次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、1は眼鏡フレームFのレンズ枠形状やその型板或いは玉型モデル等から玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)を読み取るフレーム形状測定装置(玉型形状データ測定装置)、2はフレーム形状測定装置から送信等によって入力された眼鏡フレームの玉型形状データに基づいて生地レンズ等から眼鏡レンズMLを研削加工するレンズ研削加工装置(玉摺機)である。尚、フレーム形状測定装置1には周知のものを用いることができるので、その詳細な構成やデータ測定方法等の説明は省略する。
<レンズ研削加工装置2>
レンズ研削加工装置2の上部には、図1〜図3に示したように、装置本体3の前側に傾斜する上面(傾斜面)3aが設けられていると共に、上面3aの前部側(下部側)に開口する加工室4が形成されている。この加工室4は、斜め上下にスライド操作可能に装置本体3に取り付けられたカバー5で開閉される様になっている。
また、装置本体3の上面3aには、加工室4の側方に位置させた操作パネル6と、加工室4の上部開口より後部側に位置させた操作パネル7と、操作パネル7の下部側より後方に位置し且つ操作パネル6,7による操作状態を表示させる液晶表示器8が設けられている。
更に、装置本体3内には、図5〜図7に示すように、加工室4を有する研削加工部10が設けられている。この加工室4は、研削加工部10に固定の周壁11内に形成されている。
この周壁11は、図5(a),図7に示したように左右の側壁11a,11b、後壁11c、前壁11d及び底壁11eを有する。しかも、側壁11a,11bには円弧状のガイドスリット11a1,11b1が形成されている(図5(a)又は図7のいずれか参照)。また、底壁11eは、図5(a),図6,図6Aに示したように後壁11cから手前側下方に円弧状に延びる円弧状底壁(傾斜底壁)11e1と、円弧状底壁11e1の前下端から前壁11dまで延びる下底壁11e2を有する。この下底壁11e2には、円弧状底壁11e1に近接させて下方の廃液タンク(図示せず)まで延びる排水管11fが設けられている。
(カバー5)
カバー5は、無色透明又は有色透明(例えば、グレー等の有色透明)の一枚のガラスや樹脂製のパネルから構成され、装置本体3の前後にスライドする。
(操作パネル6)
操作パネル6は、図4(A)に示すように、眼鏡レンズMLを後述する一対のレンズ軸23,24によりクランプするための『クランプ』スイッチ6aと、眼鏡レンズMLの右眼用・左眼用の加工の指定や表示の切換え等を行う『左』スイッチ6b,『右』スイッチ6cと、砥石を左右方向に移動させる『砥石移動』スイッチ6d,6eと、眼鏡レンズMLの仕上加工が不十分である場合や試し摺りする場合の再仕上又は試し摺り加工するための『再仕上/試』スイッチ6fと、レンズ回転モード用の『レンズ回転』スイッチ6gと、ストップモード用の『ストップ』スイッチ6hとを備えている。
これは、実際のレンズ加工に必要なスイッチ群を加工室4に近い位置に配置することで作業者の動作の負担を軽減するためである。
(操作パネル7)
操作パネル7は、図4(B)に示すように、液晶表示器8の表示状態を切り換える『画面』スイッチ7aと、液晶表示器8に表示された加工に関する設定等を記憶する『メモリー』スイッチ7bと、レンズ形状情報(θi,ρi)を取り込むための『データ要求』スイッチ7cと、数値補正等に使用されるシーソー式の『−+』スイッチ7d(『−』スイッチと『+』スイッチとを別々に設けても良い)と、カーソル式ポインタ移動用の『▽』スイッチ7eとを液晶表示器8の側方に配置している。また、ファンクションキーF1〜F6が液晶表示器8の下方に配列されている。
このファンクションキーF1〜F6は、眼鏡レンズMLの加工に関する設定時に使用されるほか、加工工程で液晶表示器8に表示されたメッセージに対する応答・選択用として用いられる。
各ファンクションキーF1〜F6は、加工に関する設定時(レイアウト画面)においては、ファンクションキーF1はレンズ種類入力用、ファンクションキーF2は加工コース入力用、ファンクションキーF3はレンズ素材入力用、ファンクションキーF4はフレーム種類入力用、ファンクションキーF5は面取り加工種類入力用、ファンクションキーF6は鏡面加工入力用として用いられる。
ファンクションキーF1で入力されるレンズ種類としては、『単焦点』、『眼科処方』、『累進』、『バイフォーカル』、『キャタラクト』、『ツボクリ』等がある。尚、『キャタラクト』とは、眼鏡業界では一般にプラスレンズで屈折度数が大きいものをいい、『ツボクリ』とは、マイナスレンズで屈折度数が大きいものをいう。
ファンクションキーF2で入力される加工コースとしては、『オート』、『試し』、『モニター』、『枠替え』等がある。
ファンクションキーF3で入力される被加工レンズの素材としては、『プラスチック』、『ハイインデックス』、『ガラス』、『ポリカーボネイト』、『アクリル』等がある。
ファンクションキーF4で入力される眼鏡フレームFの種類としては、『メタル』、『セル』、『オプチル』、『平』、『溝掘り(細)』、『溝掘り(中)』、『溝掘り(太)』等がある。なお、この各『溝掘り』とは、ヤゲン加工の一種であるヤゲン溝を示す。
ファンクションキーF5で入力される面取り加工種類としては、『なし』、『小』、『中』、『大』、『特殊』等がある。
ファンクションキーF6で入力される鏡面加工としては、『なし』、『あり』、『面取部鏡面』等がある。
尚、上述したファンクションキーF1〜F6のモードや種別或いは順序は特に限定されるものではない。また、後述する各タブTB1〜TB4の選択として、『レイアウト』、『加工中』、『加工済』、『メニュー』等を選択するためのファンクションキーを設けるなど、キー数も限定されるものではない。
(液晶表示器8)
液晶表示器8は、『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3、『メニュー』タブTB4によって切り替えられ、下方にはファンクションキーF1〜F6に対応したファンクション表示部H1〜H6を有する。尚、各タブTB1〜TB4の色は独立しており、後述する各エリアE1〜E4を除いた周囲の背景も各タブTB1〜TB4の選択切換と同時に各タブTB1〜TB4と同一の背景色に切り替わる。
例えば、『レイアウト』タブTB1とそのタブTB1が付された表示画面全体(背景)は青色、『加工中』タブTB2とそのタブTB2が付された表示画面全体(背景)は緑色、『加工済』タブTB3とそのタブTB3が付された表示画面全体(背景)は赤色、『メニュー』タブTB4とそのタブTB4が付された表示画面全体(背景)は黄色で表示されている。
このように、作業毎に色分けした各タブTB1〜TB4と周囲の背景とが同一色で表示されるので、作業者は現在どの作業中であるのかを容易に認識又は確認することができる。
ファンクション表示部H1〜H6は、必要に応じたものが適宜表示され、非表示状態の時にはファンクションキーF1〜F6の機能に対応したものとは異なった図柄や数値、或いは、状態等を表示することができる。また、ファンクションキーF1〜F6を操作している際、例えば、ファンクションキーF1を操作している際には、そのファンクションキーF1をクリックする毎にモード等の表示が切り替わっても良い。例えば、ファンクションキーF1に対応する各モードの一覧を表示して(ポップアップ表示)選択操作を向上させることも可能である。また、ポップアップ表示中の一覧は、文字、図形又はアイコン等で表わされる。
