JP2003506711A - 光学システムによる細胞の解析 - Google Patents

光学システムによる細胞の解析

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JP2003506711A JP2001515947A JP2001515947A JP2003506711A JP 2003506711 A JP2003506711 A JP 2003506711A JP 2001515947 A JP2001515947 A JP 2001515947A JP 2001515947 A JP2001515947 A JP 2001515947A JP 2003506711 A JP2003506711 A JP 2003506711A
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リチック ゴーシュ、
ロビン エル. デビアシオ、
プレム ジャナルダーン、
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  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、神経突起成長に特異的に影響するものについての非常に多数の化合物をスクリーニングする目的で、細胞における蛍光標識レポータ分子の分布、環境または活性を迅速に測定する細胞の光学系分析のためのシステム、方法、スクリーニング、試薬およびキットを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は薬物発見のための蛍光−ベースの細胞および分子生化学アッセイの分
野にある。
【0002】 (背景技術) 相互参照 本出願は米国仮特許出願番号60/147,443(1999年8月5日)、
60/176,589(2000年1月18日)、60/205,696(20
00年5月19日)、60/151,797(1999年8月31日)、60/
168,408(1999年12月1日)に対する優先権を主張し、1997年
2月27に出願された米国出願S/N 08/810983で、現在米国特許番
号5,989,835の一部継続出願である1998年2月27日に出願された
出願番号09/031,271の一部継続出願である1999年9月17日に出
願された09/398,965の一部継続出願であり、共有し、共に係属中の米
国特許出願番号09/380,259(1998年2月27日)、09/352
,171(1999年7月12日)、09/598,347(2000年6月2
1日)、09/293,209(1999年4月16日)、09/293,21
0(1999年4月16日)、09/398,965(1999年9月17日)
、09/430,656(1999年10月29日)、09/513,783(
2000年2月25日)、そして09/569,508(2000年5月12日
)に関連しており、全ての参照物は、ここに参照することでその全てを組込んで
いる。
【0003】 当該分野で現在行われている薬物発見は、特異的病気標的の同定、特異的標的
に基づくアッセイの開発、このアッセイの有効化、スクリーニングを得るための
アッセイの最適化および自動化、「ヒット」を同定するためのアッセイを用いる
化合物ライブラリの高スループットスクリーニング、ヒット有効化およびヒット
化合物の最適化を含む長い複数工程のプロセスである。このプロセスの結果は、
前臨床および、有効化されれば、結局は臨床試験に至る先導的化合物である。こ
のプロセスにおいては、スクリーニング相はアッセイ開発相から区別され、生き
た生物学的系において化合物の効率をテストすることを含む。
【0004】 歴史的には、薬物発見は遅くてコストがかかるプロセスであり、何年にもわた
り、創製された薬物あたり数億ドルを消費する。ゲノミックスおよび高スループ
ットスクリーニングの領域における開発の結果、評定の同定およびスクリーニン
グした化合物の容量の領域において能力および効率が増大した。自動DNA配列
決定、PCR適用、位置クローニング、ハイブリッド形成アッセイおよび生物情
報学におけるかなりの進歩は、潜在的薬物標的をコードする遺伝子(および遺伝
子断片)の数を大いに増加させた。しかしながら、薬物スクリーニングについて
の基本的なスキームは依然として同一である。
【0005】 現行の方法およびプロトコルを用いる治療的介入のためのポイントとしてのゲ
ノム標的の有効化は、インビボ機能的モデル、組換えタンパク質の機能的分析、
および候補遺伝子の安定な細胞系発現等の、使用される遅い手動方法のため、薬
物発見プロセスにおいてネックとなった。自動配列決定を介して取得された一次
DNA配列データは遺伝子機能の同定を可能としないが、公知の配列データベー
スと比較すると、共通の「モチーフ」および特異的遺伝子相同性についての情報
を提供することができる。減算ハイブリッド形成およびRADE(分別発現の迅
速増幅)等のゲノム方法を用いて、病気状態モデルで上方または下方調節される
遺伝子を同定することができる。しかしながら、同定および有効化は依然として
同一経路を進む。いくつかのプロテオミック方法は逆遺伝学と組み合わせてタン
パク質同定(全体的発現アレイ、2D電気泳動、コンビナトリアルライブラリ)
を用いて注目する候補遺伝子を同定する。無傷cDNAとして単離されたそのよ
うな推定「病気関連配列」またはDASはこれらの方法に対して大きな利点があ
るが、それらは、コードされたタンパク質のタイプ、活性および分布に関するい
ずれの情報も提供する事なく多くのものによって同定される。薬物スクリーニン
グ標的としてのDASのサブセットの選択は「ランダム」であり、このように、
病気とのメカニズム的結合を提供するための機能的データなくして、極端に非効
率的である。従って、生物学的機能を達成するDASを迅速にスクリーニングし
、それにより、薬物発見における標的有効化および候補最適化を改良する新しい
技術を提供する必要がある。
【0006】 初期の薬物発見の生産性を改良するには3つの主な道がある。まず、増大した
情報取り扱い能力を提供するツールに対する要望がある。生物情報学はDNA配
列決定システムの迅速な発展およびゲノミックスデータベースの進化で花咲いた
。ゲノミックスは潜在的新しい標的の同定で非常に重要な役割を果たし始めてい
る。プロテオミックスは、薬物相互作用を予測するためにタンパク質標的の構造
および機能を関連づけるのに不可欠なものとなった。しかしながら、生物学的複
雑性の次のレベルは細胞である。従って、細胞からの多次元情報を取得し、管理
しサーチする要望がある。第2に、より高いスループットツールに対する要望が
ある。DNA配列決定および高スループット一次スクリーニングにおいてすでに
示されているように、自動化は生産性を改良する鍵である。本発明は、より高い
スループットのツールに対する要望を満足する細胞から複数パラメータ情報を抽
出する自動システムを提供する。また、本発明は、各アッセイで必要な試薬およ
びテスト化合物の容量を減少させつつ、この方法を小型化し、それにより増大し
たスループットを可能とすることを提供する。
【0007】 放射能は初期の薬物発見アッセイでは支配的な読み出し情報であった。しかし
ながら、より多い情報、より高いスループットおよび小型化に対する要望は、蛍
光検出の使用に向けてのシフトを引き起こした。蛍光−ベースの試薬は、スルー
プットおよび情報含有量が高いより強力な複数パラメータアッセイを生じさせる
ことができ、より低い容量の試薬およびテスト化合物を必要とする。また、蛍光
は放射能−ベースの方法よりも安全かつ安価である。
【0008】 色素および蛍光試薬で処理した細胞のスクリーニングは当該分野でよく知られ
ている。レポータ分子としての修飾された緑色蛍光タンパク質(GFP)等の蛍
光タンパク質を生じる細胞の遺伝子工学に関連するかなり膨大な文献がある。野
生型GFPのいくつかの特性はモリス(Morise)ら(Biochemistry
13(1974)2656−2662頁)およびワード(Ward)ら(Photoc
hem,Photobiol.31(1980),611−615頁)によって
開示されている。オワンクラゲ(Aequorea Victoria)のGFPは395nmにお
ける励起最大および510nmにおける発光最大を有し、蛍光活性に外因的因子
を要しない。文献に開示されたGFPの使用は普及しており、細胞下小器官の可
視化(リゾット(Rizzuto)ら,Curr.Biology 5(1995),6
35−642頁)、分泌経路に沿ったタンパク質輸送の可視化(ケーサー(Kaeth
er)およびゲルデス(Gerdes),FEBS Letters 369(1995)
,267−271頁)、植物細胞(フー(Hu)およびチェン(Cheng),FEBS
Letters 369(1995),331−334頁)およびショウジョウ
バエ胚(デービス(Davis)ら,Dev.Biology 170(1995),
726−729頁)における発現のためのツールとして、および注目する別のタ
ンパク質に融合したレポータ分子として(米国特許第5,491,084号)、
遺伝子発現およびタンパク質位置決定(チャルフィー(Chalfie)ら,Scien
ce 263(1994),12501−12504頁)の研究を含む。同様に
、WO96/23898は、タンパク質キナーゼ活性化部位を有するGFP構築
体を利用することによる細胞内プロセスに影響する生物学的活性物質を検出する
方法に関する。この特許、および本出願で引用した全ての他の特許は参照してそ
の全体に組み込まれる。
【0009】 多数の文献が生物学的系におけるGFPタンパク質に関係する。例えば、WO
96/09598はGFP様タンパク質の発現を利用する注目する細胞を単離す
るためのシステムを説明する。WO96/27675は植物におけるGFPの発
現を説明する。WO95/21191は、突然変異誘発を検出するための軽質転
換生物で発現された修飾GFPタンパク質を説明する。米国特許第5,401,
629号および第5,436,128号は、細胞表面受容体を発現し、細胞表面
受容体の活性に応答する転写調節要素を含むレポータ遺伝子構築体を含有する組
換え細胞を用いる細胞外シグナルの細胞内変換を検出し、評価するためのアッセ
イおよび組成物を説明する。
【0010】 数千の化合物についてスクリーニングを行うには、多くの化合物および多くの
成分試薬の平行した取り扱いおよび処理を必要とする。標準的な高スループット
スクリーニング(「HTS」)は、96または384ウェルを備えた標準的なマ
イクロタイタープレート中のウェルのアレイに負荷されたいくつかのインジケー
タ化合物と共に化合物および生物学的試薬の混合物を用いる。各ウェルから測定
されたシグナル(蛍光または発光)、光学密度、または放射能はウェル中の全て
の物質からのシグナルを統合し、ウェル中の全ての分子の総じての集団平均を与
える。
【0011】 サイエンス・アプリケーション・インターナショナル株式会社(Science Appli
cations International Corporation(SAIC))(130 fifth Avenu
e,Seattle,WA 98109)はイメージングプレートリーダーを説
明する。このシステムはCCDカメラを用いて、96ウェルプレートの全領域を
イメージする。このイメージは解析され、ウェル中のすべての物質につきウェル
当たりの全蛍光が計算される。
【0012】 モレキュラー・デバイス社(Molecular Devices, Inc.)(Sunnyvale
,CA)は、標準的な96ウェルプレート中のウェルの底部のほぼ200ミクロ
ン内で選択的に蛍光を励起するのに低角レーザー走査照射およびマスクを用いて
、細胞単層をイメージする場合のバックグラウンドを低下させるシステム(FL
IPR)を説明する。このシステムはCCDカメラを用いてプレート底部の全領
域をイメージする。このシステムはウェルの底部の細胞単層に由来するシグナル
を測定するが、測定されたシグナルはウェルの領域にわたって平均化され、従っ
て、細胞の集団の平均的応答の測定であると依然として考えられる。イメージを
解析して、細胞−ベースのアッセイにつきウェル当たりの全蛍光を計算する。F
LIPRシステム等の流体送達デバイスを細胞ベースのスクリーニングシステム
に取り込んで、応答を開始させ、次いで、これは、マクロ−イメージングシステ
ムを用いて全ウェル集団平均応答として観察される。
【0013】 高スループットスクリーニングとは対照的に、細胞構成要素およびプロセスの
時間的−空間的動力学についてのより詳細な情報に対する必要性に対処するため
に、種々の高含有量スクリーニング(「HCS」)が開発されている。高含有量
スクリーニングは、細胞に取り込まれた特異的蛍光−ベースの試薬に由来する多
色蛍光情報の抽出を自動化する(ジュリアノ(Giuliano)およびテーラー(Taylor)
(1995),Curr.Op.Cell Biol.7:4、ジュリアノら(
1995)Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.2
4:405)。空間的、ならびに時間的動力学を測定することができる光学シス
テムを用いて細胞を分析する(ファーカス(Farkas)ら(1993)Ann.Re
v.Physol.55:785、ジュリアノら(1990)In Optic
al Microscopy for Biology.ハーマン(B.Herman)お
よびジャコブソン(K.Jacobson)(編),543−557、Wiley−Liss
,New York、ハーン(Hahn)ら(1992)Nature 359:73
6、ワグナー(Waggoner)ら(1996)Hum.Pathol。27:494)
。この概念は、標識された構成要素の活性についての空間的および時間的情報を
有する「ウェル」として各細胞を処理することである。
【0014】 今や、細胞に適用された蛍光−ベースの試薬を介して接近可能なタイプの生化
学的および分子的情報はイオン濃度、膜ポテンシャル、特異的移動、酵素活性、
遺伝子発現、ならびに代謝産物、タンパク質、脂質、炭水化物および核酸配列の
存在、量およびパターンを含む(デビアシオ(DeBiasio)ら(1996)Mol.
Biol.Cell.7:1259、ジュリアノら(1995)Ann.Rev
.Biophys.Biomol.Struct.24:405:ヘイム(Heim)
およびツシーン(Tsien),(1996)Curr.Biol.6:178)。
【0015】 高含有量スクリーニングは、蛍光標識された抗体、生物学的リガンド、および
/または核酸ハイブリッド形成プローブを用いて固定細胞につき、あるいは多色
蛍光インジケータおよび「バイオセンサー」を用いて生細胞につき行うことがで
きる。固定もしくは生細胞スクリーニングの選択は、必要な特異的細胞−ベース
のアッセイに依存する。
【0016】 固定細胞アッセイは最も単純である。なぜなら、マイクロタイタープレート様
式における最初に生きる細胞のアレイは、テストすべき種々の化合物および用量
で処理することができ、次いで、細胞は固定し、特異的試薬で標識し、測定する
ことができるからである。固定後に、細胞の環境の制御は必要でない。空間的情
報が取得されるが、1つの時点におけるのみである。細胞に適用することができ
る数千の抗体、リガンドおよび核酸ハイブリッド形成の利用可能性は、これを、
多くのタイプの細胞−ベースのスクリーニングに対する魅力的アプローチとする
。固定および標識工程は自動化することができ、アッセイの効果的処理を可能と
する。
【0017】 生細胞アッセイはより技巧的かつ強力である。なぜなら、所望の試薬を含有す
る生細胞のアレイは時間、ならびに空間にわたってスクリーニングすることがで
きるからである。細胞の環境的制御(温度、湿度および二酸化炭素)が測定の間
に必要である。なぜなら、細胞の生理学的健康が、時間にわたっての複数蛍光測
定で維持されなければならないからである。細胞内での生化学的および分子的活
性の変化を報告することができる蛍光生理学的インジケータおよび「バイオセン
サー」の増大するリストがある(ジュリアノら(1995)Ann.Rev.B
iophys.Biomol.Struct.24:405、ハーンら(199
3)In Fluorescent and Luminescent Pro
bes for Biological Activity.ネーソン(W.T.Na
son)(編),349−359,Academic Press,San Di
ego)。
【0018】 蛍光−ベースの試薬の利用可能性および使用は、固定および生細胞高含有量ス
クリーニング双方の発達を進めるのを助けてきた。多色高含有量情報を自動的に
抽出するための装置化の進歩は、最近、HCSを自動ツールに開発するのを可能
とした。テーラーらによる論文(American Scientist 80
(1992),322−335)は、これらの方法およびそれらの適用の多くを
説明する。例えば、プロフィット(Proffitt)ら(Cytometry 24:2
04−213(1996))は、種々の組織培養プレート様式、特に、96−ウ
ェルマイクロタイタープレートウェルにおいて原位置で相対的細胞数を定量する
ための半自動蛍光デジタルイメージングシステムを説明する。このシステムは電
動段階を設けたエピ蛍光倒立顕微鏡、ビデオカメラ、イメージ増感剤、およびP
C−ビジョンデジタイザーを設けたマイクロコンピュータからなる。Turbo
Pascalソフトウェアは段階を制御し、プレートを走査し、ウェル当たり
の複数のイメージを撮る。このソフトウェアはウェル当たりの全蛍光を計算し、
日キャリブレーションを提供し、種々の組織培養プレート様式につき容易に配置
を形成する。デジタルイメージの閾値設定および生細胞によって取られる場合の
み蛍光を発する試薬を用いて、過剰の蛍光試薬を除去することなくバックグラウ
ンド蛍光を減少させる。
【0019】 走査共焦点顕微鏡イメージング((ゴー(Go))ら(1997)Analyti
cal Biochemistry 247:210−215、ゴールドマン(G
oldman)ら(1995)Experimental Cell Researc
h 221:311−319)および多光子顕微鏡イメージング(デンク(Denk)
ら(1990)Science 248:73、グラトン(Gratton)ら(199
4)Proc.of the Microscopical Society
of America,154−155)もまた、顕微鏡試料の高分解能イメー
ジを取得するための良く確立された方法である。これらの光学系の主な利点は、
非常に浅い焦点深度であり、これは限定された軸方向の程度の特徴がバックグラ
ウンドに対して分解されることを可能とする。例えば、細胞表面の特徴から接着
性細胞の内部細胞質特徴を分解するのが可能である。走査多光子イメージングは
必要な高光子束を達成するのに非常に短い持続のパルスレーザー系が必要である
ので、蛍光の寿命もまたこれらの系で測定することができ(ラコウィッツ(Lakow
icz)ら(1992)Anal.Biochem.202:316−330、ゲリ
ツセン(Gerrittsen)ら(1997),J.of Fluorescence 7
:11−15)、異なる検出モードに対してさらなる能力を提供する。半導体レ
ーザーによるポンプドレーザー等の小さくて信頼ができかつ比較的安価なレーザ
ー系が、今日、多光子共焦点顕微鏡がかなり日常的に適用されるのを可能とする
ために入手できる。
【0020】 集団における細胞の生物学的不均一性(ブライト(Bright)ら(1989),J
.Cell.Physiol.141:410、ジュリアノ,(1996)Ce
ll Motil.Cytoskel.35:237))ならびに細胞内に存在
する化学および分子情報の高い空間的および時間的頻度の組合せは、現存の全マ
イクロタイタープレートリーダーを用いて脂肪の集団から高含有量情報を抽出す
るのを不可能とする。個々に分析される細胞を用いる多色蛍光ベースのスクリー
ニングでは、高含有量スクリーニングプラットフォームでデザインされたものは
現存しない。同様に、特にマイクロタイタープレートで増殖した細胞からHCS
分析によって同定される細胞応答を誘導する能力につき化合物を組織的にスクリ
ーニングする目的で、自動流体送達を細胞のアレインに組み合わせる方法現在利
用できない。さらに、1つのアッセイで「ヒット」を同定するための高スループ
ットウェル間測定、続いてのヒットと同定されたウェルのみの同一プレートにつ
いての第2の高含有量細胞間測定を組み合わせる方法は当該分野では存在しない
【0021】 本発明は、多くの細胞スクリーニング様式を蛍光ベースの分子試薬およびコン
ピュータベースの特徴抽出、データ解析、および自動化と組み合わせることによ
って標的の有効化および候補の最適化を有意に改良し、その結果データ収集の質
およびスピードの増加、サイクル時間の短縮化、および最終的には有用な薬物候
補のより早い評価をもたらす高スループットスクリーニング(HTS)および高
含有量スクリーニング(HCS)を組み合わせるシステム、方法およびスクリー
ニングを提供する。また、本発明は、各アッセイで必要な試薬およびテスト化合
物の容量を減少させつつ、この方法を小型化し、それにより増大したスループッ
トを可能とすることを提供する。
【0022】 (発明の開示) 本発明の一つの特徴は、位置のアレイに蛍光レポータ分子を含有する細胞を提
供し、位置のアレイにおける細胞を1以上の試薬で処理し、各位置における多数
の細胞を蛍光光学でイメージングし、光学情報をデジタルデータに転換し、デジ
タルデータを利用して細胞中の蛍光標識レポータ分子の分布、環境または活性お
よび細胞の分布を測定し、次いで、生物学的機能についてテストすべき化合物の
陽性効果、陰性効果、または無効果の項目につきその情報を解釈することを含む
細胞の分析方法に関する。
【0023】 この実施形態において、この特徴に係る方法は、特定の生物学的機能に特異的
に影響するものにつき非常に多数の化合物をスクリーニングする目的で細胞中の
蛍光標識レポータ分子の分布、環境または活性を迅速に測定する。位置のアレイ
は、マイクロタイタープレート、または位置のアレイに細胞を有するマイクロプ
レートであるマイクロチップであって良い。好ましい実施形態において、この方
法は受領したデータを取得し、処理し、表示し、保存するためのコンピュータ化
手段を含む。好ましい実施形態において、この特徴に係る特徴に係る方法は、さ
らに、細胞のアレイへの自動流体送達を含む。別の好ましい実施形態において、
同一プレートでの高スループット測定から得られた情報を用いて、プレート上の
細胞位置のサブセットのみについて選択的に高含有量スクリーニングを行う。
【0024】 本発明の他の特徴は、 ・顕微鏡対物レンズを有する高倍率蛍光光学系、 ・細胞のアレイを含有するプレートを保持し、適当な整列のためにプレートを
移動させ、細胞アレイ上に焦点を合わせるための手段を有するのに適したXY段
階、 ・デジタルカメラ、 ・細胞アレイに励起光を向けるための光学手段および細胞から放出された蛍光
をデジタルカメラに向けるための手段、および ・デジタルカメラからのイメージを受け取るためのデジタルフレームグラバー
、使用者対話のためのディスプレイおよびアッセイ結果のディスプレイ、データ
の保存および検索のためのデジタル記録媒体、結果の制御、取得、処理および表
示のための手段を含み、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り、それ
を処理するためのコンピュータ手段とを具備する細胞スクリーニングシステムを
提供することである。
【0025】 好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステムは、さらに、データ
を表示するためのコンピュータと操作可能に関連するコンピュータ画面を含む。
別の好ましい実施形態において、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取
り、それを処理するためのコンピュータ手段はこのデータをバイオインフォマテ
ィクスデータベースに保存する。さらなる好ましい実施形態において、この細胞
スクリーニングシステムは、さらに、多くのまたは全てのウェルからのシグナル
を平行して測定するリーダーを含む。別の好ましい実施形態において、細胞スク
リーニングシステムは、さらに、システムの倍率を変化させて、高スループット
および高含有量スクリーニングの間のモードの変化を可能とする機械、光学手段
を含む。別の好ましい実施形態において、この細胞スクリーニングシステムは、
さらに、細胞を生かしておくために必要なレベルにプレートの周囲の温度、CO 濃度および湿度を維持するためのチャンバーおよび制御システムを含む。さら
なる好ましい実施形態において、この細胞スクリーニングシステムは共焦点走査
照明および検出システムを利用する。
【0026】 本発明のさらに他の特徴は、特異的細胞の構成要素およびプロセスの分布およ
び活性を規定するための手法を実行させるための指令の組を含有するプログラム
を含む機械読み取り可能記録媒体を提供することである。好ましい実施形態にお
いて、この細胞スクリーニングシステムは、細胞を保持するのに適した段階およ
び段階を移動させるための手段を備えた高倍率蛍光光学系、デジタルカメラ、デ
ジタルカメラからデジタルデータを受け取り、それを処理するための光源、およ
びデジタルカメラからのデジタルデータを受け取り、それを処理するためのコン
ピュータ手段を含む。機械読み取り可能記録媒体の好ましい実施形態は、細胞ス
クリーニングシステムが、図9、11、12、13、14または15に記載され
た手法を実行させるための指令の組を含むプログラムを含む。別の好ましい実施
形態は、細胞スクリーニングシステムが、特異的細胞の構成要素およびプロセス
の分布および活性を検出するための手法を実行させるための指令の組からなるプ
ログラムを含む。最も好ましい実施形態において、細胞プロセスは、限定される
ものではないが、タンパク質の核移動、細胞肥大、アポトーシス、およびタンパ
ク質のプロテアーゼ−誘導移動を含む。
【0027】 別の好ましい実施形態において、転写因子活性、プロテインキナーゼ活性、細
胞形態、微小管構造、アポトーシス、受容体内部化、タンパク質のプロテアーゼ
−誘導移動および神経突起成長に影響する化合物を解析し、同定するためのスク
リーニングを含めた種々の細胞スクリーニング方法を提供することである。
【0028】 全ての引用された特許、特許出願および他の文献は、参照してその全体に組み
込まれる。
【0029】 本明細書中で用いるように、以下の用語は特定の意味を有する: 細胞ドメインのマーカ。特異的小器官または分子を含めた特異的細胞構成要素
に対して高親和性を有するルミネセンスプローブ。これらのプローブは、「標識
試薬」「環境インジケータ」または「バイオセンサー」として使用される小さな
ルミネセンス分子または蛍光タグ付きマクロ分子いずれかであり得る。
【0030】 標識試薬。標識試薬は、限定されるものではないが、蛍光タンパク質アナログ
およびバイオセンサーを含めたルミネセンス標識マクロ分子、緑色蛍光タンパク
質およびその突然変異体とで形成されたものを含めたルミネセンスマクロ分子キ
メラ、生理学的応答に関与する細胞抗原と反応するルミネセンス標識一次または
二次抗体、ルミネセンス染料、色素および他の小分子を含む。
【0031】 細胞移動のマーカ。いくつかの細胞プロセスまたは生理学的応答の間に1つの
細胞ドメインから別のドメインに移動するルミネセンスタグ付きマクロ分子また
は小器官。移動マーカは細胞ドメインのマーカに対する単にレポート位置であり
得るか、あるいはそれらは同様にいくつかの生化学または分子活性を報告する「
バイオセンサー」でもあり得る。
【0032】 バイオセンサー。生物学的機能ドメインおよび内部またはその表面いずれかで
起こる環境の変化を報告するルミネセンスプローブまたは複数プローブからなる
マクロ分子。これらの変化を検知しそれを報告するほうにデザインされたルミネ
センス標識マクロ分子のクラスは「蛍光−タンパク質バイオセンサー」と呼ばれ
てきた。バイオセンサーのタンパク質成分は高度に進化した分子認識部位を提供
する。活性部位に隣接するタンパク質成分に付着した蛍光分子は、環境の変化を
蛍光シグナルに変化させ、これは本発明の細胞スクリーニングシステム等の適当
な時間および空間分解能を持つシステムを用いて検出される。生細胞内の天然タ
ンパク質活性の変調は可逆的であるので、かつ蛍光−タンパク質バイオセンサー
はタンパク質活性の可逆的変化を検知するようにデザインできるので、これらの
バイオセンサーは実質的に再使用可能である。
【0033】 病気関連配列。(「DAS」)。この用語は、薬物候補化合物についてのよう
に、一次DNA配列データ等の標準的な技術、減算ハイブリッド形成およびRA
DE等のゲノム方法、および逆遺伝子学と組み合わせたプロテオミック方法によ
って同定された核酸配列をいう。この用語は、配列が病気状態に関連するに過ぎ
ないということを意味しない。
【0034】 高含有量スクリーニング(HCS)を用いて、シグナル変換経路等の複雑な分
子事象、ならびに限定されるものではないがアポトーシス、細胞分裂、細胞接着
、移動、エキソサイトーシスおよび細胞間通信を含めた細胞機能に対する薬物の
効果を測定することができる。多色蛍光は複数の標的および細胞プロセスが単一
のスクリーニングでアッセイできることを可能とする。細胞応答の交差−相関は
標的の有効化およびリード最適化に要する価値のある情報を生じるであろう。
【0035】 本発明の1つの態様において、顕微鏡対物レンズ、細胞を保持する位置のアレ
イを備えたプレートを保持し、顕微鏡対物レンズとこの位置を整列させるために
プレートを移動させるための手段を有するXY段階、および焦点合わせを行う方
向にプレートを移動させるための手段を有する高倍率蛍光光学系、デジタルカメ
ラ、位置のアレイにおける細胞に励起光を向けるための光学手段および細胞から
放出された蛍光をデジタルカメラに向けるための手段を有する光源、およびデジ
タルカメラからのデジタルデータを受け取りそれを処理するためのコンピュータ
手段、ここに、このコンピュータ手段はこのカメラからのイメージを受け取るた
めのデジタルフレームグラバー、使用者対話のためのディスプレイおよびアッセ
イ結果のディスプレイ、データの保存および検索のためのデジタル記録媒体、お
よび結果の制御、取得、処理および表示のための手段を含む、を含む細胞スクリ
ーニングシステムを提供することである。
【0036】 図1は細胞走査システムの好ましい実施形態の概略図である。このカメラに対
して1−100倍の倍率を持つ標準的な対物レンズ、および電源2を備えた白色
光源(例えば、100Wの水銀灯ランプまたは75Wキセノンランプ)を用いる
ツァイス・アキシオバート(Zeiss Axiovert)倒立蛍光顕微鏡等
の倒立蛍光顕微鏡1を用いる。顕微鏡対物レンズ上方にXY方向にプレート4を
移動させるためのXY段階3がある。Z−軸焦点駆動5は焦点合わせのために対
物レンズをZ方向に移動させる。操作レバー6はXYZ方向の段階の手動移動を
提供する。高分解能デジタルカメラ7はプレート上の各ウェルまたは位置からイ
メージを取得する。カメラ電源8、自動コントローラ9および中央処理ユニット
10がある。このPC11はディスプレイ12を提供し、関連するソフトウェア
を有する。プリンタ13はハードコピーレコードの印刷を提供する。
【0037】 図2は本発明の顕微鏡アセンブリ1の1つの実施形態の概略図であり、詳細に
