JP4678316B2 - 顔料組成物、顔料分散体およびインキ - Google Patents

顔料組成物、顔料分散体およびインキ Download PDF

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Description

本発明はインキ、並びにこれを提供するための顔料組成物および顔料分散体に関する。
一般に、高濃度の顔料を安定して分散させることは難しく、製造工程や製品であるインキ等において種々の問題を引き起こすことが知られている。
例えば、微細粒子からなる顔料を含む分散体は往々にして高粘度を示すため、分散工程後における分散機からの製品の取り出しや輸送が困難となるばかりでなく、保管中にゲル化を起こし使用困難となることさえある。さらに展色物に関しては光沢の低下、レベリング不良等、表面状態が不良になる。
また、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや、沈降などの現象により展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
さらに各種の印刷や塗工工程において、印刷機や塗工機のシリンダーやノズル等に付着したインキ等が乾燥析出し皮膜が形成される場合がある。この乾燥インキと、インキが接触した場合、乾燥インキがインキに再溶解しにくいため、両者が分離した状態でそのまま印刷等され、印刷物や塗工物の画像形成に支障をきたすことがある。これを避けるため、乾燥析出したインキが、インキに接触した際に速やかに溶解する適性(以下、乾燥再溶解性という)が求められる。
以上の種々の問題点を解決するために、古くは特許文献1〜4等に顔料を安定して分散させる方法が提案されている。また、種々のワニスに対して顔料を母体骨格として側鎖に酸性基や塩基性基を置換基として有する顔料誘導体を分散剤として混合する方法が、特許文献5〜7等に提案されているが必ずしも満足な結果が得られず、より優れた分散方法が望まれていた。
特許文献8には、本発明の一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物と、ポリエーテルとポリエステルのコポリマーのリン酸エステルの組み合わせが開示されている。しかし、このような化合物を含むインキは乾燥再溶解性等があまり良好でないという問題があった。また、特許文献9では2−ヒドロキシルエチルメタクリレートなどに1〜5モルのε-カプロラクトンを付加し、リン酸エステル化した化合物が提案されているが、これらを用いたインキの乾燥再溶解性等は良好でなかった。
更に特許文献10及び11には重合性リン酸エステル系の分散剤が開示されているが、これらはインキの保存安定性や乾燥再溶解性には有効ではなかった。
米国特許第3370971号明細書 米国特許第2965511号明細書 特公昭41−2466号公報 米国特許第2855403号明細書 特開昭63−305137号公報 特開平1−247468号公報 特開平3−26767号公報 特開2003−183562号公報 特公平3−72075号公報 特表2003−533455号公報 特開平11−349842号公報
本発明は、顔料分散性、流動性、保存安定性、乾燥再溶解性、基材密着性に優れたインキを与えうる顔料組成物および顔料分散体の提供を目的とする。
本発明は、顔料、下記一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物、および下記一般式(2)で示されるリン酸エステルを含む顔料組成物である。
一般式(1)
Figure 0004678316
(式中、Aは分子量2000以下の芳香族化合物、X1は直接結合、または−NR3−、−O−から選ばれる2価の連結基、R1は下記一般式(3)〜(6)で示されるいずれかの基、R2は水酸基、アルコキシ基、R1またはA、R3は水素原子、アルキル基またはアルケニル基、αは1〜3の整数を表す。)
一般式(2)
Figure 0004678316
(式中、R4は数平均分子量400〜30000であり、エチレン性不飽和基を有するポリエステル残基、yは1〜2を表す。
ただし、R 4 は、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのいずれかにε-カプロラクトンを開環重合させてなるエチレン性不飽和基を有するポリエステル残基である。
一般式(3)
Figure 0004678316
一般式(4)
Figure 0004678316
(式(3)および式(4)中、R5,R6は、それぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、または置換基同士が一体となって更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでも良い5員環または6員環を表し、nは1〜6の整数を表す。)
一般式(5)
Figure 0004678316
(式中、R7は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。)
一般式(6)
Figure 0004678316
(式中、R8は一般式(5)で示される基または下記一般式(7)で示される基、zは0〜6の整数、mは1または2を表す。)
一般式(7)
Figure 0004678316