『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3を選択した状態の時には、アイコン表示エリアE1、メッセージ表示エリアE2、数値表示エリアE3、状態表示エリアE4に区画した状態で表示される。また、『メニュー』タブTB4を選択した状態の時には、全体的に一つのメニュー表示エリアとして表示される。尚、『レイアウト』タブTB1を選択している状態の時には、『加工中』タブTB2と『加工済』タブTB3とを表示せず、レイアウト設定が終了した時点で表示しても良い。
尚、上述したような液晶表示器8を用いてのレイアウト設定は、特願2000−287040号又は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
<研削加工部10>
研削加工部10は、図7,図8の様に装置本体3に固定のトレイ12と、このトレイ12上に配置されたベース13と、トレイ12に固定されたベース駆動モータ14と、トレイ12から立ち上げられた支持部12a(図8参照)に先端が回転可能に支持されたベース駆動モータ14の出力軸(図示せず)に連動するネジ軸15とを備えている。また、研削加工部10は、眼鏡レンズMLの回転駆動系16と、眼鏡レンズMLの研削系17と、眼鏡レンズMLのコバ厚測定系18を駆動系として備えている。
(ベース13)
ベース13は、トレイ12の後縁部に沿って左右に延びる後側支持部13aと、後側支持部13aの左端部から前側延びる側方側支持部13bから略V字状に形成されている。この後側支持部13aの左右両端部上にはVブロック状の軸支持部13c,13dが固定され、側方側支持部13bの前端部上にはVブロック状の軸支持部13eが固定されている。
また、装置本体3内には、左右に延び、且つ、前後に平行に並設された一対の平行ガイドバー19,20が配設されている。この平行ガイドバー19,20の左右両端部は装置本体3内の左右の部分に取り付けられている。しかも、この平行ガイドバー19,20には、ベース13の側方側支持部13bが軸線方向に沿って左右に進退動可能に軸支されている。
また、軸支持部13c,13d上のV溝部には左右に延びるキャリッジ旋回軸21の両端部が配設されている。22はキャリッジ旋回軸21に取り付けるキャリッジである。このキャリッジ22は、左右に間隔をおいて位置し且つ前後に延びる軸取付用のアーム部22a,22bと、左右に延び且つアーム部22a,22bの後端部間を連設している連設部22cと、連設部22cの左右中央部に後方に向けて突設した支持突部22dから二股形状に形成されている。尚、アーム部22a,22b及び連設部22cはコ字状になっている。このアーム部22a,22b間に加工室4を形成する周壁11が配置されている。
そして、このキャリッジ旋回軸21は、支持突部22dを貫通し且つ支持突部22dに保持されていると共に、軸支持部13c,13dに対して回動自在になっている。これにより、キャリッジ22前端部側はキャリッジ旋回軸21を中心に上下回動できるようになっている。尚、キャリッジ旋回軸21は、軸支持部13c,13dに固定して、支持突部22dをキャリッジ旋回軸21に対して回動可能且つ軸線方向に移動不能に保持させても良い。
このキャリッジ22は、左右に延び且つ眼鏡レンズ(円形の未加工眼鏡レンズ、即ち円形の生地レンズ)MLを同軸上で挟持する一対のレンズ軸(レンズ回転軸)23,24を備えている。レンズ軸23は、左右に向けてアーム部22aの先端部を貫通すると共に、アーム部22aの先端部に軸線回りに回転自在に且つ軸線方向に移動不能に保持されている。また、レンズ軸24は、左右に向けてアーム部22bの先端部を貫通すると共に、アーム部22bの先端部に軸線回りに回転自在に且つ軸線方向に移動調整可能に保持されている。この構造には周知の構造が採用されるので、その詳細な説明は省略する。
また、ベース13にはガイド部13fが一体に形成されていて、ガイド部13fにはネジ軸(送りネジ)15が螺着されている。そして、ベース駆動モータ14を作動させて、ベース駆動モータ14でネジ軸15を回転駆動することにより、ガイド部13fがネジ軸15の軸線方向に進退動され、ベース13がガイド部13fと一体に移動する様になっている。この際、ベース13が一対の平行ガイドバー19,20に案内されて軸線方向に沿って変位する。
<キャリッジ22>
上述した周壁11のガイドスリット11a1,11b1は、キャリッジ旋回軸21を中心に円弧状に形成されている。そして、ガイドスリット11a1、11b1には、キャリッジ22に保持させたレンズ軸23,24の互いに対向する端部が挿通されている。これによりレンズ軸23,24の対向端部は周壁11で囲まれた加工室4内に突出している。
また、側壁部11aの内壁面には図5(a)に示したように円弧状で断面ハット状のガイド板P1が取り付けられ、側壁部11bの内壁面には図7に示したように円弧状で断面ハット状のガイド板P2が取り付けられている。このガイド板P1,P2にはガイドスリット11a1,11b1に対応して円弧状に延びるガイドスリット11a1′,11b1′が形成されている。そして、側壁部11aとガイド板P1との間にはガイドスリット11a1,11a1′を閉成するカバー板11a2が前後及び上下に移動可能に配設され、側壁部11bとガイド板P2との間にはガイドスリット11b1,11b1′を閉成するカバー板11b2が前後及び上下に移動可能に配設され、このカバー板11a2,11b2はレンズ軸23,24にそれぞれ取り付けられている。
しかも、ガイド板P1にはガイドスリット11a1,11a1′の上下に位置してガイドスリット11a1,11a1′の上下縁に沿う円弧状のガイドレールGa,Gbが設けられ、ガイド板P2にはガイドスリット11b1,11b1′の上下に位置してガイドスリット11b1,11b1′の上下縁に沿う円弧状のガイドレールGc,Gdが設けられ、そして、カバー板11a2はガイドレールGa,Gbに上下を案内されて円弧状に上下移動できる様になっており、カバー板11b2はガイドレールGc,Gdに上下を案内されて円弧状に上下移動できる様になっている。
そして、キャリッジ22のレンズ軸23が円弧状のカバー板11a2を摺動自在に貫通して、レンズ軸23、側壁部11a1,ガイド板P1及びカバー板11a2の組み付け性を良くし、キャリッジ22のレンズ軸24が円弧状のカバー板11b2を摺動自在に貫通して、レンズ軸24、側壁部11b1,ガイド板P2及びカバー板11b2の組み付け性を良くしている。また、カバー板11a2とレンズ軸23との間はシール部材Saを介してシールされていると共に、カバー板11a2はレンズ軸23にシール部材Sa,Saを介して保持されている。更に、カバー板11b2とレンズ軸24との間はシール部材Sbを介してシールされていると共に、カバー板11b2はレンズ軸24にシール部材Sb,Sbを介して軸線方向に相対移動可能に保持されている。これにより、レンズ軸23,24がガイドスリット11a1,11b1に沿って上下に円弧状に回動すると、カバー板11a2,11b2もレンズ軸23,24と一体に上下に移動できる。
なお、側壁部11a1とガイド板P1は円弧状のカバー板11a2と密着するように接近しており、側壁部11b1とガイド板P2は円弧状のカバー板11b2は密着するように接近している。
さらに、加工室4の内のガイド板P1,P2は、後側壁11c及び下底壁11e2の近傍まで延設して、上下端がフィーラ41の側方及び研削砥石35の上近傍あたりで切れるようにすることにより、ガイド板P1,P2の上下端を加工室4内に開放して、研削液が側壁部11a1,11b1の内面に沿って流れるようにすることにより、側壁部11a1とガイド板P1との間及び側壁部11b1とガイド板P2との間に研削液が溜まることがないようになっている。