、XY段階3、Z−軸焦点合わせ駆動5、操作レバー6、光源2、および自動コ
ントローラ9を示す。コンピュータ15および顕微鏡16へのケーブルが各々設
けられる。加えて、図2はXY段階3上にXY方向に移動する96ウェルのマイ
クロタイタープレート17を示す。抗原2からの光はPC制御のシャッター18
を通って励起フィルタ20を備えた電動フィルタホイール19へと通過する。こ
の光は、ダイクロイックミラー26および発光フィルタ27を有するフィルタキ
ューブ25に通過する。励起光はこのダイクロイックミラーで反射されてマイク
ロタイタープレート17中のウェルに向かい、蛍光28はダイクロイックミラー
26および発光フィルタ27を通ってデジタルカメラ7へと通過する。
【0038】 図3は好ましいカメラアセンブリの概略図を示す。露出制御のための自動シャ
ッターおよび電源31を含有するデジタルカメラ7は顕微鏡アセンブリからの蛍
光28を受け取る。デジタルケーブル30はデジタルシグナルをコンピュータに
まで輸送する。
【0039】 上述した標準的な光学配置は、カメラセンサー上の検体の拡大されたイメージ
を直接的に生じさせて、この検体の高分解能イメージを取得するための顕微鏡光
学を使用する。この光学系は通常「広視野」顕微鏡といわれる。当業者であれば
、検体の高分解能イメージは、限定されるものではないが、検体にわたって操作
した照明の焦点を合わせた点または線の標準的な走査共焦点検出(ゴーら,19
97,上記)、および多光子走査共焦点顕微鏡(デンクら,1990,上記)(
これらの双方はCCD検出器にて、または光電子増倍管のアナログ出力の同調デ
ジタル化によってイメージを形成できる)を含めた種々の他の光学系によって生
じさせることができるのを認識できるであろう。
【0040】 スクリーニング適用において、しばしば、特定の細胞系または一次細胞培養を
用いて、それらの細胞の特定の特徴を利用するのが必要である。細胞培養の分野
の当業者であれば、いくつかの細胞系は接触阻止され、それらは他の細胞に囲ま
れるようになると増殖を停止することを意味し、他方、他の細胞はそれらの条件
下で継続して増殖し、細胞は文字通り積みあがり、多くの層を形成することを認
識するであろう。そのような細胞系の例はHEK293(ATCC CRL−1
573)系である。多層調製物における単一の細胞層のイメージを取得できる光
学系が、層を形成する蛍光にある細胞系での使用に必要である。広視野顕微鏡の
大視野深度は、多くの層の細胞を通じての投影であるイメージを生じ、層−形成
細胞で極端に困難な細胞下空間分布の解析を行う。別の方法として、共焦点顕微
鏡で達成することができる非常に狭い視野深度(約1ミクロン)は高分解能にて
単一の細胞層の区別を可能とし、細胞下空間分布の測定を単純化する。同様に、
蛍光寿命イメージング等の検出モードが必要な場合には共焦点イメージングが好
ましい。
【0041】 顕微鏡のための標準的共焦点イメージングアタッチメントの出力はデジタルイ
メージであり、これは上述した他の細胞スクリーニングシステムの実施形態によ
って生じるイメージと同一の様式に変換でき、従って、イメージと正確に同一の
方法で処理できる。この実施形態における全制御、取得および解析は実質的に同
一である。共焦点顕微鏡システムの光学配置は、照明器および検出器を除いて上
述したものに実質的に同一である。共焦点顕微鏡に必要な照明および検出系は、
本発明のもののような標準的な顕微鏡光学系に取り付けられるアクセサリとして
デザインされてきた(ツァイス(Zeiss),ドイツ国)。従って、これらの別の光
学系は上述した体系に容易に取り込むことができる。
【0042】 図4は、参照してその全体に組み込まれる同時係属米国出願S/N 08/8
65,341に記載された、細胞アレイがマイクロプレート41上のマイクロウ
ェル40にある本発明の別の実施形態を示す。典型的には、このマイクロプレー
トは、86mm×129mmである標準的な96ウェルのマイクロタイタープレ
ートと比較して20mm×30mmである。マイクロプレート上の細胞のより高
い密度のアレイは、高スループットで画素当たり数ミクロンの低分解能にてイメ
ージされることを可能とし、このマイクロプレート上の特定の位置が画素当たり
0.5ミクロン未満の高分解能にてイメージされることを可能とする。これらの
2つの分解能濃度は、この系の全スループットを改良することを助ける。
【0043】 マイクロプレートチャンバー42は化合物の細胞への添加のためのミクロ流動
送達システムとして働く。マイクロプレートチャンバー42中のマイクロプレー
ト41はXYマイクロプレートリーダー43に入れられる。デジタルデータは上
述したように処理される。このマイクロプレートシステムの小さなサイズはスル
ープットを増加させ、試薬容量を最小化し、速くて正確な細胞ベースの分析のた
めの細胞の分布および設置の制御を可能とする。処理されたデータはPC画面1
1上に表示でき、バイオインフォマティクスデータベース44の一部をなす。こ
のデータベースは本発明の方法を通じて得られたデータの保存および検索を可能
とするのみならず、細胞に関する外部データの取得および保存を可能とする。図
5は、ソフトウェアの操作を説明するPCディスプレイである。
【0044】 代替実施形態において、高スループットシステム(HTS)は同一プラットホ
ーム上または(ローカルエリアネットワークを介して)電子的に結合した2つの
別々のプラットフォーム上のHCSと直接連結される。デュアルモード光学系と
言われる本発明のこの実施形態は、それをHTSと連結させることによってHC
Sのスループットを増加させる利点を有し、それにより、連結したHTSにおけ
る応答を示すウェルの小さなサブセットについてのみより遅い高分解能データ取
得および分析を要する。
【0045】 高スループット「全プレート」リーダーシステムは当該分野でよく知られてお
り、多数の化合物をスクリーニングするのに使用されるHTSシステムの成分と
して通常は使用される(ベグス(Beggs)(1997),J.of Biomol
ec.Screening 2:71−78、マーカフレー(Macaffrey)ら(1
996)J.Biomolec.Screening 1:187−190)。
【0046】 デュアルモード細胞ベースのスクリーニングの1つの実施形態において、高ス
ループット取得が1つのプラットフォームで起こり、高含有量取得が第2のプラ
ットフォームで起こる2つのプラットフォーム構築体を提供することである。(
図6)。処理は各プラットフォームで独立して起こり、結果はネットワークイン
ターフェ-スを通過し、あるいは単一のコントローラを用いて両プラットフォー
ムからのデータを処理する。
【0047】 図6に示すように、例示された2つのプラットフォームデュアルモード光学系
は2光の光学装備、高スループット60および高含有量プラットフォーム65よ
りなり、これはマイクロプレート上のマイクロタイタープレートまたはマイクロ
ウェルアレイ中で培養した細胞から放出された蛍光シグナルを読み取り、電子的
結合64を介して相互に通信する。高スループットプラットフォーム60は全プ
レート中の全てのウェルを平行してまたは迅速系列様式いずれかで分析する。ス
クリーニングの分野の当業者であれば、デュアルモード細胞ベースのスクリーニ
ングシステムに取り込むことができる多くのそのような商業的に入手可能な高ス
ループットリーダーシステムがあることを認識するであろう(Topcount
(パッカード・インスツルメント社(Packard Instruments),Meriden,
CT)、Spectramax,Lumiskan(モレキュラー・デバイス社
,Sunnyvale,CA)、Fluoroscan(ラブシステムズ(Labsy
stems),Beverly,MA))。上述した高含有量プラットフォーム65は
ウェル間を走査し、ウェル内の個々の細胞から収集された高分解能イメージデー
タを取得し、それを分析する。
【0048】 システムのコンピュータ62に存在するHTSソフトウェアは高スループット
装備を制御し、結果はモニター61に表示される。そのコンピュータのシステム
67に存在するHCSソフトウェアは高含有量装備ソフトウェア65、および任
意のデバイス(例えば、プレートローダー、環境チャンバー、流体ディスペンサ
ー)を制御し、プレートからのデジタルイメージデータを分析し、結果をモニタ
ー66に表示し、取り込まれたデータベースで測定されたデータを管理する。ま
た、2つのシステムは単一のコンピュータを共有し、この場合、全てのデータは
、データを移動するためのローカルエリアネットワークの必要性なくして、その
コンピュータで収集され、処理され、表示される。マイクロタイタープレートは
、当該分野で知られているように、手動により、またはロボットプレート移動デ
バイスによって、高スループットシステムから高含有量システム63に移動され
る(ベグス(1997),上記、マーカフレー(1996),上記)。
【0049】 好ましい実施形態において、デュアルモード光学系は単一のプレートシステム
を利用する(図7)。それは、2つの別々の光学モジュール、HCSモジュール
203およびHTSモジュール209よりなり、これは、一度に1つのみを用い
てマイクロタイタープレート201からのデータを収集することができるように
、独立してまたは集合的に移動させることができる。マイクロタイタープレート
201は電動X,Y段階に設置され、そこで、それはHTSまたはHCSモード
いずれかでのイメージングのために位置させることができる。後記するHTSデ
ータを収集し、それを分析した後、HTS光学モジュール209を光路から外し
て移動させ、HCS光学モジュール203が所定の位置に移動される。
【0050】 HTS209についての光学モジュールは投影レンズ214、励起波長フィル
タ213およびダイクロイックミラー210よりなり、これを用いて、通常の顕
微鏡ランプシステム(図示せず)からの特異的波長のバンドでプレート上の全底
部を照明する。蛍光発光は、センサー215を備えたカメラ216上にイメージ
を形成するレンズ212によってダイクロイックミラー210および発光波長フ
ィルタ211を通じて収集される。
【0051】 HCS203についての光学モジュールは投影レンズ208、励起波長フィル
タ207、ダイクロイックミラー204よりなり、これを用いて顕微鏡対物レン
ズ202の裏開口を照明し、それにより、標準的顕微鏡照明システム(図示せず
)からその対物レンズの視野を照明する。蛍光発光は顕微鏡対物レンズ202に
よって収集され、ダイクロイックミラー204および発光波長フィルタ205を
通って通過し、センサー215を備えた同一カメラ216上にイメージを形成す
るチューブレンズ206によって焦点を結ぶ。
【0052】 本発明の別の実施形態において、細胞スクリーニングシステムは、さらに、細
胞スクリーニングの方法の生細胞実施形態での使用のための流体送達デバイスを
含む(以下参照)。図8は本発明のシステムで用いる流体送達デバイスを例示す
る。それは単一のモータ駆動によって駆動される12のシリンジポンプ701の
バンクからなる。各シリンジ702は各ウェルへ送達されるべき容量、典型的に
は、1および100μLの間に従ったサイズとされる。各シリンジは柔軟なチュ
ーブ703を介して、標準的なピペット先端705を許容するコネクタの同様の
バンクに付着される。ピペット先端のバンクは駆動システムに付着され、従って
、それは、マイクロタイタープレート706に対して下降および上昇させて各ウ
ェルへ流体を送達することができる。このプレートはX,Y段階に設置され、デ
ータ収集目的で光学系707に対する移動を行う。この設定はピペット先端の1
つの組、または単一のピペット先端のみでさえプレート上の全てのウェルに試薬
を送達するのを可能とする。シリンジポンプのバンクを用いて同時に12のウェ
ルに、または先端のいくつかを除くことによってより少数のウェルに流体を送達
することができる。
【0053】 別の態様において、本発明は、複数細胞を含有する位置のアレイを提供し、こ
こに、この細胞は1以上の蛍光レポータ分子を含有し、細胞を含有する位置の各
々における複数細胞を走査して、細胞中の蛍光レポータ分子からの蛍光シグナル
が得られ、蛍光シグナルをデジタルデータに変換し、次いで、このデジタルデー
タを用いて、細胞内の蛍光レポータ分子の分布、環境または活性を測定すること
を含む細胞の分析方法を提供する。
【0054】 細胞アレイ 特定の生物学的機能に関する活性についての非常に多数の化合物のスクリーニ
ングは、細胞および試薬の平行した取り扱いのために細胞のアレイを調製するこ
とを必要とする。9mmピッチの6mm直径のウェルを備えた、86mm×12
9mmである標準的な96ウェルのマイクロタイタープレートは、現行の自動ロ
ーディングおよびロボット取り扱いシステムでの適合性にて使用される。このマ
イクロプレートは典型的には20mm×30mmであり、約500ミクロンのピ
ッチで寸法が100−200ミクロンである細胞位置を備えている。マイクロプ
レートを作成する方法は、参照してその全体に組み込まれる米国特許出願番号0
8/865,341に記載されている。マイクロプレートは、それに細胞が付着
しない材料でパターン化された、それに細胞が接着する材料の共平面層、または
同様にパターン化された材料のエッチングされた三次元表面からなることができ
る。以下の議論の目的では、用語「ウェル」および「マイクロウェル」とは、そ
れに細胞が接着し、その中で細胞がイメージされるいずれかの構築物のアレイに
おける位置をいう。マイクロプレートはウェルの間の空間に流体送達チャネルを
含むことができる。マイクロプレートの同様の様式は、調製の間の試薬、保存お
よび取り扱いの量ならびに走査操作に必要な全移動を最小化することによって、
システムの全効率を増加させる。加えて、マイクロプレートの全領域はより効果
的にイメージすることができ、本明細書中で後に説明するようにマイクロプレー
トリーダーのための第2のモードの操作を可能とする。
【0055】 蛍光レポータ分子 新しい薬物発見のパラダイムの主要な要素は、細胞内イオン、代謝産物、マク
ロ分子および小器官の時間的および空間的分布、含有量および活性を測定するの
に使用される継続的に増大する一群の蛍光および蛍光試薬である。これらの試薬
のクラスは、生細胞および固定細胞における分子の分布および量、時間および空
間におけるシグナル変換事象を報告するための環境インジケータ、および生細胞
の標的分子活性を測定するための蛍光タンパク質バイオセンサーを測定する標識
試薬を含む。単一の細胞中でいくつかの試薬を組み合わせるマルチパラメータア
プローチは薬物発見のための強力な新しいツールである。
【0056】 本発明の方法は、特異的細胞成分に対する蛍光またはルミネセンス分子の高親
和性に基づく。特異的成分に対する親和性は、イオン相互作用、共有結合(これ
は、タンパク質ベースの発色団、フルオロフォア、およびルミフォアを含む)、
ならびに疎水性相互作用、電気的ポテンシャル、およびある場合には、細胞成分
内での単純な取得等の物理的力によって支配される。ルミネセンスプローブは、
限定されるものではないが緑色蛍光タンパク質キメラを含めた、小分子、標識さ
れたマクロ分子、または遺伝子工学作成タンパク質であり得る。
【0057】 当業者であれば、限定されるものではないが、タンパク質、リン脂質およびD
NAハイブリダイジングプローブ等の蛍光標識生体分子を含めた、広く種々の蛍
光レポータ分子を本発明で用いることができるのを認識するであろう。同様に、
特異的に結合または会合の特定の化学的特性で合成された蛍光試薬が蛍光レポー
タ分子として使用されてきた(バラク(Barak)ら(1997),J.Biol.
Chem.272:27497−27500、サウスウィック(Southwick)(1
990),Cotometry 11:418−430、ツシーン(1989)
in Methods in Cell Biology,Vol.29 テー
ラーおよびワン(Wang)(編),127−156頁)。蛍光標識抗体は、細胞また
は組織としての複合体としての分子の混合物中の単一分子標的に付着させるため
のそれらの高度な特異性のため特に有用なレポータ分子である。
【0058】 ルミネセンスプローブは生細胞内で合成することができるか、あるいは拡散、
促進または能動輸送、シグナル配列−媒介輸送、およびエンドサイトーシスまた
はピノサイトーシス摂取を含めたいくつかの非機械的モーデを介して細胞に輸送
することができる。当該分野でよく知られた機械的バルクローディング方法を用
いて、ルミネセンスプローブを生細胞に負荷することもできる(バーバー(Barbe
r)ら(1996),Neuroscience Letters 207:17
−20、ブライトら(1996),Cytometry 24:226−233
、McNeil(1989)in Methods in Cell Biol
ogy,Vol.29,テーラーおよびワン(編),153−173)。これら
の方法はエレクトロポレーションおよびスクレイプ−ローディング、ビード−ロ
ーディング、インパクト−ローディング、シリンジ−ローディング、低張および
高張ローディング等の他の機械的方法を含む。加えて、細胞を遺伝子工学的に作
成して、上述した注目するタンパク質に連結された、GFP等のレポータ分子を
発現するようにすることができる(チャルフィー(Chalfie)およびプラッシャー(P
rasher),米国特許第5,491,084号、キュビット(Cubitt)ら(1995
),Trends in Biochemical Science 20:4
48−455)。
【0059】 一旦細胞内に入れば、ルミネセンスプローブは、標的ドメインとの特異的かつ
高親和性相互作用の結果として、あるいはシグナル配列−媒介輸送等の分子標的
化の他の様式にてそれらの標的において蓄積する。蛍光標識レポータ分子は、レ
ポータの位置、量および化学的環境を測定するのに有用である。例えば、レポー
タが親油性膜中にあるか、またはより水性の環境にあるかは決定することができ
る(ジュリアノら(1995),Ann.Rev.of Biophysics
and Biomolecular Structure 24:405−4
34、ジュリアノおよびテーラー(1995),Methods in Neu
roscience 27:1−16)。レポータのpH環境は測定することが
できる(ブライトら(1988),J.Cell Biology 104:1
019−1033、ジュリアノら(1987),Anal.Biochem.1
67:362−371、トーマス(Thomas)ら(1979),Biochemis
try 18:2210−2218)。キレート化基を有するレポータがCa 等のイオンに結合しているか否かは測定することができる(ブライト(198
9),In Methods in Cell Biology,Vol.30
,テーラーおよびワン(編),157−192、シモウラ(Shimoura)ら(198
8),J.of Biochemistry(Tokyo)251:405−4
10、ツシーン(1989)In Methods in Cell Biol
ogy,Vol.30,テーラーおよびワン(編),127−156)。
【0060】 さらに、生物内のある細胞タイプは、特異的に標識することができる成分を含
有することができ、これは他の細胞タイプでは起こり得ない。例えば、上皮細胞
は、しばしば、極性化膜成分を含有する。すなわち、組織細胞は、それらの原形
質膜に沿ってマクロ分子を非対称に分布させる。結合もしくは支持組織は、しば
しば、その細胞型に特異的な分子(例えば、ヘパリン、ヒスタミン、セロトニン
等)がそれに取得される顆粒を含有する。ほとんどの筋肉組織細胞は筋形質小胞
体、その機能が細胞質内のカルシウムイオンの濃度によって調節されるべき特殊
化された小器官を含有する。多くの神経組織細胞は、神経ホルモンまたは神経伝
達物質がそこに取得されている、分泌顆粒および小胞体を含有する。従って、蛍
光分子は、特異的細胞内の特異的成分のみならず、混合された細胞型の集団内の
特異的細胞も標識するようにデザインできる。
【0061】 当業者であれば、蛍光を測定する広く種々の方法を認識するであろう。例えば
、いくつかの蛍光レポータは励起または発光スペクトルの変化を呈し、いくつか
は1つの蛍光レポータが蛍光を失い、他方、第2のものが蛍光の利得を得る共鳴
エネルギー移動を呈し、いくつかは蛍光の喪失(消光)または出現を呈し、他方
、いくつかは合理的移動を報告する(ジュリアノら(1995),Ann.Re
v.of Biophysics and Biomol.Structure
24:405−434、ジュリアノら(1995),Methods in
Neuroscience 27:1−16)。
【0062】 走査細胞アッセイ 図9を参照し、実行されるべきアッセイに基づいて選択されるべきオペレータ
−指向性パラメータ、試料内の蛍光シグナルの分布についての細胞スクリーニン
グシステムによるデータ取得、および対話形式のデータレビューおよび解析を含
む細胞を分析するための好ましい実施形態が提供される。自動走査の開始におい
て、オペレータは、試料を説明する情報100を入力し、フィルタ設定および蛍
光チャネルを測定して、使用される生物学的標識および求められる情報を適合さ
せ、カメラ設定を調整して、試料の明るさを適合させる。ある範囲の試料を取り
扱う柔軟性のためには、ソウトウェアは、核および細胞質を同定するのに使用さ
れる種々のパラメータ設定の選択および異なる蛍光試薬の選択、形態または明る
さに基づく注目する細胞の同定、およびウェル当たりの分析すべき細胞の数の同
定を可能とする。これらのパラメータは、各自動実行につき容易な検索のために
、システムに保存される。このシステムの対話形式細胞同定モードは、分析すべ
き細胞のサイズ、形状および同一性の範囲等の形態学的パラメータの限界の選択
を単純化する。使用者は、プレートのいずれのウェルをシステムが走査するか、
およびいくつの視野およびいくつの細胞を各ウェルで分析すべきかを特定する。
工程101において使用者によって選択された設定に基づいて、システムは、プ
レート102の「焦点を見出す」ためのオートフォーカス手法を用いて走査され
るべきプレートの領域を自動的に予め焦点合わせし、あるいは使用者は、走査さ
れるべき三角形領域を規定する3つの「タグ」点を選択することによって走査領
域を予め焦点合わせする103。次いで、それらのタグ点から最小二乗適合「焦
点面デモル」を計算して、自動走査の間に各ウェルの焦点を評価する。各ウェル
の焦点は、走査の間に焦点面モデルから内挿することによって評価される。
【0063】 自動走査の間に、ソウトウェアは、分析された細胞の数、分析されるべき現在
のウェル、それらが取得しつつある各独立した波長のイメージ、およびそれが決
定されつつある各ウェルのイメージを含めた、走査状態を動的に表示する。プレ
ート4(図1)はサーペンタインスタイルで走査される。なぜなら、ソウトウェ
アは、96−ウェルプレートの各ウェル内のウェル間および視野間から電動顕微
鏡XY段階3を自動的に移動させるからである。プログラミングの分野の当業者
であれば、24、48および384ウェルプレート等の他のマイクロプレート様
式の走査のためにソウトウェアをいかにして適合させるかを認識するであろう。
全プレートの走査パターンならびに各ウェル内の視野のパターンがプログラムさ
れる。システムは、Z軸焦点駆動5を介してオートフォーカス手法104(図9
)で試料の焦点を調整し、電動フィルタホイール19を介してフィルタ選択を制
御し、4つの異なる色(「チャネル」または「波長」)からなるイメージを取得
し解析する。
【0064】 オートフォーカス手法は、典型的には、各ウェル内の、各ウェル中で第1の視
野、次いで各4−5の視野毎に1回、使用者が選択した頻度で呼ばれる。オート
フォーカス手法は、予め計算された面焦点モデルから内挿することによって出発
Z−軸を計算する。この設定点を超えるまたはそれ未満のプログラム可能な距離
で出発し、この手法は、多数の異なる位置を介して機械的Z−軸を指導させ、各
地点でイメージを取得し、各イメージのコントラストを評価する計算された焦点
スコアの最大を見出す。最大焦点スコアを持つイメージのZ位置は、特定の視野
のための最良焦点を決定する。当業者であれば、ハームス(Harms)ら,in C
ytometry 5(1984),236−243,Gronenら,in
Cytometry 6(1985),81−91,およびファイヤストン(Fir
estone)ら,in Cytometry 12(1991),195−206に
記載された自動焦点合わせ方法の変形としてこれを認識するであろう。
【0065】 イメージ取得では、カメラの露出時間は、各色素につき別々に調整されて、各
チャネルからの最高品質のイメージを保証する。ソフトウェア手法は、使用者の
オプションにより、いずれかのさらなる測定をなす前に波長間で線状(Xおよび
Y)シフトを説明することによって、波長間の登録シフトを修正するために呼ぶ
ことができる。電子シャッター18は、試料フォト−ブリーチングが最小に保持
されるように制御される。バックグラウンド遮光および不均一な照明は、当該分
野で知られている方法を用いるこのソフトウェアによって修正することができる
(ブライトら(1987),J.Cell Biol.104:1019−10
33)。
【0066】 1つのチャネルにおいて、適合した閾値設定手法を用いて分割される(「同定
される」)一次マーカ105(図9)(典型的には、DAPIまたはPI蛍光色
素で逆染色された細胞核)からイメージが取得される。この適合閾値設定手法1
06を用いてバックグラウンドから細胞を分離するため、イメージの閾値を動的
に選択する。蛍光色素での細胞の染色は、マイクロタイタープレート試料中の細
胞を横切って、並びにマイクロタイタープレートの各ウェル内の細胞の視野のイ
メージ内で未知の程度変化し得る。この変化は、試料の調製および/または細胞
の動的性質の結果として起こり得る。全体的閾値は、バックグラウンドから細胞
を分離し、視野間変化を説明するために、完全なイメージについて計算される。
これらの全体的結合技術は当該分野で記載されているものの変形である。(キト
ラー(Kittler)ら,in Computer Vision,Graphics
and Image Processing 30(1985),125−1
47,リドラー(Ridler)ら,in IEEE Trans.Systems,M
an,and Cybernetics(1978),630−632)。
【0067】 別の適合閾値設定方法は、全体的イメージ閾値設定とは対照的に、局所領域閾
値決定を利用する。局所領域のイメージ分析は、良好な総じての細分化に導く。
なぜなら、細胞核(ならびに他の標識成分)の染色はイメージを横切って変化し
得る。この全体的/局所的手法を用い、減少した分解能イメージ(2から4の因
子だけサイズが減少)を、(適合閾値設定を用いて)まず全体的に分割して、イ
メージ中の注目する領域を見出す。次いで、これらの領域を、十分な分解能にお
いて同一領域をより十分に分析するためのガイドとして働かせる。次いで、(再
度、適合閾値設定を用いて)注目する各領域につき、より局所化された閾値を計
算する。
【0068】 細分化手法の出力は、物体が白色であって、バックグラウンドが黒色であるバ
イナリーイメージである。当該分野でマスクとも呼ばれるこのバイナリーイメー
ジを用いて、視野が物体107を含有するかを決定する。このマスクを小斑点標
識方法で標識し、それにより、各物体(または小斑点)は、それに帰属されるた
だ1つの数を有する。この小斑点の面積および形状等の形態学的特徴を用いて、
人口物と考えられるものから細胞であるように見える小斑点を区別する。既知の
細胞の形態学的特徴においてタイプ分けすることによって、あるいは対話形式ト
レーニング用途を用いることによって、使用者は形態学的選択基準をあらかじめ
設定する。注目する物体が視野で見出されれば、すべての他の活性はチャネル1
08についてイメージを取得し、そうでなければ、段階を現在のウェル中の次の
視野109に進める。注目する各物体をさらなる分析110のためにイメージ中
に位置させる。その形態学的特徴(サイズおよび形状)を測定することによって
、このソウトウェアは、物体が有効な細胞核111についての基準を満たすかを
決定する。各有効な細胞については、XYZ段階の位置を記録し、細胞の小さな
イメージを保存し、特徴を測定する112。
【0069】 多数の分析方法を同時に適用して複数の波長において特徴を測定することによ
って、本発明の細胞スクリーニング方法を用いて、細胞試料について多くの異な
るアッセイを行うことができる。1つのそのようなアッセイの例は以下の測定を
提供する: 1.色1−4についての細胞核内の全蛍光強度 2.色1についての細胞核の面積(一次マーカ) 3.色1についての細胞核の形状は: a)周辺の四角の面積 b)ボックスの面積比 c)高さ幅比 によって記載 4.色1−4についての細胞核内の平均蛍光強度(すなわち、番号1を番号2
で割る) 5.色2−4について細胞の細胞質の蛍光を表す(細胞質マスク)核の外側の
リングの全蛍光強度(図10参照) 6.細胞質マスクの面積 7.色2−4についての細胞質マスクの平均蛍光強度(すなわち、番号6割る
番号6) 8.色2−4についての細胞核内の平均蛍光強度に対する細胞質マスクの平均
蛍光強度の比率(すなわち、番号7割る番号4) 9.色2−4についての細胞質マスクの平均蛍光強度および細胞核内の平均蛍
光強度の差(すなわち、番号7から番号4を引く) 10.色2−4について、細胞核内の蛍光ドメイン(スポット、ドットまたは
粒とも呼ばれる)の数。
【0070】 特徴1から4は、本発明の異なる細胞スクリーニングアッセイの一般的特徴で
ある。これらの工程は種々のイメージ解析適用で通常用いられ、当該分野でよく
知られている(ルス(Russ)(1992)Image Processing
Handbook,CRC Press Inc.、ゴンザレス(Gonzales)ら(
1987),Digital Image Processing.Addis
on−Wesley Publishing Co.391−448)。特徴5
−9は、細胞の局所細胞質領域内の細胞の蛍光分子および細胞質から核への蛍光
分子の移行(すなわち、移動)の測定を供するために特異的に開発された。これ
らの特徴(工程5−9)は、各移動の阻害用のマイクロプレートにおいて細胞を
分析するために使用される。例えば、転写因子の核移動の阻害は、無傷細胞をス
クリーニングするための新規なアプローチを提供する(他のタイプのスクリーニ
ングの詳細な例は後に提供する)。具体的な方法は、各細胞の核領域における(
特徴4)対局所細胞質領域における(特徴7)プローブの量を測定する。これら
の2つの細胞下区画間の差異の定量は、多数の細胞質−核移動(特徴9)を提供
する。
【0071】 特徴10は、色2−4における核領域内のDNAまたはRNAプローブのカウ
ントで用いられるスクリーニングを説明する。例えば、プローブは、染色体−特
異的DNA配列を同定するために商業的に入手可能である(ライフ・テクノロジ
ー社(Life Technologies),Gaithersburg,MD、ジェノシス社(Gen
osys),Woodlands,TX、バイオテクノロジー社(Biotechnologies,
Inc.),Richmond,CA、バイオ 101社(Bio 101, Inc.),Vi
sta,CA)。細胞は性質が三次元的であり、顕微鏡下で高倍率で調べると、
1つのプローブは焦点内に有り得るが、別のプローブは完全に焦点外となり得る