(式中、X3は直接結合、または−NH−、−O−から選ばれる2価の連結基、pは0〜6の整数を表し、R5、R6は一般式(3)におけるR5、R6と同じものを表す。)
本発明は、一般式(1)において、Aが下記一般式(8)で示される有機色素誘導体である顔料組成物である。
一般式(8)
P−[X−R]β
(式中、Pは溶性アゾ系、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系から選ばれる少なくとも一種の芳香族系有機色素残基、Xは直接結合、または−O−、−NH−、−CHNH−、−SONH−、−CHNHCO−、−CHNHCOCHNH−、−CONH−から選ばれる2価の連結基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基、βは0〜3の整数を表す。)
本発明は、一般式(1)において、Aが下記一般式(9)で示される基であり、αが1である顔料組成物である。
一般式(9)
Figure 0004678316
(式中、R10はアミノ基、R11は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、スルホン基、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基、qは1〜3の整数、rは0〜2の整数を表す。)
本発明は、一般式(1)において、Aが下記一般式(10)で示される基であり、αが1である顔料組成物である。
一般式(10)
Figure 0004678316
本発明は、一般式(2)で示されるリン酸エステルにおいて、y=1とy=2の存在比が100:0〜100:30であ顔料組成物である
本発明は、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物と、一般式(2)で示されるリン酸エステルとの重量配合比が100:1:1〜100:30:100である顔料組成物である。
本発明は、上記顔料組成物と有機溶剤を含む顔料分散体である。
本発明は、上記顔料分散体を含むインキである。
本発明の顔料組成物は、顔料、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物、および一般式(2)で示されるリン酸エステルを含むので、顔料分散性が良好である。
本発明の顔料組成物は、一般式(1)において、αが1であり、かつAが一般式(8)で示される有機色素誘導体、一般式(9)で示される基、または一般式(10)で示される基なので、更に顔料分散性が良好である。
本発明の顔料組成物は、一般式(2)で示されるリン酸エステルにおいて、y=1とy=2の存在比が100:0〜100:30なので、更に顔料分散性が良好である。
本発明の顔料組成物は、顔料と、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物と、一般式(2)で示されるリン酸エステルとの重量配合比が100:1:1〜100:30:100なので、顔料分散性が良好であると共に展色物としたときの耐性が良好である。
本発明の顔料分散体は、上記いずれかの顔料組成物と有機溶剤を含むので、顔料分散性が良好である。
本発明のインキは上記顔料分散体を用いて得られるので、顔料分散性が良好であり、流動性、保存安定性が良好である。更に、インキ乾燥した後も顔料間の凝集力が弱いため、インキの再接触により速やかに溶解する乾燥再溶解性に優れ、印刷及び塗加工を安定して歩留まりよく実施できる。また、基材密着性も良好であり、インキを用いて得られた展色物は光沢を有し表面状態も良好である。更に上記のインキが異種の顔料を混合したものである場合においても、色むらや着色力の低下を抑制できる。
<顔料>
本発明の顔料組成物で用いられる顔料としては、インキ等に使用される種々の顔料が使用できる。このような顔料としては溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等がある。さらに具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ピグメントブラック7、ピグメントブルー15,15:1,15:3,15:4,15:6,60、ピグメントグリーン7,36,ピグメントレッド9,48,49,52,53,57,97,122,144,146,149,166,168,177,178,179,185,206,207,209,220,221,238,242,254,255、ピグメントバイオレット19,23,29,30,37,40,50、ピグメントイエロー12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185、ピグメントオレンジ13,36,37、38,43,51,55,59,61,64,71,74等が挙げられる。また、カーボンブラックについては中性、酸性、塩基性等のあらゆるカーボンブラックを使用することができる。
<一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物>
本発明の顔料組成物において用いられる、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物は、一般式(2)で示されるリン酸エステルとの組み合わせで優れた顔料分散性能を発揮する化合物である。
