JP6705578B1 - キナクリドン顔料組成物及びこれを有するインキ組成物 - Google Patents

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Abstract

媒体の選択性があり、印刷インキや塗料の系により、特に、NCフレキソインキとしては、初期粘度、経時粘度ともに高く、効果は十分とはいえなかった。印刷インキや塗料などに適する、流動性(初期粘度、経時粘度)に優れたキナクリドン顔料組成物およびこれらを有するインキ組成物を提供する。キナクリドン顔料に対し、特定のキナクリドン顔料誘導体を用いることで、従来技術よりも流動性(初期粘度、経時粘度)が改善された顔料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

Description

本発明は、印刷インキ、塗料、着色成形品、捺染など広範な用途に用いることができるキナクリドン顔料組成物に関する。
一般に、着色を目的とする顔料は微細な一次粒子からなっている。この微細な一次粒子は、非常に凝集しやすい性質であり、たとえば、グラビア印刷、フレキソ印刷等の印刷インキや塗料として使用する場合に、顔料を媒体中に分散する必要がある。この際、凝集粒子を解凝集するために、多大なエネルギーと時間を要したり、媒体中に分散した微細な粒子が、安定してその状態を維持するために、各種分散剤を添加したりするなどの工夫がなされている。
なかでも、C.I.ピグメントレッド122に代表されるキナクリドン顔料は様々な場面で使用される顔料であるものの、顔料の微細な一次粒子は、強固に凝集する傾向にあるため、各種用途に着色剤として用いる際に、流動性(初期粘度や経時安定性)に係る問題が顕著である。具体的には、微細な顔料粒子が分散した印刷インキや塗料の粘度が高くなり、分散以降の工程で攪拌や移送ができないという不具合が発生したり、製造した印刷インキや塗料を貯蔵した場合、分散していた顔料の微細な粒子が再凝集することにより、印刷インキなどの粘度が経時で増粘し、場合によってはゲル化を起こして使用できないなどのトラブルを発生する。
そこで、流動性(初期粘度および経時安定性)向上のために顔料の誘導体を併用する手法が検討されてきた。例えば、特許文献1には、オフセットインキ、グラビアインキ、塗料、インキジェットインキ等に適する非集合性、流動性に優れた安定な顔料組成物および顔料分散体を提供する手法として、塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体または塩基性基を有するトリアジン誘導体から選ばれる少なくとも一種、スルホン酸基を有する樹脂および顔料を含んでなることを特徴とする顔料組成物が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載する方法では、媒体の選択性があり、印刷インキや塗料の系により、特に、NCフレキソインキとしては、初期粘度、経時粘度ともに高く、効果は十分とはいえない。
特開2002−201377号公報
本発明は、印刷インキや塗料などに適する、流動性(初期粘度、経時粘度)に優れたキナクリドン顔料組成物およびこれらを有するインキ組成物を提供する。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、キナクリドン顔料に対し、特定のキナクリドン顔料誘導体を用いることで、従来技術よりも流動性(初期粘度、経時粘度)が改善された顔料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
『項1.
キナクリドン顔料と、
式(I):
Figure 0006705578
式(I)
[式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、nは1〜5の整数である]で表される顔料誘導体と、を含有することを特徴とするキナクリドン顔料組成物。
項2.
さらに式(II):
Figure 0006705578
式(II)
で表される顔料誘導体を含有することを特徴とする項1に記載のキナクリドン顔料組成物。
項3.
キナクリドン顔料100質量部に対して、式(I)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下含有することを特徴とする項1に記載のキナクリドン顔料組成物。
項4.
キナクリドン顔料100質量部に対して、式(I)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下含有し、式(II)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下含有し、かつ、式(I)で表される顔料誘導体と式(II)で表される顔料誘導体との合計量が0.1質量部以上10.0質量部以下であることを特徴とする項2に記載のキナクリドン顔料組成物。
項5.
項1〜4のいずれか一項に記載のキナクリドン顔料組成物を含むことを特徴とするグラビア印刷用及び/又はフレキソ印刷用顔料。
項6.
項1〜4のいずれか一項に記載のキナクリドン顔料組成物と、ニトロセルロース樹脂と、アルコール系溶剤と、を少なくとも含むことを特徴とするインキ組成物。
項7.
