JP4312940B2 - レンズ研削加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡レンズを研削加工するレンズ研削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、眼鏡フレームの玉型形状データに基づいて眼鏡レンズを加工するレンズ研削装置にあっては、その眼鏡レンズを研削砥石で研削するための加工室を備えている。
【0003】
加工室は、研削砥石で眼鏡レンズを研削した際の研削屑や、研削砥石の回転に伴う摩擦熱を冷却するための冷却水が加工室から外部に飛散しないようにカバーにより開閉される。
【0004】
このカバーには、加工室内が透けて見えるように無色若しくは有色透明のものが使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の如く構成されたレンズ研削加工装置にあっては、カバー板の裏面(加工室内側)にレンズ研削屑や冷却水が付着するため、カバー板を清掃しなければならず、しかも、この清掃を行わないとカバー板を透明体で構成したことが無意味となることから、眼鏡レンズの研削加工終了毎(方眼毎)に行うことを余儀なくされ、メンテナンスが面倒であった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するため、レンズ研削加工に拘わる操作以外の手間としてのカバーの清掃作業を不要とすることができるレンズ研削加工装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、加工室から外部への研削屑等の飛散を防止することができるレンズ研削加工装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するため、請求項1の発明は、上方に開放する加工室が形成された装置本体と、眼鏡レンズを研削加工するために前記加工室内に設けられた研削加工手段と、該加工室を開閉するスライド式のカバーとを備えるレンズ研削加工装置において、前記加工室の前記開口より後方の後縁部が装置本体側の一部で覆われ、前記加工室の前記開口より後方の後縁部を覆う装置本体側の一部の下方に内部カバーパネルが配設され、前記加工室の前記開口より後方の後縁部を覆う装置本体側の一部とこれの下方に配設した前記内部カバーパネルとの間に前記カバーを配設するための空間が形成され、前記カバーを前記空間内に移動させることにより前記加工室の上端が開かれ、且つ、前記カバーを前記空間から前記開口側に引き出して移動させることにより前記加工室の上端が閉じられるように、前記カバーの両側部を案内させるガイド溝が前記開口の左右に沿って前記加工室の開口縁部に形成され、前記カバーの左右両側部には前記ガイド溝に案内されるコロが設けられていると共に、前記装置本体の前記加工室を形成する壁面には前記ガイド溝よりも下方に位置し且つ前記ガイド溝に沿て延びて前記ガイド溝への研削水の侵入を防止させるパッキングが設けられ、前記内部カバーパネルの前記開口側の縁部に設けられ且つ前記カバーの裏面に接触して該裏面に付着した付着物を除去するスクレーパーとを備えているレンズ研削加工装置としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のレンズ研削加工装置は、前記装置本体には前記加工室の前記開口より後方に位置させて液晶表示器が設けられていると共に、前記内部カバーパネルは前記液晶表示器の下方に配置された液晶表示器の下方に位置していることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[構成]
図1において、1は眼鏡フレームFのレンズ枠形状やその型板或いは玉型モデル等から玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)を読み取るフレーム形状測定装置(玉型形状データ測定装置)、2はフレーム形状測定装置から送信等によって入力された眼鏡フレームの玉型形状データに基づいて眼鏡レンズを研削加工するレンズ研削加工装置(玉摺機)である。尚、フレーム形状測定装置1には周知のものを用いることができるので、その詳細な構成やデータ測定方法等の説明は省略する。
