JP4655963B2 - 顔料組成物、顔料分散体およびインキ - Google Patents
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Description
例えば、微細粒子からなる顔料を含む分散体は往々にして高粘度を示すため、分散工程後における分散機からの製品の取り出しや輸送が困難となるばかりでなく、保管中にゲル化を起こし使用困難となることさえある。さらに展色物に関しては光沢の低下、レベリング不良等、表面状態が不良になる。
また、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや、沈降などの現象により展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
特許文献8には、トリアジン環含有塩基性化合物と、ポリエーテルとポリエステルのコポリマーのリン酸エステルの組み合わせが開示されているが、このような化合物を含むインキはフィルム、ガラス等の基材に対する密着性が著しく劣るという欠点を有していた。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
一般式(5)
一般式(6)
一般式(7)
一般式(8)
P−[X4−R9]β−
(式中、Pは溶性アゾ系、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系から選ばれる少なくとも一種の芳香族系有機色素残基、X4は直接結合、または−O−、−NH−、−CH2NH−、−SO2NH−、−CH2NHCO−、−CH2NHCOCH2NH−、−CONH−から選ばれる2価の連結基、R9は炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基
、βは0〜3の整数を表す。)
一般式(9)
本発明は、上記顔料分散体を含むインキである。
さらに、乾燥後も顔料間の凝集力が弱く、顔料組成物の再接触により速やかに溶解し、乾燥溶解性に優れる。よって、印刷並びに塗加工を安定して歩留まりよく実施できる。
また、これらの展色物は光沢を有し表面の状態は良好である。上記の顔料組成物が異種の顔料を混合したものである場合においても、色むらや着色力の低下が低減できる。
本発明の顔料組成物で用いられる顔料としては、インキ等に使用される種々の顔料が使用できる。このような顔料としては溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等がある。さらに具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ピグメントブラック7、ピグメントブルー15,15:1,15:3,15:4,15:6,60、ピグメントグリーン7,36,ピグメントレッド9,48,49,52,53,57,97,122,144,146,149,166,168,177,178,179,185,206,207,209,220,221,238,242,254,255、ピグメントバイオレット19,23,29,30,37,40,50、ピグメントイエロー12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185、ピグメントオレンジ13,36,37、38,43,51,55,59,61,64,71,74等があげられる。また、カーボンブラックについては中性、酸性、塩基性等のあらゆるカーボンブラックを使用することができる。
本発明の顔料組成物において用いられる、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物は、一般式(2)で示されるリン酸エステルとの組み合わせで優れた顔料分散性能を発揮する化合物である。
一般式(1)において、Aは分子量2000以下の芳香族化合物を表す。ここでいう芳香族化合物とは、ベンゼン核をもつ炭素環式化合物をいい、ベンゼン核は縮合環中にあってもよく、複素環であってもかまわない。Aの例として一般式(8)で示される有機色素誘導体、一般式(9)で示される基、一般式(10)で示される基等が挙げられる。
一般式(3)〜(6)中、置換もしくは無置換のアルキル基および置換もしくは無置換のアルケニル基の好ましい炭素数は1〜20であり、さらに好ましくは1〜6である。
アルキル基およびアルケニル基の好ましい置換基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
置換基同士が一体となって更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでも良い5員環または6員環の好ましい例としては、ピペリジノ基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、ピロリジノ基、モルホリノ基、チアゾリジノ基等が挙げられる。
また、一般式(1)においてR3は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基を表し、アルキル基またはアルケニル基の好ましい炭素数は1〜20である。
本発明の顔料組成物で用いられる、一般式(2)で示されるリン酸エステルは、片末端に水酸基を有するポリエステル残基をリン酸エステル化して得ることができる。
片末端に水酸基を有するポリエステル残基は、モノアルコールを開始剤としてε−カプロラクトン等の開環付加をすることによって得ることができる。
モノアルコール1モルに対するε−カプロラクトンの付加モル数は、1〜50モル、好
ましくは、3〜20モルである。付加モル数が、1モルより少ないと、分散剤としての効果を得にくくなり、50モルより大きいと反応物の分子量が大きくなりすぎ、分散性、流動性の低下を招く傾向がある。
本発明の顔料組成物は、顔料、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物、および一般式(2)で示されるリン酸エステルとを含む。また、必要に応じて有機溶剤を添加することもできる。
本発明の顔料分散体は、上記顔料組成物と有機溶剤とからなる。上記顔料組成物を有機溶剤に分散させても良いし、上記顔料組成物の各構成成分を有機溶剤に分散させても良い。このとき用いられる顔料組成物に、有機溶剤がすでに添加されている場合は、更に有機溶剤を添加しなくてもよい場合がある。
また、トリアジン環含有塩基性化合物は顔料製造時に予め添加しておいてもよい。
本発明の顔料分散体に用いられる有機溶剤としては、インキ等に使用される有機溶剤が利用できる。具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールおよびグリコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭水素類、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の不飽和炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素類、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても良い。また、顔料組成物において必要に応じて添加される有機溶剤も、上記と同様のものを用いることができる。