前記アルコール系溶剤がエタノール及び/又は1−エトキシ−2−プロパノールであることを特徴とする、項6に記載のインキ組成物。』に関する。
本発明によれば、流動性(初期粘度、経時粘度)に優れるキナクリドン顔料組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、キナクリドン顔料と、
式(I):
Figure 0006705578
式(I)
[式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、nは1〜5の整数である]で表される顔料誘導体と、を含有することを特徴とするキナクリドン顔料組成物である。
また、キナクリドン顔料と、
上記式(I)で表される顔料誘導体と、
式(II):
Figure 0006705578
式(II)
で表される顔料誘導体と、を含有することを特徴とするキナクリドン顔料組成物である。
このような本発明のキナクリドン顔料組成物によれば、印刷インキや塗料として使用した際にも優れた流動性を示す。さらに、本発明のキナクリドン顔料組成物は、近年、市場からの要求が高まっているアルコール系およびグライコール系NCフレキソインキにおいても優れた流動性を示す。
本発明において、流動性とは、インキ調製した際の初期粘度及び経時粘度を指す。
<キナクリドン顔料の説明>
本発明に用いるキナクリドン顔料は、
C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209などが挙げられる。特に、工業的にはC.I.ピグメントレッド122が重要である。このようなC.I.ピグメントレッド122は、市販品を用いても良いし、公知慣用の方法で製造して用いても良い。公知慣用の方法としては、例えば、2,5−ジアニリノテレフタル酸(C.I.ピグメントバイオレット19の原料)や、2,5−ジ−トルイジノテレフタル酸(C.I.ピグメントレッド122の原料)等の粗製キナクリドン顔料の原料を、ポリリン酸中で脱水環化し、水中に投入した後、析出させる方法などが挙げられる。前述のキナクリドン粗顔料を液媒体中で加熱することにより粒子径制御を行い、キナクリドン顔料を得ることができる。
本発明に用いるキナクリドン顔料は前記製造後に適宜公知の処理を加えたものを用いても良い。
<顔料誘導体の説明>
本発明に用いる顔料誘導体を以下に詳述する。
1.式(I)で表される顔料誘導体の説明
Figure 0006705578
式(I)
式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、nは1〜5の整数である。
「C〜Cのアルキル基」とは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
中でも、流動性をよくするためには、アルキルスルファモイル鎖が適度な剛直性を有し、顔料粒子同士の接近を防ぐ立体障害効果と、媒体中の樹脂との相互作用を持たせるのが好ましく、nは2〜4、R1、R2は、メチル基、エチル基であることが好ましい。
2.式(II)で表される顔料誘導体の説明
Figure 0006705578
式(II)
このときスルホン酸基の置換位置はα位およびβ位があるが、いずれの場合も同様の効果を示し、スルホン酸基の置換位置は、特に限定されない。
本発明は、無数に考えられる誘導体の中から、試行錯誤により、キナクリドン顔料残基に対して(SOH)で表される基と(SONH(CH)で表される基(n、R、Rの説明は上述の通りである)とが1つずつ結合した式(I)で表される顔料誘導体をキナクリドン顔料に対して使用することで、上記本発明の効果を得られることを見出したものである。さらに、前述の式(I)で表される顔料誘導体と、
キナクリドン顔料残基に対して(SOH)で表される基が2つ結合した前述の式(II)で表される顔料誘導体の両者がキナクリドン顔料と共存すると、従来に比べて格別優れた流動性が達成された顔料を得ることができることをも見出したものである。
キナクリドン顔料組成物の分散性をあげる方法として、(SOH)で表される基やアミノ基を有するキナクリドン誘導体の添加が知られているが、十分に顔料を分散させるためには、比較的多量の誘導体が必要であり、その結果逆に流動性が低下してしまう等分散性と流動性を両立させることが非常に困難であった。このような状況下、出願人らが鋭意検討した結果、1つのキナクリドン骨格に対して1つの(SOH)で表される基と1つの(SONH(CH)で表される基をそれぞれ有するキナクリドン誘導体を用いることで、誘導体の添加量を単純に半減できるだけでなく、2つの異なる官能基が顔料と樹脂の双方に対し作用することで、誘導体の添加量を大幅に抑えることができ、分散性と流動性の両立を達成した。さらに、2つの(SOH)で表される基を有する誘導体を併用することで、格段に優れた性能を発現できることができた。
