JP4585573B2 - 眼鏡レンズの面取り加工方法及び面取り加工装置 - Google Patents

眼鏡レンズの面取り加工方法及び面取り加工装置 Download PDF

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Description

本発明は、眼鏡フレームの玉型形状の周縁に面取り範囲を設定するようにした眼鏡レンズの面取り加工方法及び面取り加工装置に関する。
従来から、円形で未加工の眼鏡レンズ(被加工レンズ)の周縁をレンズ研削加工装置で眼鏡フレーム、リムレスフレーム、ワイヤーフレーム等のナイロール等の玉型形状に玉型形状情報(θi,ρi)に基づいて研削加工した後、眼鏡レンズの周縁のコバ端を面取り加工する装置が知られている(特許文献等1〜7参照)。
特開平10−225853号公報 特開平10−225854号公報 特開平10−225855号公報 特開2001−18154号公報 特開2001−18155号公報 特開2002−126983号公報 特開2002−126985号公報
しかしながら、従来の面取り加工装置では、眼鏡装用者の装用する眼鏡フレーム枠のテンプルのある耳掛け側(以下、耳側という。)の眼鏡レンズのコバ端においては面取り幅を変えて面取り加工を行うように制御されていたが、眼鏡フレーム枠の鼻当て(パッド)側(以下、鼻側という)の眼鏡レンズのコバ端においては精密に面取り加工は制御されていなかった。
そのため、眼鏡装用者にとって、面取りされた眼鏡レンズの鼻側ではコバ厚が厚いままであるため、眼鏡レンズが重たく感じられ、掛け心地のよい眼鏡を掛けることがなかった。そのうえ、鼻当て保持金具にレンズコバ面が当たる場合もあり、眼鏡加工作業者は手作業で追加加工を施していた。
また、眼鏡加工作業者が従来手作業で行っていた技能的な面取り加工技術のノウハウを加工装置により実現し、微細に面取り加工を行いたいという要求が生じたこともある。
そこで、本発明では、研削加工後の眼鏡レンズが面取りされて眼鏡装用者にとってより掛けやすく、より窮屈でない(疲れない)ような眼鏡レンズの面取り設定ができる眼鏡レンズの面取り加工方法及び面取り加工装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するため、請求項1の発明は、眼鏡レンズの面取り加工方法において、前記眼鏡レンズの面取り範囲をx%として設定する際、前記眼鏡レンズのレンズ形状の幾何学中心から横方向の動径の大きさをρbasisとし且つ前記レンズ形状の幾何学中心から縦方向の最小動径の大きさをρminとすると共に、前記ρbasis−ρminを100等分した値[(ρbasis−ρmin)/100]を求め、ρmin+[(ρbasis−ρmin)/100]×(100−x)の半径で前記幾何学中心を中心とする円弧を描いて、該円弧が前記レンズ形状と交わる2つの交点を求めることにより、該2つの交点間を前記面取り範囲とすることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、眼鏡レンズの周縁部に面取りを行わせる面取り砥石と、前記眼鏡レンズのレイアウト設定のためのレンズ形状を表示させる表示手段と、前記眼鏡レンズの幾何学中心、前記レンズ形状の光学中心を重ねて前記表示手段に表示させると共に、前記面取り砥石により前記眼鏡レンズの周縁部に施す面取り部の面取り軌跡を前記レンズ形状に重ねて表示させて、前記レンズ形状と面取り軌跡との幅を面取り幅とする演算制御回路と、を備え、前記演算制御回路は、前記眼鏡レンズの鼻側および耳側に前記面取り幅を変更可能な面取り範囲を設定する眼鏡レンズの面取り加工装置であって、前記演算制御回路は、前記眼鏡レンズの面取り範囲をx%として設定する際、前記眼鏡レンズのレンズ形状の幾何学中心から横方向の動径の大きさをρbasisとし且つ前記レンズ形状の幾何学中心から縦方向の最小動径の大きさをρminとすると共に、前記ρbasis−ρminを100等分した値[(ρbasis−ρmin)/100]を求め、ρmin+[(ρbasis−ρmin)/100]×(100−x)の半径で前記幾何学中心を中心とする円弧を描いて、該円弧が前記レンズ形状と交わる2つの交点を求めることにより、該2つの交点間を前記面取り範囲とすることを特徴とする。
この構成によれば、研削加工後の眼鏡レンズが面取りされて眼鏡装用者にとってより掛けやすく、より窮屈でない(疲れない)ような眼鏡レンズの面取り設定を行うことができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、1は眼鏡フレームFのレンズ枠形状やその型板或いは型板モデル等から玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)を読み取るフレーム形状測定装置(玉型形状測定装置)、2はフレーム形状測定装置1から送信等によって入力された眼鏡フレームの玉型形状データに基づいて眼鏡レンズを研削加工するレンズ研削加工装置(玉摺機)である。尚、フレーム形状測定装置1には周知のものを用いることができるので、その詳細な構成やデータ測定方法等の説明は省略する。
<レンズ研削加工装置2>
このレンズ研削加工装置2は、図1に示すように、装置本体3の前面寄りに設けられた加工室4と、この加工室4を開閉するカバー5を有する。また、この加工室4内には図2に示したように加工用主要部品が配置されている。また、加工室4の外側には、加工用主要部品の一部を保持するキャリッジ(図示せず)と、加工用主要部品及びキャリッジの駆動系(モータ等)が配置されている。このキャリッジは、前後に延びる左右一対のアーム部とアーム部の後端部を連設する連設部とから構成され、平面視形状はコの字状である。また、キャリッジは、左右動可能に且つ連設部の後縁部を中心にアーム部が上下動可能に設けられている。
なお、図2中、4a、4bは加工室4の側壁、4c、4cは側壁4a、4bに形成された円弧状のスリットである。そして、この側壁4a、4bの外側にキャリッジの一対のアーム部が配設されている。このようなアーム部を有するキャリッジには周知の構成を採用できるので、その詳細な説明及び図示は省略する。
また、レンズ研削加工装置2は、その駆動系の制御操作やデータ設定操作を行う際に用いる第1及び第2の操作パネル6、7と、操作パネル6、7による操作状態等その他を表示する表示装置(表示手段)としての液晶表示器8とを備えている。
(加工用主要部品)