一般式(1)において、Aは分子量2000以下の芳香族化合物を表す。ここでいう芳香族化合物とは、ベンゼン核をもつ炭素環式化合物をいい、ベンゼン核は縮合環中にあってもよく、複素環であってもかまわない。Aの例として一般式(8)で示される有機色素誘導体、一般式(9)で示される基、一般式(10)で示される基等が挙げられる。
Aを構成する芳香族化合物の分子量が2000を越えるトリアジン環含有塩基性化合物は、通常のインキまたは塗料に用いられる溶剤との親和性が著しく低く、所望の効果を発揮しないため、本発明の顔料組成物には使用できない。
一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物は、分子量2000以下の芳香族化合物に、直接、または必要に応じて連結基を介してトリアジン環含有塩基性官能基を導入することで得ることができる。
一般式(1)におけるAが一般式(8)で示される有機色素誘導体であるトリアジン環含有塩基性化合物は、特開平8−127749号公報に開示された公知の化合物であり、同公報に開示された方法で容易に得ることができる。なお、Pを構成する有機色素残基は、アントラキノンのようにほとんど着色していない化合物であっても構わない。
一般式(1)におけるAが一般式(9)で示される基であるトリアジン環含有塩基性化合物は、特開平11−199796号公報に開示された方法で容易に得ることができ、具体例についても数多く開示されている。
一般式(1)におけるAが一般式(10)で示される基であるトリアジン環含有塩基性化合物は、特開平08−127749号公報の記載により得ることができる。
一般式(1)におけるXは、直接結合、または−NR−、−O−から選ばれる2価の連結基であり、これらの結合基を有するトリアジン環含有塩基性化合物は、一般式(2)のリン酸エステルとの組み合わせで優れた顔料分散性能を発揮するのみならず耐性に優れた化合物であり、耐熱性においては通常の有機顔料と比べてもほとんど遜色がない。
一般式(1)におけるRは、一般式(3)〜(6)で表されるアミン化合物残基である。
一般式(3)〜(6)中、置換もしくは無置換のアルキル基および置換もしくは無置換のアルケニル基の好ましい炭素数は1〜20であり、さらに好ましくは1〜6である。
アルキル基およびアルケニル基の好ましい置換基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
置換基同士が一体となって更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでも良い5員環または6員環の好ましい例としては、ピペリジノ基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、ピロリジノ基、モルホリノ基、チアゾリジノ基等が挙げられる。
また、一般式(1)においてRは、水酸基、アルコキシ基、RまたはAを表す。アルコキシ基は炭素数1〜20のものが好ましく、さらに好ましい例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等が挙げられる。
また、一般式(1)においてRは、水素原子、アルキル基またはアルケニル基を表し、アルキル基またはアルケニル基の好ましい炭素数は1〜20である。
<一般式(2)で示されるリン酸エステル>
本発明の顔料組成物で用いられる、一般式(2)で示されるリン酸エステルにおいて、 Rの数平均分子量は、より好ましくは400〜10000であり、更に好ましくは400〜3000である。400未満の場合は顔料分散能に欠けるため、用いることができない。
リン酸エステルの製造は、エチレン性不飽和基を有するモノアルコールを開始剤として、環状エステルを開環付加(第一の工程)した後、リン酸エステル化(第二の工程)を行うことにより得ることができる。
先ず第一の工程として、二重結合を有するモノアルコールを開始剤として環状エステルを開環重合させて、末端に水酸基を有するポリエステル残基を合成する。
モノアルコールは、二重結合の数が2個と、3個以上のものに分けられる
二重結合の数が2個のモノアルコールとしては、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート等が挙げられる。
二重結合の数が3個のモノアルコールとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ニ重結合の数が5個のモノアルコールとしては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
このうち、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートは、それぞれ、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物として得られるので、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)法や水酸基価の測定によりモノアルコール体の比率を決定する必要がある。
環状エステルとしては、ε−カプロラクトンが挙げられるニ重結合を有するモノアルコールへの付加モル数は1〜50モル、好ましくは3〜20モルである。付加モル数が1モルより小さいと分散性、流動性、保存安定性、乾燥再溶解性に対する効果が得にくく、付加モル数が50モルより大きいと、分子量が大きくなり過ぎ、乾燥再溶解性が大幅に低下する傾向がある。
