JP4690761B2 - 帯電防止用押出シート - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、
1.熱可塑性樹脂(a)90〜50重量%とポリアミドエラストマー(b)10〜50重量%を含む樹脂組成物からなり、該樹脂組成物100重量部に対し、無機フィラー(c)15〜50重量部を含み、表面抵抗率が108〜1010、かつ体積抵抗率が107〜1010であることを特徴とする帯電防止用押出シートまたはフィルム、
2.成分(a)が、ゴム強化スチレン系樹脂であることを特徴とする上記1に記載の帯電防止用押出シートまたはフィルム、
3.ポリアミドエラストマーが、ハードセグメントとしてのポリアミド鎖とソフトセグメントとしてのポリ(アルキレンオキシド)鎖からなることを特徴とする上記1または2のいずれかに記載の帯電防止用押出シートまたはフィルム、
4.成分(c)が、タルクおよび/またはマイカであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の押出シートまたはフィルム、
5.上記1に記載の樹脂組成物100重量部に対し、炭素繊維1〜15重量部およびカーボンブラック0.01〜1重量部を配合してなる樹脂組成物から得られることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の帯電防止用押出シートまたはフィルム、
6.多層シートまたはフィルムの少なくも一面が、上記1〜5のいずれかに記載の帯電防止用押出シートまたはフィルムであることを特徴とする帯電防止用多層シートまたは多層フィルム、
である。
これらのゴム質重合体は1種以上の混合物で使用されることがある。これらのゴム質重合体のうち、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、エチレン−プロピレンゴムが耐衝撃性の点で好ましい。ゴム質重合体の重量平均粒子径は、成分(a1)では0.8〜2.5μmであり、成分(a2)では0.08〜1.5μm、好ましくは0.1〜0.8μm、特に好ましくは0.1〜0.5μmであるが、制限されない。
成分(a1)、(a2)および(a3)に用いられるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルが挙げられ、なかでもアクリロニトリルが好ましい。
成分(a1)、(a2)および(a3)成分に用いられる共重合可能なその他のビニル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド
化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表される共重合可能なビニル化合物を挙げることができる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明のグラフト共重合体(a3)のグラフト率は20〜150%、好ましくは30〜100%である。また、本発明のグラフト率は、ゴム質重合体にグラフトした単量体のゴム質重合体に対する重量割合として定義される。すなわち、重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し、遠心分離機によりアセトン可溶分と不溶分に分離する。この時、アセトン可溶分は重合反応した重合体にグラフト反応しなかった成分であり、アセトン不溶分はゴム質重合体にグラフト反応した成分である。アセトン不溶分の重量からゴム質重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量である。この値からグラフト率を求めることができる。
還元比粘度(ηsp/c)は下式によって、計算される。
還元比粘度(ηsp/c)=(Y/Z−1)/(X/25)×100
本発明のスチレン系樹脂(a)のゴム質重合体の含有量は、機械的、加工性の観点から2〜60重量%であり、5〜30重量%が好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(a)とポリアミドエラストマー(b)の割合は90〜50重量%/10〜50重量%であり、好ましくは70〜50重量%/30〜50重量%、さらに好ましくは60〜50重量%/40〜50重量%であり、制電性のレベルまた機械的強度に応じて選択される。
ポリ(アルキレンオキシド)グルコールとして、ポリエチレンオキシドグルコール、ポリ(1、2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1、3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1、2−ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体等が用いられる。また、ビスフェノールAや脂肪族のアルキルオキシド付加物などが共重合されていてもよい。好ましくは、ポリエチレンオキシドグリコール、ビスフェノールAのアルキルオキシド付加物である。該ポリ(アルキレンオキシド)グルコールの数平均分子量は200〜6000であり、好ましくは300〜4000である。必要に応じてポリ(アルキレンオキシド)グルコール成分の両末端をアミノ化またはカルボキシル化してもよい。