そして、キャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心に上下回動して、レンズ軸23,24がガイドスリット11a1,11b1に沿って上下動したとき、カバー板11a2,11b2もレンズ軸23,24と一体に上下動して、ガイドスリット11a1,11b1がカバー板11a2,11b2で常時閉成された状態となっていて、周壁11内の研削液等が周壁11の外側に漏れないようになっている。尚、このレンズ軸23,24の上下動に伴い、眼鏡レンズMLが研削砥石35に対して接近・離反する。
尚、眼鏡レンズMLの生地レンズ等のレンズ軸23,24への装着時並びに研削加工終了後の離脱時には、レンズ軸23,24がガイド溝11aの中間位置に位置するように、キャリッジ22が上下方向の回動中心に位置させられるようになっている。また、キャリッジ22は、コバ厚測定時及び研削加工時に眼鏡レンズMLの研削加工量に応じて上下回動制御されて傾斜させられる。
(レンズ軸23,24の回転駆動系16)
レンズ軸23,24の回転駆動系16は、キャリッジ22に図示を省略した固定手段で固定されたレンズ軸駆動用モータ25と、キャリッジ22に回転自在に保持され且つレンズ軸駆動用モータ25の出力軸に連動する動力伝達軸(駆動軸)25aと、動力伝達軸25aの先端に設けられた駆動ギヤ26と、駆動ギヤ26に噛合し且つ一方のレンズ軸23に取り付けられた従動ギヤ26aを有する。図8では、駆動ギヤ26にウオームギヤを用い、従動ギヤ26aにウオームホイールを用いている。尚、駆動ギヤ26、従動ギヤ26aにはベベルギヤ(傘歯車)を用いることができる。
更に、回転駆動系16は、一方のレンズ軸23の外端部(レンズ軸24側とは反対側の端部)に固定されたプーリ27と、キャリッジ22に設けられた動力伝達機構28と、他方のレンズ軸24の外端部(レンズ軸23側とは反対側の端部)に回転自在に保持されたプーリ29とを備えている。このプーリ29は、レンズ軸24に対して軸線方向に相対移動可能に設けられていると共に、レンズ軸24が軸線方向に移動調整されたときに、軸線方向の位置が変化しないようにキャリッジ22に設けた図示しない移動規制部材等で移動規制されるようになっている。
動力伝達機構28は、伝達プーリ28a,28bと、伝達プーリ28a,28bが両端部に固定された伝達軸(動力伝達軸)28cを有する。この伝達軸28cは、レンズ軸23,24と平行に配設されていると共に、図示しない軸受でキャリッジ22に回転自在に保持されている。また、動力伝達機構28は、プーリ27と伝達プーリ28aとの間に掛け渡された駆動側ベルト28dと、プーリ29と伝達プーリ28bとの間に掛け渡された従動側ベルト28eとを備えている。 レンズ軸駆動用モータ25を作動させて動力伝達軸25aを回転させると、動力伝達軸25aの回転が駆動ギヤ26及び従動ギヤ26aを介してレンズ軸23に伝達されて、レンズ軸23及びプーリ27が一体に回転駆動される。一方、プーリ27の回転は、駆動側ベルト28d,伝達プーリ28a,伝達軸28c,伝達プーリ28b及び従動側ベルト28eを介してプーリ29に伝達され、プーリ29及びレンズ軸24が一体に回転駆動される。この際、レンズ軸24及びレンズ軸23はと同期して一体的に回転する様になっている。
(研削系17)
研削系17は、トレイ12に固定された砥石駆動モータ30と、砥石駆動モータ30の駆動がベルト31を介して伝達される伝達軸32と、伝達軸32の回転が伝達される砥石軸部33と、砥石軸部33に固定された研削砥石35を有する。尚、この研削砥石35は、符号を省略した粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石等を有する。この粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石は、軸線方向に並設されている。
また、研削系17は、装置本体3に固定された回動アーム駆動モータ36と、この回動アーム駆動モータ36の出力軸に固定されたウォームギヤ36aと、周壁11に回転自在に保持された筒軸状のウオーム37と、ウオーム37に一体的に固着された中空の回動アーム38と、図5(a)中、回動アーム38の自由端部に一端部が回転自在に保持され且つこの自由端部から右方に向けて突出する回転軸39と、回転軸39に固定された補助加工ツールとしての補助研削砥石40とを備えている。この回動アーム38の下端には、図6Bに示したように下方に向けて突出する突部(突片)38aが第1の給水方向可変部材として一体に設けられている。
更に、研削系17は、周壁11に取り付けられ且つ図示しない出力軸が筒状のウオーム37内に挿通された駆動モータ39aと、回動アーム38内に配設されて駆動モータ39aの出力軸の回転を回転軸39に伝達する動力伝達機構を有する。
補助研削砥石40は、図5(a),図6(B),図7に示したように眼鏡レンズMLの周縁部に面取加工を施す面取砥石40a,40bと、面取砥石40aに隣接して回転軸39に取り付けられた溝掘カッター40cを有する。
尚、回転軸39に取り付けられる補助加工ツールとしては、図5(a),図6(B),図7に示したものに限定されるものではない。例えば、補助加工ツールとしては、図6(C)に示したような溝掘カッター40c,ヤゲン砥石40dであっても良い。このヤゲン砥石40dの軸線方向の中間部にはヤゲン形成用のヤゲン溝(V字状溝)40d1が形成され、ヤゲン砥石40dの両端には傾斜する面取砥石部40d2,40d3が形成され、ヤゲン砥石40dの周面にはヤゲン溝(V字状溝)40d1の両側には平砥石部40d4,40d5が形成されている。
(研削液供給構造)
上述した様に、加工室4を形成する周壁11の底壁11eは円弧状壁11e1及び下底壁11e2を有する。この円弧状壁11e1は、キャリッジ旋回軸21を中心として円弧状に形成されている。
また、上述したように周壁11は、後壁11c及び前壁11dを有する。そして、後壁11cの下端部の左右方向中央には前方に向けて開口する研削液吐出ノズル60が研削液供給手段として取り付けられている。
しかも、前壁11dの上方には図6Bに示したような左右に延びる支持ブラケット100が図6,図6Aの如く配設されている。この支持ブラケット100は、図6Bに示したように、左右方向に延び且つ前壁11dの切欠部11d′の上縁に溶接固定される固定板部100aと、固定板部100aの左右両端部に一体に設けられた起立支持片100b,100cを有する。尚、この前壁11dの切欠部11d′を図示しないカバーで閉成することにより、切欠部11d′から研削液が漏れることはない。
また、図6Bに示したように、固定板部100aの前縁部側には、支持板102が配設されている。この支持板102は、固定板部100aの下面に配設された取付板部102aと、この取付板部102aから上方に起立する起立板部102bと、この起立板部102aの上端から手前側に傾斜する傾斜板部102cを有する。この取付板部102aは固定板部100aの下面に固定ネジ103で固定されている。
更に、支持ブラケット100上にはノズル取付板104がノズル取り付けアーム(ノズル取付部材)として配設されている。このノズル取付板104は、図6,図6A,図6Bに示したように、支持板102より手前側に配設された起立板部104aと、この起立板部104aの上端に垂直(直角)に設けられた取付板部104bとを有する。この取付板部104bは、研削砥石35の上方に向けて突出している。
しかも、起立板部101aには、下部両側縁から研削砥石35側に延びる側板部104c,104dが設けられていると共に、側板104c側の下縁から手前側に突出する下板部104eが設けられている。この側板部104c,104dは起立支持片100b,100cに支持軸105,106を介してそれぞれ回動自在に取り付けられている。
