挿することによって評価される。
自動走査の間に、ソウトウェアは、分析された細胞の数、分析されるべき現在のウェル、それらが取得しつつある各独立した波長のイメージ、およびそれが決定されつつある各ウェルのイメージを含めた、走査状態を動的に表示する。プレート4(図1)はサーペンタインスタイルで走査される。なぜなら、ソウトウェアは、96−ウェルプレートの各ウェル内のウェル間および視野間から電動顕微鏡XY段階3を自動的に移動させるからである。プログラミングの分野の当業者であれば、24、48および384ウェルプレート等の他のマイクロプレート様式の走査のためにソウトウェアをいかにして適合させるかを認識するであろう。
全プレートの走査パターンならびに各ウェル内の視野のパターンがプログラムされる。システムは、Z軸焦点駆動5を介してオートフォーカス手法104(図9)で試料の焦点を調整し、電動フィルタホイール19を介してフィルタ選択を制御し、4つの異なる色(「チャネル」または「波長」)からなるイメージを取得し解析する。
オートフォーカス手法は、典型的には、各ウェル内の、各ウェル中で第1の視野、次いで各4−5の視野毎に1回、使用者が選択した頻度で呼ばれる。オートフォーカス手法は、予め計算された面焦点モデルから内挿することによって出発Z−軸を計算する。この設定点を超えるまたはそれ未満のプログラム可能な距離で出発し、この手法は、多数の異なる位置を介して機械的Z−軸を指導させ、各地点でイメージを取得し、各イメージのコントラストを評価する計算された焦点スコアの最大を見出す。最大焦点スコアを持つイメージのZ位置は、特定の視野のための最良焦点を決定する。当業者であれば、ハームス(Harms)ら,in Cytometry 5(1984),236−243,Gronenら,in Cytometry 6(1985),81−91,およびファイヤストン(Firestone)ら,in Cytometry 12(1991),195−206に記載された自動焦点合わせ方法の変形としてこれを認識するであろう。
イメージ取得では、カメラの露出時間は、各色素につき別々に調整されて、各チャネルからの最高品質のイメージを保証する。ソフトウェア手法は、使用者のオプションにより、いずれかのさらなる測定をなす前に波長間で線状(XおよびY)シフトを説明することによって、波長間の登録シフトを修正するために呼ぶことができる。電子シャッター18は、試料フォト−ブリーチングが最小に保持されるように制御される。バックグラウンド遮光および不均一な照明は、当該分野で知られている方法を用いるこのソフトウェアによって修正することができる(ブライトら(1987),J.Cell Biol.104:1019−1033)。
1つのチャネルにおいて、適合した閾値設定手法を用いて分割される(「同定される」)一次マーカ105(図9)(典型的には、DAPIまたはPI蛍光色素で逆染色された細胞核)からイメージが取得される。この適合閾値設定手法106を用いてバックグラウンドから細胞を分離するため、イメージの閾値を動的に選択する。蛍光色素での細胞の染色は、マイクロタイタープレート試料中の細胞を横切って、並びにマイクロタイタープレートの各ウェル内の細胞の視野のイメージ内で未知の程度変化し得る。この変化は、試料の調製および/または細胞の動的性質の結果として起こり得る。全体的閾値は、バックグラウンドから細胞を分離し、視野間変化を説明するために、完全なイメージについて計算される。
これらの全体的結合技術は当該分野で記載されているものの変形である。(キトラー(Kittler)ら,in Computer Vision,Graphics and Image Processing 30(1985),125−147,リドラー(Ridler)ら,in IEEE Trans.Systems,Man,and Cybernetics(1978),630−632)。
別の適合閾値設定方法は、全体的イメージ閾値設定とは対照的に、局所領域閾値決定を利用する。局所領域のイメージ分析は、良好な総じての細分化に導く。
なぜなら、細胞核(ならびに他の標識成分)の染色はイメージを横切って変化し得る。この全体的/局所的手法を用い、減少した分解能イメージ(2から4の因子だけサイズが減少)を、(適合閾値設定を用いて)まず全体的に分割して、イメージ中の注目する領域を見出す。次いで、これらの領域を、十分な分解能において同一領域をより十分に分析するためのガイドとして働かせる。次いで、(再度、適合閾値設定を用いて)注目する各領域につき、より局所化された閾値を計算する。
細分化手法の出力は、物体が白色であって、バックグラウンドが黒色であるバイナリーイメージである。当該分野でマスクとも呼ばれるこのバイナリーイメージを用いて、視野が物体107を含有するかを決定する。このマスクを小斑点標識方法で標識し、それにより、各物体(または小斑点)は、それに帰属されるただ1つの数を有する。この小斑点の面積および形状等の形態学的特徴を用いて、人口物と考えられるものから細胞であるように見える小斑点を区別する。既知の細胞の形態学的特徴においてタイプ分けすることによって、あるいは対話形式トレーニング用途を用いることによって、使用者は形態学的選択基準をあらかじめ設定する。注目する物体が視野で見出されれば、すべての他の活性はチャネル108についてイメージを取得し、そうでなければ、段階を現在のウェル中の次の視野109に進める。注目する各物体をさらなる分析110のためにイメージ中に位置させる。その形態学的特徴(サイズおよび形状)を測定することによって、このソウトウェアは、物体が有効な細胞核111についての基準を満たすかを決定する。各有効な細胞については、XYZ段階の位置を記録し、細胞の小さなイメージを保存し、特徴を測定する112。
多数の分析方法を同時に適用して複数の波長において特徴を測定することによって、本発明の細胞スクリーニング方法を用いて、細胞試料について多くの異なるアッセイを行うことができる。1つのそのようなアッセイの例は以下の測定を提供する:
1.色1−4についての細胞核内の全蛍光強度
2.色1についての細胞核の面積(一次マーカ)
3.色1についての細胞核の形状は:
a)周辺の四角の面積
b)ボックスの面積比
c)高さ幅比
によって記載
4.色1−4についての細胞核内の平均蛍光強度(すなわち、番号1を番号2で割る)
5.色2−4について細胞の細胞質の蛍光を表す(細胞質マスク)核の外側のリングの全蛍光強度(図10参照)
6.細胞質マスクの面積 7.色2−4についての細胞質マスクの平均蛍光強度(すなわち、番号6割る番号6)
8.色2−4についての細胞核内の平均蛍光強度に対する細胞質マスクの平均蛍光強度の比率(すなわち、番号7割る番号4)
9.色2−4についての細胞質マスクの平均蛍光強度および細胞核内の平均蛍光強度の差(すなわち、番号7から番号4を引く)
10.色2−4について、細胞核内の蛍光ドメイン(スポット、ドットまたは粒とも呼ばれる)の数。
特徴1から4は、本発明の異なる細胞スクリーニングアッセイの一般的特徴である。これらの工程は種々のイメージ解析適用で通常用いられ、当該分野でよく知られている(ルス(Russ)(1992)Image Processing Handbook,CRC Press Inc.、ゴンザレス(Gonzales)ら(1987),Digital Image Processing.Addison−Wesley Publishing Co.391−448)。特徴5−9は、細胞の局所細胞質領域内の細胞の蛍光分子および細胞質から核への蛍光分子の移行(すなわち、移動)の測定を供するために特異的に開発された。これらの特徴(工程5−9)は、各移動の阻害用のマイクロプレートにおいて細胞を分析するために使用される。例えば、転写因子の核移動の阻害は、無傷細胞をスクリーニングするための新規なアプローチを提供する(他のタイプのスクリーニングの詳細な例は後に提供する)。具体的な方法は、各細胞の核領域における(特徴4)対局所細胞質領域における(特徴7)プローブの量を測定する。これらの2つの細胞下区画間の差異の定量は、多数の細胞質−核移動(特徴9)を提供する。
特徴10は、色2−4における核領域内のDNAまたはRNAプローブのカウントで用いられるスクリーニングを説明する。例えば、プローブは、染色体−特異的DNA配列を同定するために商業的に入手可能である(ライフ・テクノロジー社(Life Technologies),Gaithersburg,MD、ジェノシス社(Genosys),Woodlands,TX、バイオテクノロジー社(Biotechnologies, Inc.),Richmond,CA、バイオ 101社(Bio 101, Inc.),Vista,CA)。細胞は性質が三次元的であり、顕微鏡下で高倍率で調べると、1つのプローブは焦点内に有り得るが、別のプローブは完全に焦点外となり得る。本発明の細胞スクリーニング方法は、複数の焦点面からイメージを取得することによって、核中の三次元プローブの検出を提供する。このソウトウェアは小工程にてZ−軸モータ駆動5(図1)を移動させ、ここに、広い範囲の異なる核の直径を説明するには、工程距離は使用者が選択する。焦点工程の各々において、イメージが取得される。各イメージ中の各画素からの最大灰色レベル強度が見出され、得られた最大投影イメージに保存される。次いで、最大投影イメージを用いて、プローブをカウントする。この方法は、別のものの上方または下方に直接積まれないプローブをカウントするのによく働く。Z−方向に相互の頂部に積まれたプローブにつきカウントするには、使用者は、取得した焦点面の各々においてプローブを分析するというオプションを選択することができる。このモードにおいて、走査システムは、上述した最大面投影方法を行い、このイメージ中の注目するプローブ領域を検出し、次いで、さらに、すべての焦点面イメージにおいてこれらの領域を分析する。
細胞の特徴112を測定した後(図9)、システムは、現在の視野113にいずれかの未処理物体があるかをチェックする。いずれかの未処理物体があれば、それは次の物体110を位置付け、それが有効な細胞核111についての基準を満たすか否かを決定しその特徴を測定する。一旦現在の視野中の全ての物体が処理されれば、システムは、現在のプレートの分析が完了したか否かを決定する114、完了してなければ、それは現在のウェル115中により多くの細胞を見出す必要性を判断する。その必要性が存在すれば、システムは現在のウェル109内の次の視野にXYA段階を進め、あるいは段階をプレートの次のウェル116に進める。
プレートの走査が完了すれば、イメージおよびデータは、システムのイメージレビュー、データレビュー、および要約レビュー設備でレビューすることができる。走査からの全てのイメージ、データおよび設定は、後のレビューのために、またはネットワーク情報管理システムとインターフェ-スするためにシステムのデータベースで検索される。また、データを他の第3者の統計的パッケージに輸出して、結果を表にし、他の報告を作成することもできる。使用者は、対話形式イメージレビュー手法117を備えたシステムによって分析された各細胞のイメージ単独をレビューすることができる。使用者は、対話形式グラフ、測定された特徴のデータスプレッドシート、および対話形式細胞間データレビュー手法118での注目する細胞の全ての蛍光チャネルのイメージの組合せを用い、細胞間ベースでデータをレビューすることができる。ヒストグラムおよびばらつきプロット等の対話形式グラフを介してデータを解析することができるグラフプロッティング能力が提供される。使用者は、対話形式ウェル間データレビュー手法119でプレートの各ウェル内の全ての細胞について蓄積され、要約される要約データをレビューすることができる。グラフおよびイメージのハードコピーは、広い範囲の標準的なプリンタで印刷することができる。
完全な走査の最終相として、測定された特徴の1以上の統計についてレポートが作成できる。対話形式レポート作成手法120を用い、プレートの走査された領域につきウェル間ベースで要約されたデータのグラフレポートを作成することができる。このレポートは、試料についての表およびグラフ様式および同定情報においてウェルによる統計の要約を含む。レポートウインドゥは、オペレータが、後の検索のために走査についてコメントを入力することを可能とする。複数のレポートが多くの統計について作成でき、1つのボタンに触れて印刷することができる。印字する前に、配置およびデータにつきレポートをあらかじめレビューすることができる。
この方法の上述した実施形態は、高含有量スクリーニング(HCS)モードという単一の高分解能モードで走査される。このHCSモードは、ウェル内、ウェル中の個々の細胞内の物質の分布を規定するための(1μmのオーダーの)ウェル内の十分な空間的分解を提供する。そのモードで接近可能な高度な情報含有量は、必要なシグナル処理のスピードおよび複雑性を犠牲にして出現する。
代替実施形態において、高スループットシステム(HTS)を同一プラットフォーム、または(例えば、ローカルエリアネットワークを介して)電子的に結合された2つの別々のプラットフォームいずれかでHCSに直接連結される。デュアルモード光学システムと言われる本発明のこの実施形態は、それをHCSと連結されることによって、HCSのスループットを増加させる利点を有し、それにより、連結されたHTSにおける応答を示すウェルの小さなサブセットについてのみより遅い高分解能データ取得および分析を必要とする。
高スループット「全プレート」リーダーシステムは当該分野でよく知られており、多数の化合物をスクリーニングするのに用いられるHTSシステムの成分として通常は使用される(ベグスら(1997),上記、マーカフレー(McCaffrey)ら(1996),上記)。本発明のHTSは、十分な分解能にてプレート中の多くのまたは全てのウェルを同時に読んで、ウェル間ベースで測定を行うことによって、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイで行われる。すなわち、各ウェル中の多くのまたは全ての細胞または多量の物質の全シグナル出力を平均することによって計算がなされる。HTSにおいていくつかの規定された応答を呈するウェル(「ヒット」)が、このシステムによって伝えられる。次いで、同一のマイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイについて、ヒットとして同定された各ウェルは上述したようにHCSを介して測定される。
このように、デュアルモードプロセスは以下のものを含む:
1.マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイの多数のウェルの迅速な測定、
2.ウェル間ベースで蛍光標識レポータ分子の全活性を測定して「ヒット」(規定された応答を呈するウェル)を同定するためのデータの解釈、
3.各「ヒット」ウェルにおける多数の細胞のイメージング、および
4.個々の細胞中の蛍光標識レポータ分子の分布、環境または活性(すなわち、細胞内測定)および細胞の分布を測定して、特異的生物学的機能につきテストするためのデジタルイメージデータの解釈。
デュアルモード処理の好ましい実施形態において(図11)、ラン301の開始において、オペレータは、プレートおよびその内容を説明する情報302を入力し、フィルタ設定および蛍光チャネルを特定して、使用される生物学的標識を適合させ、求められる情報およびカメラ設定を測定して、試料の明るさを適合させる。これらのパラメータは、各自動ランについての容易な検索のためにシステムのデータベースに保存される。マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイは、ロボットーローディングデバイスを制御することによって、手動または自動にて細胞スクリーニングシステム303にロードされる。任意の環境チャンバー304はこのシステムによって制御されて、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイ中の生細胞を囲う空気中の温度、湿度およびCOレベルを維持する。任意の流体送達デバイス305(図8参照)は、走査の間に流体をウェルに分注するためのシステムによって制御される。
高スループット処理306は、プレート中のウェルの各々からのシグナルを取得し分析することによって、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイでまず行われる。高スループットモード307で行われる処理は図12に示され、以下に述べる。この高スループットモードにおいていくつかの選択された強度応答を呈するウェル(「ヒット」)はこのシステムによって同定される。このシステムは、ヒットについてテストする条件付操作308を行う。ヒットが見出されれば、それらの特異的ヒットウェルは、さらに、高含有量(ミクロレベル)モード309で分析される。高含有量モード312で行われる処理は図13に示される。次いで、システムは、プレート上の測定の結果と共に情報化学データベース311を更新する310。分析すべきより多くのプレートがあれば313、システムは次のプレート303をロードし、そうでなければ、プレートの分析は終了する314。
以下の議論は、図12に示された高スループットモードを説明する。システムの好ましい実施形態、単一プラットフォームデュアルモードのスクリーニングシステムを説明する。当業者であれば、操作的にはデュアルプラットフォームシステムは、光学を移動させるよりはむしろ2つの光学系の間でプレートを移動させることを単に含む。一旦システムが設定され、プレートがロードされれば、システムはHTS取得および分析401を開始する。HTS光学モジュールは、デュアルモードシステムで電動任意位置決定デバイス402を制御することによって選択される。1つの蛍光チャネルにおいて、プレート上の一次マーカからのデータが取得され403、マスキング手法404を用いてウェルをプレートのバックグラウンドから単離する。また、使用されるべき他の蛍光チャネルでイメージが取得される405。各ウェル406に対応する各イメージ中の領域が測定される407。特定のウェルについての測定から計算された特徴をあらかじめ規定された閾値または強度応答408と比較し、結果に基づいて、ウェルを「ヒット」409として伝え、または伝えない。ヒットとして伝えられたウェルの位置は、引き続いての高含有量モード処理のために記録される。処理すべきウェルが残っていれば410、全てウェルが処理され411、且つシステムが高スループットモードから出るまでプログラムはループバックする406。
HTS分析に続き、システムは図13で規定された高含有量モード処理501を開始させる。このシステムは、電動位置決定システムを制御することによってHCS光学モジュール502を選択する。高スループットモードでよく同定された各「ヒット」では、ウェルのXY段階位置をメモリーまたはディスクから検索し、次いで、段階を選択された段階位置503まで移動させる。各ヒットウェルにおける最初の視野、次いで、各ウェル内の5から8視野ごとに1回、オートフォーカス手法504が求められる。1つのチャネルにおいて、一次マーカ505(典型的には、DAPI、ヘキスト(Hoechst)またはPI蛍光色素で逆染色した細胞核)でイメージが取得される。次いで、適合閾値決定手法506を用いてイメージが分割される(核および非核の領域に分離される)。細分化手法の出力はバイナリーマスクであり、ここに、物体は白色であって、バックグラウンドは黒色である。当該分野でマスクとも呼ばれるこのバイナリーイメージを用いて、視野が物体507を含有するかを決定する。マスクを小斑点標識方法で標識し、それにより、各物体(または小斑点)はそれに帰属されるただ1つの数を有する。物体が視野で見出されれば、全ての他の活性チャネル508でイメージが取得され、そうでなければ、段階は現在のウェル中の次の視野514に進められる。さらなる分析509のために、各物体はイメージ中に位置させる。物体の面積および形状等の形態学的特徴を用いて、細胞核510であるように見える物体を選択し、人工物であると考えられるものを捨てる(それをさらに処理しない)各有効細胞核では、XYZ段階の位置を記録し、細胞の小さなイメージを保存し、アッセイ特異的特徴を測定する511。次いで、いくつかの分析方法を適用していくつかの波長の各々で特徴を測定することによって、システムは細胞について多数のテストを行う。細胞の等張を測定した後、システムは、現在の視野512中にいずれかの未処理物体があるかをチェックする。いずれかの未処理物体があれば、それは次の物体509を位置決定し、それが有効細胞核510についての基準を満たしているか否かを決定し、その特徴を測定する。現在の視野中で全ての物体を処理した後、システムは、それが現在のウェル513中により多くの細胞または視野を見出す必要があるか否かを決定する。現在
の視野中でより多くの細胞または視野を見出す必要があれば、それはXYZ段階を現在のウェル515内の次の視野に進める。そうでなければ、システムは、それが測定すべきいずれかの残りのヒットウェルを有するか否かをチェックする515。そうであれば、それは次のヒットウェル503に進み、取得および分析の別のサイクルを通じて進め、そうでなければ、HCSモードは終了する516。
本発明の代替実施形態において、動的生細胞スクリーニングの方法が提供される。本発明のすでに記載した実施形態を用いて、時間において特定した時点で細胞成分の空間的分布を特徴づける(化学的固定の時間)。それ自体、イメージ取得の順次の性質およびプレート上の全てのウェルを読むのに必要な量のため、これらの実施形態は動的ベースのスクリーニングを実行するための限定された利用性を有する。例えば、プレートは全てのウェルを読み終えるのに30から60分要するので、生細胞のプレートを単に調製し、次いで、1回以上全てのウェルを読み終えることによって、非常にゆっくりとした動的プロセスが測定できるのにすぎない。より速い動的プロセスは、次のウェルに進む前に各ウェルの複数の読みを行うことによって測定できるが、最初および最後のウェルの間に経過する時間はあまりにも長く、速い動的プロセスは最後のウェルに到達する前に完了するようである。
本発明の動的生細胞の延長は、その空間的特徴の代わりに、またはそれに加えてその速度論によって生物学的プロセスを特徴づけるデザインおよびスクリーニングの使用を可能とする。多くの場合、生細胞における応答は、試薬を特異的ウェルに添加し、適当なタイミングでそのウェルについて複数の測定をなすことによって測定することができる。従って、本発明のこの動的生細胞実施形態は、ウェルを読む進行において特定の時点に試薬を各ウェルに送達するためのシステムの個々のウェルへの流体送達用の装置を含む。この実施形態は、それにより、動的測定が、プレートの各ウェルについて数秒から数分の時間的分解でなすことを可能とする。動的生細胞システムの全効率を改良するために、取得制御プログラムを修飾して、プレートのサブ領域からの反復的データ収集を可能とし、システムが個々のウェルに必要な時点の間に他のウェルを読むことを可能とする。
図8は、本発明の生細胞実施形態で用いる流体送達デバイスの一例を記載し、それは上述した。この設定は、ピペット先端705の1つの組、または単一のピペット先端でさえ、プレート上の全てのウェルに試薬を送達するのを可能とする。シリンジポンプ701のバンクを用いて、流体を12のウェルに同時に、または先端705のいくつかを取り除くことによってより少数のウェルに流体を送達することができる。従って、システムの時間的分解は、以下のように、先端および走査パターンの数を変更することによって、データ収集効率を犠牲にすることなく調整することができる。典型的には、単一ウェルからのデータ収集および分析は約5秒を要する。ウェル間の移動およびウェル中の焦点合わせは約5秒要し、従って、ウェルについての全サイクル時間は約10秒である。従って、単一のピペット先端を用いて流体を単一のウェルに送達し、データをそのウェルから反復して収集するならば、測定は約5秒の時間的分解にて行うことができる。6つのピペット先端を用いて流体を6つのウェルに同時に送達し、システムが全ての6つのウェルを反復して走査するならば、各走査は60秒を要し、それにより、時間的分解を確立する。8分ごとにデータ収集を要するにすぎないより遅いプロセスでは、流体送達相の間にプレートを移動させ、次いで、プレートのその半分を反復して走査することによって、流体をプレートの半分まで送達することができる。従って、プレート上で走査すべきサブ領域のサイズを調整することによって、取得の間に待ち時間を挿入する必要なくして時間的分解を調整することができる。システムは継続してデータを走査し取得することができるので、従って、プレートからの動的データ組を収集するための全時間は、単に、プレートの単一走査を行うための時間に必要な時点の数を乗じたものである。典型的には、化合物の添加前の1時点および添加に続いての2または3時点はスクリーニング目的で十分なはずである。
図14は、動的分析で用いられる取得系列を示す。処理801の開始はシステムの配置であり、その多くは標準的なHCS配置と同一である。加えて、オペレータは、サブ領域のサイズ、必要な時点の数、および必要な時間の増分等の、実行すべき動的分析に特異的な情報802を入力しなければならない。サブ領域は、動的データを蓄積するために反復して走査それるウェルの群である。サブ領域のサイズは、単一時間増分の間に全サブ領域を1回走査し、このように、待ち時間を最小化するように調整される。最適サブ領域サイズは設定パラメータから計算され、必要であればオペレータが調整する。次いで、システムはプレートを第1のサブ領域803に、およびそのサブ領域804中の最初のウェルに移動させて、予備刺激(時間=0)時点を取得する。各ウェルで行われる取得系列は、動的モードで実行される特異的HCSで必要はものと正確に同一である。図15はその処理についてのフローチャートを詳細に示す。開始901および復帰902の間の工程の全ては、図13中の工程504−514として記載されたものと同一である。
