JP4682618B2 - 押しボタンスイッチ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電子辞書、テープ印字装置のような携帯用の電子機器、あるいはキーボード等に使用される押釦スイッチに関するものである。
従来、押しボタンスイッチは、指先で押下操作されるキートップを備え、このキートップはスプリングのような弾性支持体によって支えられている。この弾性支持体の支持力に抗して押し下げ操作されて、キートップと一体的な可動接点を固定接点に接触させることで導通する電気回路が形成されるように構成している。
近年、携帯用電子機器において多くの操作指示用のスイッチ機構が用いられているもので、そのスイッチ機構を構成する押しボタンスイッチにあっては、例えば図7(A)で示すようにシリコンゴムのような弾性を有する材料によってボタン部101を構成し、さらにこのボタン部101の下部にボタン部101と一体的に座屈壁103を設けて、この座屈壁103によってボタン部101が弾性的に支持されるようにしている。
この場合、ボタン部101はカバー体109に形成した貫通孔108を介して外部に突出されており、貫通孔108とボタン部101の周囲との間にある程度の間隔が存在する。ボタン部101をその真上から垂直に押下操作された場合には、ボタン部101がその軸線に沿って移動され、可動接点116と固定接点105 、106 との接触が確実に行われるものである(図7(B)参照)。しかしながら、例えばボタン部101の一つの角部分に相当する隅部分が押下された場合には、ボタン部101が図7(C)で示すように傾いて移動され、可動接点116は、固定接点105 、106の一部としか接触しない
ので、接触不良な状態となる。また、ボタン部101が傾いて押下されると、このボタン部101の外周がカバー体109の貫通孔108の内周と接触してボタン部101の復帰を阻害する。
この様な問題点に対処するため、例えば実公昭63−43715号公報に記載された技術においては、ボタンに沿って4面に形成された復帰弾性部の1面がボタンの操作力によって変位しないように、その下端が常に基板と接するか、その上端が常にボタンの下端に接する回動支持部をボタンの下側に設け、ボタンが操作されたときこの回動支持部を支点としてボタンが傾斜する片持動作をするようにした押しボタンスイッチが開示されている。
実公昭63−43715号公報
しかしながら、上述した公報の押しボタンスイッチにおいては、上述したように片持動作するようにしたために、回動支持部がある側とは反対側のボタンの上面を押下すると回動支持部側においてボタンが復帰弾性部を引っ張る力が発生するので押下力が重くなり且つクリック感が出難いという問題がある。更に、この状態で押下の操作を繰り返すと復帰弾性部が破壊するという問題もある。
以上のような状況に鑑み、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、違和感のない良好なクリック感の得られる押しボタンスイッチを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る押しボタンスイッチは、ベース部と、前記ベース部から延出された座屈壁と、前記座屈壁に接続され前面と背面及び左右の側面を備えるボタン部と、前記ベース部が載置される基板と、前記ボタン部の前面との間で所定のクリアランスを保持しつつボタン部を突出させる貫通孔を設けたカバー体とを備える押しボタンスイッチにおいて、前記ボタン部の背面側寄りの下方から突出形成され、非押下時に前記基板から離間し、押下時に基板に当接するとともに背面側の座屈壁の座屈変形を防止するリブと、前記ボタン部の前記リブよりも前側寄りの下方から突出形成され、前記基板上に設けられた固定接点に対向し、非押下時には前記固定接点から離間し、押下時には前記固定接点と接触するとともに前面側の座屈壁の座屈変形を許容する可動接点とを備え、押下時に、ボタン部は前記背面側のベース部と前記座屈壁を結ぶ点を支点として回動し、前記ボタン部は、背面側に薄肉部が形成され、前面側に該薄肉部よりも肉厚の肉厚部が形成され、該肉厚部の前面は、ボタン部の背面側の前記ベース部と前記座屈壁を結ぶ点を中心として所定半径で表わされる円弧面に形成され、前記ボタン部の非押下時から押下終了に至る間に渡って、ボタン部の前面と前記貫通孔の壁面との間には、所定のクリアランスが保持され、前記ボタン部の前面と対向する前記貫通孔の壁面は、ボタン部の背面側のベース部と前記座屈壁を結ぶ点を中心としてボタン部の前面における円弧面を規定する所定半径よりも大きな半径で表わされる円弧面に形成され、前記ボタン部の前面と前記貫通孔の壁面との間に設けられる前記所定のクリアランスは、貫通孔の壁面における円弧面を規定する半径と前記ボタン部の前面における円弧面を規定する所定半径との差に設定されていることを特徴とする。