【0016】
<レンズ研削加工装置2>
レンズ研削加工装置2は、図2,図3に示すように、装置本体3の前面寄りに設けられた加工室4を開閉するカバー5を有する。また、レンズ研削加工装置2は、加工室4内に設けられた研削加工手段と、加工室4内に出没可能なコバ厚測定手段(共に図示せず)を有する。さらに、レンズ研削加工装置2は、研削加工手段の各駆動モータやコバ厚測定手段の駆動モータ等の制御操作やデータ設定操作を行う際に用いる第1及び第2の操作パネル6,7と、操作パネル6,7による操作状態等その他を表示する液晶表示器8とを備えている。
【0017】
加工室4は、底が深い構造となっており、図4〜図7に示すように、その上方には装置本体3に固定の本体カバー3’によって開口4aが形成されている。また、装置本体3と本体カバー3’との間には、開口室4に開放し且つ開口4aの左右に沿う凹部4b,4bと、開口室4に開放し且つ開口4aの前方縁部に沿う凹部4bが形成されている。さらに、加工室4内には、装置本体3の左右に延びると共に眼鏡レンズに研削するための生地レンズ9を保持(挟持)して回転させる左右一対のレンズ軸10,11と、生地レンズ9を研削加工するための研削砥石12と、研削砥石12を回転させる砥石軸13と、眼鏡レンズの周縁部に面取り加工を施す面取砥石14,15と、面取砥石14,15を軸支する旋回アーム16と、図示を略するが、面取砥石15の周縁先端に位置する溝掘カッター(溝掘砥石)並びに研削砥石12の砥石面に研削水を掛けるためのホースが設けられている。さらに、加工室4の開口4aよりも後方で液晶表示器8の下方に位置する部分には内部カバーパネル17が設けられている。この液晶表示器8と内部カバーパネル17との間には、図6,図7から明らかなように、カバーを配設するための空間が形成されている。
【0018】
凹部4b,4cには、樹脂又はゴムから形成されたレール部材18が配設されている。このレール部材18の凹部4b,4bに位置する部分にはガイド溝18a,18aが形成されている。
【0019】
カバー5は、無色透明又は有色透明(例えば、グレー等の有色透明)の一枚のガラス若しくは樹脂製のパネルから構成されている。また、図6から明らかなように、カバー5の左右の凹部4b内の部分には、軸19を介してコロ20がそれぞれ取り付けられている。このコロ20は、ガイド溝18aに案内されて、カバー5を装置本体3の前後にスライドさせるようになっている。さらに、カバー5は、図7(A)に示すように、液晶表示器8の下方側の加工室4内から凹部4bにコロ20が挿入された状態でガイド溝18aに係合するように装置本体3に組み付けられる。尚、カバー5の装置本体3への組み付け後は、カバーパネル17に設けられたストッパ(図示せず)によって凹部4bからカバー5が抜けてしまわない程度に開口4aを開放する。また、カバー5は、開口4aを閉塞した時には、前方縁部が凹部4cに入り込んだ状態でレール部材18に当接する。尚、コロ20は、金属,樹脂,ゴム等の何れで形成されても良い。また、カバー5を液晶表示器8と内部カバーパネル17との間の空間内に移動させることにより加工室4の上端を開くことができ、且つ、カバー5を液晶表示器8と内部カバーパネル17との間の空間から開口4a側に引き出して移動させることにより加工室4の上端が閉じることができる。
【0020】
内部カバーパネル17の先方縁部(開口4a側の縁部)には、カバー5の裏面5aに先端が接触するスクレーパ17aが設けられている。
【0021】
このスクレーパ17aは、生地レンズ9を研削加工している際に研削砥石12の回転によって飛散してカバー5の裏面に付着した研削屑Gや研削水Wを取り除くもので、レンズ加工終了後にカバー5をスライドさせて開口4aを開放する際の操作によって研削屑Gや研削水Wを払拭する。従って、レンズ研削加工操作に拘わるカバー5の開閉操作のみによってカバー5の裏面5aを払拭することができることから、特別な清掃作業を行うことなくカバー5のメンテナンスを行うことができる。また、カバー5は、一枚のスライド式のパネルであることから、合わせ目が形成されず、その合わせ目によって形成された隙間もないことから、レンズ研削加工時における研削屑Gや研削水Wの外部への飛散を防止することができる。