本発明の無機フィラー(c)はアスベスト、ワラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノライト、セピオライト、石膏繊維、マイカ、タルク、カオリンクレー、セリサイトおよびガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、シリカ、クレーが挙げられる。好ましくはタルクおよびマイカである。これらは、樹脂組成物100重量部に対し、20〜50重量部であり、好ましくは25〜50重量部、さらに好ましくは30〜50重量部である。本発明の樹脂組成物はポリアミドエラストマーおよび無機フィラーと併用することにより、表面抵抗率、体積抵抗率は1011以下の安定した値を保持することができる。安定した抵抗率を保持するためには15重量部以上、50重量部以下であり、好ましくは20重量部以下、50重量部以下である。
本発明のカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャネルブラックおよびケッチエンブラックが挙げられる。これらのカーボンブラックは金属石鹸あるいは滑剤等で表面処理されていてもよい。本発明の樹脂組成物100重量部に対し、カーボンブラック0.01〜1重量部、好ましくは0.1〜0.7重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。本発明の樹脂組成物はポリアミドエラストマー、炭素繊維およびカーボンブラックと併用された場合、安定した表面抵抗率および体積抵抗率を保持する。即ち、併用することにより、抵抗率のバラツキを抑えることが可能である。本願発明の抵抗率を保持するために、カーボンブラックの濃度は0.01重量部以上であり、加工性の点から1重量部以下である。炭素繊維は1重量部以上が必要であり、生産性および加工性の点から15重量部以下である。
また、該樹脂組成物に任意成分として、必要に応じてヒンダードフェノール系、含イオウ化合物系、含リン有機化合物などの酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類の滑材、低分子量ポリエチレンワックス類、顔料および染料などを添加することができる。また、電解型帯電防止剤のアニオン系、カチオン系および両性系のものも使用でき、代表的なものとしてアニオン系としてはアルキルベンゼンスルホネート、アルキルホスフェート、カチオン系として第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムナイトレート、また両性系としてアルキルベタイン、アルキルアラニンを挙げることができる。これら任意成分は、樹脂組成物100重量部に対し、通常0.1〜5重量部である。さらに、ガラス繊維等の各種強化材や充填材を配合することができる。
本発明のフィルム厚みは10〜250μm、好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜150μmである。また、本発明の多層シートあるいは多層フィルム厚みも上記の範囲である。さらにまた、本発明の帯電防止シートあるいはフィルムを用いた多層シートあるいは多層フィルムにおいて、該帯電防止シートまたはフィルムが占める割合は、全体厚みの20〜80%であり、好ましくは30〜70%、さらに好ましくは40〜60%、最も好ましくは45〜60%である。
(A)評価方法
1.表面抵抗率(1)
シスコ表面抵抗計ST−3(シスコジャパン(株)製)を用いて測定した。
測定電位 15V
2.表面抵抗率(2)
超絶縁計SM―8220(東亜電波工業(株)製)を用い、50秒間印加し、10秒後の値を測定した。
測定電位 100V
3.体積抵抗率
超絶縁計SM−8220(東亜電波工業(株)製)を用いて、50秒印加し、10秒後の値を測定値とした。
測定電位 100V
1.ゴム強化スチレン系樹脂
ポリブタジエンゴムラテックス(日機装(株)社製マイクロトラック粒度分析計「nanotrac150」にて測定した体積平均粒子径=0.35μm、固形分量=50重量%)
100重量部に、脱イオン水80重量部を加え、気相部を窒素置換した後、脱イオン水50重量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.08重量部、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.02重量部を溶解してなる水溶液を加えて、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリリニトリル13.5重量部、スチレン36.5重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.2重量部、クメンハイドロパーオキシド0.1重量部よりなる単量体混合液及び脱イオン水22重量部にナトリウムホルムアルデヒドヒドスルホキシレート0.045重量部を溶解してなる水溶液を4時間にわたり添加した。添加終了後1時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。