上述の加工室4内に配置された加工用主要部品としては、図2に示すように、装置本体3の左右に延びると共にスリット4c、4cを貫通する左右一対のレンズ回転軸9、10がある。尚、スリット4c、4cはレンズ回転軸9、10と一体に移動する図示しないカバーで閉成されている。
このレンズ回転軸9、10は、互いに直列に配置されて同一軸線を有すると共に、上述した一対のキャリッジのアーム部にそれぞれ回転可能に保持されている。このレンズ回転軸10は、レンズ回転軸9に対して進退調整可能に設けられている。そして、レンズ回転軸9、10間に眼鏡レンズMLを配設してレンズ回転軸10をレンズ回転軸9側に進出させることにより、眼鏡レンズMLをレンズ回転軸9、10間で保持(挟持)できる。また、これとは逆に操作することで、レンズ回転軸9、10間から眼鏡レンズMLを取り外すことができる。
また、加工主要部品としては、眼鏡レンズMLを研削加工するための研削砥石11と、研削砥石11を回転させる砥石軸12と、眼鏡レンズMLの周縁部に面取り加工を施す面取り砥石13、14と、眼鏡レンズMLのコバ面に溝加工を施す溝掘カッター(溝掘砥石)17がある。
更に、加工主要部品としては、面取り砥石13、14、溝掘カッター(溝掘砥石)17を回転させる面取り軸(溝掘軸)15と、面取り軸15を駆動させると共に旋回させる旋回アーム16と、面取り砥石14に隣接して面取り軸15に設けられた溝掘カッター17と、面取り砥石13、14及び溝掘カッター17の下方を覆う円弧状カバー18がある。
また、レンズ回転軸9、10としては、円弧状カバー18の内側に設けられて研削砥石12や面取り砥石13、14あるいは溝掘カッター17の砥石面に研削水を掛けるためのホース(図示せず)と、眼鏡レンズMLのコバ厚Wiを測定するコバ厚測定部材19がある。
カバー5は、無色透明又は有色透明(例えば、紺等の半透明)の一枚のガラス製若しくは樹脂製のパネルから構成され、装置本体3の前後にスライドする。
尚、加工室4には、眼鏡レンズMLの後方に位置すると共に丸みを帯びた傾斜面4dが形成されており、研削屑を流し易い構造になっている。
(加工用主要部品の駆動系)
加工用主要部品の駆動系としては、上述のキャリッジ(図示せず)と、このキャリッジをパルスモータ等の駆動モータを用いて上下回転させる上下動手段(図示せず)と、キャリッジを左右動させるパルスモータ等の駆動モータ(図示せず)と、レンズ回転軸9、10を回転駆動させるパルスモータ等の駆動モータ(図示せず)と、キャリッジの上下回動に伴いレンズ回転軸9、10間に保持された眼鏡レンズMLを研削加工する際に研削砥石11を回転させる駆動モータ(図示せず)等を有する。
このような駆動系のキャリッジを駆動させるための駆動モータや構造には周知の構成が採用できるので、その詳細な説明は省略する。また、研削砥石11は、粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石等を有する。
そして、上述した駆動系は、レンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて、レンズ回転軸9、10を角度θi(i=0,1,2,3,…,n)毎に図示しない駆動モータで回動させると共に、キャリッジ(図示しない)を図示しない駆動モータで上下回動させることにより、眼鏡レンズMLの周縁を回転する研削砥石11の粗研削砥石11aで研削加工するようになっている。この際、駆動系は、レンズ回転軸9、10と砥石回転軸12との軸間距離が角度θi毎に砥石半径+動径ρiとなるように、キャリッジの前端部を角度θi毎に上下回動させてレンズ回転軸9、10及び眼鏡レンズMLを上下動させるようになっている。これにより、眼鏡レンズMLが研削砥石11でレンズ形状情報(θi,ρi)に粗研削加工されるようになっている。
また、駆動系は、上述と同様に各駆動モータをレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて作動制御して、レンズ形状(玉型形状)LL、LRに粗研削された眼鏡レンズMLの周縁のコバ端部に研削砥石11のヤゲン砥石11bによりヤゲン加工できるようになっている。この際、駆動系は、予め設定されたヤゲン位置データに基づいてキャリッジを左右に駆動する駆動モータを制御することにより、玉型形状に粗加工された眼鏡レンズMLのコバ端にヤゲン加工を施すようになっている。尚、このような眼鏡レンズMLの研削加工は周知の構造を採用できるので、詳細な説明は省略する。
(コバ厚測定部材19)
コバ厚測定部材19は、互いに離間状態で対向する一対のフィーラ19a、19bを備える。このフィーラ19a、19bは作用右方向に延びる測定軸19cに一体に設けられている。この測定軸19cは、加工室4の側壁4bを左右に貫通していると共に、左右に移動可能となっている。また、測定軸19cは、フィーラ19a、19bが加工室4の後縁部の略中央に位置するように、図示しないスプリングで保持されている。従って、フィーラ19a、19b及び測定軸19cは、左右方向への移動力を解除すると、加工室4の後縁部の略中央に戻されるようになっている。
しかも、測定室4の外側には、測定軸19cに連動してフィーラ19a、19bの左右方向への移動位置(又は移動量)を検出して測定する測定部(図示せず)が設けられている。より具体的には、フィーラ19a、19b及び測定軸19cの左右方向への移動位置又は移動量は測定部(図示せず)に内蔵された図示しない読取センサ(位置検出手段又は移動量検出手段)により読取られるようになっている。
また、測定軸19cは図示しないパルスモータ等の駆動手段で軸線回りに回動可能に設けられている。この駆動手段は、測定軸19cを回動させてフィーラ19a、19bを約90度跳ね上げた位置(待機状態)と前側に水平に倒れた使用位置(使用状態)との間で回動するようになっている。この回動は、後述する制御回路により行われる。
尚、レンズ形状情報(θi,ρi)に基づく眼鏡レンズMLのコバ厚Wiの測定時には、レンズ回転軸9、10に眼鏡レンズMLを保持させると共に、フィーラ19a、19bを前側に水平に倒した状態にする。
この状態で、レンズ回転軸9、10を駆動モータによりキャリッジと一体に上下動及び左右動させることにより、フィーラ19aの先端を眼鏡レンズMLの前側屈折面に当接させ、又はフィーラ19bの先端を後側屈折面に当接させることができるようになっている。