また、起立板部104aには傾斜板部102cの上端部に対向させた上下に延びる長孔107が形成されている。この長孔107に挿通された取付ネジ108は傾斜板部102cを貫通しており、この取付ネジ108の先端部にはナット19が螺着されている。尚、ナット109は傾斜板部102cの上端部に溶接固定されている。また、取付ネジ108の頭部に起立板部104aが当接させられたときには、取付板部104bは斜め後ろ上方に向けて傾斜するようになっている。
この取付ネジ108とナット109は、図6に示したように起立板部104aと傾斜板部102cとの間に前後方向の遊び(間隙)110ができるように、起立板部104aを傾斜板部102cに取り付けている。
また、取付ネジ108とナット109の間には、別のナット109’,109’(ダブルナット)が設けられ、通常の研削加工時は前板部111bを支えているが、別のナット109’,109’と取付ネジ108の間隔を変えることもでき、前後方向の遊び(間隙)の幅を変えることもできる。
また、起立板部104aの左側下部には、第2の給水方向可変部材111が配設されている。この第2の給水方向可変部材111は、下板部104e上に重ねられた固定用板部111aを有する。この固定用板部111aは、下板部104e上に取付ネジ112で固定されている。しかも、第2の給水方向可変部材111は、起立板部104aに沿う前板部111bと、前板部111bに連設され且つ側板部104cに沿って延びる側板部111cと、側板部111cの後縁部に側方に向けて垂直に連設された当接板部111dを有する。この当接板部111dは、回動アーム38の下端に一体に設けた突部38に対向させられている。
更に、ノズル取付板104の取付板部104bには、研削液供給手段としての研削液吐出ノズル61Aが固定ネジ113で取り付けられている。この研削液吐出ノズル61Aは、自重で水平になるように下方向に回動付勢されている。
尚、研削液吐出ノズル61Aは、後壁11cの幅方向全体から研削液を吐出するように幅広に設けることができる。この場合には、円弧状底壁11e1のいずれの場所に研削屑等が飛散してきても、この研削屑を研削液により下方に洗い流して、研削屑が円弧状底壁11e1に付着するのを防止できる。
研削液吐出ノズル61Aには、研削砥石35の研削面35aの上部及びレンズ軸23,24側の部分を覆うように研削液62を吐出して供給する第1の研削液吐出口(第1の研削液供給手段)63と、研削砥石35の研削面35aに対して法線方向から研削液64を供給する第2の研削液吐出口(第2の研削液供給手段)65が一体設けられている。この研削液吐出口63,65は研削液供給通路61aから分岐している。
尚、研削液62は、研削液吐出口63から後方に向けて円弧状に吐出されると共に、レンズ軸23,24より僅かに下方を通過して下方に流下する。ここで、研削砥石35の回転中心Oを通る鉛直線を36とし、鉛直線36と研削面35aとの交点を通る接線を37とすると、研削液62は、略接線37と同方向、即ち矢印68で示したように研削液吐出口63から後方に且つ接線67と平行な方向に向けて吐出される。
更に、研削液吐出口65の左右方向の幅は、研削砥石35の左右方向幅と略同じか、研削砥石35の左右方向の幅より幅広に形成されている。これにより、研削砥石35の研削面(周面)35aに充分な研削液を供給できる。
また、研削液吐出口63の左右方向の幅は研削液吐出口65の左右方向の幅より幅広に形成されている。しかも、研削液吐出口63の左右両端部は研削液吐出口65の左右方向両端部より更に突出している。
また、研削液吐出ノズル61Aは、図6D、6Eに示すように、研削液を給水するホースhが取り付けられている。
この様に研削液吐出口63の左右方向の幅を研削液吐出口65の左右方向の幅より幅広に形成すると共に、研削液62を研削面35aと僅かな間隔をおいて吐出させることにより、研削液吐出口63から吐出される研削液62が研削面35aと間隔をおいて研削面35aのレンズ研削部(レンズ加工点)69側をカーテン状に覆うことができる。
ところで、この様な構成においては、図6に示したように、研削液64を研削液吐出口65から研削面35aに法線方向から給水(供給)することにより、レンズ加工点(レンズ研削部69)に対して研削液64を十分に給水可能となる。この方法の問題は、研削面35aに給水された研削液が研削砥石35の回転によって上方や後方に飛ばされ、これにより研削液が研削室4の上方や後方に飛散してリークし(漏れ)たり、後壁11cやレンズ軸23,24等を汚したりすることである。
しかし、研削液62は、研削液吐出口63から略接線方向で且つ後方に向けて吐出され、研削砥石35の研削面35aの上部及びレンズ加工点(レンズ研削部69)をカーテン状にカバーする。この際、カーテン状の研削液62の幅は、研削液吐出口65から吐出される研削液64の幅より広く形成されているので、研削液吐出口65から吐出される研削液64が研削砥石35の回転により後方に向けて飛散するのが防止される。これにより研削液が研削室4の上方や後方に飛散してリークし(漏れ)たり、後壁11cやレンズ軸23,24等を汚したりすることが防止される。
尚、接線方向給水、即ち研削液吐出口63から略接線方向で且つ後方に向けて吐出される研削液62は、研削砥石35の研削面35aに直接接触しない程度離すことで、研削液62の接線方向給水による水跳ね防止と、研削液64の法線方向給水による水跳ね防止効果をより大きくできる。
また、研削液62,64をそれぞれ研削砥石35の接線方向に及び研削砥石35の法線方向の二方向に供給するので、研削砥石35の研削面35a及び眼鏡レンズMLに研削液をまんべんなく供給することができる。さらに、一つの研削液吐出ノズル(研削液供給装置)61Aに研削砥石35の接線方向及び法線方向の2つの方向に研削液を供給する吐出口63,65を設けたので、研削液吐出ノズル(研削液供給装置)61A及び研削装置全体を小型化、コンパクト化することができる。
<圧力調整機構45>
キャリッジ22のキャリッジ旋回軸21の近傍には、眼鏡レンズMLの研削砥石35への圧接量を調整する圧力調整機構45が設けられている。
圧力調整機構45は、図10に示すように、ネジ46によってキャリッジ22に固定されるブラケット47と、ブラケット47に固定された移動子変位用モータ48と、移動子変位用モータ48の図示しない出力軸に連動するネジ軸48aと、ネジ軸48aに螺着された移動子50を有する(図9参照)。しかも、ネジ軸48aの先端部はブラケット47に回転自在に保持され、移動子50はネジ軸48aと平行なガイドレール49で軸線方向に案内される様になっている。
更に、圧力調整機構45は、ベース13に回転可能に保持された3つのプーリ51,52,53と、移動子50とスプリング54とに両端が保持された引っ張り紐55を有する。この引っ張り紐55は、スプリング54の引っ張り力によってガイドレール49と略直交する方向から移動子50を引っ張るようにプーリ51,52,53に方向転換されている。尚、スプリング54の他端はベース13に固定されている。
圧力調整機構45は、移動子50のガイドレール49上の位置によってキャリッジ旋回軸21からの距離が可変し、その位置に応じてスプリング54の引っ張り力によるキャリッジ22の先端側における付勢力、即ち、レンズ軸23,24に挟持された眼鏡レンズMLの研削砥石35への付勢圧力が変化することを利用したものである。尚、ネジ軸48aとガイドレール49とはレンズ軸23とキャリッジ旋回軸21とに略直交する。
従って、眼鏡レンズMLの研削砥石35への接触状態を、その加圧方向からのずれ、眼鏡レンズMLの形状の変化による接触面積の違い、レンズ度数よるコバ幅違い等の加工条件の変化に応じて移動子50のガイドレール49上の位置を変位させることで、スプリング54の引っ張り力が略同一であるにもかかわらず、単位面積当たりの接触力を調整することができる。
