JP4688352B2 - 眼鏡レンズ加工情報表示方法およびレンズ研削加工装置 - Google Patents

眼鏡レンズ加工情報表示方法およびレンズ研削加工装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は眼鏡レンズ加工のために必要なヤゲン加工情報、面取加工情報及び溝掘加工情報等を表示する眼鏡レンズ加工情報表示方法およびレンズ研削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から眼鏡(メガネ)には、眼鏡フレーム(メガネフレーム)のレンズ枠に眼鏡レンズを枠入れする枠入タイプや、フレームに眼鏡レンズをワイヤー等で保持するワイヤ保持タイプがある。この枠入タイプでは眼鏡レンズの周縁にレンズ保持のためのヤゲンが形成され、ワイヤ保持タイプでは眼鏡レンズの周縁にワイヤ溝が形成されている。
【0003】
この様な眼鏡レンズを形成する場合、先ず眼鏡レンズの周縁を眼鏡(メガネ)のレンズ枠形状やレンズ形状等の玉型形状に加工する。この場合、眼鏡のレンズ枠形状やレンズ形状を玉型形状測定装置(レンズ枠形状測定装置)で測定して玉型形状情報(玉型形状データ、周縁形状データ)を求めた後、この求めた玉型形状情報をレンズ周縁研削加工装置(玉摺機)に入力して、未加工で円形の眼鏡レンズの周縁を玉型形状情報に基づいてレンズ周縁研削装置で玉型形状に研削加工する様にしているのが普通である。
【0004】
そして、枠入タイプの場合、図57に示したような溝幅Wy,溝深さHのV溝100aを有するヤゲン砥石100を用いて、玉型形状に加工された眼鏡レンズMLの周縁部にヤゲン山部(ヤゲン)101を形成する様にしている。同様にして図58の眼鏡レンズMLにもヤゲン101が形成される。また、ワイヤ保持タイプの場合、図示しない溝掘砥石(円盤状の薄い砥石)で眼鏡レンズMLの周縁に図59又は図60に示したようなワイヤ溝103を形成するようにしている。
【0005】
この様なレンズ周縁研削加工装置では、従来から例えば特開昭61−274859号公報や特開平2−212059号公報に示すように、眼鏡レンズをヤゲン加工する前に、眼鏡レンズのコバ周縁に形成される予想ヤゲン(ヤゲン山部と裾部からなる)の断面形状をシミュレーション表示して、レイアウト調整することが行われている。
【0006】
近年の眼鏡フレームの種類や眼鏡装用者の流行・嗜好等に合わせ、眼鏡レンズ加工の多様性が増し、面取加工や溝掘加工等の種々の眼鏡レンズ加工が行われ、例えば、特願平7−186028号公報、特開平10−225853号公報、特開平10−225855号公報、特開2000−218487号公報等に示すように、眼鏡レンズのコバ周縁に形成される面取加工後又は溝掘加工後の断面形状をシミュレーション表示して、レイアウト調整することも行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図57に示したように眼鏡レンズMLの周縁からレンズ光軸側へH(V溝100aの溝深さHに対応)の部分のコバ幅Wが、ヤゲン砥石100のV溝101aの溝幅Wyより狭い場合がある。この場合、従来のヤゲン断面表示では、ヤゲン断面形状のヤゲン山部101の片方の傾斜面101aのみ正常に加工されると共に、ヤゲン山部101の他方の傾斜面101bの加工が不十分に加工された、いわゆる片ヤゲンのヤゲン断面形状がシミュレーション表示される。
【0008】
しかし、従来のシミュレーション表示では、ヤゲン山部101の他方の傾斜面101bが十分なヤゲン山形状に比べてどの程度ヤゲン加工できないのか明確に作業者が把握できないものであった。
【0009】
同様に、ワイヤ保持タイプの眼鏡レンズのシミュレーション表示では、図59に示したようなコバ厚Wが小さいレンズ端面の眼鏡レンズMLのワイヤ溝103の溝掘断面を表示する際に、溝掘砥石による溝掘断面形状の側壁部すなわちワイヤ溝103の側壁部103aと眼鏡レンズMLの屈折面fbの縁部とが重なってしまう場合がある。また、場合によっては、十分な溝形状が加工できないことしか表示されず、コバ厚形状に対して溝掘加工がどの程度できないのか作業者は明確に把握することができなかった。
【0010】
また、図58に示したように、眼鏡レンズMLの周縁部にヤゲン山部101及び面取部104,105を形成することも行われている。この様な眼鏡レンズMLのヤゲンシミュレーション表示では、ヤゲン加工後の面取加工のための表示も行うようにしている。しかしながら、このヤゲンシミュレーション表示では、眼鏡レンズMLの前側縁部あるいは後側縁部に近い位置にヤゲン山部101を立てるようにレイアウト調整すると共に、面取加工後に予想される面取部104,105を表示させると、ヤゲン形状すなわちヤゲン山部101の裾部あるいはヤゲン山部101の傾斜面101bと面取部104との境界が不明確になり、ヤゲン加工と面取加工の区別ができないことが生じていた。
【0011】
さらに、図60に示したように、眼鏡レンズMLの周縁部に溝掘加工によるワイヤ溝103と面取加工による面取部106,107を形成することも行われている。この様なワイヤ溝のシミュレーション表示では、眼鏡レンズMLのコバ厚が小さい場合、溝掘加工後の予想したワイヤ溝103の壁部103bの厚みが眼鏡レンズMLの端面に向かうに従って薄くなると共に、壁部103bの先端が鋭角になって幅が取れない状態となるため、十分な面取加工ができるのかどうかをも明確に把握することができなかった。
【0012】
この様に、従来のヤゲンシミュレーションやワイヤ溝シミュレーションにおいては、作業者の利便性を考慮していなかった。
【0013】
そこで、この発明の目的は、上記問題点を解決し、作業者がヤゲンやワイヤ溝等の加工形状の位置調整、面取の指示の有無、面取幅の変更などを容易に行って、作業者の利便性を向上するようにした眼鏡レンズ加工情報表示方法及びレンズ研削加工装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1の発明の眼鏡レンズ加工情報表示方法は、眼鏡レンズの周縁部の玉型形状データ(θi,ρi)に対応する位置の厚さを眼鏡レンズのコバ厚Wiとするとき、前記コバ厚Wiのコバ端部のコバ断面形状および研削加工により前記コバ端部に形成されるヤゲン山形状又はワイヤ溝形状を表示手段に重ねて表示する眼鏡レンズ加工情報表示方法において、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えるとき、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを互いに独立した形状として形状変化させずに表示させると共に、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動操作可能に前記表示手段に表示させて、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状を前記コバ断面形状に対して前記コバ幅方向に移動操作することにより、ヤゲンの位置調整又はワイヤ溝の位置調整をおこなうことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2の発明の眼鏡レンズ加工情報表示方法は、請求項1に記載の眼鏡レンズ加工情報表示方法において、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工したときの面取部の形状を前記コバ断面形状に付随する形状として表示することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明のレンズ研削加工装置は、玉型形状データ(θi,ρi)に基づく眼鏡レンズの玉型形状および前記眼鏡レンズのコバ厚Wiにおけるコバ端部のコバ断面形状を表示させる表示手段と、前記コバ断面形状および研削加工により前記コバ端部に形成されるヤゲン山形状又はワイヤ溝形状を前記表示手段に重ねて表示させる演算制御回路と、を備えるレンズ研削加工装置において、前記演算制御回路は、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えるとき、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを互いに独立した形状として形状変化させずに表示させると共に、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動可能に前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0017】
さらに請求項4の発明のレンズ研削加工装置は、請求項3に記載のレンズ研削加工装置において、前記演算制御回路は、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工したときの面取部の形状を前記コバ断面形状に付随する形状として表示することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)構成
図1において、1は眼鏡フレームFのレンズ枠形状やその型板或いは玉型モデル等から玉型形状データ(玉型形状情報)であるレンズ形状情報(θi,ρi)を読み取るフレーム形状測定装置(玉型形状データ測定装置)、2はフレーム形状測定装置から送信等によって入力された眼鏡フレームの玉型形状データに基づいて眼鏡レンズを研削加工するレンズ研削加工装置(玉摺機)である。尚、フレーム形状測定装置1には周知のものを用いることができるので、その詳細な構成やデータ測定方法等の説明は省略する。
【0019】
<レンズ研削加工装置2>
レンズ研削加工装置2は、図2〜図9に示すように、装置本体3の前面側に設けられた加工室4を開閉する半透明(例えば、グレー等の有色透明)のカバー5を有する。また、レンズ研削加工装置2は、加工室4内に設けられた研削加工手段と、加工室4内に出没可能なコバ厚測定手段(共に図示せず)を有する。さらに、レンズ研削加工装置2は、研削加工手段の各駆動モータやコバ厚測定手段の駆動モータ等の制御操作やデータ設定操作を行う際に用いる第1及び第2の操作パネル6,7と、操作パネル6,7による操作状態等その他を表示する表示手段としての液晶表示器8とを備えている。
【0020】
ここで、レンズ研削加工装置2の外観形態を把握するために、図2に正面図、図3に背面図、図4に右側面図、図5に平面図、図6に底面図、図7に斜視図を示す。
【0021】
図2の正面図、図5の平面図に示すように、レンズ研削加工装置2は、液晶表示器8、第1及び第2の操作パネル(操作手段)6、7およびカバー5を同一平面上に備え、カバー5の右隣りに第1の操作パネル6が配置され、液晶表示器8の右隣りに第2の操作パネル7が配置され、作業者が作業しやすいように、カバー5及び第1の操作パネル6が液晶表示器8及び第2の操作パネル7より作業者から見て手前に配置されている。また、液晶表示器8の下側に種々の機能を実行させるファンクションキーが配置されている。
【0022】
液晶表示器8、第1及び第2の操作パネル6,7およびカバー5を配置した平面部は、装置本体3に傾斜して設けられており、図4の右側面図に示すように、平面部の傾斜に合致するように、装置本体の上面部が前方側に緩やかに傾斜して全体的に流線形を印象づける。これは、人間工学的な見地から、作業者が姿勢を崩すこと無くレンズ研削加工作業を行い、液晶表示器8の画面を見やすくするとともに、作業者に、装置に親しみを感じ、心理的な圧迫感をなくしている。
【0023】