更に、フィーラ19aの先端を眼鏡レンズMLの前側屈折面に当接させた状態で、レンズ回転軸9、10をレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて角度θi毎に回動させると共に、レンズ回転軸9、10と研削砥石11(又は砥石回転軸12)との軸間距離が角度θi毎にXi(研削砥石11の半径+動径ρi)となるように、キャリッジを上下動させることにより、フィーラ19aの先端を眼鏡レンズMLの前側屈折面の動径ρiの位置に接触移動させることができるようになっている。同様に、フィーラ19bの先端を眼鏡レンズMLの後側屈折面に当接させた状態で、レンズ回転軸9、10をレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて角度θi毎に回動させると共に、レンズ回転軸9、10と研削砥石11(又は砥石回転軸12)との軸間距離が角度θi毎にXi(研削砥石11の半径+動径ρi)となるように、キャリッジを上下動させることにより、フィーラ19bの先端を眼鏡レンズMLの前側屈折面の動径ρiの位置に接触移動させることができるようになっている。このようにフィーラ19a、19bが眼鏡レンズMLに接触した状態でレンズ回転軸9、10をレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて回動させると、フィーラ19a、19bが眼鏡レンズMLの屈折面の湾曲に従って左右方向に移動させられる。
従って、眼鏡レンズMLのコバ厚Wiを求めるには、フィーラ19aを用いてレンズ形状情報(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の左右方向(光軸方向=レンズ回転軸9、10の軸線の延びる方向)の移動量(フィーラ19aの左右方向への移動量)を測定部の読取センサ(図示せず)で求める。次に、フィーラ19bを用いてレンズ形状情報(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の左右方向(光軸方向=レンズ回転軸9、10の軸線の延びる方向)の移動量(フィーラ19bの左右方向への移動量)を測定部の読取センサ(図示せず)で求める。
ここで、フィーラ19a、19bが初期位置にある場合の、フィーラ19a、19b間の中央位置からフィーラ19aの先端までの距離をxaとし、フィーラ19a、19b間の中央位置からフィーラ19bの先端までの距離を−xaとし、フィーラ19aの初期位置からの左方向及び右方向への移動量をそれぞれfa及び−faとし、フィーラ19bの初期位置からの左方向及び右方向への移動量をfb及び−fbとする。この条件において、フィーラ19a、19b間の中央位置からフィーラ19aの先端の左右方向への移動位置Faはxa+fa又はxa−faとなり、フィーラ19a、19b間の中央位置からフィーラ19bの先端の左右方向への移動位置Fbは−xa+fb又は−xa−fbとなる。
従って、このような移動位置Faからxaを差し引くことによりフィーラ19aの移動量faがフィーラ19a、19b間の中央位置からの左右方向への移動位置Fa’として求められ、移動位置Fbからxaを差し引くことによりフィーラ19bの移動量fbがフィーラ19a、19b間の中央位置からの左右方向への移動位置Fb’として求められる。そして、この求めた移動位置Fa’、Fb’の差を求めることにより、眼鏡レンズMLのレンズ形状情報(θi,ρi)にコバ厚Wiを求めることができる。
(操作パネル6)
操作パネル6は、図3(A)に示すように、眼鏡レンズをレンズ回転軸9、10によりクランプするための『クランプ』スイッチ6aと、眼鏡レンズの右眼用・左眼用の加工の指定や表示の切換え等を行う『左』スイッチ6b、『右』スイッチ6cと、砥石を左右方向に移動させる『砥石移動』スイッチ6d、6eと、眼鏡レンズの仕上加工が不十分である場合や試し摺りする場合の再仕上又は試し摺り加工するための『再仕上/試』スイッチ6fと、レンズ回転モード用の『レンズ回転』スイッチ6gと、ストップモード用の『ストップ』スイッチ6hとを備えている。
(操作パネル7)
操作パネル7は、図3(B)に示すように、液晶表示器8の表示状態を切り換える『画面』スイッチ7aと、液晶表示器8に表示された加工に関する設定等を記憶する『メモリー』スイッチ7bと、レンズ形状情報(θi,ρi)を取り込むための『データ要求』スイッチ7cと、数値補正等に使用されるシーソー式の『−+』スイッチ7d(『−』スイッチと『+』スイッチとを別々に設けても良い)と、カーソル式ポインタ移動用の『▽』スイッチ7eとを液晶表示器8の側方似は配置している。また、ファンクションキーF1〜F6が液晶表示器8の下方に配列されている。
このファンクションキーF1〜F6は、眼鏡レンズの加工に関する設定時に使用されるほか、加工工程で液晶表示器8に表示されたメッセージに対する応答・選択用として用いられる。
(液晶表示器8)
液晶表示器8の上部には、『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3、『メニュー』タブTB4が表示されている。そして、この『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3、『メニュー』タブTB4を選択することにより、液晶表示器8の表示が切り替えられるようになっている。
また、液晶表示器8の下縁部には、ファンクションキーF1〜F6に対応したファンクション表示器H1〜H6が設けられている。このファンクション表示部H1〜H6は、必要に応じたものが適宜表示される。更に、ファンクション表示部H1〜H6が非表示状態の時には、ファンクションキーF1〜F6の機能に対応したものとは異なった図柄や数値、或いは、状態等を液晶表示器8の下縁部に表示することができる。
『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3を選択した状態の時には、アイコン表示エリアE1、メッセージ表示エリアE2、数値表示エリアE3、状態表示エリアE4に区画した状態で表示される。また、『メニュー』タブTB4を選択した状態の時には、全体的に一つのメニュー表示エリアとして表示しても良いし、独自の区画表示エリアとしても良い。
アイコン表示エリアE1に表示されるアイコンは、玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて眼鏡レンズのコバ厚形状を測定している状態、眼鏡レンズのコバ端面に形成されるヤゲン形状をシミュレーションしている状態、コバ端面を粗加工する状態、コバ端面を仕上加工する状態、コバ端面を鏡面加工する状態、コバ端面を溝掘り加工する状態、コバ端面を溝掘り・面取り加工する状態、コバ端面を溝掘り・面取り・鏡面加工する状態、コバ端面をヤゲン加工する状態、コバ端面をヤゲン・面取り加工する状態、コバ端面をヤゲン・面取り・鏡面加工する状態、眼鏡レンズの研削加工の終了、といったように各作業に対応して並設されている。