尚、上述したように、キャリッジ22が眼鏡レンズMLの研削加工量に応じて中間位置から傾斜していることから、その傾斜側に圧力調整機構45が位置することは勿論である。また、キャリッジ22が傾斜している状態にあることから、移動子50を単なる重りとし、プーリ51,52,53、スプリング54、引っ張り紐55を廃止しても、キャリッジ22の先端側での付勢力に相当する作用力を変化させることが可能であることから、移動子50のガイドレール49上の位置に応じて眼鏡レンズMLの研削砥石35への当接圧力を調整することも可能である。
<軸間距離調整手段43>
ところで、図9に示すように、レンズ軸23,24と砥石軸部33との間は軸間距離調整手段(軸間距離調整機構)43によって調整される様になっている。 軸間距離調整手段43は、図9に示したように軸線が砥石軸部33同一軸線上に位置する回転軸34を有する。この回転軸34は図8の支持突部13eのV溝上に回転自在に支持される。
また、軸間距離調整手段43は、回転軸34に保持させたベース盤56と、ベース盤56に取り付けられ且つ上面から斜め上方に延びる一対の平行なガイドレール57,57と、ガイドレール57と平行且つ回動可能にベース盤56に設けられたスクリュー軸(送りネジ)58と、ベース盤56の下面に設けられてスクリュー軸58を回転させるパルスモータ59と、スクリュー軸58が螺着され且つガイドレール57,57に上下動自在に保持された受台60(図7では他の部分の図示の便宜上図示省略)を有する。
更に、軸間距離調整手段43は、受台60の上方に配設され且つガイドレール57,57に上下動自在に保持されたレンズ軸ホルダー61と、ガイドレール57,57の上端を保持し且つスクリュー軸58の上端部を回転自在に保持する補強部材62を備えている。このレンズ軸ホルダー61は、キャリッジ22の自重と圧力調整機構45のスプリング54のバネ力により、常時下方に回動付勢されて受台60に押し付けられるようになっている。また、この受台60にはレンズ軸ホルダー61が当接したのを検出するセンサSが取り付けられている。
そして、パルスモータ59を正転又は逆転させてスクリュー軸58を正転又は逆転させることにより、受台60がスクリュー軸58によりガイドレール57,57に沿って上昇又は降下させられると、レンズ軸ホルダー61は受台60と一体に上昇又は降下させられる。これによりキャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心にして回動する。
(コバ厚測定系18)
コバ厚測定系18は、互いに対向し且つ互いに離間するフィーラ41a,41bを有する測定子41と、周壁11の外側に位置して装置本体3に取り付けられた移動量検出センサとしての測定部(移動量検出手段)42と、レンズ軸23,24と平行に設けられ且つ左右方向(軸線方向)に進退移動可能に測定部42に保持された測定軸42aを有する。この測定軸42aは軸線回りに回動可能に設けられている。また、測定軸42aには測定子41が一体に設けられている。
この測定軸42aは後述するロータリソレノイドRSで90°回動可能に設けられている。このロータリソレノイドRSは、測定軸42aを回動制御することにより、測定子41を図7の起立した非測定位置と図5(a)の如く水平な測定位置の2箇所のいずれか一方に位置させる様になっている。
この様な構造により測定部42は、測定子41が図5(a)の如く水平になっているときに、測定子41の左右方向への移動量を測定(検出)する様になっている。また、測定部42からの測定信号(移動量検出信号)と、キャリッジ22の左右方向への位置から、一方のフィーラ41aが眼鏡レンズMLの表面又は裏面に当接した位置と、他方のフィーラ41bが眼鏡レンズMLの裏面又は表面に当接した位置とに基づいて眼鏡レンズMLのコバ厚が演算により求められる。
具体的には、一対のレンズ軸23,24をレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて角度θi毎に回転制御し、且つレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて軸間距離調整手段43を作動制御することにより、フィーラ41a,41bを一方ずつ眼鏡レンズMLの前面又は後面に当接させて、フィーラ41a又は41bを眼鏡レンズMLの動径ρiの位置に角度θi毎に移動させて、フィーラ41a,41bの眼鏡レンズMLへの接触位置の座標をレンズ形状情報(θi,ρi)に対応して求めて、この求めた座標からレンズ形状情報(θi,ρi)に対応して一対のフィーラ41a,41b間の間隔を求め、この求めた間隔をレンズ形状情報(θi,ρi)におけるコバ厚Wiとする。
尚、測定軸(支持軸)42aの左右方向への移動量は測定部42の内部に内蔵された読取センサー(図示せず)により、読み取られる。この読取センサーとしては、リニアスケールや、マグネスケール、或いはスライド抵抗器、ポテンショメータ等を用いることができる。
また、フィーラ41a,41bに眼鏡レンズMLを接触させ、フィーラ41に連結された移動量読み取りセンサー(測定部42に内蔵)にて移動量検出をさせるためには、駆動モータ14の制御によりベース13をガイドバー19,20に沿って左右方向に進退動させ、ベース13に設けられたたコバ厚測定部18に対して眼鏡レンズMLをベース13及びキャリッジ22と一体に左右方向に移動させ、フィーラ41a又はフィーラ41bが眼鏡レンズMLの前側屈折面又は後側屈折面に当接するようにする。しかも、角度θi毎に眼鏡レンズMLが回転制御されている間、フィーラ41a又はフィーラ41bが眼鏡レンズMLに対して接触を維持するようにさせて測定を開始する。
(制御回路)
上述の操作パネル6,7(即ち、操作パネル6,7の各スイッチ)は、図11に示したように、CPUを有する演算制御回路80に接続されている。また、この演算制御回路80には、記憶手段としてのROM81、記憶手段としてのデータメモリ82、RAM83が接続されていると共に、補正値メモリ84が接続されている。
更に、演算制御回路80には、表示用ドライバ85を介して液晶表示器8が接続されていると共に、パルスモータドライブ86が接続されている。このパルスモータドライブ86は、演算制御回路80により作動制御されて、研削加工部10の各種駆動モータ、即ち、ベース駆動モータ14,レンズ軸駆動用モータ25,回動アーム駆動モータ36,移動子変位用モータ48及びパルスモータ59等を作動制御(駆動制御)するようになっている。尚、ベース駆動モータ14,レンズ軸駆動用モータ25,回動アーム駆動モータ36,移動子変位用モータ48等にはパルスモータが用いられる。
また、演算制御回路80には、モータドライブ86aを介して砥石駆動モータ30,砥石駆動モータ39aが接続され、ロータリソレノイドRSが接続されていると共に、研削液供給ポンプ(研削液供給手段)Pが接続されている。この研削液供給ポンプPは、作動時に図示しない廃液タンクから濾過された研削液を研削液吐出ノズル61Aに供給するようになっている。
更に、演算制御回路80には、通信ポート88を介して図1のフレーム形状測定装置1が接続され、フレーム形状測定装置(玉型形状測定装置)1からのフレーム形状データ,レンズ形状データ等の玉型形状データが入力されるようになっている。
しかも、演算制御回路80には、測定部(移動量検出センサー)42からの移動量検出信号が入力される。この演算制御回路80は、ベース駆動モータ14の駆動パルスやフレーム形状測定装置1からの玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて作動制御されるレンズ軸駆動用モータ25,パルスモータ59等の駆動パルスと、測定部42からの検出信号(フィラー移動量検出信号)等から、玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面(図7中、眼鏡レンズの左側の面)の座標位置と後側屈折面(図7中、眼鏡レンズの右側の面)の座標位置をそれぞれ求めて、この求めた玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置と後側屈折面の座標位置からコバ厚Wiを演算により求めるようになっている。