。本発明の細胞スクリーニング方法は、複数の焦点面からイメージを取得するこ
とによって、核中の三次元プローブの検出を提供する。このソウトウェアは小工
程にてZ−軸モータ駆動5(図1)を移動させ、ここに、広い範囲の異なる核の
直径を説明するには、工程距離は使用者が選択する。焦点工程の各々において、
イメージが取得される。各イメージ中の各画素からの最大灰色レベル強度が見出
され、得られた最大投影イメージに保存される。次いで、最大投影イメージを用
いて、プローブをカウントする。この方法は、別のものの上方または下方に直接
積まれないプローブをカウントするのによく働く。Z−方向に相互の頂部に積ま
れたプローブにつきカウントするには、使用者は、取得した焦点面の各々におい
てプローブを分析するというオプションを選択することができる。このモードに
おいて、走査システムは、上述した最大面投影方法を行い、このイメージ中の注
目するプローブ領域を検出し、次いで、さらに、すべての焦点面イメージにおい
てこれらの領域を分析する。
【0072】 細胞の特徴112を測定した後(図9)、システムは、現在の視野113にい
ずれかの未処理物体があるかをチェックする。いずれかの未処理物体があれば、
それは次の物体110を位置付け、それが有効な細胞核111についての基準を
満たすか否かを決定しその特徴を測定する。一旦現在の視野中の全ての物体が処
理されれば、システムは、現在のプレートの分析が完了したか否かを決定する1
14、完了してなければ、それは現在のウェル115中により多くの細胞を見出
す必要性を判断する。その必要性が存在すれば、システムは現在のウェル109
内の次の視野にXYA段階を進め、あるいは段階をプレートの次のウェル116
に進める。
【0073】 プレートの走査が完了すれば、イメージおよびデータは、システムのイメージ
レビュー、データレビュー、および要約レビュー設備でレビューすることができ
る。走査からの全てのイメージ、データおよび設定は、後のレビューのために、
またはネットワーク情報管理システムとインターフェ-スするためにシステムの
データベースで検索される。また、データを他の第3者の統計的パッケージに輸
出して、結果を表にし、他の報告を作成することもできる。使用者は、対話形式
イメージレビュー手法117を備えたシステムによって分析された各細胞のイメ
ージ単独をレビューすることができる。使用者は、対話形式グラフ、測定された
特徴のデータスプレッドシート、および対話形式細胞間データレビュー手法11
8での注目する細胞の全ての蛍光チャネルのイメージの組合せを用い、細胞間ベ
ースでデータをレビューすることができる。ヒストグラムおよびばらつきプロッ
ト等の対話形式グラフを介してデータを解析することができるグラフプロッティ
ング能力が提供される。使用者は、対話形式ウェル間データレビュー手法119
でプレートの各ウェル内の全ての細胞について蓄積され、要約される要約データ
をレビューすることができる。グラフおよびイメージのハードコピーは、広い範
囲の標準的なプリンタで印刷することができる。
【0074】 完全な走査の最終相として、測定された特徴の1以上の統計についてレポート
が作成できる。対話形式レポート作成手法120を用い、プレートの走査された
領域につきウェル間ベースで要約されたデータのグラフレポートを作成すること
ができる。このレポートは、試料についての表およびグラフ様式および同定情報
においてウェルによる統計の要約を含む。レポートウインドゥは、オペレータが
、後の検索のために走査についてコメントを入力することを可能とする。複数の
レポートが多くの統計について作成でき、1つのボタンに触れて印刷することが
できる。印字する前に、配置およびデータにつきレポートをあらかじめレビュー
することができる。
【0075】 この方法の上述した実施形態は、高含有量スクリーニング(HCS)モードと
いう単一の高分解能モードで走査される。このHCSモードは、ウェル内、ウェ
ル中の個々の細胞内の物質の分布を規定するための(1μmのオーダーの)ウェ
ル内の十分な空間的分解を提供する。そのモードで接近可能な高度な情報含有量
は、必要なシグナル処理のスピードおよび複雑性を犠牲にして出現する。
【0076】 代替実施形態において、高スループットシステム(HTS)を同一プラットフ
ォーム、または(例えば、ローカルエリアネットワークを介して)電子的に結合
された2つの別々のプラットフォームいずれかでHCSに直接連結される。デュ
アルモード光学システムと言われる本発明のこの実施形態は、それをHCSと連
結されることによって、HCSのスループットを増加させる利点を有し、それに
より、連結されたHTSにおける応答を示すウェルの小さなサブセットについて
のみより遅い高分解能データ取得および分析を必要とする。
【0077】 高スループット「全プレート」リーダーシステムは当該分野でよく知られてお
り、多数の化合物をスクリーニングするのに用いられるHTSシステムの成分と
して通常は使用される(ベグスら(1997),上記、マーカフレー(McCaffrey
)ら(1996),上記)。本発明のHTSは、十分な分解能にてプレート中の
多くのまたは全てのウェルを同時に読んで、ウェル間ベースで測定を行うことに
よって、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイで行われる。す
なわち、各ウェル中の多くのまたは全ての細胞または多量の物質の全シグナル出
力を平均することによって計算がなされる。HTSにおいていくつかの規定され
た応答を呈するウェル(「ヒット」)が、このシステムによって伝えられる。次
いで、同一のマイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイについて、
ヒットとして同定された各ウェルは上述したようにHCSを介して測定される。
このように、デュアルモードプロセスは以下のものを含む: 1.マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルアレイの多数のウェルの
迅速な測定、 2.ウェル間ベースで蛍光標識レポータ分子の全活性を測定して「ヒット」(
規定された応答を呈するウェル)を同定するためのデータの解釈、 3.各「ヒット」ウェルにおける多数の細胞のイメージング、および 4.個々の細胞中の蛍光標識レポータ分子の分布、環境または活性(すなわち
、細胞内測定)および細胞の分布を測定して、特異的生物学的機能につきテスト
するためのデジタルイメージデータの解釈。
【0078】 デュアルモード処理の好ましい実施形態において(図11)、ラン301の開
始において、オペレータは、プレートおよびその内容を説明する情報302を入
力し、フィルタ設定および蛍光チャネルを特定して、使用される生物学的標識を
適合させ、求められる情報およびカメラ設定を測定して、試料の明るさを適合さ
せる。これらのパラメータは、各自動ランについての容易な検索のためにシステ
ムのデータベースに保存される。マイクロタイタープレートまたはマイクロウェ
ルアレイは、ロボットーローディングデバイスを制御することによって、手動ま
たは自動にて細胞スクリーニングシステム303にロードされる。任意の環境チ
ャンバー304はこのシステムによって制御されて、マイクロタイタープレート
またはマイクロウェルアレイ中の生細胞を囲う空気中の温度、湿度およびCO レベルを維持する。任意の流体送達デバイス305(図8参照)は、走査の間に
流体をウェルに分注するためのシステムによって制御される。
【0079】 高スループット処理306は、プレート中のウェルの各々からのシグナルを取
得し分析することによって、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルア
レイでまず行われる。高スループットモード307で行われる処理は図12に示
され、以下に述べる。この高スループットモードにおいていくつかの選択された
強度応答を呈するウェル(「ヒット」)はこのシステムによって同定される。こ
のシステムは、ヒットについてテストする条件付操作308を行う。ヒットが見
出されれば、それらの特異的ヒットウェルは、さらに、高含有量(ミクロレベル
)モード309で分析される。高含有量モード312で行われる処理は図13に
示される。次いで、システムは、プレート上の測定の結果と共に情報化学データ
ベース311を更新する310。分析すべきより多くのプレートがあれば313
、システムは次のプレート303をロードし、そうでなければ、プレートの分析
は終了する314。
【0080】 以下の議論は、図12に示された高スループットモードを説明する。システム
の好ましい実施形態、単一プラットフォームデュアルモードのスクリーニングシ
ステムを説明する。当業者であれば、操作的にはデュアルプラットフォームシス
テムは、光学を移動させるよりはむしろ2つの光学系の間でプレートを移動させ
ることを単に含む。一旦システムが設定され、プレートがロードされれば、シス
テムはHTS取得および分析401を開始する。HTS光学モジュールは、デュ
アルモードシステムで電動任意位置決定デバイス402を制御することによって
選択される。1つの蛍光チャネルにおいて、プレート上の一次マーカからのデー
タが取得され403、マスキング手法404を用いてウェルをプレートのバック
グラウンドから単離する。また、使用されるべき他の蛍光チャネルでイメージが
取得される405。各ウェル406に対応する各イメージ中の領域が測定される
407。特定のウェルについての測定から計算された特徴をあらかじめ規定され
た閾値または強度応答408と比較し、結果に基づいて、ウェルを「ヒット」4
09として伝え、または伝えない。ヒットとして伝えられたウェルの位置は、引
き続いての高含有量モード処理のために記録される。処理すべきウェルが残って
いれば410、全てウェルが処理され411、且つシステムが高スループットモ
ードから出るまでプログラムはループバックする406。
【0081】 HTS分析に続き、システムは図13で規定された高含有量モード処理501
を開始させる。このシステムは、電動位置決定システムを制御することによって
HCS光学モジュール502を選択する。高スループットモードでよく同定され
た各「ヒット」では、ウェルのXY段階位置をメモリーまたはディスクから検索
し、次いで、段階を選択された段階位置503まで移動させる。各ヒットウェル
における最初の視野、次いで、各ウェル内の5から8視野ごとに1回、オートフ
ォーカス手法504が求められる。1つのチャネルにおいて、一次マーカ505
(典型的には、DAPI、ヘキスト(Hoechst)またはPI蛍光色素で逆
染色した細胞核)でイメージが取得される。次いで、適合閾値決定手法506を
用いてイメージが分割される(核および非核の領域に分離される)。細分化手法
の出力はバイナリーマスクであり、ここに、物体は白色であって、バックグラウ
ンドは黒色である。当該分野でマスクとも呼ばれるこのバイナリーイメージを用
いて、視野が物体507を含有するかを決定する。マスクを小斑点標識方法で標
識し、それにより、各物体(または小斑点)はそれに帰属されるただ1つの数を
有する。物体が視野で見出されれば、全ての他の活性チャネル508でイメージ
が取得され、そうでなければ、段階は現在のウェル中の次の視野514に進めら
れる。さらなる分析509のために、各物体はイメージ中に位置させる。物体の
面積および形状等の形態学的特徴を用いて、細胞核510であるように見える物
体を選択し、人工物であると考えられるものを捨てる(それをさらに処理しない
)各有効細胞核では、XYZ段階の位置を記録し、細胞の小さなイメージを保存
し、アッセイ特異的特徴を測定する511。次いで、いくつかの分析方法を適用
していくつかの波長の各々で特徴を測定することによって、システムは細胞につ
いて多数のテストを行う。細胞の等張を測定した後、システムは、現在の視野5
12中にいずれかの未処理物体があるかをチェックする。いずれかの未処理物体
があれば、それは次の物体509を位置決定し、それが有効細胞核510につい
ての基準を満たしているか否かを決定し、その特徴を測定する。現在の視野中で
全ての物体を処理した後、システムは、それが現在のウェル513中により多く
の細胞または視野を見出す必要があるか否かを決定する。現在の視野中でより多
くの細胞または視野を見出す必要があれば、それはXYZ段階を現在のウェル5
15内の次の視野に進める。そうでなければ、システムは、それが測定すべきい
ずれかの残りのヒットウェルを有するか否かをチェックする515。そうであれ
ば、それは次のヒットウェル503に進み、取得および分析の別のサイクルを通
じて進め、そうでなければ、HCSモードは終了する516。
【0082】 本発明の代替実施形態において、動的生細胞スクリーニングの方法が提供され
る。本発明のすでに記載した実施形態を用いて、時間において特定した時点で細
胞成分の空間的分布を特徴づける(化学的固定の時間)。それ自体、イメージ取
得の順次の性質およびプレート上の全てのウェルを読むのに必要な量のため、こ
れらの実施形態は動的ベースのスクリーニングを実行するための限定された利用
性を有する。例えば、プレートは全てのウェルを読み終えるのに30から60分
要するので、生細胞のプレートを単に調製し、次いで、1回以上全てのウェルを
読み終えることによって、非常にゆっくりとした動的プロセスが測定できるのに
すぎない。より速い動的プロセスは、次のウェルに進む前に各ウェルの複数の読
みを行うことによって測定できるが、最初および最後のウェルの間に経過する時
間はあまりにも長く、速い動的プロセスは最後のウェルに到達する前に完了する
ようである。
【0083】 本発明の動的生細胞の延長は、その空間的特徴の代わりに、またはそれに加え
てその速度論によって生物学的プロセスを特徴づけるデザインおよびスクリーニ
ングの使用を可能とする。多くの場合、生細胞における応答は、試薬を特異的ウ
ェルに添加し、適当なタイミングでそのウェルについて複数の測定をなすことに
よって測定することができる。従って、本発明のこの動的生細胞実施形態は、ウ
ェルを読む進行において特定の時点に試薬を各ウェルに送達するためのシステム
の個々のウェルへの流体送達用の装置を含む。この実施形態は、それにより、動
的測定が、プレートの各ウェルについて数秒から数分の時間的分解でなすことを
可能とする。動的生細胞システムの全効率を改良するために、取得制御プログラ
ムを修飾して、プレートのサブ領域からの反復的データ収集を可能とし、システ
ムが個々のウェルに必要な時点の間に他のウェルを読むことを可能とする。
【0084】 図8は、本発明の生細胞実施形態で用いる流体送達デバイスの一例を記載し、
それは上述した。この設定は、ピペット先端705の1つの組、または単一のピ
ペット先端でさえ、プレート上の全てのウェルに試薬を送達するのを可能とする
。シリンジポンプ701のバンクを用いて、流体を12のウェルに同時に、また
は先端705のいくつかを取り除くことによってより少数のウェルに流体を送達
することができる。従って、システムの時間的分解は、以下のように、先端およ
び走査パターンの数を変更することによって、データ収集効率を犠牲にすること
なく調整することができる。典型的には、単一ウェルからのデータ収集および分
析は約5秒を要する。ウェル間の移動およびウェル中の焦点合わせは約5秒要し
、従って、ウェルについての全サイクル時間は約10秒である。従って、単一の
ピペット先端を用いて流体を単一のウェルに送達し、データをそのウェルから反
復して収集するならば、測定は約5秒の時間的分解にて行うことができる。6つ
のピペット先端を用いて流体を6つのウェルに同時に送達し、システムが全ての
6つのウェルを反復して走査するならば、各走査は60秒を要し、それにより、
時間的分解を確立する。8分ごとにデータ収集を要するにすぎないより遅いプロ
セスでは、流体送達相の間にプレートを移動させ、次いで、プレートのその半分
を反復して走査することによって、流体をプレートの半分まで送達することがで
きる。従って、プレート上で走査すべきサブ領域のサイズを調整することによっ
て、取得の間に待ち時間を挿入する必要なくして時間的分解を調整することがで
きる。システムは継続してデータを走査し取得することができるので、従って、
プレートからの動的データ組を収集するための全時間は、単に、プレートの単一
走査を行うための時間に必要な時点の数を乗じたものである。典型的には、化合
物の添加前の1時点および添加に続いての2または3時点はスクリーニング目的
で十分なはずである。
【0085】 図14は、動的分析で用いられる取得系列を示す。処理801の開始はシステ
ムの配置であり、その多くは標準的なHCS配置と同一である。加えて、オペレ
ータは、サブ領域のサイズ、必要な時点の数、および必要な時間の増分等の、実
行すべき動的分析に特異的な情報802を入力しなければならない。サブ領域は
、動的データを蓄積するために反復して走査それるウェルの群である。サブ領域
のサイズは、単一時間増分の間に全サブ領域を1回走査し、このように、待ち時
間を最小化するように調整される。最適サブ領域サイズは設定パラメータから計
算され、必要であればオペレータが調整する。次いで、システムはプレートを第
1のサブ領域803に、およびそのサブ領域804中の最初のウェルに移動させ
て、予備刺激(時間=0)時点を取得する。各ウェルで行われる取得系列は、動
的モードで実行される特異的HCSで必要はものと正確に同一である。図15は
その処理についてのフローチャートを詳細に示す。開始901および復帰902
の間の工程の全ては、図13中の工程504−514として記載されたものと同
一である。
【0086】 サブ領域中の各ウェルを処理した後、システムは、サブ領域中の全てのウェル
が処理されたか否か806(図14)をチェックし、全領域が処理されるまで全
てのウェルを通じてサイクルする。次いで、システムはプレートを流体添加のた
めの位置に移動させ、全サブ領域807への流体の流動システム送達を制御する
。これは、プレート上のいくつかの列にわたるサブ領域についての複数添加を必
要とし、システムはX,Y段階上のプレートを添加の間に移動させる。一旦流体
が添加されれば、システムは第1のウェルをサブ領域808まで移動させて、時
点の取得を開始する。データは各ウェル809から取得され、上述したように、
システムはサブ領域810中の全てのウェルを通じてサイクルする。各々がサブ
領域を通った後、システムは、全ての時点が収集されたか否かをチェックし81
1、そうでなければ、必要であれば812休み813、必要な時間増分と同調し
たままとする。そうでなければ、システムはプレート814上のさらなるサブ領
域をチェックし、次のサブ領域803まで移動するか、あるいは終了する815
。このように動的分析モードは、引き続いてのサブ領域中でのデータ取得に先立
ってのサブ領域内でのデータ取得と共に、調べるべき動的応答に基づいて、スク
リーニングすべきマイクロタイタープレートまたはマイクロウェルのサブ領域の
オペレータによる同定を含む。
【0087】 特異的スクリーニング 本発明の他の特徴は、細胞スクリーニング方法および特異的細胞構成要素およ
びプロセスの分布および活性を規定するための手法を細胞スクリーニングシステ
ムが実行させる指令の組を含有するプログラムを含む機械読み取り可能記録媒体
を提供することである。好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステ
ムは、細胞を保持するのに適した段階および段階を移動させるための手段、デジ
タルカメラ、デジタルカメラからのデジタルデータを受領し処理するための光源
、およびデジタルカメラからのデジタルデータを受領し処理するためのコンピュ
ータ手段を含む。本発明のこの態様は、細胞スクリーニングシステムが、ルミネ
センスプローブ、任意のイメージングシステム、および本発明のパターン認識ソ
フトウェアを用いて、特異的細胞構成要素およびプロセスの分布および活性を規
定するように指令するプログラムを含む。機械読み取り可能記録媒体の好ましい
実施形態は、細胞スクリーニングシステムに図9、11、12、13、14また
は15に記載された手法を実行させるための指令の組からなるプログラムを含む
。別の好ましい実施形態は、細胞スクリーニングシステムら、特異的細胞構成要
素およびプロセスの分布および活性を検出するための手法を実行させるための指
令の組からなるプログラムを含む。最も好ましい実施形態において、細胞プロセ
スは、限定されるものではないが、タンパク質の核移動、細胞形態、アポトーシ
ス、受容体内部化、およびタンパク質のプロアーゼ−誘導移動を含む。
【0088】 好ましい実施形態において、細胞スクリーニングシステムを用いて、種々の細
胞プロセスを修飾する化合物を同定する。細胞をテスト化合物と接触させ、特定
の細胞プロセスに対するテスト化合物の効果を分析することができる。別の方法
として、細胞をテスト化合物および特定の細胞プロセスを修飾する既知の剤と接
触させて、テスト化合物が既知の剤の効果を阻害または増強するかを測定するこ
とができる。このように、この特徴に係る方法を用いて、特定の細胞応答を増加
または減少させるテスト化合物を同定し、ならびに特定の細胞応答を増加または
減少させる他の剤の能力に影響するテスト化合物を同定することができる。
【0089】 別の実施例において、高スループットモードで低分解能でこの方法を用いて細
胞を含有する位置が分析させ、細胞を含有する位置のサブセットのみが高含有量
モードで分析させて、分析すべき細胞の細胞下区画においてルミネセンス標識受
容体分子からのルミネセンスシグナルが得られる。
【0090】 以下の実施の形態は説明目的のためだけを意図し、添付の特許請求の範囲で規
定される本発明の範囲を限定されるものと解釈されるべきではない。
【0091】 以下の実施の形態で言及される種々の化学化合物、試薬、色素、および抗体は
、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical)(St.Louis,MO)、モレキュ
ラー・プローブ社(Molecular Probes)(Eugene,OR)、アルドリック・
ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(Milwaukee,WI)、アクレ
ート・ケミカル社(Accurate Chemical Company)(Westbury,NY)、
ジャクソン・イムノラボ社(Jackson Immunolabs)およびクローンテック社(Clont
ech)(Palo Alto,CA)等の入手源から商業的に入手可能である。
【0092】 実施形態1 細胞質から核への移動スクリーニング a.転写因子 いくつかの遺伝子の転写の調節は、細胞質における転写因子の活性化を含み、
その結果、その因子は核に移動され、そこでそれは特定の遺伝子または複数遺伝
子の転写を開始することができる。転写因子分布のこの変化は、特定の遺伝子ま
たは遺伝子の群の転写を阻害または誘導する化合物を検出する細胞ベースのスク
リーニングシステムのためのスクリーニングの基礎である。スクリーニングの一
般的説明をし、続いて具体的な例を説明する。
【0093】 転写因子の分布は、核をヘキスト33423等のDNA特異的フルオロフォア
で、および転写因子を特異的蛍光抗体で標識することによって測定される。ヘキ
スト標識核に自動焦点合わせした後、細胞ベースのスクリーニングシステムで核
のイメージを取得し、それを用いて、上述したように、いくつかの任意閾値設定
方法のうちの1つによってマスクを作成する。このマスクによって規定される領
域の形態学的記述子を使用者規定のパラメータと比較し、有効核マスクを同定し
、転写因子分布を抽出するための以下の方法で用いる。各有効核マスクを腐食さ
せて、わずかにより小さな領域を規定する。次いで、元の核マスクを2つの方法
で膨張させて、核の周りのリング形状領域を規定し、これは、細胞質領域を表す
。これらの2つの領域の各々における平均抗体蛍光を測定し、これらの平均の間
の差異をNucCyt差異として規定する。核移動を測定するための2つの例を
以下で記載し、図10A−図10Jに示す。図10Aは、青色フルオロフォアで
標識したその核200および緑色フルオロフォアで標識した細胞質201におけ
る転写因子を備えた未刺激細胞を示す。図10Bは細胞ベースのスクリーニング
システムによって誘導された核マスク202を示す。図10Cは緑色波長でイメ
ージした未刺激細胞の細胞質203を示す。図10Dは、核マスク202を一旦
腐食させて(還元して)、最小細胞質分布を持つ核サンプリング領域204を規
定することを示す。核境界202を数回膨張(拡大)して、2−3画素の広さで
あるリングを形成し、これを用いて、同一細胞につき細胞質サンプリング領域2
05を規定する。図10Eは、さらに側面図を示し、これは、核サンプリング領
域204および細胞質サンプリング領域205を示す。これらの2つのサンプリ
ング領域を用い、細胞間ベースで細胞ベーススクリーニングシステムによって、
核移動についてのデータを自動的に分析することができる。図10F−Jは刺激
した細胞における核移動を測定するための戦略を示す。図10Fは、青色フルオ
ロフォアで標識した核206および緑色フルオロフォアで標識した細胞質207
における転写因子を備えた刺激細胞を示す。図10Gにおける核マスク208は
、細胞ベースのスクリーニングシステムによって駆動される。図11は、緑色波
長でイメージした刺激細胞の細胞質209を示す。図10Iは刺激細胞の核サン
プリング領域211および細胞質サンプリング領域212を示す。図10Iは、
さらに、側面図を示し、これは核サンプリング領域211および細胞質211を
示す。
【0094】 この方法の具体的適用を用いて、スクリーニングとしてこの方法を有効化した
。ヒト細胞系を96ウェルマイクロタイタープレートで平板培養した。ウェルの
いくつかの列をIL−1(MF−KB転写因子の既知の誘導因子)で力価測定し
た。次いで、細胞を固定し、転写因子に対するフルオレセイン標識抗体、および
ヘキスト33423での標準的な方法によって染色した。細胞ベースのスクリー
ニングシステムを用いて、このプレートからのイメージを取得し分析し、Nuc
Cyt差異は、図16に示すように、ウェルに添加されたアゴニストの量と強く
相関することが見出された。第2の実験において、IL−1、IL−1RAに対
する受容体に対するアンタゴニストをIL−1αの存在下で力価測定し、IL−
1αによって誘導された移動を徐々に阻害した。NucCyt差異は、図17に
示すように、移動のこの阻害を強く相関することが見出された。
【0095】 さらなる実験は、NucCyt差異、ならびにNucCyt比率が、広い範囲
の細胞密度および試薬濃度にわたって合致する結果を与え、従って、これを日常
的に用いて特異的核移動活性のための化合物ライブラリをスクリーニングするこ
とができるのを示した。さらに、同一方法は、他の転写因子、またはGFP−転
写因子キメラ、あるいは生細胞または固定細胞に導入された蛍光標識転写因子に
対する抗体で用いて、転写因子活性の調節に対する効果につきスクリーニングす
ることができる。
【0096】 図18は、実施の形態1に従って得られたデータのPC画面上での代表的なデ
ィスプレイである。グラフ1 180は、核サンプリング領域および細胞質サン
プリング領域における平均抗体蛍光の間の差異、NucCyt差異対ウェル番号
をプロットする。グラフ2 181は、核サンプリング領域における抗体の平均
蛍光、NP1平均、対ウェル番号をプロットする。グラフ3 182は、細胞質
サンプリング領域における平均抗体蛍光、LIP1平均、対ウェル番号をプロッ
トする。ソフトウェアは各細胞からのデータの表示を行わせる。例えば、図18
はスクリーンディスプレイ183、核イメージ184、および細胞番号26につ
いての蛍光抗体イメージ185を示す。
【0097】 図18のグラフ1 180において言及したNucCyt差異は、平均細胞質
プローブ(蛍光レポータ分子)強度および平均核プローブ(蛍光レポータ分子)
強度の間の差異である。図18のグラフ2 181で言及したNP1平均は、核
サンプリング領域内の細胞質プローブ(蛍光レポータ分子)平均である。図18
のグラフ3 182で言及したL1P1平均は、細胞質サンプリング領域内の平
均プローブ(蛍光レポータ分子)強度である。
【0098】 当業者であれば、本発明のこの特徴は、活性化に際して細胞質から核に移動す
る他の転写因子を用いて実施できることを理解するであろう。別の特別の例にお
いて、細胞内のその空間的位置を規定することによって、c−fos転写因子の
活性化を評価した。活性化されたc−fosは核内のみに見出され、他方、不活
化c−fosは細胞質内に存在する。
【0099】 3T3細胞を、Polyfiltronics96−ウェルプレート中、ウェ
ル当たり5000−10000細胞で平板培養した。細胞を付着させ、一晩増殖
した。細胞を100μlの無血清培地で2回濯ぎ、無血清MEM培養基中で24
−30時間インキュベートし、次いで、1−50ng/mlの範囲の濃度にて無
血清培地に直接希釈した血小板由来成長因子(PDGF−BB)(シグマ・ケミ
カル社 St.Louis,MO)で平均20分間刺激した。
【0100】 刺激に続き、1Xハンクスの緩衝化生理食塩水(HBSS)中の3.7%ホル
ムアルデヒドで20分間細胞を固定した。固定の後、細胞をHBSSで洗浄して
、残存する固定剤を除去し、HBSS中の0.5%トリトンX−100溶液で9
0秒間浸透させ、HBSSで2回洗浄して残存する洗剤を除去した。次いで、H
BSS中のBSAの0.5%溶液で細胞を15分間ブロックし、さらに、希釈さ
れた一次抗体溶液の希釈に先立ってHBSSで洗浄した。
【0101】 c−fosウサギポリクローナル抗体(カルバイオケム,PC05)をHBS
S中に1:50希釈し、50μlの希釈を各ウェルに適用した。室温にて、一次
抗体の存在下で細胞を1時間インキュベートし、次いで、ALEXATM488
(モレキュラー・プローブ社)にコンジュゲートしたヤギ抗−ウサギ二次抗体を
含む光密容器中、室温にて1時間インキュベートし、HBSS中の100μg/
mlストックから1:500希釈した。次いで、ヘキストDNA色素(モレキュ
ラー・プローブ社)を製造業者のストック溶液の1:100希釈にて添加した(
10mg/ml)。次いで、細胞をHBSSで洗浄し、本発明の細胞スクリーニ
ングシステムでの分析に先立ってプレートを密封した。これらの実験からのデー
タは本発明の方法を用いて、細胞内のその空間的位置を規定することによってc
−fosの転写活性化を測定することができるのを示した。
【0102】 以下の方法をc−fos活性化の検出に適用するが、それを、活性化に際して
細胞質から核に移動するいずれの転写因子の分析にも適用できることを当業者は
認識するであろう。そのような転写因子の例は、限定されるものではないが、f
osおよびjunホモログ、NF−KB(B細胞からの核因子κ)、NFAT(
活性化されたT−リンパ球の核因子)、およびSTAT(転写のシグナルトラン
スデューサおよびアクチベータ)因子を含む(例えば、ストレロー(Strehlow, I
.)およびシンドラー(Schindler, C.) ,1998.J.Biol.Chem.2
73:28049−28056、コー(Chow)ら,1997 Science.2
78:1638−1641、ディング(Ding)ら,1998 J.Biol.Ch
em.273:28897−28905、ボルドウィン(Baldwin),1996.