一般的に、ビヒクル中に分散された顔料の微細粒子はエネルギー的に不安定であり、粒子同士がフロキュレーションを起こし、ビヒクル中でエネルギー的に安定な状態になろうとする。そのため、インキ等を貯蔵した際に流動性の低下が起こると考えられる。インキ等の流動性の低下を防止するためには、樹脂/溶剤/顔料の親和性バランスを最適化し分散状態で安定維持することが必要である。親和性バランスの最適化に対し、(SOH)で表される基のみでは、不十分である。これに対し、式(I)で表される顔料誘導体は、顔料粒子同士の接近を防ぐ立体障害効果と、媒体中の樹脂との相互作用効果に優れ、その結果、優れた分散安定化を達成できると推察している。また、式(II)で表される顔料誘導体は、式(I)で表される顔料誘導体とキナクリドン顔料の相互作用を促進させ、顔料粒子同士の接近を防ぐ立体障害効果と、媒体中の樹脂との相互作用効果をより効果的に発揮し、その結果、さらに優れた分散安定化を達成できると推察している。
3.式(III)、式(IV)、式(V)で表される顔料誘導体の説明
Figure 0006705578
式(III)
このとき、スルホン酸基の置換位置はα位およびβ位があるが、いずれの場合も同様の効果を示し、スルホン酸基の置換位置は、特に限定されない。
Figure 0006705578
式(IV)
Figure 0006705578
式(V)
式(IV)、式(V)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、nは1〜5の整数である。「C〜Cのアルキル基」とは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。中でも、流動性をよくするためには、アルキルスルファモイル鎖が適度な剛直性を有し、顔料粒子同士の接近を防ぐ立体障害効果と、媒体中の樹脂との相互作用効果を持たせるのが好ましく、nは2〜4、R1、R2は、メチル基、エチル基であることが好ましい。
本発明のキナクリドン顔料組成物は、上記式(I)、式(II)の顔料誘導体に加え、さらに式(III)、式(IV)および式(V)の顔料誘導体が共存しても良い。式(III)、式(IV)および式(V)で表される顔料誘導体は、式(I)および式(II)で表される顔料誘導体の置換基を含んだ類似構造の顔料誘導体であり、式(I)および式(II)で表される顔料誘導体が示す顔料粒子同士の接近を防ぐ立体障害効果と、媒体中の樹脂との相互作用効果を発揮するために補助的に機能すると推定する。
<配合量の説明>
キナクリドン顔料100質量部に対して、式(I)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下含有することができる。また、式(I)で表される顔料誘導体と、式(II)で表される顔料誘導体を併用するときは、キナクリドン顔料100質量部に対して、式(I)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下、式(II)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下で含有することができる(但し、式(I)で表される顔料誘導体と式(II)で表される顔料誘導体との合計量は0.1質量部以上10.0質量部以下である)。このような配合量とすることにより、インキ粘度低減効果がより高まると考えられる。
ここで、式(I)で表される顔料誘導体と式(II)で表される顔料誘導体を併用するときの混合比は質量比で50:50〜95:5であることが好ましく、70:30〜90:10であることがさらに好ましく、75:25〜85:15であることが最も好ましい。
<顔料誘導体の製造方法>
ここで、各顔料誘導体の製法を示す。本発明の顔料誘導体は、公知慣用の方法で製造することができる。ここでは一例を示すが、これらに限定して解釈されるべきものではない。 式(I)で表される顔料誘導体は、C.I.ピグメントバイオレット19をクロロスルホン化した後、ジアルキルアミノアルキルアミンと反応させることによって製造することができる。クロロスルホン化は、クロロスルホン酸中に塩化チオニルを混合し、C.I.ピグメントバイオレット19を溶解、加熱する方法でも、C.I.ピグメントバイオレット19スルホン酸を用いてオキシ塩化リン中で加熱することでも行うことができるが、前者が好ましい。
式(II)で表される顔料誘導体は、前述の方法でクロロスルホン化後、水での加水分解により得ることができる。また濃硫酸中でC.I.ピグメントバイオレット19を溶解、加熱することで得ることもできる。
上記した反応工程において、反応温度や反応時間、各反応に用いる原料などを調節することにより、式(II)で表される顔料誘導体のみを得ることもできるし、式(I)で表される顔料誘導体と式(II)で表される顔料誘導体の混合物も得ることができる。式(I)で表される顔料誘導体と式(II)で表される顔料誘導体の混合比は、反応温度や反応時間、各反応に用いる原料などを適宜調整することにより所望の値とすることができるが、質量比で50:50〜95:5であることが好ましく、70:30〜90:10であることがさらに好ましく、75:25〜85:15であることが最も好ましい。