そして、演算制御回路80は、加工制御開始後に、フレーム形状測定装置1からのデータ読み込みや、データメモリ82の記憶領域m1〜m8に記憶されたデータの読み込みがある場合には、図12に示すように、時分割による加工制御とデータの読み込みやレイアウト設定の制御を行う様になっている。
即ち、時間t1,t2間の期間をT1、時間t2,t3間の期間をT2、時間t3,t4間の期間をT3、・・・、時間tn−1,tn間の期間をTnとすると、期間T1,T3…Tnの間で囲う制御が行われ、データの読み込みやレイアウト設定の制御を期間T2,T4…Tn−1の間に行う。従って、被加工レンズの研削加工中に、次の複数の玉型形状データの読み込み記憶や、データの読み出しとレイアウト設定(調整)等を行うことができ、データ処理の作業効率を格段に向上させることができるようになっている。
また、上述のROM81にはレンズ研削加工装置2の動作制御のための種々のプログラムが記憶され、データメモリ82には複数のデータ記憶領域が設けられている。また、RAM83には、現在加工中の加工データを記憶する加工データ記憶領域83a、新たなデータを記憶する新データ記憶領域83b、フレームデータや加工済みデータ等を記憶するデータ記憶領域83cが設けられている。
尚、データメモリ82には、読み書き可能なFEEPROM(フラッシュEEPROM)を用いることもできるし、メインの電源がオフされても内容が消えないようにしたバックアップ電源使用のRAMを用いることもできる。
[作用]
次に、この様な構成の演算制御回路80を有するレンズ研削加工装置の作用を説明する。
<レンズ形状データの読み込み>
スタート待機状態からメイン電源がオンされると、演算制御回路80はフレーム形状測定装置1からデータ読み込みがあるか否かを判断する。
即ち、演算制御回路80は、操作パネル6の『データ要求』スイッチ7cが押されたか否かが判断される。そして、『データ要求』スイッチ7cが押されてデータ要求があれば、フレーム形状測定装置1からレンズ形状情報(θi,ρi)のデータをRAM83のデータ読み込み領域83bに読み込む。この読み込まれたデータは、データメモリ82の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)されると共に、レイアウト画面が液晶表示器8に表示される。
<眼鏡レンズの周縁加工>
また、測定子41は、レンズ軸23,24間に保持された眼鏡レンズMLの測定開始前は図7の如く起立した状態にある。この位置では、レンズ軸23,24間に保持された眼鏡レンズMLが測定子41のフィーラ41a,41bの間の空間に対応している。この状態で、『右』スイッチ6c又は『左』スイッチ6bが押すことにより、眼鏡レンズMLのコバ厚測定,ヤゲン設定,研削加工等の加工動作を開始させる。
(コバ厚Wiの算出)
これにより、演算制御回路80は、ロータリソレノイドRSを作動制御して、測定子41を図5(a)の如く水平に倒し、コバ厚の算出動作を開始する。
すなわち、演算制御回路80は、まずパルスモータドライバ86を作動制御してパルスモータ59を正転させ、パルスモータ59によりスクリュー軸58を正転させ、受台60をスクリュー軸58によりガイドレール57,57に沿って上昇させて、レンズ軸ホルダー61を受台60と一体に上昇させる。これによりキャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心にして上方に回動して、レンズ軸23,24間の眼鏡レンズMLが測定子41のフィーラ41a,41b間に移動する。
この後、演算制御回路80は、パルスモータドライバ86を介してベース駆動モータ14を作動制御して、測定子41の一方のフィーラ41aを眼鏡レンズMLの表面(前側屈折面)に当接させる。そして、演算制御回路80は、レンズ軸駆動用モータ25をパルスモータドライバ86で作動制御して、レンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLを所定角度θi(i=0,1,2,・・・n)毎に回転させる。しかも、演算制御回路80は、パルスモータ59をパルスモータドライバ86により作動制御して、角度θi(i=0,1,2,・・・n)に対応する動径ρiの位置に、測定子41のフィーラ41aの一方を移動させる。この様にして、演算制御回路80は、玉型形状データすなわちレンズ形状データ(θi,ρi)に基づいて、フィーラ41aの眼鏡レンズMLへの当接位置を順次変えさせる。 この際、測定子41は左右に移動させられ、この移動量が測定部42で検出されて出力され、この測定部42からの検出信号が演算制御回路80に入力される。そして、演算制御回路80は、ベース駆動モータ14,レンズ軸駆動用モータ25及びパルスモータ59の駆動パルスと、測定部42からの検出信号(フィラー移動量検出信号)等から、レンズ形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面(図7中、眼鏡レンズの左側の面)の座標位置を求めて、データメモリ82の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)させる。
また、同様にして演算制御回路80は、測定子41の他方のフィーラ41bを眼鏡レンズMLの裏面(後側屈折面)に当接させて、眼鏡レンズMLの後側屈折面(図7中、眼鏡レンズの右側の面)の座標位置をレンズ形状データ(θi,ρi)に対応させて求めて、この求めた眼鏡レンズMLの後側屈折面の座標位置をデータメモリ82の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)させる。
この後、演算制御回路80は、この求めたレンズ形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置と後側屈折面の座標位置からコバ厚Wiを演算により求める。
この後、演算制御回路80は、ロータリソレノイドRSを作動制御して測定子41を起立させる。
(ヤゲンの設定)
演算制御回路80は、この様にしてコバ厚Wiが求められると、眼鏡レンズMLのレンズ形状データ(θi,ρi)におけるヤゲン位置を予め設定された比率で求めて、データメモリ82の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)させる。このヤゲンの求め方は周知の方法を用いることができるので、その詳細な説明は省略する。
(加工データの算出)
この後、演算制御回路80は、眼鏡レンズの処方箋に基づく瞳孔間距離PDやフレーム幾何学中心間距離FPD等のデータ、上寄せ量等から、レンズ形状データ(θi,ρi)に対応する眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)を求めて、加工データ記憶領域83aに記憶させる。
(研削加工)
この後、演算制御回路80は、モータドライブ56aにより砥石駆動モータ30を作動制御して、研削砥石35を図6中、時計回り方向に回転駆動制御する。この研削砥石35は、上述したように粗研削砥石(平砥石),ヤゲン砥石,仕上砥石等を有する。
一方、演算制御回路80は、加工データ記憶領域83aに記憶させた加工データ(θi′,ρi′)に基づいて、パルスモータドライバ86を介してレンズ軸駆動モータ25を駆動制御し、レンズ回転軸23,24及び眼鏡レンズMLを図6中半時計回り方向に回転制御する。