本発明のインキは上記顔料分散体を含むものである。顔料分散体に、必要に応じて有機溶剤やインキの添加剤を添加してもよい。また、有機溶剤は、上記顔料分散体における有機溶剤と同様のものを用いることができる。
製造例1
窒素ガス導入管、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、ラウリルアルコール186g、ε−カプロラクトンモノマー571g、テトラブチルチタネート0.6gを仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で3時間加熱、撹拌した。カプロラクトンモノマーの消失を、テトラハイドロフランを溶離液とするGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)のRI検出器により確認した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、R4の数平均分子量760、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルAを得た。反応物の酸価は、166であった。
窒素ガス導入管、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、ラウリルアルコール186g、ε−カプロラクトンモノマー1712g、テトラブチルチタネート1.7gを仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間加熱、撹拌した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%ポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、R4の数平均分子量1900、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルBを得た。反応物の酸価は、59であった。
窒素ガス導入管、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ヘキサノール118g、ε−カプロラクトンモノマー505g、テトラブチルチタネート0.5gを仕込み、窒素ガス置換した後、140℃で2時間加熱、撹拌した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、R4の数平均分子量560、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルCを得た。反応物の酸価は、109であった。
窒素ガス導入管、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、ヘキサデシルアルコール243g、ε−カプロラクトンモノマー502g、テトラブチルチタネート0.5gを仕込み、窒素ガス置換した後、120℃で3時間加熱、撹拌した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、R4の数平均分子量850、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルDを得た。反応物の酸価は、43であった。
窒素ガス導入管、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル118g、ε−カプロラクトンモノマー860g、テトラブチルチタネート0.9gを仕込み、窒素ガス置換した後、140℃で5時間加熱、撹拌した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、R4の数平均分子量970、y=1と2の存在比が100:12のリン酸エステルEを得た。反応物の酸価は、120であった。
表1及び2に示す。
表3に示すように、実施例1におけるリン酸エステルAおよびトリアジン環含有塩基性化合物(1)を、それぞれ製造例2〜4で得られたリン酸エステルB〜D、表1及び2に示されるトリアジン環含有塩基性化合物(2)〜(9)に代え、さらに表3に示す顔料や有機溶剤を用い、実施例1と同様の方法にて分散し、顔料分散体を得た。
実施例1におけるリン酸エステルAをEに代えて以外は実施例1と同様に分散し、顔料分散体を得た。
実施例1におけるリン酸エステルAをDisperbyk−111(BYK Chemie社製 酸性高分子分散剤)に代えた以外は同様に分散し、顔料分散体を得た。
実施例1におけるリン酸エステルAをソルスパーズ41000(アビシア社製 酸性高分子分散剤)に代えた以外は同様に分散し、顔料分散体を得た。
実施例1におけるトリアジン環含有塩基性化合物(1)の代わりにソルスパーズ12000(アビシア社製 有機色素誘導体)を使用して同様に分散し、顔料分散体を得た。
実施例1におけるトリアジン環含有塩基性化合物(1)を使用しない以外は実施例1と同様に分散し、顔料分散体を得た。
[比較例6]
実施例1におけるリン酸エステルAを使用しない以外は実施例1と同様に分散し、顔料分散体を得た。
Claims (9)
- 顔料、
下記一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物、および
下記一般式(2)で示されるリン酸エステルを含む顔料組成物。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
一般式(5)
一般式(6)
一般式(7)
- 一般式(1)において、Aが下記一般式(8)で示される有機色素誘導体である請求項1記載の顔料組成物。
一般式(8)
P−[X4−R9]β−
(式中、Pは溶性アゾ系、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系から選ばれる少なくとも一種の芳香族系有機色素残基、X4は直接結合、または−O−、−NH−、−CH2NH−、−SO2NH−、−CH2NHCO−、−CH2NHCOCH2NH−、−CONH−から選ばれる2価の連結基、R9は炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基
、βは0〜3の整数を表す。) - 一般式(2)で示されるリン酸エステルにおいて、y=1とy=2の存在比が100:0〜100:30である請求項1ないし4いずれかに記載の顔料組成物。
- 一般式(2)で示されるリン酸エステルにおいて、R4がポリカプロラクトン残基である請求項1ないし5いずれかに記載の顔料組成物。
- 顔料と、一般式(1)で示されるトリアジン環含有塩基性化合物と、一般式(2)で示されるリン酸エステルとの重量配合比が100:1:1〜100:30:100である請求項1ないし6いずれかに記載の顔料組成物。
- 請求項1ないし7いずれかに記載の顔料組成物と有機溶剤を含む顔料分散体。
- 請求項8に記載の顔料分散体を含むインキ。
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