また、図4の右側面図、図5の平面図、図7の斜視図に示すように、装置本体3の傾斜した上面部は、操作者から見て手前(前方)に張り出しており、緩やかに丸みを帯びた膨らみを呈している。これも同様に、作業者に、装置に親しみを感じ心理的に負担を掛けないためである。
【0024】
カバー5は、図8(a)の開いた状態の平面図並びに図9の開いた状態の斜視図に示すように、前面側から後方に向ってスライドすることで加工室4を開閉する。その加工室4は、底が深い構造となっており、図8(a)の向って左側に内壁(縦壁)と平行な部分512と、手前から緩やかに傾斜する部分511とを備え、これら各部分511,512には段差が設けられている。部分511には屈曲部513が形成され、この屈曲部513を屈曲線としてカバー5側に向けて拡開する傾斜面511a,511bが形成されている。尚、傾斜面511bの傾斜角度は傾斜面511aよりも急角度となっている。
【0025】
また、加工室4の後側には図示しないキャリッジが配設され、加工室4を形成する左右の側壁(図示せず)の外側にはキャリッジのアーム部(図示せず)がそれぞれ配設されている。そして、キャリッジは、後端部が左右に延びる支持軸(図示せず)を中心回動可能に設けられて、アーム部が上下に揺動可能に設けられている。しかも、キャリッジは図示しないパルスモータで左右方向に移動駆動可能に設けられている。この様なキャリッジの支持構造には周知の構造が採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
また、加工室4内には左右に延びる一対のレンズ回転軸501,501が配設されている。このレンズ回転軸501,501の一方はキャリッジの一方のアーム部に回転自在に且つ軸線方向に移動不能に保持され、レンズ回転軸501,501の他方はキャリッジに他方のアーム部に回転自在且つ軸線方向に移動調整可能に保持されている。この様なレンズ回転軸501,501のキャリッジへの取付構造にも周知の構造が採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0027】
そして、この左右一対のレンズ回転軸501,501には未加工で円形の生地レンズ(未加工の眼鏡レンズすなわち被加工レンズ)502が挟持されている。また、レンズ回転軸501の斜め下方には研削砥石503及び研削砥石503を支持する砥石軸504が配設されている。この砥石軸504は、図示しない駆動モータで回転駆動されるようになっている。
【0028】
また、研削砥石503は、粗研削砥石503a、ヤゲン加工のためのV溝503b1を有するヤゲン砥石503b、鏡面砥石503c等を備えている。なお、研削砥石503の前方には覆い505が設けられている。この図8(b)に示したヤゲン砥石503bは、図51(b)に示した様に、ヤゲン溝深さがHでヤゲン溝幅がWyのV溝(ヤゲン溝)503b1を有する。
【0029】
さらに、反対側の加工室4の左側部には旋回アーム510が配設されている。この旋回アーム510は、下端部を中心に上下に回動可能(揺動可能)に設けられていると共に、図示しないアーム回動用パルスモータで上下に回動させられるようになっている。また、この旋回アーム510の先端(上端部)には図8(a),(b)に示したように回転軸508が回転自在に保持されている。この回転軸508は図示しない軸回転用パルスモータで回転駆動されるようになっている。しかも、この回転軸508には、面取砥石506,507が取り付けられていると共に、溝掘りカッター(溝掘砥石)520が設けられている。
【0030】
なお、面取砥石506,507はカバー509に覆われており、作業者が誤って接触することを防止している。また、カバー509の内側には、研削砥石503の砥石面に研削水を掛けるためのホース(図示せず)が取り付けられている。
【0031】
この様な研削砥石503を用いて眼鏡レンズを生地レンズ502からレンズ形状(眼鏡レンズの形状)に研削加工する場合、先ずレンズ枠又は眼鏡レンズ(モデルレンズ)或いは型板等のレンズ形状データ(θi,ρi)をフレーム形状測定装置1で測定し、このレンズ形状データ(θi,ρi)をレンズ研削加工装置2に入力させる。
【0032】
次に、このレンズ研削加工装置2は、レンズ形状データ(θi,ρi)を受けた後、レンズ形状データ(θi,ρi)に基づいて図示しないキャリッジを上下に旋回制御させて、レンズ回転軸501,501及び生地レンズ502をキャリッジと一体に上下に回動制御させることにより、生地レンズ502を粗研削砥石503aで玉型形状の眼鏡レンズに粗研削させる。
【0033】
また、この粗研削された眼鏡レンズの周縁部には、眼鏡レンズをレンズ枠に枠入れするためのヤゲン山部、又は眼鏡レンズをフレームにワイヤで保持するためのワイヤ溝を形成する。
【0034】
即ち、レンズ研削加工装置2は、眼鏡レンズをレンズ枠に枠入れするためのヤゲン山部を眼鏡レンズの周縁部に形成する場合、レンズ形状データ(θi,ρi)に基づいて玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLの周縁部に図8(b)に示したヤゲン砥石503bで図51(a)の如くヤゲン加工して、眼鏡レンズMLのコバ端部(周縁部)200にヤゲン山部201を形成した後、図8(b)に示した面取砥石506,507でコバ端部200の両側縁部に図51(b)に示したような面取部202,203を形成する。
【0035】
また、レンズ研削加工装置2は、眼鏡レンズをフレームにワイヤで保持するためのワイヤ溝を眼鏡レンズの周面に形成する場合、レンズ形状データ(θi,ρi)に基づいて玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLの周縁部に図8(b)に示した溝掘カッター520で図51(c)の如く溝掘り加工して、眼鏡レンズMLのコバ端部(周縁部)200にワイヤ溝204を形成した後、図8(b)に示した面取砥石506,507でコバ端部200の両側縁部に図51(d)に示したような面取部202,203を形成する。
【0036】
(コバ厚測定手段)
上述したレンズ回転軸501,501間には生地レンズ502が保持されている。この生地レンズ502のレンズ形状データ(θi,ρi)におけるコバ厚を測定するコバ厚測定手段(図示せず)がレンズ研削加工装置2に設けられている。このコバ厚測定手段は、加工室4内にパルスモータ等の駆動モータで出没可能な一対のフィーラー(図示せず)と、このフィーラーの間隔を検出させる図48の間隔検出手段(図1〜図9では図示せず)36を有する。
【0037】
この構成においては、加工室4に進出させた一対のフィーラーの先端を被加工レンズの前側屈折面と後側屈折面に当接させると共に、一対のレンズ回転軸を駆動する駆動モータをレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて角度θi毎に回転制御し、且つレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいてフィーラー駆動用の駆動モータを作動制御することにより、フィーラーの被加工レンズへの当接位置を被加工レンズの動径ρiの位置に移動させて、一対のフィーラー間の間隔を間隔測定手段36で求めてレンズ形状情報(θi,ρi)におけるコバ厚Wiとするようにしている。
【0038】
(操作パネル6)
操作パネル6は、図10(A)に示すように、眼鏡レンズをレンズ軸によりクランプするための『クランプ』スイッチ6aと、眼鏡レンズの右眼用・左眼用の加工の指定や表示の切換え等を行う『左』スイッチ6b,『右』スイッチ6cと、砥石を左右方向に移動させる『砥石移動』スイッチ6d,6eと、眼鏡レンズの仕上加工が不十分である場合や試し摺りする場合の再仕上又は試し摺り加工するための『再仕上/試』スイッチ6fと、レンズ回転モード用の『レンズ回転』スイッチ6gと、ストップモード用の『ストップ』スイッチ6hとを備える。
【0039】
これは、実際のレンズ加工に必要なスイッチ群を加工室4に近い位置に配置することで作業者の動作の負担を軽減するためである。
【0040】
(操作パネル7)
操作パネル7は、図10(B)に示すように、液晶表示器8の表示状態を切り換える『画面』スイッチ7aと、液晶表示器8に表示された加工に関する設定等を記憶する『メモリー』スイッチ7bと、レンズ形状情報(θi,ρi)を取り込むための『データ要求』スイッチ7cと、数値補正等に使用されるシーソー式の『−+』スイッチ7d(『−』と『+』とで分離しても良い)と、カーソル式ポインタ移動用の『▽』スイッチ7eとを液晶表示器8の側方に配置している。また、ファンクションキーF1〜F6が液晶表示器8の下方に配列されている。
【0041】
このファンクションキーF1〜F6は、眼鏡レンズの加工に関する設定時に使用されるほか、加工工程で液晶表示器8に表示されたメッセージに対する応答・選択用として用いられる。
【0042】
各ファンクションキーF1〜F6は、加工に関する設定時(レイアウト画面)においては、図11に示すように、ファンクションキーF1はレンズ種類入力用、ファンクションキーF2は加工コース入力用、ファンクションキーF3はレンズ素材入力用、ファンクションキーF4はフレーム種類入力用、ファンクションキーF5は面取り加工種類入力用、ファンクションキーF6は鏡面加工入力用として用いられる。
【0043】
ファンクションキーF1で入力されるレンズ種類としては、『単焦点』、『眼科処方』、『累進』、『バイフォーカル』、『キャタラクト』、『ツボクリ』等がある。尚、『キャタラクト』とは、眼鏡業界では一般にプラスレンズで屈折度数が大きいものをいい、『ツボクリ』とは、マイナスレンズで屈折度数が大きいものをいう。
【0044】
ファンクションキーF2で入力される加工コースとしては、『オート』、『試し』、『モニター』、『枠替え』等がある。
【0045】
ファンクションキーF3で入力される被加工レンズの素材としては、フラット(以下、『フラ』と略する。)、『ハイインデックス』、『ガラス』、ポリカーボネイト(以下、『ポリカ』と略する。)、『アクリル』等がある。
【0046】
ファンクションキーF4で入力される眼鏡フレームFの種類としては、『メタル』、『セル』、『オプチル』、『平』、『溝掘り(細)』、『溝掘り(中)』、『溝掘り(太)』等がある。
【0047】
ファンクションキーF5で入力される面取り加工種類としては、『なし』、『小』、『中』、『特殊』等がある。
【0048】
ファンクションキーF6で入力される鏡面加工としては、『なし』、『あり』、『面取部鏡面』等がある。
【0049】
尚、上述したファンクションキーF1〜F6のモードや種別或いは順序は特に限定されるものではない。また、後述する各タブTB1〜TB4の選択として、『レイアウト』、『加工中』、『加工済』、『メニュー』等を選択するためのファンクションキーを設けるなど、キー数も限定されるものではない。
【0050】
(液晶表示器8)
液晶表示器8は、『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3、『メニュー』タブTB4によって切り替えられ、下方にはファンクションキーF1〜F6に対応したファンクション表示部H1〜H6を有する。尚、各タブTB1〜TB4の色は独立しており、後述する各エリアE1〜E4を除いた周囲の背景も各タブTB1〜TB4の選択切換と同時に各タブTB1〜TB4と同一の背景色に切り替わる。
【0051】
例えば、『レイアウト』タブTB1とそのタブTB1が付された表示画面全体(背景)は青色、『加工中』タブTB2とそのタブTB2が付された表示画面全体(背景)は緑色、『加工済』タブTB3とそのタブTB3が付された表示画面全体(背景)は赤色、『メニュー』タブTB4とそのタブTB4が付された表示画面全体(背景)は黄色で表示されている。