Annu Rev Immunol.14:649−83、クオ(Kuo, C. T.)
,およびライデン(J. M. Leiden) ,1999.Annu Rev Immun
ol.17:149−87、ラオ(Rao)ら,1997.Annu Rev Im
munol.15:707−47、マスダ(Masuda)ら,1998.Cell S
ignal.10:599−611、ホーイ(Hoey, T.),およびユー.シンドラ
ー(U. Schindler) ,1998.Curr Opin Genet Dev.8
:582−7、リュー(Liu)ら,1998.Curr Opin Immuno
l.10:271−8参照)。
【0103】 このように、本発明のこの態様において、インジケータ細胞をテスト化合物で
処理し、ルミネセンス標識転写因子の分布を、前述した開示のもののような細胞
スクリーニングシステムを用いて空間および時間にて測定する。ルミネセンス標
識転写因子は、テスト化合物と細胞とを接触させる前に、それと共に、またはそ
の後に細胞によって発現され得るか、または細胞に添加することができる。
【0104】 例えば、転写因子は、トランスフェクトされたインジケータ細胞によってルミ
ネセンス標識タンパク質キメラとして発現することができる。別の方法として、
ルミネセンス標識転写因子を、上述したように発現させ、単離し、インジケータ
細胞にバルク−ロードすることができるか、あるいは転写因子を単離後にルミネ
センス標識することができる。さらなる代替として、転写因子は、インジケータ
細胞によって発現され、これを引き続いて転写因子を検出する抗体等の蛍光標識
と接触させる。
【0105】 さらなる態様において、注目する転写因子を特異的に認識する抗体、上述した
方法を実施するために抗体を用いる指令を含む、転写因子活性化を分析するため
のキットを提供することである。好ましい実施形態において、転写因子−特異的
抗体、転写因子抗体を検出する二次抗体をルミネセンス標識する。さらなる好ま
しい実施形態において、このキットは、注目する転写因子を発現する細胞を含有
し、および/またはこのキットは、限定されるものではないが、共にfos活性
化を修飾する血小板由来成長因子(PDGF)および血清、および共にNF−K
B活性化を修飾するインターロイキン1(IL−1)および腫瘍壊死因子(TN
F)を含めた注目する転写因子の活性化を修飾することが知られている化合物を
含有する。
【0106】 別の実施形態において、このキットは、活性化に際して細胞質から核に移動す
る注目する転写因子をコードする核酸を含む組換え発現ベクターおよび注目する
細胞において転写因子活性化を修飾する化合物を同定するのに発現ベクターを用
いる指令を含む。別の方法として、このキットは精製されたルミネセンス標識転
写因子を含有する。好ましい実施形態において、転写因子は、限定されるもので
はないが、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、またはその突然変異体もしく
は断片を含めた、蛍光タンパク質との融合タンパク質として発現される。種々の
好ましい実施形態において、このキットは、さらに、発現ベクターでトランスフ
ェクトされた細胞、注目する転写因子に特異的に結合する抗体または断片、およ
び/または(上述した)注目する転写因子の活性化を修飾することが知られてい
る化合物を含む。
【0107】 b.プロテインキナーゼ また、細胞質から核へのスクリーニング方法を用いて、細胞質に不活性状態で
存在し、活性化に際して核に輸送されるか、あるいはリン酸化に際して細胞質か
ら核に移動する基質をリン酸化するいずれのプロテインキナーゼの活性化も分析
することができる。適当なプロテインキナーゼの例は、限定されるものではない
が、細胞外シグナル−調節プロテインキナーゼ(ERK)、c−Junアミノ末
端キナーゼ(JNK)、Fos調節プロテインキナーゼ(FRK)、p38マイ
トジェン活性化プロテインキナーゼ(p38MAPK)、プロテインキナーゼA
(PKA)、およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MAPK
K)を含む。(例えば、ハル(Hall)ら,1999.J Biol Chem.2
74:376−83、ハン(Han)ら,1995.Biochim.Biophy
s.Acta.1265:224−227、Jaaroら,1997.Proc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:3742−3747、テー
ラーら,1994.J.Biol.Chem.269:308−318、ザオ(Z
hao, Q.),およびリー(F. S. Lee),1999.J.Biol Chem.27
4:8355−8、パオリロエト(Paolilloet)ら,1999.J Biol C
hem.274:6546−52、コソ(Coso)ら,1995.Cell 81:
1137−1146、ティブルス(Tibblies, L. A.)およびウッドゲット(J. R.
Woodgett),1999.Cell Mol Life Sci.55:1230
−54、シャエファ(Schaeffer, H. J.)およびウエーバー(M. J. Weber) ,19
99.Mol Cell Biol.19:2435−44参照)。
【0108】 別の方法として、プロテインキナーゼ活性は、注目するプロテインキナーゼに
よってリン酸化された後、細胞質から核へのルミネセンス標識プロテインキナー
ゼ基質の移動をモニターすることによってアッセイされる。この実施形態におい
て、この基質は非リン酸化されており、リン酸化に先立っては細胞質のものであ
り、プロテインキナーゼによるリン酸化に際して核へ移動する。この実施形態で
は、プロテインキナーゼそれ自体が細胞質から核へ移動するという用件はない。
そのような基質(および対応するプロテインキナーゼ)の例は、限定されるもの
ではないが、c−jun(JNK基質)、fos(FRK基質)、およびp38
(p38MAPK基質)を含む。
【0109】 このように、これらの実施形態においては、インジケータ細胞をテスト化合物
で処理し、ルミネセンス標識プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質
の分布は、前述で開示したもののような細胞スクリーニングシステムを用いて空
間および時間において測定される。ルミネセンス標識プロテインキナーゼまたは
プロテインキナーゼ基質は、細胞とテスト化合物とを接触させる前、それと共に
またはその後に細胞によって発現され得るか、または細胞に添加することができ
る。例えば、プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質は、トランスフ
ェクトされたインジケータ細胞によってルミネセンス標識タンパク質キメラとし
て発現され得る。別の方法として、ルミネセンス標識プロテインキナーゼまたは
プロテインキナーゼ基質は、上述したように、発現され、単離され、インジケー
タ細胞にバルク−ロードできるか、あるいはプロテインキナーゼまたはプロテイ
ンキナーゼ基質は単離後にルミネセンス標識することができる。さらなる代替と
して、プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質はインジケータ細胞に
よって発現され、これは引き続いてプロテインキナーゼまたはプロテインキナー
ゼ基質を検出する標識抗体等のルミネセンス標識と接触させる。
【0110】 さらなる実施形態において、プロテインキナーゼ活性は、プロテインキナーゼ
基質のリン酸化状態(すなわち:リン酸化されているまたはリン酸化されていな
い)をモニターすることによってアッセイされる。この実施形態において、活性
化に際して、プロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質が細胞質から核
へ移動する要件はない。好ましい実施形態において、リン酸化状態は、注目する
プロテインキナーゼ基質のリン酸化形態にのみ結合する抗体と細胞とを接触させ
ることによってモニターされる(例えば、米国特許第5,599,681号に開
示)。
【0111】 別の好ましい実施形態において、リン酸化のバイオセンサーが用いられる。例
えば、ルミネセンス標識タンパク質またはその断片は、(a)注目するプロテイ
ンキナーゼによって認識されるリン酸化部位、および(b)リン酸化によってマ
スク解除される核局所化シグナルを含有するように作成されたタンパク質に融合
させることができる。このように、そのようなバイオセンサーはリン酸化に際し
て核に移動し、その移動はプロテインキナーゼ活性化の尺度として用いることが
できる。
【0112】 別の態様において、プロテインキナーゼ、プロテインキナーゼ基質、または注
目するプロテインキナーゼ基質のリン酸化形態に特異的に結合する一次抗体およ
び注目する細胞においてプロテインキナーゼ活性化を修飾する化合物を同定する
一次抗体を用いる指令を含むプロテインキナーゼ活性化を分析するためのキット
を提供することである。好ましい実施形態において、一次抗体、またはこの一次
抗体を検出する二次抗体はルミネセンス標識される。他の好ましい実施形態にお
いて、このキットは、さらに、注目するプロテインキナーゼを発現する細胞、お
よび/または限定されるものではないが、ジブチリルcAMP(修飾されたPK
A)、フォルスコリン(PKA)、およびアニソマイシン(p38MAPK)を
含めた、注目するプロテインキナーゼの活性化を修飾することが知られている化
合物を含む。
【0113】 別の方法として、このキットは、活性化に際して、細胞質から核に移動する注
目するプロテインキナーゼまたはプロテインキナーゼ基質をコードする発現ベク
ター、および注目する細胞においてプロテインキナーゼ活性化を修飾する化合物
を同定するために発現ベクターを用いる指令を含む。別の方法として、このキッ
トは、精製されたルミネセンス標識プロテインキナーゼまたはプロテインキナー
ゼ基質を含有する。好ましい実施形態において、注目するプロテインキナーゼま
たはプロテインキナーゼ基質は、蛍光タンパク質との融合タンパク質として発現
される。さらなる好ましい実施形態において、このキットは、さらに、発現ベク
ターでトランスフェクトされた細胞、注目するプロテインキナーゼまたはプロテ
インキナーゼ基質に特異的に結合する抗体またはその断片、および/または(上
述した)注目するプロテインキナーゼの活性化を修飾することが知られている化
合物を含む。
【0114】 別の態様において、本発明は、細胞スクリーニングシステムに転写因子または
プロテインキナーゼ活性化の分析につき開示した方法を実行させるための指令の
組を含有するプログラムを含む機械読み取り可能記録媒体を含み、ここに、細胞
スクリーニングシステムは、細胞を含有するプレートを保持するのに適した段階
を備えた光学系、デジタルカメラ、細胞から放出された蛍光またはルミネセンス
をデジタルカメラに向けるための手段、およびデジタルカメラからのデジタルデ
ータを受領し処理するためのコンピュータ手段を含む。
【0115】 実施形態2 細胞形態を修飾する化合物についての自動スクリーニング 細胞サイズの変化は、肥大、細胞付着および展延、分化、成長および分裂、壊
死およびプログラムされた細胞死滅、細胞移動度、形態形成、チューブ形成、お
よびコロニー形成等の多数の細胞条件に関連する。
【0116】 例えば、細胞肥大は遺伝子発現の改変のカスケードと関連づけられており、カ
バーグラス上で増殖する接着性細胞で明瞭に見ることができる細胞サイズの変化
によって細胞培養で特徴づけることができる。
【0117】 また、細胞サイズを測定して、接着性細胞の付着および展延を決定することも
できる。細胞展延は、基質リガンドへの細胞表面受容体の選択的結合およびシグ
ナリング経路の細胞骨格への引き続いての活性化の結果である。基質分子に対す
る細胞の付着および展延は、癌細胞の転移、炎症反応の間の白血球活性化、創傷
治癒の間のケラチノサイトの移動、および血管形成の間の内皮細胞の移動のため
の重要な工程である。これらの表面受容体、シグナリング経路、または細胞骨格
に影響する化合物は細胞展延に影響し、細胞サイズを測定することによってスク
リーニングすることができる。
【0118】 全細胞面積は、DNA標識と組み合わせて、細胞骨格マーカ、サイトゾル容量
マーカ、細胞表面マーカを用いて全細胞体または細胞質を標識することによって
モニターすることができる。そのような標識(多くはモレキュラー・プローブ社
(Eugene,OreGon)およびシグマ・ケミカル社(St.Louis
,Missouri)から入手可能)の例は以下のものを含む。
【0119】
【表1】 これらの種々の剤での細胞染色のためのプロトコルは当業者によく知られてい
る。細胞を生きたまま、または固定後に染色し、細胞面積を測定することができ
る。例えば、DiIC16で染色した生細胞は均一に標識された原形質膜を有し
、細胞の突出した断面積は色素の蛍光強度によってバックグラウンドから均一に
区別される。CMFDA等のサイトゾル染料で染色した生細胞は、細胞の厚みに
比例する蛍光強度を生じる。細胞標識は細胞の薄い領域では薄暗いが、全細胞面
積はバックグラウンドから区別することができる。固定細胞は、重合されたアク
チンを標識するALEXATM488ファロイジン等の細胞骨格マーカで染色す
ることができる。ファロイジンは細胞質を均一に染色しないが、依然として、全
細胞面積をバックグラウンドから区別する。
【0120】 細胞肥大 以下の戦略を用い、細胞肥大を分析するスクリーニングを実行する。初代ラッ
ト筋細胞を96ウェルプレート中で培養し、種々の化合物で処理し、次いで、固
定し、ヘキスト等のDNA標識と組み合わせて、細胞表面マーカまたはローダミ
ン−ファロイジン等の細胞骨格のための蛍光マーカに対する抗体等の、細胞膜ま
たは細胞質、または細胞骨格のための蛍光マーカで標識する。
【0121】 ヘキスト標識核に焦点を合わせた後、2つのイメージを取得し、1つはヘキス
ト標識核のイメージであり、1つの蛍光細胞質イメージである。この核は、閾値
設定してマスクを形成させ、次いで、マスクの形態学的記述子を使用者規定記述
子値の組と比較することによって同定される。次いで、各非核イメージ(または
「細胞質イメージ」)を別々に処理する。元の細胞質イメージは閾値設定でき、
細胞質マスクイメージを生じる。細胞を含有する局所領域が核のまわりに定義さ
れる。次いで、それらの領域における細胞の制限は、蛍光抗体イメージ中の同一
領域に対する局所的動的閾値操作によって規定することができる。腐食および膨
張の系列を用いて、わずかに触れる細胞を分離し、形態学的記述子の第2の組を
用いて単細胞を同定する。個々の細胞の面積を表にして、正常および肥大細胞か
らのサイズデータとの比較のために細胞サイズの分布を規定する。
【0122】 (平均細胞質面積/細胞として測定された)全96−ウェルプレートからの応
答は上述した方法によって分析され、結果は、このアッセイがウェル間、プレー
ト間、および日間ベースで同一のものを実行することを示した(最大シグナルに
つき15%cov)。このデータは毎日について非常に良好な相関を示し、プレ
ート中のウェル位置による変動はないことを示した。
【0123】 以下のものは全て視野につき計算できる。凝集体全核面積は核マスクにおける
非ゼロ画素の数である。平均全核面積は凝集体全核面積を核の全数で割ったもの
である。各細胞質イメージでは、いくつかの値を計算することができる。これら
は全細胞質面積であり、これは細胞質マスクにおける非ゼロ画素のカウントであ
る。凝集体細胞質強度は細胞質マスクにおける全ての画素の強度の合計である。
核当たりの細胞質面積は全細胞質面積を全核カウントで割ったものである。核当
たりの細胞質強度は、凝集体細胞質強度を全核カウントで割ったものである。平
均細胞質強度は、凝集体細胞質強度を細胞質面積で割ったものである。細胞質核
比率は、全細胞質面積を全核面積で割ったものである。
【0124】 加えて、主要な筋肉タンパク質等の他の細胞タンパク質に対する1以上の蛍光
抗体を含めることができる。これらのさらなる標識タンパク質のイメージを取得
し、後のレビューのために、このイメージに関して保存して、肥大細胞中のこれ
らのタンパク質の分布および形態の異常を同定することができる。マルチパラメ
ータスクリーニングのこの例は、細胞肥大およびアクチンもしくはミオシン分布
の変化の同時分析を可能とする。
【0125】 当業者であれば、この例は筋細胞を分析するが、この特徴に係る方法は全ての
細胞型における肥大または一般的な形態学的変化を分析するのに適用できること
を認識するであろう。
【0126】 前立腺癌についての細胞形態アッセイ 細胞展延は、基質付着リガンドに対する細胞表面受容体の応答の尺度である。
展延はリガンドの濃度に、または受容体−リガンド機能を低下させる化合物の濃
度に比例する。選択的な細胞−基質付着の1つの例は、細胞外マトリックスタン
パク質コラーゲンに対する前立腺癌細胞接着である。前立腺癌細胞はコラーゲン
に対する選択的接着を介して骨に転移する。
【0127】 前立腺癌細胞の転移に干渉する化合物を以下のようにスクリーニングした。P
C3ヒト前立腺癌細胞を適当な刺激体を含む培地中で培養し、それをコラーゲン
被覆96プレートに継代する。リガンドの濃度は変化させることができ、あるい
は細胞展延の阻害剤をウェルに添加することができる。展延に影響し得る化合物
の例は、インテグリン−またはプロテオグリカン−ブロッキング抗体、ホスファ
チジルイノシトール−3キナーゼ阻害剤を含めたシグナリング阻害剤、およびサ
イトカラシンD等の細胞骨格阻害剤等の受容体アンタゴニストである。2時間後
、細胞を固定し、細胞肥大についてのプロトコルのように、ALEXATM48
8ファロイジン(モレキュラー・プローブ社)およびヘキスト33342で染色
する。細胞質染色によって測定されたこれらの条件下での細胞のサイズは、バッ
クグラウンドレベルを超えて区別できる。視野当たりの細胞の数は、ヘキストD
NA色素で染色した核の数を測定することによって決定される。細胞当たりの面
積は、細胞質面積(ファロイジンイメージ)を細胞数(ヘキストイメージ)で割
ることによって見出される。細胞のサイズはリガンド−受容体の機能に比例する
。この面積はリガンド濃度によって、および細胞の得られた結果によって決定さ
れるので、薬物の効力ならびに薬物能力はこの細胞ベースのアッセイによって決
定することができる。他の測定は細胞肥大について上述したようになすことがで
きる。
【0128】 細胞形態を分析するための方法は、組み合わせた高スループット−高含有量ス
クリーニングで用いることができる。1つの例において、高スループットモード
は蛍光ファロイジン強度の増加につき全ウェルを操作する。閾値は、核(ヘキス
ト)および細胞(ファロイジン)が高含有量モードで測定されるものを超えるよ
うに設定される。別の例において、環境バイオセンサー(その例は、限定される
ものではないが、カルシウムおよびpH変化に感受性のバイオセンサーを含む)
を細胞に添加し、この細胞を化合物と接触させる。細胞を高スループットモード
で走査し、バイオセンサーのルミネセンスについての所定の閾値を超えるウェル
を高含有量モードで走査する。
【0129】 さらなる態様において、(上述したもののように)細胞の細胞質、膜または細
胞骨格を特異的に標識するのに用いることができるルミネセンス化合物、および
この方法に従って細胞形態の変化を誘導または阻害するテスト刺激物を同定する
ために蛍光化合物を用いる指令を含む細胞形態を分析するためのキットを提供す
ることである。好ましい実施形態において、このキットは、さらに、細胞核につ
いての蛍光マーカを含む。さらなる好ましい実施形態において、このキットは、
限定されるものではないが、インテグリン−もしくはプロテオグリカン−ブロッ
キング抗体、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ阻害剤を含めたシグナリ
ング阻害剤、およびサイトカラシンD等の細胞骨格阻害剤を含めた細胞形態を修
飾することが知られている少なくとも1つの化合物を含む。
【0130】 別の態様において、本発明は、細胞スクリーニングシステムに細胞形態を分析
するための開示方法を実行させるための指令の組を含有するプログラムを含む機
械読み取り可能記録媒体を含み、ここに、この細胞スクリーニングシステムは、
細胞を含有するプレートを保持するのに適合した段階を備えた光学系、デジタル
カメラ、細胞から放出された蛍光またはルミネセンスをデジタルカメラに向ける
ための手段、およびデジタルカメラからのデジタルデータを受領し処理するため
のコンピュータ手段を含む。
【0131】 実施形態3 デュアルモードの高スループットおよび高含有量スクリーニング 以下の実施例は、原形質膜から基部側核位置へのGPCRの移動によって検出
されるG−プロテイン結合受容体(GPCR)の活性化のためのスクリーニング
である。本実施例は、どのようにして、細胞ベースのスクリーニングのためのデ
ュアルモードシステムにおいて高スループットスクリーニングを高含有量スクリ
ーニングと結合させることができるかを示す。
【0132】 D−プロテイン結合受容体は7つの膜貫通ドメイン細胞表面受容体の大きなク
ラスである。これらの受容体についてのリガンドは細胞中で二次シグナルのカス
ケードを刺激し、これは、限定されるものではないが、Ca++トランジエント
、環状AMP生産、イノシトール三リン酸(IP3)およびリン酸化を含むこと
ができる。数秒から数分に起こる、これらのシグナルの各々は迅速であるが、一
般的でもある。例えば、多くの異なるGPCRは活性化されると二次Ca++
グナルを生じる。また、GPCRの刺激の結果、GPCRが、細胞表面膜から内
部の基部側核区画に輸送される。この内部化は、上述した二次シグナルよりも特
定の受容体の活性化のかなりより受容体−特異的なインジケータである。
【0133】 図19はGPCRの活性化についてのデュアルモードスクリーニングを示す。
GPCRと青色蛍光タンパク質(BFP)との安定なキメラを運ぶ細胞には、F
luo−3のアセトキシメチルエステル形態(エステルの加水分解によって生細
胞に取得される細胞浸透性カルシウムインジケータ(緑色蛍光))がロードされ
るであろう。次いで、それらをマイクロタイタープレート601のウェルに沈積
されるであろう。次いで、このウェルを流体送達システムを用いてテスト化合物
のアレイで処理し、全マイクロタイタープレートのFluo−3イメージの短い
系列が取得され、カルシウム応答を提示するウェルを分析する(すなわち、高ス
ループットモード)。このイメージは、図19においてマイクロタイタープレー
ト601の例のように見える。この例におけるウェルC4およびE9等の少数の
ウェルは、受容体の刺激に際して放出されるCa++のためより明るく蛍光を発
するであろう。次いで、応答602を誘導した化合物を含有するウェルの位置を
HCSプログラムに移し、核周辺領域へのGPCR移動の焦点となる青色蛍光の
詳細な細胞間分析のために光学をスイッチする。図19の底部は、高分解能細胞
データの分析の2つの可能な結果を示す。このカメラはウェル領域603のサブ
領域604をイメージし、蛍光細胞605のイメージを生じる。ウェルC4にお
いて、細胞中の蛍光の均一な分布は、受容体が内部化されていないことを示し、
これは観察されたCa++応答が細胞中のいくつかの他のシグナリングシステム
の刺激の結果であったことを意味する。他方、ウェルE9 606中の細胞は、
核周辺領域の受容体の濃度を明瞭に示し、これは受容体の十分な活性化を明瞭に
示す。少数のヒットウェルのみが高分解能で分析される必要があるため、デュア
ルモードシステムの全スループットはかなり高く、高スループットシステム単独
と匹敵する。
【0134】 実施形態4 動的高含有量スクリーニング 以下は受容体の内部化の動力学を測定するためのスクリーニングの例である。
上述したように、GPCRの刺激の結果、約15分の時間経過で受容体が内部化
される。内部化されたまたはそうでないとして終点を単に検出するのは、GPC
Rアゴニストまたはアンタゴニストとしての化合物の効力を否定するのに十分で
はないであろう。しかしながら、5分間隔での3時点は、測定の時間経過の間の
効力についての情報を提供するのみならず、このデータのより長時間への外挿を
可能とする。このアッセイを行うには、サブ領域を2つの列として規定し、サン
プリング間隔を5分とし、時点3の全数とする。次いで、2つの列を走査し、次
いで、剤を二列に添加し、時間=0参照を確立することによってシステムを開始
させる。試薬の添加の後に、システムは二列のサブ領域を再び走査し、最初の時
点のデータを取得する。このプロセスはサブ領域の開始までの戻り走査を含めて
約250秒必要とするので、このシステムは第2の時点の取得を開始するのに5
0秒待つであろう。2以上のサイクルが3地点を生じ、システムは第2の二列サ
ブ領域に移動するであろう。最後の2つの二列サブ領域を走査してプレート上の
全てのウェルを終了し、その結果、全プレートにわたって各ウェルについて4時
点が得られる。ウェルについての時点は時間=0に対してわずかに相殺されるが
、時点の間隔は必要な5分に非常に近く、現実の取得時間および結果は固定され
た細胞スクリーニングよりもかなり正確に記録される。
【0135】 実施形態5 ヒトグルココルチコイド受容体移動の高含有量スクリーニング HCSの1つのクラスは、細胞内構成要素の薬物−誘導動的再分布を含む。ヒ
トグルココルチコイド受容体(hGR(細胞の複雑な環境応答機構における単一
「センサー」)は、細胞に拡散したステロイド分子に結合する。リガンド−受容
体複合体は核に移動し、そこで転写活性化が起こる(フトン(Htun)ら,Proc
.Natl.Acad.Sci.93:4845,1996)。
【0136】 一般に、それらの活性は鍵となる細胞内シグナリング経路の先端にあるので、
ホルモン受容体は優れた薬物標的である。従って、hGR移動の高含有量スクリ
ーニングはインビトロリガンド−受容体結合アッセイよりも優れた区別された利
点を有する。本発明の細胞スクリーニングシステムにおける蛍光の2以上までの
チャネルの利用性は、スクリーニングが、他の受容体、他の区別される標的また
は他の細胞プロセス等の、2つのさらなるパラメータを平行して含有するのを可
能とする。
【0137】 プラスミド構築体。緑色蛍光タンパク質−ヒトグルココルチコイド受容体(G
FP−hGR)キメラについてのコーディング配列を含有する真核生物発現プラ
スミドは、GFP突然変異体を用いて調製した(パーム(Palm)ら,Nat.St
ruct.Biol.4:361(1997))。この構築体を用いてヒト頸癌
細胞系(HeLa)をトランスフェクトした。
【0138】 細胞の調製およびトランスフェクション。HeLa細胞(ATCC CCL−
2)はトリプシン処理し、トランスフェクションに12から24時間先立って、
5%木炭/デキストラン−処理胎児ウシ血清(FBS)(HyClone)およ
び1%ペニシリン−ストレプトマイシン(C−DMEM)を含有するDMEMを
用いて平板培養し、37℃および5%COでインキュベートした。トランスフ
ェクションは、リン酸カルシウム共沈殿によって(グラハム(Graham)およびバン
・デ・エブ(Van der Eb),Virology 52:456,1973、サンブ
ルーク(Sambrook)ら(1989).Molecular Cloning:A
Laboratory Manual,Second編,Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press,Cold Sprin
g Harbor,1989)によって、またはリポフェクタミン(ライフ・テ
クノロジー社,Gaithersburg,MD)で行った。リン酸カルシウム
トランスフェクションでは、トランスフェクションに先立って、5%木炭/デキ
ストラン−処理FBSを含有するDMEMで培地を置き換えた。細胞を37℃お
よび5%COにてリン酸カルシウム−DNA沈殿と共に4から5時間インキュ
ベートし、DMEMで3から4回洗浄して沈殿を除去し、続いて、C−DMEM
を添加した。
【0139】 製造業者の指示に従って、抗生物質を含まない無血清DMEM中でリポフェク
タミントランスフェクションを行った(ライフ・テクノロジー社,Gaithe
rsburg,MD)。DNA−リポソーム複合体での2から3時間のインキュ
ベーションに続き、培地を取り出し、C−DMEMで置き換えた。96−ウェル
マイクロタイタープレート中の全てのトランスフェクトされた細胞を、薬物処理
に先立って、33℃および5%COにて24時間から48時間インキュベート
した。実験は、HeLa細胞中にて一過的に発現された受容体で行った。
【0140】 GFP−hGR移動のデキサメタゾン誘導。受容体−リガンド移動動的データ
を得るために、トランスフェクトされた細胞の核を、まず、33℃および5%C
にて、C−DMEM中の5μg/mlのヘキスト33342(モレキュラー
・プローブ社)で20分間標識した。細胞をハンクスの平衡食塩水(HBSS)
中で1回洗浄し、1%木炭/デキストラン−処理FBSと共にHBSS中の10
0nMデキサメタゾンを添加した。固定時点デキサメタゾン滴定データを得るた
めに、トランスフェクトされたHeLa細胞をまずDMEMで洗浄し、次いで、
1%木炭/デキストラン−処理FBSを含有するDMEM中の0から1000n
Mデキサメタゾンの存在下で、33℃および5%COで1時間インキュベート
した。細胞を生きたまま分析するか、あるいはそれをHBSSで濯ぎ、HBSS
中の3.7%ホルムアルデヒドで15分間固定し、ヘキスト33342で染色し
、分析前に洗浄した。細胞内GFP−hGRルミネセンスシグナルはこの固定手
法によっては減少しなかった。
【0141】 イメージの取得および分析。動的データは、デキサメタゾンの添加後、1分間
間隔で30分間、生細胞の視野から蛍光イメージ対(GFP−hGRおよびヘキ
スト33342−標識核)を取得することによって収集した。同様に、イメージ
対は、デキサメタゾンの添加1時間後に、固定された時点のスクリーニングプレ
ートの各ウェルから得た。両方の場合において、各地点で得られたイメージ対を
用いて、各細胞中の核および細胞質領域を規定した。GFP−hGRの移動は、
核におけるGFP−hGRの積分した蛍光強度を細胞質中のキメラの積分した蛍
光強度で割ることによってあるいはGFP蛍光の核−細胞質差異として計算した
。固定時点スクリーニングにおいて、テストしたデキサメタゾンの核濃度におい
て少なくとも200細胞から得られたデータから計算した。従って、細胞質から
核へのGFP−hGRの薬物−誘導移動は移動比の増加と相関した。
【0142】 結果。図20は、ヒトグルココルチコイドの薬物に誘導された細胞質253か
ら核252への移動を概略的に表示する。この概略図の上方対は、デキサメタゾ
ンでの刺激の前250(A)およびこの刺激の後251(B)の細胞内のGFP
−hGRの局所化を示す。これらの実験条件下で、薬物は細胞質GFP−hGR
の大部分を誘導して、核に移動させる。この再分布は、処理された255および
未処理の254細胞における細胞質および核蛍光の積分強度比率を決定すること
によって定量される。蛍光ミクログラフの下方対は、処理の前254および後2
55における、単一細胞中のGFP−hGRの同定再分布を示す。数100から
数1000の細胞を含有するウェルでHCSを行い、移動は、GFP蛍光を呈す
る視野中で各細胞につき定量した。安定にトランスフェクトされた細胞系の使用
は最も首尾一貫して標識された細胞を生じるが、一過性トランスフェクションに
よって誘導された異なるレベルのGFP−hGR発現は、本発明の細胞スクリー
ニングシステムによる分析に干渉しなかった。
【0143】 スクリーニングを実行するためには、この細胞スクリーニングシステムはプレ
ートの各ウェルを走査し、各々において細胞の集団をイメージし、個々に細胞を
分析する。ここに、2つのチャネルの蛍光を用いて、各細胞内でGFP−hGR
の細胞質および核分布を規定する。図21には、GFP−hGRスクリーニング
の終わり近くにおける細胞スクリーニングシステムのグラフによるユーザインタ
ーフェ-スが描かれる。ユーザインターフェ-スは、システムの平行データ収集お
よび分析能力を示す。「核」261および「GFP−hGR」262と記された
ウインドウは、単一視野で得られ分析した蛍光イメージの対を示す。「色オーバ
ーレイ」260と記されたウインドウは、このイメージを偽着色し、それらを一
緒にすることによって形成され、従って、使用者は細胞変化を直ちに同定するこ
とができる。「保存された物体領域」ウインドウ265内では、各分析された細
胞およびその隣の細胞を検出するイメージが、それが検索されるにつれて提示さ
れる。さらに、HCSデータが収集されるにつれて、それは分析され、GFP−
hGR移動のこの場合には、直後の「ヒット」応答に翻訳される。スクリーン2
67の下方ウインドウに描かれた96ウェルプレートは、いずれのウェルが使用
者−規定のスクリーニング基準の組に合致するかを示す。例えば、白色ウェル2
69は、薬物−誘導移動が50%の所定の閾値を超えたことを示す。他方、黒色
ウェル270は、テストすべき薬物が10%未満の移動を誘導したことを示す。
灰色ウェル268は、移動値が10%および50%の間にある「ヒット」を示す
。分析すべき96ウェルプレート266上の列「E」は、GFP−hGR移動を
活性化することが知られている薬物であるデキサメタゾンでの滴定を示す。本実
施例のスクリーニングは2つの蛍光チャネルを用いたに過ぎなかった。2つのさ
らなるチャネル(チャネル3 263および4 264)は他の特異的標識、細
胞プロセス、または細胞毒性の平行した分析のために複数のパラメータスクリー
ニングを作成するのに利用できる。
【0144】 新しいスクリーニングの有効化プロセスの間に強力なツールであるイメージデ
ータベースおよび情報データベースの間にリンクがある。スクリーニングの完了
において、使用者はイメージおよび計算されたデータに全てアクセスできる(図
22)。細胞スクリーニングシステムの包括的なデータ分析パッケージは、使用
者が、複数のレベルにおいてHCSデータを調べるのを可能とする。個々の細胞
についてのスプレッドシート279中のイメージ276および詳細なデータは別
々に見ることができるか、あるいは要約データをプロットすることができる。例
えば、96ウェルプレート中の各細胞についての単一パラメータの計算された結
果はグラフ1 275と記されたパネルに示される。このグラフ中で単一の点を
選択することによって、使用者は、存在するデータベースから要求された特定の
細胞についての全データ組を表示することができる。ここでは、単一細胞(細胞
番号118、灰色線277)からのイメージ対276および詳細な蛍光および形
態データが示される。大きなグラフ挿入278は、GFP−hGRの移動につい
てのデキサメタゾンの濃度の結果を示す。各点は少なくとも200細胞からのデ
ータの平均である。このアッセイにおいてデキサメタゾンについての計算された
EC50は2nMである。
【0145】 細胞スクリーニングシステムでのHCSの強力な態様は、生細胞における多色
蛍光および形態パラメータを用いる動的測定の能力である。時間および空間測定
は、視野中の細胞の集団内の単一細胞で行うことができる。図23は、単一視野
内のいくつかの細胞におけるGFP−hGRのデキサメタゾン−誘導移動につい
ての動的データを示す。GFP−hGRでトランスフェクトされたヒトHeLa
細胞を100nMデキサメタゾンで処理し、GFP−hGRの移動は単一細胞の
集団で経時的に測定した。グラフは、トランスフェクトされた細胞285、28
6、287および288および非トランスフェクト細胞289の応答を示す。ま
た、これらのデータは、異なる発現レベルでの細胞を分析する能力を示す。
【0146】 実施形態6 薬物−誘導アポトーシスの高含有量スクリーニング アポトーシスは、膨大な分子事象および経路を含む複雑な細胞プログラムであ
る。このプロセスに対する薬物作用のメカニズムを理解するには、時間および空
間分解にて可能な限り多くのこれらの細胞内事象を測定するのが必須である。従
って、細胞試料調製をほとんど要求しないアポトーシススクリーニングは、いく
つかのアポトーシス−関連パラメータの自動読み出しを提供し、理想的であろう
。細胞スクリーニングシステムのためにデザインされた細胞ベースアッセイは、
パクリタキセル−誘導アポトーシスの形態学的、小器官およびマクロ分子ホール
マークのいくつかを同時に定量するのに用いられてきた。
【0147】 細胞調製。この実験で選択された細胞はマウス結合組織繊維芽細胞(L−92
9、ATCC CCL−1)および高度に侵入的な神経膠細胞腫細胞系(SNB
−19、ATCC CRL−2219)(ウェルチ(Welch)ら,In Vitr
o Cell.Dev.Biol.31:610,1995)であった。アポト
ーシス誘導薬物での処理の前日、3500細胞を96−ウェルプレートの各ウェ
ルに入れ、湿潤5%CO雰囲気中37℃にて一晩インキュベートした。翌日、
培養基を各ウェルから取り出し、DMS中で作成された20mMストックからの
種々の濃度のパクリタキセル(0−50μM)を含有する新鮮な培地で置き換え
た。これらの実験で用いたDMSOの最大濃度は0.25%であった。次いで、
細胞を上述したように26時間インキュベートした。パクリタキセル処理時間の
最後において、各ウェルに、750mM Mito Tracker Red(
モレキュラー・プローブ社、Eugene,OR)および3μg/mlのヘキス
ト33342 DNA−結合色素(モレキュラー・プローブ社)を含有する新鮮
な培地を与え、上述したように20分間インキュベートした。次いで、プレート
上の各ウェルをHBSSで洗浄し、室温にて、HBSS中の3.7%ホルムアル
デヒドで15分間固定した。ホルムアルデヒドをHBSSで洗浄し、細胞を0.