得られた顔料誘導体については、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)や電界脱離質量分析法(FD/MS)により分析することで、その存在を確認することができる。
<顔料組成物の製造方法>
本発明の顔料組成物を簡便に得る方法の一例を以下に述べるが、本発明はこれらに限定して解釈されるべきものではない。
市販または公知慣例の方法で製造したキナクリドン顔料のウェットケーキを、水または有機溶剤に添加、撹拌してキナクリドン顔料スラリーを作製する。このキナクリドン顔料スラリーに、式(I)で表される顔料誘導体、または、式(I)で表される顔料誘導体と式(II)で表される顔料誘導体の混合物を、乾燥粉体またはウェットケーキ、または水/有機溶剤に溶解させた顔料誘導体スラリー状態で添加し、撹拌する。これを適宜、濾過、乾燥、粉砕し、本発明の顔料組成物が得られる。
また、顔料誘導体の乾燥粉体と、キナクリドン顔料の乾燥粉体を混合することで、本発明の顔料組成物を作製することもできる。
なお、本発明の顔料は、本発明の効果に好ましくない影響を与えない限りにおいて、さらに添加剤や分散剤などを含有させ、各用途に適するように調整可能である。
また、本発明の顔料は、着色成分として複数のキナクリドン顔料を併用しても良いし、キナクリドン顔料以外の有機顔料を併用して用いることもできる。
併用可能な有機顔料は各種用途にあわせて公知の有機顔料の中から適宜選抜して用いることができる。
こうして得られた本発明の顔料は、着色機能を必要とするような用途であれば何れにも好適に使用できる。例えば、塗料、印刷インキ、着色成形品、静電荷像現像用トナー、液晶表示装置のカラーフィルタ、インクジェット記録用水性インク等の公知慣用の各種用途に使用することができる。
本発明のキナクリドン顔料組成物は、初期粘度、貯蔵安定性にも優れた印刷インキを提供できる。印刷インキは、本発明のキナクリドン顔料組成物に対して、公知慣用の各種バインダー樹脂、各種溶媒、各種添加剤等を、従来の調製方法に従って混合することにより調製することができる。具体的には、顔料濃度の高いリキッドインキ用ベースインキを調製し、各種バインダー、各種溶媒、各種添加剤等を使用することにより、リキッドインキを調製することができる。
本発明のキナクリドン顔料組成物は、初期粘度、貯蔵安定性に優れたPUインキやNCインキの製造が可能であり、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキ用の有機顔料として好適である。PUインキはPU樹脂、顔料、溶剤、各種添加剤よりなり、NCインキはNC樹脂、顔料、溶剤、各種添加剤よりなる。PU樹脂は、ウレタン構造を骨格内に有していれば、特に、限定されず、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等も含む。それぞれ溶剤としては、
トルエン、キシレンなどの芳香族有機溶剤、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン系溶剤、
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶剤、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−i−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジ−i−ブチルエーテル、エチレングリコールジ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−i−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−i−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−i−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−i−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−i−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
本発明の顔料組成物は、いずれの溶剤で構成されたインキに対しても優れた流動性を示すが、近年市場要求が高まるアルコール系への適用性を厚く述べるために、以下詳述する。