【0052】
このように、作業毎に色分けした各タブTB1〜TB4と周囲の背景とが同一色で表示されるので、作業者は現在どの作業中であるのかを容易に認識又は確認することができる。
【0053】
ファンクション表示部H1〜H6は、必要に応じたものが適宜表示され、非表示状態の時にはファンクションキーF1〜F6の機能に対応したものとは異なった図柄や数値、或いは、状態等を表示することができる。また、ファンクションキーF1〜F6を操作している際、例えば、ファンクションキーF1を操作している際には、そのファンクションキーF1をクリックする毎にモード等の表示が切り替わっても良いし、図12に示すように、ファンクションキーF1に対応する各モードの一覧を表示して(ポップアップ表示)選択操作を向上させることも可能である。また、ホップアップ表示中の一覧は、文字、図形又はアイコン等で表示される。
【0054】
『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3を選択した状態のときには、アイコン表示エリアE1、メッセージ表示エリアE2、数値表示エリアE3、状態表示エリアE4に区画した状態で表示される。また、『メニュー』タブTB4を選択した状態のときには、図13(ユーザー使用可能モードの場合),図14(サービスマン使用可能モードの場合)に示すように、メニュー表示エリアE5として表示される。尚、『レイアウト』タブTB1を選択している状態の時には、『加工中』タブTB2と『加工済』タブTB3とを表示せず、レイアウト設定が終了した時点で表示しても良い。
【0055】
アイコン表示エリアE1に表示されるアイコンとしては、図15(A)に示すように、玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて眼鏡レンズのコバ厚形状を測定している状態を表わすアイコンA1と、眼鏡レンズのコバ端面に形成されるヤゲン形状をシミュレーションしている状態を表わすアイコンA2と、コバ端面を粗加工する状態を表わすアイコンA3と、コバ端面を仕上加工する状態を表わすアイコンA4と、コバ端面を鏡面加工する状態を表わすアイコンA5と、コバ端面を溝掘り加工する状態を表わすアイコンA6と、コバ端面のレンズ前面側を面取加工する状態を表わすアイコンA7と、コバ端面のレンズ後面側を面取加工する状態を表わすアイコンA8と、コバ端面のレンズ前面側面取加工部分を鏡面加工する状態を表わすアイコンA9と、コバ端面のレンズ後面側面取加工部分を鏡面加工する状態を表わすアイコンA10と、眼鏡レンズの研削加工が終了したことを表わすアイコンA11とを備えている。なお、アイコンA3〜A10は、コバ端面を加工する状態を表わすアイコンの群となっており、装置本体の機能等(例えば、鏡面加工手段の無い装置など)によって適宜のものが使用され得る。また、アイコンA1〜A11の図柄は、加工種類等の作業内容をオペレータが容易に認識し得るものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アイコンA6〜A10に相当するものを、図15(B)又は図15(C)に示すように、図柄を変えて同様の内容を認識させるアイコンA6’〜A10’又はアイコンA6”〜A10”等を適宜使用することができる。同様に、作業内容を文字化した表示としても良いし、作業内容文字を各アイコンA1〜A11に添えて表示しても良い。
【0056】
ところで、これらのアイコンA1〜A11は、レンズ研削作業毎に設けられており、その一連の進行状況をオペレータが識別できるように、各アイコンA1〜A11に1対1で対応すると共に一連の進行状況に応じて点灯表示していく複数カーソル(インジケータ)C1〜C11が『加工中』タブTB2に設けられている。
【0057】
カーソルC1〜C11は、右眼レンズ進行状況表示用と左眼レンズ進行状況表示用とで上下2段にして別々に設けられているが、1段のみとして、右眼レンズ加工中か左眼レンズ加工中過の識別をするための表示を別途行うようにしても良い。また、カーソルC1〜C11は、『加工中』タブTB2以外のエリア、例えば、図16に示すように、各タブTB1〜TB4を一方に寄せてその余白部分に常時又は必要に応じて表示しても良いし、上下方向に隣接して表示しても良い。同様に、図17に示すように、各アイコンA1〜A11をメッセージ表示エリアE2の上方寄りに表示しても良い。
【0058】
メッセージ表示エリアE2には、各種エラーメッセージや警告メッセージなどが状態に応じて表示される。尚、装置内部品等の破損や被加工レンズの破損等の虞がある場合の警告メッセージなどの場合には、図18に示すように、オペレータが認識し易いようにメッセージ表示エリアE2以外のエリアにはみ出して表示上で重畳させることも可能である。
【0059】
数値表示エリアE3には、レイアウトデータの入力時には、図19に示すように、眼鏡フレームの左右レンズ枠の幾何学中心間距離(FPD値)、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD値)、FPD値とPD値との差である寄せ量の鉛直方向成分UP値(又はHlp値)、加工サイズ調整の各項目等が表示される。また、初期設定時には、図20に示すように、上述したFPD,PD,UP,サイズの他に加工レンズの吸着中心が表示される。さらに、モニターデータ入力時には、図21に示すように、眼鏡レンズの二次加工的な面取り加工や鏡面加工に関わる寸法関係の数値が表示される。
【0060】
状態表示エリアE4には、右眼用及び左眼用の眼鏡レンズのレイアウト画像や眼鏡レンズの最大、最小、最大及び最小以外の中間(任意)コバ周縁に形成されるヤゲン形状、コバ周縁を側面から見たレンズ側面形状等や、現実の加工状態に即した模式図等が表示される。
【0061】
<制御回路>
また、レンズ研削加工装置2は、図48に示すように、制御回路(制御手段)30を有する。この制御回路30は、第1のCPU(CPU−1)を備える第1の演算制御回路(制御手段)31を有すると共に、第2のCPU(CPU−2)を備え且つ第1の演算制御回路31に接続された第2の演算制御回路(制御手段)32を有する。
【0062】
第1の演算制御回路31には、フレーム形状測定装置1、操作パネル6の各スイッチ6a〜6n、ファンクションキーF1〜F6で設定したデータを記憶する設定データメモリ33、液晶表示器8が接続されている。また、第2の演算制御回路32には、加工中のデータを記憶するための加工データメモリ34と、研削加工手段の各駆動モータを駆動制御させる制御回路35と、コバ厚測定手段における間隔測定手段36が接続されている。
【0063】
ファンクションキーF1〜F6の操作信号は、第1の演算制御回路31に入力される。液晶表示器8のファンクション表示部H1〜H6の表示に対応するファンクションキーF1〜F6を選択して押すことで、第1の演算制御回路31は選択されたファンクションキーF1〜F6に対応する表示内容に従って液晶表示器8の表示の一部又は全部の変更、モードの変更、作業の実行等を行う。また、第1の演算制御回路31は、液晶表示器8の状態表示エリアE4の表示状態を加工状態に応じて制御する。
【0064】
また、第1の演算制御回路31は、第2の演算制御回路32がレンズコバ厚を測定しているときや、第2の演算制御回路32によるレンズ研削加工が行われているときに、メモリから他のデータを読み出したり、次のレンズの加工のためのレイアウトの設定等を制御するために用いられる。このレイアウトの設定においては、「鼻幅」,レンズ形状データ(θi,ρi)であるフレームカーブ「Fカーブ」,フレーム幾何学中心間距離「FPD」等に基づいて、メガネフレームの左右のレンズ形状(又はレンズ枠形状)を玉型形状として液晶表示器8に表示させる。この際、演算制御回路31は、液晶表示器8にメガネフレームの玉型形状表示用のメガネ形状F′を表示させると共に、レンズ吸着治具形状と左レンズ形状(左玉型形状)FLを液晶表示器8の右側部分に重ねて表示させ、レンズ吸着治具形状と右レンズ形状(左玉型形状)FRを液晶表示器8の左側部分に重ねて表示させる。また、演算制御回路31は、瞳孔間距離「PD」,上寄せ量「UP」,「サイズ」等に基づいて眼鏡レンズの光学中心を液晶表示器8に表示させる様になっている。即ち、演算制御回路31は、左右のレンズ吸着治具形状の中心を示す十字線もそれぞれ液晶表示器8に同時に表示させる。このレンズ吸着治具形状の中心を示す十字線の中心がレンズ形状FL,FRの光学中心になる。
【0065】
さらに、第2の演算制御回路32は、第1の演算制御回路31で読み出されたレンズ形状データ(θi,ρi)に基づいて、生地レンズ502のレンズ形状データ(θi,ρi)におけるコバ厚Wiをコバ厚測定手段(図示せず)のフィーラ及び間隔検出手段36と協働して測定するようになっている。しかも、第2の演算制御回路32は、求めたコバ厚Wiに基づいてヤゲン山部の位置又はワイヤ溝の位置等のレイアウトや、コバ端部(レンズ周縁部)の面取部のレイアウトを行うのに用いられる。その上、第2の演算制御回路32は、第1の演算制御回路31により求められたレイアウト情報(加工条件)に基づいて、被加工レンズの粗加工,ヤゲン加工,仕上加工等のレンズ研削加工の流れを制御するのに用いられる。
【0066】
尚、第1の演算制御回路31及び第2の演算制御回路32は、レンズ研削加工装置2のメイン電源をオンさせることによって作動制御が開始される。
(2)作用
次に、この様な構成のレンズ枠形状測定装置1及びレンズ研削加工装置2の作用を説明する。
(i)レイアウト時の液晶表示器8の表示状態
<システム起動直後>
レンズ研削加工装置2に設けられたメイン電源(図示せず)がオンされてシステムが起動すると、第1の演算制御回路31及び第2の演算制御回路32が動作する。そして、第1の演算制御回路31は、液晶表示器8に図22に示すように、『レイアウト』タブTB1を選択している状態の表示をさせると共に、『加工中』タブTB2と『加工中』タブTB3とは表示されず、『メニュー』タブTB4が表示させた後、以下の制御を行う。
【0067】
この『レイアウト』タブTB1が選択されている起動時状態では、アイコン表示エリアE1は表示されず、メッセージ表示エリアE2、数値表示エリアE3、状態表示エリアE4が表示される。尚、メッセージ表示エリアE2には『フレームのデータを転送してください。』等のように、『データ要求』スイッチ7cを操作してのフレーム形状測定装置1で読み取った眼鏡フレームFのレンズ形状情報(θi,ρi)の転送を要求するメッセージが表示される。従って、このデータ転送が行われていない起動時状態では、数値表示エリアE3と状態表示エリアE4とには数値等の具体的な加工に関するものは表示されていない。
【0068】
さらに、ファンクション表示部H1〜H6には、デフォルトの状態(又は、前回使用時の状態で後述するデータメモリ42に記憶された詳細モード)が表示され、その各上部にはモード等の『レンズタイプ』、『コース』、『レンズ』、『フレーム』、『面取り』、『鏡面』が表示される。
【0069】
<データ要求直後>
次に、『データ要求』スイッチ7cを操作してフレーム形状測定装置1からレンズ研削加工装置2にデータが転送されると、図23に示すように、メッセージ表示エリアE2には『レイアウトデータを設定してください。』等のレイアウト設定用メッセージが表示され、数値表示エリアE3の『FPD』の欄に転送された数値(例えば、『70.0』)が表示されると共に、『PD』の欄にカーソル式ポインタPが表示される。状態表示エリアE4には、右眼マークRMと左眼マークLM、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FL、その幾何学中心マークFRcとFLc、眼鏡フレームFの全体形状F’、左右生地レンズの直径(例えば、『φ64』)、ブリッジ幅(左右フレームの離間距離)である『DBL』とその数値(例えば、『15.5』)が表示される。尚、『FPD』の数値はDBLと玉幅とから算出される。