5%(v/v)トリトンX−100で90秒間浸透させ、HBSSで洗浄し、2
U ml−1 Bodipy FLファラシジン(モレキュラー・プローブ社)
と共に30分間インキュベートし、HBSSで洗浄した。次いで、プレート上の
ウェルに200μlのHBSSを満たし、密封し、必要であればプレートを4℃
で保存した。このようにして保存したプレートからの蛍光シグナルは調製後に少
なくとも2週間安定であった。核移動アッセイにおけるように、蛍光試薬を、生
細胞高含有量スクリーニングにこのアッセイを変換するようにデザインすること
ができる。
【0148】 アレイ走査(ArrayScan)システムでのイメージの取得および分析。
細胞内Mito Tracker Red,ヘキスト33342およびBodi
py FLファラシジンの蛍光強度は、上述したように細胞スクリーニングシス
テムで測定した。また、各ウェルから得られたイメージの各対からの形態データ
を得て、イメージ視野中の各物体(例えば、細胞および核)を検出し、そのサイ
ズ、形状および積分強度を計算した。
【0149】 計算および出力。合計50−250細胞をイメージ視野当たり測定した。細胞
の各視野については以下の計算を行った:(1)平均核面積(μm)は、視野
中の全核面積を検出された核の数で割ることによって計算した。(2)平均核周
囲(μm)は、視野中の全ての核の周囲の合計をその視野で検出された核の数で
割ることによって計算した。高度に複雑なアポトーシス核は最大の核周囲値を有
した。(3)平均核明るさは、核の全視野の積分強度をその視野における核の数
で割ることによって計算した。核明るさの増加は増大したDNA含有量に相関し
た。(4)平均細胞明るさは、Mito Tracker色素で染色した細胞の
全視野の積分強度をその視野中の核の数で割ることによって計算した。ミトコン
ドリア内に蓄積されるMito Tracker色素の量はミトコンドリアポテ
ンシャルに比例するので、平均細胞明るさの増加はミトコンドリアポテンシャル
の増加と合致する。(5)平均細胞明るさは、Bodipy FLファラシジン
色素で染色した細胞の全視野の積分強度をその視野中の核の数で割ることによっ
て計算した。ファロトキシンは高い親和性を持ってアクチンの重合形態に結合す
るので、細胞内に蓄積するBodipy FLファラシジン色素の量はアクチン
重合状態に比例する。平均細胞明るさの増加はアクチン重合の増加と合致する。
【0150】 結果。図24(頂部パネル)は、L−929細胞の核形態でパクリタキセル誘
導された変化を示す。増大させる量のパクリタキセルは核を拡大させ、断片化さ
せた293(アポトーシスのホールマーク)。細胞スクリーニングシステムによ
って得られたこれらのおよび他のイメージの定量分析は同一図面に提示する。測
定された各パラメータは、L−929細胞296がSNB−19細胞297より
も低濃度のパクリタキセルに対して感受性が低かったことを示した。しかし、よ
り高い濃度では、L−929細胞は測定された各パラメータにつき応答を示した
。このアッセイのマルチパラメータアプローチは、薬物作用のメカニズムを解剖
するのに有用である。例えば、核298の面積、明るさおよび断片化、ならびに
アクチン重合値294は、SNB−10細胞を10nMのパクリタキセルで処理
した場合に最大値に到達した(図24、頂部および底部グラフ)。しかしながら
、ミトコンドリアポテンシャル295は、パクリタキセルの同一濃度で最小であ
った(図24、中央グラフ)。測定された全てのパラメータは、増大するパクリ
タキセル濃度(>10nM)で対照レベルに到達したという事実は、SNB−1
0細胞が、薬物の十分に高いレベルで補償的である低親和性薬物代謝またはクリ
アランス経路を有することを示唆する。SNB−19細胞297の薬物感受性と
対照させると、L−929はパクリタキセル296に対して異なる応答を示した
。これらの繊維芽細胞は、5μMのパクリタキセル(SNB−19細胞よりも5
00倍高い用量)にて多くのパラメータで最大応答を示した。さらに、L−92
9細胞は、テストしたパクリタキセル濃度のいずれにおいてもミトコンドリアポ
テンシャル295の鋭い減少は示さなかった。この結果は、正常および癌細胞系
の間の唯一のアポトーシス経路の存在と合致する。従って、これらの結果は、比
較的単純な蛍光標識プロトコルを本発明の細胞スクリーニングシステムと連結さ
せて、プログラムされた細胞の死滅と関与する鍵となる事象の高含有量スクリー
ニングを得ることができることを示す。
【0151】 実施形態7 プロテアーゼにより誘導される、疾病関連配列を含むシグナル伝
達酵素の、細胞質から核までの転位置 プラスミド作成物。緑蛍光タンパク質−カスパーゼ(コ−エン(Cohen)(19
97)、Biochemical J.326:1〜16;リアング(Liang)ら
(1997)J.of Molec.Biol.274:291〜302)キメ
ラのコード配列を含む真核生物発現プラスミドを、GFP変異体を使用して調製
する。この作成物を使用して、真核細胞をトランスフェクトする。
【0152】 細胞の調製およびトランスフェクション。細胞をトリプシン処理し、トランス
フェクションの24時間前に蒔き、37℃および5%COでインキュベートす
る。トランスフェクションは、リン酸カルシウム共沈降法またはリポフェクショ
ンを含むがこれに限定されない方法により実施する。細胞を、4から5時間、3
7℃および5%COで、リン酸カルシウム−DNA沈降物と共にインキュベー
トし、3から4回、DMEMで洗浄して沈降物を除去し、次いで、C−DMEM
を加える。リポフェクタミンによるトランスフェクションを、製造業者の指示に
従って、抗生物質を含まない血清非含有DMEM中で実施する。DNA−リポソ
ーム複合体と共に2から3時間インキュベートした後、培地を除去し、C−DM
EMと交換する。
【0153】 アポトーシスによる、カスパーゼ−GFP転位置の誘導。カスパーゼ−GFP
の転位置動力学的データを得るために、トランスフェクトした細胞の核を、最初
に、C−DMEM中、5μg/mlのヘキスト33342(モレキュラー・プロ
ーブ社)で、37℃および5%COで20分間標識する。細胞を、1回、ハン
クの平衡塩溶液(HBSS)中で洗浄し、次いで、アポトーシスを誘導する化合
物を加える。これらの化合物は、パクリタキセル、スタウロスポリン、セラミド
、および腫瘍壊死因子を含むがこれに限定されない。定時点の滴定データを得る
ために、トランスフェクト細胞を、最初に、DMEMで洗浄し、次いで、37℃
および5%COで1時間、0から1000nMの化合物の存在下でDMEM中
インキュベートする。細胞を、生存したままで解析するか、または、細胞をHB
SSで濯ぎ、15分間HBSS中3.7%ホルムアルデヒドで固定し、ヘキスト
33342で染色し、洗浄し、その後解析する。
【0154】 画像獲得および解析。動力学的データを、化合物の添加後30分間、1分間間
隔で、生細胞のフィールドの蛍光画像対(カスパーゼ−GFPおよびヘキスト3
3342標識核)を獲得することにより集める。同様に、画像対を、化合物の添
加1時間後に、定時点のスクリーニングプレートの各ウェルから得る。両方の場
合において、各時点で得た画像対を使用して、各細胞の核および細胞質領域を規
定する。カスパーゼ−GFPの転位置は、核中のカスパーゼ−GFPの積分蛍光
強度を、細胞質中のキメラの積分蛍光強度で割ることにより、すなわち、GFP
蛍光における核−細胞質の差異として計算する。定時点スクリーンにおいて、こ
の転位置比は、試験した化合物の各濃度で、少なくとも200個の細胞から得ら
れたデータから計算する。薬物により誘導される、細胞質から核への、カスパー
ゼ−GFPの転位置は、それ故、転位置比の増加に相関する。アポトーシスによ
り活性化される酵素の推定的活性化剤または阻害剤を含むライブラリを含むがこ
れに限定されない分子相互作用ライブラリを使用して、指標細胞系をスクリーニ
ングし、DASに特異的なリガンドおよび化合物の活性により活性化される経路
を同定する。
【0155】 実施形態例8 DASの新規ステロイド受容体の同定 2つの材料および/または情報源が、この実施形態の活用に必要であり、これ
により、特徴づけられていない遺伝子の機能の評価が可能となる。第1に、哺乳
動物細胞へのトランスフェクションに適したcDNA配列を含む、疾病関連配列
バンク(群)を使用できる。各RADEまたは差次的発現実験により、数100
個までの配列が作成されるので、豊富にDASを供給することが可能である。第
2に、一次配列データベース探索からの情報を使用して、DNAを、シグナル配
列、7回膜貫通モチーフ、保存プロテアーゼ活性部位ドメイン、または他の同定
可能なモチーフを含むカテゴリーを含むがこれに限定されない、広いカテゴリー
に入れることができる。これらの源から獲得した情報に基づいて、トランスフェ
クトする方法の種類および指標細胞系を選択する。大量のモチーフがすでに十分
に特徴づけられており、既存のゲノムデータベースの多くの遺伝子に含まれる線
形配列にコードされている。
【0156】 1つの実施形態において、以下の段階を実施する: 1)DAS同定実験(データベース探索を含む)からの情報を、関連する生物
学的プロセスの選択の基礎として使用する(例えば、細胞周期調節、アポトーシ
ス、転移プロテアーゼ等に関して、腫瘍系のDASを参照)。
【0157】 2)同定可能なモチーフによるDNA配列またはDASの選別(すなわち、シ
グナル配列、7回膜貫通ドメイン、保存プロテアーゼ活性部位ドメイン等)。こ
の初期の分類により、蛍光タグ戦略、宿主細胞系、指標細胞系、および上記した
ようなスクリーニングする生物活性分子のバンクが決定される。
【0158】 3)十分に確立された分子生物学的方法を使用して、DASを、この目的に設
計された発現ベクターにくくる。一般的な発現ベクターは、一過性発現のために
標識配列を細胞に送達するための、プロモーター、エンハンサー、および終結因
子を含む。かかるベクターはまた、宿主による発現時の検出を容易にするために
、抗体タグ配列、直接会合配列、GFPのような発色団融合配列等も含み得る。
【0159】 4)リン酸カルシウム共沈降法、リポソーム媒介、DEAEデキストラン媒介
、ポリカチオン媒介、ウイルス媒介、または電気穿孔法を含む、標準的なトラン
スフェクションプロトコルを使用して、DAS含有ベクターを用いて、細胞を一
過性にトランスフェクトし、マイクロタイタープレートまたはマイクロウェルア
レイに蒔く。別に、トランスフェクションは、マイクロタイタープレート自体に
直接実施できる。
【0160】 5)上記したような細胞スクリーニング法を実施する。
【0161】 この実施形態において、転写活性化能(例えば、DNA結合ドメイン、アミノ
末端調節ドメイン、ヒンジ領域、またはカルボキシ末端リガンド結合ドメイン)
を示唆するモチーフ(群)を有することが示されたDASを使用して、新規ステ
ロイド受容体を同定する。
【0162】 この実験の蛍光タグの規定は、染色による核の同定、および、GFPをコード
する遺伝子の近位に融合する、DASの発現ベクターへの挿入を介したGFPキ
メラの創製によるDASのタグ化を含む。別に、発現DASのある部分に高い親
和性を有する単鎖抗体断片を、当分野で利用可能な技術を使用して作成でき(ケ
ンブリッジ・アンチボディ・テクノロジー社(Cambridge Antibody Technologies
))、フルオロフォア(FITC)に連結させて、細胞中の推定転写アクチベー
ター/受容体をタグできる。この代替法は、DNAトランスフェクションを必要
としない外部タグを提供し、それ故、分布データを、DASの作成に使用した最
初の一次培養物から集めたい場合には、有用である。
【0163】 プラスミド作成。緑蛍光タンパク質−DASキメラのコード配列を含む、真核
生物発現プラスミドを、GFP変異体を使用して調製する。作成物を使用して、
HeLa細胞をトランスフェクトする。プラスミドは、宿主細胞にトランスフェ
クトされると、GFP−DASppと称される、DASタンパク質産物に融合し
たGFPを産生する。
【0164】 細胞の調製およびトランスフェクション。HeLa細胞をトリプシン処理し、
5%木炭/デキストラン処理胎児ウシ血清(FBS)(ハイクロン社(Hyclone)
)および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(C−DMEM)を含む、DME
Mを使用して、トランスフェクションの12から24時間前に蒔き、37℃およ
び5%COでインキュベートする。トランスフェクションは、リン酸カルシウ
ム共沈降法により、またはリポフェクタミン(ライフ・テクノロジー社)を用い
て実施する。リン酸カルシウムによるトランスフェクションでは、培地を、トラ
ンスフェクション前に、5%木炭/デキストラン処理FBSを含むDMEMと交
換する。細胞を、リン酸カルシウム−DNA沈降物と共に、4から5時間、37
℃および5%COでインキュベートし、3から4回、DMEMで洗浄して沈降
物を除去し、次いで、C−DMEMを加える。リポフェクタミンによるトランス
フェクションを、製造業者の指示に従って、抗生物質を含まない血清非含有DM
EM中で実施する。DNA−リポソーム複合体と共に2から3時間インキュベー
トした後、培地を除去し、C−DMEMと交換する。96ウェルマイクロタイタ
ープレート中の全てのトランスフェクト細胞を33℃および5%COで24か
ら48時間、薬物処理前にインキュベートする。実験を、HeLa細胞で一過性
に発現される受容体を用いて実施する。
【0165】 細胞内の発現GFP−DASppの局在。細胞分布データを得るために、トラ
ンスフェクト細胞の核を、最初に、C−DMEM中、5μg/mlのヘキスト3
3342(モレキュラー・プローブ社)で、20分間33℃および5%CO
標識する。細胞を、1回、ハンクの平衡塩溶液(HBSS)中で洗浄する。細胞
を、生存したままで解析するか、または、細胞をHBSSで濯ぎ、15分間HB
SS中3.7%ホルムアルデヒドで固定し、ヘキスト33342で染色し、洗浄
し、その後解析する。
【0166】 好ましい実施形態において、画像獲得および解析は、本発明の細胞スクリーニ
ングシステムを使用して実施する。細胞内GFP−DASpp蛍光シグナルを、
フィールドの細胞からの蛍光画像対(GFP−DASppおよびヘキスト333
42標識核)の獲得により集める。各時点で得られた画像対を使用して、各細胞
中の核および細胞質領域を規定する。細胞質中で分散したシグナルを示すデータ
は、DNA転写アクチベーターである、既知のステロイド受容体と一致している
【0167】 GFP−DASpp転位置の誘導のスクリーニング。指標細胞系として、GF
P−DASppの適切な発現の確認された、上記の作成物を使用して、種々のリ
ガンドのスクリーンを、エストロゲン、プロゲステロン、レチノイド、成長因子
、アンドロゲン、および多くの他のステロイドおよびステロイドをベースとした
分子を含むがこれに限定されない、一連のステロイドタイプのリガンドを使用し
て実施する。画像獲得および解析は、本発明の細胞スクリーニングシステムを使
用して実施する。細胞内GFP−DASpp蛍光シグナルは、蛍光画像対(GF
P−DASppおよびヘキスト33342標識核)をフィールドの細胞から獲得
することにより集める。各時点で得られた画像対を使用して、各細胞の核および
細胞質領域を規定する。GFP−DASppの転位置は、核中のGFP−DAS
ppの積分蛍光強度を、細胞質中のキメラの積分蛍光強度で割ることにより、す
なわち、GFP蛍光の核−細胞質の差異として計算する。細胞質から核への転位
置は、リガンド結合によるDASppの活性化を示し、従って、潜在的な受容体
クラスおよび作用が同定される。このデータを、ステロイド受容体の既知の阻害
剤および修飾剤を使用して同じ方法で得られた他のデータと合わせると、標的と
してのDASppが確認されるか、または、より多くのデータが、種々の源から
生じるであろう。
【0168】 実施形態9 細胞内微小管安定性 本発明の別の態様において、微小管構造を修飾する化合物を同定するための自
動化された方法を提供する。この実施形態において、指標細胞を試験化合物で処
理し、発光微小管標識分子の分布を、上記に開示したようなものなどの、細胞ス
クリーニングシステムを使用して空間的および時間的に測定する。発光微小管標
識分子は、細胞を試験化合物と接触する前、それと共に、またはその後に、細胞
により発現させ得るか、または細胞に添加し得る。
【0169】 本発明のこの態様の1つの実施形態において、生細胞は、発光タンパク質に融
合した微小管を標識するタンパク質を含む、微小管の動力学の発光標識タンパク
質バイオセンサーを発現する。本発明のこの態様の適切な微小管標識タンパク質
は、αおよびβチューブリンアイソフォーム、およびMAP4を含むがこれに限
定されない。発光タンパク質の好ましい実施形態は、緑蛍光タンパク質(GFP
)およびGFP変異体を含むがこれに限定されない。好ましい実施形態において
、方法は、細胞を、微小管標識発光タンパク質でトランスフェクトすることを含
み、ここでの微小管標識タンパク質は、α−チューブリン、β−チューブリン、
または微小管会合タンパク質4(MAP4)であり得るが、これに限定されない
。ここに概略を示した試みにより、当業者は、生細胞測定を行ない、インビボで
のチューブリン活性および微小管安定性に対するリード化合物の効果を決定でき
る。
【0170】 最も好ましい実施形態において、MAP4は、修飾形のオワンクラゲ緑蛍光タ
ンパク質(GFP)に融合している。EGFPコード配列(クロンテック社から
入手)とマウスMAP4のコード配列間の融合からなる、DNA作成物を作成し
た(Olsonら(1995)J.Cell Biol.130(3):639
〜650)。MAP4は、間期の微小管並びに有糸分裂細胞と相互作用すること
が知られている、遍在的な微小管会合タンパク質である(オルムステッド(Olmst
ed)およびムラフシ(Murofushi)(1993)、MAP4、「細胞骨格および運動
タンパク質へのガイドブック」、オックスフォード大学出版、(クライス(T. Kr
eis)およびベール(R. Vale)編)。次いで、その局在は、細胞をベースとしたH
CSアッセイにおける、全細胞周期段階での、生(または固定)細胞における微
小管の局在、構成、および完全性の指標として役立ち得る。MAP2およびタウ
(神経細胞で特異的に発現される微小管会合タンパク質)は、GFPキメラの形
成に使用されてきたが(ケーチ(Kaech)ら(1996)Neuron.17:1
189〜1199;ハルら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci
.94:4733〜4738)、その限定された細胞タイプの分布および過剰発
現時にこれらのタンパク質が微小管を束ねる傾向があることにより、これらのタ
ンパク質は、種々の組織および器官を起源とする生細胞における解析用の分子試
薬としてはあまり望ましくない。GFP−MAP4の中程度の過剰発現は、微小
管の機能または完全性を破壊しない(オルソン(Olson)ら、1995)。類似の
作成物は、β−チューブリンまたはα−チューブリンを使用して、当分野の標準
的な技術を介して作成できる。これらのキメラは、細胞周期の全段階における生
細胞の微小管活性を観察および解析する手段を提供する。
【0171】 別の実施形態において、微小管動力学の発光標識タンパク質バイオセンサーを
発現し、単離し、解析すべき細胞に、マイクロインジェクション、掻爬添加、お
よび衝撃により媒介する添加などのバルク添加技術を介して添加する。この実施
形態において、細胞内での過剰発現の問題はなく、従って、αおよびβチューブ
リンアイソフォーム、MAP4、MAP2および/またはタウを全て使用できる
【0172】 さらなる実施形態において、タンパク質バイオセンサーは細胞により発現され
、細胞を、その後、タンパク質バイオセンサー、タンパク質抗原の内因性レベル
、または両方を検出する、標識抗体などの発光標識と接触させる。この実施形態
において、αおよびβチューブリンアイソフォーム、MAP4、MAP2および
/またはタウを検出する発光標識を使用できる。
【0173】 種々のGFP変異体が入手可能であり、市販で入手できるGFP変異体(クロ
ンテック、カリフォルニア)を含むがこれに限定されない、全てのGFP変異体
が、本発明に有効である。
【0174】 MAP4作成物を、数個の哺乳動物細胞系(BHK−21、Swiss 3T
3、HeLa、HEK293、LLCPK)に導入し、チューブリンの構成およ
び局在を、MAP4局在の指標であるGFP蛍光を用いて、生細胞において可視
化した。その作成物は一過性に発現できるか、または、安定な細胞系を、標準的
な方法により調製できる。EGFP−MAP4キメラを発現している安定なHe
La細胞系を得、これにより、キメラの発現は無毒性であり、有糸分裂に干渉し
ないことが示される。
【0175】 安定な細胞系を確立および維持するための可能性ある選択マーカは、ネオマイ
シン耐性遺伝子、ヒグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、プロマイシ
ン耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、およびブラスタシジン耐性遺伝子を
含むがこれに限定されない。
【0176】 微小管会合、脱会合、および再編成のモニタリングにおけるこの方法の有用性
は、一過性および安定なトランスフェクト細胞を、パクリタキセル、ノコダゾー
ル、ビンクリスチン、またはビンブラスチンなどの微小管薬物で処理することに
より実証された。
【0177】 本発明の方法は、特にマルチパラメトリック癌標的スクリーンにおける1つの
パラメータとして、抗微小管薬物のための高含量並びにハイスループット−高含
量の組合せの細胞をベースとしたスクリーンを提供する。本明細書に使用したE
GFP−MAP4作成物はまた、複数のシグナル伝達経路または生理的事象を測
定する、高含量スクリーンの成分の1つとして使用できる。好ましい実施形態に
おいて、ハイスループットおよび高含量の組合せを使用し、ここで、細胞を含む
各位置の複数の細胞を、ハイスループットモードで解析し、細胞を含む位置の部
分集合のみを、高含量モードで解析する。ハイスループットスクリーンは、発光
強度の増加した位置、レポータ遺伝子の発現を示す位置、カルシウム変化を受け
た位置およびpH変化を受けた位置を同定することを含むがこれに限定されない
、さらに解析すべき細胞を含む位置を同定するのに有用である、任意のスクリー
ンであり得る。
【0178】 薬物スクリーニング適用に加えて、本発明は、臨床診断、化学的および生物学
的戦闘兵器の検出、および、基本的な研究市場に適用し得る。なぜなら、細胞分
裂および運動性などの基本的な細胞プロセスは、微小管動力学に高度に依存して
いるからである。
【0179】 画像獲得および解析 画像データは、固定または生指標細胞から得ることができる。得られた各画像
から形態計測データを抽出するために、以下の解析法を使用する: 1.各核および細胞質画像を閾値処理し、核または細胞境界外の各ピクセルに
ついて値=0を有するマスクを作成する 2.最初の画像上にマスクを重層し、フィールド(すなわち核または細胞)中
の各物体を検出し、そのサイズ、形状、および積分強度を計算する 3.上で得られた全細胞マスクを、対応する発光微小管画像に重層し、以下の
分類因子のセットの1つ以上を適用して、微小管形態および微小管形態に対する
薬物の作用を決定する。
【0180】 微小管の形態は、微小管の形状、サイズ、凝集状態、および重合状態の態様を
定量するための、1セットの分類因子を使用して定義する。これらの分類因子は
、共起マトリックス、テクスチャー測定、スペクトル法、構造的方法、ウェーブ
レット変換、統計学的方法、またはその組合せを含む、アプローチに基づき得る
。かかる分類因子の例は、以下の通りである: 1.コレガ(Kolega)ら((1993).BioImaging 1:136〜
150、これは、個々の細胞の縁端強度を決定するための非自動化方法を開示し
ている)に考察されたような、縁端検出法を使用して微小管の長さおよび幅を定
量して、各細胞内の全縁端強度を計算するための、分類因子。細胞サイズを標準
化するために、全縁端強度を、細胞面積で割ると、「微小管形態」値を得ること
ができる。大きな微小管形態値は、強い縁端強度値に関連し、それ故、別個の微
小管構造を含む細胞では最大である。同様に、小さな微小管形態値は、弱い縁端
強度に関連し、脱重合微小管を有する細胞では最小である。微小管形態値の生理
的範囲は、細胞を、微小管を安定化する薬物であるパクリタキセル(10μM)
または微小管を脱重合する薬物であるノコダゾール(10μg/ml)で処理す
ることにより設定する。
【0181】 2.上記で考察した受容体内部移行法の方法論を使用して、微小管の、点状の
斑点または焦点への凝集を定量する分類因子 3.画像テクスチャーの測定値を使用した、微小管脱重合を定量するための分
類因子 4.微小管の見かけの相互連結または分岐(または両方)を定量するための分
類因子 5.試験化合物で処理した細胞の画像の時間シリーズに関する、上記の分類因
子を使用した、微小管再構成の動力学の測定。
【0182】 さらなる態様において、微小管標識タンパク質をコードする核酸を含む発現ベ
クター、並びに、上記の方法を実施するために発現ベクターを使用するための命
令を含む、微小管安定性を解析するためのキットが提供される。好ましい実施形
態において、発現ベクターはさらに、発光タンパク質をコードする核酸を含み、
ここでの微小管結合タンパク質およびその発光タンパク質は、融合タンパク質と
して発現される。別に、キットは、微小管標識タンパク質に特異的に結合する、
抗体を含み得る。さらなる実施形態において、キットは、微小管標識タンパク質
を発現する細胞を含む。好ましい実施形態において、細胞を、発現ベクターでト
ランスフェクトする。別の好ましい実施形態において、キットはさらに、クラシ
ン、ノコダゾール、ビンクリスチン、またはビンブラスチンを含むがこれに限定
されない、微小管構造を破壊することが知られる化合物を含む。別の好ましい実
施形態において、キットはさらに、タクソール(パクリタキセル)、およびジス
コデルモリドを含むがこれに限定されない、微小管構造を安定化することが知ら
れる化合物を含む。
【0183】 別の態様において、本発明は、細胞スクリーニングシステムに、微小管安定性
を解析するために、開示した方法を実行させるための、1セットの命令を含んだ
プログラムを含む、機械で解読可能な記録媒体を含み、ここでの細胞スクリーニ
ングシステムは、細胞を含むプレートを保持するのに適合した載物台を有する光
学システム、デジタルカメラ、細胞から放出された蛍光または発光をデジタルカ