sec−ブチルアルコールにアクリロニトリル及びスチレンを溶解し、重合反応器に上記混合液を連続的に添加し、重合系の温度を140から160℃にコントロールして重合反応を行った。その後、未反応のモノマーを真空下にて除去し、ビニル系重合体(B)の固形粉末を得た。ビニル系重合体(B)はフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル25重量%、スチレン75重量%であった。また還元比粘度は0.46であった。
グラフト共重合体(A)75重量部およびビニル系重合体(B)25重量部を押出し機にて溶融混合し、ゴム強化スチレン系樹脂を得た。
sec−ブチルアルコールにアクリロニトリル及びスチレンを溶解し、重合反応器に上記混合液を連続的に添加し、重合系の温度を140から160℃にコントロールして重合反応を行った。その後、未反応のモノマーを真空下にて除去し、ビニル系重合体(C)の固形粉末を得た。ビニル系重合体(C)はフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル25重量%、スチレン75重量%であった。還元比粘度は0.62であった。
3.PMMA
メタクリル酸メチルー無水マレイン酸—スチレン共重合体(旭化成ケミカルズ(株)製デルペット980N(登録商標))。
4.ポリアミドエラストマー
ペレスタットNC6321(登録商標)(三洋化成工業(株)製)。
クラウンタルクPP(登録商標)(松村産業(株)製)。
6.電解型帯電防止剤
ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(竹本油脂(株)製AKS−518−2(登録商標))
7.離型剤
ステアリン酸カルシウム(大日化学工業(株)製ダイワックスC(登録商標))
8.炭素繊維
TR06U FBE(登録商標)(三菱レイヨン(株)製)
9.カーボンブラック
BP−800(登録商標)(CABOT CORPORATION製)
押出し機を用いて、表1に示す配合の熱可塑性樹脂組成物を得た。更に、この組成物を用いて0.3mm厚みのシートを得た。シート成形は東芝機械製SE−65CVのシート押出し機を用いて、750mmコートハンガータイプダイスにて、ダイス、シリンダー温度とも230℃設定で行い、3本ロールの上ロールは70℃、中ロールは70℃、下ロールは60℃設定とした、吐出量は540kg/h、スクリュー回転数は70rpm設定とした。得られた0.3mm厚みシートの表面抵抗率と体積抵抗率を測定した。結果を表1に示した。
表1に示す配合以外は実施例1と同様に実施し、0.3mm厚みのシートを得た。結果を表1に示した。
押出し機を用いて、表1に示す配合の熱可塑性樹脂組成物を得た。更に、この組成物とABS樹脂(旭化成ケミカルズ(株)スタイラック220B)を用いて2.0mm厚みの3層シートを得た。シート成形は東芝機械製SE−65CVを用い、フィードブロック方式にて3層シートを得た。ダイス、シリンダー温度とも230℃設定で行い、3本ロールの上ロールは70℃、中ロールは70℃、下ロールは60℃とした。吐出量は540kg/h、スクリュー回転数は70rpm設定とした。シートのコア層はABS(旭ケミカルズ(株)スタイラック220B)製の1.4mm厚みで、両面は各々0.3mm厚みの表1に示した配合の熱可塑性樹脂組成物からなる3層シ−トを得、表面抵抗率および体積抵抗率を測定した。結果を表1に示した。
表1に示す配合以外は実施例4と同様に実施した。表面抵抗率バラツキ、体積抵抗率バラツキが±101を上回ったため×とした。結果を表1に示した。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂(a)70〜50重量%とポリアミドエラストマー(b)30〜50重量%を含む樹脂組成物100重量部に対し、無機フィラー(c)30〜50重量部を含み、表面抵抗率が108 Ω〜1010 Ω、かつ体積抵抗率が107 Ωcm〜1010 Ωcmであることを特徴とする帯電防止用押出シートまたはフィルム。
- 成分(a)が、ゴム強化スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止用押出シートまたはフィルム。
- ポリアミドエラストマーが、ハードセグメントとしてのポリアミド鎖とソフトセグメントとしてのポリ(アルキレンオキシド)鎖からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の帯電防止用押出シートまたはフィルム。
- 成分(c)が、タルクおよび/またはマイカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の押出シートまたはフィルム。
- 請求項1に記載の樹脂組成物100重量部に対し、炭素繊維1〜15重量部およびカーボンブラック0.01〜1重量部を配合してなる樹脂組成物から得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止用押出シートまたはフィルム。
- 多層シートまたはフィルムの少なくとも一面が、請求項1〜5のいずれかに記載の帯電防止用押出シートまたはフィルムであることを特徴とする帯電防止用多層シートまたは多層フィルム。
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