【0022】
この際、カバー5の左右縁部は加工室4の上部の左右の凹部4b,4b内に位置し、カバー5の前方縁部は凹部4c内に位置し、カバー5の後方縁部は加工室4の装置本体3の一部で覆われた部分(液晶表示器8の下方)に位置していることから、レンズ研削加工時における研削屑Gや研削水Wの外部への飛散を防止することができる。また、装置本体3の加工室4を形成する壁面には、各凹部4b,4cの下方に位置し且つ凹部4b,4cに沿うパッキン21を設けている。これにより、レンズ研削加工時における研削屑Gや研削水Wの外部への飛散の更なる防止、並びに、凹部4b,4c内へのレンズ研削加工時における研削屑Gや研削水Wの浸入を防止することができる。
【0023】
ところで、スクレーパ17aは、図7(B)に示した先端先細り(でなくても良い)形状のゴム或いは軟性樹脂等の弾性を有するものの他、図7(C)に示したブラシによって構成されたスクレーパ17a’、或いは、図7(D)に示した布によって構成されたスクレーパ17a”など、カバー5の左右幅方向量全幅に設けることができ、カバー5の裏面5aの払拭作用を行い得るものであれば特に限定されるものではい。
【0024】
(研削加工手段)
研削加工手段は、後端部を中心に上下回動可能で且つ左右に可能なキャリッジと、そのキャリッジをパルスモータ等の駆動モータを用いて上下回動させる上下動手段と、キャリッジを左右動させるパルスモータ等の駆動モータと、キャリッジの先端部に左右に向けて直列且つ同軸に保持された一対のレンズ回転軸(レンズ保持軸)と、レンズ回転軸を回転駆動させるパルスモータ等の駆動モータと、キャリッジの上下回動に伴いレンズ回転軸間に保持された被加工レンズを研削加工する研削砥石を有する。この研削砥石は、粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石等を有する。そして、研削加工手段は、一対のレンズ回転軸間に被加工レンズ(未加工レンズ)を保持させて、このレンズ回転軸の回動とキャリッジの上下回動をレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて制御し、被加工レンズの周縁を回転する粗研削砥石でレンズ形状(玉型形状)に粗研削加工する。また、研削加工手段は、レンズ回転軸の回動とキャリッジの上下回動を玉型形状情報であるレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて制御すると共に、設定されたヤゲン位置に基づいてキャリッジを左右に駆動する駆動モータを制御することにより、玉型形状に粗加工された被加工レンズのコバ端にヤゲン加工を施す様になっている。このような被加工レンズの研削加工手段は周知の構造を採用できるので、詳細な説明は省略する。
【0025】
(コバ厚測定手段)
加工室4内に出没可能なコバ厚測定手段にも周知のものが用いられている。例えば、上述のレンズ回転軸間に被加工レンズを保持させておいて、加工室4内にパルスモータ等の駆動モータで出没可能な一対のフィーラーを設け、このフィーラーの間隔を検出させてコバ厚とするためのコバ厚検出手段を設けたものでもよい。この構成においては、加工室4に進出させた一対のフィーラーの先端を被加工レンズの前側屈折面と後側屈折面に当接させると共に、一対のレンズ回転軸を駆動する駆動モータをレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて角度θi毎に回転制御し、且つレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいてフィーラー駆動用の駆動モータを作動制御することにより、フィーラーの被加工レンズへの当接位置を被加工レンズの動径ρiの位置に移動させて、一対のフィーラー間の間隔を間隔測定手段で求めてレンズ形状情報(θi,ρi)におけるコバ厚Wiとするようにしている。
【0026】
(操作パネル6)