また、各アイコンの上方には、その一連の作業の進行状況をオペレータが識別できるように、1対1で対応すると共に一連の作業の進行状況に応じて点灯表示していく複数カーソルインジケータが、右眼レンズ進行状況表示用と左眼レンズ進行状況表示用とで上下2段にして『加工中』タブTB2に設けられている。
メッセージ表示エリアE2には、各種エラーメッセージや警告メッセージなどが状態に応じて表示される。尚、装置内部品等の破損や被加工レンズの破損等の虞がある場合の警告メッセージなどの場合には、オペレータが認識し易いようにメッセージ表示エリアE2以外のエリアにはみ出して表示上で重畳させることも可能である。
数値表示エリアE3には、レイアウトデータの入力時に、眼鏡フレームの左右レンズ枠の幾何学中心間距離(FPD値)、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD値)、FPD値とPD値との差である寄せ量の鉛直方向成分UP値(又はHlp値)、加工サイズ調整の各項目等が表示される。また、初期設定時には、上述したFPD、PD、UP、サイズの他に加工レンズの吸着中心が表示される。さらに、モニターデータ入力時には、眼鏡レンズの二次加工的な面取り加工に関わる寸法関係の数値が表示される。
状態表示エリアE4には、右眼用及び左眼用の眼鏡レンズのレイアウト画像や眼鏡レンズの最大、最小、最大及び最小以外の中間(任意)コバ周縁に形成されるヤゲン形状、コバ周縁を側面から見たレンズ側面形状等や、現実の加工状態に即した模式図等が表示される。
(ファンクションキー)
このファンクションキーF1〜F6は、眼鏡レンズの加工に関する設定時に使用されるのか、加工工程で液晶表示器8に表示されたメッセージに対する応答・選択用として用いられる。
各ファンクションキーF1〜F6は、加工に関する設定時(レイアウト画面)においては次の様に用いられる。即ち、ファンクションキーF1はレンズタイプ入力用、ファンクションキーF2はレンズ素材入力用、ファンクションキーF3はフレーム種類入力用、ファンクションキーF4は面取り加工種類入力用、ファンクションキーF5は鏡面加工入力用、ファンクションキーF6は加工コース入力用として用いられる。
ファンクションキーF1で入力されるレンズタイプとしては、『単焦点』、『眼科処方』、『累進』、『バイフォーカル』、『キャタラクト』、『ツボクリ』、『8カーブ』等がある。尚、『キャタラクト』とは、眼鏡業界では一般にプラスレンズで屈折度数が大きいものをいい、『ツボクリ』とは、マイナスレンズで屈折度数が大きいものをいい、『8カーブ』とは、レンズ屈折面カーブが8カーブで出来ているものをいう。
ファンクションキーF2で入力される被加工レンズの素材としては、プラスチック(以下、『プラ』と略する。)、『ハイインデックス』、『ガラス』、ポリカーボネイト(以下、『ポリカ』と略する。)、『アクリル』等がある。
ファンクションキーF3で入力される眼鏡フレームFの種類としては、『メタル』、『セル』、『オプチル』、『平』、『溝掘り(細)』、『溝掘り(中)』、『溝掘り(太)』等がある。
ファンクションキーF4で入力される面取り加工種類としては、図9に示した『無し』、『小(前後)』、『中(前後)』、『大(前後)』、『特殊(前後)』、『小(後)』、『中(後)』、『大(後)』、『特殊(後)』等がある。
なお、この面取り位置を示すポップアップは、『無し』、『小(前後)』、『特殊耳(前後)』、『特殊鼻(前後)』、『特殊(前後)』、『小(前後)』、『特殊耳(前後)』、『特殊鼻(前後)』、『特殊(後)』等でもよい。
ファンクションキーF5で入力される鏡面加工としては、『なし』、『あり』、『面取り部鏡面』等がある。
ファンクションキーF6で入力される加工コースとしては、『オート』、『試し』、『モニター』、『枠替え』或いは『内トレース』等がある。
尚、上述したファンクションキーF1〜F6のモードや種別或いは順序は特に限定されるものではない。また、後述する各タブTB1〜TB4の選択として、『レイアウト』、『加工中』、『加工済』、『メニュー』等を選択するためのファンクションキーを設けるなど、キー数に限定されるものではない。
そして、このようなファンクションキーF1ないしF6に対応するファンクション表示部H1〜H6の上には、レンズタイプ、レンズ、フレーム、面取り、鏡面及びコース等がそれぞれ表示される。しかもファンクション表示部H1〜H6には、レンズタイプ、レンズ、フレーム、面取り、鏡面及びコース等に対応する内容、即ちファンクションキーF1〜F6により選択するための上述した種類や加工内容等が表示される。
尚、以下、レイアウト時の液晶表示器8の表示状態としての、システム起動直後・データ要求直後・レイアウト設定終了・各コース選択等、或いは、加工時の液晶表示器8の表示状態としての、コバ厚確認・右眼レンズ加工中及び終了・左眼レンズ加工中等、更に、加工済み後の液晶表示器8の表示状態としての確認・データ保存、研削加工中におけるエラー・アイコンとカーソル・溝掘り加工及び面取り加工・試し摺り・加工追加再仕上げ等の表示や操作等は、特願2000−287040号又は特願2000−290864号と同様のものとすることができる。
[制御回路]
レンズ研削加工装置2は、図4に示すように、演算制御回路40を有する。CPUを有する演算制御回路40には、操作パネル6、記憶手段としてのROM41、記憶手段としてのデータメモリ42、RAM43が接続されていると共に、補正値メモリ44が接続されている。また、演算制御回路40には、表示用ドライバ45を介して液晶表示器8が接続され、パルスモータドライバ46を介して駆動系の各種駆動モータ(パルスモータ)47a…47nが接続されていると共に、通信ポート48を介して図1のフレーム形状測定装置1が接続されている。
尚、例えば、上述したキャリッジを上下動させるパルスモータ等の駆動モータ47a、キャリッジを左右動させるパルスモータ等の駆動モータを47b、レンズ回転軸9、10を回転駆動させるパルスモータ等の駆動モータを47c、研削砥石11を回転させる駆動モータを47dとし、旋回アーム16を上下回動させるパルスモータ等の駆動モータを47e、研削砥石11を回転させる駆動モータを47fとする。