【0070】
<レイアウト設定終了>
この状態から、『▽』スイッチ7eを押すことによりカーソル式ポインタPが位置している『PD』の欄に設定されている初期値が表示される。この数値は、『−+』スイッチ7dを操作することによって変更され、その変更後(又は変更せずに初期値のまま)『▽』スイッチ7eを押すことによりカーソル式ポインタPが『UP』の欄に移動し、以下、同様に『▽』スイッチ7eと『−+』スイッチ7dとを操作して『UP』値並びに『サイズ』値を設定する。
【0071】
数値表示エリアE3の各数値が入力設定されると、図24に示すように、状態表示エリアE4には、右眼マークRMと左眼マークLM、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FL、その幾何学中心マークFRcとFLc、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FLとの各内部に位置する研削加工用の生地レンズを保持する吸着カップマークMR,MLが夫々表示される。また、状態表示エリアE4の下方にはファンクションキーF1〜F6の操作に伴う詳細モード設定に応じた加工コース分のアイコンA1〜A11が表示される。例えば、面取り加工を行わない場合には、アイコンA7〜A10は表示されず、面取り加工は行ってもその面取部の鏡面加工は行わない場合にはアイコンA9,A10は表示されない。
【0072】
また、表示されないアイコン(A1〜A11)に対応させてカーソル(C1〜C11)を表示しないように設定しても良い。
【0073】
例えば、面取り加工を行わない場合にはアイコンA7〜A10は表示されず、これに合わせて対応するカーソル(インジケータ)C7〜C10は、上下2段とも表示されない。面取り加工は行っても、その面取り面の鏡面加工を行わない場合には、アイコンA9,A10は表示されず、これに合わせて対応するカーソル(インジケータ)C9,C10は、上下2段とも表示されない。
【0074】
また、『サイズ』欄での数値設定後に『▽』スイッチ7eを押すとカーソル式ポインタPは『FPD』の欄に再び戻るため、数値の再設定も可能である。
【0075】
<レイアウトのその他の表示>
(片眼データの場合)
『データ要求』スイッチ7cを操作してフレーム形状測定装置1からレンズ研削加工装置2に一方のフレームのみのデータが転送された場合には、図25に示すように、メッセージ表示エリアE2には『レイアウトデータを設定してください。』等のレイアウト設定用メッセージが表示され、数値表示エリアE3の『FPD』の欄にカーソル式ポインタPが表示される。また、状態表示エリアE4には、右眼マークRMと左眼マークLM、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FL、その幾何学中心マークFRcとFLc、眼鏡フレームFの片眼形状F”、左右生地レンズの直径(例えば、『φ64』)、ブリッジ幅(左右フレームの離間距離)である『DBL』が表示される。尚、『DBL』並びに『FPD』等の数値はデータがないことから表示されないが、デフォルトによって入力・選択することができる。
【0076】
(パターンデータの場合)
『データ要求』スイッチ7cを操作してフレーム形状測定装置1からレンズ研削加工装置2に送信されるレンズ形状情報(θi,ρi)が型板或いは玉型モデル等に基づく玉型形状データの場合には、図26に示すように、メッセージ表示エリアE2には『レイアウトデータを設定してください。』等のレイアウト設定用メッセージが表示され、数値表示エリアE3の『FPD』の欄にカーソル式ポインタPが表示される。また、状態表示エリアE4には、右眼マークRMと左眼マークLM、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FL、その幾何学中心マークFRcとFLc、レンズ形状情報(θi,ρi)が型板或いは玉型モデル等に基づくものであることを示す玉型形状K、左右生地レンズの直径(例えば、『φ64』)、ブリッジ幅(左右フレームの離間距離)である『DBL』が表示される。尚、『DBL』並びに『FPD』等の数値はデータがないことから表示されないが、デフォルトによって入力・選択することができる。
【0077】
<バイフォーカルレンズ選択の場合>
ファンクションキーF1を操作して『レンズタイプ』で『バイフォーカルレンズ』を選択した場合には、図27に示すように、メッセージ表示エリアE2には『レイアウトデータを設定してください。』等のレイアウト設定用メッセージが表示される。数値表示エリアE3には、『FPD』の欄に転送された数値(例えば、『70.0』)が表示され、カーソル式ポインタPが『HPD』の欄に表示される。尚、数値表示エリアE3の『HPD』の欄及び『Hlp』の欄は左右に分割され、カーソル式ポインタPはその分割された右眼用の欄(入力部)に表示される。この左右分割状態は『累進』を選択した場合も同様である。また、状態表示エリアE4には、右眼マークRMと左眼マークLM、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FL、その幾何学中心マークFRcとFLc、右眼用小玉イメージFRsと左眼用小玉イメージFLs、眼鏡フレームFの全体形状F’、左右生地レンズの直径(例えば、『φ64』)、ブリッジ幅(左右フレームの離間距離)である『DBL』が表示される。尚、『HPD』及び『Hlp』の設定方法に関しては上記と同様に『−+』スイッチ7dと『▽』スイッチ7eとを使用して行う。
【0078】
<枠替コース選択の場合>
以前に使用していた既存のレンズを利用して眼鏡フレームFのみを替えるためにファンクションキーF2を操作して『コース』で『枠替え』を選択した場合には、図28に示すように、メッセージ表示エリアE2には『レイアウトデータを設定してください。』等のレイアウト設定用メッセージが表示される。数値表示エリアE3には、レンズ形状情報(θi,ρi)は既に受信していることから、『FPD』の欄に転送された数値(例えば、『70.0』)が表示され、カーソル式ポインタPが『PD』の欄に表示される。状態表示エリアE4には、右眼マークRMと左眼マークLM、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FL、その幾何学中心マークFRcとFLc、右眼レンズデータに基づく右眼レンズデータRr、眼鏡フレームFの全体形状F’が表示される。これにより、既存のレンズが新たな枠替え用の眼鏡フレームFに利用できるか否かを認識することができる。
(ii)加工時の液晶表示器8の表示状態
(a)右眼レンズ加工開始時のコバ厚測定
各種数値設定によりレイアウトが終了して『右』スイッチ6cを操作すると、演算制御回路31は図29に示すように、液晶表示器8に『加工中』タブTB2が表示させると共に背景色も切り替えて加工中シート状態とした後、以下の制御を行う。
【0079】
また、『加工中』タブTB2内には加工モードに応じてカーソルC1〜C11が表示され、各カーソルC1〜C11の下方のアイコン表示エリアE1には同様に加工モードに応じてアイコンA1〜A11が表示される。数値表示エリアE3には設定(決定)された各種の数値が表示される。状態表示エリアE4には、右眼マークRMと左眼マークLM、右眼用フレーム形状FRと左眼用フレーム形状FL、その幾何学中心マークFRcとFLc、研削加工用の生地レンズを保持する吸着カップマークMR,ML、眼鏡フレームFの全体形状F’、左右生地レンズの直径『φ64』、『DBL』とその数値『15.5』が表示される。
【0080】
この際、右眼用列のカーソルC1が点灯(他のカーソルC2〜C11と配色を異ならせる)し、これにより、右眼用レンズのコバ厚測定中であることを容易に認識することができる。また、右眼用レンズのコバ厚測定中(『加工中』の工程中)であっても、『レイアウト』タブTB1を指定することで左眼用レンズのレイアウト設定をすることができるが、右眼用列のカーソルC1は『加工中』のレイアウトシート画面の背景色(例えば、緑色)で表示されているので、右眼用レンズのコバ厚測定中であることを容易に認識することができる。
【0081】
尚、例えば、加工工程を認識させる手段としては、例えば、図30に示すように、メッセージ表示エリアE2にコバ厚の測定中であることを文字で示す『測定中』等の表示をすると共に、その『測定中』の周囲を測定状況に応じて時計回りで順次延びるレベルインジケータMIとしたり、アイコンA1の表示状態(色)を反転させたり、眼鏡フレームFの全体形状F’を図示左端から右端へと加工状況に応じて移動させたりするなど、適宜のレベル表示を採用することができる。また、図31に示すように、レベルインジケータMIとカーソルC1〜C11とを併用しても良い。
(b)コバ厚確認
<ヤゲン形状(ヤゲン断面形状)の表示>
コバ厚測定が終了すると、図32に示すように、カーソルC2が点灯すると共に、数値表示エリアE3の表示が『サイズ』欄及び『面取幅』欄に切り替わる。そして、表示エリアE3には『サイズ』,『面取幅』等の各数値が表示され、表示エリアE3の下方には『ヤゲンカーブ』,『フレームカーブ』等の各数値が表示される。これらの各数値としては、例えば、サイズが『+0.05』、面取幅が『70.0』、ヤゲンカーブが『4.5』、フレームカーブが『5.2』として表示される。そして、この各数値及び上述のレイアウトの各種の情報(データ)に基づいて次の表示が行われる。
【0082】
即ち、状態表示エリアE4の左半分には、右眼マークR(左眼のときは左眼マークL)の他に、その左半分に、右眼レンズ形状RR(右眼のときは右眼形状FR)、幾何学中心マークFRc(左眼のときは幾何学中心マークFLc)、光学中心マークRo(左眼のときは光学中心Lo)、上レンズ幅RRu(左眼のときは上レンズ幅LLu)、下レンズ幅RRd(左眼のときは下レンズ幅LLd)、右レンズ幅RRr(左眼のときは右レンズ幅LLr)、右レンズ幅RRl(左眼のときは右レンズ幅LLl)が表示される。
【0083】
また、状態表示エリアE4の左半分には、コバ厚最小位置マークMtn、コバ厚最大位置マークMtc、コバ厚確認任意位置マークMcfが表示される。
【0084】
さらに、状態表示エリアE4の右半分には、コバ厚最小位置マークMtnに対応した位置でのヤゲン形状Ytnとその位置及びコバ厚の数値、コバ厚最大位置マークMtcに対応した位置でのヤゲン形状Ytcとその位置及びコバ厚の数値、コバ厚確認任意位置マークMcfに対応した位置のでヤゲン形状Ycfとその位置及びコバ厚の数値等が表示される。
【0085】
尚、『サイズ』,『面取幅』,『ヤゲンカーブ』,『フレームカーブ』等の数値は、操作パネル6,7の操作により変更できる。次に、ヤゲンカーブの断面形状表示と面取幅の設定変更等について説明する。
<ワイヤ溝形状(ワイヤ溝断面形状)の表示>
また、溝掘りの場合には、図35,図38,図40に示したようにワイヤ溝の断面形状(ワイヤ溝断面形状)を表示して溝掘りシミュレーションをする。この場合も、ヤゲンシミュレーションで用いたマークMtn,Mcn,Mcfの位置の表現は変わらないので、ヤゲン形状の説明で用いたYtn,Ytc,Ycfを用いて説明する。即ち、図35,図38,図40に示した溝掘りシミュレーションの場合には、コバ厚最小位置マークMtnに対応するワイヤ溝形状をYtn、コバ厚最大位置マークMtcに対応するワイヤ溝形状をYtc、コバ厚確認任意位置マークMcfに対応するワイヤ溝形状をYcfとして説明する。