なお、溶剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。各種添加剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤、ガムロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン、硬化ロジン、フタル酸アルキッド樹脂などのロジン類、顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分などを使用することができる。
本発明の顔料は、いずれの樹脂で構成されたインキに対しても優れた流動性を示すが、ニトロセルロースにおいて有用である。ニトロセルロースは硝化綿とも呼ばれ、セルロースの水酸基が硫酸と硝酸の混酸により硝化された樹脂である。硝化度によってニトロセルロースの溶剤に対する溶解性は変化し、硝化度の高いものは炭化水素系溶剤やエステル系溶剤に、硝化度の低いものはアルコール系溶剤に使用される。ニトロセルロースは、そのガラス転移点が高く、印刷物の巻き取り時のブロッキングもほとんどない。さらに、ニトロセルロース系のグラビアインキは印刷適性も良いため、ニトロセルロースは印刷インキのバインダー樹脂として広く使用されている。
本発明の顔料を印刷インキとして用いる場合、上記のようにして調製された本発明の顔料を使用した印刷インキを酢酸エチルやポリウレタン系ワニス、ポリアミド系ワニスに希釈して用いることができる。印刷インキの調製は公知慣用の方法を採用することができる。
本発明の顔料を着色剤として塗料とする場合、塗料として使用される樹脂としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂など様々である。
塗料に使用される溶媒としては、芳香族系溶剤、酢酸エステル系溶剤、プロピオネート系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、窒素化合物系溶剤、ラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル、水等がある。溶媒としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系、水等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
また、顔料組成物を、液状樹脂中で分散し又は混合し、塗料用樹脂組成物とする場合に、通常の添加剤類、例えば、分散剤類、充填剤類、塗料補助剤類、乾燥剤類、可塑剤類及び/又は補助顔料を用いることができる。これは、それぞれの成分を、単独又は幾つかを一緒にして、全ての成分を集め、又はそれらの全部を一度に加えることによって、分散又は混合して達成される。
上記のように用途にあわせて調製された顔料を含む組成物を分散する分散機としては、ディスパー、ホモミキサー、ペイントコンディショナー、スキャンデックス、ビーズミル、アトライター、ボールミル、二本ロール、三本ロール、加圧ニーダー等の公知の分散機が挙げられるが、これらに限定されるものではない。顔料の分散は、これらの分散機にて分散が可能な粘度になるよう、樹脂、溶剤が添加され分散される。分散後の高濃度塗料ベースは固形分5〜20%であり、これにさらに樹脂、溶剤を混合し塗料として使用に供される。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において特に断りの無い限り、「%」は「質量%」を表すものとする。
<顔料誘導体の合成方法>
(合成例1)
500ml丸底セパラブルフラスコに、130gのクロロ硫酸(純度99.0%)と20gの塩化チオニル(純度95.0%)を仕込み、攪拌下でフラスコ周囲を氷水浴で冷却し液温を5℃以下に調整した。そこへC.I.ピグメントバイオレット19のパウダー顔料20gを30分間で仕込み、10℃以下を保ちながら30分攪拌し完全溶解した。その後15分で45℃まで昇温した。2時間攪拌しバイオレット19のクロロスルホン化を行った後、フラスコ周囲を氷水浴にて5℃以下まで冷却し、3000gの氷水へ取り出した。水中に晶析したクロロスルホン化キナクリドンスラリーをヌッチェでろ過し300gの氷水で洗浄しクロロスルホン化キナクリドンウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを180gの氷水中へリスラリーし氷水浴で冷却しながら10℃以下で10分攪拌後、炭酸ナトリウムでスラリーpHを5〜6に調整した。そこへ15gのN−Nジメチルアミノプロピルアミンを滴下ロートにて15分で滴下し、30分攪拌した。80℃まで昇温し1時間攪拌後、ヌッチェでろ過し、500gの水で洗浄し、N−Nジメチルアミノプロピルスルファモイルキナクリドンウェットケーキを得た。
LC/MS分析より、モノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドン26.5%、ジスルホン酸キナクリドン5.7%を含むキナクリドン顔料誘導体を得た。
(合成例2)
