JP4688280B2 - 鉄筋用安全帯係止金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造りの躯体工事作業において、柱用鉄筋組み立て作業者の落下事故防止に活用できる鉄筋用安全帯係止金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
柱用鉄筋組立体は、垂直に配置される主筋群にフープ筋を結合して組み立てられるが、この組み立て作業に際し、作業者は仮設足場や脚立上に乗ってフープ筋と主筋との結合作業を行うことになり、不測の墜落事故の恐れがある。このため、主筋の上端近傍位置に安全帯係止金具を取り付けておき、当該主筋をスラブ上に立設した後、作業者が装備している安全帯を前記係止金具に係止して柱用鉄筋組み立て作業を行うことにより、作業者の不測の墜落事故を前記係止金具と安全帯とで防止することが考えられ、実施されているが、従来のこの種の係止金具は、鉄筋(主筋)に上端から外嵌させて適当位置まで移動させたリング状金具本体を締結用ねじにより鉄筋に固定するように構成したものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の鉄筋用安全帯係止金具の構成では、単に鉄筋に対する取り付け作業に手間がかかるだけでなく、前以って鉄筋に係止金具を取り付けるのを忘れたためにスラブ上に立設されてしまっている主筋に対し係止金具を後付けする必要が生じた場合、主筋の上端からリング状金具本体を外嵌して落とし込まなければならず、その作業が行い難いだけでなく危険を伴う恐れがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る鉄筋用安全帯係止金具を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、本体(2)と締結用ねじ(3)とを備え、本体(3)は、基板部(4)から連設された両側板部(5,6)にそれぞれ形成された鉄筋係合用フック部(7,8)と、安全帯係止孔(10,11)とを有し、締結用ねじ(3)は、前記基板部(4)を前記両側板部(5,6)間に向かって螺合貫通するもので、当該締結用ねじ(3)により前記二つのフック部(7,8)が係合する鉄筋(43)を当該フック部(7,8)の内側に押圧固定するようにした鉄筋用安全帯係止金具において、前記鉄筋係合用フック部(7,8)を形成する前記両側板部(5,6)は、前記基板部(4)の左右両側辺の同一側への曲げ加工により当該基板部(4)と一体に形成され、前記基板部(4)の両側板部(5,6)間の前後両端部は前後に延出され、この両延出部(4a,4b)に夫々前記安全帯係止孔(10,11)が設けられ構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明の鉄筋用安全帯係止金具を実施するに際し、前記二つのフック部7,8(27,28)の鉄筋43に対する係合方向が互いに逆向きとなるように構成することが出来る。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適実施形態を添付図に基づいて説明すると、図1に示す係止金具1は、本体2と締結用ねじ3とから成り、本体2は、基板部4と当該基板部4の左右両側辺から同一側へ曲げ加工により一体に連設された両側板部5,6とを有し、この両側板部5,6に互いに逆向きの鉄筋係合用フック部7,8を、側面視(図1A)に於いて両フック部7,8の鉄筋係合内側辺9が互いに重なるように形成している。又、基板部4の両側板部5,6間の前後両端部は前後に延出され、この両延出部4a,4bにそれぞれ安全帯係止孔10,11が形成されている。締結用ねじ3は、前記基板部14の内側面に溶接固着されたナット12により構成された貫通ねじ孔を両側板部5,6間に向かって螺合貫通している。しかして当該締結用ねじ3は、前記両フック部7,8の中間位置に位置すると共に、側面視(図1A)に於いて、両フック部7,8の鉄筋係合内側辺9に対し遠近方向に移動することができる。
【0008】
係止金具1の使用状態を示す図2及び図3に示すように、柱用鉄筋組立体40は、構築する柱の周面に沿うように配置された複数本の主筋41に柱長さ方向適当間隔おきにフープ筋42を外嵌締結させることにより構成されるが、この柱用鉄筋組立体40を組み立てる際、主筋41に使用される鉄筋43の内の少なくとも1本の上端近傍位置に、上記構成の係止金具1を取り付ける。即ち、図1に仮想線で示すように、係止金具1の二つのフック部7,8を鉄筋43に横から係合させた状態で締結用ねじ3を締め付け、当該締結用ねじ3で鉄筋43を、二つのフック部7,8の中間位置でこれら各フック部7,8の鉄筋係合内側辺9に向けて押圧し、当該フック部7,8の鉄筋係合内側辺9と締結用ねじ3の先端との間で挟持固定する。