また、請求項に係る押しボタンスイッチは、請求項1に記載の押しボタンスイッチにおいて、前記ボタン部が押下されたときに、前記リブが基板と当接すると同時に前記可動接点が前記固定接点に当接することを特徴とする。
また、請求項に係る押しボタンスイッチは、請求項1又は請求項2に記載の押しボタンスイッチにおいて、前記リブは、ボタン部の左側面近傍から右側面近傍に渡って横長に形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る押しボタンスイッチでは、押下時にボタン部が背面側のベース部と座屈壁を結ぶ点を支点として回動するため、押下時に背面側の座屈壁を引っ張る力が発生しないので、初めからリブと基板が当接している場合に比べて押下力が軽くなり、且つクリック感が生じ、操作に違和感のないクリック感が得られるという効果がある。
また、押下時に背面側の座屈壁の座屈変形が防止され、且つこの座屈壁を引っ張る力が発生しないので、変形による負荷を受けない。故に、この座屈壁が変形による負荷を受けて破壊されるということもない。
また、ボタン部の非押下時から押下終了に至る間に渡って、ボタン部の前面と前記貫通孔の壁面との間には、所定のクリアランスが保持されるので、押下時に、貫通孔の壁面とボタン部の前面が当接することはなく、さらに操作に違和感のない良好なクリック感が得られると共に、ボタン部のスティックが起こらないという効果がある。更に、ボタン部とカバー体が少ない隙間でできるので、カバー体内を露出することなくデザイン的な自由度が生じるという効果もある。
また、ボタン部の前面と対向する貫通孔の壁面は、ボタン部の背面側のベース部と座屈壁を結ぶ点を中心としてボタン部の前面における円弧面を規定する所定半径よりも大きな半径で表わされる円弧面に形成され、ボタン部の前面と貫通孔の壁面との間に設けられる所定のクリアランスは、貫通孔の壁面における円弧面を規定する半径と前記ボタン部の前面における円弧面を規定する所定半径との差に設定されているので、ボタン部の前面と貫通孔の壁面との間には、常に一定のクリアランスが確保されてボタン部の押下操作をスムーズに行うことが可能となる。
更に、請求項に係る押しボタンスイッチでは、押下時に、可動接点が固定接点に、リブが基板に各々当接した後に更に押下しても、可動接点とリブによって、座屈壁が当接時の変形状態以上に変形することがなく、ボタン部の振れを防止できるという効果がある。
また、請求項に係る押しボタンスイッチでは、ボタン部の押下される位置が左右にどちらにずれたとしても、リブが基板に当接することにより、ボタン部の傾きを補正することができ、ボタン部の左右側面が貫通孔の壁面と当接することを防ぐことができることによって、ボタン部のスティックを防止することができる。また、ボタン部の背面側の薄肉部における剛性を強化するという効果もある。
以下、本発明に係る押しボタンスイッチについて、本発明を具体化した第1実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本第1実施形態に係る押しボタンスイッチの概略構成について図1乃至図5に基づき説明する。図1は、第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの非押下時における断面図、図2は、第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの動作部材を示す図、図3は、第1実施形態の固定接点の形状を示す図である。(A)は、1ユニットのサイズの固定接点の形状を示す図、(B)は、長尺サイズの固定接点の形状を示す図、図4は、第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの動作を説明する図である。(A)は、ボタン部の非押下の状態を示す図、(B)は、ボタン部の押下の途中の状態を示す図、(C)は、ボタン部の可動接点が基板の固定接点と当接した状態を示す図、図5は、第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチにおいて、ボタン部の薄肉部を押下した場合の状態を示す図である。