500ml丸底セパラブルフラスコに、130gのクロロ硫酸(純度99.0%)と20gの塩化チオニル(純度95.0%)を仕込み、攪拌下でフラスコ周囲を氷水浴で冷却し液温を5℃以下に調整した。そこへC.I.ピグメントバイオレット19のパウダー顔料20gを少量ずつ30分間で仕込み、10℃以下を保ちながら30分攪拌し完全溶解した。その後15分で45℃まで昇温した。2時間攪拌しバイオレット19のクロロスルホン化を行った後、フラスコ周囲を氷水浴にて5℃以下まで冷却し、3000gの氷水へ取り出した。水中に晶析したクロロスルホン化キナクリドンスラリーをヌッチェでろ過し300gの氷水で洗浄しクロロスルホン化キナクリドンウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを90gの氷水中へリスラリーし氷水浴で冷却しながら10℃以下で10分攪拌後、炭酸ナトリウムでスラリーpH5〜6に調整した。そこへ15gのN−Nジメチルアミノプロピルアミンを滴下ロートにて15分で滴下し、30分攪拌した。80℃まで昇温し1時間攪拌後、ヌッチェでろ過し、500gの水で洗浄し、N−Nジメチルアミノプロピルスルファモイルキナクリドンウェットケーキを得た。
LC/MS分析より、モノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドン50.1%、ジスルホン酸キナクリドン12.7%を含むキナクリドン顔料誘導体を得た。
(合成例3)
500ml丸底セパラブルフラスコに、130gのクロロ硫酸(純度99.0%)と20gの塩化チオニル(純度95.0%)を仕込み、攪拌下でフラスコ周囲を氷水浴で冷却し液温を5℃以下に調整した。そこへC.I.ピグメントバイオレット19のパウダー顔料20gを少量ずつ30分間で仕込み、10℃以下を保ちながら30分攪拌し完全溶解した。その後15分で45℃まで昇温した。2時間攪拌しバイオレット19のクロロスルホン化を行った後、フラスコ周囲を氷水浴にて5℃以下まで冷却し、3000gの氷水へ取り出した。水中に晶析したクロロスルホン化キナクリドンスラリーをヌッチェでろ過し300gの氷水で洗浄しクロロスルホン化キナクリドンウェットケーキを得た。
LC/MS分析より、ジスルホン酸キナクリドン68.6%、モノスルホン酸キナクリドン24.6%を含むキナクリドン顔料誘導体を得た。
<顔料誘導体の分析条件>
試料2mgとNMP50mLをガラス瓶に秤量し、超音波分散機にて30分分散し、0.2μmの液体クロマトグラフィー用ディスクにてろ過を行った。得られたろ液のLC/MS分析を行った。
測定条件
機器名 AgilentLC/MS6130
LC
カラム: UPLCBEH Shield RP18(φ2.1mm×150mm 1.8μm)
移動相: 炭酸水素アンモニウム/メタノール/THF
グラジエント: 94/5/1→8分→1/98/1→2分→1/1/98(8分)
Flow: 0.3mL/min
カラム温度: 50℃
注入量: 1μL
測定波長: 294±4nm , 504±4nm
MS
イオン化モード: ESI(AJS−ES)
Scan: m/z 100 〜 1000
ネブライザーガス: N(8L/min、200℃ )
ドライングガス: N(12L/min、350℃ )
Nebulizer Pressure: 30psig
[実施例1]
攪拌装置付の加圧可能な反応容器に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)のウェットケーキ195.3g(顔料分50g)と水600g、上記合成例1のキナクリドン誘導体0.83gを仕込み、攪拌回転数200rpm、100℃で1時間攪拌した。加熱後スラリーを室温まで冷却後、ヌッチェでろ過し、ろ過物を水3000gで洗浄した。得られた顔料ケーキを98℃、18時間乾燥した後、粉砕し、キナクリドン顔料組成物50.7gを得た。得られたキナクリドン顔料組成物を分析したところ、ジスルホン酸キナクリドンおよびモノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドンを検出した。
[実施例2]
攪拌装置付の加圧可能な反応容器に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)のウェットケーキ195.3g(顔料分50g)と水600g、上記合成例1のキナクリドン誘導体2.5gを仕込み、攪拌回転数200rpm、100℃で1時間攪拌した。加熱後スラリーを室温まで冷却後、ヌッチェでろ過し、ろ過物を水3000gで洗浄した。得られた顔料ケーキを98℃、18時間乾燥した後、粉砕し、キナクリドン顔料組成物52.3gを得た。得られたキナクリドン顔料組成物を分析したところ、ジスルホン酸キナクリドンおよびモノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドンを検出した。
[実施例3]