サブ領域中の各ウェルを処理した後、システムは、サブ領域中の全てのウェルが処理されたか否か806(図14)をチェックし、全領域が処理されるまで全てのウェルを通じてサイクルする。次いで、システムはプレートを流体添加のための位置に移動させ、全サブ領域807への流体の流動システム送達を制御する。これは、プレート上のいくつかの列にわたるサブ領域についての複数添加を必要とし、システムはX,Y段階上のプレートを添加の間に移動させる。一旦流体が添加されれば、システムは第1のウェルをサブ領域808まで移動させて、時点の取得を開始する。データは各ウェル809から取得され、上述したように、システムはサブ領域810中の全てのウェルを通じてサイクルする。各々がサブ領域を通った後、システムは、全ての時点が収集されたか否かをチェックし811、そうでなければ、必要であれば812休み813、必要な時間増分と同調したままとする。そうでなければ、システムはプレート814上のさらなるサブ領域をチェックし、次のサブ領域803まで移動するか、あるいは終了する815。このように動的分析モードは、引き続いてのサブ領域中でのデータ取得に先立ってのサブ領域内でのデータ取得と共に、調べるべき動的応答に基づいて、スクリーニングすべきマイクロタイタープレートまたはマイクロウェルのサブ領域のオペレータによる同定を含む。
特異的スクリーニング
本発明の他の特徴は、細胞スクリーニング方法および特異的細胞構成要素およびプロセスの分布および活性を規定するための手法を細胞スクリーニングシステムが実行させる指令の組を含有するプログラムを含む機械読み取り可能記録媒体を提供することである。好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステムは、細胞を保持するのに適した段階および段階を移動させるための手段、デジタルカメラ、デジタルカメラからのデジタルデータを受領し処理するための光源、およびデジタルカメラからのデジタルデータを受領し処理するためのコンピュータ手段を含む。本発明のこの態様は、細胞スクリーニングシステムが、ルミネセンスプローブ、任意のイメージングシステム、および本発明のパターン認識ソフトウェアを用いて、特異的細胞構成要素およびプロセスの分布および活性を規定するように指令するプログラムを含む。機械読み取り可能記録媒体の好ましい実施形態は、細胞スクリーニングシステムに図9、11、12、13、14または15に記載された手法を実行させるための指令の組からなるプログラムを含む。別の好ましい実施形態は、細胞スクリーニングシステムら、特異的細胞構成要素およびプロセスの分布および活性を検出するための手法を実行させるための指令の組からなるプログラムを含む。最も好ましい実施形態において、細胞プロセスは、限定されるものではないが、タンパク質の核移動、細胞形態、アポトーシス、受容体内部化、およびタンパク質のプロアーゼ−誘導移動を含む。
好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステムを用いて、種々の細胞プロセスを修飾する化合物を同定する。細胞をテスト化合物と接触させ、特定の細胞プロセスに対するテスト化合物の効果を分析することができる。別の方法として、細胞をテスト化合物および特定の細胞プロセスを修飾する既知の剤と接触させて、テスト化合物が既知の剤の効果を阻害または増強するかを測定することができる。このように、この特徴に係る方法を用いて、特定の細胞応答を増加または減少させるテスト化合物を同定し、ならびに特定の細胞応答を増加または減少させる他の剤の能力に影響するテスト化合物を同定することができる。
別の実施例において、高スループットモードで低分解能でこの方法を用いて細胞を含有する位置が分析させ、細胞を含有する位置のサブセットのみが高含有量モードで分析させて、分析すべき細胞の細胞下区画においてルミネセンス標識受容体分子からのルミネセンスシグナルが得られる。
以下の実施の形態は説明目的のためだけを意図し、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定されるものと解釈されるべきではない。
以下の実施の形態で言及される種々の化学化合物、試薬、色素、および抗体は、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical)(St.Louis,MO)、モレキュラー・プローブ社(Molecular Probes)(Eugene,OR)、アルドリック・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(Milwaukee,WI)、アクレート・ケミカル社(Accurate Chemical Company)(Westbury,NY)、ジャクソン・イムノラボ社(Jackson Immunolabs)およびクローンテック社(Clontech)(Palo Alto,CA)等の入手源から商業的に入手可能である。
実施形態1 細胞質から核への移動スクリーニング
a.転写因子
いくつかの遺伝子の転写の調節は、細胞質における転写因子の活性化を含み、その結果、その因子は核に移動され、そこでそれは特定の遺伝子または複数遺伝子の転写を開始することができる。転写因子分布のこの変化は、特定の遺伝子または遺伝子の群の転写を阻害または誘導する化合物を検出する細胞ベースのスクリーニングシステムのためのスクリーニングの基礎である。スクリーニングの一般的説明をし、続いて具体的な例を説明する。
転写因子の分布は、核をヘキスト33423等のDNA特異的フルオロフォアで、および転写因子を特異的蛍光抗体で標識することによって測定される。ヘキスト標識核に自動焦点合わせした後、細胞ベースのスクリーニングシステムで核のイメージを取得し、それを用いて、上述したように、いくつかの任意閾値設定方法のうちの1つによってマスクを作成する。このマスクによって規定される領域の形態学的記述子を使用者規定のパラメータと比較し、有効核マスクを同定し、転写因子分布を抽出するための以下の方法で用いる。各有効核マスクを腐食させて、わずかにより小さな領域を規定する。次いで、元の核マスクを2つの方法で膨張させて、核の周りのリング形状領域を規定し、これは、細胞質領域を表す。これらの2つの領域の各々における平均抗体蛍光を測定し、これらの平均の間の差異をNucCyt差異として規定する。核移動を測定するための2つの例を以下で記載し、図10A−図10Jに示す。図10Aは、青色フルオロフォアで標識したその核200および緑色フルオロフォアで標識した細胞質201における転写因子を備えた未刺激細胞を示す。図10Bは細胞ベースのスクリーニングシステムによって誘導された核マスク202を示す。図10Cは緑色波長でイメージした未刺激細胞の細胞質203を示す。図10Dは、核マスク202を一旦腐食させて(還元して)、最小細胞質分布を持つ核サンプリング領域204を規定することを示す。核境界202を数回膨張(拡大)して、2−3画素の広さであるリングを形成し、これを用いて、同一細胞につき細胞質サンプリング領域205を規定する。図10Eは、さらに側面図を示し、これは、核サンプリング領域204および細胞質サンプリング領域205を示す。これらの2つのサンプリング領域を用い、細胞間ベースで細胞ベーススクリーニングシステムによって、核移動についてのデータを自動的に分析することができる。図10F−Jは刺激した細胞における核移動を測定するための戦略を示す。図10Fは、青色フルオロフォアで標識した核206および緑色フルオロフォアで標識した細胞質207における転写因子を備えた刺激細胞を示す。図10Gにおける核マスク208は、細胞ベースのスクリーニングシステムによって駆動される。図11は、緑色波長でイメージした刺激細胞の細胞質209を示す。図10Iは
刺激細胞の核サンプリング領域211および細胞質サンプリング領域212を示す。図10Iは、さらに、側面図を示し、これは核サンプリング領域211および細胞質211を示す。
この方法の具体的適用を用いて、スクリーニングとしてこの方法を有効化した。ヒト細胞系を96ウェルマイクロタイタープレートで平板培養した。ウェルのいくつかの列をIL−1(MF−KB転写因子の既知の誘導因子)で力価測定した。次いで、細胞を固定し、転写因子に対するフルオレセイン標識抗体、およびヘキスト33423での標準的な方法によって染色した。細胞ベースのスクリーニングシステムを用いて、このプレートからのイメージを取得し分析し、NucCyt差異は、図16に示すように、ウェルに添加されたアゴニストの量と強く相関することが見出された。第2の実験において、IL−1、IL−1RAに対する受容体に対するアンタゴニストをIL−1αの存在下で力価測定し、IL−1αによって誘導された移動を徐々に阻害した。NucCyt差異は、図17に示すように、移動のこの阻害を強く相関することが見出された。
さらなる実験は、NucCyt差異、ならびにNucCyt比率が、広い範囲の細胞密度および試薬濃度にわたって合致する結果を与え、従って、これを日常的に用いて特異的核移動活性のための化合物ライブラリをスクリーニングすることができるのを示した。さらに、同一方法は、他の転写因子、またはGFP−転写因子キメラ、あるいは生細胞または固定細胞に導入された蛍光標識転写因子に対する抗体で用いて、転写因子活性の調節に対する効果につきスクリーニングすることができる。
図18は、実施の形態1に従って得られたデータのPC画面上での代表的なディスプレイである。グラフ1 180は、核サンプリング領域および細胞質サンプリング領域における平均抗体蛍光の間の差異、NucCyt差異対ウェル番号をプロットする。グラフ2 181は、核サンプリング領域における抗体の平均蛍光、NP1平均、対ウェル番号をプロットする。グラフ3 182は、細胞質サンプリング領域における平均抗体蛍光、LIP1平均、対ウェル番号をプロットする。ソフトウェアは各細胞からのデータの表示を行わせる。例えば、図18はスクリーンディスプレイ183、核イメージ184、および細胞番号26についての蛍光抗体イメージ185を示す。
図18のグラフ1 180において言及したNucCyt差異は、平均細胞質プローブ(蛍光レポータ分子)強度および平均核プローブ(蛍光レポータ分子)強度の間の差異である。図18のグラフ2 181で言及したNP1平均は、核サンプリング領域内の細胞質プローブ(蛍光レポータ分子)平均である。図18のグラフ3 182で言及したL1P1平均は、細胞質サンプリング領域内の平均プローブ(蛍光レポータ分子)強度である。
当業者であれば、本発明のこの特徴は、活性化に際して細胞質から核に移動する他の転写因子を用いて実施できることを理解するであろう。別の特別の例において、細胞内のその空間的位置を規定することによって、c−fos転写因子の活性化を評価した。活性化されたc−fosは核内のみに見出され、他方、不活化c−fosは細胞質内に存在する。
3T3細胞を、Polyfiltronics96−ウェルプレート中、ウェル当たり5000−10000細胞で平板培養した。細胞を付着させ、一晩増殖した。細胞を100μlの無血清培地で2回濯ぎ、無血清MEM培養基中で24−30時間インキュベートし、次いで、1−50ng/mlの範囲の濃度にて無血清培地に直接希釈した血小板由来成長因子(PDGF−BB)(シグマ・ケミカル社 St.Louis,MO)で平均20分間刺激した。
刺激に続き、1Xハンクスの緩衝化生理食塩水(HBSS)中の3.7%ホルムアルデヒドで20分間細胞を固定した。固定の後、細胞をHBSSで洗浄して、残存する固定剤を除去し、HBSS中の0.5%トリトンX−100溶液で90秒間浸透させ、HBSSで2回洗浄して残存する洗剤を除去した。次いで、HBSS中のBSAの0.5%溶液で細胞を15分間ブロックし、さらに、希釈された一次抗体溶液の希釈に先立ってHBSSで洗浄した。
c−fosウサギポリクローナル抗体(カルバイオケム,PC05)をHBSS中に1:50希釈し、50μlの希釈を各ウェルに適用した。室温にて、一次抗体の存在下で細胞を1時間インキュベートし、次いで、ALEXATM488(モレキュラー・プローブ社)にコンジュゲートしたヤギ抗−ウサギ二次抗体を含む光密容器中、室温にて1時間インキュベートし、HBSS中の100μg/mlストックから1:500希釈した。次いで、ヘキストDNA色素(モレキュラー・プローブ社)を製造業者のストック溶液の1:100希釈にて添加した(10mg/ml)。次いで、細胞をHBSSで洗浄し、本発明の細胞スクリーニングシステムでの分析に先立ってプレートを密封した。これらの実験からのデータは本発明の方法を用いて、細胞内のその空間的位置を規定することによってc−fosの転写活性化を測定することができるのを示した。
以下の方法をc−fos活性化の検出に適用するが、それを、活性化に際して細胞質から核に移動するいずれの転写因子の分析にも適用できることを当業者は認識するであろう。そのような転写因子の例は、限定されるものではないが、fosおよびjunホモログ、NF−KB(B細胞からの核因子κ)、NFAT(活性化されたT−リンパ球の核因子)、およびSTAT(転写のシグナルトランスデューサおよびアクチベータ)因子を含む(例えば、ストレロー(Strehlow, I.)およびシンドラー(Schindler, C.) ,1998.J.Biol.Chem.273:28049−28056、コー(Chow)ら,1997 Science.278:1638−1641、ディング(Ding)ら,1998 J.Biol.Chem.273:28897−28905、ボルドウィン(Baldwin),1996.Annu Rev Immunol.14:649−83、クオ(Kuo, C. T.),およびライデン(J. M. Leiden) ,1999.Annu Rev Immunol.17:149−87、ラオ(Rao)ら,1997.Annu Rev Immunol.15:707−47、マスダ(Masuda)ら,1998.Cell Signal.10:599−611、ホーイ(Hoey, T.),およびユー.シンドラー(U. Schindler) ,1998.Curr Opin Genet Dev.8:582−7、リュー(Liu)ら,1998.Curr Opin Immunol.10:271−8参照)。
このように、本発明のこの態様において、インジケータ細胞をテスト化合物で処理し、ルミネセンス標識転写因子の分布を、前述した開示のもののような細胞スクリーニングシステムを用いて空間および時間にて測定する。ルミネセンス標識転写因子は、テスト化合物と細胞とを接触させる前に、それと共に、またはその後に細胞によって発現され得るか、または細胞に添加することができる。
例えば、転写因子は、トランスフェクトされたインジケータ細胞によってルミネセンス標識タンパク質キメラとして発現することができる。別の方法として、ルミネセンス標識転写因子を、上述したように発現させ、単離し、インジケータ細胞にバルク−ロードすることができるか、あるいは転写因子を単離後にルミネセンス標識することができる。さらなる代替として、転写因子は、インジケータ細胞によって発現され、これを引き続いて転写因子を検出する抗体等の蛍光標識と接触させる。
さらなる態様において、注目する転写因子を特異的に認識する抗体、上述した方法を実施するために抗体を用いる指令を含む、転写因子活性化を分析するためのキットを提供することである。好ましい実施形態において、転写因子−特異的抗体、転写因子抗体を検出する二次抗体をルミネセンス標識する。さらなる好ましい実施形態において、このキットは、注目する転写因子を発現する細胞を含有し、および/またはこのキットは、限定されるものではないが、共にfos活性化を修飾する血小板由来成長因子(PDGF)および血清、および共にNF−KB活性化を修飾するインターロイキン1(IL−1)および腫瘍壊死因子(TNF)を含めた注目する転写因子の活性化を修飾することが知られている化合物を含有する。
別の実施形態において、このキットは、活性化に際して細胞質から核に移動する注目する転写因子をコードする核酸を含む組換え発現ベクターおよび注目する細胞において転写因子活性化を修飾する化合物を同定するのに発現ベクターを用いる指令を含む。別の方法として、このキットは精製されたルミネセンス標識転写因子を含有する。好ましい実施形態において、転写因子は、限定されるものではないが、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、またはその突然変異体もしくは断片を含めた、蛍光タンパク質との融合タンパク質として発現される。種々の好ましい実施形態において、このキットは、さらに、発現ベクターでトランスフェクトされた細胞、注目する転写因子に特異的に結合する抗体または断片、および/または(上述した)注目する転写因子の活性化を修飾することが知られている化合物を含む。
b.プロテインキナーゼ
また、細胞質から核へのスクリーニング方法を用いて、細胞質に不活性状態で存在し、活性化に際して核に輸送されるか、あるいはリン酸化に際して細胞質から核に移動する基質をリン酸化するいずれのプロテインキナーゼの活性化も分析することができる。適当なプロテインキナーゼの例は、限定されるものではないが、細胞外シグナル−調節プロテインキナーゼ(ERK)、c−Junアミノ末端キナーゼ(JNK)、Fos調節プロテインキナーゼ(FRK)、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(p38MAPK)、プロテインキナーゼA(PKA)、およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MAPKK)を含む。(例えば、ハル(Hall)ら,1999.J Biol Chem.274:376−83、ハン(Han)ら,1995.Biochim.Biophys.Acta.1265:224−227、Jaaroら,1997.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:3742−3747、テーラーら,1994.J.Biol.Chem.269:308−318、ザオ(Zhao, Q.),およびリー(F. S. Lee),1999.J.Biol Chem.274:8355−8、パオリロエト(Paolilloet)ら,1999.J Biol Chem.274:6546−52、コソ(Coso)ら,1995.Cell 81:1137−1146、ティブルス(Tibblies, L. A.)およびウッドゲット(J. R. Woodgett),1999.Cell Mol Life Sci.55:1230−54、シャエファ(Schaeffer, H. J.)およびウエーバー(M. J. Weber) ,1999.Mol Cell Biol.19:2435−44参照)。
別の方法として、プロテインキナーゼ活性は、注目するプロテインキナーゼによってリン酸化された後、細胞質から核へのルミネセンス標識プロテインキナーゼ基質の移動をモニターすることによってアッセイされる。この実施形態において、この基質は非リン酸化されており、リン酸化に先立っては細胞質のものであり、プロテインキナーゼによるリン酸化に際して核へ移動する。この実施形態では、プロテインキナーゼそれ自体が細胞質から核へ移動するという用件はない。
そのような基質(および対応するプロテインキナーゼ)の例は、限定されるものではないが、c−jun(JNK基質)、fos(FRK基質)、およびp38(p38MAPK基質)を含む。
このように、これらの実施形態においては、インジケータ細胞をテスト化合物で処理し、ルミネセンス標識プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質の分布は、前述で開示したもののような細胞スクリーニングシステムを用いて空間および時間において測定される。ルミネセンス標識プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質は、細胞とテスト化合物とを接触させる前、それと共にまたはその後に細胞によって発現され得るか、または細胞に添加することができる。例えば、プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質は、トランスフェクトされたインジケータ細胞によってルミネセンス標識タンパク質キメラとして発現され得る。別の方法として、ルミネセンス標識プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質は、上述したように、発現され、単離され、インジケータ細胞にバルク−ロードできるか、あるいはプロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質は単離後にルミネセンス標識することができる。さらなる代替として、プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質はインジケータ細胞によって発現され、これは引き続いてプロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質を検出する標識抗体等のルミネセンス標識と接触させる。
さらなる実施形態において、プロテインキナーゼ活性は、プロテインキナーゼ基質のリン酸化状態(すなわち:リン酸化されているまたはリン酸化されていない)をモニターすることによってアッセイされる。この実施形態において、活性化に際して、プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質が細胞質から核へ移動する要件はない。好ましい実施形態において、リン酸化状態は、注目するプロテインキナーゼ基質のリン酸化形態にのみ結合する抗体と細胞とを接触させることによってモニターされる(例えば、米国特許第5,599,681号に開示)。
別の好ましい実施形態において、リン酸化のバイオセンサーが用いられる。例えば、ルミネセンス標識タンパク質またはその断片は、(a)注目するプロテインキナーゼによって認識されるリン酸化部位、および(b)リン酸化によってマスク解除される核局所化シグナルを含有するように作成されたタンパク質に融合させることができる。このように、そのようなバイオセンサーはリン酸化に際して核に移動し、その移動はプロテインキナーゼ活性化の尺度として用いることができる。
別の態様において、プロテインキナーゼ、プロテインキナーゼ基質、または注目するプロテインキナーゼ基質のリン酸化形態に特異的に結合する一次抗体および注目する細胞においてプロテインキナーゼ活性化を修飾する化合物を同定する一次抗体を用いる指令を含むプロテインキナーゼ活性化を分析するためのキットを提供することである。好ましい実施形態において、一次抗体、またはこの一次抗体を検出する二次抗体はルミネセンス標識される。他の好ましい実施形態において、このキットは、さらに、注目するプロテインキナーゼを発現する細胞、および/または限定されるものではないが、ジブチリルcAMP(修飾されたPKA)、フォルスコリン(PKA)、およびアニソマイシン(p38MAPK)を含めた、注目するプロテインキナーゼの活性化を修飾することが知られている化合物を含む。
別の方法として、このキットは、活性化に際して、細胞質から核に移動する注目するプロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質をコードする発現ベクター、および注目する細胞においてプロテインキナーゼ活性化を修飾する化合物を同定するために発現ベクターを用いる指令を含む。別の方法として、このキットは、精製されたルミネセンス標識プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質を含有する。好ましい実施形態において、注目するプロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質は、蛍光タンパク質との融合タンパク質として発現される。さらなる好ましい実施形態において、このキットは、さらに、発現ベクターでトランスフェクトされた細胞、注目するプロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質に特異的に結合する抗体またはその断片、および/または(上述した)注目するプロテインキナーゼの活性化を修飾することが知られている化合物を含む。
別の態様において、本発明は、細胞スクリーニングシステムに転写因子またはプロテインキナーゼ活性化の分析につき開示した方法を実行させるための指令の組を含有するプログラムを含む機械読み取り可能記録媒体を含み、ここに、細胞スクリーニングシステムは、細胞を含有するプレートを保持するのに適した段階を備えた光学系、デジタルカメラ、細胞から放出された蛍光またはルミネセンスをデジタルカメラに向けるための手段、およびデジタルカメラからのデジタルデータを受領し処理するためのコンピュータ手段を含む。
実施形態2 細胞形態を修飾する化合物についての自動スクリーニング
細胞サイズの変化は、肥大、細胞付着および展延、分化、成長および分裂、壊死およびプログラムされた細胞死滅、細胞移動度、形態形成、チューブ形成、およびコロニー形成等の多数の細胞条件に関連する。
例えば、細胞肥大は遺伝子発現の改変のカスケードと関連づけられており、カバーグラス上で増殖する接着性細胞で明瞭に見ることができる細胞サイズの変化によって細胞培養で特徴づけることができる。
また、細胞サイズを測定して、接着性細胞の付着および展延を決定することもできる。細胞展延は、基質リガンドへの細胞表面受容体の選択的結合およびシグナリング経路の細胞骨格への引き続いての活性化の結果である。基質分子に対する細胞の付着および展延は、癌細胞の転移、炎症反応の間の白血球活性化、創傷治癒の間のケラチノサイトの移動、および血管形成の間の内皮細胞の移動のための重要な工程である。これらの表面受容体、シグナリング経路、または細胞骨格に影響する化合物は細胞展延に影響し、細胞サイズを測定することによってスクリーニングすることができる。
全細胞面積は、DNA標識と組み合わせて、細胞骨格マーカ、サイトゾル容量マーカ、細胞表面マーカを用いて全細胞体または細胞質を標識することによってモニターすることができる。そのような標識(多くはモレキュラー・プローブ社(Eugene,OreGon)およびシグマ・ケミカル社(St.Louis,Missouri)から入手可能)の例は以下のものを含む。
Figure 0004693382