(c)ヤゲンシミュレーション
<ヤゲン頂点位置や面取量等の調整>
上述のように、状態表示エリアE4の右半分には、コバ厚最小位置マークMtnに対応するヤゲン形状Ytn、コバ厚最大位置マークMtcに対応するヤゲン形状Ytc、コバ厚確認任意位置マークMcfに対応するヤゲン形状Ycf等のヤゲン断面(ヤゲン断面形状)が表示される。この表示は、ヤゲン加工後に予想されるヤゲン断面形状をシミュレーション表示(ヤゲンシミュレーション)したものである。
【0086】
このヤゲン断面表示は図52に示したように表示することもできる。この図52に示したモニターモード(マニュアルモード)でのヤゲン断面表示では、以下の点の座標値を決定する。この際、コバ端部200のコバ断面形状を200′とし、コバ端部200のヤゲン断面形状(加工断面形状)を201′とし、コバ端部200の面取形状(面取部形状,加工断面形状)をとして説明する。また、ワイヤ溝断面表示では、コバ端部200のコバ断面形状を200′とし、コバ端部200のワイヤ溝204のワイヤ溝断面形状(加工断面形状)を204′とし、コバ端部200の面取部断面形状(面取部形状,加工断面形状)を205′,206′として説明する。
【0087】
1:レンズ表面と表面取り面との交点
2:レンズ表面とレンズコバ面との交点(仮想点) 固定
3:表面取り面とレンズコバ面との交点
4:レンズコバ面とヤゲン前面との交点
5:ヤゲン前面とヤゲン後面との交点(ヤゲン頂点) 固定
6:ヤゲン後面とレンズコバ面との交点
7:レンズコバ面と裏面取り面との交点
8:レンズコバ面とレンズ裏面との交点(仮想点) 固定
9:裏面取り面とレンズ裏面との交点
ヤゲン断面形状は、1・3・4・5・6・7・9のポイントを結び、1及び、9からは、適度な傾斜の線(1、9とも同一傾斜)を下向きにつける。
【0088】
計算上は、2,5,8の各ポイントをレンズ前面測定値、ヤゲン計算決定位置、レンズ後面測定値として決定(固定)し、1,3,7,9の各ポイントは、2,8のポイントから面取り量により決定する。面取りのない場合には、1,3は2と、7,9は8とそれぞれ一致する。
【0089】
面取加工の場合の座標点1,9は、特願2000−317055号に記載したように、眼鏡フレームの玉型形状の周縁から所定の面取幅(2から1までの面取幅、或いは8から9までの面取幅)を入力し、眼鏡レンズの屈折面上における面取軌跡を求めて、決定される。
【0090】
また、これらの眼鏡レンズの屈折面上の座標点1,9のポイントを基準として面取砥石の傾斜角度等を加味しコバ面上の3,7のポイントが決定される。
【0091】
なお、このヤゲンシミュレーションにおいて、ヤゲン断面形状と同時に同一画面上に所定長さの横線300と、所定箇所に付けられる短い縦線301を表示する。
【0092】
この横線300と縦線301は、直前に測定された右眼用(或いは左眼用)の眼鏡レンズMLのヤゲンシミュレーションを模式的に表示したものである。横線300の長さが既に測定された右眼用(或いは左眼用)の眼鏡レンズのコバ厚の大きさを表わし、縦線301の位置が横線300の左端から勘定してXmmのところにヤゲン断面形状(加工断面形状)201′(ヤゲン山部)が立てられること、即ちヤゲン頂点位置(ヤゲン山の頂点がある位置)があることを表わす。
【0093】
このような表示によって、既に測定済みの右眼用(或いは左眼用)の眼鏡レンズMLでのヤゲン頂点位置に対して、現在測定する右眼用(或いは左眼用)の眼鏡レンズでのヤゲン頂点位置の配置を調整することもできる。この調整は縦線301の左右方向の位置を調整して、ヤゲン断面形状201′の頂点5を左右に移動させることで、コバ断面形状(コバ端部)に対するヤゲン断面形状201′の左右方向への相対的な位置を移動させて表示させることができる。この様なヤゲン断面形状201′の位置の移動調整は、操作パネル6,7によって、演算制御回路31,32に縦線301の左右方向への移動操作を指示することで、演算制御回路31又は演算制御回路32により実行される。
【0094】
この様に、シミュレーション表示をすることで、ヤゲン断面形状全体(ヤゲン山部全体)とコバとの位置関係が明確になる。しかも、作業者は、この様な表示からヤゲン山部全体とコバとの位置関係を的確に知ることができるので、ヤゲンの位置調整、面取りの指示の有無、面取り幅の変更などを容易に行うことができる。
【0095】
また、溝掘りシミュレーションの場合も、同様な表示を行う。この場合、ワイヤ溝204のワイヤ溝断面形状(加工断面形状)204′の深さや幅は、ヤゲン断面形状201′の山の高さや幅と同様に予め分かっているので、図52のヤゲン断面形状201′の表示を破線で示したワイヤ溝断面形状204′にすると共にワイヤ溝断面形状204′の底部のコーナのポイントを5a,5bとして、ヤゲンシミュレーションと同様にして各ポイントの座標値を決定する。この様に、シミュレーション表示をすることで、ワイヤ溝全体とコバとの位置関係が明確になる。しかも、作業者は、この様な表示からワイヤ溝全体とコバとの位置関係を的確に知ることができるので、ワイヤ溝の位置調整、面取りの指示の有無、面取り幅の変更などを容易に行うことができる。
【0096】
この場合のワイヤ溝断面形状204′の左右方向への移動調整は、縦線301の左右方向の位置を調整して、ワイヤ溝断面形状204′の中心位置を左右に移動させることで、コバ端部(コバ断面形状)に対するワイヤ溝断面形状204′の左右方向への相対的な位置を移動させて表示させることができる。この様なワイヤ溝断面形状204′の位置の移動調整は、操作パネル6,7によって、演算制御回路31,32に縦線301の左右方向への移動操作を指示することで、演算制御回路31又は演算制御回路32により実行される。
<ヤゲン加工や面取加工の可能性の判定>
また、この様なヤゲンシミュレーション表示(ヤゲン断面形状の表示)において、眼鏡レンズMLの周縁部の周方向の一部のコバ端部200のコバ断面形状200′,ヤゲン山部201のヤゲン断面形状(加工断面形状)201′,面取部202,203の面取部断面形状(面取形状,加工断面形状)202′,203′を液晶表示器8に表示させて、ヤゲン加工や面取加工が好ましい状態で可能か否かを判断できるようにする。
【0097】
例えば、上記のヤゲン断面形状の表示において、ヤゲン断面形状201′が眼鏡レンズMLのコバ幅を超えるような場合の表示方法について説明する。
【0098】
この表示方法では図53(a)〜(c)、図54(a),(b)に図示したような問題が生ずる。図53(a),(b)ではヤゲン断面形状201′の一部が面取部断面形状202′から左方に外れ、図53(c)ではヤゲン断面形状201′が面取部断面形状202′から完全に左方に外れている。また、図54(a)ではヤゲン断面形状201′の基端部201a′が眼鏡レンズMLのコバ幅Wiより外側に突出して表示され、図54(b)ではヤゲン断面形状201′の基端部201a′が眼鏡レンズMLの面取部断面形状202′,203′の先端幅Waより外側に突出して表示されている。この様な表示は、現実的にはありえない表示となるが、実際には作業者が指示した内容をすべて含んだ表示となる。
【0099】
このようなヤゲン断面形状表示において、これをそのまま実施するかどうかは作業者の判断とする。即ち、上述のヤゲン断面形状表示において、表示する時点でのヤゲン加工が出来る出来ない、ヤゲン断面形状201′の位置が現実にあり得る、あり得ないの判断を演算制御回路32がしない事を原則とする。
【0100】
これは、演算制御回路32が、ヤゲン断面形状表示の時点での判断を入れようとすると、何を優先的に判断するかによって、その判断内容が変わり、必ずしもユーザーが期待する判断とはなり得ない。そのため、非現実的な表示となるが、あえてこのような表示とする。即ち、演算制御回路32は、図53,図54の様なヤゲン表示をして、ヤゲン加工を実施するしないの判断をしないようにしておく。
【0101】
但し、オートモードでのヤゲン加工では、ヤゲン位置は既に決定されており、レンズ測定後に、測定結果から、面取加工の可否について判断する。このため、判断後、面取りできない場合には、その旨のメッセージが表示され、面取りしないでのスタート、または、中断を選択可能とする。この様な表示及び判断は演算制御回路32により行われる。
【0102】
この判断において、以下の場合には面取り不可となる。すなわち、例えばレンズ表面の曲率半径が小さく(カーブが大きく)なって、面取り面でレンズ表面を加工してしまう場合である。また、レンズコバ端における周方向のコバ幅の一部がヤゲン溝幅より小さいために面取りが実施できない場合、レンズコバ端における周方向のコバ幅の一部がヤゲン溝幅と面取り幅の和より小さいため、面取りが実施できない場合である。これらの場合、メッセージ表示状態では、面取りがあるという前提に立ち、非現実的であるメッセージの表示、例えば「面取加工は不可能です。」等の表示を行う。
【0103】
演算制御回路32は、この様なメッセージの表示を行った後に、作業者から面取りをしないで実施の指示があった場合には、[面取り]の選択を[無]に変更し、表示を面取り無で行う。この作業者からの指示は操作パネル6,7により行う。但し、面取は、表面側を優先的に中止し、裏面側は、実施できる場合には実施する。面取幅の変更による実施は行わない。面取量の変更による実施はユーザーの判断により、中断後の面取り設定変更により実施可能とする。
【0104】
モニターモード(マニュアルモード)での加工の場合には、レンズ測定後の測定結果による面取り可否判定は実施しない。スタート時に指示のあった通りの表示を、非現実的であってもその通り表示する。モニター画面表示後の加工スタート時に、オートモードでのスタート時の面取り可否判定を実施する。判断基準等は同じである。
【0105】
この様に、シミュレーション表示をすることで、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるヤゲン幅の違いのために、コバ厚がヤゲン山部の底面より狭く、ヤゲン山部の一部のみ(頂上付近)がコバ面に形成された場合でも、ヤゲン山部全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。しかも、面取りの指示が適切でない場合でも、これらの状態を、的確に、作業者に知らしめ、作業者がヤゲンの位置調整、面取りの指示の有無、面取り幅の変更などを容易に行うことができる。
(d)溝掘りシミュレーション
また、溝掘りの場合には、ヤゲンシミュレーションと同様に、図35,図38,図40に示したようなワイヤ溝の断面形状(ワイヤ溝断面形状)を加工断面形状として表示して溝掘りシミュレーションをする。この場合も、ヤゲンシミュレーションで用いたマークMtn,Mcn,Mcfの位置の表現は変わらないので、ヤゲン形状の説明で用いたYtn,Ytc,Ycfをワイヤ溝(ワイヤ溝形状)に用いて説明する。即ち、図35,図38,図40に示した溝掘りシミュレーションの場合には、コバ厚最小位置マークMtnに対応するワイヤ溝形状をYtn、コバ厚最大位置マークMtcに対応するワイヤ溝形状をYtc、コバ厚確認任意位置マークMcfに対応するワイヤ溝形状をYcfとして説明する。この際、コバ端部200のコバ断面形状を200′とし、コバ端部200のワイヤ溝204のワイヤ溝断面形状(加工断面形状)を204′とし、コバ端部200の面取部断面形状(面取部形状,加工断面形状)を205′,206′として説明する。
【0106】
上述のヤゲン加工の面取加工の可否とは別に、溝掘加工の可否や、溝掘り加工する眼鏡レンズの面取加工の可否等についても、レンズのコバ厚測定結果に基づく加工可否判定が必要となる。
【0107】