攪拌装置付の加圧可能な反応容器に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)のウェットケーキ195.3g(顔料分50g)と水600g、上記合成例2のキナクリドン誘導体0.9gを仕込み、攪拌回転数200rpm、100℃で1時間攪拌した。加熱後スラリーを室温まで冷却後、ヌッチェでろ過し、ろ過物を水3000gで洗浄した。得られた顔料ケーキを98℃、18時間乾燥した後、粉砕し、キナクリドン顔料組成物50.7gを得た。得られたキナクリドン顔料組成物を分析したところ、ジスルホン酸キナクリドンおよびモノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドンを検出した。
[実施例4]
攪拌装置付の加圧可能な反応容器に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)のウェットケーキ195.3g(顔料分50g)と水600g、上記合成例2のキナクリドン誘導体2.68gを仕込み、攪拌回転数200rpm、100℃で1時間攪拌した。加熱後スラリーを室温まで冷却後、ヌッチェでろ過し、ろ過物を水3000gで洗浄した。得られた顔料ケーキを98℃、18時間乾燥した後、粉砕し、キナクリドン顔料組成物52.3gを得た。得られたキナクリドン顔料組成物を分析したところ、ジスルホン酸キナクリドンおよびモノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドンを検出した。
[比較例1]
攪拌装置付の加圧可能な反応容器に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)のウェットケーキ195.3g(顔料分50g)と水600部を仕込み、攪拌回転数200rpm、100℃で1時間攪拌した。加熱後スラリーを室温まで冷却後、ヌッチェでろ過し、ろ過物を水3000gで洗浄した。得られた顔料ケーキを98℃、18時間乾燥した後、粉砕し、キナクリドン顔料組成物50.0gを得た。
[比較例2]
攪拌装置付の加圧可能な反応容器に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)のウェットケーキ195.3g(顔料分50g)と水600g、上記合成例3のキナクリドン誘導体(ジスルホン酸およびモノスルホン酸の混合物)1.07gを仕込み、攪拌回転数200rpm、100℃で1時間攪拌した。加熱後スラリーを室温まで冷却後、ヌッチェでろ過し、ろ過物を水3000gで洗浄した。得られた顔料ケーキを98℃、18時間乾燥した後、粉砕し、キナクリドン顔料組成物51.0gを得た。得られたキナクリドン顔料組成物を分析したところ、ジスルホン酸キナクリドンおよびモノスルホン酸キナクリドンを検出した。
[比較例3]
攪拌装置付の加圧可能な反応容器に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)のウェットケーキ195.3g(顔料分50g)と水600部、キナクリドン誘導体(ジスルホン酸およびモノスルホン酸の混合物)2.34gを仕込み、攪拌回転数200rpm、100℃で1時間攪拌した。加熱後スラリーを室温まで冷却後、ヌッチェでろ過し、ろ過物を水3000gで洗浄した。得られた顔料ケーキを98℃、18時間乾燥した後、粉砕し、キナクリドン顔料組成物52.1gを得た。得られたキナクリドン顔料組成物を分析したところ、ジスルホン酸キナクリドンおよびモノスルホン酸キナクリドンを検出した。
<顔料中の顔料誘導体の分析>
200mlガラスビーカー中にエタノール100g、上記のサンプル10g、48%水酸化ナトリウム0.15gを仕込み、2〜3時間攪拌後、ヌッチェにてろ過し、そのろ過物(顔料)およびろ液(エタノール+水酸化ナトリウム)を以下の分析法により組成分析を行った。
<ろ過物(顔料)の分析>
上記の試料0.1gとメタノール10mlをガラス瓶に秤量し、超音波分散機にて30分分散し、0.2μmの液体クロマトグラフィー用ディスクにてろ過を行った。得られた試料のLC/MS分析を行った。
<ろ液の分析> 上記のろ液2mlとNMP3mlをガラス瓶中に混合し0.2μmの液体クロマトグラフィー用ディスクにてろ過を行った。得られた試料のLC/MS分析を行った。
測定条件
機器名 AgilentLC/MS6130
LC
カラム:EclipsePlus C18RRHDUPLCBEH Shield RP18(φ2.1mm×100mm 1.8μm)
移動相A/B : 10mM AcONH/メタノール
グラジエント: メタノール20%→15分→80%(10分ホールド)
Flow : 0.5mL/min
カラム温度: 50℃
注入量: 1μL
測定波長 : 294±4nm,504±4nm
MS
イオン化モード : ESI(AJS−ES)
Scan : m/z100〜1500
ネブライザーガス : N(8L/min,200℃ )
ドライングガス流量: N(12L/min,350℃ )