これらの種々の剤での細胞染色のためのプロトコルは当業者によく知られている。細胞を生きたまま、または固定後に染色し、細胞面積を測定することができる。例えば、DiIC16で染色した生細胞は均一に標識された原形質膜を有し、細胞の突出した断面積は色素の蛍光強度によってバックグラウンドから均一に区別される。CMFDA等のサイトゾル染料で染色した生細胞は、細胞の厚みに比例する蛍光強度を生じる。細胞標識は細胞の薄い領域では薄暗いが、全細胞面積はバックグラウンドから区別することができる。固定細胞は、重合されたアクチンを標識するALEXATM488ファロイジン等の細胞骨格マーカで染色することができる。ファロイジンは細胞質を均一に染色しないが、依然として、全細胞面積をバックグラウンドから区別する。
細胞肥大
以下の戦略を用い、細胞肥大を分析するスクリーニングを実行する。初代ラット筋細胞を96ウェルプレート中で培養し、種々の化合物で処理し、次いで、固定し、ヘキスト等のDNA標識と組み合わせて、細胞表面マーカまたはローダミン−ファロイジン等の細胞骨格のための蛍光マーカに対する抗体等の、細胞膜または細胞質、または細胞骨格のための蛍光マーカで標識する。
ヘキスト標識核に焦点を合わせた後、2つのイメージを取得し、1つはヘキスト標識核のイメージであり、1つの蛍光細胞質イメージである。この核は、閾値設定してマスクを形成させ、次いで、マスクの形態学的記述子を使用者規定記述子値の組と比較することによって同定される。次いで、各非核イメージ(または「細胞質イメージ」)を別々に処理する。元の細胞質イメージは閾値設定でき、細胞質マスクイメージを生じる。細胞を含有する局所領域が核のまわりに定義される。次いで、それらの領域における細胞の制限は、蛍光抗体イメージ中の同一領域に対する局所的動的閾値操作によって規定することができる。腐食および膨張の系列を用いて、わずかに触れる細胞を分離し、形態学的記述子の第2の組を用いて単細胞を同定する。個々の細胞の面積を表にして、正常および肥大細胞からのサイズデータとの比較のために細胞サイズの分布を規定する。
(平均細胞質面積/細胞として測定された)全96−ウェルプレートからの応答は上述した方法によって分析され、結果は、このアッセイがウェル間、プレート間、および日間ベースで同一のものを実行することを示した(最大シグナルにつき15%cov)。このデータは毎日について非常に良好な相関を示し、プレート中のウェル位置による変動はないことを示した。
以下のものは全て視野につき計算できる。凝集体全核面積は核マスクにおける非ゼロ画素の数である。平均全核面積は凝集体全核面積を核の全数で割ったものである。各細胞質イメージでは、いくつかの値を計算することができる。これらは全細胞質面積であり、これは細胞質マスクにおける非ゼロ画素のカウントである。凝集体細胞質強度は細胞質マスクにおける全ての画素の強度の合計である。
核当たりの細胞質面積は全細胞質面積を全核カウントで割ったものである。核当たりの細胞質強度は、凝集体細胞質強度を全核カウントで割ったものである。平均細胞質強度は、凝集体細胞質強度を細胞質面積で割ったものである。細胞質核比率は、全細胞質面積を全核面積で割ったものである。
加えて、主要な筋肉タンパク質等の他の細胞タンパク質に対する1以上の蛍光抗体を含めることができる。これらのさらなる標識タンパク質のイメージを取得し、後のレビューのために、このイメージに関して保存して、肥大細胞中のこれらのタンパク質の分布および形態の異常を同定することができる。マルチパラメータスクリーニングのこの例は、細胞肥大およびアクチンもしくはミオシン分布の変化の同時分析を可能とする。
当業者であれば、この例は筋細胞を分析するが、この特徴に係る方法は全ての細胞型における肥大または一般的な形態学的変化を分析するのに適用できることを認識するであろう。
前立腺癌についての細胞形態アッセイ
細胞展延は、基質付着リガンドに対する細胞表面受容体の応答の尺度である。
展延はリガンドの濃度に、または受容体−リガンド機能を低下させる化合物の濃度に比例する。選択的な細胞−基質付着の1つの例は、細胞外マトリックスタンパク質コラーゲンに対する前立腺癌細胞接着である。前立腺癌細胞はコラーゲンに対する選択的接着を介して骨に転移する。
前立腺癌細胞の転移に干渉する化合物を以下のようにスクリーニングした。PC3ヒト前立腺癌細胞を適当な刺激体を含む培地中で培養し、それをコラーゲン被覆96プレートに継代する。リガンドの濃度は変化させることができ、あるいは細胞展延の阻害剤をウェルに添加することができる。展延に影響し得る化合物の例は、インテグリン−またはプロテオグリカン−ブロッキング抗体、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ阻害剤を含めたシグナリング阻害剤、およびサイトカラシンD等の細胞骨格阻害剤等の受容体アンタゴニストである。2時間後、細胞を固定し、細胞肥大についてのプロトコルのように、ALEXATM488ファロイジン(モレキュラー・プローブ社)およびヘキスト33342で染色する。細胞質染色によって測定されたこれらの条件下での細胞のサイズは、バックグラウンドレベルを超えて区別できる。視野当たりの細胞の数は、ヘキストDNA色素で染色した核の数を測定することによって決定される。細胞当たりの面積は、細胞質面積(ファロイジンイメージ)を細胞数(ヘキストイメージ)で割ることによって見出される。細胞のサイズはリガンド−受容体の機能に比例する。この面積はリガンド濃度によって、および細胞の得られた結果によって決定されるので、薬物の効力ならびに薬物能力はこの細胞ベースのアッセイによって決定することができる。他の測定は細胞肥大について上述したようになすことができる。
細胞形態を分析するための方法は、組み合わせた高スループット−高含有量スクリーニングで用いることができる。1つの例において、高スループットモードは蛍光ファロイジン強度の増加につき全ウェルを操作する。閾値は、核(ヘキスト)および細胞(ファロイジン)が高含有量モードで測定されるものを超えるように設定される。別の例において、環境バイオセンサー(その例は、限定されるものではないが、カルシウムおよびpH変化に感受性のバイオセンサーを含む)を細胞に添加し、この細胞を化合物と接触させる。細胞を高スループットモードで走査し、バイオセンサーのルミネセンスについての所定の閾値を超えるウェルを高含有量モードで走査する。
さらなる態様において、(上述したもののように)細胞の細胞質、膜または細胞骨格を特異的に標識するのに用いることができるルミネセンス化合物、およびこの方法に従って細胞形態の変化を誘導または阻害するテスト刺激物を同定するために蛍光化合物を用いる指令を含む細胞形態を分析するためのキットを提供することである。好ましい実施形態において、このキットは、さらに、細胞核についての蛍光マーカを含む。さらなる好ましい実施形態において、このキットは、限定されるものではないが、インテグリン−もしくはプロテオグリカン−ブロッキング抗体、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ阻害剤を含めたシグナリング阻害剤、およびサイトカラシンD等の細胞骨格阻害剤を含めた細胞形態を修飾することが知られている少なくとも1つの化合物を含む。
別の態様において、本発明は、細胞スクリーニングシステムに細胞形態を分析するための開示方法を実行させるための指令の組を含有するプログラムを含む機械読み取り可能記録媒体を含み、ここに、この細胞スクリーニングシステムは、細胞を含有するプレートを保持するのに適合した段階を備えた光学系、デジタルカメラ、細胞から放出された蛍光またはルミネセンスをデジタルカメラに向けるための手段、およびデジタルカメラからのデジタルデータを受領し処理するためのコンピュータ手段を含む。
実施形態3 デュアルモードの高スループットおよび高含有量スクリーニング 以下の実施例は、原形質膜から基部側核位置へのGPCRの移動によって検出されるG−プロテイン結合受容体(GPCR)の活性化のためのスクリーニングである。本実施例は、どのようにして、細胞ベースのスクリーニングのためのデュアルモードシステムにおいて高スループットスクリーニングを高含有量スクリーニングと結合させることができるかを示す。
D−プロテイン結合受容体は7つの膜貫通ドメイン細胞表面受容体の大きなクラスである。これらの受容体についてのリガンドは細胞中で二次シグナルのカスケードを刺激し、これは、限定されるものではないが、Ca++トランジエント、環状AMP生産、イノシトール三リン酸(IP3)およびリン酸化を含むことができる。数秒から数分に起こる、これらのシグナルの各々は迅速であるが、一般的でもある。例えば、多くの異なるGPCRは活性化されると二次Ca++シグナルを生じる。また、GPCRの刺激の結果、GPCRが、細胞表面膜から内部の基部側核区画に輸送される。この内部化は、上述した二次シグナルよりも特定の受容体の活性化のかなりより受容体−特異的なインジケータである。
図19はGPCRの活性化についてのデュアルモードスクリーニングを示す。
GPCRと青色蛍光タンパク質(BFP)との安定なキメラを運ぶ細胞には、Fluo−3のアセトキシメチルエステル形態(エステルの加水分解によって生細胞に取得される細胞浸透性カルシウムインジケータ(緑色蛍光))がロードされるであろう。次いで、それらをマイクロタイタープレート601のウェルに沈積されるであろう。次いで、このウェルを流体送達システムを用いてテスト化合物のアレイで処理し、全マイクロタイタープレートのFluo−3イメージの短い系列が取得され、カルシウム応答を提示するウェルを分析する(すなわち、高スループットモード)。このイメージは、図19においてマイクロタイタープレート601の例のように見える。この例におけるウェルC4およびE9等の少数のウェルは、受容体の刺激に際して放出されるCa++のためより明るく蛍光を発するであろう。次いで、応答602を誘導した化合物を含有するウェルの位置をHCSプログラムに移し、核周辺領域へのGPCR移動の焦点となる青色蛍光の詳細な細胞間分析のために光学をスイッチする。図19の底部は、高分解能細胞データの分析の2つの可能な結果を示す。このカメラはウェル領域603のサブ領域604をイメージし、蛍光細胞605のイメージを生じる。ウェルC4において、細胞中の蛍光の均一な分布は、受容体が内部化されていないことを示し、これは観察されたCa++応答が細胞中のいくつかの他のシグナリングシステムの刺激の結果であったことを意味する。他方、ウェルE9 606中の細胞は、核周辺領域の受容体の濃度を明瞭に示し、これは受容体の十分な活性化を明瞭に示す。少数のヒットウェルのみが高分解能で分析される必要があるため、デュアルモードシステムの全スループットはかなり高く、高スループットシステム単独と匹敵する。
実施形態4 動的高含有量スクリーニング
以下は受容体の内部化の動力学を測定するためのスクリーニングの例である。
上述したように、GPCRの刺激の結果、約15分の時間経過で受容体が内部化される。内部化されたまたはそうでないとして終点を単に検出するのは、GPCRアゴニストまたはアンタゴニストとしての化合物の効力を否定するのに十分ではないであろう。しかしながら、5分間隔での3時点は、測定の時間経過の間の効力についての情報を提供するのみならず、このデータのより長時間への外挿を可能とする。このアッセイを行うには、サブ領域を2つの列として規定し、サンプリング間隔を5分とし、時点3の全数とする。次いで、2つの列を走査し、次いで、剤を二列に添加し、時間=0参照を確立することによってシステムを開始させる。試薬の添加の後に、システムは二列のサブ領域を再び走査し、最初の時点のデータを取得する。このプロセスはサブ領域の開始までの戻り走査を含めて約250秒必要とするので、このシステムは第2の時点の取得を開始するのに50秒待つであろう。2以上のサイクルが3地点を生じ、システムは第2の二列サブ領域に移動するであろう。最後の2つの二列サブ領域を走査してプレート上の全てのウェルを終了し、その結果、全プレートにわたって各ウェルについて4時点が得られる。ウェルについての時点は時間=0に対してわずかに相殺されるが、時点の間隔は必要な5分に非常に近く、現実の取得時間および結果は固定された細胞スクリーニングよりもかなり正確に記録される。
実施形態5 ヒトグルココルチコイド受容体移動の高含有量スクリーニング
HCSの1つのクラスは、細胞内構成要素の薬物−誘導動的再分布を含む。ヒトグルココルチコイド受容体(hGR(細胞の複雑な環境応答機構における単一「センサー」)は、細胞に拡散したステロイド分子に結合する。リガンド−受容体複合体は核に移動し、そこで転写活性化が起こる(フトン(Htun)ら,Proc.Natl.Acad.Sci.93:4845,1996)。
一般に、それらの活性は鍵となる細胞内シグナリング経路の先端にあるので、ホルモン受容体は優れた薬物標的である。従って、hGR移動の高含有量スクリーニングはインビトロリガンド−受容体結合アッセイよりも優れた区別された利点を有する。本発明の細胞スクリーニングシステムにおける蛍光の2以上までのチャネルの利用性は、スクリーニングが、他の受容体、他の区別される標的または他の細胞プロセス等の、2つのさらなるパラメータを平行して含有するのを可能とする。
プラスミド構築体。緑色蛍光タンパク質−ヒトグルココルチコイド受容体(GFP−hGR)キメラについてのコーディング配列を含有する真核生物発現プラスミドは、GFP突然変異体を用いて調製した(パーム(Palm)ら,Nat.Struct.Biol.4:361(1997))。この構築体を用いてヒト頸癌細胞系(HeLa)をトランスフェクトした。
細胞の調製およびトランスフェクション。HeLa細胞(ATCC CCL−2)はトリプシン処理し、トランスフェクションに12から24時間先立って、5%木炭/デキストラン−処理胎児ウシ血清(FBS)(HyClone)および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(C−DMEM)を含有するDMEMを用いて平板培養し、37℃および5%COでインキュベートした。トランスフェクションは、リン酸カルシウム共沈殿によって(グラハム(Graham)およびバン・デ・エブ(Van der Eb),Virology 52:456,1973、サンブルーク(Sambrook)ら(1989).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second編,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,1989)によって、またはリポフェクタミン(ライフ・テクノロジー社,Gaithersburg,MD)で行った。リン酸カルシウムトランスフェクションでは、トランスフェクションに先立って、5%木炭/デキストラン−処理FBSを含有するDMEMで培地を置き換えた。細胞を37℃および5%COにてリン酸カルシウム−DNA沈殿と共に4から5時間インキュベートし、DMEMで3から4回洗浄して沈殿を除去し、続いて、C−DMEMを添加した。
製造業者の指示に従って、抗生物質を含まない無血清DMEM中でリポフェクタミントランスフェクションを行った(ライフ・テクノロジー社,Gaithersburg,MD)。DNA−リポソーム複合体での2から3時間のインキュベーションに続き、培地を取り出し、C−DMEMで置き換えた。96−ウェルマイクロタイタープレート中の全てのトランスフェクトされた細胞を、薬物処理に先立って、33℃および5%COにて24時間から48時間インキュベートした。実験は、HeLa細胞中にて一過的に発現された受容体で行った。
GFP−hGR移動のデキサメタゾン誘導。受容体−リガンド移動動的データを得るために、トランスフェクトされた細胞の核を、まず、33℃および5%COにて、C−DMEM中の5μg/mlのヘキスト33342(モレキュラー・プローブ社)で20分間標識した。細胞をハンクスの平衡食塩水(HBSS)中で1回洗浄し、1%木炭/デキストラン−処理FBSと共にHBSS中の100nMデキサメタゾンを添加した。固定時点デキサメタゾン滴定データを得るために、トランスフェクトされたHeLa細胞をまずDMEMで洗浄し、次いで、1%木炭/デキストラン−処理FBSを含有するDMEM中の0から1000nMデキサメタゾンの存在下で、33℃および5%COで1時間インキュベートした。細胞を生きたまま分析するか、あるいはそれをHBSSで濯ぎ、HBSS中の3.7%ホルムアルデヒドで15分間固定し、ヘキスト33342で染色し、分析前に洗浄した。細胞内GFP−hGRルミネセンスシグナルはこの固定手法によっては減少しなかった。
イメージの取得および分析。動的データは、デキサメタゾンの添加後、1分間間隔で30分間、生細胞の視野から蛍光イメージ対(GFP−hGRおよびヘキスト33342−標識核)を取得することによって収集した。同様に、イメージ対は、デキサメタゾンの添加1時間後に、固定された時点のスクリーニングプレートの各ウェルから得た。両方の場合において、各地点で得られたイメージ対を用いて、各細胞中の核および細胞質領域を規定した。GFP−hGRの移動は、核におけるGFP−hGRの積分した蛍光強度を細胞質中のキメラの積分した蛍光強度で割ることによってあるいはGFP蛍光の核−細胞質差異として計算した。固定時点スクリーニングにおいて、テストしたデキサメタゾンの核濃度において少なくとも200細胞から得られたデータから計算した。従って、細胞質から核へのGFP−hGRの薬物−誘導移動は移動比の増加と相関した。
結果。図20は、ヒトグルココルチコイドの薬物に誘導された細胞質253から核252への移動を概略的に表示する。この概略図の上方対は、デキサメタゾンでの刺激の前250(A)およびこの刺激の後251(B)の細胞内のGFP−hGRの局所化を示す。これらの実験条件下で、薬物は細胞質GFP−hGRの大部分を誘導して、核に移動させる。この再分布は、処理された255および未処理の254細胞における細胞質および核蛍光の積分強度比率を決定することによって定量される。蛍光ミクログラフの下方対は、処理の前254および後255における、単一細胞中のGFP−hGRの同定再分布を示す。数100から数1000の細胞を含有するウェルでHCSを行い、移動は、GFP蛍光を呈する視野中で各細胞につき定量した。安定にトランスフェクトされた細胞系の使用は最も首尾一貫して標識された細胞を生じるが、一過性トランスフェクションによって誘導された異なるレベルのGFP−hGR発現は、本発明の細胞スクリーニングシステムによる分析に干渉しなかった。
スクリーニングを実行するためには、この細胞スクリーニングシステムはプレートの各ウェルを走査し、各々において細胞の集団をイメージし、個々に細胞を分析する。ここに、2つのチャネルの蛍光を用いて、各細胞内でGFP−hGRの細胞質および核分布を規定する。図21には、GFP−hGRスクリーニングの終わり近くにおける細胞スクリーニングシステムのグラフによるユーザインターフェ-スが描かれる。ユーザインターフェ-スは、システムの平行データ収集および分析能力を示す。「核」261および「GFP−hGR」262と記されたウインドウは、単一視野で得られ分析した蛍光イメージの対を示す。「色オーバーレイ」260と記されたウインドウは、このイメージを偽着色し、それらを一緒にすることによって形成され、従って、使用者は細胞変化を直ちに同定することができる。「保存された物体領域」ウインドウ265内では、各分析された細胞およびその隣の細胞を検出するイメージが、それが検索されるにつれて提示される。さらに、HCSデータが収集されるにつれて、それは分析され、GFP−hGR移動のこの場合には、直後の「ヒット」応答に翻訳される。スクリーン267の下方ウインドウに描かれた96ウェルプレートは、いずれのウェルが使用者−規定のスクリーニング基準の組に合致するかを示す。例えば、白色ウェル269は、薬物−誘導移動が50%の所定の閾値を超えたことを示す。他方、黒色ウェル270は、テストすべき薬物が10%未満の移動を誘導したことを示す。
灰色ウェル268は、移動値が10%および50%の間にある「ヒット」を示す。分析すべき96ウェルプレート266上の列「E」は、GFP−hGR移動を活性化することが知られている薬物であるデキサメタゾンでの滴定を示す。本実施例のスクリーニングは2つの蛍光チャネルを用いたに過ぎなかった。2つのさらなるチャネル(チャネル3 263および4 264)は他の特異的標識、細胞プロセス、または細胞毒性の平行した分析のために複数のパラメータスクリーニングを作成するのに利用できる。
新しいスクリーニングの有効化プロセスの間に強力なツールであるイメージデータベースおよび情報データベースの間にリンクがある。スクリーニングの完了において、使用者はイメージおよび計算されたデータに全てアクセスできる(図22)。細胞スクリーニングシステムの包括的なデータ分析パッケージは、使用者が、複数のレベルにおいてHCSデータを調べるのを可能とする。個々の細胞についてのスプレッドシート279中のイメージ276および詳細なデータは別々に見ることができるか、あるいは要約データをプロットすることができる。例えば、96ウェルプレート中の各細胞についての単一パラメータの計算された結果はグラフ1 275と記されたパネルに示される。このグラフ中で単一の点を選択することによって、使用者は、存在するデータベースから要求された特定の細胞についての全データ組を表示することができる。ここでは、単一細胞(細胞番号118、灰色線277)からのイメージ対276および詳細な蛍光および形態データが示される。大きなグラフ挿入278は、GFP−hGRの移動についてのデキサメタゾンの濃度の結果を示す。各点は少なくとも200細胞からのデータの平均である。このアッセイにおいてデキサメタゾンについての計算されたEC50は2nMである。
細胞スクリーニングシステムでのHCSの強力な態様は、生細胞における多色蛍光および形態パラメータを用いる動的測定の能力である。時間および空間測定は、視野中の細胞の集団内の単一細胞で行うことができる。図23は、単一視野内のいくつかの細胞におけるGFP−hGRのデキサメタゾン−誘導移動についての動的データを示す。GFP−hGRでトランスフェクトされたヒトHeLa細胞を100nMデキサメタゾンで処理し、GFP−hGRの移動は単一細胞の集団で経時的に測定した。グラフは、トランスフェクトされた細胞285、286、287および288および非トランスフェクト細胞289の応答を示す。また、これらのデータは、異なる発現レベルでの細胞を分析する能力を示す。
実施形態6 薬物−誘導アポトーシスの高含有量スクリーニング
アポトーシスは、膨大な分子事象および経路を含む複雑な細胞プログラムである。このプロセスに対する薬物作用のメカニズムを理解するには、時間および空間分解にて可能な限り多くのこれらの細胞内事象を測定するのが必須である。従って、細胞試料調製をほとんど要求しないアポトーシススクリーニングは、いくつかのアポトーシス−関連パラメータの自動読み出しを提供し、理想的であろう。細胞スクリーニングシステムのためにデザインされた細胞ベースアッセイは、パクリタキセル−誘導アポトーシスの形態学的、小器官およびマクロ分子ホールマークのいくつかを同時に定量するのに用いられてきた。
細胞調製。この実験で選択された細胞はマウス結合組織繊維芽細胞(L−929、ATCC CCL−1)および高度に侵入的な神経膠細胞腫細胞系(SNB−19、ATCC CRL−2219)(ウェルチ(Welch)ら,In Vitro Cell.Dev.Biol.31:610,1995)であった。アポトーシス誘導薬物での処理の前日、3500細胞を96−ウェルプレートの各ウェルに入れ、湿潤5%CO雰囲気中37℃にて一晩インキュベートした。翌日、培養基を各ウェルから取り出し、DMS中で作成された20mMストックからの種々の濃度のパクリタキセル(0−50μM)を含有する新鮮な培地で置き換えた。これらの実験で用いたDMSOの最大濃度は0.25%であった。次いで、細胞を上述したように26時間インキュベートした。パクリタキセル処理時間の最後において、各ウェルに、750mM Mito Tracker Red(モレキュラー・プローブ社、Eugene,OR)および3μg/mlのヘキスト33342 DNA−結合色素(モレキュラー・プローブ社)を含有する新鮮な培地を与え、上述したように20分間インキュベートした。次いで、プレート上の各ウェルをHBSSで洗浄し、室温にて、HBSS中の3.7%ホルムアルデヒドで15分間固定した。ホルムアルデヒドをHBSSで洗浄し、細胞を0.5%(v/v)トリトンX−100で90秒間浸透させ、HBSSで洗浄し、2U ml−1 Bodipy FLファラシジン(モレキュラー・プローブ社)と共に30分間インキュベートし、HBSSで洗浄した。次いで、プレート上のウェルに200μlのHBSSを満たし、密封し、必要であればプレートを4℃で保存した。このようにして保存したプレートからの蛍光シグナルは調製後に少なくとも2週間安定であった。核移動アッセイにおけるように、蛍光試薬を、生細胞高含有量スクリーニングにこのアッセイを変換するようにデザインすることができる。
アレイ走査(ArrayScan)システムでのイメージの取得および分析。
細胞内Mito Tracker Red,ヘキスト33342およびBodipy FLファラシジンの蛍光強度は、上述したように細胞スクリーニングシステムで測定した。また、各ウェルから得られたイメージの各対からの形態データを得て、イメージ視野中の各物体(例えば、細胞および核)を検出し、そのサイズ、形状および積分強度を計算した。
計算および出力。合計50−250細胞をイメージ視野当たり測定した。細胞の各視野については以下の計算を行った:(1)平均核面積(μm)は、視野中の全核面積を検出された核の数で割ることによって計算した。(2)平均核周囲(μm)は、視野中の全ての核の周囲の合計をその視野で検出された核の数で割ることによって計算した。高度に複雑なアポトーシス核は最大の核周囲値を有した。(3)平均核明るさは、核の全視野の積分強度をその視野における核の数で割ることによって計算した。核明るさの増加は増大したDNA含有量に相関した。(4)平均細胞明るさは、Mito Tracker色素で染色した細胞の全視野の積分強度をその視野中の核の数で割ることによって計算した。ミトコンドリア内に蓄積されるMito Tracker色素の量はミトコンドリアポテンシャルに比例するので、平均細胞明るさの増加はミトコンドリアポテンシャルの増加と合致する。(5)平均細胞明るさは、Bodipy FLファラシジン色素で染色した細胞の全視野の積分強度をその視野中の核の数で割ることによって計算した。ファロトキシンは高い親和性を持ってアクチンの重合形態に結合するので、細胞内に蓄積するBodipy FLファラシジン色素の量はアクチン重合状態に比例する。平均細胞明るさの増加はアクチン重合の増加と合致する。
結果。図24(頂部パネル)は、L−929細胞の核形態でパクリタキセル誘導された変化を示す。増大させる量のパクリタキセルは核を拡大させ、断片化させた293(アポトーシスのホールマーク)。細胞スクリーニングシステムによって得られたこれらのおよび他のイメージの定量分析は同一図面に提示する。測定された各パラメータは、L−929細胞296がSNB−19細胞297よりも低濃度のパクリタキセルに対して感受性が低かったことを示した。しかし、より高い濃度では、L−929細胞は測定された各パラメータにつき応答を示した。このアッセイのマルチパラメータアプローチは、薬物作用のメカニズムを解剖するのに有用である。例えば、核298の面積、明るさおよび断片化、ならびにアクチン重合値294は、SNB−10細胞を10nMのパクリタキセルで処理した場合に最大値に到達した(図24、頂部および底部グラフ)。しかしながら、ミトコンドリアポテンシャル295は、パクリタキセルの同一濃度で最小であった(図24、中央グラフ)。測定された全てのパラメータは、増大するパクリタキセル濃度(>10nM)で対照レベルに到達したという事実は、SNB−10細胞が、薬物の十分に高いレベルで補償的である低親和性薬物代謝またはクリアランス経路を有することを示唆する。SNB−19細胞297の薬物感受性と対照させると、L−929はパクリタキセル296に対して異なる応答を示した。これらの繊維芽細胞は、5μMのパクリタキセル(SNB−19細胞よりも500倍高い用量)にて多くのパラメータで最大応答を示した。さらに、L−929細胞は、テストしたパクリタキセル濃度のいずれにおいてもミトコンドリアポテンシャル295の鋭い減少は示さなかった。この結果は、正常および癌細胞系の間の唯一のアポトーシス経路の存在と合致する。従って、これらの結果は、比較的単純な蛍光標識プロトコルを本発明の細胞スクリーニングシステムと連結させて、プログラムされた細胞の死滅と関与する鍵となる事象の高含有量スクリーニングを得ることができることを示す。
実施形態7 プロテアーゼにより誘導される、疾病関連配列を含むシグナル伝達酵素の、細胞質から核までの転位置
プラスミド作成物。緑蛍光タンパク質−カスパーゼ(コ−エン(Cohen)(1997)、Biochemical J.326:1〜16;リアング(Liang)ら(1997)J.of Molec.Biol.274:291〜302)キメラのコード配列を含む真核生物発現プラスミドを、GFP変異体を使用して調製する。この作成物を使用して、真核細胞をトランスフェクトする。
細胞の調製およびトランスフェクション。細胞をトリプシン処理し、トランスフェクションの24時間前に蒔き、37℃および5%COでインキュベートする。トランスフェクションは、リン酸カルシウム共沈降法またはリポフェクションを含むがこれに限定されない方法により実施する。細胞を、4から5時間、37℃および5%COで、リン酸カルシウム−DNA沈降物と共にインキュベートし、3から4回、DMEMで洗浄して沈降物を除去し、次いで、C−DMEMを加える。リポフェクタミンによるトランスフェクションを、製造業者の指示に従って、抗生物質を含まない血清非含有DMEM中で実施する。DNA−リポソーム複合体と共に2から3時間インキュベートした後、培地を除去し、C−DMEMと交換する。
アポトーシスによる、カスパーゼ−GFP転位置の誘導。カスパーゼ−GFPの転位置動力学的データを得るために、トランスフェクトした細胞の核を、最初に、C−DMEM中、5μg/mlのヘキスト33342(モレキュラー・プローブ社)で、37℃および5%COで20分間標識する。細胞を、1回、ハンクの平衡塩溶液(HBSS)中で洗浄し、次いで、アポトーシスを誘導する化合物を加える。これらの化合物は、パクリタキセル、スタウロスポリン、セラミド、および腫瘍壊死因子を含むがこれに限定されない。定時点の滴定データを得るために、トランスフェクト細胞を、最初に、DMEMで洗浄し、次いで、37℃および5%COで1時間、0から1000nMの化合物の存在下でDMEM中インキュベートする。細胞を、生存したままで解析するか、または、細胞をHBSSで濯ぎ、15分間HBSS中3.7%ホルムアルデヒドで固定し、ヘキスト33342で染色し、洗浄し、その後解析する。
画像獲得および解析。動力学的データを、化合物の添加後30分間、1分間間隔で、生細胞のフィールドの蛍光画像対(カスパーゼ−GFPおよびヘキスト33342標識核)を獲得することにより集める。同様に、画像対を、化合物の添加1時間後に、定時点のスクリーニングプレートの各ウェルから得る。両方の場合において、各時点で得た画像対を使用して、各細胞の核および細胞質領域を規定する。カスパーゼ−GFPの転位置は、核中のカスパーゼ−GFPの積分蛍光強度を、細胞質中のキメラの積分蛍光強度で割ることにより、すなわち、GFP蛍光における核−細胞質の差異として計算する。定時点スクリーンにおいて、この転位置比は、試験した化合物の各濃度で、少なくとも200個の細胞から得られたデータから計算する。薬物により誘導される、細胞質から核への、カスパーゼ−GFPの転位置は、それ故、転位置比の増加に相関する。アポトーシスにより活性化される酵素の推定的活性化剤または阻害剤を含むライブラリを含むがこれに限定されない分子相互作用ライブラリを使用して、指標細胞系をスクリーニングし、DASに特異的なリガンドおよび化合物の活性により活性化される経路を同定する。
実施形態例8 DASの新規ステロイド受容体の同定
2つの材料および/または情報源が、この実施形態の活用に必要であり、これにより、特徴づけられていない遺伝子の機能の評価が可能となる。第1に、哺乳動物細胞へのトランスフェクションに適したcDNA配列を含む、疾病関連配列バンク(群)を使用できる。各RADEまたは差次的発現実験により、数100個までの配列が作成されるので、豊富にDASを供給することが可能である。第2に、一次配列データベース探索からの情報を使用して、DNAを、シグナル配列、7回膜貫通モチーフ、保存プロテアーゼ活性部位ドメイン、または他の同定可能なモチーフを含むカテゴリーを含むがこれに限定されない、広いカテゴリーに入れることができる。これらの源から獲得した情報に基づいて、トランスフェクトする方法の種類および指標細胞系を選択する。大量のモチーフがすでに十分に特徴づけられており、既存のゲノムデータベースの多くの遺伝子に含まれる線形配列にコードされている。
1つの実施形態において、以下の段階を実施する:
1)DAS同定実験(データベース探索を含む)からの情報を、関連する生物学的プロセスの選択の基礎として使用する(例えば、細胞周期調節、アポトーシス、転移プロテアーゼ等に関して、腫瘍系のDASを参照)。