第一の工程は、空気導入管、コンデンサーを接続した反応容器に、ニ重結合を有するモノアルコール、環状エステル、重合触媒、重合禁止剤を仕込み、空気気流下で重合する事により合成する。第二の工程でリン酸エステル化を行うことから、無溶剤で反応することが好ましいが、トルエン、キシレンの様な適当な溶媒を使用することもできる。
第一の工程における反応温度は100℃〜180℃、好ましくは130℃〜150℃の範囲で行うことができる。反応温度が100℃未満では反応速度が極めて遅く、180℃を越えると環状エステルの付加反応以外の副反応やニ重結合を有するモノアルコールの重合が起こりやすい。また、得られる反応物の着色が起こり易い傾向がある。
第一の工程において使用できる重合触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルモニウムブロミドテトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、および塩化亜鉛などの亜鉛化合物等が挙げられる。触媒の使用量は 0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜100ppmである。触媒量が3000ppmを越える樹脂の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満では環状エステルの開環重合速度が極めて遅くなる傾向があり、あまり好ましくない。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、フェノチアジン等を0.01%〜6%、好ましくは0.05%〜1%の範囲で用いられる。
次に、第二の工程において、末端に水酸基を有するポリエステル化合物への環状エステル付加物のリン酸エステル化を行う。
リン酸エステル化剤としては、五酸化リン、ポリリン酸、オルトリン酸、オキシ塩化リン等のリン酸化剤とを1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのうち、塩酸ガス等の副生がなく、特殊な設備が不要であることから、オルトリン酸、ポリリン酸および五酸化リンからなる群より選ばれる1種以上のリン酸エステル化剤が好ましい。なかでもオルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸が好ましい。
リン酸エステル化剤の仕込み比は、末端に水酸基を有するポリエステル化合物への環状エステル付加物の水酸基に対する、リン酸エステル化剤中のリン原子の比が0.5〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることが更に好ましく、1.05〜1.2であることが最も好ましい。これは、エポキシ基に対するリン原子の比が0.5未満では、水酸基に対するリン酸エステル化が不十分となったり、リン酸ジエステルの副生量が増加する傾向があり、1.5を超えると添加量に見合う増量効果は得られない傾向がある。
第二の工程における反応温度は、特に限定されないが40℃〜130℃が好ましく、50℃〜110℃が更に好ましく、60℃〜100℃が最も好ましい。反応温度がこれらの範囲よりも低い場合にはエステル化反応が不充分でリン酸エステル化剤が残留する場合があり、これらの範囲よりも高い場合には副生成物が生成し易くなるとともにエステル化反応物の分解が起こり易くなる傾向がある。
一般式(2)で示されるリン酸エステルは、Rが単一種のリン酸エステルでも良いし、異なるRからなるリン酸エステルを複数種用いても良い。また、y=1単独でも良いし、y=1とy=2の混合物でもよい。
一般式(2)で示されるリン酸エステルはy=1とy=2の存在比が100:0〜100:30であると、顔料分散性が良好になり好ましい。
また、一般式(2)で示されるリン酸エステルのRが、数平均分子量400〜10000のポリカプロラクトン残基であると、顔料分散性が良好になり好ましい。より好ましくは400〜3000である。
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、顔料、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物、および一般式(2)で示されるリン酸エステルとを含む。また、必要に応じて有機溶剤を添加することもできる。
本発明の顔料組成物における顔料と、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物と、一般式(2)で示されるリン酸エステルの重量配合比は100:1:1〜100:30:100が好ましい。さらに好ましくは100:5:5〜100:20:40である。分散する顔料に対して塩基性官能基含有有機色素誘導体および二重結合を有するリン酸エステルの量が少なすぎると目的とする分散効果が得にくく、多すぎると展色物の耐性が低下する傾向がある。
<顔料分散体>
本発明の顔料分散体は、上記顔料組成物と有機溶剤とからなる。上記顔料組成物を有機溶剤に分散させても良いし、上記顔料組成物の各構成成分を有機溶剤に分散させても良い。このとき用いられる顔料組成物に、有機溶剤がすでに添加されている場合は、更に有機溶剤を添加しなくてもよい場合がある。