操作パネル6は、図8(A)に示すように、眼鏡レンズをレンズ軸10,11によりクランプするための『クランプ』スイッチ6aと、眼鏡レンズの右眼用・左眼用の加工の指定や表示の切換え等を行う『左』スイッチ6b,『右』スイッチ6cと、砥石を左右方向に移動させる『砥石移動』スイッチ6d,6eと、眼鏡レンズの仕上加工が不十分である場合や試し摺りする場合の再仕上又は試し摺り加工するための『再仕上/試』スイッチ6fと、レンズ回転モード用の『レンズ回転』スイッチ6gと、ストップモード用の『ストップ』スイッチ6hとを備えている。
【0027】
これは、実際のレンズ加工に必要なスイッチ群を加工室4に近い位置に配置することで作業者の動作の負担を軽減するためである。
【0028】
(操作パネル7)
操作パネル7は、図8(B)に示すように、液晶表示器8の表示状態を切り換える『画面』スイッチ7aと、液晶表示器8に表示された加工に関する設定等を記憶する『メモリー』スイッチ7bと、レンズ形状情報(θi,ρi)を取り込むための『データ要求』スイッチ7cと、数値補正等に使用されるシーソー式の『−+』スイッチ7d(『−』スイッチと『+』スイッチとを別々に設けても良い)と、カーソル式ポインタ移動用の『▽』スイッチ7eとを液晶表示器8の側方に配置している。また、ファンクションキーF1〜F6が液晶表示器8の下方に配列されている。
【0029】
このファンクションキーF1〜F6は、眼鏡レンズの加工に関する設定時に使用されるほか、加工工程で液晶表示器8に表示されたメッセージに対する応答・選択用として用いられる。
【0030】
各ファンクションキーF1〜F6は、加工に関する設定時(レイアウト画面)においては、ファンクションキーF1はレンズ種類入力用、ファンクションキーF2は加工コース入力用、ファンクションキーF3はレンズ素材入力用、ファンクションキーF4はフレーム種類入力用、ファンクションキーF5は面取り加工種類入力用、ファンクションキーF6は鏡面加工入力用として用いられる。
【0031】
ファンクションキーF1で入力されるレンズ種類としては、『単焦点』、『眼科処方』、『累進』、『バイフォーカル』、『キャタラクト』、『ツボクリ』等がある。尚、『キャタラクト』とは、眼鏡業界では一般にプラスレンズで屈折度数が大きいものをいい、『ツボクリ』とは、マイナスレンズで屈折度数が大きいものをいう。
【0032】
ファンクションキーF2で入力される加工コースとしては、『オート』、『試し』、『モニター』、『枠替え』等がある。
【0033】
ファンクションキーF3で入力される被加工レンズの素材としては、『フラット』、『ハイインデックス』、『ガラス』、『ポリカーボネイト』、『アクリル』等がある。
【0034】
ファンクションキーF4で入力される眼鏡フレームFの種類としては、『メタル』、『セル』、『オプチル』、『平』、『溝掘り(細)』、『溝掘り(中)』、『溝掘り(太)』等がある。尚、この各『溝掘り』とは、ヤゲン加工の一種であるヤゲン溝を示す。
【0035】
ファンクションキーF5で入力される面取り加工種類としては、『なし』、『小』、『中』、『特殊』等がある。
【0036】
ファンクションキーF6で入力される鏡面加工としては、『なし』、『あり』、『面取部鏡面』等がある。
【0037】
尚、上述したファンクションキーF1〜F6のモードや種別或いは順序は特に限定されるものではない。また、後述する各タブTB1〜TB4の選択として、『レイアウト』、『加工中』、『加工済』、『メニュー』等を選択するためのファンクションキーを設けるなど、キー数も限定されるものではない。
【0038】
(液晶表示器8)
液晶表示器8は、『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3、『メニュー』タブTB4によって切り替えられ、下方にはファンクションキーF1〜F6に対応したファンクション表示部H1〜H6を有する。尚、各タブTB1〜TB4の色は独立しており、後述する各エリアE1〜E4を除いた周囲の背景も各タブTB1〜TB4の選択切換と同時に各タブTB1〜TB4と同一の背景色に切り替わる。
【0039】