2)同定可能なモチーフによるDNA配列またはDASの選別(すなわち、シグナル配列、7回膜貫通ドメイン、保存プロテアーゼ活性部位ドメイン等)。この初期の分類により、蛍光タグ戦略、宿主細胞系、指標細胞系、および上記したようなスクリーニングする生物活性分子のバンクが決定される。
3)十分に確立された分子生物学的方法を使用して、DASを、この目的に設計された発現ベクターにくくる。一般的な発現ベクターは、一過性発現のために標識配列を細胞に送達するための、プロモーター、エンハンサー、および終結因子を含む。かかるベクターはまた、宿主による発現時の検出を容易にするために、抗体タグ配列、直接会合配列、GFPのような発色団融合配列等も含み得る。
4)リン酸カルシウム共沈降法、リポソーム媒介、DEAEデキストラン媒介、ポリカチオン媒介、ウイルス媒介、または電気穿孔法を含む、標準的なトランスフェクションプロトコルを使用して、DAS含有ベクターを用いて、細胞を一過性にトランスフェクトし、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイに蒔く。別に、トランスフェクションは、マイクロタイタープレート自体に直接実施できる。
5)上記したような細胞スクリーニング法を実施する。
この実施形態において、転写活性化能(例えば、DNA結合ドメイン、アミノ末端調節ドメイン、ヒンジ領域、またはカルボキシ末端リガンド結合ドメイン)を示唆するモチーフ(群)を有することが示されたDASを使用して、新規ステロイド受容体を同定する。
この実験の蛍光タグの規定は、染色による核の同定、および、GFPをコードする遺伝子の近位に融合する、DASの発現ベクターへの挿入を介したGFPキメラの創製によるDASのタグ化を含む。別に、発現DASのある部分に高い親和性を有する単鎖抗体断片を、当分野で利用可能な技術を使用して作成でき(ケンブリッジ・アンチボディ・テクノロジー社(Cambridge Antibody Technologies))、フルオロフォア(FITC)に連結させて、細胞中の推定転写アクチベーター/受容体をタグできる。この代替法は、DNAトランスフェクションを必要としない外部タグを提供し、それ故、分布データを、DASの作成に使用した最初の一次培養物から集めたい場合には、有用である。
プラスミド作成。緑蛍光タンパク質−DASキメラのコード配列を含む、真核生物発現プラスミドを、GFP変異体を使用して調製する。作成物を使用して、HeLa細胞をトランスフェクトする。プラスミドは、宿主細胞にトランスフェクトされると、GFP−DASppと称される、DASタンパク質産物に融合したGFPを産生する。
細胞の調製およびトランスフェクション。HeLa細胞をトリプシン処理し、5%木炭/デキストラン処理胎児ウシ血清(FBS)(ハイクロン社(Hyclone))および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(C−DMEM)を含む、DMEMを使用して、トランスフェクションの12から24時間前に蒔き、37℃および5%COでインキュベートする。トランスフェクションは、リン酸カルシウム共沈降法により、またはリポフェクタミン(ライフ・テクノロジー社)を用いて実施する。リン酸カルシウムによるトランスフェクションでは、培地を、トランスフェクション前に、5%木炭/デキストラン処理FBSを含むDMEMと交換する。細胞を、リン酸カルシウム−DNA沈降物と共に、4から5時間、37℃および5%COでインキュベートし、3から4回、DMEMで洗浄して沈降物を除去し、次いで、C−DMEMを加える。リポフェクタミンによるトランスフェクションを、製造業者の指示に従って、抗生物質を含まない血清非含有DMEM中で実施する。DNA−リポソーム複合体と共に2から3時間インキュベートした後、培地を除去し、C−DMEMと交換する。96ウェルマイクロタイタープレート中の全てのトランスフェクト細胞を33℃および5%COで24から48時間、薬物処理前にインキュベートする。実験を、HeLa細胞で一過性に発現される受容体を用いて実施する。
細胞内の発現GFP−DASppの局在。細胞分布データを得るために、トランスフェクト細胞の核を、最初に、C−DMEM中、5μg/mlのヘキスト33342(モレキュラー・プローブ社)で、20分間33℃および5%COで標識する。細胞を、1回、ハンクの平衡塩溶液(HBSS)中で洗浄する。細胞を、生存したままで解析するか、または、細胞をHBSSで濯ぎ、15分間HBSS中3.7%ホルムアルデヒドで固定し、ヘキスト33342で染色し、洗浄し、その後解析する。
好ましい実施形態において、画像獲得および解析は、本発明の細胞スクリーニングシステムを使用して実施する。細胞内GFP−DASpp蛍光シグナルを、フィールドの細胞からの蛍光画像対(GFP−DASppおよびヘキスト33342標識核)の獲得により集める。各時点で得られた画像対を使用して、各細胞中の核および細胞質領域を規定する。細胞質中で分散したシグナルを示すデータは、DNA転写アクチベーターである、既知のステロイド受容体と一致している。
GFP−DASpp転位置の誘導のスクリーニング。指標細胞系として、GFP−DASppの適切な発現の確認された、上記の作成物を使用して、種々のリガンドのスクリーンを、エストロゲン、プロゲステロン、レチノイド、成長因子、アンドロゲン、および多くの他のステロイドおよびステロイドをベースとした分子を含むがこれに限定されない、一連のステロイドタイプのリガンドを使用して実施する。画像獲得および解析は、本発明の細胞スクリーニングシステムを使用して実施する。細胞内GFP−DASpp蛍光シグナルは、蛍光画像対(GFP−DASppおよびヘキスト33342標識核)をフィールドの細胞から獲得することにより集める。各時点で得られた画像対を使用して、各細胞の核および細胞質領域を規定する。GFP−DASppの転位置は、核中のGFP−DASppの積分蛍光強度を、細胞質中のキメラの積分蛍光強度で割ることにより、すなわち、GFP蛍光の核−細胞質の差異として計算する。細胞質から核への転位置は、リガンド結合によるDASppの活性化を示し、従って、潜在的な受容体クラスおよび作用が同定される。このデータを、ステロイド受容体の既知の阻害剤および修飾剤を使用して同じ方法で得られた他のデータと合わせると、標的としてのDASppが確認されるか、または、より多くのデータが、種々の源から生じるであろう。
実施形態9 細胞内微小管安定性 本発明の別の態様において、微小管構造を修飾する化合物を同定するための自動化された方法を提供する。この実施形態において、指標細胞を試験化合物で処理し、発光微小管標識分子の分布を、上記に開示したようなものなどの、細胞スクリーニングシステムを使用して空間的および時間的に測定する。発光微小管標識分子は、細胞を試験化合物と接触する前、それと共に、またはその後に、細胞により発現させ得るか、または細胞に添加し得る。
本発明のこの態様の1つの実施形態において、生細胞は、発光タンパク質に融合した微小管を標識するタンパク質を含む、微小管の動力学の発光標識タンパク質バイオセンサーを発現する。本発明のこの態様の適切な微小管標識タンパク質は、αおよびβチューブリンアイソフォーム、およびMAP4を含むがこれに限定されない。発光タンパク質の好ましい実施形態は、緑蛍光タンパク質(GFP)およびGFP変異体を含むがこれに限定されない。好ましい実施形態において、方法は、細胞を、微小管標識発光タンパク質でトランスフェクトすることを含み、ここでの微小管標識タンパク質は、α−チューブリン、β−チューブリン、または微小管会合タンパク質4(MAP4)であり得るが、これに限定されない。ここに概略を示した試みにより、当業者は、生細胞測定を行ない、インビボでのチューブリン活性および微小管安定性に対するリード化合物の効果を決定できる。
最も好ましい実施形態において、MAP4は、修飾形のオワンクラゲ緑蛍光タンパク質(GFP)に融合している。EGFPコード配列(クロンテック社から入手)とマウスMAP4のコード配列間の融合からなる、DNA作成物を作成した(Olsonら(1995)J.Cell Biol.130(3):639〜650)。MAP4は、間期の微小管並びに有糸分裂細胞と相互作用することが知られている、遍在的な微小管会合タンパク質である(オルムステッド(Olmsted)およびムラフシ(Murofushi)(1993)、MAP4、「細胞骨格および運動タンパク質へのガイドブック」、オックスフォード大学出版、(クライス(T. Kreis)およびベール(R. Vale)編)。次いで、その局在は、細胞をベースとしたHCSアッセイにおける、全細胞周期段階での、生(または固定)細胞における微小管の局在、構成、および完全性の指標として役立ち得る。MAP2およびタウ(神経細胞で特異的に発現される微小管会合タンパク質)は、GFPキメラの形成に使用されてきたが(ケーチ(Kaech)ら(1996)Neuron.17:1189〜1199;ハルら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:4733〜4738)、その限定された細胞タイプの分布および過剰発現時にこれらのタンパク質が微小管を束ねる傾向があることにより、これらのタンパク質は、種々の組織および器官を起源とする生細胞における解析用の分子試薬としてはあまり望ましくない。GFP−MAP4の中程度の過剰発現は、微小管の機能または完全性を破壊しない(オルソン(Olson)ら、1995)。類似の作成物は、β−チューブリンまたはα−チューブリンを使用して、当分野の標準的な技術を介して作成できる。これらのキメラは、細胞周期の全段階における生細胞の微小管活性を観察および解析する手段を提供する。
別の実施形態において、微小管動力学の発光標識タンパク質バイオセンサーを発現し、単離し、解析すべき細胞に、マイクロインジェクション、掻爬添加、および衝撃により媒介する添加などのバルク添加技術を介して添加する。この実施形態において、細胞内での過剰発現の問題はなく、従って、αおよびβチューブリンアイソフォーム、MAP4、MAP2および/またはタウを全て使用できる。
さらなる実施形態において、タンパク質バイオセンサーは細胞により発現され、細胞を、その後、タンパク質バイオセンサー、タンパク質抗原の内因性レベル、または両方を検出する、標識抗体などの発光標識と接触させる。この実施形態において、αおよびβチューブリンアイソフォーム、MAP4、MAP2および/またはタウを検出する発光標識を使用できる。
種々のGFP変異体が入手可能であり、市販で入手できるGFP変異体(クロンテック、カリフォルニア)を含むがこれに限定されない、全てのGFP変異体が、本発明に有効である。
MAP4作成物を、数個の哺乳動物細胞系(BHK−21、Swiss 3T3、HeLa、HEK293、LLCPK)に導入し、チューブリンの構成および局在を、MAP4局在の指標であるGFP蛍光を用いて、生細胞において可視化した。その作成物は一過性に発現できるか、または、安定な細胞系を、標準的な方法により調製できる。EGFP−MAP4キメラを発現している安定なHeLa細胞系を得、これにより、キメラの発現は無毒性であり、有糸分裂に干渉しないことが示される。
安定な細胞系を確立および維持するための可能性ある選択マーカは、ネオマイシン耐性遺伝子、ヒグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、プロマイシン耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、およびブラスタシジン耐性遺伝子を含むがこれに限定されない。
微小管会合、脱会合、および再編成のモニタリングにおけるこの方法の有用性は、一過性および安定なトランスフェクト細胞を、パクリタキセル、ノコダゾール、ビンクリスチン、またはビンブラスチンなどの微小管薬物で処理することにより実証された。
本発明の方法は、特にマルチパラメトリック癌標的スクリーンにおける1つのパラメータとして、抗微小管薬物のための高含量並びにハイスループット−高含量の組合せの細胞をベースとしたスクリーンを提供する。本明細書に使用したEGFP−MAP4作成物はまた、複数のシグナル伝達経路または生理的事象を測定する、高含量スクリーンの成分の1つとして使用できる。好ましい実施形態において、ハイスループットおよび高含量の組合せを使用し、ここで、細胞を含む各位置の複数の細胞を、ハイスループットモードで解析し、細胞を含む位置の部分集合のみを、高含量モードで解析する。ハイスループットスクリーンは、発光強度の増加した位置、レポータ遺伝子の発現を示す位置、カルシウム変化を受けた位置およびpH変化を受けた位置を同定することを含むがこれに限定されない、さらに解析すべき細胞を含む位置を同定するのに有用である、任意のスクリーンであり得る。
薬物スクリーニング適用に加えて、本発明は、臨床診断、化学的および生物学的戦闘兵器の検出、および、基本的な研究市場に適用し得る。なぜなら、細胞分裂および運動性などの基本的な細胞プロセスは、微小管動力学に高度に依存しているからである。
画像獲得および解析
画像データは、固定または生指標細胞から得ることができる。得られた各画像から形態計測データを抽出するために、以下の解析法を使用する:
1.各核および細胞質画像を閾値処理し、核または細胞境界外の各ピクセルについて値=0を有するマスクを作成する
2.最初の画像上にマスクを重層し、フィールド(すなわち核または細胞)中の各物体を検出し、そのサイズ、形状、および積分強度を計算する
3.上で得られた全細胞マスクを、対応する発光微小管画像に重層し、以下の分類因子のセットの1つ以上を適用して、微小管形態および微小管形態に対する薬物の作用を決定する。
微小管の形態は、微小管の形状、サイズ、凝集状態、および重合状態の態様を定量するための、1セットの分類因子を使用して定義する。これらの分類因子は、共起マトリックス、テクスチャー測定、スペクトル法、構造的方法、ウェーブレット変換、統計学的方法、またはその組合せを含む、アプローチに基づき得る。かかる分類因子の例は、以下の通りである:
1.コレガ(Kolega)ら((1993).BioImaging 1:136〜150、これは、個々の細胞の縁端強度を決定するための非自動化方法を開示している)に考察されたような、縁端検出法を使用して微小管の長さおよび幅を定量して、各細胞内の全縁端強度を計算するための、分類因子。細胞サイズを標準化するために、全縁端強度を、細胞面積で割ると、「微小管形態」値を得ることができる。大きな微小管形態値は、強い縁端強度値に関連し、それ故、別個の微小管構造を含む細胞では最大である。同様に、小さな微小管形態値は、弱い縁端強度に関連し、脱重合微小管を有する細胞では最小である。微小管形態値の生理的範囲は、細胞を、微小管を安定化する薬物であるパクリタキセル(10μM)または微小管を脱重合する薬物であるノコダゾール(10μg/ml)で処理することにより設定する。
2.上記で考察した受容体内部移行法の方法論を使用して、微小管の、点状の斑点または焦点への凝集を定量する分類因子
3.画像テクスチャーの測定値を使用した、微小管脱重合を定量するための分類因子
4.微小管の見かけの相互連結または分岐(または両方)を定量するための分類因子
5.試験化合物で処理した細胞の画像の時間シリーズに関する、上記の分類因子を使用した、微小管再構成の動力学の測定。
さらなる態様において、微小管標識タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクター、並びに、上記の方法を実施するために発現ベクターを使用するための命令を含む、微小管安定性を解析するためのキットが提供される。好ましい実施形態において、発現ベクターはさらに、発光タンパク質をコードする核酸を含み、ここでの微小管結合タンパク質およびその発光タンパク質は、融合タンパク質として発現される。別に、キットは、微小管標識タンパク質に特異的に結合する、抗体を含み得る。さらなる実施形態において、キットは、微小管標識タンパク質を発現する細胞を含む。好ましい実施形態において、細胞を、発現ベクターでトランスフェクトする。別の好ましい実施形態において、キットはさらに、クラシン、ノコダゾール、ビンクリスチン、またはビンブラスチンを含むがこれに限定されない、微小管構造を破壊することが知られる化合物を含む。別の好ましい実施形態において、キットはさらに、タクソール(パクリタキセル)、およびジスコデルモリドを含むがこれに限定されない、微小管構造を安定化することが知られる化合物を含む。
別の態様において、本発明は、細胞スクリーニングシステムに、微小管安定性を解析するために、開示した方法を実行させるための、1セットの命令を含んだプログラムを含む、機械で解読可能な記録媒体を含み、ここでの細胞スクリーニングシステムは、細胞を含むプレートを保持するのに適合した載物台を有する光学システム、デジタルカメラ、細胞から放出された蛍光または発光をデジタルカメラに向ける手段、および、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り処理するコンピュータ手段を含む。
実施形態10 神経突起成長
薬物発見についての主な興味は、ニューロンからの神経突起成長に影響を及ぼす化合物の同定である。神経成長を促進する薬物は、脊髄損傷、糖尿病および卒中などの疾病から生じる神経障害、パーキンソン病、および、アルツハイマー病を含む他の形態の痴呆を含むがこれに限定されない、神経障害および神経損傷をもたらす、多種多様の疾病および外傷の処置に有用である。
従って、別の態様において、本発明は、神経突起成長を解析するための、自動化された方法、キットおよびコンピュータで解読可能な媒体を提供する。この実施形態の方法は、
−細胞を含む位置のアレイを提供し、ここでの細胞は、細胞数を報告する少なくとも1つの第1の発光標識したレポータ分子、および、神経突起成長を報告する少なくとも1つの第2の発光標識したレポータ分子を有し、
−複数の細胞を含む各位置における複数の細胞を画像化または走査して、第1および第2の発光標識したレポータ分子から発光シグナルを得、
−発光シグナルを、デジタルデータに変換し、そして
−デジタルデータを使用して、自動的に測定を行ない、ここでの測定を使用して、細胞上または細胞内の、第1および第2の発光標識レポータ分子の分布、環境または活性の変化を自動的に計算し、ここでの計算した変化は、神経突起成長の測定値を提供することを含む。
本明細書に使用したような「ニューロン」または「神経細胞」なる語は、ニューロンを含む脳細胞の一次培養液、一次神経細胞を含む単離細胞培養液、神経前駆細胞、ニューロンのモデルとして使用する組織培養細胞(例えばPC12細胞、これは、ラットクロム親和細胞腫からクローニングした新生物神経細胞系である)、またはその混合物を含むがこれに限定されない、任意の種類のニューロンを含む、任意の細胞個体群を含む。
本明細書に使用したような「神経突起」なる語は、軸索、樹状突起、神経突起、中間セグメント、末端セグメント、糸状仮足および成長錘状体を含むがこれに限定されない、神経細胞体から成長する、任意のプロセスおよび/または構造を意味する。
本明細書に使用したような「神経突起成長」なる語は、正の神経突起成長、神経突起成長阻害、神経突起成長分解、および、神経突起形態における他の変化を含む。
本明細書に使用したような「細胞は、1つ以上の発光レポータ分子を有する」なる語は、発光レポータ分子は、細胞により、発光レポータ分子として発現させ得るか、発光レポータ分子として細胞に加え得るか、または、細胞を、レポータ分子に結合する、色素または抗体などのレポータ分子に結合する発光標識分子と接触させることにより、発光標識し得ることを意味する。発光レポータ分子は、試験物質で処理する前、同時、または後に、発現または添加できる。
別の実施形態において、この方法はさらに、ニューロンを、試験化合物と接触させることを含み、ここでの計算した変化により、試験化合物が、ニューロンの神経突起成長を修飾したかどうかが示される。混合細胞培養液を使用し、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、またはミクログリアなどの、混合培養液中の他の細胞の核を同定したい場合、これらの細胞型に特異的であり、異なるフルオロフォアで標識した、蛍光プローブを使用し、1つのフィールドあたり十分な画像(すなわち2より多い)を獲得して、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、またはミクログリアを同定する。本発明のこの実施形態を使用して、神経細胞からの神経突起成長に(正または負に)影響を及ぼす化合物を発見でき、並びに、ニューロンに毒性であり、神経突起長、数、および分岐を含むがこれに限定されない、その神経突起の形態に影響を及ぼす、条件を同定できる。かかる神経毒性研究では、方法は、神経突起を分解する化合物を同定するか、または、既知の神経毒の活性を阻害する試験化合物を同定することを含む。
好ましい実施形態において、第1の発光標識レポータ分子は、DNA結合化合物を含む。さらなる好ましい実施形態において、第2の発光標識レポータ分子は、細胞質、膜および細胞タンパク質からなる群から選択した細胞成分を選択的に検出する化合物を含む。さらなる実施形態において、第2の発光標識レポータ分子は、ニューロン特異的である。別の実施形態において、細胞は、ニューロン特異的であるか、または、ミクログリア、オリゴデンドロサイト、およびアストロサイトを含むがこれに限定されない、目的の他の細胞型に特異的である、少なくとも1つの第3の発光標識レポータ分子を含む。
別の実施形態において、方法はさらに、細胞を、神経突起成長を修飾することが知られる対照化合物と接触させ、計算した変化を利用して、対照化合物がニューロンにおける神経突起成長を修飾するのを試験刺激が阻害するかどうかを決定する。別法として、試験刺激を加えず、対照化合物を除去した後に、測定および変化の計算を行ない、神経突起成長に対するかかる除去の効果を決定する。
さらなる実施形態において、位置のアレイの亜領域を、数回、間隔をおいてサンプリングして、細胞上または細胞内の発光レポータ分子の分布、環境または活性における動力学的な変化の測定を提供する。
さらに、適用を通じて記載したものを含むがこれに限定されない、他の高含量またはハイスループットアッセイを、本発明のアッセイと組合せて使用して、化合物で処理した場合の同じニューロンの生理的状態を測定できる。本発明の方法のマルトパラメトリックアッセイに使用するに好ましいアッセイは、細胞生存アッセイ、アポトーシスアッセイ、およびGタンパク質共役受容体(GPCR)および他の受容体内部移行アッセイである。
本発明のこの態様は、異なる化合物で処理した細胞個体群のアレイを自動的に走査し、神経細胞の神経突起成長を、集合的におよび個々に自動的に定量する方法を提供する。ニューロンは、この実施形態に使用する異なる細胞型または異なる神経細胞型の混合物から単離する必要はなく、従って、この方法は、一次脳培養液にも適用できる。
本発明はさらに、細胞スクリーニングシステムに、本発明のこの態様の方法を実行させる、1セットの命令を含んだプログラムを備えるコンピュータ解読可能な記録媒体を提供し、ここでの細胞スクリーニングシステムは、細胞を含むプレートを保持するのに適合した載物台を有する光学システム、載物台または光学システムを移動する手段、デジタルカメラ、細胞から放出された光をデジタルカメラに向ける手段、および、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り処理するコンピュータ手段を含む。好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステムは、上記に開示するものである。
本発明はさらに、少なくとも1つのニューロン特異的発光レポータ分子;少なくとも1つの核特異的発光レポータ分子;並びに、ニューロン特異的発光レポータ分子および核特異的発光レポータ分子を使用して、神経突起成長を解析するか、または、神経突起成長を修飾する化合物を同定するための命令を含む、神経突起成長を解析するための、または、神経突起を修飾する化合物を同定するための、キットを提供する。
ニューロンの同定
1つの実施形態において、試料中の全細胞を、発光レポータ分子マーカで標識して、その位置を同定する。一旦細胞の位置が同定されると、細胞を計測できる。典型的には、核酸色素ヘキスト33342を、発光レポータ分子として使用して、全細胞の核を同定する。しかし、他の核標識も使用できる。核酸蛍光染色は2種類ある:生細胞の形質膜を通過できるもの、および、膜に不透過性であるもの。膜透過性核酸染色の例は、DAPI、ジヒドロエチジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ヘキスト33258、およびSYTO(登録商標)色素シリーズ(モレキュラー・プローブ社)を含む。膜不透過性色素で核を標識するために、形質膜を透過化処理しなければならない。膜不透過性核酸色素の例は、シアニン核酸標識、例えば、TOTO(登録商標)、YOYO(登録商標)、BOBOTM、POPOTM、TO−PRO(登録商標)、YO−PRO(登録商標)、BO−PROTM、およびPO−PROTM(モレキュラー・プローブ社)、エチジウム類似体、例えばエチジウム−アクリジンヘテロダイマー、臭化エチジウム、エチジウムジアジド、およびエチジウムホモダイマー1および2、ヨウ化プロピジウム、および緑核酸染色SYTOX(登録商標)(モレキュラー・プローブ)を含む。さらに、ニューロンを低密度で蒔いた場合、細胞質などの細胞の他の成分を標識して、培養液中の全ての細胞を同定できる。好ましい実施形態において、核標識を使用する。いくつかの細胞質染色の例を以下に示す。
試料が、脳細胞の混合物からなる場合(ニューロン以外の細胞型も含む)、ニューロンに属する発光標識された核を同定する。ニューロンは、核マーカおよび任意の他のマーカまたは使用する他の発光レポータ分子とは異なる波長の発光を有する、ニューロンに特異的な発光レポータ分子により、他の細胞と区別する。
ニューロン特異的マーカと一致する核を、ニューロンに属する混合細胞個体群中の核として同定する。多くの異なるニューロン特異的標識マーカを使用できる。
ニューロン特異的標識戦略の数例は、神経フィラメントに対する間接的免疫蛍光、βIII−チューブリンに対する間接的な免疫蛍光、および、毛様体神経栄養因子(CNTF)などの神経栄養因子に対する間接的な免疫蛍光を含むがこれに限定されず、全てが、ニューロン特異的抗原およびタンパク質である。
細胞を発光で標識し、よって、培養液がニューロンまたはニューロン様細胞のみから構成されているか、または混合細胞培養液中のニューロンであるか、全てのそのプロセスを可視化できる。発光で標識して、プロセスを可視化できる、標的がニューロンにいくつかある。
(1)細胞質染色:細胞質を、任意の標準的な細胞質染色で染色できる。かかる染色の例は、CMFDA(クロロメチルフルオレセインジアセテート)、またはCMTMR(クロロメチルテトラメチルローダミン)(モレキュラー・プローブ)である。別法として、細胞を工学して、緑蛍光タンパク質(GFP)などの自己蛍光タンパク質を発現させ得る。細胞質中に発現されたGFPにより、ニューロンのプロセスを可視化できる。
(2)膜染色:膜染色は、diI(ジオクタデシリンカルボシアニン)(モレキュラー・プローブ)などの標準的な脂質色素であり得るか、または、細胞膜上にある蛍光標識タンパク質であり得る。タンパク質を蛍光標識するために、細胞表面タンパク質に対する免疫蛍光(標準的な免疫蛍光染色技術を使用)または膜タンパク質に結合する蛍光リガンドを使用できる。この戦略は、ニューロン形状およびプロセスの同定に加えて、混合脳混合物からニューロンを特異的かつ選択的に同定するのに使用できるという点で、二重の目的に役立ち得る。膜上にあるニューロン特異的マーカの例は、種々の神経栄養因子である。例えば、ニューロンの表面上の毛様体神経栄養因子CNTFに対する間接的な免疫蛍光は、ニューロンの構築を描写できる。
(3)細胞タンパク質の染色:特定の細胞質染色液は、細胞タンパク質を標識し、そのいくつかはニューロンに特異的である。このカテゴリーは、ニューロンの描写を助ける細胞骨格タンパク質を含む。この例は、神経フィラメントに対する、またはβIII−チューブリンに対する間接的な免疫蛍光を含むがこれに限定されず、この両方共、ニューロン特異的細胞骨格タンパク質である。
(4)全てのこれらの染色戦略の組合せを使用して、ニューロンプロセスおよび成長している神経突起をより良く同定できる。
神経突起成長を刺激する化合物の同定
細胞を、慣用的な光学顕微鏡カバーガラスなどの、ガラス、プラスチック、またはシリコンウエハースを含むがこれに限定されない、任意の光学的に透明な材料から製造され得る、基質上に蒔く。特定の状況において、プラスチック基質は、細胞の良好な付着に十分である。しかし、いくつかの細胞型については、基質は、良好な付着および成長のために、特定の細胞外マトリックスでコーティングする必要がある。例えば、PC12細胞は、コラーゲン基質上で増殖する必要がある。次いで、試験する化合物(群)を細胞に加える。適切な時間の経過後、神経細胞を発光標識し(それらが以前に標識されていない場合)、次いで、画像を獲得し、自動的に解析して、下記のように神経突起成長を定量する。神経成長因子(NGF)で処理したPC12細胞を用いて実施したいくつかの実験では、細胞を発光標識し、画像化し、NGF処理の2から7日後に解析した。
神経突起成長を阻害する化合物の同定
神経細胞を最初に、上記のような基質上に蒔く。細胞を、試験すべき化合物、および、神経突起成長を刺激することが知られる対照化合物(例えば神経成長因子(NGF))で処理し、ここで、対照化合物での処理は、試験化合物処理の前、後、または同時に実施する。適切な時間の経過後、画像を獲得し、自動的に解析して、上記のように神経突起成長を定量する。
ニューロンおよび神経突起に対して毒性である条件の同定
神経細胞を、最初に、上記のような基質上に蒔き、神経突起成長が可能となるように処理する。例えば、細胞を、上記のように、NGFと接触できる。神経突起成長が生じた後、細胞を、ニューロンおよび神経突起に対する毒性について試験する条件で処理する。かかる条件の例は、毒性の可能性のある濃度範囲の化合物の添加、細胞の増殖に重要な物理的パラメータ、またはいくつかの場合では、NGFなどの神経突起成長を刺激する因子の中止であり得る。適切な時間の経過後、画像を獲得し、下記したように自動的に解析し、神経突起成長を定量する。
画像獲得および解析
神経細胞が低密度であるか、または高度の神経突起成長を有さない場合、個々の細胞を容易に同定できる。しかし、神経突起が成長し始め、細胞が数多くのプロセスを生じ始めると、これらのプロセスは交差し得、神経細胞は、大きな細胞のクラスターの一部となる。従って、全細胞クラスターが、1つの連結された発光実体となる。神経細胞体から成長する、異なるプロセスおよび構造は、軸索、樹状突起、神経突起、中間セグメント、末端セグメント、糸状仮足および成長錘状体を含む。画像獲得および解析のために、全てのプロセスおよび構造は、2つの群に分類される:(1)細胞体(神経細胞体としても知られる)および(2)神経突起。細胞体は、核を含み、粗く緻密で丸い形態を有する、ニューロンの中心部分である。細胞体から出現する全ての成長およびプロセスが、神経突起と分類される。神経突起は分岐し得るか、他の神経突起と交差し得るか、または、それから成長しているより小さなプロセスを有し得、その全てを、画像解析の目的のその親神経突起の一部と考える。従って、神経突起は、細胞体中にある1つの起源を有するが、それが分岐する場合には複数の終点を有し得る。本発明の方法の適用から得られた結果により、使用者は、その分類ガイドラインに従って神経突起を規定および分類できる。例えば、1つの刊行物において、軸索は、細胞体からの最も長い連続的な神経突起と定義され、0.7μmないし5.1μm長の間の神経突起セグメントは、糸状仮足と定義され、5.1μmより長いものは、細胞体から出現している場合には神経突起、または、末端が神経突起に付着している場合、末端セグメント突起と呼ばれる(ラマーカス(Ramakers)ら、1998、Developmental Brain Research、108:205〜216)。
本発明の神経突起成長法は、以下の種類の解析を実施する:
a.細胞の核を同定する。試料が細胞の混合培養液である場合、それはニューロンに属する核を同定する。核を使用して、ニューロンの数を同定および維持し、ニューロンのクラスター中の細胞体の数も決定する。
b.ウェル中および個々の細胞クラスターにおける神経突起成長度を同定する(細胞が低密度であるか、神経突起成長が制限されている場合、細胞クラスターは単に1細胞からなる)。これは、細胞体およびそれから伸びている神経突起を含む、神経細胞(または細胞クラスター)の形態を測定することにより達成される。
c.神経突起の特定の特性および形態特徴、例えばその長さ、数、および分岐点を測定する;
d.多くのニューロン中のどれ、およびどれ位の数が、神経突起成長について正であると考えることができるかを測定する;および/または
e.その解析を、同じ細胞または細胞クラスターに関する他のHCS解析と合わせる。適用できる他のHCSアッセイの例は、細胞生存度、アポトーシス、またはGPCRおよび他の受容体内部移行のアッセイを含むがこれに限定されない。
例えば、方法の1つの実施形態において、細胞、ニューロンおよび神経突起の以下の特徴を測定および報告する:
Figure 0004693382