この場合、駆動モータ47aを正転又は逆転させることにより図示しないキャリッジを上下動させることができ、駆動モータ47bを正転又は逆転させることにより、キャリッジを左右動させることができる。また、駆動モータ47cを正転又は逆転させることにより、レンズ回転軸9、10を正転又は逆転させることができる。更に、駆動モータ47dを作動制御することにより研削砥石11を回転駆動できる。また、駆動モータ47eを正転又は逆転させることにより、旋回アーム16を上方又は下方に旋回駆動させることができる。更に、駆動モータ47fを作動制御することにより、面取り軸(回転軸)15を回転駆動させることができる。このような駆動系の各駆動モータ47a〜47fの駆動は演算制御回路40により行われる。
演算制御回路40は、加工制御開始後に、フレーム形状測定装置1からのデータ読み込みや、データメモリ42の記憶領域m1〜m8に記憶されたデータの読み込みがある場合には、図5に示すように、時分割による加工制御とデータの読み込みやレイアウト設定の制御を行う。
即ち、時間t1,t2間の期間をT1、時間t2,t3間の期間をT2、時間t3,t4間の期間をT3、・・・、時間tn−1,tn間の期間をTn−1とすると、期間T1,T3・・・Tn−1の間で加工制御が行われ、データの読み込みやレイアウト設定の制御を期間T2,T4・・・Tnの間に行う。従って、被加工レンズの研削加工中に、次の複数の玉型形状データの読み込み記憶や、データの読み出しとレイアウト設定(調整)等を行うことができ、データ処理の作業効率を格段に向上させることができる。
ROM41にはレンズ研削加工装置2の動作制御のための種々のプログラム等が記憶されている。データメモリ42には複数のデータ記憶領域が設けられている。
RAM43は、加工中のデータを記憶する加工データ記憶領域43a、新たなデータを記憶する新データ記憶領域43b、フレームデータや加工済みデータ等を記憶するデータ記憶領域43cが設けられている。
尚、データメモリ42には、読み書き可能なFEEPROM(フラッシュEEROM)を用いることもできるし、メインの電源がオフされても内容が消えないようにしたバックアップ電源使用のRAMを用いることもできる。
[作用]
次に、この様な構成の演算制御回路40を有するレンズ研削加工装置の作用を説明する。
スタート待機状態からメイン電源がオンされると、演算制御回路40はフレーム形状測定装置1からのデータ読み込みがあるか否かを判断する。
即ち、演算制御回路40は、操作パネル6の『データ要求』スイッチ7cが押されたか否かが判断される。そして、『データ要求』スイッチ7cが押されてデータ要求があれば、フレーム形状測定装置1からのレンズ形状情報(θi,ρi)のデータをRAM43のデータ読み込み領域43bに読み込む。この読み込まれたデータは、データメモリ42の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)されるようにしてもよい。
このレンズ形状情報(θi,ρi)のデータが読み込まれると、演算制御回路40は図8に示したレイアウト設定の為の表示内容を液晶表示器8に表示させる。
以下に、通常の面取り加工におけるレイアウト設定、面取り加工シミュレーション、面取り加工の実行の各作業工程を説明する。
(1)液晶表示器8のレイアウト表示
レイアウト設定時には、図6に示したような通常の面取り加工の内容が液晶表示器8に演算制御回路40により表示される。即ち、液晶表示器8の表示エリアE2には、「レンズ:プラ」、「コース:オート」が表示されると共に、ヤゲン及び面取り加工のための表示20がされる。また、表示エリアE3には、フレーム幾何学中心間距離FPD、眼鏡装用者の瞳孔間距離PD、寄せ量UP、サイズ「SIZE」及びその数値が表示される。図6では、規定値(標準値)としてFPDが72.5、PDが64.0、UPが+2.0、SIZEが+0.00となっている。また、表示エリアE3には、「SIZE」の下方に位置させて「吸着位置:光学中心」の表示がされている。
更に、表示エリアE4の左側には右のレンズ形状LR及びレンズ吸着盤Rsが重ねて表示され、表示エリアE4の右側には左のレンズ形状LL及びレンズ吸着盤Lsが重ねて表示される。この際、レンズ形状LRの光学中心ORとレンズ吸着盤Rsの中心が一致させられ、レンズ形状LLの光学中心OLとレンズ吸着盤Lsの中心が一致させられる。
また、ファンクション表示部H1〜H6の上には、レンズタイプ、レンズ、フレーム、面取り、鏡面及びコース等がそれぞれ表示される。更に、ファンクション表示部H1には例えば「単焦点」が表示され、ファンクション表示部H2には例えば「プラ」が表示され、ファンクション表示部H3には例えば「メタル」が表示され、ファンクション表示部H4には例えば「小(前後)」が表示され、ファンクション表示部H5には例えば「あり」が表示され、ファンクション表示部H6には例えば「オート」が表示される。
そして、ファンクション表示部H4に対応するファンクションキーF4を押すと、図7に示したようなポップアップメニュー21が表示される。このポップアップメニュー21には、「無し、小(前後)、中(前後)、大(前後)、特殊(前後)、小(後)、中(後)、大(後)、特殊(前後)」等の面取り位置の選択内容が表示される。この表示状態では、「無し、小(前後)、中(前後)、大(前後)、特殊(前後)、小(後)、中(後)、大(後)、特殊(後)」等の面取り位置のいずれかの色が反転表示されている。この反転表示された内容が面取り位置であり、ファンクション表示部H4に表示される。図7では、「小(前後)」が面取り位置として表示されている。
この面取り位置のための反転表示は、ファンクションキーF4を押す毎に「無し」、「小(前後)」、「中(前後)」、「大(前後)」、「特殊(前後)」、「小(後)」、「中(後)」、「大(後)」、「特殊(後)」等に対して順に実行される。
このファンクションキーF4で「特殊(前後)」を選択すると、図8に示すように、ファンクション表示部H4に「特殊(前後)」と反転表示され、特殊面取りのコースに移行する。なお、「特殊(後)」を選択した場合にも特殊面取りのコースに移行する。また、玉型形状LR、LLに面取り加工後の面取り軌跡31R、31Lが表示される。この場合、眼鏡レンズのコバ端の耳側、鼻側の面取りは例えば、2.0mmの面取り幅、80%の面取り範囲等の標準値で面取り軌跡が表示される。
尚、「小(前後)」、「中(前後)」、「大(前後)」は、通常の面取り加工での面取り幅の大きさ(小、中、大)と、眼鏡レンズMLのコバ端の面取りする箇所(前側、後側)を意味する。「小(後)」、「中(後)」、「大(後)」も同様で、通常の面取り加工での面取り幅の大きさ(小、中、大)と、眼鏡レンズMLのコバ端の面取りする箇所(後側)を意味する。そして、「特殊(前後)」では、眼鏡レンズMLの前側及び後側屈折面のコバ端における面取り加工のうち、眼鏡フレームの耳掛け(テンプル)側に位置する眼鏡レンズ位置(以下、耳側と略記する。)あるいは鼻当て(パッド)側に位置する眼鏡レンズ位置(以下、鼻側と略記する。)における面取り加工を意味する。また、「特殊(後)」では、眼鏡レンズMLの前側屈折面のコバ端における面取りは無し、後側屈折面のコバ端における面取り加工のうち、耳側あるいは鼻側における面取り加工を意味する。