Nebulizer Pressure : 30psig
[調製例1]
(NCエタノールワニスの作製)
ニトロセルロース樹脂(窒素分:10.7〜12.2、不揮発分70%、揮発分エタノール)154.9部、エタノール(和光純薬工業株式会社製)270部、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)8.34部を1Lポリ瓶に入れペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)で2時間分散し、NCエタノールワニスを得た。
[調製例2]
上記実施例1〜4および比較例1、2及び3で得られたキナクリドン顔料組成物を夫々20.0部、NCエタノールワニス40.0部、エタノール(和光純薬工業株式会社製)40.0部、ジルコニアYTZボール1.50mmφ(東京硝子器械株式会社製)150部を200mLガラス瓶に入れ、Shaker Skandex SK550(Fast & Fluid Management B.V.Company製)にて2時間分散し、インキ組成物1〜7を得た。
[キナクリドンインキ組成物の初期粘度測定結果]
得られたキナクリドンインキ組成物を20℃恒温槽で1時間以上静置してB型粘度計BROOKFIELD DV3TRVTJ0で粘度を測定した。評価結果は表1に示した。粘度は低いほど優れる。
Figure 0006705578
[キナクリドンインキ組成物の貯蔵安定性試験後粘度測定結果]
得られた紫色インキ組成物を室温で24時間静置した後、20℃恒温槽で1時間以上静置してR85形粘度計 RB85L(東機産業株式会社製)で粘度を測定した。評価結果は表2に示した。粘度は低いほど優れる。
Figure 0006705578
実施例1〜4と比較例1〜3の比較から、モノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドンを含有するキナクリドン誘導体を含むキナクリドン顔料組成物が、優れた流動性(初期粘度、経時粘度)を示していることがわかる。これは、モノスルホン酸モノ(ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル)キナクリドン中のキナクリドン骨格部がキナクリドン顔料表面に作用し、かつスルホン酸基とジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル基が、樹脂(NCワニス)および溶剤(エタノール)に作用することで、樹脂/溶剤/顔料の親和性バランスが最適化し、分散状態で安定維持しているものと推測される。
実施例1〜4に示す顔料組成物は、キナクリドン誘導体中にさらにジスルホン酸キナクリドンを含んでおり、格段に優れた流動性を示している。

Claims (6)

  1. キナクリドン顔料と、
    式(I):
    Figure 0006705578
    式(I)
    [式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、nは1〜5の整数である]で表される顔料誘導体と、
    さらに式(II):
    Figure 0006705578
    式(II)
    で表される顔料誘導体と、
    を含有することを特徴とするキナクリドン顔料組成物。
  2. キナクリドン顔料100質量部に対して、式(I)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下含有することを特徴とする請求項1に記載のキナクリドン顔料組成物。
  3. キナクリドン顔料100質量部に対して、式(I)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下含有し、式(II)で表される顔料誘導体が0.05質量部以上10.0質量部以下含有し、かつ、式(I)で表される顔料誘導体と式(II)で表される顔料誘導体との合計量が0.1質量部以上10.0質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のキナクリドン顔料組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のキナクリドン顔料を含むことを特徴とするグラビア印刷用及び/又はフレキソ印刷用顔料組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載のキナクリドン顔料と、ニトロセルロース樹脂と、アルコール系溶剤と、を少なくとも含むことを特徴とするインキ組成物。
  6. 請求項記載のアルコール系溶剤がエタノール及び/又は1−エトキシ−2−プロパノールであることを特徴とする、請求項に記載のインキ組成物。
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