さらに、上記の特徴を合わせて(例えば、1つの特徴を他の特徴で正規化する、または2つ以上の特徴を相関させる)、新しい特徴として報告できる。
神経突起成長を定量し、これらの特徴を測定する好ましい方法を下記する。本明細書に使用したような、以下の用語は、特定の意味を有する:
「画像」は、強度を有するピクセルの表示を示す。
「ピクセル」は、関連する強度値と共に、アレイ内の(x,y)座標位置を意味する。
「バイナリ画像」は、各ピクセルが0または1の強度を有する画像を意味する。これは、通常、ピクセルが完全な強度範囲を有する画像から得られる。バイナリ化は、閾値より高い強度を有するピクセルを、バイナリ画像で1の強度を有すると割当てる。閾値未満または閾値に等しい強度を有するピクセルは、バイナリ画像で強度0を有する。バイナリ画像「に含まれる」ピクセルは、単に、1の値を有するピクセルと考える。バイナリ化画像はまた、他の画像に適用するマスクとして使用して、バイナリマスクされた構造と同じ場所に配置するピクセルの強度を測定することができる。
「閾値処理」は、強度が、閾値と呼ばれる値よりも高い、画像のピクセルを選択するプロセスを意味する。閾値処理の結果を、閾値より高いピクセルが1の値を有し、他は0の値を有する、バイナリ画像内に保存する。
「自動閾値処理」は、画像に存在する輝度の分布を考慮することにより、画像に適切な閾値を自動的に選択および適用するプロセスを意味する。閾値を選択する多種多様な方法が知られており;このアッセイに使用する方法は「isodata法」として知られるが、他の自動閾値処理スキームも使用できる。
連結要素:どのピクセル(その位置は、画像境界に沿っていない)も、8つの隣接するピクセルを有する(4つのピクセルと側を共有し、他の4つと隅を共有する)。ピクセルは、その8つの隣接する各ピクセルに8連結していると言われる。「8連結要素」は、強度閾値より高い強度を有するどのピクセルが、同じ物体に連結および属しているかを決定する方法である。8連結要素スキームにおいて、目的のピクセルの周囲の8つのピクセルのいずれかが、強度閾値より高い強度を有する場合、中心ピクセルと同じ物体の一部として同定される。バイナリ画像で1の強度を有するピクセルを考える。これらのピクセルは、別々の群に分け得、ここでの別々の群は、特定の特性を満たす:1)どの群も、任意の他の群のいずれかのピクセルに8連結しているピクセルは含まない。2)群の中の任意の2つのピクセルが、その群のピクセルのみを通過する、それらを連結する経路を含む。これらの特性を満たす群は、画像の連結要素と称される。
「フォームファクタ」は、神経突起成長の定量的測定値として使用できる。それは、画像物体の円周の二乗を、物体面積の4π倍で割ったものからなる(すなわち、FF=円周/(4π面積))。
神経突起成長が起こらず、神経細胞の形状が円に類似している場合、フォームファクタは1に近いだろう。神経突起成長が起こり、細胞または細胞クラスターがより分岐するようになると、このFF測定値は増加する。全画像フィールドにおける平均FFをコンピュータ計算して、全ウェルにおよぶ神経突起成長度を得ることができる。さらに、個々のニューロンまたは神経細胞クラスターにおける神経突起成長度も、その個々のFFにより決定できる。
バックグラウンド補正:不均一な蛍光分布由来の感度を回避するために、バックグラウンド補正フィルタを画像に適用できる。この段階により、画像の、低い空間的変動頻度が除去される。これを実施する1つの戦略は、各ピクセルの近傍に由来するバックグラウンド強度を差し引くことである。ピクセルの近傍のバックグラウンド強度を推定するために、ピクセルを中心とする平方領域内の強度を平均化する。我々は、この推定を形成するために非常に明るいピクセルを使用したくないので(非常に明るいピクセルは、明らかにフォアグラウンドピクセルであり、バックグラウンドの推定に含むべきはない)、我々は、平均を形成するために、強度閾値より低いピクセルのみを含める。バックグラウンドの強度推定を得たので、我々は、ピクセル強度からこの強度を差し引く。結果は、この操作を全画像に通じて実施する場合、バックグラウンド補正画像である。
分岐同定:分岐は、主な細胞体から成長している神経突起が、神経突起から成長している1つより多い(通常2つ)神経突起セグメントに分割する場合の点である。分岐点またはトリプル点は、1つの分岐が、2つまたは多数の分岐に分割している場所の接合部である。
画像獲得
a.好ましい実施形態(図25A―B)
方法への入力: 2つの画像を、方法への入力画像として提供する。:核チャネル画像および神経突起チャネル画像。核チャネル画像では、細胞の核を、ヘキスト33342またはいくつかの他の蛍光または発光核染色で標識する。神経突起チャネル画像では、神経細胞体およびその付着した神経突起を蛍光または発光標識する。
初期化相:
初期化相は、核およびニューロン画像の両方に対する、任意選択のバックグラウンド補正を用いて始める。バックグラウンド補正段階を適用して、不均一な照明の効果を低減し、検出を向上する。
バイナリ画像を、閾値の適用により、核チャネル画像および神経突起チャネル画像の両方について作成し;自動閾値処理が、ユーザーによる入力を必要としないので、好ましい方法である。
核チャネル:
バイナリ画像を、自動閾値の適用により、核チャネル画像から作成する。1つのニューロン核または核凝集塊あたり、1つの連結要素が核小体画像に存在する。各々の核の位置座標は、最初に、バックグラウンド補正した核画像にマスクとしてバイナリ核小体画像を適用し、次いで、ピーク検出慣行を使用して、ピーク最大強度を有するピクセルを選択することにより決定する。このピクセルは、各々の核の位置座標としてタグ化する。
神経突起チャネル:
バイナリ蓄積画像を、自動閾値処理の適用により、神経突起チャネル画像から作成する。この蓄積画像中のピクセルは、一般に、核小体画像のピクセルの上位集合である。
細胞体の同定
ニューロンは、細胞体から伸びている神経突起を有する細胞体からなる。各細胞体が1つの核を含み、細胞体は、核よりも広い面積を覆う。神経突起成長の定量を開始する前に、神経突起の源である、細胞体を同定する必要がある。従って、核小体画像(これはニューロンの核に対応する)の連結要素が拡張して、関連する神経細胞体が膨らむまで、各々の核のピークのピクセルの、一連の膨張を実施する。実施した膨張は、条件付膨張であり;膨張を適用する毎に、1つのピクセルの層を、その層中のピクセルがニューロン蓄積画像に存在する条件で、核小体に加える。これは、膨張に因る面積の増加は、依然として、細胞体の境界を越えて伸びていないことを意味する。各膨張中に、nfrontおよびnaddedの数を、核小体画像中の各連結要素について測定する。Nfrontは、単に追加のピクセルによる膨張である、単純な(条件のない)膨張により連結要素に加えられる、ピクセルの数である。Nfrontは、最新の膨張に因る物体の、ピクセル数で測定した、新しい円周と考えることができる。Naddedは、条件付膨張により実際に加えられる、ピクセルの数である。1ピクセルの膨張後に、蓄積画像で正である新しい円周のピクセルのみを計測するので条件付である。
従って、naddedは、バイナリ蓄積画像で1の強度を有する、新しい円周のピクセルの数である。nadded/nfrontの比が、膨張の経過で、幾人かのユーザーにより定義された閾値数よりも低いとコンピュータ計算された場合(我々は、経験的に、0.05から0.3の範囲が我々の試験画像で作動することを発見する)、これ以上の連結要素の膨張を実施しない。これは、細胞体の限界に達し、膨張がもはや必要ではないことを意味する。バイナリ蓄積画像で正である、その後の膨張における追加のピクセルは、細胞体から成長している実際の神経突起に属する。細胞体の限界は、細胞体面積として報告できる。全ての連結要素がこの段階を達成すると(すなわち、全ての個々の核が、この段階まで処理されると)、次の方法の段階を開始する。
この時点で、核小体画像は、各神経細胞体について、1つの連結要素(すなわち1つの実体)を含む。
繰返し相:次の段階は、各細胞体から伸びている神経突起を同定することである。このために、1つの条件付膨張を、核小体画像に実施して、各神経突起スタブを同定する。膨張画像なる語は、膨張により加えられた、正のバイナリピクセルのみを含む画像を記載する。膨張画像中の各連結要素は、節と称される。各節を使用して、1節神経突起データ構造を初期化する。神経突起データ構造は、複数の分岐を含む可能性があり、他の神経突起と接続している可能性があり、神経細胞体から外に伸びているので、物理的神経突起を示すと捉えられる。
次に、条件付膨張は、核小体画像のピクセルに連続的な、蓄積画像からのさらなるピクセルがなくなるまで、核小体画像上に連続的に実施する。各々のかかる膨張により生じた膨張画像において、節のセットをコンピュータ計算する。各節は、神経突起物体の連続、神経突起物体の分岐、または2つの神経突起物体の接続を示す。節の1つ以上のピクセルが、神経突起物体のピクセルに隣接している場合に、節と既存の神経突起物体の間に会合が形成される。節が、2つ以上の神経突起物体と会合している場合、それは接続点を示す。複数の節が神経突起物体と会合している場合、それは分岐点を示す。節が唯1つの神経突起物体と会合し、その神経突起物体が前記の節のみと会合している場合、節は、神経突起物体の伸長である。伸長、分岐または接続を記録する。接続の場合、関与する神経突起物体は融合する。
全神経突起が、その連結された節のセットを繋ぎ、次いで神経突起長を測定することにより同定される。閾値長の基準を適用して、異なる神経突起を分類し得る。かかる基準の1つの適用は、短すぎる神経突起を拒否することであろう。各神経突起の起源は、それが起始するニューロンに会合している。これを実施する1つの方法は、神経突起の起源の節を、最も近い細胞体または核ピークに繋ぐことである。特定の細胞型(例えばPC12細胞)では、ニューロンはクラスターを形成し、クラスター内の細胞の部分集合のみが神経突起を伸長する。神経突起とその起始ニューロンとのこの会合により、神経突起および細胞のクラスター内のその起始細胞が同定される。
出力特徴:
種々の異なる量を、この方法により測定できる。第1に、細胞数およびニューロン数を測定および報告できる。各神経突起について、全長(全てのその分岐の長さの合計として測定)および分岐数を測定できる。各々の核について、それから出現する神経突起の数を測定できる。各クラスターについて、フォームファクタ(円周÷(4π×面積))を測定し、神経突起成長度として報告する。さらに、各々の核からの神経突起長を合計し、閾値長よりも長い場合、核を、神経突起成長について正と同定する。これらの測定は、種々の方法で合わせて、表2に報告した出力特徴を出すことがでる。
好ましい実施形態の実証
1.PC6−3細胞における神経突起成長の測定
PC6−3細胞(PC12細胞のサブクローン)を、コラーゲンでコーティングしておいた、96ウェルマイクロプレートで増殖した。ウェルは、神経突起成長を刺激するための種々の濃度のNGF(神経成長因子)(0〜1000ng/ml)を含んだ。対照個体群は、NGFを含まなかった。2日後、細胞を固定し、間接的な免疫蛍光を、ウサギ抗βIII−チューブリン一次抗体およびALEXAFLUOR(商標)488コンジュゲートヤギ抗ウサギ二次抗体(モレキュラー・プローブ)を使用して、βIII−チューブリンに対して実施した。次いで、細胞を3.7%ホルムアルデヒド中で20分間固定し、固定溶液はまた、その核を標識するための10μg/mlのヘキスト33342を含んだ。細胞を、本発明の細胞スクリーニングシステムで画像化し、次いで、上記したプロトタイプ法で解析した。以下に示した結果は、NGF濃度の関数である、フォームファクタおよび平均神経突起長についてである。
Figure 0004693382