メラに向ける手段、および、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り処
理するコンピュータ手段を含む。
【0184】 実施形態10 神経突起成長 薬物発見についての主な興味は、ニューロンからの神経突起成長に影響を及ぼ
す化合物の同定である。神経成長を促進する薬物は、脊髄損傷、糖尿病および卒
中などの疾病から生じる神経障害、パーキンソン病、および、アルツハイマー病
を含む他の形態の痴呆を含むがこれに限定されない、神経障害および神経損傷を
もたらす、多種多様の疾病および外傷の処置に有用である。
【0185】 従って、別の態様において、本発明は、神経突起成長を解析するための、自動
化された方法、キットおよびコンピュータで解読可能な媒体を提供する。この実
施形態の方法は、 −細胞を含む位置のアレイを提供し、ここでの細胞は、細胞数を報告する少な
くとも1つの第1の発光標識したレポータ分子、および、神経突起成長を報告す
る少なくとも1つの第2の発光標識したレポータ分子を有し、 −複数の細胞を含む各位置における複数の細胞を画像化または走査して、第1
および第2の発光標識したレポータ分子から発光シグナルを得、 −発光シグナルを、デジタルデータに変換し、そして −デジタルデータを使用して、自動的に測定を行ない、ここでの測定を使用し
て、細胞上または細胞内の、第1および第2の発光標識レポータ分子の分布、環
境または活性の変化を自動的に計算し、ここでの計算した変化は、神経突起成長
の測定値を提供することを含む。
【0186】 本明細書に使用したような「ニューロン」または「神経細胞」なる語は、ニュ
ーロンを含む脳細胞の一次培養液、一次神経細胞を含む単離細胞培養液、神経前
駆細胞、ニューロンのモデルとして使用する組織培養細胞(例えばPC12細胞
、これは、ラットクロム親和細胞腫からクローニングした新生物神経細胞系であ
る)、またはその混合物を含むがこれに限定されない、任意の種類のニューロン
を含む、任意の細胞個体群を含む。
【0187】 本明細書に使用したような「神経突起」なる語は、軸索、樹状突起、神経突起
、中間セグメント、末端セグメント、糸状仮足および成長錘状体を含むがこれに
限定されない、神経細胞体から成長する、任意のプロセスおよび/または構造を
意味する。
【0188】 本明細書に使用したような「神経突起成長」なる語は、正の神経突起成長、神
経突起成長阻害、神経突起成長分解、および、神経突起形態における他の変化を
含む。
【0189】 本明細書に使用したような「細胞は、1つ以上の発光レポータ分子を有する」
なる語は、発光レポータ分子は、細胞により、発光レポータ分子として発現させ
得るか、発光レポータ分子として細胞に加え得るか、または、細胞を、レポータ
分子に結合する、色素または抗体などのレポータ分子に結合する発光標識分子と
接触させることにより、発光標識し得ることを意味する。発光レポータ分子は、
試験物質で処理する前、同時、または後に、発現または添加できる。
【0190】 別の実施形態において、この方法はさらに、ニューロンを、試験化合物と接触
させることを含み、ここでの計算した変化により、試験化合物が、ニューロンの
神経突起成長を修飾したかどうかが示される。混合細胞培養液を使用し、アスト
ロサイト、オリゴデンドロサイト、またはミクログリアなどの、混合培養液中の
他の細胞の核を同定したい場合、これらの細胞型に特異的であり、異なるフルオ
ロフォアで標識した、蛍光プローブを使用し、1つのフィールドあたり十分な画
像(すなわち2より多い)を獲得して、アストロサイト、オリゴデンドロサイト
、またはミクログリアを同定する。本発明のこの実施形態を使用して、神経細胞
からの神経突起成長に(正または負に)影響を及ぼす化合物を発見でき、並びに
、ニューロンに毒性であり、神経突起長、数、および分岐を含むがこれに限定さ
れない、その神経突起の形態に影響を及ぼす、条件を同定できる。かかる神経毒
性研究では、方法は、神経突起を分解する化合物を同定するか、または、既知の
神経毒の活性を阻害する試験化合物を同定することを含む。
【0191】 好ましい実施形態において、第1の発光標識レポータ分子は、DNA結合化合
物を含む。さらなる好ましい実施形態において、第2の発光標識レポータ分子は
、細胞質、膜および細胞タンパク質からなる群から選択した細胞成分を選択的に
検出する化合物を含む。さらなる実施形態において、第2の発光標識レポータ分
子は、ニューロン特異的である。別の実施形態において、細胞は、ニューロン特
異的であるか、または、ミクログリア、オリゴデンドロサイト、およびアストロ
サイトを含むがこれに限定されない、目的の他の細胞型に特異的である、少なく
とも1つの第3の発光標識レポータ分子を含む。
【0192】 別の実施形態において、方法はさらに、細胞を、神経突起成長を修飾すること
が知られる対照化合物と接触させ、計算した変化を利用して、対照化合物がニュ
ーロンにおける神経突起成長を修飾するのを試験刺激が阻害するかどうかを決定
する。別法として、試験刺激を加えず、対照化合物を除去した後に、測定および
変化の計算を行ない、神経突起成長に対するかかる除去の効果を決定する。
【0193】 さらなる実施形態において、位置のアレイの亜領域を、数回、間隔をおいてサ
ンプリングして、細胞上または細胞内の発光レポータ分子の分布、環境または活
性における動力学的な変化の測定を提供する。
【0194】 さらに、適用を通じて記載したものを含むがこれに限定されない、他の高含量
またはハイスループットアッセイを、本発明のアッセイと組合せて使用して、化
合物で処理した場合の同じニューロンの生理的状態を測定できる。本発明の方法
のマルトパラメトリックアッセイに使用するに好ましいアッセイは、細胞生存ア
ッセイ、アポトーシスアッセイ、およびGタンパク質共役受容体(GPCR)お
よび他の受容体内部移行アッセイである。
【0195】 本発明のこの態様は、異なる化合物で処理した細胞個体群のアレイを自動的に
走査し、神経細胞の神経突起成長を、集合的におよび個々に自動的に定量する方
法を提供する。ニューロンは、この実施形態に使用する異なる細胞型または異な
る神経細胞型の混合物から単離する必要はなく、従って、この方法は、一次脳培
養液にも適用できる。
【0196】 本発明はさらに、細胞スクリーニングシステムに、本発明のこの態様の方法を
実行させる、1セットの命令を含んだプログラムを備えるコンピュータ解読可能
な記録媒体を提供し、ここでの細胞スクリーニングシステムは、細胞を含むプレ
ートを保持するのに適合した載物台を有する光学システム、載物台または光学シ
ステムを移動する手段、デジタルカメラ、細胞から放出された光をデジタルカメ
ラに向ける手段、および、デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り処理
するコンピュータ手段を含む。好ましい実施形態において、細胞スクリーニング
システムは、上記に開示するものである。
【0197】 本発明はさらに、少なくとも1つのニューロン特異的発光レポータ分子;少な
くとも1つの核特異的発光レポータ分子;並びに、ニューロン特異的発光レポー
タ分子および核特異的発光レポータ分子を使用して、神経突起成長を解析するか
、または、神経突起成長を修飾する化合物を同定するための命令を含む、神経突
起成長を解析するための、または、神経突起を修飾する化合物を同定するための
、キットを提供する。
【0198】 ニューロンの同定 1つの実施形態において、試料中の全細胞を、発光レポータ分子マーカで標識
して、その位置を同定する。一旦細胞の位置が同定されると、細胞を計測できる
。典型的には、核酸色素ヘキスト33342を、発光レポータ分子として使用し
て、全細胞の核を同定する。しかし、他の核標識も使用できる。核酸蛍光染色は
2種類ある:生細胞の形質膜を通過できるもの、および、膜に不透過性であるも
の。膜透過性核酸染色の例は、DAPI、ジヒドロエチジウム、ヨウ化ヘキシジ
ウム、ヘキスト33258、およびSYTO(登録商標)色素シリーズ(モレキ
ュラー・プローブ社)を含む。膜不透過性色素で核を標識するために、形質膜を
透過化処理しなければならない。膜不透過性核酸色素の例は、シアニン核酸標識
、例えば、TOTO(登録商標)、YOYO(登録商標)、BOBOTM、PO
POTM、TO−PRO(登録商標)、YO−PRO(登録商標)、BO−PR
TM、およびPO−PROTM(モレキュラー・プローブ社)、エチジウム類
似体、例えばエチジウム−アクリジンヘテロダイマー、臭化エチジウム、エチジ
ウムジアジド、およびエチジウムホモダイマー1および2、ヨウ化プロピジウム
、および緑核酸染色SYTOX(登録商標)(モレキュラー・プローブ)を含む
。さらに、ニューロンを低密度で蒔いた場合、細胞質などの細胞の他の成分を標
識して、培養液中の全ての細胞を同定できる。好ましい実施形態において、核標
識を使用する。いくつかの細胞質染色の例を以下に示す。
【0199】 試料が、脳細胞の混合物からなる場合(ニューロン以外の細胞型も含む)、ニ
ューロンに属する発光標識された核を同定する。ニューロンは、核マーカおよび
任意の他のマーカまたは使用する他の発光レポータ分子とは異なる波長の発光を
有する、ニューロンに特異的な発光レポータ分子により、他の細胞と区別する。
ニューロン特異的マーカと一致する核を、ニューロンに属する混合細胞個体群中
の核として同定する。多くの異なるニューロン特異的標識マーカを使用できる。
ニューロン特異的標識戦略の数例は、神経フィラメントに対する間接的免疫蛍光
、βIII−チューブリンに対する間接的な免疫蛍光、および、毛様体神経栄養
因子(CNTF)などの神経栄養因子に対する間接的な免疫蛍光を含むがこれに
限定されず、全てが、ニューロン特異的抗原およびタンパク質である。
【0200】 細胞を発光で標識し、よって、培養液がニューロンまたはニューロン様細胞の
みから構成されているか、または混合細胞培養液中のニューロンであるか、全て
のそのプロセスを可視化できる。発光で標識して、プロセスを可視化できる、標
的がニューロンにいくつかある。
【0201】 (1)細胞質染色:細胞質を、任意の標準的な細胞質染色で染色できる。かか
る染色の例は、CMFDA(クロロメチルフルオレセインジアセテート)、また
はCMTMR(クロロメチルテトラメチルローダミン)(モレキュラー・プロー
ブ)である。別法として、細胞を工学して、緑蛍光タンパク質(GFP)などの
自己蛍光タンパク質を発現させ得る。細胞質中に発現されたGFPにより、ニュ
ーロンのプロセスを可視化できる。
【0202】 (2)膜染色:膜染色は、diI(ジオクタデシリンカルボシアニン)(モレ
キュラー・プローブ)などの標準的な脂質色素であり得るか、または、細胞膜上
にある蛍光標識タンパク質であり得る。タンパク質を蛍光標識するために、細胞
表面タンパク質に対する免疫蛍光(標準的な免疫蛍光染色技術を使用)または膜
タンパク質に結合する蛍光リガンドを使用できる。この戦略は、ニューロン形状
およびプロセスの同定に加えて、混合脳混合物からニューロンを特異的かつ選択
的に同定するのに使用できるという点で、二重の目的に役立ち得る。膜上にある
ニューロン特異的マーカの例は、種々の神経栄養因子である。例えば、ニューロ
ンの表面上の毛様体神経栄養因子CNTFに対する間接的な免疫蛍光は、ニュー
ロンの構築を描写できる。
【0203】 (3)細胞タンパク質の染色:特定の細胞質染色液は、細胞タンパク質を標識
し、そのいくつかはニューロンに特異的である。このカテゴリーは、ニューロン
の描写を助ける細胞骨格タンパク質を含む。この例は、神経フィラメントに対す
る、またはβIII−チューブリンに対する間接的な免疫蛍光を含むがこれに限
定されず、この両方共、ニューロン特異的細胞骨格タンパク質である。
【0204】 (4)全てのこれらの染色戦略の組合せを使用して、ニューロンプロセスおよ
び成長している神経突起をより良く同定できる。
【0205】 神経突起成長を刺激する化合物の同定 細胞を、慣用的な光学顕微鏡カバーガラスなどの、ガラス、プラスチック、ま
たはシリコンウエハースを含むがこれに限定されない、任意の光学的に透明な材
料から製造され得る、基質上に蒔く。特定の状況において、プラスチック基質は
、細胞の良好な付着に十分である。しかし、いくつかの細胞型については、基質
は、良好な付着および成長のために、特定の細胞外マトリックスでコーティング
する必要がある。例えば、PC12細胞は、コラーゲン基質上で増殖する必要が
ある。次いで、試験する化合物(群)を細胞に加える。適切な時間の経過後、神
経細胞を発光標識し(それらが以前に標識されていない場合)、次いで、画像を
獲得し、自動的に解析して、下記のように神経突起成長を定量する。神経成長因
子(NGF)で処理したPC12細胞を用いて実施したいくつかの実験では、細
胞を発光標識し、画像化し、NGF処理の2から7日後に解析した。
【0206】 神経突起成長を阻害する化合物の同定 神経細胞を最初に、上記のような基質上に蒔く。細胞を、試験すべき化合物、
および、神経突起成長を刺激することが知られる対照化合物(例えば神経成長因
子(NGF))で処理し、ここで、対照化合物での処理は、試験化合物処理の前
、後、または同時に実施する。適切な時間の経過後、画像を獲得し、自動的に解
析して、上記のように神経突起成長を定量する。
【0207】 ニューロンおよび神経突起に対して毒性である条件の同定 神経細胞を、最初に、上記のような基質上に蒔き、神経突起成長が可能となる
ように処理する。例えば、細胞を、上記のように、NGFと接触できる。神経突
起成長が生じた後、細胞を、ニューロンおよび神経突起に対する毒性について試
験する条件で処理する。かかる条件の例は、毒性の可能性のある濃度範囲の化合
物の添加、細胞の増殖に重要な物理的パラメータ、またはいくつかの場合では、
NGFなどの神経突起成長を刺激する因子の中止であり得る。適切な時間の経過
後、画像を獲得し、下記したように自動的に解析し、神経突起成長を定量する。
【0208】 画像獲得および解析 神経細胞が低密度であるか、または高度の神経突起成長を有さない場合、個々
の細胞を容易に同定できる。しかし、神経突起が成長し始め、細胞が数多くのプ
ロセスを生じ始めると、これらのプロセスは交差し得、神経細胞は、大きな細胞
のクラスターの一部となる。従って、全細胞クラスターが、1つの連結された発
光実体となる。神経細胞体から成長する、異なるプロセスおよび構造は、軸索、
樹状突起、神経突起、中間セグメント、末端セグメント、糸状仮足および成長錘
状体を含む。画像獲得および解析のために、全てのプロセスおよび構造は、2つ
の群に分類される:(1)細胞体(神経細胞体としても知られる)および(2)
神経突起。細胞体は、核を含み、粗く緻密で丸い形態を有する、ニューロンの中
心部分である。細胞体から出現する全ての成長およびプロセスが、神経突起と分
類される。神経突起は分岐し得るか、他の神経突起と交差し得るか、または、そ
れから成長しているより小さなプロセスを有し得、その全てを、画像解析の目的
のその親神経突起の一部と考える。従って、神経突起は、細胞体中にある1つの
起源を有するが、それが分岐する場合には複数の終点を有し得る。本発明の方法
の適用から得られた結果により、使用者は、その分類ガイドラインに従って神経
突起を規定および分類できる。例えば、1つの刊行物において、軸索は、細胞体
からの最も長い連続的な神経突起と定義され、0.7μmないし5.1μm長の
間の神経突起セグメントは、糸状仮足と定義され、5.1μmより長いものは、
細胞体から出現している場合には神経突起、または、末端が神経突起に付着して
いる場合、末端セグメント突起と呼ばれる(ラマーカス(Ramakers)ら、1998
、Developmental Brain Research、108:20
5〜216)。
【0209】 本発明の神経突起成長法は、以下の種類の解析を実施する: a.細胞の核を同定する。試料が細胞の混合培養液である場合、それはニュー
ロンに属する核を同定する。核を使用して、ニューロンの数を同定および維持し
、ニューロンのクラスター中の細胞体の数も決定する。
【0210】 b.ウェル中および個々の細胞クラスターにおける神経突起成長度を同定する
(細胞が低密度であるか、神経突起成長が制限されている場合、細胞クラスター
は単に1細胞からなる)。これは、細胞体およびそれから伸びている神経突起を
含む、神経細胞(または細胞クラスター)の形態を測定することにより達成され
る。
【0211】 c.神経突起の特定の特性および形態特徴、例えばその長さ、数、および分岐
点を測定する; d.多くのニューロン中のどれ、およびどれ位の数が、神経突起成長について
正であると考えることができるかを測定する;および/または e.その解析を、同じ細胞または細胞クラスターに関する他のHCS解析と合
わせる。適用できる他のHCSアッセイの例は、細胞生存度、アポトーシス、ま
たはGPCRおよび他の受容体内部移行のアッセイを含むがこれに限定されない
【0212】 例えば、方法の1つの実施形態において、細胞、ニューロンおよび神経突起の
以下の特徴を測定および報告する:
【表2】 さらに、上記の特徴を合わせて(例えば、1つの特徴を他の特徴で正規化する
、または2つ以上の特徴を相関させる)、新しい特徴として報告できる。
【0213】 神経突起成長を定量し、これらの特徴を測定する好ましい方法を下記する。本
明細書に使用したような、以下の用語は、特定の意味を有する: 「画像」は、強度を有するピクセルの表示を示す。
【0214】 「ピクセル」は、関連する強度値と共に、アレイ内の(x,y)座標位置を意
味する。
【0215】 「バイナリ画像」は、各ピクセルが0または1の強度を有する画像を意味する
。これは、通常、ピクセルが完全な強度範囲を有する画像から得られる。バイナ
リ化は、閾値より高い強度を有するピクセルを、バイナリ画像で1の強度を有す
ると割当てる。閾値未満または閾値に等しい強度を有するピクセルは、バイナリ
画像で強度0を有する。バイナリ画像「に含まれる」ピクセルは、単に、1の値
を有するピクセルと考える。バイナリ化画像はまた、他の画像に適用するマスク
として使用して、バイナリマスクされた構造と同じ場所に配置するピクセルの強
度を測定することができる。
【0216】 「閾値処理」は、強度が、閾値と呼ばれる値よりも高い、画像のピクセルを選
択するプロセスを意味する。閾値処理の結果を、閾値より高いピクセルが1の値
を有し、他は0の値を有する、バイナリ画像内に保存する。
【0217】 「自動閾値処理」は、画像に存在する輝度の分布を考慮することにより、画像
に適切な閾値を自動的に選択および適用するプロセスを意味する。閾値を選択す
る多種多様な方法が知られており;このアッセイに使用する方法は「isoda
ta法」として知られるが、他の自動閾値処理スキームも使用できる。
【0218】 連結要素:どのピクセル(その位置は、画像境界に沿っていない)も、8つの
隣接するピクセルを有する(4つのピクセルと側を共有し、他の4つと隅を共有
する)。ピクセルは、その8つの隣接する各ピクセルに8連結していると言われ
る。「8連結要素」は、強度閾値より高い強度を有するどのピクセルが、同じ物
体に連結および属しているかを決定する方法である。8連結要素スキームにおい
て、目的のピクセルの周囲の8つのピクセルのいずれかが、強度閾値より高い強
度を有する場合、中心ピクセルと同じ物体の一部として同定される。バイナリ画
像で1の強度を有するピクセルを考える。これらのピクセルは、別々の群に分け
得、ここでの別々の群は、特定の特性を満たす:1)どの群も、任意の他の群の
いずれかのピクセルに8連結しているピクセルは含まない。2)群の中の任意の
2つのピクセルが、その群のピクセルのみを通過する、それらを連結する経路を
含む。これらの特性を満たす群は、画像の連結要素と称される。
【0219】 「フォームファクタ」は、神経突起成長の定量的測定値として使用できる。そ
れは、画像物体の円周の二乗を、物体面積の4π倍で割ったものからなる(すな
わち、FF=円周/(4π面積))。
【0220】 神経突起成長が起こらず、神経細胞の形状が円に類似している場合、フォーム
ファクタは1に近いだろう。神経突起成長が起こり、細胞または細胞クラスター
がより分岐するようになると、このFF測定値は増加する。全画像フィールドに
おける平均FFをコンピュータ計算して、全ウェルにおよぶ神経突起成長度を得
ることができる。さらに、個々のニューロンまたは神経細胞クラスターにおける
神経突起成長度も、その個々のFFにより決定できる。
【0221】 バックグラウンド補正:不均一な蛍光分布由来の感度を回避するために、バッ
クグラウンド補正フィルタを画像に適用できる。この段階により、画像の、低い
空間的変動頻度が除去される。これを実施する1つの戦略は、各ピクセルの近傍
に由来するバックグラウンド強度を差し引くことである。ピクセルの近傍のバッ
クグラウンド強度を推定するために、ピクセルを中心とする平方領域内の強度を
平均化する。我々は、この推定を形成するために非常に明るいピクセルを使用し
たくないので(非常に明るいピクセルは、明らかにフォアグラウンドピクセルで
あり、バックグラウンドの推定に含むべきはない)、我々は、平均を形成するた
めに、強度閾値より低いピクセルのみを含める。バックグラウンドの強度推定を
得たので、我々は、ピクセル強度からこの強度を差し引く。結果は、この操作を
全画像に通じて実施する場合、バックグラウンド補正画像である。
【0222】 分岐同定:分岐は、主な細胞体から成長している神経突起が、神経突起から成
長している1つより多い(通常2つ)神経突起セグメントに分割する場合の点で
ある。分岐点またはトリプル点は、1つの分岐が、2つまたは多数の分岐に分割
している場所の接合部である。
【0223】 画像獲得 a.好ましい実施形態(図25A―B) 方法への入力: 2つの画像を、方法への入力画像として提供する。:核チャネル画像および神
経突起チャネル画像。核チャネル画像では、細胞の核を、ヘキスト33342ま
たはいくつかの他の蛍光または発光核染色で標識する。神経突起チャネル画像で
は、神経細胞体およびその付着した神経突起を蛍光または発光標識する。
【0224】 初期化相: 初期化相は、核およびニューロン画像の両方に対する、任意選択のバックグラ
ウンド補正を用いて始める。バックグラウンド補正段階を適用して、不均一な照
明の効果を低減し、検出を向上する。
【0225】 バイナリ画像を、閾値の適用により、核チャネル画像および神経突起チャネル
画像の両方について作成し;自動閾値処理が、ユーザーによる入力を必要としな
いので、好ましい方法である。
【0226】 核チャネル: バイナリ画像を、自動閾値の適用により、核チャネル画像から作成する。1つ
のニューロン核または核凝集塊あたり、1つの連結要素が核小体画像に存在する
。各々の核の位置座標は、最初に、バックグラウンド補正した核画像にマスクと
してバイナリ核小体画像を適用し、次いで、ピーク検出慣行を使用して、ピーク
最大強度を有するピクセルを選択することにより決定する。このピクセルは、各
々の核の位置座標としてタグ化する。
【0227】 神経突起チャネル: バイナリ蓄積画像を、自動閾値処理の適用により、神経突起チャネル画像から
作成する。この蓄積画像中のピクセルは、一般に、核小体画像のピクセルの上位
集合である。
【0228】 細胞体の同定 ニューロンは、細胞体から伸びている神経突起を有する細胞体からなる。各細
胞体が1つの核を含み、細胞体は、核よりも広い面積を覆う。神経突起成長の定
量を開始する前に、神経突起の源である、細胞体を同定する必要がある。従って
、核小体画像(これはニューロンの核に対応する)の連結要素が拡張して、関連
する神経細胞体が膨らむまで、各々の核のピークのピクセルの、一連の膨張を実
施する。実施した膨張は、条件付膨張であり;膨張を適用する毎に、1つのピク
セルの層を、その層中のピクセルがニューロン蓄積画像に存在する条件で、核小
体に加える。これは、膨張に因る面積の増加は、依然として、細胞体の境界を越
えて伸びていないことを意味する。各膨張中に、nfrontおよびnadde
dの数を、核小体画像中の各連結要素について測定する。Nfrontは、単に
追加のピクセルによる膨張である、単純な(条件のない)膨張により連結要素に
加えられる、ピクセルの数である。Nfrontは、最新の膨張に因る物体の、
ピクセル数で測定した、新しい円周と考えることができる。Naddedは、条
件付膨張により実際に加えられる、ピクセルの数である。1ピクセルの膨張後に
、蓄積画像で正である新しい円周のピクセルのみを計測するので条件付である。
従って、naddedは、バイナリ蓄積画像で1の強度を有する、新しい円周の
ピクセルの数である。nadded/nfrontの比が、膨張の経過で、幾人
かのユーザーにより定義された閾値数よりも低いとコンピュータ計算された場合
(我々は、経験的に、0.05から0.3の範囲が我々の試験画像で作動するこ
とを発見する)、これ以上の連結要素の膨張を実施しない。これは、細胞体の限
界に達し、膨張がもはや必要ではないことを意味する。バイナリ蓄積画像で正で
ある、その後の膨張における追加のピクセルは、細胞体から成長している実際の
神経突起に属する。細胞体の限界は、細胞体面積として報告できる。全ての連結
要素がこの段階を達成すると(すなわち、全ての個々の核が、この段階まで処理
されると)、次の方法の段階を開始する。
【0229】 この時点で、核小体画像は、各神経細胞体について、1つの連結要素(すなわ
ち1つの実体)を含む。
【0230】 繰返し相:次の段階は、各細胞体から伸びている神経突起を同定することであ
る。このために、1つの条件付膨張を、核小体画像に実施して、各神経突起スタ
ブを同定する。膨張画像なる語は、膨張により加えられた、正のバイナリピクセ
ルのみを含む画像を記載する。膨張画像中の各連結要素は、節と称される。各節
を使用して、1節神経突起データ構造を初期化する。神経突起データ構造は、複
数の分岐を含む可能性があり、他の神経突起と接続している可能性があり、神経
細胞体から外に伸びているので、物理的神経突起を示すと捉えられる。
【0231】 次に、条件付膨張は、核小体画像のピクセルに連続的な、蓄積画像からのさら
なるピクセルがなくなるまで、核小体画像上に連続的に実施する。各々のかかる
膨張により生じた膨張画像において、節のセットをコンピュータ計算する。各節
は、神経突起物体の連続、神経突起物体の分岐、または2つの神経突起物体の接
続を示す。節の1つ以上のピクセルが、神経突起物体のピクセルに隣接している
場合に、節と既存の神経突起物体の間に会合が形成される。節が、1つ以上の神
経突起物体と会合している場合、それは接続点を示す。複数の節が神経突起物体
と会合している場合、それは分岐点を示す。節が唯1つの神経突起物体と会合し
、その神経突起物体が前記の節のみと会合している場合、節は、神経突起物体の