例えば、『レイアウト』タブTB1とそのタブTB1が付された表示画面全体(背景)は青色、『加工中』タブTB2とそのタブTB2が付された表示画面全体(背景)は緑色、『加工済』タブTB3とそのタブTB3が付された表示画面全体(背景)は赤色、『メニュー』タブTB4とそのタブTB4が付された表示画面全体(背景)は黄色で表示されている。
【0040】
このように、作業毎に色分けした各タブTB1〜TB4と周囲の背景とが同一色で表示されるので、作業者は現在どの作業中であるのかを容易に認識又は確認することができる。
【0041】
ファンクション表示部H1〜H6は、必要に応じたものが適宜表示され、非表示状態の時にはファンクションキーF1〜F6の機能に対応したものとは異なった図柄や数値、或いは、状態等を表示することができる。また、ファンクションキーF1〜F6を操作している際、例えば、ファンクションキーF1を操作している際には、そのファンクションキーF1をクリックする毎にモード等の表示が切り替わっても良い。例えば、ファンクションキーF1に対応する各モードの一覧を表示して(ポップアップ表示)選択操作を向上させることも可能である。また、ポップアップ表示中の一覧は、文字、図形又はアイコン等で表わされる。
【0042】
『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3を選択した状態の時には、アイコン表示エリアE1、メッセージ表示エリアE2、数値表示エリアE3、状態表示エリアE4に区画した状態で表示される。また、『メニュー』タブTB4を選択した状態の時には、全体的に一つのメニュー表示エリアとして表示される。尚、『レイアウト』タブTB1を選択している状態の時には、『加工中』タブTB2と『加工済』タブTB3とを表示せず、レイアウト設定が終了した時点で表示しても良い。
【0043】
尚、上述したような液晶表示器8を用いてのレイアウト設定は、特願2000−287040号又は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0044】
アイコン表示エリアE1に表示されるアイコンとしては、図9(A)に示すように、玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて眼鏡レンズのコバ厚形状を測定している状態を表わすアイコンA1と、眼鏡レンズのコバ端面に形成されるヤゲン形状をシミュレーションしている状態を表わすアイコンA2と、コバ端面を粗加工する状態を表わすアイコンA3と、コバ端面を仕上加工する状態を表わすアイコンA4と、コバ端面を鏡面加工する状態を表わすアイコンA5と、コバ端面をヤゲン溝掘り加工する状態を表わすアイコンA6と、コバ端面をヤゲン溝掘り・面取加工する状態を表わすアイコンA7と、コバ端面をヤゲン溝掘り・面取・鏡面加工する状態を表わすアイコンA8と、コバ端面をヤゲン加工する状態を表わすアイコンA9と、コバ端面をヤゲン・面取加工する状態を表わすアイコンA10と、コバ端面をヤゲン・面取・鏡面加工する状態を表わすアイコンA11と、眼鏡レンズの研削加工が終了したことを表わすアイコンA12とを備えている。なお、アイコンA3〜A11は、コバ端面を加工する状態を表わすアイコンの群となっており、装置本体の機能等(例えば、鏡面加工手段の無い装置など)によって適宜のものが使用され得る。また、アイコンA1〜A12の図柄は、加工種類等の作業内容をオペレータが容易に認識し得る図柄であれば特に限定されるものではない。同様に、作業内容を文字化した表示としても良いし、図柄表示の各アイコンA1〜A12に添えて作業内容文字を表示しても良い。
【0045】
ところで、これらのアイコンA1〜A12は、レンズ研削作業毎に設けられており、その一連の進行状況をオペレータが識別できるように、各アイコンA1〜A12に1対1で対応すると共に一連の進行状況に応じて点灯表示していく複数カーソル(インジケータ)C1〜C12が『加工中』タブTB2に設けられている。
【0046】
カーソルC1〜C12は、右眼レンズ進行状況表示用と左眼レンズ進行状況表示用とで上下2段にして別々に設けられているが、1段のみとして、右眼レンズ加工中か左眼レンズ加工中かの識別をするための表示を別途行うようにしても良い。
【0047】