2.PC12細胞の神経突起に対するドーパミン毒性の測定
PC12細胞を、1μg/mlのNGFの存在下で、コラーゲンIVでコーティングしたウェルを有する、96ウェルマイクロプレート上で7日間増殖した。
種々の濃度のドーパミンを3時間で加え、その後、細胞を3.7%ホルムアルデヒド中で20分間で固定し;固定溶液はまた、10μg/mlのヘキスト33342も含んだ。細胞を、βIII−チューブリンに対するウサギ一次抗体、および、ALEXAFLUORTM 488コンジュゲートヤギ抗ウサギ二次抗体を使用して、間接的な免疫蛍光により染色した。細胞を、本発明の細胞スクリーニングシステムで画像化し、次いで、上記したプロトタイプ法で解析した。以下に示した結果は、ドーパミン濃度の関数である、神経突起成長係数(表2参照)についてである。各データ点は、8ウェルの平均結果であり、誤差棒は標準偏差である。このデータからの神経突起に対するドーパミン毒性についてのIC50(50%阻止濃度)は0.46mMである。
Figure 0004693382

b.別の画像獲得実施形態(図26および27A―B参照)
別の実施形態において、この方法は、特定の状態、この場合、細胞型の混合した個体群を含む培養液中のニューロンである、フィールド中の細胞の比率を測定する。陽性状態は、細胞が明るく蛍光であることを意味し、陰性状態は、細胞が蛍光をほとんどまたは全く有さないことを意味する。ニューロン特異的レポータ分子を使用する場合、陽性状態は、どの神経細胞についても起こり、陰性状態は全ての他の細胞について起こる。ニューロンを同定するために、2つの画像を、上記に考察したように、1フィールドあたりで捉える。陽性状態の細胞数を、全細胞の総数と比較して、フィールド中の陽性状態の細胞の比率を得る。
さらに、異なるタイプのニューロンの混合物を、神経突起成長についてアッセイできる。解析する各ニューロン亜個体群を、別個のレポータ分子により同定する。かかる方法は、例えば、特定の神経伝達物質受容体に対する免疫蛍光により、混合個体群において、コリン作動性ニューロンからGABA作動性ニューロンを区別するために使用できる。
この別の実施形態は、以下のように要約する:
検出閾値のコンピュータ計算
2つの対照ウェルを使用する:全細胞が陽性状態にある試料、および、全細胞が陰性状態にある試料。陽性状態の細胞を明るく標識し、陰性状態の細胞はそうしない。細胞セグメンテーションを向上するために、全ての画像を、ユーザーの決定した面積におよぶ局所平均強度を差し引くことにより、バックグラウンド補正できる。陰性対照では、細胞を含まないバックグラウンドおよび細胞の強度分布の変動を最小限にするように設定する。陽性対照では、細胞を含まないバックグラウンドおよび細胞の強度分布の変動を最小限にするように設定する。陽性状態検出閾値は、対照画像からコンピュータ計算した閾値の秤量合計として設定する。
核の検出および計測(ヘキストで標識)
核画像を、局所平均の差し引きにより、バックグラウンド補正する。閾値を画像に適用する。画像は、細胞を含まないバックグラウンドの薄いピクセルおよび細胞に関連したより明るいピクセルに因る、二項強度分布を有する。閾値は、これらの2つの分布の変動を最小限にするように設定する。8連結要素を標識および計測する。これにより、各々の核により覆われる面積が同定され、各々の個々の核のマスクが設定される。
陽性状態の検出および計数
核マスク画像の8連結要素を標識する。陽性状態の細胞を発光で標識した画像を、局所平均の差し引きにより、バックグラウンド補正する。次いで、陽性状態の細胞を、固定または自動閾値(陽性状態検出閾値より高いピクセルの選択)により選択する。
次いで、陽性細胞を、「形態学的」または「Blob解析」方法により同定する:
a.形態学的方法(図28):形態学的膨張(例えば5つのピクセルの)を選択した面積に適用する。選択した面積は、論理的に核マスクで「AND」し、次いで、得られた面積の8連結要素を標識および計測する。
b.Blob解析法(図29):選択した面積は、論理的に、核マスクの各々の別々の8連結要素で「AND」する。得られた画像の面積を、閾値(拒絶閾値)と比較し、より大きい場合、細胞を、陽性状態と計測する。
陽性状態の細胞(例えばニューロン)を神経突起成長アッセイに連関させる
各々のウェルについて、検出された核の数および陽性状態(すなわちニューロンである)の核の数を、記録および報告する。1ピクセルあたりの全積分強度および平均強度も報告できる。次に、神経突起成長法を、陽性状態の神経細胞に適用して、その神経突起成長を定量および特徴づける。陽性状態の核を使用して、陽性状態の細胞を係数化し、追跡する。
神経突起成長度の測定
神経突起成長度を測定するために、神経細胞または細胞クラスターの円周および面積の両方を測定する。神経突起成長度を定量するために、我々は、上記で考察したような、フォームファクタ(FF)を使用する。関与する一連の段階の要約は以下の通りである:
1.バックグラウンド補正:好ましい実施形態と同じ
2.画像バイナリ化:その後、画像をバイナリ化して、全ての選択した細胞を用いてマスク画像を作成する。
3.成長度:バイナリ化画像の連結要素を標識し、その各々が、個々の細胞または細胞クラスターを示す。各要素の円周、面積およびフォームファクタをコンピュータ計算する。
4.分岐同定:全ての分岐をコンピュータ計算するために、最初に細胞分岐を、モルフォロジーオープニング(例えば画像プロセシングによる画像の侵食)を最初のマスク画像に適用することにより除去する。次いで、骨格抽出したマスク画像(上でコンピュータ計算)から、領域の主な細胞体を差し引く。これにより、細胞分岐の骨格のみ残る。
5.トリプル点同定:トリプル点は、1つの分岐が、2つまたは多数の分岐に分割しているか、または異なる神経突起分岐が交差している接合部である。この画像を解析して、トリプル点を発見および計測する。次いで、これらの点を、画像から取り出し、各分岐およびその亜分岐を分離する。連結要素標識を使用して、分岐および亜分岐の数を計測し、各物体(分岐)のピクセル数を計測することにより、各々の別々の分岐の長さもコンピュータ計算する。
トリプル点特徴づけ:画像獲得を、トリプル点をさらに特徴づける特徴を含めるように膨張できる。上記したように、トリプル点は、異なる細胞の神経突起が交差する場所であり得る。連結がこれらの異なる神経突起間でなされる場合、これらの連結に特徴的な特定のタンパク質が発現され得る。例は、シナプトブレビンなどのシナプス小胞タンパク質であり得る。アッセイに使用したその他のものと区別できるスペクトルを有するフルオロフォアを使用した、これらのタンパク質に対する免疫蛍光により、連結がなされたかどうかを決定できる。ニューロン発光標識と比較して、トリプル点が実際に、タンパク質に対して免疫蛍光と同じ場所に配置しているかどうかを決定することにより、トリプル点が特徴づけられ、神経突起間の連結がなされているかどうかが測定および定量される。
別の画像獲得実施形態を使用した実証データ
1.PC12細胞における神経突起成長の測定
PC12細胞を、ウェルをコラーゲンでコーティングしておいた、96ウェルマイクロプレートで増殖した。ウェルのいくつかは、神経突起成長を刺激するためのNGF(神経成長因子)(0.5〜1μg/ml)を含んだ。対照個体群は、NGFを含まなかった。2日後、細胞を製造業者の指示に従ってCMFDAで標識した。次いで、細胞を3.7%ホルムアルデヒド中で10分間で固定し、固定溶液はまた、その核を標識するための10μg/mlのヘキスト33342を含んだ。細胞を、本発明の細胞スクリーニングシステムで画像化し、次いで、上記したプロトタイプ法で解析した。最初に、細胞フォームファクタを計算した。
Figure 0004693382