図1、図2に示すように、押しボタンスイッチ1は、大別して、ボタン部2、ボタン部2の下端部周囲には下方に向かって、且つ外方に向かって広がるように一体に成型された薄肉の座屈壁3、座屈壁3の下端部と一体に成型されたベース部4、ベース部4を載置し固定接点5、6と回路パターンが形成された基板7、基板7を固定しボタン部2の周囲と所定のクリアランスを保持しつつボタン部2が上方に突出される貫通孔8が設けられたカバー体9から構成されている。
押しボタンスイッチ1は、基板7、カバー体9を除いてシリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等の合成ゴムから形成され、ボタン部2の上面(表面)には、数字、英字等の文字や記号が印刷、刻印等により付されている。かかるボタン部2は、前面10と背面11及び左右の側面12、13を有する角柱状に形成され、前面10の上端から下方に向かって半ばにかけて、背面11側の座屈壁3とベース部4を結ぶ点Sを中心とする半径R1の円弧面14が形成されている。尚、この円弧面14は、ボタン部2の前面10の上端から下端にかけて形成されていてもよい。
また、ボタン部2の下面の前面側寄りには下方に向かって突出した突出部15が形成され、この突出部15は、前面側が背面側よりも低くなるように形成されている。突出部15の先端には、前記基板7の固定接点5、6と対向し、押しボタンスイッチ1のオン・オフ動作を行なうための横長の可動接点16が設けられている。この突出部15は、押下時には前記可動接点16が固定接点5、6に当接するが、その当接の際に、前面10側の座屈壁3が座屈変形することを許容するのに十分な高さを有する。
更に、ボタン部2の下面の背面11側寄りには、非押下時には基板7と当接しないリブ17が突出形成されている。このリブ17は、ボタン部2の左側面12近傍から右側面13近傍に渡って横長に形成されている。また、リブ11は、押下時に基板7に当接するが、その当接の際、背面11側の座屈壁3が座屈変形するのを防ぐのに十分な高さを有する。
そして、ボタン部2は、背面11側を薄肉部18に、前面10側を該薄肉部18よりも肉厚の肉厚部19に形成し、通常は、この肉厚部19が押下される。尚、薄肉部18は、前記横長のリブ17によって剛性が強化されている。
座屈壁3は、ボタン部2とベース部4の間で薄肉状に一体に成型されており、最適なクリック感を出現するための傾斜角と肉厚で形成されている。また、ベース部4も座屈壁3の下端と一体に成型されて最適なクリック感を出現するための基盤として機能している。そして、連続した多数の押しボタンスイッチ1を形成する場合は、このベース部4が一体に成型される。これらボタン部2、座屈壁3、ベース部4から押しボタンスイッチ1の機能部材20が構成される。(図2参照)
基板7は、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスエポキシ等の基材に接着された銅箔をエッチングの手法や導電インクの印刷や焼付けの手法によって、その表面に固定接点5、6と回路パターンが形成される。前述したように基板7の上面には、可動接点16に対応した位置に固定接点5、6と回路パターンが形成されボタン部2が押下されると可動接点16と固定接点5、6が当接して可動接点16を通じて固定接点5、6間が導通し、例えば、固定接点5側の信号が固定接点6側に伝達される。そして、連続した多数の押しボタンスイッチ1を形成する場合は、1枚の基板7の上面に多数の固定接点5、6が形成される。図3に固定接点5、6の形状を示す。図3(A)は、1ユニットサイズの固定接点5、6の形状を示し、図3(B)は、長尺サイズの固定接点5、6の形状を示す。固定接点5、6は各々櫛歯形状に形成され、互いに櫛歯が接触することなく、且つ一方の固定接点の櫛歯が他方の固定接点の櫛歯間に位置するように配置され、横長の可動接点16の長手方向に対しては櫛歯が直角になるように配置されている。これによって、可動接点16が固定接点5、6に確実に当接されるようになる。
カバー体9には、前述したように壁面21を備えた貫通孔8が設けられている。ボタン部2は、その前面10、背面11及び左右の側面12、13と壁面21とが所定のクリアランスを保持した状態で、貫通孔8から突出している。そして、連続した多数の押しボタンスイッチ1を形成する場合は、1枚のカバー体9に多数の貫通孔8が形成される。