【0009】
尚、二つのフック部7,8を同一向きに形成することも出来る。このように二つのフック部7,8を同一向きに形成するときは、鉄筋43に対し単に横から両フック部7,8を引っ掛けることになるが、上記実施形態のように、二つのフック部7,8が互いに逆向きである係止金具1では、二つのフック部7,8で鉄筋43を挟むように係止金具1を鉄筋43に嵌合させた状態で当該係止金具1を90度捩じるように回転させることにより、二つのフック部7,8を鉄筋43に係合させることができる。
【0010】
上記のように係止金具1を鉄筋43の上端近傍位置に固定したならば、当該鉄筋43を主筋41の少なくとも1本に利用して、スラブ上に主筋41を立設し、係止金具1より下側位置で、最上段のフープ筋42を固定する。この後、一端が作業者の腰に結合されている安全帯の遊端側のカラビナを、係止金具1の安全帯係止孔10,11の何れか一方に係止させた状態で、仮設足場または脚立上で残りのフープ筋42を締結する柱用鉄筋組立体40の組み立て作業を行う。
【0011】
尚、フープ筋42を主筋41の上端から落とし込む場合は、図2に仮想線で示すように、係止金具1の締結用ねじ3の頭部が主筋41の内側に位置するように係止金具1を取り付ければ、フープ筋42を少し広げるだけで当該フープ筋42を係止金具1の上側から下側へ通過移動させることが出来る。
【0012】
本体2の基板部4に設けられる締結用ねじ3の螺合貫通用の貫通ねじ孔は、当該基板部4に内側又は外側に突出するように一体成形した短い筒状部の内側にねじ溝を設けて構成することも出来る。
【0013】
【発明の効果】
以上のように本発明の鉄筋用安全帯係止金具によれば、二つのフック部を利用して鉄筋に対し横から係合させ、締結用ねじにより鉄筋を前記二つのフック部の内側に押圧固定することにより、鉄筋の長さ方向任意の位置に強固に取り付けることができる。従って、鉄筋の端部から嵌合させて所定位置まで移動させる必要のある従来の係止金具と比較して、鉄筋に対する取り付け作業が容易且つ能率的に行える。また、柱用鉄筋組立体の主筋を立設した後に、当該主筋の任意の位置、例えば既に取り付けられたフープ筋より下側の位置に対しても、簡単容易に係止金具を取り付けることができるので、安全帯係止金具の取り付けを忘れた場合でも、当該係止金具の後付け作業を容易且つ安全に行える。
【0014】
しかも本発明の構成によれば、本体に直接安全帯係止孔を設けたので、本体を一枚の鉄板の切り抜き曲げ加工だけで構成することが出来、別部品を溶接等で取り付けて安全帯係止部を形成しなければならないものと比較して、全体の構造が極めてシンプルで安価に実施することが出来る。又、安全帯係止部を形成する別部品の取り付け強度(溶接強度等)が経年劣化により低下して、安全性に問題が生じるような不都合もない。
【0015】
尚、請求項2に記載の構成によれば、二つのフック部が互いに逆向きであるから、締結用ねじが多少弛んでも、係止金具自体を鉄筋に対し捩じらなければ外れることはないので、より安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 A図は平面図、B図は側面図、C図は正面図である。
【図2】 柱用鉄筋組立体の主筋に図1に示す係止金具を取り付けた状態を示す平面図である。
【図3】 図2のA矢視図である。
【符号の説明】
1 鉄筋用安全帯係止金具
2 本体
3 締結用ねじ
4 本体
5,6 両側板部
7,8 鉄筋係合用フック部
9,29 フック部の鉄筋係合内側辺
10,11 安全帯係止孔
40 柱用鉄筋組立体
41 主筋
42 フープ筋
43 主筋用鉄筋
Claims (2)
- 本体と締結用ねじとを備え、本体は、基板部から連設された両側板部にそれぞれ形成された鉄筋係合用フック部と、安全帯係止孔とを有し、締結用ねじは、前記基板部を前記両側板部間に向かって螺合貫通するもので、当該締結用ねじにより前記二つのフック部が係合する鉄筋を当該フック部の内側に押圧固定するようにした鉄筋用安全帯係止金具において、前記鉄筋係合用フック部を形成する前記両側板部は、前記基板部の左右両側辺の同一側への曲げ加工により当該基板部と一体に形成され、前記基板部の両側板部間の前後両端部は前後に延出され、この両延出部に夫々前記安全帯係止孔が設けられている、鉄筋用安全帯係止金具。
- 前記二つのフック部の鉄筋に対する係合方向が互いに逆向きとなるように構成した、請求項1に記載の鉄筋用安全帯係止金具。
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