例えば、一般式(2)で示されるリン酸エステルをそのまま、または必要に応じて有機溶剤中に溶解あるいは懸濁させた後、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物および顔料を投入し、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌混合した後、そのまま、または必要に応じて有機溶剤中に分散させ、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型サンドミルといったビーズミルやロールミル、メディアレス分散機等の種々の分散機を用いて製造することができる。
また、トリアジン環含有塩基性化合物は顔料製造時に予め添加しておいてもよい。
<有機溶剤>
本発明の顔料分散体に用いられる有機溶剤としては、インキ等に使用される有機溶剤が利用できる。具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールおよびグリコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭水素類、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の不飽和炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素類、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても良い。また、顔料組成物において必要に応じて添加される有機溶剤も、上記と同様のものを用いることができる。
<インキ>
本発明のインキは上記顔料分散体を含むものである。顔料分散体に、必要に応じて有機溶剤やインキ添加剤を添加してもよい。また、有機溶剤は、上記顔料分散体における有機溶剤と同様のものを用いることができる。
本発明の顔料組成物、顔料分散体およびインキは、その用途によって可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、消泡剤、粘度調整剤、ワックス、界面活性剤、レベリング剤等の種々の添加剤を使用することができる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表す。
[リン酸エステルの製造]
製造例1
空気導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート300g、ε-カプロラクトンモノマー1315g、メチルハイドロキノン0.
33g、モノブチルスズオキサイド0.01gを仕込み、乾燥空気を流しながら120℃に昇温し、2時間保持した。カプロラクトンモノマーの消失を確認した後、40℃以下に冷却し、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸111gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が700、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルAを得た。反応物の酸価は100であった。
製造例2
空気導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートである「エポキシエステルM−600A」(共栄社化学社製)300g、ε-カプロラクトンモノマー1125g、メチルハイドロキノン0.33g、
モノブチルスズオキサイド0.33gを仕込み、乾燥空気を流しながら140℃に昇温し、3時間保持した。カプロラクトンモノマーの消失を確認した後、40℃以下に冷却し、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸111gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が1200、y=1と2の存在比が100:13のリン酸エステルBを得た。反応物の酸価は102であった。
製造例3
空気導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、グリセリンジメタクリレートである「ライトエステルG−101P」(共栄社化学社製)300g、ε-カプロラクトンモノマー1155g、メチルハイドロキノン0.33g、モノブチルスズオキサイド0.35gを仕込み、乾燥空気を流しながら130℃に昇温し、2時間保持した。カプロラクトンモノマーの消失を確認した後、40℃以下に冷却し、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸114gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が1200、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルCを得た。反応物の酸価は99であった。
製造例4