(2)シミュレーション画面での面取り操作
図9に示すように特殊面取りのための表示が実行された後、シミュレーション画面での左眼用の眼鏡レンズの面取り操作を行う場合には、ファンクションキーF6の操作で『オート』、『試し』、『モニター』、『枠替え』或いは『内トレース』等の中から『モニター』を選択し、次に『左』スイッチ6bを押して、加工をスタートさせる。ヤゲン加工の場合には、ヤゲン山部の裾部(あるいはヤゲン肩部)、溝掘加工の場合には玉型形状の周縁で未加工の眼鏡レンズのコバ厚形状(レンズ形状)を測定した後、図11に示したようなシミュレーション画面を液晶表示器8に表示させる。
シミュレーション操作しない場合には『オート』を選択することで、(3)の面取り加工の動作に移行する。但し、加工中の表示は、シミュレーション画面となる。
この図11では、液晶表示器8の表示エリアE2に左眼用の眼鏡レンズの「面幅」、「耳側幅」、「耳側範囲」、「鼻側幅」、「鼻側範囲」が表示される。そして、例えば「面幅」として0.3(mm)、「耳側幅」として2.0(mm)、「耳側範囲」として90(%)、「鼻側幅」として1.0(mm)、「鼻側範囲」として90(%)等が表示される。また、表示エリアE3(データ入力部)の下部には「フレームカーブ」及び「ヤゲンカーブ」が表示される。
更に、表示エリアE4の左側には、左眼マークL、左眼用のレンズ形状LL、レンズ形状LLの光学中心OL、レンズ形状LLの幾何学中心BO、上レンズ幅LLu、下レンズ幅LLd、右レンズ幅LLr、左レンズ幅LLl、任意の位置を示すマーク(視標)としても用いられる特殊面取り位置マークStc、コバ厚及び面取り幅の最も薄い位置を示す面取り位置マークSfcが表示される。
また、表示エリアE4の右側の上部には、レンズ形状LLの面取り位置マークSfcにおける断面形状32が最初に表示されると共に、例えばヤゲン頂点「Top:1.0[0.9]」及び「Edg:40.[4.0]」が最初に表示される。これと同時に、表示エリアE4の右側の下部には、レンズ形状LLの耳側水平方向での特殊面取り位置マークStcにおけるコバ断面形状33が最初に表示されると共に、例えばヤゲン頂点「Top:1.3[1.2]」及び「Edg:6.8[6.3]」及び「残り幅:2.2[2.3]」等が最初に表示される。
また、液晶表示器8の下縁部には、ファンクション表示部H1に対応して「位置」が表示され、ファンクション表示部H2に対応して「回転」が表示され、ファンクション表示部H4に対応して「面取り」が表示され、ファンクション表示部H5に対応して「鏡面」が表示され、ファンクション表示部H6に対応して「戻す」が表示される。尚、Yはレンズ形状LLのヤゲン山を示す。
更に、レンズ形状LLの光学中心OLを中心として特殊面取り位置マークStcまで延びる指針34がレンズ形状LLに重ねて表示される。この指針34及び特殊面取り位置マークStcは、ファンクションキーF2を押すと、ファンクション表示部H2に示した矢印35のようにレンズ形状LL上を時計回り方向(「−」方向)に移動するようになっている。また、指針34及び特殊面取り位置マークStcは、ファンクションキーF3を押すと、ファンクション表示部H3に示した矢印36のようにレンズ形状LL上を反時計回り方向(「+」方向)に移動するようになっている。そして、この指針34及び特殊面取り位置マークStcの移動に伴い、移動位置における面取り部37の状態が右側下部に表示される。
例えば、この移動で指針34及び特殊面取り位置マークStcが面取り位置マークStf側に移動すると破線で示したように面取り部37の状態が変化する。
また、通常のシミュレーション画面では、表示エリアE3(データ入力部)の下部に「サイズ」が表示される。
面取り幅の設定値変更は、特殊面取り部分以外の面取り幅を変更するものとする。また、耳側の幅及び特殊面取りの範囲と鼻側の幅及び特殊面取りの範囲それぞれ設定できる。
すなわち、特面取り加工において、耳側の特殊面取りの初期設定値は、例えば、耳側の面取り幅は2.0mm、耳側の面取り範囲は90%、鼻側の面取り幅は0.3mm、鼻側の面取り範囲は90%、面幅は0.3mm、鼻側の特殊面取りの初期設定値は、例えば、耳側の面取り幅は0.3mm、耳側の面取り範囲は90%、鼻側の面取り幅は1.0mm、鼻側の面取り範囲は90%、面幅は0.3mm、特殊面取りの初期設定値は、例えば、耳側の面取り幅は2.0mm、耳側の面取り範囲は90%、鼻側の面取り幅は1.0mm、鼻側の面取り範囲は90%、面幅は0.3mmである。また、耳側あるいは鼻側の面取り幅の変更できる範囲は例えば、0.1mm〜5.0mm、面取り範囲の変更できる範囲は例えば、10%〜90%である。面幅の変更できる範囲は例えば、0.1mm〜5.0mmである。尚、ここで指定する範囲は例示であって、これに限定されるものではない。
ここで、面取りする範囲について補足する。
図12に示すように、いま玉型形状Lに対して、略幾何学中心Oを中心として玉型形状Lの動径ρのうち、横方向の動径(極座標の基準)をOP1、大きさをρbasisとするとき、(縦方向の動径OP3、大きさρmin1)と(縦方向の動径OP4、大きさρmin2)の小さいほうを最小動径として大きさρminで表現し、略幾何学中心Oを中心に大きさρminを半径とする円(即ち、図12から明らかなように半径がOR1の円)を描くこととする。ここで、面取りする範囲が90%とは、横方向の動径(極座標の基準)において、(ρbasis−ρmin)の大きさR1P1を100等分し、10目盛めを通る略幾何学中心Oを中心とする同心円状の円弧を描き、この円弧が玉型形状の輪郭線と交わる交点M1、M2とするとき、交点M1、M2で区切られた玉型形状周縁部の範囲を示す。
ここで、(ρbasis−ρmin)の大きさR1P1を100等分する理由は、図12から明らかな如く大きさR1P1を100目盛とするためであることが容易に理解できる。故に、(ρbasis−ρmin)の大きさR1P1を100等分したときの1目盛はR1P1/100、即ち[(ρbasis−ρmin)/100]であることが分かる。そして、10目盛めを通る略幾何学中心Oを中心とする同心円状の円弧とは、略幾何学中心Oを中心とする円弧であって、且つOR1+[(ρbasis−ρmin)/100]×10{即ちρmin+[(ρbasis−ρmin)/100]×10}を半径とする円弧であることも図12から容易に理解できる。