伸長である。伸長、分岐または接続を記録する。接続の場合、関与する神経突起
物体は融合する。
【0232】 全神経突起が、その連結された節のセットを繋ぎ、次いで神経突起長を測定す
ることにより同定される。閾値長の基準を適用して、異なる神経突起を分類し得
る。かかる基準の1つの適用は、短すぎる神経突起を拒否することであろう。各
神経突起の起源は、それが起始するニューロンに会合している。これを実施する
1つの方法は、神経突起の起源の節を、最も近い細胞体または核ピークに繋ぐこ
とである。特定の細胞型(例えばPC12細胞)では、ニューロンはクラスター
を形成し、クラスター内の細胞の部分集合のみが神経突起を伸長する。神経突起
とその起始ニューロンとのこの会合により、神経突起および細胞のクラスター内
のその起始細胞が同定される。
【0233】 出力特徴: 種々の異なる量を、この方法により測定できる。第1に、細胞数およびニュー
ロン数を測定および報告できる。各神経突起について、全長(全てのその分岐の
長さの合計として測定)および分岐数を測定できる。各々の核について、それか
ら出現する神経突起の数を測定できる。各クラスターについて、フォームファク
タ(円周÷(4π×面積))を測定し、神経突起成長度として報告する。さら
に、各々の核からの神経突起長を合計し、閾値長よりも長い場合、核を、神経突
起成長について正と同定する。これらの測定は、種々の方法で合わせて、表2に
報告した出力特徴を出すことがでる。
【0234】 好ましい実施形態の実証 1.PC6−3細胞における神経突起成長の測定 PC6−3細胞(PC12細胞のサブクローン)を、コラーゲンでコーティン
グしておいた、96ウェルマイクロプレートで増殖した。ウェルは、神経突起成
長を刺激するための種々の濃度のNGF(神経成長因子)(0〜1000ng/
ml)を含んだ。対照個体群は、NGFを含まなかった。2日後、細胞を固定し
、間接的な免疫蛍光を、ウサギ抗βIII−チューブリン一次抗体およびALE
XAFLUOR(商標)488コンジュゲートヤギ抗ウサギ二次抗体(モレキュ
ラー・プローブ)を使用して、βIII−チューブリンに対して実施した。次い
で、細胞を3.7%ホルムアルデヒド中で20分間固定し、固定溶液はまた、そ
の核を標識するための10μg/mlのヘキスト33342を含んだ。細胞を、
本発明の細胞スクリーニングシステムで画像化し、次いで、上記したプロトタイ
プ法で解析した。以下に示した結果は、NGF濃度の関数である、フォームファ
クタおよび平均神経突起長についてである。
【0235】
【表3】 2.PC12細胞の神経突起に対するドーパミン毒性の測定 PC12細胞を、1μg/mlのNGFの存在下で、コラーゲンIVでコーテ
ィングしたウェルを有する、96ウェルマイクロプレート上で7日間増殖した。
種々の濃度のドーパミンを3時間で加え、その後、細胞を3.7%ホルムアルデ
ヒド中で20分間で固定し;固定溶液はまた、10μg/mlのヘキスト333
42も含んだ。細胞を、βIII−チューブリンに対するウサギ一次抗体、およ
び、ALEXAFLUORTM 488コンジュゲートヤギ抗ウサギ二次抗体を
使用して、間接的な免疫蛍光により染色した。細胞を、本発明の細胞スクリーニ
ングシステムで画像化し、次いで、上記したプロトタイプ法で解析した。以下に
示した結果は、ドーパミン濃度の関数である、神経突起成長係数(表2参照)に
ついてである。各データ点は、8ウェルの平均結果であり、誤差棒は標準偏差で
ある。このデータからの神経突起に対するドーパミン毒性についてのIC50
50%阻止濃度)は0.46mMである。
【0236】
【表4】 b.別の画像獲得実施形態(図26および27A―B参照) 別の実施形態において、この方法は、特定の状態、この場合、細胞型の混合し
た個体群を含む培養液中のニューロンである、フィールド中の細胞の比率を測定
する。陽性状態は、細胞が明るく蛍光であることを意味し、陰性状態は、細胞が
蛍光をほとんどまたは全く有さないことを意味する。ニューロン特異的レポータ
分子を使用する場合、陽性状態は、どの神経細胞についても起こり、陰性状態は
全ての他の細胞について起こる。ニューロンを同定するために、2つの画像を、
上記に考察したように、1フィールドあたりで捉える。陽性状態の細胞数を、全
細胞の総数と比較して、フィールド中の陽性状態の細胞の比率を得る。
【0237】 さらに、異なるタイプのニューロンの混合物を、神経突起成長についてアッセ
イできる。解析する各ニューロン亜個体群を、別個のレポータ分子により同定す
る。かかる方法は、例えば、特定の神経伝達物質受容体に対する免疫蛍光により
、混合個体群において、コリン作動性ニューロンからGABA作動性ニューロン
を区別するために使用できる。
【0238】 この別の実施形態は、以下のように要約する: 検出閾値のコンピュータ計算 2つの対照ウェルを使用する:全細胞が陽性状態にある試料、および、全細胞
が陰性状態にある試料。陽性状態の細胞を明るく標識し、陰性状態の細胞はそう
しない。細胞セグメンテーションを向上するために、全ての画像を、ユーザーの
決定した面積におよぶ局所平均強度を差し引くことにより、バックグラウンド補
正できる。陰性対照では、細胞を含まないバックグラウンドおよび細胞の強度分
布の変動を最小限にするように設定する。陽性対照では、細胞を含まないバック
グラウンドおよび細胞の強度分布の変動を最小限にするように設定する。陽性状
態検出閾値は、対照画像からコンピュータ計算した閾値の秤量合計として設定す
る。
【0239】 核の検出および計測(ヘキストで標識) 核画像を、局所平均の差し引きにより、バックグラウンド補正する。閾値を画
像に適用する。画像は、細胞を含まないバックグラウンドの薄いピクセルおよび
細胞に関連したより明るいピクセルに因る、二項強度分布を有する。閾値は、こ
れらの2つの分布の変動を最小限にするように設定する。8連結要素を標識およ
び計測する。これにより、各々の核により覆われる面積が同定され、各々の個々
の核のマスクが設定される。
【0240】 陽性状態の検出および計数 核マスク画像の8連結要素を標識する。陽性状態の細胞を発光で標識した画像
を、局所平均の差し引きにより、バックグラウンド補正する。次いで、陽性状態
の細胞を、固定または自動閾値(陽性状態検出閾値より高いピクセルの選択)に
より選択する。
【0241】 次いで、陽性細胞を、「形態学的」または「Blob解析」方法により同定す
る: a.形態学的方法(図28):形態学的膨張(例えば5つのピクセルの)を選
択した面積に適用する。選択した面積は、論理的に核マスクで「AND」し、次
いで、得られた面積の8連結要素を標識および計測する。
【0242】 b.Blob解析法(図29):選択した面積は、論理的に、核マスクの各々
の別々の8連結要素で「AND」する。得られた画像の面積を、閾値(拒絶閾値
)と比較し、より大きい場合、細胞を、陽性状態と計測する。
【0243】 陽性状態の細胞(例えばニューロン)を神経突起成長アッセイに連関させる 各々のウェルについて、検出された核の数および陽性状態(すなわちニューロ
ンである)の核の数を、記録および報告する。1ピクセルあたりの全積分強度お
よび平均強度も報告できる。次に、神経突起成長法を、陽性状態の神経細胞に適
用して、その神経突起成長を定量および特徴づける。陽性状態の核を使用して、
陽性状態の細胞を係数化し、追跡する。
【0244】 神経突起成長度の測定 神経突起成長度を測定するために、神経細胞または細胞クラスターの円周およ
び面積の両方を測定する。神経突起成長度を定量するために、我々は、上記で考
察したような、フォームファクタ(FF)を使用する。関与する一連の段階の要
約は以下の通りである: 1.バックグラウンド補正:好ましい実施形態と同じ 2.画像バイナリ化:その後、画像をバイナリ化して、全ての選択した細胞を
用いてマスク画像を作成する。
【0245】 3.成長度:バイナリ化画像の連結要素を標識し、その各々が、個々の細胞ま
たは細胞クラスターを示す。各要素の円周、面積およびフォームファクタをコン
ピュータ計算する。
【0246】 4.分岐同定:全ての分岐をコンピュータ計算するために、最初に細胞分岐を
、モルフォロジーオープニング(例えば画像プロセシングによる画像の侵食)を
最初のマスク画像に適用することにより除去する。次いで、骨格抽出したマスク
画像(上でコンピュータ計算)から、領域の主な細胞体を差し引く。これにより
、細胞分岐の骨格のみ残る。
【0247】 5.トリプル点同定:トリプル点は、1つの分岐が、2つまたは多数の分岐に
分割しているか、または異なる神経突起分岐が交差している接合部である。この
画像を解析して、トリプル点を発見および計測する。次いで、これらの点を、画
像から取り出し、各分岐およびその亜分岐を分離する。連結要素標識を使用して
、分岐および亜分岐の数を計測し、各物体(分岐)のピクセル数を計測すること
により、各々の別々の分岐の長さもコンピュータ計算する。
【0248】 トリプル点特徴づけ:画像獲得を、トリプル点をさらに特徴づける特徴を含め
るように膨張できる。上記したように、トリプル点は、異なる細胞の神経突起が
交差する場所であり得る。連結がこれらの異なる神経突起間でなされる場合、こ
れらの連結に特徴的な特定のタンパク質が発現され得る。例は、シナプトブレビ
ンなどのシナプス小胞タンパク質であり得る。アッセイに使用したその他のもの
と区別できるスペクトルを有するフルオロフォアを使用した、これらのタンパク
質に対する免疫蛍光により、連結がなされたかどうかを決定できる。ニューロン
発光標識と比較して、トリプル点が実際に、タンパク質に対して免疫蛍光と同じ
場所に配置しているかどうかを決定することにより、トリプル点が特徴づけられ
、神経突起間の連結がなされているかどうかが測定および定量される。
【0249】 別の画像獲得実施形態を使用した実証データ 1.PC12細胞における神経突起成長の測定 PC12細胞を、ウェルをコラーゲンでコーティングしておいた、96ウェル
マイクロプレートで増殖した。ウェルのいくつかは、神経突起成長を刺激するた
めのNGF(神経成長因子)(0.5〜1μg/ml)を含んだ。対照個体群は
、NGFを含まなかった。2日後、細胞を製造業者の指示に従ってCMFDAで
標識した。次いで、細胞を3.7%ホルムアルデヒド中で10分間で固定し、固
定溶液はまた、その核を標識するための10μg/mlのヘキスト33342を
含んだ。細胞を、本発明の細胞スクリーニングシステムで画像化し、次いで、上
記したプロトタイプ法で解析した。最初に、細胞フォームファクタを計算した。
【0250】
【表5】 神経突起成長法を、NGFで処理しておいた細胞のクラスターに適用した結果
は、細胞クラスターに以下の解析を戻した:
【表6】 実施形態11 追加のスクリーン 形質膜と細胞質の間の転位置 プロフィラクチン複合体の解離およびプロフィリンの形質膜への結合 1つの実施形態において、プロフィリン膜結合の蛍光タンパク質バイオセンサ
ーを、精製プロフィリン(フェデロブ(Federov)ら(1994)J.Molec
.Biol.241:480〜482;ランブレッツ(Lanbretchts)ら(199
5)Eur.J.Biochem.230:281〜286)を、2〜300n
秒の範囲の蛍光寿命を有するプローブで標識することにより調製する。標識プロ
フィリンを、バルク添加方法を使用して、指標生細胞に導入し、指標細胞を、試
験化合物で処理する。蛍光異方性画像化顕微鏡(ゴー(Gough)およびテーラー(
1993)J.Cell.Biol.121:1095〜1107)を使用して
、0.1秒から10時間までの範囲の処理後のある期間、細胞質と膜の間の、プ
ロフィリンの蛍光誘導体の、試験化合物依存的な移動を測定する。
【0251】 Rho−RhoGDI複合体の膜への転位置 別の実施形態において、指標細胞を試験化合物で処理し、次いで、固定、洗浄
および透過化処理した。指標細胞形質膜、細胞質、および核を全て、別個の色の
マーカで標識し、次いで、Rhoタンパク質(セルフ(Self)ら(1995)Me
thods in Enzymology 256:3〜10;タナカ(Tanaka)
ら(1995)、Methods in Enzymology 256:41
〜49)を、第4の色で標識した抗体で抗原局在化する。4つの各標識を、細胞
スクリーニングシステムを使用して別々に画像化し、この画像を使用して、試験
化合物により奏効される転位置の阻害または活性化の量を計算する。この計算を
行なうために、形質膜および細胞質に印しを付すのに使用したプローブの画像を
使用して、免疫学的プローブの画像をマスクし、細胞内Rhoタンパク質の位置
に印しを付す。各マスク下での単位面積あたりの積分輝度を使用して、形質膜積
分輝度/面積を、細胞質積分輝度/面積で割ることにより、転位置指数を形成す
る。対照および実験ウェルの転位置指数値を比較することにより、転位置の比率
を、各々の可能性あるリード化合物について計算する。
【0252】 G−タンパク質受容体活性化時における、β−アレスチンの形質膜への転位置 細胞質から膜への転位置の高含量スクリーンの別の実施形態において、細胞処
理に応答した、細胞質から形質膜へのβ−アレスチンタンパク質の転位置を測定
する。転位置を測定するために、発光ドメインマーカを含む指標生細胞を試験化
合物で処理し、β−アレスチンマーカの移動を、本発明の細胞スクリーニングシ
ステムを使用して、時間的および空間的に測定する。好ましい実施形態において
、指標細胞は、一過性または安定な細胞トランスフェクションの使用により指標
細胞により発現される、緑蛍光タンパク質β−アレスチン(GFP−β−アレス
チン)タンパク質基キメラ(バラク(Barak)ら(1997)J.Biol.Ch
em.272:27497〜27500;ダーカ(Daaka)ら(1998)J.B
iol.Chem.273:685〜688)、および、細胞質および膜ドメイ
ンに印しを付すのに使用する他のレポータからなる発光マーカを含む。指標細胞
が休止状態にある場合、ドメインマーカ分子は、主に、形質膜または細胞質に分
配する。高含量スクリーンにおいて、これらのマーカを使用して、別個の蛍光チ
ャネルにおける、細胞質および形質膜を描写する。指標細胞を試験化合物で処理
する場合、GFP−β−アレスチンの動力学的再分布を、0.1秒から10時間
の範囲の時間尺度におよび、一連の画像として記録する。好ましい実施形態にお
いて、時間尺度は1時間である。各画像を、形質膜と細胞質の間のGFP−β−
アレスチンタンパク質キメラの移動を定量する方法により解析する。この計算を
行なうために、形質膜および細胞質に印しを付すのに使用するプローブの画像を
使用して、GFP−β−アレスチンプローブの画像をマスクし、細胞内GFP−
β−アレスチンタンパク質の位置に記しを付す。各マスク下での単位面積あたり
の積分輝度を使用して、形質膜積分輝度/面積を、細胞質積分輝度/面積で割る
ことにより、転位置指数を形成する。対照および実験ウェルの転位置指数値を比
較することにより、転位置の比率を、各々の可能性あるリード化合物について計
算する。高含量スクリーンの出力は、目的の試験化合物で処理しておいた、大量
の個々の細胞内の転位置の大きさを記載した量的データに関する。
【0253】 小胞体とゴルジ体の間の転位置 小胞体からゴルジ体への転位置の高含量スクリーンの1つの実施形態において
、細胞処理に応答した、小胞体口内炎ウイルスのts045変異株由来のVSV
Gタンパク質(エレンバーグ(Ellenberg)(1997)J.Cell.Biol
.138:1193〜1206;プレスリー(Presley)ら(1997)Natu
re 389:81〜85)の、小胞体からゴルジ体ドメインまでの転位置を測
定する。転位置を測定するために、発光レポータを含む指標細胞を試験化合物で
処理し、レポータの移動を、本発明の細胞スクリーニングシステムを使用して空
間的および時間的に測定する。指標細胞は、一過性または安定な細胞トランスフ
ェクションの使用により指標細胞により発現される、GFP−VSVGタンパク
質キメラからなる発光レポータ、および、小胞体およびゴルジ体ドメインの局在
を測定するのに使用する他のドメインマーカを含む。指標細胞が40℃でその休
止状態にある場合、GFP−VSVGタンパク質キメラ分子は主に小胞体に分配
する。この高含量スクリーンにおいて、別個の色のドメインマーカを、別個の蛍
光チャネルにおける、小胞体およびゴルジ体ドメインの描写に使用した。指標細
胞を試験化合物で処理し、温度を同時に32℃まで下げる場合、GFP−VSV
Gタンパク質キメラの動力学的再分布は、0.1秒から10時間までの範囲の時
間尺度におよび、一連の画像として記録する。各画像を、小胞体とゴルジ体ドメ
インの間のGFP−VSVGタンパク質キメラの移動を定量する方法により測定
する。この計算を行なうために、小胞体およびゴルジ体ドメインに印しを付すの
に使用したプローブの画像を使用して、GFP−VSVGプローブの画像をマス
クし、細胞内GFP−VSVGタンパク質の位置に印しを付す。各マスク下での
単位面積あたりの積分輝度を使用して、小胞体積分輝度/面積を、ゴルジ体積分
輝度/面積で割ることにより、転位置指数を形成する。対照および実験ウェルの
転位置指数値を比較することにより、転位置の比率を、各々の可能性あるリード
化合物について計算する。高含量スクリーンの出力は、1分間から10時間まで
の範囲の期間、10−12Mから10−3Mの範囲の最終濃度の、目的の試験化
合物で処理しておいた、大量の個々の細胞内の転位置の大きさを記載した量的デ
ータに関する。
【0254】 巨大分子の機能的局在化に関与する高含量スクリーン このクラスの高含量スクリーン内で、外的刺激に応答した巨大分子の機能的局
在化を、生細胞内で測定する。
【0255】 糖分解酵素活性調節。細胞酵素活性高含量スクリーンの好ましい実施形態にお
いて、処理細胞の、重要な糖分解調節酵素の活性を測定する。酵素活性を測定す
るために、発光標識試薬を含む指標細胞を、試験化合物で処理し、レポータの活
性を、本発明の細胞スクリーニングシステムを使用して空間的および時間的に測
定する。
【0256】 1つの実施形態において、細胞内酵素活性のレポータは、フルクトース−6−
リン酸、2−キナーゼ/フルクトース−2,6−ビスホスファターゼ(PFK−
2)、リン酸化状態により細胞内の炭水化物の同化または異化が示される調節酵
素である(デプレッツ(Deprez)ら(1997)J.Biol.Chem 272
:17269〜17275;ケーラー(Kealer)ら(1996)FEBS Let
ters 395:225〜227;リー(Lee)ら(1996)Biochem
istry 35:6010〜6019)。指標細胞は、PFK−2リン酸化の
蛍光タンパク質バイオセンサーからなる、発光レポータを含む。蛍光タンパク質
バイオセンサーは、酵素の既知のリン酸化部位の近辺に、環境的に感度の高い蛍
光色素を導入することにより作成する(デプレッツら(1997)上記;ジュリ
アノら(1995)上記)。色素は、ケトシアニンのクラス(ケスラー(Kessler
)およびウルフバイス(Wolfbeis)(1991)Spectrochimica
Acta 47A:187〜192)、または、その励起および発光スペクトル
が溶液の極性に感受性である、タンパク質反応性部分および蛍光色素を含む任意
のクラスであり得る。蛍光タンパク質バイオセンサーを、バルク添加方法を使用
して、指標細胞に導入する。
【0257】 指標生細胞を、0.1秒から10時間までの範囲の時間、10−12Mから1
−3Mの範囲の最終濃度の試験化合物で処理する。好ましい実施形態において
、画像データ比は、各時点における蛍光画像のスペクトル対を収集することによ
り、処理した指標生細胞から得る。各時点から形態計測データを抽出するために
、各時点の2つのスペクトル画像を、ピクセルに対してピクセルで割ることによ
り、各画像対間の比を出す。次いで、各ピクセル値を使用して、PFK−2のリ
ン酸化の割合を計算する。リン酸化の割合の低い値では、PFK−2は、炭水化
物異化を刺激する。リン酸化の割合の高い値では、PFK−2は、炭水化物同化
を刺激する。
【0258】 プロテインキナーゼAの活性およびサブユニットの局在。高含量スクリーンの
別の実施形態において、試験化合物による処理に応答した、指標細胞内のプロテ
インキナーゼA(PKA)のドメイン局在化および活性の両方を測定する。
【0259】 指標細胞は、PKA活性化の蛍光タンパク質バイオセンサーを含む、発光レポ
ータを含む。蛍光タンパク質バイオセンサーは、環境的に感度の高い蛍光色素を
、PKAの調節サブユニットと相互作用することが知られる部位に近い、PKA
の触媒サブユニットに導入することにより作成する(ハローツニアン(Harootuni
an)ら(1993)Mol.Biol.of the Cell 4:933〜
1002;ジョンソン(Johnson)ら(1996)Cell 85:149〜15
8;ジュリアノら(1995)上記)。色素は、ケトシアニンのクラス(ケスラ
ーおよびウルフバイス(1991)Spectrochimica Acta
47A:187〜192)、または、その励起および発光スペクトルが溶液の極
性に感受性である、タンパク質反応性部分および蛍光色素を含む任意のクラスで
あり得る。PKA活性化の蛍光タンパク質バイオセンサーを、バルク添加方法を
使用して、指標細胞に導入する。
【0260】 1つの実施形態において、標識生細胞を、0.1秒から10時間までの範囲の
時間、10−12Mから10−3Mの範囲の最終濃度の試験化合物で処理する。
好ましい実施形態において、画像データ比は、処理した指標生細胞から得る。各
時点からバイオセンサーデータを抽出するために、各画像対間の比を出し、次い
で、各ピクセル値を使用して、PKAのリン酸化の割合を計算する(例えば、c
AMP結合後の触媒および調節サブユニットの分離)。活性の割合の高い値では
、PFK−2は、生細胞内の生化学的カスケードを刺激する。
【0261】 PKAの触媒サブユニットの転位置を測定するために、発光レポータを含む指
標細胞を、試験化合物で処理し、レポータの移動を、細胞スクリーニングシステ
ムを使用して空間的および時間的に測定する。指標細胞は、細胞質および核ドメ
インの局在化の測定に使用するドメインマーカからなる、発光レポータを含む。
指標細胞を試験化合物で処理する場合、PKA蛍光タンパク質バイオセンサーの
動力学的再分布を、細胞内で、0.1秒から10時間の範囲の時間尺度におよび
、一連の画像として記録する。各画像を、細胞質と核ドメインの間のPKAの移
動を定量する方法により解析する。この計算を行なうために、細胞質および核ド
メインに印しを付すのに使用するプローブの画像を使用して、PKA蛍光タンパ
ク質バイオセンサーの画像をマスクする。各マスク下での単位面積あたりの積分
輝度を使用して、細胞質積分輝度/面積を、核積分輝度/面積で割ることにより
、転位置指数を形成する。対照および実験ウェルの転位置指数値を比較すること
により、転位置の比率を、各々の可能性あるリード化合物について計算する。高
含量スクリーンの出力は、10−12Mから10−3Mの濃度範囲の試験化合物
で処理しておいた、大量の個々の細胞内の転位置の大きさを記載した量的データ
に関する。
【0262】 遺伝子発現の誘導または阻害に関与する高含量スクリーン RNAをベースとした蛍光バイオセンサー 細胞骨格タンパク質の転写およびメッセージ局在化。細胞−基質粘着、細胞−
細胞粘着、シグナル伝達、細胞周期事象、中間およびシグナル伝達分子の代謝、
細胞歩行運動、細胞−細胞伝達、および細胞死を含む、一般的なクラスの細胞生
理的応答の調節は、遺伝子発現の変化を含み得る。高含量スクリーンはまた、こ
のクラスの生理的応答を測定するように設計できる。
【0263】 1つの実施形態において、細胞内遺伝子発現のレポータは、標的mRNAとハ
イブリッド形成でき、その蛍光シグナルを変化できる、オリゴヌクレオチドであ
る。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、蛍光シグナルが細胞間
および細胞内相互作用に依存する、発光をベースとした試薬である、molec
ular beacon(ティヤギ(Tyagi)およびクレマー(Kramer)(1996
)Nat.Biotechnol.14:303〜308)。蛍光バイオセンサ
ーは、試薬の各末端(5’および3’)に1つあるように、蛍光色素の蛍光エネ
ルギー伝達対を導入することにより作成する。色素は、励起および発光スペクト
ルが、休止状態の色素間の蛍光エネルギー伝達を提供するに十分な程、重複して
いる、フルオレセインおよびローダミン(モレキュラー・プローブ社)を含むが
これに限定されない、タンパク質反応性部分および蛍光色素を含む、任意のクラ
スであり得る。好ましい実施形態において、β−アクチン(キスラウスキース(K
islauskis)ら(1994)J.Cell.Biol.127:441〜451;
マッカン(McCann)ら(11997)Proc.Natl.Acad.Sci.9
4:5679〜5684;ストー(Sutoh)(1982)Biochemistr
y 21:3654〜3661)をコードするメッセージの一部を、分子内ハイ
ブリッド形成により末端が共に繋がっている、ヘアピン形のオリゴヌクレオチド
のループ領域に挿入する。バイオセンサーの各末端で、蛍光ドナー(フルオレセ
イン)および蛍光アクセプター(ローダミン)が共有結合している。繋がった状
態で、蛍光エネルギー伝達は最大であり、それ故、ハイブリッド形成していない
分子を示す。β−アクチンをコードするmRNAとハイブリッド形成した場合、
繋ぎは壊れ、エネルギー伝達は失なわれる。完全な蛍光バイオセンサーを、バル
ク添加技術を使用して、指標細胞に導入する。
【0264】 1つの実施形態において、指標生細胞を、0.1秒から10時間までの範囲の
時間、10−12Mから10−3Mの範囲の最終濃度の試験化合物で処理する。
好ましい実施形態において、画像データ比は、指標生細胞から得る。各時点から
形態計測データを抽出するために、各画像対間の比を出し、次いで、各ピクセル
値を使用して、標識ヌクレオチドのハイブリッド形成の割合を計算する。ハイブ
リッド形成の割合の低い値では、β−アクチンの発現はほとんど示されない。リ
ン酸化の割合の高い値では、β−アクチンの最大発現が示される。さらに、指標
細胞の細胞質内のハイブリッド形成分子の分布も、指標細胞の生理的応答の測定
値である。
【0265】 リガンドの細胞表面結合 生細胞におけるその細胞表面受容体への標識インスリンの結合。形質膜ドメイ
ンを特定の色の標識試薬で標識しておいた細胞を、適切な条件下で、適切な時間
、異なる色の発光プローブで標識した、インスリン分子を含む溶液と共にインキ
ュベートする(リーら(1997)Biochemistry 36:2701
〜2708;マルチネス-ザグイラン(Martinez-Zaguilan)ら(1996)Am.