尚、これらアイコンA1〜A12及びカーソル(インジケータ)C1〜C12は、作業者が設定していない加工については、その加工を視覚的象徴的に表現するアイコン及びそのアイコンA1〜A12に併設されたカーソル(インジケータ)C1〜C12を表示させないようにすることもできる。
【0048】
例えば、図9(B)に示すように、眼鏡レンズのコバ端面の加工をヤゲン溝掘り・面取加工とし、鏡面加工は行わない設定とした場合、鏡面加工用のアイコンA5並びにヤゲン(山)加工に関するアイコンA8〜A11の表示色を灰色や白抜き等の比較的認識し難い色や太さとし(図面上では細線で表示)、実際に加工を行う他のアイコンA1〜A4、並びにアイコンA6,A7,A12の表示色をレイアウト背景色と同色若しくは他の明るい比較的認識し易い色や太さとする(図面上では太線で表示)ことによって設定状況の確認を容易としている。同様に、加工を行わないアイコンA8〜A11に対応するカーソルC5並びにカーソルC8〜C11は表示させないことでより認識性を向上させている。尚、アイコン表示と同様に、カーソルC5,C8〜C11の枠の太さを他のカーソルC1〜C4、並びにカーソルC6,C7,C12の枠の太さよりも細く表示することも可能である。尚、これらアイコンA1〜A12とカーソル(インジケータ)C1〜C12の設定環境並びに使用環境におけるより詳細な表示例は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0049】
メッセージ表示エリアE2には、各種エラーメッセージや警告メッセージなどが状態に応じて表示される。尚、装置内部品等の破損や被加工レンズの破損等の虞がある場合の警告メッセージなどの場合には、オペレータが認識し易いようにメッセージ表示エリアE2以外のエリアにはみ出して表示上で重畳させることも可能である。
【0050】
数値表示エリアE3には、レイアウトデータの入力時には、眼鏡フレームの左右レンズ枠の幾何学中心間距離(FPD値)、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD値)、FPD値とPD値との差である寄せ量の鉛直方向成分UP値(又はHlp値)、加工サイズ調整の各項目等が表示される。また、初期設定時には、上述したFPD,PD,UP,サイズの他に加工レンズの吸着中心が表示される。さらに、モニターデータ入力時には、眼鏡レンズの二次加工的な面取り加工や鏡面加工に関わる寸法関係の数値が表示される。
【0051】
状態表示エリアE4には、右眼用及び左眼用の眼鏡レンズのレイアウト画像や眼鏡レンズの最大、最小、最大及び最小以外の中間(任意)コバ周縁に形成されるヤゲン形状、コバ周縁を側面から見たレンズ側面形状等や、現実の加工状態に即した模式図等が表示される。
【0052】
尚、以下、レイアウト時の液晶表示器8の表示状態としての、システム起動直後・データ要求直後・レイアウト設定終了・各コース選択等、或いは、加工時の液晶表示器8の表示状態としての、コバ厚確認・右眼レンズ加工中及び終了・左眼レンズ加工中等、更に、加工済み後の液晶表示器8の表示状態としての確認・データ保存、研削加工中におけるエラー・アイコンとカーソル・溝掘り加工及び面取加工・試し摺り・加工追加再仕上げ等の表示や操作等においても、特願2000−287040号又は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
[制御回路]
レンズ研削加工装置2は、図10に示すように、制御回路30を有する。この制御回路30は、第1のCPU(CPU−1)を備える第1の演算制御回路31を有すると共に、第2のCPU(CPU−2)を備え且つ第1の演算制御回路31に接続された第2の演算制御回路32を有する。
【0054】
この第1の演算制御回路31及び第2の演算制御回路32は、レンズ研削加工装置2のメイン電源をオンさせることによって作動制御が開始される。
【0055】
第1の演算制御回路31は、レンズコバ厚の測定中及びレンズ研削加工中にメモリからデータを読み出したり、レンズの加工のためのレイアウトの設定等を制御するために用いられる。また、第2の演算制御回路32は、コバ厚を測定した後に、レイアウト情報(加工条件)に基づいて被加工レンズの粗加工,ヤゲン加工,仕上加工のレンズ研削加工の流れを制御するのに用いられる。