このように面取りする範囲が90%のとき、幾何学中心Oを中心とする円弧が図12から明らかなようにρmin+10目盛めを通ることから、玉型形状Lの面取する範囲が100%とは半径がOR1の円の外側を面取りする範囲であることも容易に理解できる。
従って、眼鏡レンズの面取り範囲をx%として設定する際、眼鏡レンズの玉型形状Lの幾何学中心Oから横方向の動径の大きさをρbasisとし且つ玉型形状Lの幾何学中心Oから縦方向の動径の大きさをρminとすると共に、ρbasis−ρminを100等分した値[(ρbasis−ρmin)/100]を求め、ρmin+[(ρbasis−ρmin)/100]×(100−x)の半径で前記幾何学中心を中心とする円弧を描いて、この円弧が玉型形状Lと交わる2つの交点M1,M2を求めることにより、この2つの交点M1,M2間が面取り範囲x%となることも容易に理解できる。
このように、面取りする範囲を10〜90%と変化させると、液晶表示器8のプレビュー画面24gの面取り見栄えも同時に変化するので、眼鏡装用者にプレビュー画面24gを見せながら、面取り範囲や面取り幅を変えることができる。
最初の面取り線は、「サイズの初期値」で設定されている幅を元にして表示される。但し、レイアウト画面上で数値が変更されていれば、そこで入力された数値で面取り線が表示されレイアウト画面が変更される。眼鏡加工の作業者は視覚的に面取り加工シミュレーションを確認することができる。
また、コバ断面表示部の「コバ厚」値表示の下に、特殊面取り後の「コバ残り幅」を表示し、ユーザーが左右レンズの面取り後におけるコバ厚を、同じにしたい時に確認できるようにする。
また、片眼が「特殊」面取り加工を終了している時、反対眼の削る量は初期設定での面幅・範囲ではなく、削り幅(「コバ残り幅」)が同じ量になるように計算され、加工される。
更に、シミュレーション画面上で変更された、面幅、鼻側及び耳側の面幅・範囲等のデータは、反対眼加工時(右眼用の眼鏡レンズ(レンズ形状LR)の加工時)にも適用する。尚、シミュレーション画面中で、特殊面取りの設定/解除は可能とする。
(3)面取り加工
このようなシミュレーションにおいて面取り状態を確認し、この面取り状態で問題なければ、この状態で加工開始の『左』スイッチ6bを押すことにより、粗加工から順に加工がすすむ。粗加工後、(2)の面取り設定の条件で、面取り軌跡に沿ってレンズのコバ厚が測定される。
そして、特殊面取りが開始される。この際、演算制御回路40は、駆動モータ47fを作動制御して面取り砥石13、14と一体の面取り軸15を回転駆動させる一方、(2)の特殊面取りの設定条件に基づいて駆動モータ47eを作動制御して旋回アーム16を上下に回動制御して、面取り砥石13、14により左眼用の眼鏡レンズに面取り加工を施す。
但し、ヤゲン或いはワイヤ溝に研削砥石が干渉してしまうような場合には、強制面取り・溝掘り加工動作を実行するメッセージが通常面取り加工と同様に表示し、画面上の面取り形状と変わることを通知させる。
以上説明したように、通常の面取り加工におけるレイアウト設定、シミュレーション、加工実行の作業工程を説明した。
しかしながら、特に、眼鏡加工作業者が従来手作業で行っていた技能的な面取り加工技術のノウハウを、初期設定を変更することにより実現し、微細に面取り加工を行いたいという要求が生じることもある。
このような場合に、通常の面取り加工における作業工程とは別に、特殊面取りの初期表示や初期設定を変更する必要がある。
(4)特殊面取りの「特殊」の初期表示及び設定
『メニュー』タブTB4(あるいは『画面』スイッチ7a)を押すことで、図13に示すように、「項目を選択してください。」のメッセージ22’、及び、選択メニュー22、23が液晶表示器8に表示される。この際、選択メニュー22には「設定1」、「設定2」、「調整」、「メンテナンス」等の設定項目が表示される。そして、「設定1」をF1で選択すると、選択メニュー23には、「スイッチの初期表示」、「スイッチの順番変更」、「レイアウト初期値」、「表示画面」、「レイアウト入力の設定」、「サイズの初期値」、「特殊面取りの初期値」等の選択項目が表示される。
この選択メニュー23から「特殊面取りの初期値」をF3で選択すると、図14に示すように、「設定特殊面取りの初期値」、「項目を選択して下さい。」のメッセージ24’、及び、選択メニュー24が液晶表示器8に表示される。この際、選択メニュー24には、「面取り幅(前面、他)」、「面取り幅(耳側)」、「面取り範囲(耳側)」、「面取り幅(鼻側)」、「面取り範囲(鼻側)」等の選択項目が表示される。例えば、選択メニュー24で「面取り幅(前側、他)」を選択すると、図16に示すように、「設定特殊面取りの初期値」、「項目を選択して、+/−で数値を入力して下さい。」、「設定範囲は、0.1〜1.0mmです。」のメッセージ24a’、及び、選択メニュー24a、24bが液晶表示器8に表示される。この際、選択メニュー24aには、「面取り(前面)mm」、「面取り(他)mm」等の選択項目が表示される。また、選択メニュー24bには、(mm)単位の設定範囲として「1.0」、「0.3」等の選択項目が表示される。なお、この設定範囲に限定されず、任意のmm単位の大きさを設定範囲の項目として加えることができる。
また、例えば、図14の特殊面取り初期値設定画面において、「面取り幅(耳側)」を選択すると、図16に示すように、「設定特殊面取りの初期値」、「項目を選択して、+/−で数値を入力して下さい。」、「設定範囲は、面取り幅(0.1〜5.0mm)・範囲(10〜90%)です。」のメッセージ24c’、及び、選択メニュー24c、24dが液晶表示器8に表示される。この際、選択メニュー24cには、「プラ」、「高プラ」、「ポリカ」、「アクリル」等の眼鏡レンズの材質を選ぶ選択項目が表示される。また、選択メニュー24dには、(mm)単位の設定範囲として「2.0」、「2.0」、「2.0」、「2.0」等の選択項目が表示され、眼鏡レンズの耳側のコバ端の面取り幅を例えば2.0mmと設定することができる。ここで、「プラ」とは、プラスチックレンズ、「高プラ」とは、高屈折のプラスチックレンズ、「ポリカ」とは、ポリカーボネイト、「アクリル」とは、アクリル樹脂を意味する。