このように構成された押しボタンスイッチを組み立てるには、全ての部材の天地を逆にして作業する。先ず、カバー体9がカバー体9の天地を逆にして置かれ、機能部材20がカバー体9の貫通孔8に機能部材20のボタン部2を貫通させながら載置され、その上に基板7がボタン部2の可動接点16と基板7の固定接点5、6の位置を合わせながら載置される。最後に、カバー体9から延出された図示しないボスに基板7の裏面から図示しないネジでネジ締めすることによって、カバー体9に機能部材20を挟んで基板7が固定され、押しボタンスイッチ1が完成する。また、基板7を固定する方法として、カバー体9から延出された図示しないボスのフック部に基板7を押圧してフック部に弾性的に係止してもよい。このように組み立てられた押しボタンスイッチ1は、電子辞書、テープ印字装置のような携帯用の電子機器の入力装置、あるいはキーボード等に使用される。
前述のように組み立てられた押しボタンスイッチ1の動作を図4(A)、(B)、(C)に基づいて説明する。図4(A)は、押しボタンスイッチ1が非押下の状態であることを示す。この状態では、座屈壁3は座屈しておらず、可動接点16、リブ17共に基板7から離間している。
図4(B)は、ボタン部2が押下の途中の状態であることを示す。操作者の指は、一番高く突出している肉厚部19を中心にしてボタン部2を押下する。そのため、ボタン部2は、この押下位置とボタン部2の剛性とボタン部2の左右の側面12、13側(図2参照)と背面11側の座屈壁3のバランスによって背面11側の座屈壁3とベース部4を結ぶ点Sを中心として回動する。図4(B)では、ボタン部2の前面10側の座屈壁3がボタン部2の押下によって圧縮変形を開始している状態である。一方、背面11側の座屈壁3は座屈変形していない。このときもまだ可動接点16、リブ17は、共に基板7から離間している。
さらなるボタン部2の押下に伴って、背面11側の座屈壁3とベース部4を結ぶ点Sを中心とするボタン部2の回動が進み、ボタン部2の背面11側の座屈壁3は座屈変形せずに前面10側の座屈壁3が座屈変形してクリック感が出現され、ボタン部2の可動接点16が基板7の固定接点5、6に当接される。図4(C)は、この状態を示している。このとき、例えば、可動接点16を通じて、固定接点5、6間が導通し、固定接点5側の信号が固定接点6側に伝達される。また、このとき可動接点16とリブ17は、同時に基板7当接する。これによって、ボタン部2の押下特性が滑らかになり、良好なクリック間が得られることになる。尚、この操作でリブ17が可動接点16と固定接点5、6が当接する以前に基板7に当接する場合は、ボタン部2を押下した際にボタン部2が左右へ傾いたときであるが、リブ17が基板7に当接することによってボタン部2の左右の傾きを補正することができる。また、ボタン部2が押下される前からリブ17が基板7と当接している場合にボタン部2を押下すると、リブ17側の座屈壁3を引っ張る力が発生して押下力が重くなり且つクリック感が出難かったが、ボタン部2の押下操作時に可動接点16とリブ17が同時に固定接点5、6と基板7に当接するようにしたので、ボタン部2の面を押下してもリブ17側の座屈壁3を引っ張る力の発生を防ぐことができる。
更に、ボタン部2の前面10には、その上端から半ばにかけてボタン部2の背面11側の座屈壁3とベース部4を結ぶ点Sを中心とする半径R1(図4(A)参照)で表される円弧面14が設けられており、このボタン部2の円弧面14とカバー体9の壁面21の間にクリアランス(図4(A)参照)が設けられているので、前記点Sを中心としてボタン部2を回動しても円弧面14とカバー体9の壁面21が当接することはない。このため、ボタン部2の円弧面14とカバー体9の壁面21の間のクリアランスを必要最小限にすることができる。
続いて、押しボタンスイッチ1のボタン部2の薄肉部18を押下した場合の状態を図5に基づいて説明する。ボタン部2の薄肉部18を押下するとリブ17は、ボタン部2の背面11側の座屈壁3が座屈変形しない状態で基板7に当接する。そのためボタン部2の傾きやボタン部2のスティックが起こらない。また、ボタン部2の背面11側の座屈壁3は、座屈変形や引っ張り変形することがないので、変形による負荷を受けない。操作者は、クリック感の出る肉厚部19の方を押下するようになる。
以上、詳細に説明した通り、第1実施形態に係る押しボタンスイッチ1では、ボタン部2の下面の前面10側寄りに下方に向かって突出する突出部15を形成し、この突出部15の先端に、基板7上に形成された固定接点5、6に対向する可動接点16を設けた。更に、ボタン部2の背面11側寄りに下方に向かって突出するリブ17を設けた。そして、このリブ17は、非押下時には、基板7から離間しており、押下時には、背面11側の座屈壁の座屈変形を防ぐ。前記突出部15もまた、非押下時には、固定接点5、6から離間し、押下時には、可動接点16を固定接点5、6に当接させると共に、前面10側の座屈壁の座屈変形を許容する。