この場合、ワイヤ溝204のワイヤ溝断面形状204′の深さや幅は、ヤゲン断面形状201′の山の高さや幅と同様に予め分かっているので、図52のヤゲン断面形状201′の表示を破線で示したワイヤ溝断面形状204′にすると共にワイヤ溝断面形状204′の底部のコーナのポイントを5a,5bとして、ヤゲンシミュレーションと同様にして各ポイントの座標値を決定する。そして、溝掘加工の加工可否判定(判断)において、以下の場合に溝掘り不可となる。
【0108】
すなわち、図55(a)に示した様にワイヤ溝断面形状204′が眼鏡レンズMLの面取部(面取形状)205′に重なった表示、図55(b)の様にワイヤ溝断面形状204′の一部が眼鏡レンズMLの面取部205′及び屈折面から外方に外れた表示、ワイヤ溝断面形状204′が眼鏡レンズMLの面取部断面形状205′及び屈折面から完全に外れた様な表示は現実にはあり得ない。
【0109】
また、図56(a)に示したように眼鏡レンズMLの周方向のレンズコバ厚Wiの一部が、指示されたワイヤ溝断面形状204′の溝幅Wb、溝深さHwに対して充分な幅のないときである。この場合、ワイヤ溝断面形状204′の側壁204a′は基部が薄いために充分なs強度を保持することが不可能である。また、この様な眼鏡レンズMLのコバ端部(コバ断面形状)に面取部断面形状(面取形状)205′,206′を形成した場合、図56(b)に示したようにワイヤ溝204の側壁204a′,204b′の先端部の研削量がΔa,Δbだけ多くなりすぎて、側壁204a′,204b′の先端がレンズ形状データ(θi,ρi)に基づくコバ端eより眼鏡レンズMLの光軸側に位置してしまう。
【0110】
この様な表示の場合にレンズ研削加工装置2は、レンズ形状データ(θi,ρi)に対応する部分の生地レンズ502のレンズコバ厚の測定後に、オート/モニターでのスタートとなっていても、「溝掘加工は不可能です」或いは「面取加工は不可能です」等のメッセージを液晶表示器8に表示して、溝掘加工や面取加工の中断を選択させる。
【0111】
以上をまとめると、ヤゲン先端部は加工用ツールの先端部分と一致させた形状で、この部分の形状は、使用されるレンズのコバ幅によらず一定にし、レンズの前面と/または裏面の形状を示す線は、その一端が砥石形状により決定されたヤゲン幅位置と同一の半径位置でのレンズ幅と一致するように表示する。
【0112】
レンズ幅の測定値と、指示されたヤゲン位置とを合わせた状態で、ヤゲン位置ポイントと、レンズ面の一端とを結ぶ線を表示する事で形成される図を表示する。
【0113】
面取を表示するのは、レンズ面の一端に対して指示された面取幅と面取角度により決定される線をレンズ面位置を基準に、表示する。
【0114】
溝位置は、溝掘砥石の先端形状を一定の矩形形状として模式的に表示し、ヤゲンシミュレーションと同様に、表示する。なお、溝形状は矩形形状に限定されず、半円形状でもよい。
【0115】
この様にシミュレーション表示することで、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるワイヤ溝の溝幅の違いのために、コバ厚がワイヤ溝より狭く、ワイヤ溝の一部のみがコバ面に形成された場合でも、ワイヤ溝全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。しかも、面取りの指示が適切でない場合でも、これらの状態を、的確に、作業者に知らしめ、作業者がワイヤ溝の位置調整、面取りの指示の有無、面取り幅の変更などを容易に行うことができる。
(e)生地レンズ502のレンズ形状データ(θi,ρi)に基づく粗研削
第2の演算制御回路32は、上述のようなコバ厚測定やコバ厚確認及びシミュレーションを行った後、加工が可能であれば、レンズ形状データ(θi,ρi)に基づいて図示しないキャリッジを上下に旋回制御させて、レンズ回転軸501,501及び生地レンズ502をキャリッジと一体に上下に回動制御させることにより、生地レンズ502を粗研削砥石503aで玉型形状の眼鏡レンズに粗研削させる。
(f)ヤゲン加工
この後、レンズ枠に枠入れするためのヤゲン山部を眼鏡レンズMLの周縁部に形成することが可能である場合には、レンズ研削加工装置2の第2の演算制御回路32は以下の制御を行う。
【0116】
即ち、レンズ研削加工装置2の第2の演算制御回路32は、眼鏡レンズをレンズ枠に枠入れするためのヤゲン山部を眼鏡レンズの周縁部に形成する場合、レンズ形状データ(θi,ρi),コバ厚Wi,ヤゲン位置データ(コバ厚の確認で得られるヤゲン形状Ytn,Ytc,Ycf)に基づいて玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLの周縁部に図8(b)に示したヤゲン砥石503bで図51(a)の如くヤゲン加工して、眼鏡レンズMLのコバ端部(周縁部)200にヤゲン山部201を形成した後、図8(b)に示した面取砥石506,507でコバ端部200の両側縁部に図51(b)に示したような面取部202,203を形成する。
(g)溝掘加工
さらに、フレームにワイヤで保持するためのワイヤ溝を眼鏡レンズMLの周面に形成する場合には、レンズ研削加工装置2の第2の演算制御回路32は以下の制御を行う。
【0117】
即ち、レンズ研削加工装置2は、眼鏡レンズをフレームにワイヤで保持するためのワイヤ溝を眼鏡レンズの周面に形成する場合、レンズ形状データ(θi,ρi)に基づいて玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLの周縁部に図8(b)に示した溝掘カッター520で図51(c)の如く溝掘り加工して、眼鏡レンズMLのコバ端部(周縁部)200にワイヤ溝204を形成した後、図8(b)に示した面取砥石506,507でコバ端部200の両側縁部に図51(d)に示したような面取部202,203を形成する。
【0118】
この様にして生地レンズからレンズ形状情報(θi,ρi)に基づく右眼レンズの研削加工が終了すると、図36に示すように、右眼用列の全てのカーソルC1〜C11が点灯すると共に、数値表示エリアE3のカーソル式ポインタPが『サイズ』欄に位置する。また、状態表示エリアE4の右眼マークRMが反転表示すると共に右眼レンズ形状RRが点線で表示される。
(h)左眼レンズ加工の場合
右眼レンズ加工が終了してヤゲン形状等を確認した後、『左』スイッチ6bを操作し、左眼レンズの枠形状研削加工が終了すると、図37に示すように、左眼用列のカーソルC2が点灯すると共に、数値表示エリアE3の表示が『サイズ』欄及び『面取幅』欄に切り替わり、その各測定数値(例えば、『+0.05』,『70.0』)、『ヤゲンカーブ』と『フレームカーブ』及びその数値(例えば、『4.5』,『5.2』)が表示される。また、状態表示エリアE3には、その左半分に、左眼マークLM、左眼レンズ形状LR又は左眼用フレーム形状FL、幾何学中心マークFLc、光学中心マークLo、上レンズ幅RLu,下レンズ幅RLd,右レンズ幅RLr,左レンズ幅RLl、コバ厚最小位置マークMtn、コバ厚最大位置マークMtc、コバ厚確認任意位置マークMcfが表示されると共に、その右半分に、コバ厚最小位置マークMtnに対応した位置でのヤゲン形状Ytn’とその位置及びコバ厚の数値、コバ厚最大位置マークMtcに対応した位置でのヤゲン形状Ytc’とその位置及びコバ厚の数値、コバ厚確認任意位置マークMcfに対応した位置でのヤゲン形状Ycf’とその位置及びコバ厚の数値が表示される。
【0119】
また、右眼レンズ加工時のヤゲン形状Ytn,Ytc,Ycfが(データ的に反転した状態で)左眼レンズ加工時のヤゲン形状Ytn’,Ytc’,Ycf’と色違い(図面上では線の太さを変えている)で比較可能となるように表示される。
【0120】
この際、左右両眼レンズのコバ端面における溝掘り形状、面取り形状、溝掘りと面取り形状とを組み合わせた各シミュレーションを行ってコバ端面形状を比較したい場合には、図38〜図40に示すように、右眼レンズ加工時と同様の表示が左右比較可能状態で表示される。
(iii)加工済み後の液晶表示器8の表示状態
<確認の場合>
両眼レンズの加工が終了した後に『右』スイッチ6cや『左』スイッチ6bを操作したり、次の眼鏡フレームFの加工を開始する際に『右』スイッチ6cや『左』スイッチ6bを操作すると、図41に示すように、『加工済』タブTB3が表示されると共に背景色も切り替わって加工済シート状態となる。
【0121】
尚、この際の表示状態は、例えば、『右』スイッチ6bを操作した場合には、図の如く『加工済』タブTB3の表示と背景色が異なるのみで、それ以外の表示は図36と同一である。
【0122】
すなわち、『加工中』タブTB2から『加工済』タブTB3にタブを替えたとしても、カーソル(インジケータ)C1〜C11並びにアイコン表示エリアE1は常に画面表示されているので、加工作業の進行状況を常に把握することができる。
(iV)エラー等の表示例
<レイアウト設定時>
レイアウト設定中にエラー表示を行う場合としては、図42に示すように、レイアウト設定変更を促すものが考えられる。また、この際、エラー内容に応じてファンクション表示部H1〜H6に、エラー回避(若しくは、了解等)の指令をファンクションキーF1〜F6で行うための表示がなされる。
【0123】
<加工中>
レンズ研削加工中にエラー表示を行う場合としては、図43に示すように、被加工レンズ若しくはレンズ研削加工装置2の構成部品の破損等の虞があることに起因する保護機能の作動に伴う表示や、図44に示すように、レイアウト設定に基づく加工を実際に行う際に発生(検出)したものが考えられる。尚、図44に示したエラーに基づいて了解指令をファンクションキー(この場合にはファンクションキーF1)で行うと、図45に示すように、エラー表示のみが非表示状態となると同時に、カーソル式ポインタPが表示される。
(V)データ保存の表示例
上述した両眼のレンズ加工が終了すると、図46に示すように、再び『レイアウト』タブTB1が表示されると共に背景色も切り替わってレイアウト設定シート状態となる。
【0124】
この状態では、例えば、『FPD』等の数値データや『レンズタイプ』等の加工モードデータの保存の有無を確認するメッセージが表示されると共に、そのメッセージに基づく応答操作をファンクションキーF1〜F6(この場合は、ファンクションキーF4,F5は未使用)によって行うことができるように、ファンクション表示部H1〜H6に内容が表示される。
【0125】
そして、この状態から『保存』を選択すると(ファンクションキーF2を操作すると)、図47に示すように、データ保存のための保存番号(番地)が表示されると共に、その保存番号をファンクションキーF1,F2で変更するための案内(『↑』と『↓』)並びに保存番号決定をファンクションキーF3で指示するための案内(『決定』)がファンクション表示部H1〜H3に表示され、一連のレンズ加工ルーチンが終了する。
【0126】
これによって、例えば、『FPD』等の数値データや『レンズタイプ』等の加工モードデータを変更した場合であってもデータは保存されており、また、今まで変更したデータの履歴をみることもでき、データ処理での重複入力や入力ミス等を防止することができる。
(Vi)その他