空気導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレートである「ライトエステルG−201P」(共栄社化学社製)300g、ε-カプロラクトンモノマー1199g、メチルハイドロキノン0.33g、モノブチルスズオキサイド0.33gを仕込み、乾燥空気を流しながら130℃に昇温し、2時間保持した。カプロラクトンモノマーの消失を確認した後、40℃以下に冷却し、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸118gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が1380、y=1と2の存在比が100:13のリン酸エステルDを得た。反応物の酸価は104であった。
製造例5
空気導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを含む「M−305」(東亞合成社製)300g、ε-カプロラクトンモノマー538g、メチルハイドロキノン0.33g、モノブチルスズオキサイド0.03gを仕込み、乾燥空気を流しながら140℃に昇温し、7時間保持した。カプロラクトンモノマーの消失を確認した後、40℃以下に冷却し、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸29.7gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が1580、y=1と2の存在比が100:13のリン酸エステルEを得た。反応物の酸価は52であった。
「M−305」中に含まれるペンタエリスリトールトリアクリレートに対するε-カプロラクトンモノマーの理論付加モル数は13.4モルであった。
製造例6
空気導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを含む「KAYAMER DPHA」(日本化薬社製)586g、ε-カプロラクトンモノマー980g、メチルハイドロキノン0.6g、モノブチルスズオキサイド0.1gを仕込み、乾燥空気を流しながら140℃に加温し、9時間保持した。カプロラクトンモノマーの消失を確認した後、40℃以下に冷却し、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸95gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が1850、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルFを得た。反応物の酸価は149であった。
「KAYAMER DPHA」中に含まれるジペンタエリスリトールペンタアクリレートに対するε-カプロラクトンモノマーの理論付加モル数は15モルであった。
製造例7
空気導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、「ブレンマーPE−350」(日本油脂社製)500g、メチルハイドロキノン0.55g、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸96gと混合し、乾燥空気を流しながら徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が440、y=1と2の存在比が100:8のエーテル残基を有するリン酸エステルGを得た。反応物の酸価は130であった。
製造例8
オートクレーブに「ライトエステルG−101P」(共栄社化学社製)を400g、触媒として塩化第2クロム(6水塩)を0.4g、重合防止剤としてメチルハイドロキノンを0.44gを仕込み、内部を窒素ガス置換した後、80℃に昇温し、内圧を2.0気圧とした。850gのエチレンオキサイドを4時間かけて供給し、この間80℃を維持して反応させた。さらに、90℃に昇温して3時間反応を継続した後、冷却しグリセリンジメタクリレートのエチレンオキサイド10モル付加物を得た。
40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸158gを仕込み、乾燥空気を流しながら徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が990、y=1と2の存在比が100:10のリン酸エステルHを得た。反応物の酸価は58であった。
製造比較例1
窒素ガス導入管、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、ラウリルアルコール186g、ε−カプロラクトンモノマー571g、テトラブチルチタネート0.6gを仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で3時間加熱、撹拌した。カプロラクトンモノマーの消失を、テトラハイドロフランを溶離液とするGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)のRI検出器により確認した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量760、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルIを得た。反応物の酸価は166であった。
製造比較例2
オートクレーブにメタノールを40g、ε−カプロラクトンモノマー1070g、テトラブチルチタネート0.4gを仕込み、内部を窒素ガス置換した後、120℃に昇温し、内圧を3.0気圧とした。120℃で加熱、撹拌を3時間継続し、メタノールのε−カプロラクトン7.5モル付加物を得た。