故に、ボタン部2は、押下時には、背面11側のベース部4と座屈壁3を結ぶ点Sを支点として回動するので、背面11側の座屈壁を引っ張る力が発生せず、押下力が軽くなり、押下操作に違和感のない良好なクリックが得られるという効果がある。
また、押下時に、背面11側の座屈壁3の座屈変形が防止され、且つ、この座屈壁を引っ張る力も発生しないので、背面11側の座屈壁3は変形による負荷を受けず、破壊されることもない。
また、押下時に、可動接点16が固定接点5、6に当接すると同時にリブ17が基板7に当接するので、当接した後に、更にボタン部2が押下されたとしても、可動接点16が固定接点5、6と当接し、リブ17が基板7と当接した時点での変形状態以上に座屈壁3が変形しないので、ボタン部2の振れを防止することができる。
また、リブ17がボタン部2の左側面12近傍から右側面13近傍に渡って横長に形成されているため、ボタン部2の押下される位置が左右のどちらかにずれたとしても、リブ17が基板7に当接することにより、ボタンの傾きを補正することができ、ボタン部2の左右側面12、13が貫通孔8の壁面21と当接することを防ぐことができ、ボタン部2のスティックを防止することができる。また、ボタン部2の背面11側の薄肉部18における剛性を強化するという効果もある。
また、ボタン部2の前面10は、その上端から半ばにかけて、背面11側のベース部4と座屈壁3を結ぶ点Sを中心とする半径R1(図4(A)参照)の円弧面14が形成され、押下時に、ボタン部2は、前記点Sを中心に回動するので、ボタン部2の前面は貫通孔8の壁面21と当接することがなく、押下操作に違和感のない良好なクリック感が得られるという効果がある。また、カバー体9の貫通孔8の壁面21とボタン部2の前面10が当接しないので、ボタン部2のスティックを防止できるという効果もある。更に、ボタン部2とカバー体9との隙間を小さくできるので、カバー体9内の露出を極力少なくすることができ、デザイン的な自由度が生じるという効果もある。
次に、本発明に係る第2実施形態を図面と共に説明する。第2実施形態に係る押しボタンスイッチは、第1実施形態に係る押しボタンスイッチ1とほぼ同様であり、カバー体の一部構成が異なっている。図6は、第2実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの断面図である。(A)は、ボタン部の非押下の状態を示す図、(B)は、ボタン部の可動接点が基板の固定接点と当接した状態を示す図である。上述した通り、第2実施形態は第1実施形態とほぼ同一であるので、図中で使用されている符号は、第1実施形態と同一機能のものは同じ符号を使用し、その説明を省略してポイントのみを説明する。
図6(A)、(B)に示すように、そのポイントは、カバー体9の貫通孔8のボタン部2の前面10に対向する壁面21にもボタン部2の背面11側の座屈壁3とベース部4を結ぶ点Sを中心とする半径R2の円弧面22が設けられていることである。それぞれの半径の差である(R2−R1)が貫通孔8の壁面21とボタン部2の前面10との間のクリアランスとなり、図6(B)に示すようにボタン部2の円弧面14が、ボタン部2の背面11側の座屈壁3とベース部4を結ぶ点Sを中心に回動されてもカバー体9の貫通孔8の壁面21に設けられた円弧面22とは常に同一のクリアランスとなって当接することはない。
以上説明した通り、第2実施形態に係る押しボタンスイッチ1では、ボタン部2の前面10と対向するカバー体9の貫通孔8の壁面21は、ボタン部2の背面11側のベース部4と座屈壁3を結ぶ点Sを中心とする半径R2の円弧面22に形成されているので、カバー体9の貫通孔8の壁面21に設けられた円弧面22とボタン部2の前面10に設けられた円弧面14とが常に同一のクリアランスを維持し、当接することもなく、操作に違和感のない良好なクリック感が得られるという効果がある。また、ボタン部2とカバー体9の貫通孔8のクリアランスを常に均一にすることができ、操作者にカバー体9内を露出しなくて済むという効果とデザイン的に自由度が生じるという効果もある。
尚、本発明は前記第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスエポキシ等の基材に接着された銅箔をエッチングの手法や導電インクの印刷や焼付けの手法によって製作される基板7を使用していたが、この基板7を金属等の支持板にして、その上にポリエステルフィルム等で製作されるメンブレンスイッチを載置してもよい。これは薄型化に効果がある。