この際、演算制御回路80は、加工データ記憶領域83aに記憶させた加工データ(θi′,ρi′)に基づいて、まずi=0の位置でパルスモータドライバ86を作動制御することによりパルスモータ59を駆動制御して、スクリュー軸58を逆転させ、受台60を所定量ずつ降下させる。この受台60の降下に伴い、レンズ軸ホルダー61がキャリッジ22の自重及び加工圧調整機構45のスプリング54のバネ力で受台60と一体に降下する。
この降下に伴って未加工で円形の眼鏡レンズMLが研削砥石35の研削面35aにキャリッジ22の自重及び加工圧調整機構45のスプリング54のバネ力で当接した後は、受台60のみが降下させられる。この降下により受台60がレンズ軸ホルダー61から下方に離反すると、この離反したことがセンサSにより検出され、このセンサSからの検出信号が演算制御回路80に入力される。この演算制御回路80は、センサSからの検出信号を受けた後、更にパルスモータ59を駆動制御して、受台60を所定量だけ微小に降下させる。
これにより、加工データ(θi′,ρi′)のi=0において、研削砥石35が眼鏡レンズMLを所定量研削する。この研削に伴いレンズ軸ホルダー61が降下して受台60に当接すると、センサSがこれを検出して検出信号を出力し、この検出信号が演算制御回路80に入力される。
この演算制御回路80は、この検出信号を受けると、加工データ(θi′,ρi′)のi=1において、i=0におけるようにして、眼鏡レンズMLを研削砥石35により研削加工させる。そして、演算制御回路80は、この様な制御をi=n(360°)行って、加工データ(θi′,ρi′)の角度θi′毎に動径ρi′となるように眼鏡レンズMLの周縁を研削砥石35の符号を省略した粗研削砥石により研削加工する。
この様な研削に際して、演算制御回路80は、研削液供給用のポンプPを作動させて、研削液吐出ノズル61Aの第1の研削液吐出口(第1の研削液供給手段)63から研削液62を吐出させると共に、研削液吐出ノズル61Aの第2の研削液吐出口(第2の研削液供給手段)65から研削液64を吐出させる。
この際、研削液64は、研削砥石35の研削面35aに対して法線方向から供給される。そして、この研削液65は、研削砥石35の回転に伴いレンズ研削部69側に充分に流れて、レンズ研削部69を充分に冷却した後、レンズ研削部69で研削される眼鏡レンズMLの研削屑70と共に後ろ斜め下方に飛ばされる。しかも、研削液64は、研削砥石35の幅方向全体に充分に供給されるので、眼鏡レンズMLの研削砥石35への接触位置が左右方向でずれていても、レンズ研削部69に供給される研削液が不足するようなことは生じない。
また、研削液吐出ノズル61Aの第1の研削液吐出口(第1の研削液供給手段)63から吐出される研削液62は、研削砥石35の接線と平行な方向で且つ加工室4の後方に向けられて、眼鏡レンズML側のレンズ研削部69を研削砥石35とレンズ軸23,24との間でカーテン状に覆う。しかも、この際、研削液62は、研削砥石35の上部及び後部を幅方向全体で覆って、第2の研削液吐出口(第2の研削液供給手段)65から研削砥石35に向けて吐出され、且つ研削砥石35の回転方向に向けて移動させられる研削液64の一部が、研削砥石35の回転により後方に飛散させられても、加工室4の上方及び円弧状底壁11e1側にリーク(飛散)するのを未然に防止する。これによりカバー5や円弧状底壁11e1が汚れたりするのが防止される。また、ガイドスリット11a1,11b1はカバー板11a2,11b2で覆われているので、眼鏡レンズMLを研削砥石35により研削する際に、研削屑が研削液と共に側壁11a,11b側に飛散しても、研削屑や研削液がガイドスリット11a1,11b1から外方にリークするのが防止される。
なお、研削面35aに対する法線方向からの研削液の供給は、研削砥石35の接線方向に吐出される研削液を超えて飛び出さない限り、研削面35aに直接吐出されるのであれば、方向は限定されない。
この様な研削液62,64及び研削屑70等は、大半が下底壁11e2上に流下して、排水管11fから図示しない廃液タンク内に流下して捕集される。
一方、演算制御回路80は、研削液供給用のポンプPを作動させて、研削液71を研削液吐出ノズル60から円弧状底壁11e1の中央上に左右に広がるように扇状に吐出させ、円弧状底壁11e1の左右方向中央上端部から下方に向けて左右に広がるように流下させる。これにより、研削屑70及び研削液62は、一部が円弧状底壁11e1の下部側に飛散しても、流下する研削液71により下方に洗い落とされて、排水管11fから図示しない廃液タンク内に流下して捕集される。
演算制御回路80は、略同様にして、研削砥石35の符号を省略したヤゲン砥石で、加工データ(θi′,ρi′)の形状に粗研削された眼鏡レンズMLの周縁部に、ヤゲン加工をする。この際も、研削液は上述した粗研削砥石による研削と同様に吐出される。また、研削砥石35は左右に並設した粗研削砥石とヤゲン砥石を有していて、粗研削時とヤゲン加工時では眼鏡レンズMLの研削砥石35への接触位置を左右に移動させる。しかし、この様な場合でも研削液64は、研削砥石35の幅方向全体に充分に供給されるので、眼鏡レンズMLの周縁部を研削砥石35の粗研削砥石で粗研削加工する場合も、研削砥石35の粗研削砥石に隣接するヤゲン砥石で粗研削された眼鏡レンズMLの周縁部にヤゲン加工する場合にも、レンズ研削部69に供給される研削液が不足するようなことは生じない。
(面取り加工)
また、ヤゲン加工後に、眼鏡レンズMLのコバ端における周面と前側屈折面又は後側屈折面との角部に面取りを行う場合には、図示を省略した面取りボタンを押すか、又は操作パネル7のファンクションキーH1〜H6のいずれかにより面取り指定をする。
この操作により演算制御回路80は、先ずパルスモータ59を作動制御してスクリュー軸58を回転させることにより、スクリュー軸58によりレンズ軸ホルダー61を上昇させて、キャリッジ22をキャリッジ旋回軸21を中心に上方に回動させ、レンズ軸(レンズ回転軸)23,24を上方に所定量だけ変位させる。
しかも、演算制御回路80は、眼鏡レンズMLの周縁研削時の位置及び加工データ(θi′,ρi′)に基づきベース駆動モータ14を作動制御してベース13を左右方向に移動制御し、ベース13に支持されたキャリッジ22を左右動させて、眼鏡レンズMLのコバ端の側方位置に面取砥石40a又は40bが臨むようにする。
一方、演算制御回路80は、回動アーム駆動モータ36を作動させて、図6,図6Bに示した回動アームを38を図6Bの矢印A1方向に所定量だけ回動させる。これにより、回動アーム38の自由端部の回転軸39がレンズ軸23,24下方に回動アーム38と一体に回動変位させられる。この際、面取砥石40a又は40bが眼鏡レンズMLのコバ端の側方に位置するように、回動アーム駆動モータ36を作動制御する。
このような回転軸39のレンズ軸23,24側(後下方)への回動変位量及びレンズ軸23,24の上方への変位量は、眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)及び面取砥石40a,40bの径に基づいて演算制御回路80により決定される。従って、演算制御回路80は、この決定した変位量に基づいて回動アーム駆動モータ36及びパルスモータ59を作動制御することにより、面取砥石40a又は40bが周縁研削加工された眼鏡レンズMLのコバ端の角部に側方から臨ませられる。