J.Physiol.270:C1438〜C1446)。インキュベート後、
非結合インスリン分子を洗浄して除去し、細胞を固定し、インスリンの形質膜上
での分布および濃度を測定する。これを行なうために、細胞膜画像を、インスリ
ン画像のマスクとして使用する。マスクしたインスリン画像からの積分強度を、
既知量の標識インスリンを含む1セットの画像と比較する。細胞に結合したイン
スリンの量を、標準から決定し、細胞と共にインキュベートしたインスリンの総
濃度と共に使用して、解離定数またはその細胞表面受容体へのインスリンを計算
する。
【0266】 細胞区分の標識 全細胞標識 全細胞標識は、細胞の形状の動力学および細胞の移動を、細胞の蛍光画像を解
析することにより、時間をかけて測定できるように、細胞成分を標識することに
より行なわれる。
【0267】 1つの実施形態において、小さな反応性蛍光分子を、生細胞に導入する。これ
らの膜透過性分子は、拡散し、また、形質膜中のタンパク質成分と反応する。色
素分子は、細胞内分子と反応して、各分子から放出される蛍光シグナルを増加さ
せ、また、生細胞内の蛍光色素も包括する。これらの分子は、アミノクマリン、
ヒドロキシクマリン、エオシンジアセテート、フルオレセインジアセテートの反
応性クロロメチル誘導体、いくつかのBodipy色素誘導体、およびテトラメ
チルローダミンを含む。これらの色素の巨大分子に対する反応性は、遊離一級ア
ミノ基および遊離スルフヒドリル基を含む。
【0268】 別の実施形態において、細胞を、細胞表面上の分子と特異的に反応する、蛍光
標識抗体またはレクチン(シグマ・ケミカル社、St.Louis、MO)と相
互作用させることにより、細胞表面を標識する。緑蛍光タンパク質またはその変
異体の成分を含む、目的の細胞により発現される、細胞表面タンパク質キメラを
使用して、全細胞表面を蛍光標識できる。一旦、全細胞を標識すると、全細胞ま
たは細胞アレイの画像は、細胞形状、移動性、サイズ、および成長および分裂の
測定を含む、高含量スクリーンのパラメータとなり得る。
【0269】 形質膜標識 1つの実施形態において、全形質膜の標識は、全細胞の標識について上記した
のと同じ方法のいくつかを使用する。全細胞表面を標識する発光分子は、形質膜
を描写するように作用する。
【0270】 第2の実施形態において、形質膜のサブドメイン、細胞外表面、脂質二重層、
および細胞内表面は、別々に標識して、高含量スクリーンの要素として使用でき
る。第1の実施形態において、細胞外表面を、フルオレセイン、ローダミン、シ
アニンおよびボディフィス(Bodiphys)などの、蛍光色素のスクシンイミジルエス
テルまたはヨードアセトアミド誘導体などの、反応性蛍光分子での簡潔な処理を
使用して標識する。
【0271】 第3の実施形態において、細胞外表面を、細胞表面分子に高い親和性を有する
、蛍光標識した巨大分子を使用して標識する。これらは、タチナタマメ(Con
A)、レッドキドニービーン(赤血球凝集素PHA−E)、または小麦から得ら
れた、レクチンのフルオレセイン、ローダミン、およびシアニン誘導体などの、
蛍光標識レクチンを含む。
【0272】 第4の実施形態において、細胞表面成分に対して高い親和性を有する蛍光標識
抗体を使用して、形質膜の細胞外領域を標識する。細胞表面受容体の細胞外領域
およびイオンチャネルは、抗体で標識できるタンパク質の例である。
【0273】 第5の実施形態において、形質膜の脂質二重層を、蛍光分子で標識する。これ
らの分子は、形質膜脂質二重層の中心の疎水性領域と強く相互作用する、長鎖疎
水性分子に付着した、蛍光色素を含む。これらの色素の例は、PKHシリーズの
色素(米国特許第4,783,401号、第4,762,701号および第4,
859,584号;シグマ・ケミカル社、St.Louis、MOから市販され
ている)、蛍光リン脂質、例えばニトロベンゾキサジアゾールグリセロホスホエ
タノールアミン、およびフルオレセイン誘導体化ジヘキサデカノイルグリセロホ
スホエタノールアミン、蛍光脂肪酸、例えば5−ブチル−4,4−ジフルオロ−
4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−ノナン酸および1−ピレ
ンデカノン酸(モレキュラー・プローブ社)、コレステリル4,4−ジフルオロ
−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−ド
デカノエートおよびコレステリル1−ヘキサノエートを含む蛍光ステロール、お
よび、アネキシンVの蛍光誘導体(カルタグ・アンチボディ社(Caltag Antibody
Co,)Burlingame,CA)などの脂質二重層に特異的に相互作用する
蛍光標識タンパク質を含む。
【0274】 別の実施形態において、形質膜の細胞内成分を、蛍光分子で標識する。これら
の分子の例は、3量体G−タンパク質受容体の細胞内成分、アデニル酸シクラー
ゼ、およびイオン輸送タンパク質である。これらの分子は、蛍光標識した特異的
抗体への強固な結合の結果として、または、膜会合タンパク質および緑蛍光タン
パク質およびその変異体からなる、蛍光タンパク質キメラの取り込みにより標識
できる。
【0275】 エンドソーム蛍光標識 1つの実施形態において、受容体により媒介されるエンドサイトーシスにより
細胞に輸送されるリガンドを使用して、エンドソーム細胞小器官の動力学を追跡
する。標識リガンドの例は、Bodipy FL標識低密度リポタンパク質複合
体、テトラメチルローダミントランスフェリン類似体、および蛍光標識した表皮
増殖因子(モレキュラー・プローブ社)を含む。
【0276】 第2の実施形態において、エンドソームリガンドを特異的に標識する、蛍光標
識した一次または二次抗体(シグマ・ケミカル社,St.Louis,MO;モ
レキュラー・プローブ社,Eugene,OR;カルタグ・アンチボディ社)を
使用して、細胞中のエンドソーム区分に印しを付す。
【0277】 第3の実施形態において、エンドソームを、緑蛍光タンパク質またはその変異
体を、内部移行によりエンドソームが標識される受容体と融合することにより形
成した、タンパク質キメラを発現している細胞において、蛍光標識する。EGF
、トランスフェリン、および低密度リポタンパク質受容体のキメラは、これらの
分子の例である。
【0278】 リソソーム標識 1つの実施形態において、膜透過リソソーム特異的発光試薬を使用して、生お
よび固定細胞のリソソーム区分を標識する。これらの試薬は、発光分子ニュート
ラルレッド、N−(3−((2,4−ジニトロフェニル)アミノ)プロピル)−
N−(3−アミノプロピル)メチルアミン、および、リソソーム内のpHを報告
するLyso Trackerプローブ、並びに、リソソーム(モレキュラー・
プローブ社)の動力学的分布を含む。
【0279】 第2の実施形態において、リソソーム抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社
;モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定の
リソソームドメインに局在化する、リソソーム成分を標識する。これらの成分の
例は、コレステロールエステル加水分解、膜タンパク質プロテアーゼ、およびヌ
クレアーゼ、並びに、ATPにより駆動するリソソームプロトンポンプに関与す
る、分解酵素である。
【0280】 第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的な
発光タンパク質に遺伝子的に融合した、リソソームタンパク質からなるタンパク
質キメラを使用して、リソソームドメインを標識する。これらの成分の例は、コ
レステロールエステル加水分解、膜タンパク質プロテアーゼ、おおびヌクレアー
ゼ、並びに、ATPにより駆動するリソソームプロトンポンプに関与する、分解
酵素である。
【0281】 細胞質蛍光標識 1つの実施形態において、反応性基を有する細胞透過蛍光色素(モレキュラー
・プローブ社)を生細胞と反応させる。モノブロモビマン、5−クロロメチルフ
ルオレセインジアセテート、カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイ
ミジルエステル、およびクロロメチルテトラメチルローダミンを含む、反応性色
素は、細胞の細胞質の長期標識に使用する、細胞透過性蛍光色素の例である。
【0282】 第2の実施形態において、ルシファーイエローおよびカスケードブルーをベー
スとした蛍光色素(モレキュラー・プローブ社)などの、極性のトレーサー分子
を、バルク添加法を使用して細胞に導入し、細胞質標識に使用する。
【0283】 第3の実施形態において、細胞質成分に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モ
レキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、細胞質を蛍
光標識する。細胞質抗原の例は、中間体代謝に関与する多くの酵素である。エノ
ラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、およびアセチル−CoAデヒドロゲナーゼは
、均一に分布している細胞質抗原の例である。
【0284】 第4の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの、内因的
に発光するタンパク質に遺伝子的に融合した、細胞質タンパク質からなるタンパ
ク質キメラを使用して、細胞質を標識する。均一に分布したタンパク質の蛍光キ
メラを使用して、全細胞質ドメインを標識する。これらのタンパク質の例は、中
間体代謝に関与する多くのタンパク質であり、エノラーゼ、乳酸デヒドロゲナー
ゼ、およびヘキソキナーゼを含む。
【0285】 第5の実施形態において、細胞質抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モ
レキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定の細胞
質サブドメインに局在する、細胞質成分を標識する。これらの成分の例は、細胞
骨格タンパク質であるアクチン、チューブリン、およびサイトケラチンである。
細胞内でのこれらのタンパク質の個体群は、別個の構造に構築され、これはこの
場合、繊維状である。それ故、抗体をベースとした試薬でこれらのタンパク質を
蛍光標識すると、細胞質の特定のサブドメインが標識される。
【0286】 第6の実施形態において、細胞質タンパク質と強力に相互作用する、抗体をベ
ースとしていない蛍光標識分子を使用して、特定の細胞質成分を標識する。一例
は、酵素DNAseIの蛍光類似体(モレキュラー・プローブ社)である。この
酵素の蛍光類似体は、細胞質のアクチンに強固かつ特異的に結合し、よって、細
胞質のサブドメインを標識する。別の例では、マッシュルームの毒素であるファ
ロイジンまたは薬物パクリタキセルの蛍光類似体(モレキュラー・プローブ社)
を使用して、アクチン−および微小管−細胞骨格の成分をそれぞれ標識する。
【0287】 第7の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に
蛍光なタンパク質に遺伝子的に融合した細胞質タンパク質からなるタンパク質キ
メラを使用して、細胞質の特定のドメインを標識する。高度に局在したタンパク
質の蛍光キメラを使用して、細胞質のサブドメインを標識する。これらのタンパ
ク質の例は、細胞骨格の調節に関与する、多くのタンパク質である。それらは、
構造タンパク質であるアクチン、チューブリン、およびサイトケラチン、並びに
、調節タンパク質の微小管会合タンパク質4およびα−アクチニンを含む。
【0288】 核標識 1つの実施形態において、膜透過性核酸特異的発光試薬(モレキュラー・プロ
ーブ社)を使用して、生および固定細胞の核を標識する。これらの試薬は、シア
ニンをベースとした色素(例えば、TOTO(登録商標)、YOYO(登録商標
)、およびBOBOTM)、フェナチジンおよびアクリジン(例えば、臭化エチ
ジウム、ヨウ化プロピジウム、およびアクリジンオレンジ)、インドールおよび
イミダゾール(例えば、ヘキスト33258、ヘキスト33342、および4’
,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)および他の類似試薬(例えば、7
−アミノアクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジンおよびプソラレン)を
含む。
【0289】 第2の実施形態において、核抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モレキ
ュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定の核ドメイ
ンに局在する、核成分を標識する。これらの成分の例は、DNA構造および機能
の維持に関与する巨大分子である。DNA、RNA、ヒストン、DNAポリメラ
ーゼ、RNAポリメラーゼ、ラミン、および、アクチンなどの細胞質タンパク質
の核変形が、核抗原の例である。
【0290】 第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に
発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、核タンパク質からなる、タンパク質
キメラを使用して、核ドメインを標識する。これらのタンパク質の例は、DNA
構造および機能の維持に関与する多くのタンパク質である。ヒストン、DNAポ
リメラーゼ、RNAポリメラーゼ、ラミン、および、アクチンなどの細胞質タン
パク質の核変形が、核タンパク質の例である。
【0291】 ミトコンドリア標識 1つの実施形態において、膜透過性ミトコンドリア特異的発光試薬(モレキュ
ラー・プローブ社)を使用して、生および固定細胞のミトコンドリアを標識する
。これらの試薬は、ローダミン123、テトラメチルロサミン、JC−1、およ
びMito Tracker反応性色素を含む。
【0292】 第2の実施形態において、ミトコンドリア抗原に対する抗体(シグマ・ケミカ
ル社:モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特
定のミトコンドリアドメインに局在する、ミトコンドリア成分を標識する。これ
らの成分の例は、ミトコンドリアのDNA構造および機能の維持に関与する巨大
分子である。DNA、RNA、ヒストン、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラ
ーゼ、およびミトコンドリアtRNAおよびrRNAなどの細胞質巨大分子のミ
トコンドリア変形が、ミトコンドリア抗原の例である。ミトコンドリア抗原の他
の例は、ミトコンドリアに見られる酸化的リン酸化系の成分である(例えば、チ
トクロムc、チトクロムcオキシダーゼ、およびコハク酸デヒドロゲナーゼ)。
【0293】 第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に
発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、ミトコンドリアタンパク質からなる
、タンパク質キメラを使用して、ミトコンドリアドメインを標識する。これらの
成分の例は、ミトコンドリアDNA構造および機能の維持に関与する巨大分子で
ある。例は、ヒストン、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、および、ミ
トコンドリアに見られる酸化的リン酸化系の成分である(例えば、チトクロムc
、チトクロムcオキシダーゼ、およびコハク酸デヒドロゲナーゼ)。
【0294】 小胞体標識 1つの実施形態において、膜透過性小胞体特異的発光試薬(モレキュラー・プ
ローブ社)を使用して、生および固定細胞の小胞体を標識する。これらの試薬は
、短鎖カルボシアニン色素(例えばDiOCおよびDiOC)、長鎖カルボ
シアニン色素(例えばDiIC16およびDiIC18)および発光標識したレ
クチン、例えばコンカナバリンAを含む。
【0295】 第2の実施形態において、小胞体抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:モ
レキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定の小胞
体ドメインに局在する、小胞体成分を標識する。これらの成分の例は、脂肪酸伸
長系、グルコース−6−ホスファターゼ、およびHMG CoA−レダクターゼ
に関与する巨大分子である。
【0296】 第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に
発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、小胞体タンパク質からなる、タンパ
ク質キメラを使用して、小胞体ドメインを標識する。これらの成分の例は、脂肪
酸伸長系、グルコース−6−ホスファターゼ、およびHMG CoA−レダクタ
ーゼに関与する巨大分子である。
【0297】 ゴルジ体標識 1つの実施形態において、膜透過性ゴルジ体発光試薬(モレキュラー・プロー
ブ社)を使用して、生および固定細胞のゴルジ体を標識する。これらの試薬は、
発光標識した巨大分子、例えば、小麦凝集素およびブレフェルディンA、並びに
、発光標識したセラミドを含む。
【0298】 第2の実施形態において、ゴルジ体抗原に対する抗体(シグマ・ケミカル社:
モレキュラー・プローブ社;カルタグ・アンチボディ社)を使用して、特定のゴ
ルジ体ドメインに局在する、ゴルジ体成分を標識する。これらの成分の例は、N
−アセチルグルコサミンホスホトランスフェラーゼ、ゴルジ体特異的ホスホジエ
ステラーゼ、およびマンノース−6−リン酸受容体タンパク質である。
【0299】 第3の実施形態において、緑蛍光タンパク質またはその変異体などの内因的に
発光性のタンパク質に遺伝子的に融合した、ゴルジ体タンパク質からなる、タン
パク質キメラを使用して、ゴルジ体ドメインを標識する。これらの成分の例は、
N−アセチルグルコサミンホスホトランスフェラーゼ、ゴルジ体特異的ホスホジ
エステラーゼ、およびマンノース−6−リン酸受容体タンパク質である。
【0300】 提示した実施例の多くは、1つの細胞プロセスの測定を含むが、これは、ここ
でも、単に説明するためのものである。複数のパラメータ高含量スクリーンは、
数個の単一パラメータスクリーンをマルチパラメータ高含量スクリーンに合わせ
ることにより、または、細胞パラメータを任意の既存の高含量スクリーンに加え
ることにより、作成できる。さらに、各実施例は、生または固定細胞に基づいて
記載したが、各高含量スクリーンは、生または固定細胞の両方で使用するように
設計できる。
【0301】 当業者は、本明細書に提供した開示に基づいて開発できる、多種多様の別個の
スクリーンを認識するだろう。細胞内の特定の成分の転位置または再構成に関与
する、細胞における、既知の生化学的および分子的プロセスのリストは多く漸増
している。
【0302】 細胞内での細胞表面から標的部位へのシグナル伝達経路は、形質膜会合タンパ
ク質の細胞質への転位置を含む。例えば、タンパク質チロシンキナーゼのsrc
ファミリーの一員であるpp60c−src(ウォカー(Walker)ら(1993)
J.Biol.Chem.268:19552〜19558)は、血小板由来成
長因子(PDGF)で繊維芽細胞を刺激すると、形質膜から細胞質に転位置する
ことが知られている。さらに、スクリーニングの標的は、それ自体、リガンド結
合および転位置後修飾を含む、分子変化を報告する、蛍光をベースとした試薬に
変換できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、細胞ベースの走査システムの構成要素の図を示す。
【図2】 図2は、顕微鏡サブアセンブリの概略図を示す。
【図3】 図3は、カメラサブアセンブリを示す。
【図4】 図4は、細胞走査システムのプロセスを示す。
【図5】 図5は、使用者を導く主な機能を示すユーザインターフェ-スを示す。
【図6】 図6は、1つのプラットフォームがマイクロタイタープレートの全てのウェル
を読むために望遠鏡レンズを用い、第2のプラットフォームがウェル中の個々の
細胞を読むために高倍率レンズを用いる、細胞ベースのスクリーニングのための
デュアルモードシステムの2つのプラットフォーム構築体のブロック図である。
【図7】 図7は、マイクロタイタープレートの全てのウェルを読むために移動可能な「
望遠鏡」レンズおよびウェル中の個々の細胞を読むための移動可能な高倍率レン
ズを用いる、細胞ベースのスクリーニングのためのデュアルモードシステムの単
一プラットフォーム構築体についての光学系の詳細である。
【図8】 図8は、細胞ベースのスクリーニングシステムについての動的データを取得す
るための流体送達システムの説明である。
【図9】 図9は、細胞ベースの走査システムについての処理工程のフローチャートであ
る。
【図10】 図10Aから図10Jは、核移動アッセイの戦略を示す。
【図11】 図11は、マイクロタイタープレートの高スループットおよび高含有量スクリ
ーニングを組み合わせる細胞ベースのスクリーニングのためのデュアルモードシ
ステムにおける処理工程を規定するフローチャートである。
【図12】 図12は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高スループットモ
ードにおける処理工程を規定するフローチャートである。
【図13】 図13は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高含有量モードに
おける処理工程を規定するフローチャートである。
【図14】 図14は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高含有量モードに
おいて動的データを取得するのに必要な処理工程を規定するフローチャートであ
る。
【図15】 図15は、動的データの取得の間にウェル内で行われた処理工程を規定するフ
ローチャートである。
【図16】 図16は、移動の既知の阻害剤からのデータの例である。
【図17】 図17は、移動の既知の刺激体からのデータの例である。
【図18】 図18は、グラフ表示についてのデータ提示を示す。
【図19】 図19は、細胞ベースのスクリーニングのためのシステムの高スループットモ
ードからのデータ、高含有量モードまで通過したデータの例、高含有量モードで
取得されたデータ、そのデータの解析の結果の説明である。
【図20】 図20は、薬物−誘導の細胞質から核への移動の測定を示す。
【図21】 図21は、図20に示された測定のグラフ使用者インターフェ-スを示す。
【図22】 図22は、図20に示された測定の、データ提示での、グラフ使用者インター
フェ-スを示す。
【図23】 図23は、図20に示された測定から得られた動的データを表すグラフである
【図24】 図24は、薬物−誘導アポトーシスの高含有量スクリーニングの詳細を示す。
【図25】 図25Aは、画像獲得初期化相のフローチャートで、図25Bは、画像獲得繰
返し相のフローチャートである。
【図26】 図26は、陽性状態の検出閾値コンピュータ計算のフローチャートである。
【図27】 図27Aは、神経突起成長択一定量化方法のニューロン核同定のフローチャー
トで、図27Bは、神経突起成長定量化のフローチャートである。
【図28】 図28は、細胞状態検出方法(形態学的方法)のフローチャートである。
【図29】 図29は、細胞状態検出方法(Blob解析方法)のフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/64 G01N 21/64 F 33/15 Z 33/15 33/483 C 33/483 33/50 Z 33/50 33/53 S 33/53 33/566 33/566 33/58 A 33/58 C12N 15/00 F (31)優先権主張番号 60/176,589 (32)優先日 平成12年1月18日(2000.1.18) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/205,696 (32)優先日 平成12年5月19日(2000.5.19) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 デビアシオ、 ロビン エル. アメリカ合衆国 ペンシルヴェニア州 15238 ピッツバーグ ローカスト レー ン 53 (72)発明者 ジャナルダーン、 プレム アメリカ合衆国 ペンシルヴェニア州 15238 ピッツバーグ ウィリアム ピッ ト ウェイ 635 Fターム(参考) 2G043 AA03 BA16 CA03 DA02 EA01 FA01 FA02 GA02 GA07 GB18 GB19 GB21 HA01 HA09 JA03 KA03 LA03 2G045 BA14 BB24 CB01 FA16 FB03 FB12 GC22 4B024 AA11 CA04 DA02 EA04 FA02 GA11 HA11 4B029 AA07 BB11 FA03 FA15 4B063 QA01 QA18 QQ08 QR32 QR33 QR60 QR66 QR77 QR80 QR81 QS05 QS25 QS36 QX02

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 神経突起成長を解析する自動化された方法であって、 細胞の位置を報告する少なくとも1つの第1の発光標識したレポータ分子と、
    前記神経突起成長を報告する少なくとも1つの第2の発光標識したレポータ分子
    を有し、ニューロンを含む細胞を含む位置のアレイを提供し、 複数の細胞を含む各位置において、前記複数の細胞を画像化または走査して、
    前記第1および前記第2の発光標識したレポータ分子から発光シグナルを得、 前記発光シグナルを、デジタルデータに変換し、 前記細胞上または前記細胞内の、前記第1および前記第2の発光標識レポータ
    分子の分布、環境、または活性の変化を自動的に計算し、前記計算した変化が前
    記ニューロンからの前記神経突起成長の測定値を提供する自動測定に、前記デジ
    タルデータを使用する ことを含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記計算した変化により、試験化合物が前記ニューロンの前
    記神経突起成長を修飾したかどうかを示すように、前記ニューロンを前記試験化
    合物と接触させることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記ニューロンを、前記試験化合物の前、後、または同時に
    、神経毒と接触させることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法
  4. 【請求項4】 前記第1の発光標識したレポータ分子が、DNA結合化合物
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の発光標識したレポータ分子が、細胞質、膜、ニュ
    ーロン特異的細胞成分、および細胞タンパク質からなる群から選択した細胞成分
    を選択的に検出する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記細胞を、前記神経突起成長を刺激することが知られてい
    る対照化合物と接触させ、前記対照化合物が前記ニューロンの前記神経突起成長
    を誘導するのを試験刺激が阻止するかどうかを決定するのに、前記計算した変化
    を使用することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記ニューロンに対して毒性があり、神経突起形態に影響を
    及ぼす条件を同定するために、前記計算した変化を使用することを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記第2の発光標識したレポータ分子が、ニューロン特異的
    であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記細胞を含む位置のアレイが、前記第1および前記第2の
    発光標識レポータ分子とはスペクトル的に区別できる、ニューロン特異的発光レ
    ポータ分子を有するニューロン以外の細胞を含むことを特徴とする請求項1に記
    載の方法。
  10. 【請求項10】 前記ニューロン特異的発光レポータ分子が、神経フィラメ
    ントタンパク質、βIII−チューブリン、毛様体神経栄養因子、および前記神
    経フィラメントタンパク質、前記βIII−チューブリン、前記毛様体神経栄養
    因子に特異的な抗体からなる群から選択した分子を含むことを特徴とする請求項
    8または9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記画像化または前記走査が、 a.核画像および神経突起画像を獲得し、 b.細胞体を同定し、 c.前記各細胞体から伸びた神経突起を同定する 段階を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記細胞体の同定が、 a.前記核画像から核小体画像を作成し、 b.前記核小体画像の条件付き膨張を実施して、前記細胞体を同定する 段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記細胞体から伸びた前記神経突起の同定が、 a.前記神経突起画像から蓄積画像を作成し、 b.前記細胞体に存在しない前記蓄積画像中の前記細胞体から伸びた前記神経
    突起に属する正のピクセルを同定する 段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 a.前記核小体画像の1回の条件付膨張を実施して、膨張
    画像を獲得し、 b.前記膨張画像から1セットの節を決定し、 c.連結された節を繋ぎ、 d.全神経突起長を追跡するまで段階(a)から(c)を繰返す ことをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記測定が a.細胞数、 b.ニューロンの数、 c.全細胞からの全神経突起長、 d.全細胞からの神経突起分岐の総数、 e.1細胞あたりの神経突起の数、 f.1つの正のニューロンあたりの神経突起の数、 g.各細胞の神経突起長、 h.1つの正のニューロンあたりの神経突起長、 i.1つの神経突起あたりの神経突起長、 j.神経突起成長について正である細胞の数、 k.神経突起成長について正である細胞の比率、 l.細胞体面積、 m.1つのニューロンあたりの分岐の数、 n.1つの神経突起あたりの分岐の数、 o.ニューロンまたはニューロン細胞クラスターの神経突起成長度 の1つ以上を含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1つに記載の
    方法。
  16. 【請求項16】 前記計算した変化が、 a.前記細胞数の変化、 b.前記ニューロン数の変化、 c.全細胞からの前記全神経突起長の変化、 d.全細胞からの神経突起分岐の前記総数の変化、 e.1つの細胞あたりの前記神経突起数の変化、 f.1つの正のニューロンあたりの前記神経突起数の変化、 g.各細胞の前記神経突起長の変化、 h.1つの正のニューロンあたりの前記神経突起長の変化、 i.1つの神経突起あたりの前記神経突起長の変化、 j.神経突起成長について正である細胞の前記数の変化、 k.神経突起成長について正である細胞の前記比率の変化、 l.前記細胞体面積の変化、 m.1つのニューロンあたりの前記分岐数の変化、 n.1つの神経突起あたりの前記分岐数の変化、 o.ニューロンまたはニューロン細胞クラスターからの前記神経突起成長度の
    変化 の1つ以上を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記細胞を含む位置のアレイの亜領域を、間隔をおいて数
    回サンプリングして、前記細胞上または前記細胞内の前記発光レポータ分子の前
    記分布、環境または活性における動力学的な変化の測定を提供することを特徴と
    する請求項1乃至16のいずれか1つに記載の方法。
  18. 【請求項18】 細胞を含むプレートを保持するのに適合した載物台を有す
    る光学システムと、前記載物台または前記光学システムを移動する手段と、デジ
    タルカメラと、前記細胞から放出された光を前記デジタルカメラに向ける手段と
    、前記デジタルカメラからのデジタルデータを受け取り処理するコンピュータ手
    段とを含む細胞スクリーニングシステムに、請求項1乃至17のいずれか1つに
    記載の方法を実行させるための1セットの命令を含むプログラムを備えることを
    特徴とするコンピュータ解読可能な記録媒体。
  19. 【請求項19】 (a)少なくとも1つのニューロン特異的発光レポータ分
    子と、 (b)核特異的発光レポータ分子と、 (c)前記ニューロン特異的発光レポータ分子および前記核特異的発光レポー
    タ分子を使用して、神経突起成長を解析するための命令 とを含むことを特徴とする神経突起成長を解析するためのキット。
  20. 【請求項20】 前記ニューロン特異的発光レポータ分子は、神経フィラメ
    ントタンパク質、βIII−チューブリン、毛様体神経栄養因子、および、前記
    神経フィラメントタンパク質、前記βIII−チューブリン、前記毛様体神経栄
    養因子に特異的な抗体からなる群から選択した分子を含むことを特徴とする請求
    項19に記載のキット。
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