神経突起成長法を、NGFで処理しておいた細胞のクラスターに適用した結果は、細胞クラスターに以下の解析を戻した:
Figure 0004693382

実施形態11 追加のスクリーン 形質膜と細胞質の間の転位置
プロフィラクチン複合体の解離およびプロフィリンの形質膜への結合
1つの実施形態において、プロフィリン膜結合の蛍光タンパク質バイオセンサーを、精製プロフィリン(フェデロブ(Federov)ら(1994)J.Molec.Biol.241:480〜482;ランブレッツ(Lanbretchts)ら(1995)Eur.J.Biochem.230:281〜286)を、2〜300n秒の範囲の蛍光寿命を有するプローブで標識することにより調製する。標識プロフィリンを、バルク添加方法を使用して、指標生細胞に導入し、指標細胞を、試験化合物で処理する。蛍光異方性画像化顕微鏡(ゴー(Gough)およびテーラー(1993)J.Cell.Biol.121:1095〜1107)を使用して、0.1秒から10時間までの範囲の処理後のある期間、細胞質と膜の間の、プロフィリンの蛍光誘導体の、試験化合物依存的な移動を測定する。
Rho−RhoGDI複合体の膜への転位置
別の実施形態において、指標細胞を試験化合物で処理し、次いで、固定、洗浄および透過化処理した。指標細胞形質膜、細胞質、および核を全て、別個の色のマーカで標識し、次いで、Rhoタンパク質(セルフ(Self)ら(1995)Methods in Enzymology 256:3〜10;タナカ(Tanaka)ら(1995)、Methods in Enzymology 256:41〜49)を、第4の色で標識した抗体で抗原局在化する。4つの各標識を、細胞スクリーニングシステムを使用して別々に画像化し、この画像を使用して、試験化合物により奏効される転位置の阻害または活性化の量を計算する。この計算を行なうために、形質膜および細胞質に印しを付すのに使用したプローブの画像を使用して、免疫学的プローブの画像をマスクし、細胞内Rhoタンパク質の位置に印しを付す。各マスク下での単位面積あたりの積分輝度を使用して、形質膜積分輝度/面積を、細胞質積分輝度/面積で割ることにより、転位置指数を形成する。対照および実験ウェルの転位置指数値を比較することにより、転位置の比率を、各々の可能性あるリード化合物について計算する。
G−タンパク質受容体活性化時における、β−アレスチンの形質膜への転位置 細胞質から膜への転位置の高含量スクリーンの別の実施形態において、細胞処理に応答した、細胞質から形質膜へのβ−アレスチンタンパク質の転位置を測定する。転位置を測定するために、発光ドメインマーカを含む指標生細胞を試験化合物で処理し、β−アレスチンマーカの移動を、本発明の細胞スクリーニングシステムを使用して、時間的および空間的に測定する。好ましい実施形態において、指標細胞は、一過性または安定な細胞トランスフェクションの使用により指標細胞により発現される、緑蛍光タンパク質β−アレスチン(GFP−β−アレスチン)タンパク質基キメラ(バラク(Barak)ら(1997)J.Biol.Chem.272:27497〜27500;ダーカ(Daaka)ら(1998)J.Biol.Chem.273:685〜688)、および、細胞質および膜ドメインに印しを付すのに使用する他のレポータからなる発光マーカを含む。指標細胞が休止状態にある場合、ドメインマーカ分子は、主に、形質膜または細胞質に分配する。高含量スクリーンにおいて、これらのマーカを使用して、別個の蛍光チャネルにおける、細胞質および形質膜を描写する。指標細胞を試験化合物で処理する場合、GFP−β−アレスチンの動力学的再分布を、0.1秒から10時間の範囲の時間尺度におよび、一連の画像として記録する。好ましい実施形態において、時間尺度は1時間である。各画像を、形質膜と細胞質の間のGFP−β−アレスチンタンパク質キメラの移動を定量する方法により解析する。この計算を行なうために、形質膜および細胞質に印しを付すのに使用するプローブの画像を使用して、GFP−β−アレスチンプローブの画像をマスクし、細胞内GFP−β−アレスチンタンパク質の位置に記しを付す。各マスク下での単位面積あたりの積分輝度を使用して、形質膜積分輝度/面積を、細胞質積分輝度/面積で割ることにより、転位置指数を形成する。対照および実験ウェルの転位置指数値を比較することにより、転位置の比率を、各々の可能性あるリード化合物について計算する。高含量スクリーンの出力は、目的の試験化合物で処理しておいた、大量の個々の細胞内の転位置の大きさを記載した量的データに関する。
小胞体とゴルジ体の間の転位置 小胞体からゴルジ体への転位置の高含量スクリーンの1つの実施形態において、細胞処理に応答した、小胞体口内炎ウイルスのts045変異株由来のVSVGタンパク質(エレンバーグ(Ellenberg)(1997)J.Cell.Biol.138:1193〜1206;プレスリー(Presley)ら(1997)Nature 389:81〜85)の、小胞体からゴルジ体ドメインまでの転位置を測定する。転位置を測定するために、発光レポータを含む指標細胞を試験化合物で処理し、レポータの移動を、本発明の細胞スクリーニングシステムを使用して空間的および時間的に測定する。指標細胞は、一過性または安定な細胞トランスフェクションの使用により指標細胞により発現される、GFP−VSVGタンパク質キメラからなる発光レポータ、および、小胞体およびゴルジ体ドメインの局在を測定するのに使用する他のドメインマーカを含む。指標細胞が40℃でその休止状態にある場合、GFP−VSVGタンパク質キメラ分子は主に小胞体に分配する。この高含量スクリーンにおいて、別個の色のドメインマーカを、別個の蛍光チャネルにおける、小胞体およびゴルジ体ドメインの描写に使用した。指標細胞を試験化合物で処理し、温度を同時に32℃まで下げる場合、GFP−VSVGタンパク質キメラの動力学的再分布は、0.1秒から10時間までの範囲の時間尺度におよび、一連の画像として記録する。各画像を、小胞体とゴルジ体ドメインの間のGFP−VSVGタンパク質キメラの移動を定量する方法により測定する。この計算を行なうために、小胞体およびゴルジ体ドメインに印しを付すのに使用したプローブの画像を使用して、GFP−VSVGプローブの画像をマスクし、細胞内GFP−VSVGタンパク質の位置に印しを付す。各マスク下での単位面積あたりの積分輝度を使用して、小胞体積分輝度/面積を、ゴルジ体積分輝度/面積で割ることにより、転位置指数を形成する。対照および実験ウェルの転位置指数値を比較することにより、転位置の比率を、各々の可能性あるリード化合物について計算する。高含量スクリーンの出力は、1分間から10時間までの範囲の期間、10−12Mから10−3Mの範囲の最終濃度の、目的の試験化合物で処理しておいた、大量の個々の細胞内の転位置の大きさを記載した量的データに関
する。
巨大分子の機能的局在化に関与する高含量スクリーン
このクラスの高含量スクリーン内で、外的刺激に応答した巨大分子の機能的局在化を、生細胞内で測定する。
糖分解酵素活性調節。細胞酵素活性高含量スクリーンの好ましい実施形態において、処理細胞の、重要な糖分解調節酵素の活性を測定する。酵素活性を測定するために、発光標識試薬を含む指標細胞を、試験化合物で処理し、レポータの活性を、本発明の細胞スクリーニングシステムを使用して空間的および時間的に測定する。
1つの実施形態において、細胞内酵素活性のレポータは、フルクトース−6−リン酸、2−キナーゼ/フルクトース−2,6−ビスホスファターゼ(PFK−2)、リン酸化状態により細胞内の炭水化物の同化または異化が示される調節酵素である(デプレッツ(Deprez)ら(1997)J.Biol.Chem 272:17269〜17275;ケーラー(Kealer)ら(1996)FEBS Letters 395:225〜227;リー(Lee)ら(1996)Biochemistry 35:6010〜6019)。指標細胞は、PFK−2リン酸化の蛍光タンパク質バイオセンサーからなる、発光レポータを含む。蛍光タンパク質バイオセンサーは、酵素の既知のリン酸化部位の近辺に、環境的に感度の高い蛍光色素を導入することにより作成する(デプレッツら(1997)上記;ジュリアノら(1995)上記)。色素は、ケトシアニンのクラス(ケスラー(Kessler)およびウルフバイス(Wolfbeis)(1991)Spectrochimica Acta 47A:187〜192)、または、その励起および発光スペクトルが溶液の極性に感受性である、タンパク質反応性部分および蛍光色素を含む任意のクラスであり得る。蛍光タンパク質バイオセンサーを、バルク添加方法を使用して、指標細胞に導入する。
指標生細胞を、0.1秒から10時間までの範囲の時間、10−12Mから10−3Mの範囲の最終濃度の試験化合物で処理する。好ましい実施形態において、画像データ比は、各時点における蛍光画像のスペクトル対を収集することにより、処理した指標生細胞から得る。各時点から形態計測データを抽出するために、各時点の2つのスペクトル画像を、ピクセルに対してピクセルで割ることにより、各画像対間の比を出す。次いで、各ピクセル値を使用して、PFK−2のリン酸化の割合を計算する。リン酸化の割合の低い値では、PFK−2は、炭水化物異化を刺激する。リン酸化の割合の高い値では、PFK−2は、炭水化物同化を刺激する。
プロテインキナーゼAの活性およびサブユニットの局在。高含量スクリーンの別の実施形態において、試験化合物による処理に応答した、指標細胞内のプロテインキナーゼA(PKA)のドメイン局在化および活性の両方を測定する。
指標細胞は、PKA活性化の蛍光タンパク質バイオセンサーを含む、発光レポータを含む。蛍光タンパク質バイオセンサーは、環境的に感度の高い蛍光色素を、PKAの調節サブユニットと相互作用することが知られる部位に近い、PKAの触媒サブユニットに導入することにより作成する(ハローツニアン(Harootunian)ら(1993)Mol.Biol.of the Cell 4:933〜1002;ジョンソン(Johnson)ら(1996)Cell 85:149〜158;ジュリアノら(1995)上記)。色素は、ケトシアニンのクラス(ケスラーおよびウルフバイス(1991)Spectrochimica Acta 47A:187〜192)、または、その励起および発光スペクトルが溶液の極性に感受性である、タンパク質反応性部分および蛍光色素を含む任意のクラスであり得る。PKA活性化の蛍光タンパク質バイオセンサーを、バルク添加方法を使用して、指標細胞に導入する。
1つの実施形態において、標識生細胞を、0.1秒から10時間までの範囲の時間、10−12Mから10−3Mの範囲の最終濃度の試験化合物で処理する。
好ましい実施形態において、画像データ比は、処理した指標生細胞から得る。各時点からバイオセンサーデータを抽出するために、各画像対間の比を出し、次いで、各ピクセル値を使用して、PKAのリン酸化の割合を計算する(例えば、cAMP結合後の触媒および調節サブユニットの分離)。活性の割合の高い値では、PFK−2は、生細胞内の生化学的カスケードを刺激する。
PKAの触媒サブユニットの転位置を測定するために、発光レポータを含む指標細胞を、試験化合物で処理し、レポータの移動を、細胞スクリーニングシステムを使用して空間的および時間的に測定する。指標細胞は、細胞質および核ドメインの局在化の測定に使用するドメインマーカからなる、発光レポータを含む。
指標細胞を試験化合物で処理する場合、PKA蛍光タンパク質バイオセンサーの動力学的再分布を、細胞内で、0.1秒から10時間の範囲の時間尺度におよび、一連の画像として記録する。各画像を、細胞質と核ドメインの間のPKAの移動を定量する方法により解析する。この計算を行なうために、細胞質および核ドメインに印しを付すのに使用するプローブの画像を使用して、PKA蛍光タンパク質バイオセンサーの画像をマスクする。各マスク下での単位面積あたりの積分輝度を使用して、細胞質積分輝度/面積を、核積分輝度/面積で割ることにより、転位置指数を形成する。対照および実験ウェルの転位置指数値を比較することにより、転位置の比率を、各々の可能性あるリード化合物について計算する。高含量スクリーンの出力は、10−12Mから10−3Mの濃度範囲の試験化合物で処理しておいた、大量の個々の細胞内の転位置の大きさを記載した量的データに関する。
遺伝子発現の誘導または阻害に関与する高含量スクリーン
RNAをベースとした蛍光バイオセンサー
細胞骨格タンパク質の転写およびメッセージ局在化。細胞−基質粘着、細胞−細胞粘着、シグナル伝達、細胞周期事象、中間およびシグナル伝達分子の代謝、細胞歩行運動、細胞−細胞伝達、および細胞死を含む、一般的なクラスの細胞生理的応答の調節は、遺伝子発現の変化を含み得る。高含量スクリーンはまた、このクラスの生理的応答を測定するように設計できる。
1つの実施形態において、細胞内遺伝子発現のレポータは、標的mRNAとハイブリッド形成でき、その蛍光シグナルを変化できる、オリゴヌクレオチドである。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、蛍光シグナルが細胞間および細胞内相互作用に依存する、発光をベースとした試薬である、molecular beacon(ティヤギ(Tyagi)およびクレマー(Kramer)(1996)Nat.Biotechnol.14:303〜308)。蛍光バイオセンサーは、試薬の各末端(5’および3’)に1つあるように、蛍光色素の蛍光エネルギー伝達対を導入することにより作成する。色素は、励起および発光スペクトルが、休止状態の色素間の蛍光エネルギー伝達を提供するに十分な程、重複している、フルオレセインおよびローダミン(モレキュラー・プローブ社)を含むがこれに限定されない、タンパク質反応性部分および蛍光色素を含む、任意のクラスであり得る。好ましい実施形態において、β−アクチン(キスラウスキース(Kislauskis)ら(1994)J.Cell.Biol.127:441〜451;マッカン(McCann)ら(11997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:5679〜5684;ストー(Sutoh)(1982)Biochemistry 21:3654〜3661)をコードするメッセージの一部を、分子内ハイブリッド形成により末端が共に繋がっている、ヘアピン形のオリゴヌクレオチドのループ領域に挿入する。バイオセンサーの各末端で、蛍光ドナー(フルオレセイン)および蛍光アクセプター(ローダミン)が共有結合している。繋がった状態で、蛍光エネルギー伝達は最大であり、それ故、ハイブリッド形成していない分子を示す。β−アクチンをコードするmRNAとハイブリッド形成した場合、繋ぎは壊れ、エネルギー伝達は失なわれる。完全な蛍光バイオセンサーを、バルク添加技術を使用して、指標細胞に導入する。
1つの実施形態において、指標生細胞を、0.1秒から10時間までの範囲の時間、10−12Mから10−3Mの範囲の最終濃度の試験化合物で処理する。
好ましい実施形態において、画像データ比は、指標生細胞から得る。各時点から形態計測データを抽出するために、各画像対間の比を出し、次いで、各ピクセル値を使用して、標識ヌクレオチドのハイブリッド形成の割合を計算する。ハイブリッド形成の割合の低い値では、β−アクチンの発現はほとんど示されない。リン酸化の割合の高い値では、β−アクチンの最大発現が示される。さらに、指標細胞の細胞質内のハイブリッド形成分子の分布も、指標細胞の生理的応答の測定値である。
リガンドの細胞表面結合
生細胞におけるその細胞表面受容体への標識インスリンの結合。形質膜ドメインを特定の色の標識試薬で標識しておいた細胞を、適切な条件下で、適切な時間、異なる色の発光プローブで標識した、インスリン分子を含む溶液と共にインキュベートする(リーら(1997)Biochemistry 36:2701〜2708;マルチネス-ザグイラン(Martinez-Zaguilan)ら(1996)Am.J.Physiol.270:C1438〜C1446)。インキュベート後、非結合インスリン分子を洗浄して除去し、細胞を固定し、インスリンの形質膜上での分布および濃度を測定する。これを行なうために、細胞膜画像を、インスリン画像のマスクとして使用する。マスクしたインスリン画像からの積分強度を、既知量の標識インスリンを含む1セットの画像と比較する。細胞に結合したインスリンの量を、標準から決定し、細胞と共にインキュベートしたインスリンの総濃度と共に使用して、解離定数またはその細胞表面受容体へのインスリンを計算する。
細胞区分の標識
全細胞標識
全細胞標識は、細胞の形状の動力学および細胞の移動を、細胞の蛍光画像を解析することにより、時間をかけて測定できるように、細胞成分を標識することにより行なわれる。
1つの実施形態において、小さな反応性蛍光分子を、生細胞に導入する。これらの膜透過性分子は、拡散し、また、形質膜中のタンパク質成分と反応する。色素分子は、細胞内分子と反応して、各分子から放出される蛍光シグナルを増加させ、また、生細胞内の蛍光色素も包括する。これらの分子は、アミノクマリン、ヒドロキシクマリン、エオシンジアセテート、フルオレセインジアセテートの反応性クロロメチル誘導体、いくつかのBodipy色素誘導体、およびテトラメチルローダミンを含む。これらの色素の巨大分子に対する反応性は、遊離一級アミノ基および遊離スルフヒドリル基を含む。
別の実施形態において、細胞を、細胞表面上の分子と特異的に反応する、蛍光標識抗体またはレクチン(シグマ・ケミカル社、St.Louis、MO)と相互作用させることにより、細胞表面を標識する。緑蛍光タンパク質またはその変異体の成分を含む、目的の細胞により発現される、細胞表面タンパク質キメラを使用して、全細胞表面を蛍光標識できる。一旦、全細胞を標識すると、全細胞または細胞アレイの画像は、細胞形状、移動性、サイズ、および成長および分裂の測定を含む、高含量スクリーンのパラメータとなり得る。
形質膜標識
1つの実施形態において、全形質膜の標識は、全細胞の標識について上記したのと同じ方法のいくつかを使用する。全細胞表面を標識する発光分子は、形質膜を描写するように作用する。
第2の実施形態において、形質膜のサブドメイン、細胞外表面、脂質二重層、および細胞内表面は、別々に標識して、高含量スクリーンの要素として使用できる。第1の実施形態において、細胞外表面を、フルオレセイン、ローダミン、シアニンおよびボディフィス(Bodiphys)などの、蛍光色素のスクシンイミジルエステルまたはヨードアセトアミド誘導体などの、反応性蛍光分子での簡潔な処理を使用して標識する。
第3の実施形態において、細胞外表面を、細胞表面分子に高い親和性を有する、蛍光標識した巨大分子を使用して標識する。これらは、タチナタマメ(ConA)、レッドキドニービーン(赤血球凝集素PHA−E)、または小麦から得られた、レクチンのフルオレセイン、ローダミン、およびシアニン誘導体などの、蛍光標識レクチンを含む。
第4の実施形態において、細胞表面成分に対して高い親和性を有する蛍光標識抗体を使用して、形質膜の細胞外領域を標識する。細胞表面受容体の細胞外領域およびイオンチャネルは、抗体で標識できるタンパク質の例である。
第5の実施形態において、形質膜の脂質二重層を、蛍光分子で標識する。これらの分子は、形質膜脂質二重層の中心の疎水性領域と強く相互作用する、長鎖疎水性分子に付着した、蛍光色素を含む。これらの色素の例は、PKHシリーズの色素(米国特許第4,783,401号、第4,762,701号および第4,859,584号;シグマ・ケミカル社、St.Louis、MOから市販されている)、蛍光リン脂質、例えばニトロベンゾキサジアゾールグリセロホスホエタノールアミン、およびフルオレセイン誘導体化ジヘキサデカノイルグリセロホスホエタノールアミン、蛍光脂肪酸、例えば5−ブチル−4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−ノナン酸および1−ピレンデカノン酸(モレキュラー・プローブ社)、コレステリル4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−ドデカノエートおよびコレステリル1−ヘキサノエートを含む蛍光ステロール、および、アネキシンVの蛍光誘導体(カルタグ・アンチボディ社(Caltag Antibody Co,)Burlingame,CA)などの脂質二重層に特異的に相互作用する蛍光標識タンパク質を含む。
別の実施形態において、形質膜の細胞内成分を、蛍光分子で標識する。これらの分子の例は、3量体G−タンパク質受容体の細胞内成分、アデニル酸シクラーゼ、およびイオン輸送タンパク質である。これらの分子は、蛍光標識した特異的抗体への強固な結合の結果として、または、膜会合タンパク質および緑蛍光タンパク質およびその変異体からなる、蛍光タンパク質キメラの取り込みにより標識できる。
エンドソーム蛍光標識
1つの実施形態において、受容体により媒介されるエンドサイトーシスにより細胞に輸送されるリガンドを使用して、エンドソーム細胞小器官の動力学を追跡する。標識リガンドの例は、Bodipy FL標識低密度リポタンパク質複合体、テトラメチルローダミントランスフェリン類似体、および蛍光標識した表皮増殖因子(モレキュラー・プローブ社)を含む。
第2の実施形態において、エンドソームリガンドを特異的に標識する、蛍光標識した一次または二次抗体(シグマ・ケミカル社,St.Louis,MO;モレキュラー・プローブ社,Eugene,OR;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、細胞中のエンドソーム区分に印しを付す。
第3の実施形態において、エンドソームを、緑蛍光タンパク質またはその変異体を、内部移行によりエンドソームが標識される受容体と融合することにより形成した、タンパク質キメラを発現している細胞において、蛍光標識する。EGF、トランスフェリン、および低密度リポタンパク質受容体のキメラは、これらの分子の例である。
リソソーム標識
1つの実施形態において、膜透過リソソーム特異的発光試薬を使用して、生および固定細胞のリソソーム区分を標識する。これらの試薬は、発光分子ニュートラルレッド、N−(3−((2,4−ジニトロフェニル)アミノ)プロピル)−N−(3−アミノプロピル)メチルアミン、および、リソソーム内のpHを報告するLyso Trackerプローブ、並びに、リソソーム(モレキュラー・プローブ社)の動力学的分布を含む。
第2の実施形態において、リソソーム抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社;モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定のリソソームドメインに局在化する、リソソーム成分を標識する。これらの成分の例は、コレステロールエステル加水分解、膜タンパク質プロテアーゼ、およびヌクレアーゼ、並びに、ATPにより駆動するリソソームプロトンポンプに関与する、分解酵素である。
第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的な発光タンパク質に遺伝子的に融合した、リソソームタンパク質からなるタンパク質キメラを使用して、リソソームドメインを標識する。これらの成分の例は、コレステロールエステル加水分解、膜タンパク質プロテアーゼ、おおびヌクレアーゼ、並びに、ATPにより駆動するリソソームプロトンポンプに関与する、分解酵素である。
細胞質蛍光標識
1つの実施形態において、反応性基を有する細胞透過蛍光色素(モレキュラー・プローブ社)を生細胞と反応させる。モノブロモビマン、5−クロロメチルフルオレセインジアセテート、カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル、およびクロロメチルテトラメチルローダミンを含む、反応性色素は、細胞の細胞質の長期標識に使用する、細胞透過性蛍光色素の例である。
第2の実施形態において、ルシファーイエローおよびカスケードブルーをベースとした蛍光色素(モレキュラー・プローブ社)などの、極性のトレーサー分子を、バルク添加法を使用して細胞に導入し、細胞質標識に使用する。
第3の実施形態において、細胞質成分に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、細胞質を蛍光標識する。細胞質抗原の例は、中間体代謝に関与する多くの酵素である。エノラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、およびアセチル−CoAデヒドロゲナーゼは、均一に分布している細胞質抗原の例である。
第4の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの、内因的に発光するタンパク質に遺伝子的に融合した、細胞質タンパク質からなるタンパク質キメラを使用して、細胞質を標識する。均一に分布したタンパク質の蛍光キメラを使用して、全細胞質ドメインを標識する。これらのタンパク質の例は、中間体代謝に関与する多くのタンパク質であり、エノラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびヘキソキナーゼを含む。
第5の実施形態において、細胞質抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定の細胞質サブドメインに局在する、細胞質成分を標識する。これらの成分の例は、細胞骨格タンパク質であるアクチン、チューブリン、およびサイトケラチンである。
細胞内でのこれらのタンパク質の個体群は、別個の構造に構築され、これはこの場合、繊維状である。それ故、抗体をベースとした試薬でこれらのタンパク質を蛍光標識すると、細胞質の特定のサブドメインが標識される。
第6の実施形態において、細胞質タンパク質と強力に相互作用する、抗体をベースとしていない蛍光標識分子を使用して、特定の細胞質成分を標識する。一例は、酵素DNAseIの蛍光類似体(モレキュラー・プローブ社)である。この酵素の蛍光類似体は、細胞質のアクチンに強固かつ特異的に結合し、よって、細胞質のサブドメインを標識する。別の例では、マッシュルームの毒素であるファロイジンまたは薬物パクリタキセルの蛍光類似体(モレキュラー・プローブ社)を使用して、アクチン−および微小管−細胞骨格の成分をそれぞれ標識する。
第7の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に蛍光なタンパク質に遺伝子的に融合した細胞質タンパク質からなるタンパク質キメラを使用して、細胞質の特定のドメインを標識する。高度に局在したタンパク質の蛍光キメラを使用して、細胞質のサブドメインを標識する。これらのタンパク質の例は、細胞骨格の調節に関与する、多くのタンパク質である。それらは、構造タンパク質であるアクチン、チューブリン、およびサイトケラチン、並びに、調節タンパク質の微小管会合タンパク質4およびα−アクチニンを含む。
核標識
1つの実施形態において、膜透過性核酸特異的発光試薬(モレキュラー・プローブ社)を使用して、生および固定細胞の核を標識する。これらの試薬は、シアニンをベースとした色素(例えば、TOTO(登録商標)、YOYO(登録商標)、およびBOBOTM)、フェナチジンおよびアクリジン(例えば、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、およびアクリジンオレンジ)、インドールおよびイミダゾール(例えば、ヘキスト33258、ヘキスト33342、および4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)および他の類似試薬(例えば、7−アミノアクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジンおよびプソラレン)を含む。
第2の実施形態において、核抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定の核ドメインに局在する、核成分を標識する。これらの成分の例は、DNA構造および機能の維持に関与する巨大分子である。DNA、RNA、ヒストン、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、ラミン、および、アクチンなどの細胞質タンパク質の核変形が、核抗原の例である。
第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、核タンパク質からなる、タンパク質キメラを使用して、核ドメインを標識する。これらのタンパク質の例は、DNA構造および機能の維持に関与する多くのタンパク質である。ヒストン、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、ラミン、および、アクチンなどの細胞質タンパク質の核変形が、核タンパク質の例である。
ミトコンドリア標識
1つの実施形態において、膜透過性ミトコンドリア特異的発光試薬(モレキュラー・プローブ社)を使用して、生および固定細胞のミトコンドリアを標識する。これらの試薬は、ローダミン123、テトラメチルロサミン、JC−1、およびMito Tracker反応性色素を含む。
第2の実施形態において、ミトコンドリア抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定のミトコンドリアドメインに局在する、ミトコンドリア成分を標識する。これらの成分の例は、ミトコンドリアのDNA構造および機能の維持に関与する巨大分子である。DNA、RNA、ヒストン、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、およびミトコンドリアtRNAおよびrRNAなどの細胞質巨大分子のミトコンドリア変形が、ミトコンドリア抗原の例である。ミトコンドリア抗原の他の例は、ミトコンドリアに見られる酸化的リン酸化系の成分である(例えば、チトクロムc、チトクロムcオキシダーゼ、およびコハク酸デヒドロゲナーゼ)。
第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、ミトコンドリアタンパク質からなる、タンパク質キメラを使用して、ミトコンドリアドメインを標識する。これらの成分の例は、ミトコンドリアDNA構造および機能の維持に関与する巨大分子である。例は、ヒストン、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、および、ミトコンドリアに見られる酸化的リン酸化系の成分である(例えば、チトクロムc、チトクロムcオキシダーゼ、およびコハク酸デヒドロゲナーゼ)。
小胞体標識
1つの実施形態において、膜透過性小胞体特異的発光試薬(モレキュラー・プローブ社)を使用して、生および固定細胞の小胞体を標識する。これらの試薬は、短鎖カルボシアニン色素(例えばDiOCおよびDiOC)、長鎖カルボシアニン色素(例えばDiIC16およびDiIC18)および発光標識したレクチン、例えばコンカナバリンAを含む。
第2の実施形態において、小胞体抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定の小胞体ドメインに局在する、小胞体成分を標識する。これらの成分の例は、脂肪酸伸長系、グルコース−6−ホスファターゼ、およびHMG CoA−レダクターゼに関与する巨大分子である。
第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、小胞体タンパク質からなる、タンパク質キメラを使用して、小胞体ドメインを標識する。これらの成分の例は、脂肪酸伸長系、グルコース−6−ホスファターゼ、およびHMG CoA−レダクターゼに関与する巨大分子である。
ゴルジ体標識
1つの実施形態において、膜透過性ゴルジ体発光試薬(モレキュラー・プローブ社)を使用して、生および固定細胞のゴルジ体を標識する。これらの試薬は、発光標識した巨大分子、例えば、小麦凝集素およびブレフェルディンA、並びに、発光標識したセラミドを含む。
第2の実施形態において、ゴルジ体抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定のゴルジ体ドメインに局在する、ゴルジ体成分を標識する。これらの成分の例は、N−アセチルグルコサミンホスホトランスフェラーゼ、ゴルジ体特異的ホスホジエステラーゼ、およびマンノース−6−リン酸受容体タンパク質である。
第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、ゴルジ体タンパク質からなる、タンパク質キメラを使用して、ゴルジ体ドメインを標識する。これらの成分の例は、N−アセチルグルコサミンホスホトランスフェラーゼ、ゴルジ体特異的ホスホジエステラーゼ、およびマンノース−6−リン酸受容体タンパク質である。
提示した実施例の多くは、1つの細胞プロセスの測定を含むが、これは、ここでも、単に説明するためのものである。複数のパラメータ高含量スクリーンは、数個の単一パラメータスクリーンをマルチパラメータ高含量スクリーンに合わせることにより、または、細胞パラメータを任意の既存の高含量スクリーンに加えることにより、作成できる。さらに、各実施例は、生または固定細胞に基づいて記載したが、各高含量スクリーンは、生または固定細胞の両方で使用するように設計できる。
当業者は、本明細書に提供した開示に基づいて開発できる、多種多様の別個のスクリーンを認識するだろう。細胞内の特定の成分の転位置または再構成に関与する、細胞における、既知の生化学的および分子的プロセスのリストは多く漸増している。
細胞内での細胞表面から標的部位へのシグナル伝達経路は、形質膜会合タンパク質の細胞質への転位置を含む。例えば、タンパク質チロシンキナーゼのsrcファミリーの一員であるpp60c−src(ウォカー(Walker)ら(1993)J.Biol.Chem.268:19552〜19558)は、血小板由来成長因子(PDGF)で繊維芽細胞を刺激すると、形質膜から細胞質に転位置することが知られている。さらに、スクリーニングの標的は、それ自体、リガンド結合および転位置後修飾を含む、分子変化を報告する、蛍光をベースとした試薬に変換できる。
図1は、細胞ベースの走査システムの構成要素の図を示す。 図2は、顕微鏡サブアセンブリの概略図を示す。 図3は、カメラサブアセンブリを示す。 図4は、細胞走査システムのプロセスを示す。 図5は、使用者を導く主な機能を示すユーザインターフェ-スを示す。 図6は、1つのプラットフォームがマイクロタイタープレートの全てのウェルを読むために望遠鏡レンズを用い、第2のプラットフォームがウェル中の個々の細胞を読むために高倍率レンズを用いる、細胞ベースのスクリーニングのためのデュアルモードシステムの2つのプラットフォーム構築体のブロック図である。 図7は、マイクロタイタープレートの全てのウェルを読むために移動可能な「望遠鏡」レンズおよびウェル中の個々の細胞を読むための移動可能な高倍率レンズを用いる、細胞ベースのスクリーニングのためのデュアルモードシステムの単一プラットフォーム構築体についての光学系の詳細である。 図8は、細胞ベースのスクリーニングシステムについての動的データを取得するための流体送達システムの説明である。 図9は、細胞ベースの走査システムについての処理工程のフローチャートである。 図10Aから図10Jは、核移動アッセイの戦略を示す。 図11は、マイクロタイタープレートの高スループットおよび高含有量スクリーニングを組み合わせる細胞ベースのスクリーニングのためのデュアルモードシステムにおける処理工程を規定するフローチャートである。 図12は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高スループットモードにおける処理工程を規定するフローチャートである。 図13は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高含有量モードにおける処理工程を規定するフローチャートである。 図14は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高含有量モードにおいて動的データを取得するのに必要な処理工程を規定するフローチャートである。 図15は、動的データの取得の間にウェル内で行われた処理工程を規定するフローチャートである。 図16は、移動の既知の阻害剤からのデータの例である。 図17は、移動の既知の刺激体からのデータの例である。 図18は、グラフ表示についてのデータ提示を示す。 図19は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高スループットモードからのデータ、高含有量モードまで通過したデータの例、高含有量モードで取得されたデータ、そのデータの解析の結果の説明である。 図20は、薬物−誘導の細胞質から核への移動の測定を示す。 図21は、図20に示された測定のグラフ使用者インターフェ-スを示す。 図22は、図20に示された測定の、データ提示での、グラフ使用者インターフェ-スを示す。 図23は、図20に示された測定から得られた動的データを表すグラフである。 図24は、薬物−誘導アポトーシスの高含有量スクリーニングの詳細を示す。 図25Aは、画像獲得初期化相のフローチャートである。 図25Bは、画像獲得繰返し相のフローチャートである。 図26は、陽性状態の検出閾値コンピュータ計算のフローチャートである。 図27Aは、神経突起成長択一定量化方法のニューロン核同定のフローチャートである。 図27Bは、神経突起成長定量化のフローチャートである。 図28は、細胞状態検出方法(形態学的方法)のフローチャートである。 図29は、細胞状態検出方法(Blob解析方法)のフローチャートである。