以上の様に生地レンズ502のレンズ形状データ(θi,ρi)に対応する位置の厚さを眼鏡レンズMLのコバ厚Wiとして測定して、眼鏡レンズMLの周縁部の前記コバ厚Wiにおけるコバ断面形状200′を表示手段(液晶表示器8)に表示させると共に、前記眼鏡レンズMLのコバ端部200にヤゲン砥石503bで形成される三角形状のヤゲン山部201のヤゲン断面形状201′を前記コバ断面形状に重ねて前記表示手段に表示させるようにした眼鏡レンズ加工情報表示方法において、前記ヤゲン断面形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えて表示されたとき、前記ヤゲン断面形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動させることにより、ヤゲン断面形状のコバ幅方向に移動調整作業を行えるようにしたので、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるヤゲン幅の違いのために、コバ厚がヤゲン山部の底(基端)より狭く、ヤゲン山部の一部のみ(頂上付近)がコバ面に形成された場合でも、ヤゲン山部全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。この場合に、前記眼鏡レンズMLのコバ端部200に面取加工をしたときの面取部202,203の形状(面取部断面形状202′,203′)を前記コバ断面形状に重ねて表示するようにしたので、面取の指示が適切でない場合でも、これらの状態を、的確に、作業者に知らしめ、作業者がヤゲンの位置調整、面取の指示の有無、面取幅の変更など容易に行うことができる。
【0127】
また、生地レンズ502のレンズ形状データ(θi,ρi)に対応する位置の厚さを眼鏡レンズMLのコバ厚Wiとして測定して、前記眼鏡レンズMLの周縁部の前記コバ厚Wiにおける断面形状を表示手段(液晶表示器8)に表示させると共に、前記眼鏡レンズMLのコバ端部200に溝掘カッター520で形成されるワイヤ溝204のワイヤ溝断面形状204′を前記コバ断面形状に重ねて前記表示手段(液晶表示器8)に表示させるようにした眼鏡レンズ加工情報表示方法において、前記ワイヤ溝断面形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えて表示されたとき、前記ワイヤ溝断面形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動させることにより、ワイヤ溝断面形状のコバ幅方向に移動調整作業を行えるようにしたので、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるワイヤ溝幅の違いのために、コバ厚がワイヤ溝より狭く、ワイヤ溝の一部のみ(頂上付近)がコバ面に形成された場合でも、ワイヤ溝全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。この場合、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工をしたときの面取部202,203の形状(面取部断面形状202′,203′)を前記コバ断面形状に重ねて表示するようにしたので、面取の指示が適切でない場合でも、これらの状態を、的確に、作業者に知らしめ、作業者がワイヤ溝の位置調整、面取の指示の有無、面取幅の変更など容易に行うことができる。
【0128】
更に、生地レンズ502のレンズ形状データ(θi,ρi)に対応する位置を眼鏡レンズMLのコバ端部200とするコバ断面形状(コバ端部200′)、及び前記コバ端部200にヤゲン砥石503bで形成される三角形状のヤゲン山部201のヤゲン断面形状201′を重ねて表示させる表示手段(液晶表示器8)と、前記ヤゲン断面形状を前記コバ断面形状に対して幅方向に相対的に移動操作するための操作手段(操作パネル6,7)と、前記操作手段の操作に基づいて前記ヤゲン断面形状を前記コバ断面形状に対して幅方向に相対的に移動表示させる制御手段(演算制御回路31又は32)を備える眼鏡レンズ加工情報表示装置において、前記制御手段は、前記ヤゲン断面形状を前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えて前記表示手段に表示させることが可能に設けられていると共に、前記操作手段の操作に基づいて前記ヤゲン断面形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動させるようにしたので、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるヤゲン幅の違いのために、コバ厚がヤゲン山部の底面より狭く、ヤゲン山部の一部のみ(頂上付近)がコバ面に形成された場合でも、ヤゲン山部全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。この場合に、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工をしたときの面取部202,203の形状(面取部断面形状202′,203′)を前記コバ断面形状に重ねて表示するようにしたので、面取の指示が適切でない場合でも、これらの状態を、的確に、作業者に知らしめ、作業者がヤゲンの位置調整、面取の指示の有無、面取幅の変更など容易に行うことができる。
【0129】
また、生地レンズ502のレンズ形状データ(θi,ρi)に対応する位置を眼鏡レンズMLのコバ端部200とするコバ断面形状200′、及び前記コバ端部200に溝掘カッター520で形成されるワイヤ溝204のワイヤ溝断面形状204′を重ねて表示させる表示手段(液晶表示器8)と、前記ワイヤ溝断面形状を前記コバ断面形状に対して幅方向に相対的に移動操作するための操作手段(操作パネル6,7)と、前記操作手段の操作に基づいて前記ワイヤ溝断面形状を前記コバ断面形状に対して幅方向に相対的に移動表示させる制御手段(演算制御回路31又は32)を備える眼鏡レンズ加工情報表示装置において、前記制御手段は、前記ワイヤ溝断面形状を前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えて前記表示手段に表示させることが可能に設けられていると共に、前記操作手段の操作に基づいて前記ワイヤ溝断面形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動させるようにしたので、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるワイヤ溝幅の違いのために、コバ厚がワイヤ溝より狭く、ワイヤ溝の一部のみ(頂上付近)がコバ面に形成された場合でも、ワイヤ溝全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。この場合に、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工をしたときの面取部202,203の形状(面取部断面形状202′,203′)を前記コバ断面形状に重ねて表示するようにしたので、面取の指示が適切でない場合でも、これらの状態を、的確に、作業者に知らしめ、作業者がヤゲンの位置調整、面取の指示の有無、面取幅の変更など容易に行うことができる。
(3)変形例
図49は、レンズ研削加工装置2の他の演算制御回路40を示したものである。
【0130】
CPUを有する演算制御回路40には、操作パネル6,記憶手段としてのROM41、記憶手段としてのデータメモリ42、RAM43が接続されていると共に、補正値メモリ44が接続されている。また、演算制御回路40には、表示用ドライバ45を介して液晶表示器8が接続され、パルスモータドライブ46を介して研削加工手段の各種駆動モータ(パルスモータ)47a…47nが接続されていると共に、通信ポート48を介して図1のフレーム形状測定装置1が接続されている。
【0131】
演算制御回路40は、加工制御開始後に、フレーム形状測定装置1からのデータ読み込みや、データメモリ42の記憶領域m1〜m8に記憶されたデータの読み込みがある場合には、図50に示すように、時分割による加工制御とデータの読み込みやレイアウト設定の制御を行う。
【0132】
即ち、時間t1,t2間の期間をT1、時間t2,t3間の期間をT2、時間t3,t4間の期間をT3、・・・、時間tn−1,tn間の期間をTnとすると、期間T1,T3…Tnの間で囲う制御が行われ、データの読み込みやレイアウト設定の制御を期間T2,T4…Tn−1の間に行う。従って、被加工レンズの研削加工中に、次の複数の玉型形状データの読み込み記憶や、データの読み出しとレイアウト設定(調整)等を行うことができ、データ処理の作業効率を格段に向上させることができる。
【0133】
ROM41にはレンズ研削加工装置2の動作制御のための種々のプログラムが記憶され、データメモリ42には複数のデータ記憶領域が設けられている。また、RAM43には、現在加工中の加工データを記憶する加工データ記憶領域42a、新たなデータを記憶する新データ記憶領域43b、フレームデータや加工済みデータ等を記憶するデータ記憶領域43cが設けられている。
【0134】
尚、データメモリ42には、読み書き可能なFEEPROM(フラッシュEEPROM)を用いることもできるし、メインの電源がオフされても内容が消えないようにしたバックアップ電源使用のRAMを用いることもできる。
【0135】
次に、この様な構成の演算制御回路40を有するレンズ研削加工装置の作用を説明する。
【0136】
スタート待機状態からメイン電源がオンされると、演算制御回路40はフレーム形状測定装置1からデータ読み込みがあるか否かを判断する。
【0137】
即ち、演算制御回路40は、操作パネル6の『データ要求』スイッチ7cが押されたか否かが判断される。そして、『データ要求』スイッチ7cが押されてデータ要求があれば、フレーム形状測定装置1からレンズ形状情報(θi,ρi)のデータをRAM43のデータ読み込み領域43bに読み込む。この読み込まれたデータは、データメモリ42の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)されると共に、図23に示したレイアウト画面が液晶表示器8に表示される。
【0138】
また、『右』スイッチ6c又は『左』スイッチ6bが押されて加工開始命令があった場合には、パルスモータドライバ46を介して駆動モータ47a〜47nを作動制御して、加工制御を開始すると同時に演算制御回路40がコバ厚測定、ヤゲン設定、粗加工(ヤゲン加工を含む)、仕上加工を順次行なう。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の眼鏡レンズ加工情報表示方法および請求項3のレンズ研削加工装置は、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えるとき、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを互いに独立した形状として形状変化させずに表示させると共に、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動操作可能に前記表示手段に表示させて、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状を前記コバ断面形状に対して前記コバ幅方向に移動操作することにより、ヤゲンの位置調整又はワイヤ溝の位置調整をおこなうようにしたので、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるヤゲン幅やワイヤ溝幅の違いのために、コバ厚がヤゲン山部の底面やワイヤ溝より狭く、ヤゲン山部の一部のみ(頂上付近)やワイヤ溝の一部のみがコバ面に形成された場合でも、ヤゲン山部全体やワイヤ溝全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。
【0140】