40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量118%のポリリン酸106gを仕込み、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量が1140、y=1と2の存在比が100:10のリン酸エステルJを得た。反応物の酸価は50であった。
製造比較例3
窒素ガス導入管、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量2000の「ユニオックスM−2000」(日本油脂社製)710g、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸30gを仕込み、窒素ガスで置換した後徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、Rの数平均分子量2090、y=1と2の存在比が100:5のリン酸エステルKを得た。反応物の酸価は27であった。
[トリアジン環含有塩基性化合物]
表1及び2に示す。
Figure 0004678316
Figure 0004678316
Figure 0004678316
[参考比較例1]
リン酸エステルA12.5部をエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下 BGAcという)47.5部に溶解後、表1に示したトリアジン環含有塩基性化合物(1)5.0部および銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue 15:6)35部を投入し、ハイスピードミキサーにて均一になるまで約30分間撹拌混合した。次いで、0.6Lの横型サンドミルにてミルベース1kgあたり1時間分散して顔料分散体を得た。
[参考比較例2]
表3に示すように、参考比較例1におけるリン酸エステルAをBに、トリアジン環含有塩基性化合物(1)を表1に示される(2)に代え、さらに表3に示す顔料や有機溶剤を用い、参考比較例1と同様の方法にて分散し、顔料分散体を得た。
[実施例3〜6]
表3に示すように、参考比較例1におけるリン酸エステルAをC〜Fに、トリアジン環含有塩基性化合物(1)を表1及び2に示される(3)〜(6)に代え、さらに表3に示す顔料や有機溶剤を用い、参考比較例1と同様の方法にて分散し、顔料分散体を得た。
[参考比較例7〜9]
表3に示すように、参考比較例1におけるリン酸エステルAをA、G、Hに、トリアジン環含有塩基性化合物(1)を表1に示される(7)〜(9)に代え、さらに表3に示す顔料や有機溶剤を用い、参考比較例1と同様の方法にて分散し、顔料分散体を得た。
[比較例1]
参考比較例1におけるトリアジン環含有塩基性化合物(1)を使用しない以外は参考比較例1と同様に分散し、顔料分散体を得た。
[比較例2]
参考比較例1におけるリン酸エステルAを使用しない以外は参考比較例1と同様に分散し、顔料分散体を得た。
[比較例3]
参考比較例1におけるトリアジン環含有塩基性化合物(1)の代わりにソルスパーズ12000(アビシア社製、有機色素誘導体)を使用して同様の方法にて分散し、顔料分散体を得た。
[比較例4]
参考比較例1におけるリン酸エステルAをソルスパーズ41000(アビシア社製 酸性高分子分散剤)に代えた以外は参考比較例1と同様に分散し、顔料分散体を得た。
[比較例5]
参考比較例1におけるリン酸エステルAをDisperbyk−111(Byk Chemie社製 酸性高分子分散剤)に代えた以外は参考比較例1と同様に分散し、顔料分散体を得た。
[比較例6〜8]
参考比較例1におけるリン酸エステルAをそれぞれI、J、Kに代えて、同様の方法にて分散し、顔料分散体を得た。
実施例3〜6、参考比較例1、2、7、8、9および比較例1〜8の顔料分散体について、(1)粘度、(2)分散粒径、(3)分散性、(4)保存安定性、(5)乾燥再溶解性、(6)基材密着性の評価をした。それぞれの測定法を以下に示す。
(1)粘度:顔料分散体を、ビスコメイトVM−100A(山一電機社製、超音波振動式粘度計)を用いて25℃にて測定した。
(2)分散粒径:顔料分散体を酢酸エチル溶液で200倍〜1000倍に希釈し、マイクロトラックUPA150(日機装社製、湿式粒度分布計)にて、体積基準の50%径を測定した。
(3)分散性:上記(1)及び(2)の測定結果を総合判断し、分散性について非常に良好を◎、良好を○、若干良好を△、不良を×とした。
(4)保存安定性:顔料分散体をボトル型のガラス容器に入れ、70℃の恒温機に1週間保存し経時促進させた。保存前後の顔料分散体の粘度を(1)と同様の方法で測定し、保存前後の顔料分散体の粘度の変化率を求め、±10%未満を◎、±10〜20%未満を○、±20〜30%未満を△、±30%以上を×とした。
(5)乾燥再溶解性:顔料分散体を、バーコーターを用いてガラス板に塗布し、140℃、2分間乾燥させた。次いで、そのガラス板を酢酸エチル溶液中に浸漬し、溶液の着色を観察した。着色が大きいものを×、若干着色するものを△、ほとんど着色しないものを○と判定した。
(6)基材密着性:顔料分散体を、バーコーターを用いてガラス板に塗布し、90℃、2分間乾燥させた。カッターナイフで塗膜に傷をつけた後、その部分に粘着テープを貼り付けてすばやく剥がした。塗膜の剥がれが激しいものを×、若干剥がれるものを△、ほとんど剥がれないものを○と判定した。