また、ボタン部2の剛性を上げるために、成型時にボタン部2の上面側に硬質の異なる材質の合成ゴムをインサート成型してもよい。あるいは、ボタン部2の上面側にABS等の樹脂を接着しても良い。
また、ボタン部2に設けられているリブ17と同一形状の部材を基板7側に設けてもよい。あるいは、基板7を金属支持板とポリエステルフィルム等で製作されるメンブレンスイッチの組合せにして金属支持板を絞り出してリブを製作してもよい。
第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの非押下時における断面図である。 第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの動作部材を示す図である。 第1実施形態の固定接点の形状を示す図である。(A)は、1ユニットのサイズの固定接点の形状を示す図、(B)は長尺サイズの固定接点の形状を示す図である。 第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの動作を説明する図である。(A)は、ボタン部の非押下の状態を示す図、(B)は、ボタン部の押下の途中の状態を示す図、(C)は、ボタン部の可動接点が基板の固定接点と当接した状態を示す図である。 第1実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチにおいて、ボタン部の薄肉部を押下した場合の状態を示す図である。 第2実施形態で本発明が適用された押しボタンスイッチの断面図である。(A)は、ボタン部の非押下の状態を示す図、(B)は、ボタン部の可動接点が基板の固定接点と当接した状態を示す図である。 従来の押しボタンスイッチの断面図である。(A)は、非押下の状態を示す図、(B)は中央押下の状態を示す図、(C)は隅押下の状態を示す図である。
1.押しボタンスイッチ
2.ボタン部
3.座屈壁
4.ベース部
5.固定接点
6.固定接点
7.基板
8.貫通孔
9.カバー体
10.前面
11.背面
12.側面
13.側面
14.円弧面
16.可動接点
17.リブ
18.薄肉部
19.肉厚部
21.壁面
22.円弧面
R1.半径
R2.半径
S.点

Claims (3)

  1. ベース部と、前記ベース部から延出された座屈壁と、前記座屈壁に接続され前面と背面及び左右の側面を備えるボタン部と、前記ベース部が載置される基板と、前記ボタン部の前面との間で所定のクリアランスを保持しつつボタン部を突出させる貫通孔を設けたカバー体とを備える押しボタンスイッチにおいて、
    前記ボタン部の背面側寄りの下方から突出形成され、非押下時に前記基板から離間し、押下時に基板に当接するとともに背面側の座屈壁の座屈変形を防止するリブと、
    前記ボタン部の前記リブよりも前側寄りの下方から突出形成され、前記基板上に設けられた固定接点に対向し、非押下時には前記固定接点から離間し、押下時には前記固定接点と接触するとともに前面側の座屈壁の座屈変形を許容する可動接点とを備え、
    押下時に、ボタン部は前記背面側のベース部と前記座屈壁を結ぶ点を支点として回動し、
    前記ボタン部は、背面側に薄肉部が形成され、前面側に該薄肉部よりも肉厚の肉厚部が形成され、該肉厚部の前面は、ボタン部の背面側の前記ベース部と前記座屈壁を結ぶ点を中心として所定半径で表わされる円弧面に形成され、
    前記ボタン部の非押下時から押下終了に至る間に渡って、ボタン部の前面と前記貫通孔の壁面との間には、所定のクリアランスが保持され
    前記ボタン部の前面と対向する前記貫通孔の壁面は、ボタン部の背面側のベース部と前記座屈壁を結ぶ点を中心としてボタン部の前面における円弧面を規定する所定半径よりも大きな半径で表わされる円弧面に形成され、
    前記ボタン部の前面と前記貫通孔の壁面との間に設けられる前記所定のクリアランスは、貫通孔の壁面における円弧面を規定する半径と前記ボタン部の前面における円弧面を規定する所定半径との差に設定されていることを特徴とする押しボタンスイッチ。
  2. 前記ボタン部が押下されたときに、前記リブが基板と当接すると同時に前記可動接点が前記固定接点に当接することを特徴とする請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
  3. 前記リブは、ボタン部の左側面近傍から右側面近傍に渡って横長に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押しボタンスイッチ。
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