Claims (15)

  1. 神経突起成長を解析する自動化された方法であって、
    a)胞位置を報告する少なくとも1つの第1の発光標識したレポータ分子と、前記神経突起成長を報告する少なくとも1つの第2の発光標識したレポータ分子を有する細胞を含む位置のアレイを与えるステップと
    b)前記少なくとも1つの第1の発光標識したレポータ分子から核画像を取得し、前記少なくとも1つの第2の発光標識したレポータ分子から神経突起画像取得するステップと
    c)前記核画像から細胞体を自動的に特定するステップと、
    d)前記細胞体から伸長する神経突起を自動的に特定するステップであって、
    I)前記神経突起画像から蓄積画像を作成するステップと、
    II)前記蓄積画像中の前記細胞体に存在しない正のピクセルであって、前記細胞体から伸長する神経突起に属する正のピクセルを特定するステップと
    を含むステップと、
    e)以下からなる群から選択された1つ以上の神経突起の特徴を自動的に決定するステップであって、
    i)全細胞からの全神経突起長、
    ii)全細胞からの神経突起分岐の総数、
    iii)1細胞あたりの神経突起の数、
    iv)1つの正のニューロンあたりの神経突起の数、
    v)各細胞の神経突起長、
    vi)1つの正のニューロンあたりの神経突起長、
    vii)1つの神経突起あたりの神経突起長、
    viii)神経突起成長について正である細胞の数、
    ix)神経突起成長について正である細胞の比率、
    x)1つのニューロンあたりの分岐の数、及び
    xi)1つの神経突起あたりの分岐の数
    前記特徴は前記細胞体からの神経突起成長の尺度を与えるステップと
    を含む方法。
  2. 前記細胞体を自動的に特定するステップは、
    A)前記核画像から核小体画像を作成するステップと、
    B)前記核小体画像の条件付膨張を実施して前記細胞体を特定するステップと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. (a)前記核小体画像の1回の条件付膨張を実施して膨張画像を取得するステップと、
    (b)前記膨張画像から1セットの節を決定するステップと、
    (c)連結された節を繋ぐステップと、
    (d)全神経突起長を追跡するまでステップ(a)から(c)を繰返すステップと
    をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 複数の時点においてステップ(a)から(d)を繰り返すことをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記細胞を試験化合物と接触させるステップと、前記細胞体からの神経突起成長に対する前記試験化合物の影響を決定するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
  6. 前記細胞を、前記試験化合物との接触の前、後、又は同時に、神経毒と接触させるステップをさらに含む請求項に記載の方法。
  7. 前記細胞を、前記神経突起成長を刺激することが知られている対照化合物と接触させるステップと、前記対照化合物が前記細胞体の前記神経突起成長を誘導するのを前記試験化合物が阻止するかどうかを決定するステップとをさらに含む請求項に記載の方法。
  8. 複数の時点においてステップb)からe)を繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記第1の発光標識したレポータ分子は、DNA結合化合物を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記第2の発光標識したレポータ分子、ニューロン特異的である請求項1に記載の方法。
  11. 前記ニューロン特異的発光レポータ分子が、神経フィラメントタンパク質、βIII−チューブリン、毛様体神経栄養因子と、神経フィラメントタンパク質に特異的な抗体からなる群から選択した分子を含む請求項10に記載の方法。
  12. 求項1から11のいずれか1つに記載の方法を細胞スクリーニングコンピュータシステムに実行させるための1セットの命令を含むプログラムを備えるコンピュータ解読可能な記録媒体。
  13. 前記膨張画像に対して複数回の条件付膨張が前記核小体画像のピクセルと連続する前記蓄積画像の残りのピクセルがなくなるまで連続して行われ、
    1つの節と1つの既存の神経突起物体との会合が形成されるのは1つの節の1つ以上のピクセルが前記神経突起物体のピクセルに隣接する場合であり、
    1つの節が2つ以上の神経突起物体と会合する場合に前記神経突起物体は接続点を表し、
    複数の節が1つの神経突起物体と会合する場合に前記神経突起物体は分岐点を表し、
    1つの節が1つのみの神経突起物体と会合し、かつ、前記神経突起物体が前記節とのみ会合する場合に前記節は前記神経突起物体の伸長である、請求項4に記載の方法。
  14. (i)前記蓄積画像を解析してトリプル点を特定するステップと、
    (ii)前記蓄積画像から前記トリプル点を取り出して前記トリプル点における分岐と亜分岐とを分離するステップと、
    (iii)連結要素標識を行って前記分岐及び前記亜分岐の数を計測するステップと
    をさらに含む、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
  15. 前記細胞のフォームファクタを自動的に決定するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
JP2004255895A 1999-08-05 2004-09-02 光学システムによる細胞の解析 Expired - Lifetime JP4693382B2 (ja)

Applications Claiming Priority (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US14744399P 1999-08-05 1999-08-05
US60/147,443 1999-08-05
US39896599A 1999-09-17 1999-09-17
US09/398,965 1999-09-17
US17658900P 2000-01-18 2000-01-18
US60/176,589 2000-01-18
US20569600P 2000-05-19 2000-05-19
US60/205,696 2000-05-19

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001515947A Division JP2003506711A (ja) 1999-08-05 2000-08-04 光学システムによる細胞の解析

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005095172A JP2005095172A (ja) 2005-04-14
JP4693382B2 true JP4693382B2 (ja) 2011-06-01

Family

ID=27495764

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001515947A Pending JP2003506711A (ja) 1999-08-05 2000-08-04 光学システムによる細胞の解析
JP2004255895A Expired - Lifetime JP4693382B2 (ja) 1999-08-05 2004-09-02 光学システムによる細胞の解析

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001515947A Pending JP2003506711A (ja) 1999-08-05 2000-08-04 光学システムによる細胞の解析

Country Status (8)

Country Link
EP (1) EP1203214B1 (ja)
JP (2) JP2003506711A (ja)
AT (1) ATE309528T1 (ja)
AU (1) AU6522300A (ja)
CA (1) CA2381344C (ja)
DE (1) DE60023905T2 (ja)
IL (1) IL147793A0 (ja)
WO (1) WO2001011340A1 (ja)

Families Citing this family (52)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5989835A (en) 1997-02-27 1999-11-23 Cellomics, Inc. System for cell-based screening
JP3076568B1 (ja) * 1999-07-15 2000-08-14 株式会社鈴木 電子部品用フイルムの孔明け加工方法
US6986993B1 (en) 1999-08-05 2006-01-17 Cellomics, Inc. System for cell-based screening
US6716588B2 (en) 1999-12-09 2004-04-06 Cellomics, Inc. System for cell-based screening
WO2002041064A1 (en) 2000-11-17 2002-05-23 Universal Imaging Corporation Rapidly changing dichroic beamsplitter
DE60103428T2 (de) 2000-12-22 2005-06-02 Cellomics, Inc. Identifizierung von zellen während kinetischer versuchsreihen
US6636623B2 (en) * 2001-08-10 2003-10-21 Visiongate, Inc. Optical projection imaging system and method for automatically detecting cells with molecular marker compartmentalization associated with malignancy and disease
US8227240B2 (en) 2001-08-14 2012-07-24 The Washington University Systems for screening pharmaceutical chemicals
JP2003093041A (ja) * 2001-09-25 2003-04-02 Hamamatsu Photonics Kk 培養試料観察装置
WO2003048705A1 (en) * 2001-12-05 2003-06-12 The Regents Of The University Of California Robotic microscopy systems
WO2003095986A1 (en) * 2002-05-14 2003-11-20 Amersham Biosciences Niagara, Inc. System and methods for rapid and automated screening of cells
GB0211072D0 (en) * 2002-05-15 2002-06-26 Amersham Biosciences Uk Ltd Reagent and method for the determination of changes in a cellular morphological parameter
JP3908135B2 (ja) * 2002-09-09 2007-04-25 オリンパス株式会社 生化学的検査用画像処理方法
AU2003900924A0 (en) 2003-02-28 2003-03-13 Medsaic Pty Ltd Imaging device
GB0317679D0 (en) * 2003-07-29 2003-09-03 Amersham Biosciences Uk Ltd Analysing biological entities
WO2005039396A2 (en) * 2003-10-22 2005-05-06 Medtrain Technologies, Llc Tissue engineered construct analytical imaging system and method of obtaining and analyzing images of tissue engineered constructs
CA2572390A1 (en) * 2004-06-30 2006-08-31 Chemimage Corporation Spectroscopic methods for component particle analysis
EP4071458A1 (en) 2005-09-21 2022-10-12 Luminex Corporation Methods and systems for image data processing
WO2007047761A1 (en) * 2005-10-17 2007-04-26 Arryx, Inc. Apparatus and method for detecting deformability of cells using spatially modulated optical force microscopy
US8149416B2 (en) 2005-10-17 2012-04-03 Arryx, Inc. Apparatus and method for dynamic cellular probing and diagnostics using holographic optical forcing array
WO2007069414A1 (ja) 2005-12-14 2007-06-21 The University Of Tokyo 線状の形態を有する細胞等を解析する方法及び神経細胞解析方法並びにそれら方法を実行する装置及びプログラム
JP2007248050A (ja) * 2006-02-17 2007-09-27 Olympus Corp 生細胞の微弱光による解析を行なうための細胞の処理方法および解析方法
CA2652562C (en) 2006-05-17 2015-05-12 Cellumen, Inc. Method for automated tissue analysis
US7706591B2 (en) 2006-07-13 2010-04-27 Cellomics, Inc. Neuronal profiling
US8326014B2 (en) * 2007-09-28 2012-12-04 Cytyc Corporation Methods and systems for processing biological specimens utilizing multiple wavelengths
ITTO20070771A1 (it) 2007-10-29 2009-04-30 Silicon Biosystems Spa Metodo e apparato per la identificazione e manipolazione di particelle
CA2726979C (en) 2008-06-05 2017-11-28 Medical College Of Wisconsin, Inc. Three dimensional tissues for high-throughput assays
US10895575B2 (en) 2008-11-04 2021-01-19 Menarini Silicon Biosystems S.P.A. Method for identification, selection and analysis of tumour cells
IT1391619B1 (it) 2008-11-04 2012-01-11 Silicon Biosystems Spa Metodo per l'individuazione, selezione e analisi di cellule tumorali
JP5478084B2 (ja) * 2009-01-23 2014-04-23 オリンパス株式会社 画像処理システム、画像処理装置および画像処理端末
US9567560B2 (en) * 2009-02-26 2017-02-14 National University Corporation Nagoya University Incubated state evaluating device, incubated state evaluating method, incubator, and program
DE102009021876A1 (de) 2009-05-19 2010-11-25 Forschungsgesellschaft für Arbeitsphysiologie und Arbeitsschutz e.V. Verfahren zur Analyse des Neuritenwachstums
EP2433123A1 (de) * 2009-05-19 2012-03-28 Leibniz - Institut für Analytische Wissenschaften - ISAS - E.V. Verfahren zur analyse des neuritenwachstums
DE102010035003B4 (de) * 2010-08-20 2015-08-06 PicoQuant GmbH. Unternehmen für optoelektronische Forschung und Entwicklung Räumlich und zeitlich hochauflösende Mikroskopie
CA2830501C (en) 2011-03-17 2023-10-17 Cernostics, Inc. Systems and compositions for diagnosing barrett's esophagus and methods of using the same
JP5720351B2 (ja) * 2011-03-24 2015-05-20 横河電機株式会社 画像解析方法および画像解析装置
AU2012326198B2 (en) 2011-10-18 2014-12-11 Luminex Corporation Methods and systems for image data processing
CH706326A2 (de) * 2012-03-14 2013-09-30 Tecan Trading Ag Verfahren und Mikroplatten-Reader zum Untersuchung von biologischen Zellen oder Zellkulturen.
CA2893590C (en) 2012-12-14 2023-10-10 The J. David Gladstone Institutes Automated robotic microscopy systems
JP5639670B2 (ja) 2013-02-01 2014-12-10 浜松ホトニクス株式会社 画像取得装置及び撮像装置
JP6467813B2 (ja) 2014-08-15 2019-02-13 ソニー株式会社 画像処理装置、画像処理プログラム及び画像処理方法
JP6684643B2 (ja) * 2016-04-28 2020-04-22 富士フイルム株式会社 生体試料評価システムおよび生体試料評価方法並びに生体試料評価制御プログラム
JP7316745B2 (ja) * 2016-05-20 2023-07-28 株式会社リコー 三次元組織体
CN111295712B (zh) 2017-11-10 2024-02-13 赛多利斯生物分析仪器有限公司 活细胞可视化和分析
JP6986452B2 (ja) 2018-01-04 2021-12-22 浜松ホトニクス株式会社 蛍光測定装置および蛍光測定方法
WO2019245005A1 (ja) * 2018-06-20 2019-12-26 株式会社 東芝 検査デバイス、この検査デバイスの製造方法、この検査デバイスを用いた細胞検出方法、この検査デバイス用セル、この検査デバイス用セルの製造方法、及び検査方法
JP7158220B2 (ja) * 2018-09-11 2022-10-21 浜松ホトニクス株式会社 測定装置および測定方法
US10564100B1 (en) * 2018-10-12 2020-02-18 SageMedic Corporation Analysis of viable and nonviable cells
DE102020202610B4 (de) 2020-02-28 2021-09-23 Gottfried Wilhelm Leibniz Universität Hannover Verfahren und Vorrichtung zur automatisierten mikroskopischen Analyse von nervenzellhaltigen Proben
CN111832191B (zh) * 2020-07-29 2023-06-30 南开大学 基于生长域的微管内增量式细胞质速度场评估方法
DE102020122605A1 (de) 2020-08-28 2022-03-03 Abberior Instruments Gmbh Verfahren, Bildverarbeitungseinheit und Laserscanningmikroskop zum hintergrundreduzierten Abbilden einer Struktur in einer Probe
JP7235027B2 (ja) * 2020-11-16 2023-03-08 株式会社ニコン 細胞評価装置、インキュベータおよびプログラム

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05501151A (ja) * 1989-02-24 1993-03-04 セル・アナラシス・システムズ・インコーポレーテッド 細胞の染色および分析を行なうためのデュアルカメラ顕微鏡およびその方法
WO1998038490A1 (en) * 1997-02-27 1998-09-03 Cellomics, Inc. A system for cell-based screening
WO1999004262A1 (en) * 1997-07-17 1999-01-28 Myelos Neurosciences Corporation Prosaposin receptor assay

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0943004A2 (en) * 1996-11-18 1999-09-22 McGill University Post-mitotic neurons containing adenovirus vectors that modulate apoptosis and growth

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05501151A (ja) * 1989-02-24 1993-03-04 セル・アナラシス・システムズ・インコーポレーテッド 細胞の染色および分析を行なうためのデュアルカメラ顕微鏡およびその方法
WO1998038490A1 (en) * 1997-02-27 1998-09-03 Cellomics, Inc. A system for cell-based screening
JP2000509827A (ja) * 1997-02-27 2000-08-02 セロミックス インコーポレイテッド 細胞に基づくスクリーニングシステム
WO1999004262A1 (en) * 1997-07-17 1999-01-28 Myelos Neurosciences Corporation Prosaposin receptor assay

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003506711A (ja) 2003-02-18
IL147793A0 (en) 2002-08-14
CA2381344A1 (en) 2001-02-15
ATE309528T1 (de) 2005-11-15
EP1203214A1 (en) 2002-05-08
DE60023905D1 (de) 2005-12-15
WO2001011340A1 (en) 2001-02-15
JP2005095172A (ja) 2005-04-14
CA2381344C (en) 2007-01-23
AU6522300A (en) 2001-03-05
DE60023905T2 (de) 2006-07-27
EP1203214B1 (en) 2005-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4693382B2 (ja) 光学システムによる細胞の解析
US8062856B2 (en) System for cell-based screening
JP4011936B2 (ja) 細胞に基づくスクリーニングシステム
JP3863372B2 (ja) プロテアーゼバイオセンサーをコードする組換え核酸、組換え発現ベクター、プロテアーゼバイオセンサー、化合物を同定する方法、及び化合物を同定するためのキット
US6716588B2 (en) System for cell-based screening
US6875578B2 (en) System for cell-based screening
JP3576491B2 (ja) 細胞ベースのスクリーニング用のシステム
JP3466568B2 (ja) 細胞ベースのスクリーニング用のシステム
US6727071B1 (en) System for cell-based screening
US7853411B2 (en) System for cell-based screening
US20040063162A1 (en) System for cell-based screening
JP2002525603A (ja) 細胞ベースのスクリーニングのためのシステム
WO2001035072A2 (en) A system for cell-based screening
WO2000070342A2 (en) Optical system analysis of cells
MXPA01002684A (en) A system for cell-based screening

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050209

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100126

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100423

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110201

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4693382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term