Figure 0004678316
実施例3〜6の顔料分散体は、分散性、保存安定性、乾燥再溶解性、基材密着性に優れていた比較例1〜3の顔料分散体は、全ての評価項目において著しく不良であった。比較例4〜8の顔料分散体は、比較例1〜3に比べれば分散性、保存安定性、乾燥再溶解性において若干優れるが実用に耐えうるものではなく、基材密着性に関しては著しく劣っていた。

本発明の顔料組成物は、印刷インキの用途に限定されるものではなく、カラーフィルター用インキにも使用することができる。

Claims (8)

  1. 顔料、
    下記一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物、および
    下記一般式(2)で示されるリン酸エステルを含む顔料組成物。
    一般式(1)
    Figure 0004678316
    (式中、Aは分子量2000以下の芳香族化合物、X1は直接結合、または−NR3−、−O−から選ばれる2価の連結基、R1は下記一般式(3)〜(6)で示されるいずれかの基、R2は水酸基、アルコキシ基、R1またはA、R3は水素原子、アルキル基またはアルケニル基、αは1〜3の整数を表す。)
    一般式(2)
    Figure 0004678316
    (式中、R4は数平均分子量400〜30000であり、エチレン性不飽和基を有するポリエステル残基、yは1〜2を表す。
    ただし、R 4 は、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのいずれかにε-カプロラクトンを開環重合させてなるエチレン性不飽和基を有するポリエステル残基である。
    一般式(3)
    Figure 0004678316


    一般式(4)
    Figure 0004678316
    (式(3)および式(4)中、R5,R6は、それぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、または置換基同士が一体となって更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでも良い5員環または6員環を表し、nは1〜6の整数を表す。)
    一般式(5)
    Figure 0004678316
    (式中、R7は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。)
    一般式(6)
    Figure 0004678316
    (式中、R8は一般式(5)で示される基または下記一般式(7)で示される基、zは0〜6の整数、mは1または2を表す。)
    一般式(7)
    Figure 0004678316
    (式中、X3は直接結合、または−NH−、−O−から選ばれる2価の連結基、pは0〜6の整数を表し、R5、R6は一般式(3)におけるR5、R6と同じものを表す。)
  2. 一般式(1)において、Aが下記一般式(8)で示される有機色素誘導体である請求項1記載の顔料組成物。
    一般式(8)

    P−[X4−R9]β−

    (式中、Pは溶性アゾ系、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系から選ばれる少なくとも一種の芳香族系有機色素残基、X4は直接結合、または−O−、−NH−、−CH2NH−、−SO2NH−、−CH2NHCO−、−CH2NHCOCH2NH−、−CONH−から選ばれる2価の連結基、R9は炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基、βは0〜3の整数を表す。)
  3. 一般式(1)において、Aが下記一般式(9)で示される基であり、αが1である請求項1記載の顔料組成物。
    一般式(9)
    Figure 0004678316
    (式中、R10はアミノ基、R11は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、スルホン基、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基、qは1〜3の整数、rは0〜2の整数を表す。)
  4. 一般式(1)において、Aが下記一般式(10)で示される基であり、αが1である請求項1記載の顔料組成物。
    一般式(10)
    Figure 0004678316
  5. 一般式(2)で示されるリン酸エステルにおいて、y=1とy=2の存在比が100:0〜100:30である請求項1ないしいずれかに記載の顔料組成物。
  6. 顔料と、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物と、一般式(2)で示されるリン酸エステルとの重量配合比が100:1:1〜100:30:100である請求項1ないしいずれかに記載の顔料組成物。
  7. 請求項1ないしいずれかに記載の顔料組成物と有機溶剤を含む顔料分散体。
  8. 請求項に記載の顔料分散体を含むインキ。
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