また、演算制御回路80は、駆動モータ39aを作動させて回転軸39を回転させて、面取砥石40a,40b,溝掘カッター40cを回転軸39と一体に回転させる。しかも、演算制御回路80は、レンズ軸駆動用モータ25を作動制御してレンズ軸23,24を回転させると共に、眼鏡レンズMLの周縁研削時の位置及び加工データ(θi′,ρi′)に基づきベース駆動モータ14を作動制御してベース13を左右方向に移動制御し、ベース13に支持されたキャリッジ22を左右動させて、面取砥石40a又は40bを周縁研削加工された眼鏡レンズMLのコバ端の角部に接触させ、面取砥石40a又は40bにより眼鏡レンズMLのコバ端の角部に所定量の面取り加工を施す。
尚、眼鏡レンズMLの研削砥石35による周縁研削時の位置は、コバ厚測定系18で眼鏡レンズMLのコバ厚を測定する際、フィーラ41a,41bの移動量(移動位置)を演算制御回路80により演算することで求めることができる。
また、上述したように回動アーム38を図6Bの矢印A1方向に回動させると、回動アーム38の下端に設けられた突部38aが手前側に回動変移して当接板部111を手前側に押すことになる。これにより、ノズル取付板104が支持軸105,106を中心に手前側に回動して、研削液吐出ノズル61Aが図6Aのように斜め後上方(右斜め上方)に傾斜させられる。この状態で、研削液は、面取砥石40a又は40bと眼鏡レンズMLのコバ端の角部との接触部分(研削部)に向けて研削液吐出ノズル61Aから吐出される。これにより、研削液は、面取砥石40a又は40bによる眼鏡レンズMLのコバ端の角部の研削時に、研削部の冷却と研削部の研削屑の洗い流しを行うことになる。
(溝掘り加工)
また、ヤゲン加工後に、眼鏡レンズMLのコバ端における周面と前側屈折面又は後側屈折面との角部に面取りを行う場合には、図示を省略した溝掘りボタンを押すか、又は操作パネル7のファンクションキーH1〜H6のいずれかにより溝掘り指定をする。
この操作により演算制御回路80は、先ずパルスモータ59を作動制御してスクリュー軸58を回転させることにより、スクリュー軸58によりレンズ軸ホルダー61を上昇させて、キャリッジ22をキャリッジ旋回軸21を中心に上方に回動させ、レンズ軸(レンズ回転軸)23,24を上方に所定量だけ変位させる。しかも、演算制御回路80は、決定した変位量に基づいて回動アーム駆動モータ36及びパルスモータ59を作動制御すると共に、眼鏡レンズMLの周縁研削時の位置及び加工データ(θi′,ρi′)に基づきベース駆動モータ14を作動制御してベース13を左右方向に移動制御し、ベース13に支持されたキャリッジ22を左右動させて、溝掘カッター40cを周縁研削加工された眼鏡レンズMLのコバ端の周面に対向させる。
一方、演算制御回路80は、回動アーム駆動モータ36を作動させて、図6,図6Bに示した回動アームを38を図6Bの矢印A1方向に所定量だけ回動させる。これにより、回動アーム38の自由端部の回転軸39がレンズ軸23,24の下方に回動アーム38と一体に回動変位させられる。この際、溝掘カッター40cを周縁研削加工された眼鏡レンズMLのコバ端の周面に下方から対向させるようにする。
このような回転軸39のレンズ軸23,24側(後下方)への回動変位量及びレンズ軸23,24の上方への変位量は、眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)及び面取砥石40a,40bの径に基づいて演算制御回路80により決定される。そして、演算制御回路80は、駆動モータ39aを作動させて回転軸39を回転させて、面取砥石40a,40b,溝掘カッター40cを回転軸39と一体に回転させる。
しかも、演算制御回路80は、決定した変位量に基づいて回動アーム駆動モータ36及びパルスモータ59を作動制御すると共に、眼鏡レンズMLの周縁研削時の位置及び加工データ(θi′,ρi′)に基づきベース駆動モータ14を作動制御してベース13を左右方向に移動制御し、ベース13に支持されたキャリッジ22を左右動させて、溝掘カッター40cを周縁研削加工された眼鏡レンズMLのコバ端の周面に当接させる。
尚、眼鏡レンズMLの研削砥石35による周縁研削時の位置は、コバ厚測定系18で眼鏡レンズMLのコバ厚を測定する際、フィーラ41a,41bの移動量(移動位置)を演算制御回路80により演算することで求めることができる。
そして、演算制御回路80は、レンズ軸駆動用モータ25を作動制御してレンズ軸23,24を回転させ、且つ加工データ(θi′,ρi′)に基づきベース駆動モータ14を作動制御してベース13を左右方向に移動制御し、ベース13に支持されたキャリッジ22を左右動させると共に、回動アーム駆動モータ36又はパルスモータ59を作動制御して、或いは回動アーム駆動モータ36及びパルスモータ59を同時に作動制御して、周縁研削加工された眼鏡レンズMLのコバ端の周面に溝掘カッター40cで所定深さの溝掘り加工を施す。
また、上述したように回動アーム38を図6Bの矢印A1方向に回動させると、回動アーム38の下端に設けられた突部38aが手前側に回動変移して当接板部111を手前側に押すことになる。これにより、ノズル取付板104が支持軸105,106を中心に手前側に回動して、研削液吐出ノズル61Aが図6Aのように斜め後上方(右斜め上方)に傾斜させられる。この状態で、研削液は、溝掘カッター40cと眼鏡レンズMLのコバ端の周面との接触部分(研削部)に向けて研削液吐出ノズル61Aから吐出される。これにより、研削液は、溝掘カッター40cによる眼鏡レンズMLのコバ端の周面への溝掘り時に、溝掘部の冷却と溝掘部の研削屑の洗い流しを行うことになる。
また、ノズル取付板104は、図6,図6A,図6Bに示したように、支持板102より手前側に配設された起立板部104aと、この起立板部104aの上端に垂直(直角)に設けられた取付板部104bとを有する構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図6D,図6Eに示したように起立板部104aと取付板部104bとを鈍角に設けた構成としても良い。
この構成では、研削液吐出ノズル61Aがその自重とノズル取付板104の重量により下方に水平になる方向に回動付勢されている。他の構成及び作用は上述した 例と同様であるので、その説明は省略する。
以上説明したように、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、小径の面取砥石(40a,40b)又は溝掘り加工用砥石(溝掘カッター40c)を支持する面取り又は溝掘り加工軸(回転軸39)と、その加工軸(回転軸39)を旋回駆動させる加工軸旋回手段(アーム駆動モータ36)と、通常の研削加工用砥石(研削砥石35)に研削水を供給する研削液吐出ノズル61A(研削水供給ノズル)とを有している。しかも、前記加工軸旋回手段(アーム駆動モータ36)により前記加工軸(回転軸39)の旋回により前記研削液吐出ノズル61Aの方向を面取砥石(40a,40b)又は溝掘り加工用砥石(溝掘カッター40c)に向け、研削水を供給するようにしている。
この構成によれば、小径の面取砥石(40a,40b)又は溝掘り加工用砥石(溝掘カッター40c)により眼鏡レンズを研削加工する際、眼鏡レンズの砥石による加工部に研削水を最適な状態で供給できる。
従って、溝掘カッターや面取砥石等その他様々にツールをツール回転軸に取り付けておいて、未加工で円形の未加工眼鏡レンズの周縁を玉型形状に合わせて研削砥石で研削した後に、溝掘カッターで眼鏡レンズの周面に溝掘を行う際や面取砥石で眼鏡レンズに面取り加工を行う際に、ツール回転軸の向きにあわせて最適な方向から、適切な水量を加工部に供給し、それぞれの加工に応じ最適状態な研削液の給水を行うことができる。
また、適切な研削水の供給により、加工の仕上がりがよくなり、同時に仕上加工後の眼鏡レンズの洗浄も行うことができる。更に、あらゆる加工においても適切な給水状態を確保し、安定したレンズ研削加工を実現することができる。