【0056】
第1の演算制御回路31には、フレーム形状測定装置1、操作パネル6の各スイッチ6a〜6n、ファンクションキーF1〜F6で設定したデータを記憶する設定データメモリ33、液晶表示器8が接続されている。
【0057】
第2の演算制御回路32には、加工中のデータを記憶するための加工データメモリ34と、研削加工手段の各駆動モータを駆動制御させる制御回路35と、コバ厚測定手段における間隔測定手段36が接続されている。
【0058】
ファンクションキーF1〜F6の操作信号は、第1の演算制御回路31に入力される。液晶表示器8のファンクション表示部H1〜H6の表示に対応するファンクションキーF1〜F6を選択して押すことで、第1の演算制御回路31は選択されたファンクションキーF1〜F6に対応する表示内容に従って液晶表示器8の表示の一部又は全部の変更、モードの変更、作業の実行等を行う。また、第1の演算制御回路31は、液晶表示器8の状態表示エリアE4の表示状態を加工状態に応じて制御する。
【0059】
[制御回路の実施例2]
図11は、レンズ研削加工装置2の他の演算制御回路40を示す。
【0060】
CPUを有する演算制御回路40には、操作パネル6,記憶手段としてのROM41、記憶手段としてのデータメモリ42、RAM43が接続されていると共に、補正値メモリ44が接続されている。また、演算制御回路40には、表示用ドライバ45を介して液晶表示器8が接続され、パルスモータドライブ46を介して研削加工手段の各種駆動モータ(パルスモータ)47a…47nが接続されていると共に、通信ポート48を介して図1のフレーム形状測定装置1が接続されている。
【0061】
演算制御回路40は、加工制御開始後に、フレーム形状測定装置1からのデータ読み込みや、データメモリ42の記憶領域m1〜m8に記憶されたデータの読み込みがある場合には、図6に示すように、時分割による加工制御とデータの読み込みやレイアウト設定の制御を行う。
【0062】
即ち、時間t1,t2間の期間をT1、時間t2,t3間の期間をT2、時間t3,t4間の期間をT3、・・・、時間tn−1,tn間の期間をTnとすると、期間T1,T3…Tnの間で囲う制御が行われ、データの読み込みやレイアウト設定の制御を期間T2,T4…Tn−1の間に行う。従って、被加工レンズの研削加工中に、次の複数の玉型形状データの読み込み記憶や、データの読み出しとレイアウト設定(調整)等を行うことができ、データ処理の作業効率を格段に向上させることができる。
【0063】
ROM41にはレンズ研削加工装置2の動作制御のための種々のプログラムが記憶され、データメモリ42には複数のデータ記憶領域が設けられている。また、RAM43には、現在加工中の加工データを記憶する加工データ記憶領域42a、新たなデータを記憶する新データ記憶領域43b、フレームデータや加工済みデータ等を記憶するデータ記憶領域43cが設けられている。
【0064】
尚、データメモリ42には、読み書き可能なFEEPROM(フラッシュEEPROM)を用いることもできるし、メインの電源がオフされても内容が消えないようにしたバックアップ電源使用のRAMを用いることもできる。
【0065】
次に、この様な構成の演算制御回路40を有するレンズ研削加工装置の作用を説明する。
【0066】
スタート待機状態からメイン電源がオンされると、演算制御回路40はフレーム形状測定装置1からデータ読み込みがあるか否かを判断する。
【0067】
即ち、演算制御回路40は、操作パネル6の『データ要求』スイッチ7cが押されたか否かが判断される。そして、『データ要求』スイッチ7cが押されてデータ要求があれば、フレーム形状測定装置1からレンズ形状情報(θi,ρi)のデータをRAM43のデータ読み込み領域43bに読み込む。この読み込まれたデータは、データメモリ42の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)されると共に、図35に示したレイアウト画面が液晶表示器8に表示される。
【0068】