また、例えば、図14の特殊面取り初期値設定画面において、「面取り範囲(耳側)」を選択すると、図17に示すように、「設定特殊面取りの初期値」、「項目を選択して、+/−で数値を入力して下さい。」、「設定範囲は、面取り幅(0.1〜5.0mm)・範囲(10〜90%)です。」のメッセージ24c’、及び、選択メニュー24e、24fおよび面取り加工後の左右両眼の眼鏡レンズを正面から見たように横に並べ装用した場合の面取り見栄え(特に耳側のコバ端の面取り)をチェックできるプレビュー画面24gが液晶表示器8に表示される。この際、選択メニュー24eには、「プラ」、「高プラ」、「ポリカ」、「アクリル」等の眼鏡レンズの材質を選ぶ選択項目が表示される。また、選択メニュー24fには、眼鏡レンズの耳側のコバ端の面取りする範囲が(%)単位の設定範囲として「80」、「80」、「80」、「80」等の選択項目が表示される。
そして、ファンクションキーF5を押して「実行」を選択すると、上述した設定が終了して、図9に示したレイアウト設定の画面になる。
上述した特殊面取りの「特殊」の初期設定においては、『メニュー』タブTB4(あるいは『画面』スイッチ7a)を押すことで設定することができたが、図10に示すように、レイアウト画面において、ファンクション表示部H4に対応するファンクションキーF4を押し、図10に示したようなポップアップメニュー21’から選択することで、特殊面取りの設定を行うようにしてもよい。この場合、このポップアップメニュー21’には、「無し、小(前後)、特殊耳(前後)、特殊鼻(前後)、特殊(前後)、小(後)、特殊耳(後)、特殊鼻(後)、特殊(後)」等の面取り位置の選択内容が表示される。この表示状態では、「無し、小(前後)、特殊耳(前後)、特殊鼻(前後)、特殊(前後)、小(後)、特殊耳(後)、特殊鼻(後)、特殊(後)」等の面取り位置のいずれかの色が反転表示されている。この反転表示された内容が面取り位置であり、ファンクション表示部H4に表示される。図10では、「小(前後)」が面取り位置として表示されている。
上述したように、特殊面取りの「特殊」の初期設定の変更に伴い、面取り加工の通常の作業である、レイアウト設定→面取り加工シミュレーション→面取り加工の工程途中で設定値を変更する必要がなく、例えば鼻当て保持金具に眼鏡レンズのコバ面が当たったりすることもなく、また眼鏡装用者が気に入った面取り見栄えの面取り加工を実現することができる。そのうえさらに、眼鏡加工作業者が従来手作業で行っていた技能的な面取り加工技術のノウハウを実現することができ、眼鏡レンズの微細な面取り加工を行うことができる。
以上説明したように、この発明は、研削加工後の眼鏡レンズが面取りされて眼鏡装用者にとってより掛けやすく、より窮屈でない(疲れない)ような眼鏡レンズの面取り設定を行うことができる。
また、眼鏡加工作業者が従来手作業で行っていた技能的な面取り加工技術のノウハウを実現することができ、眼鏡レンズの微細な面取り加工を行うことができる。
本発明の実施の形態に係るレイアウト表示装置を備えるレンズ研削加工装置とフレーム形状測定装置との関係を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置を示し、加工室内の加工主要部の斜視図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置を示し、(A)は第1の操作パネルの拡大説明図、(B)は液晶表示器の正面図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の制御回路の説明図である。 制御回路の制御を説明するためのタイムチャートである。 図3の液晶表示器の通常の面取り加工の表示例を示す説明図である。 図6の液晶表示器に表示されたポップアップメニューを示す説明図である。 図7に示すポップアップメニューにおいて「特殊(前後)」を選択した状態を示す図である。 画面上に特殊面取りのための表示の一例が示された状態を説明するための図である。 図8に示すポップアップメニューの他の表示例を示す説明図である。 シミュレーション画面が液晶表示器に表示された状態を示す説明図である。 面取り範囲の一例を説明するための補足説明図である。 項目選択画面が表示された状態を示す説明図である。 選択メニュー画面において特殊面取りの初期値を選択したときに表示される画面を示す図である。 図14に示す画面で「面取り幅(前面、他)」を選択したときに表示される画面を示す図である。 図14に示す画面で「面取り幅(耳側)」を選択したときに表示される画面を示す図である。 図14に示す画面で「面取り範囲(耳側)」を選択したときに表示される画面を示す図である。
符号の説明
L・・・玉型形状
O・・・幾何学中心
M1,M2・・・交点

Claims (2)

  1. 眼鏡レンズの面取り加工方法において、
    前記眼鏡レンズの面取り範囲をx%として設定する際、前記眼鏡レンズのレンズ形状の幾何学中心から横方向の動径の大きさをρbasisとし且つ前記レンズ形状の幾何学中心から縦方向の最小動径の大きさをρminとすると共に、前記ρbasis−ρminを100等分した値[(ρbasis−ρmin)/100]を求め、ρmin+[(ρbasis−ρmin)/100]×(100−x)の半径で前記幾何学中心を中心とする円弧を描いて、該円弧が前記レンズ形状と交わる2つの交点を求めることにより、該2つの交点間を前記面取り範囲とすることを特徴とする眼鏡レンズの面取り加工方法。
  2. 眼鏡レンズの面取り加工装置
    眼鏡レンズの周縁部に面取りを行わせる面取り砥石と、
    前記眼鏡レンズのレイアウト設定のためのレンズ形状を表示させる表示手段と、
    前記眼鏡レンズの幾何学中心、前記レンズ形状の光学中心を重ねて前記表示手段に表示させると共に、前記面取り砥石により前記眼鏡レンズの周縁部に施す面取り部の面取り軌跡を前記レンズ形状に重ねて表示させて、前記レンズ形状と面取り軌跡との幅を面取り幅とする演算制御回路と、を備え、

    前記演算制御回路は、前記眼鏡レンズの鼻側および耳側に前記面取り幅を変更可能な面取り範囲を設定する眼鏡レンズの面取り加工装置であって、
    前記演算制御回路は、前記眼鏡レンズの面取り範囲をx%として設定する際、前記眼鏡レンズのレンズ形状の幾何学中心から横方向の動径の大きさをρbasisとし且つ前記レンズ形状の幾何学中心から縦方向の最小動径の大きさをρminとすると共に、前記ρbasis−ρminを100等分した値[(ρbasis−ρmin)/100]を求め、ρmin+[(ρbasis−ρmin)/100]×(100−x)の半径で前記幾何学中心を中心とする円弧を描いて、該円弧が前記レンズ形状と交わる2つの交点を求めることにより、該2つの交点間を前記面取り範囲とすることを特徴とする眼鏡レンズの面取り加工装置。
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