また、請求項1の発明の眼鏡レンズ加工情報表示方法および請求項3のレンズ研削加工装置は、加工断面形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えるとき、前記加工断面形状と前記コバ断面形状とを互いに独立した形状として形状変化させずに表示するので、加工断面形状が形状変形せずにコバ断面形状から部分的に超えた度合いを視覚的に把握でき、例えばヤゲン山部やワイヤ溝等の加工断面形状と狭いコバとの位置関係明確になる。
しかも、加工断面形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動可能に表示するので、例えば指定されたフレームやレンズによって生じるヤゲン幅やワイヤ溝の溝幅の違いのために、コバ厚がヤゲン幅やワイヤ溝より狭く、ヤゲン山部の一部(頂上付近)やワイヤ溝の一部のみがコバ面に形成された場合でも、ヤゲン山部全体やワイヤ溝全体と狭いコバとの位置関係が明確になる。
【0141】
更に、請求項の発明の眼鏡レンズ加工情報表示方法および請求項4の発明のレンズ研削加工装置は、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工したときの面取部の形状を前記コバ断面形状に付随する形状として表示するので、面取りの指示が適切でない場合でも、これらの形状を、的確に作業者に知らしめ、作業者がヤゲンの位置調整、面取りの指示の有無、面取り幅の変更を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るレイアウト表示装置を備えるレンズ研削加工装置とフレーム形状測定装置との関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の右側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の底面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置のカバーを開けた状態の平面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置のカバーを開けた状態の斜視図である。
【図10】(A)は第1の操作パネルの拡大説明図、(B)は第2の操作パネルの拡大説明図である。
【図11】加工モードの一覧を示す図表である。
【図12】詳細加工モードを変更する場合の表示例を示す液晶表示器の正面図である。
【図13】ユーザー使用可能モードの場合の表示例を示す液晶表示器の正面図である。
【図14】サービスマン使用可能モードの場合の表示例を示す液晶表示器の正面図である。
【図15】(A)はアイコンとカーソルとの関係を示す拡大説明図、(B)はアイコンの変形例を示す拡大説明図、(C)はアイコンの他の変形例を示す拡大説明図である。
【図16】カーソルの表示位置の変形例を示す液晶表示器の正面図である。
【図17】アイコンの表示位置の変形例を示す液晶表示器の正面図である。
【図18】エラー表示の変形例を示す液晶表示器の正面図である。
【図19】レンズタイプに応じた数値表示例を示す説明図である。
【図20】初期設定項目での数値表示例を示す説明図である。
【図21】フレーム選択時に応じた数値表示例を示す説明図である。
【図22】レイアウト設定時の初期画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図23】レンズ枠形状測定装置からの測定データ受信後の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図24】測定データ受信後の数値設定・変更状態の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図25】フレーム片眼データを受信した場合の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図26】型板或いは玉型モデル等に基づく玉型形状データを受信した場合の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図27】レンズタイプにバイフォーカルレンズを選択した場合の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図28】コースに枠替えコースを選択した場合の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図29】コバ厚測定中の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図30】コバ厚測定中の他の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図31】コバ厚測定中のさらに他の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図32】コバ厚測定後の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図33】コバ厚測定後の画面表示状態の変形例1を示す液晶表示器の正面図である。
【図34】コバ厚測定後の画面表示状態の変形例2を示す液晶表示器の正面図である。
【図35】コバ厚測定後の画面表示状態の変形例3を示す液晶表示器の正面図である。
【図36】片眼加工終了時の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図37】反対側のレンズ加工時の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図38】反対側のレンズ加工時の画面表示状態の変形例1を示す液晶表示器の正面図である。
【図39】反対側のレンズ加工時の画面表示状態の変形例2を示す液晶表示器の正面図である。
【図40】反対側のレンズ加工時の画面表示状態の変形例3を示す液晶表示器の正面図である。
【図41】加工済み時の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図42】エラー内容例1の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図43】エラー内容例2の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図44】エラー内容例3の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図45】エラー解除後の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図46】データ保存初期の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図47】データ保存番号設定時の画面表示状態を示す液晶表示器の正面図である。
【図48】レンズ研削加工装置の制御回路の一例の説明図である。
【図49】レンズ研削加工装置の制御回路の他例を示す説明図である。
【図50】制御回路の制御を説明するためのタイムチャートである。
【図51】(a)はヤゲン加工の説明図、(b)は(a)でヤゲン山部が施されたコバ端部に面取部を設けた説明図、(c)は溝掘加工の説明図、(d)は(c)のワイヤ溝が施されたコバ端部に面取部を設けた説明図である。
【図52】コバ断面形状及びシミュレーションの表示例の説明図である。
【図53】(a)〜(c)は、ヤゲンシミュレーション表示の説明図である。
【図54】(a),(b)は、ヤゲンシミュレーション表示のたの例を示す説明図である。
【図55】(a)〜(c)は、溝掘りシミュレーション表示の説明図である。
【図56】(a),(b)は、溝掘りシミュレーション表示のたの例を示す説明図である。
【図57】従来のヤゲン加工の一例を示す説明図である。
【図58】従来のヤゲン山部とコバ端部の表示例を示す説明図である。
【図59】従来のワイヤ溝とコバ端部の表示例を示す説明図である。
【図60】従来のワイヤ溝とコバ端部の他の表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
6,7・・・操作パネル(操作手段)
8・・・液晶表示器(表示手段)
31・・・第1の演算制御回路(制御手段)
32・・・第2の演算制御回路(制御手段)
200・・・コバ端部
200′・・・コバ断面形状(コバ端部,加工断面形状)
201・・・ヤゲン山部
201′・・・ヤゲン断面形状(ヤゲン山部,加工断面形状)
202,203・・・コバ端部
202′,203′・・・コバ端部断面形状(加工断面形状)
204・・・ワイヤ溝
204′・・・ワイヤ溝断面形状(加工断面形状)
205,206・・・コバ端部
205′,206′・・・コバ端部断面形状(加工断面形状)
502・・・生地レンズ
503・・・ヤゲン砥石
ML・・・眼鏡レンズ
Wi・・・コバ厚

Claims (4)

  1. 眼鏡レンズの周縁部の玉型形状データ(θi,ρi)に対応する位置の厚さを眼鏡レンズのコバ厚Wiとするとき、前記コバ厚Wiのコバ端部のコバ断面形状および研削加工により前記コバ端部に形成されるヤゲン山形状又はワイヤ溝形状を表示手段に重ねて表示する眼鏡レンズ加工情報表示方法において、
    前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えるとき、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを互いに独立した形状として形状変化させずに表示させると共に、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動操作可能に前記表示手段に表示させて、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状を前記コバ断面形状に対して前記コバ幅方向に移動操作することにより、ヤゲンの位置調整又はワイヤ溝の位置調整をおこなうことを特徴とする眼鏡レンズ加工情報表示方法。
  2. 請求項1に記載の眼鏡レンズ加工情報表示方法において、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工したときの面取部の形状を前記コバ断面形状に付随する形状として表示することを特徴とする眼鏡レンズ加工情報表示方法。
  3. 玉型形状データ(θi,ρi)に基づく眼鏡レンズの玉型形状および前記眼鏡レンズのコバ厚Wiにおけるコバ端部のコバ断面形状を表示させる表示手段と、
    前記コバ断面形状および研削加工により前記コバ端部に形成されるヤゲン山形状又はワイヤ溝形状を前記表示手段に重ねて表示させる演算制御回路と、を備えるレンズ研削加工装置において、
    前記演算制御回路は、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状が前記コバ断面形状に対して少なくとも前記コバ幅を部分的に超えるとき、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを互いに独立した形状として形状変化させずに表示させると共に、前記ヤゲン山形状又はワイヤ溝形状と前記コバ断面形状とを前記コバ断面形状のコバ幅方向に相対的に移動可能に前記表示手段に表示することを特徴とするレンズ研削加工装置
  4. 請求項3に記載のレンズ研削加工装置において、前記演算制御回路は、前記眼鏡レンズのコバ端部に面取加工したときの面取部の形状を前記コバ断面形状に付随する形状として表示することを特徴とするレンズ研削加工装置
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