また、『右』スイッチ6c又は『左』スイッチ6bが押されて加工開始命令があった場合には、パルスモータドライバ46を介して駆動モータ47a〜47nを作動制御して、加工制御を開始すると同時に演算制御回路40がコバ厚測定、ヤゲン設定、粗加工(ヤゲン加工を含む)、仕上加工を順次行なう。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、レンズ研削加工に拘わる操作以外の手間としてのカバーの清掃作業を不要とすることができる。
【0070】
また、加工室の開口縁部近傍に位置してこの開口縁部に沿って形成されたガイド溝に案内される一枚の透明体であることにより、加工室から外部への研削屑等の飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るレイアウト表示装置を備えるレンズ研削加工装置とフレーム形状測定装置との関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置のカバーを開けた状態の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置のカバーを開けた状態の平面図である。
【図6】(A)は図7(A)の6A−6A線に沿う拡大断面図、(B)は図7(A)の6B−6B線に沿う拡大断面図である。
【図7】(A)は図5の7A−7A線に沿う拡大断面図、(B)はスクレーパの拡大断面図、(C)は他のスクレーパの拡大断面図、(D)はさらに他のスクレーパの拡大断面図である。
【図8】(A)は第1の操作パネルの拡大説明図、(B)は液晶表示器の正面図である。
【図9】(A)はアイコンとカーソルとの関係を示す拡大説明図、(B)は加工状況に応じたアイコンとカーソルとの関係を示す拡大説明図である。
【図10】レンズ研削加工装置の制御回路の一例の説明図である。
【図11】レンズ研削加工装置の制御回路の他例を示す説明図である。
【図12】制御回路の制御を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
2…レンズ研削加工装置
4…加工室
4a…開口
4b…凹部
4c…凹部
5…カバー
5a…裏面
17…内部カバーパネル
17a…スクレーパ
18…レール部材
18a…ガイド溝
21…パッキン
Claims (2)
- 上方に開放する加工室が形成された装置本体と、眼鏡レンズを研削加工するために前記加工室内に設けられた研削加工手段と、該加工室を開閉するスライド式のカバーとを備えるレンズ研削加工装置において、
前記加工室の前記開口より後方の後縁部が装置本体側の一部で覆われ、前記加工室の前記開口より後方の後縁部を覆う装置本体側の一部の下方に内部カバーパネルが配設され、前記加工室の前記開口より後方の後縁部を覆う装置本体側の一部とこれの下方に配設した前記内部カバーパネルとの間に前記カバーを配設するための空間が形成され、前記カバーを前記空間内に移動させることにより前記加工室の上端が開かれ、且つ、前記カバーを前記空間から前記開口側に引き出して移動させることにより前記加工室の上端が閉じられるように、前記カバーの両側部を案内させるガイド溝が前記開口の左右に沿って前記加工室の開口縁部に形成され、前記カバーの左右両側部には前記ガイド溝に案内されるコロが設けられていると共に、前記装置本体の前記加工室を形成する壁面には前記ガイド溝よりも下方に位置し且つ前記ガイド溝に沿て延びて前記ガイド溝への研削水の侵入を防止させるパッキングが設けられ、前記内部カバーパネルの前記開口側の縁部に設けられ且つ前記カバーの裏面に接触して該裏面に付着した付着物を除去するスクレーパーとを備えていることを特徴とするレンズ研削加工装置。 - 前記装置本体には前記加工室の前記開口より後方に位置させて液晶表示器が設けられていると共に、前記内部カバーパネルは前記液晶表示器の下方に配置された液晶表示器の下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載のレンズ研削加工装置。
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