JP4667562B2 - 加工性,光反射性及び光反射持続性に優れた白色塗装金属板 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、照明器具用反射板,家電機器用外板,表層材,内装材,外装材等に使用される白色塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
省エネルギーの観点から、少ない消費電力で同じ明るさが得られる照明器具の開発が進められている。明るさの確保には節電型電球は勿論、電球からの光を高反射率で反射させる反射板の開発も重要である。この種の反射板としては、成形加工した製品が比較的反射率が高く安価でもあることから、白色塗装金属板が一部で使用されている。
従来から反射板用に使用されている白色塗装金属板は、金属板表面に下塗り塗膜及び上塗り塗膜を積層している。下塗り塗膜にはクロム系の防錆顔料を含む塗料が使用され、上塗り塗膜にはシリカ,硫酸マグネシウム,炭酸マグネシウム,二酸化チタン等の白色顔料を配合したポリエステル系,ポリウレタン系,エポキシ系等の樹脂塗料が使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上塗り塗料の白色顔料にTiO2を使用する場合、樹脂:100重量部にTiO2:80〜100重量部が配合された比重:1.7〜1.75の塗料に調製され、88程度の光沢をもつ白色塗膜が形成される。しかし、JIS Z8722に準拠して色調測定したL値が86と不充分であり、蛍光灯光線の主波長450nm,550nmでは反射率が76〜80%に過ぎず、81%以上の反射率を得ることは困難であった。
クロム系防錆顔料及びTiO2を含む塗料で下塗り塗膜を形成した場合でも、防錆顔料とTiO2粉末との含有割合がTiO2/防錆顔料=0.2〜1.0であるため、光沢は88であるもののJIS Z8722に準拠して色調測定したL値が87と不充分であり、蛍光灯光線の主波長450nm,550nmでは反射率が76〜81%に過ぎず、82%以上の反射率を得ることは困難であった。
【0004】
また、照明器具の反射板では、タバコのヤニ等の有機質の汚れが塗膜表面に付着しやすく、汚れ付着によって反射率が低下する。塗膜表面の汚れを防止することにより反射率低下が抑制されることから、反射板の全表面に光触媒膜を形成し、蛍光灯から入射する紫外線で反射板表面に付着している汚れ成分を分解する方法(特開平9−180526号公報)が提案されている。提案された反射板では、光触媒膜により汚れ付着に起因した反射率低下は抑制できるものの、反射板自体の反射率向上については考慮されておらず、加工性を考慮した構成でもない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、光屈折率が比較的小さなバリア層を介して光触媒層を形成することにより、優れた加工性が維持され、しかも高反射率を長時間にわたって持続できる反射板として好適な白色塗装金属板を提供することを目的とする。
本発明の白色塗装金属板は、その目的を達成するため、下地金属板の表面に反射率の高い白色有機塗膜、シリカ及びアクリルシリケートからなるバリア層及び該バリア層より光屈折率の大きな光触媒層が順次形成されていることを特徴とする。
【0006】
白色有機塗膜は、防錆顔料及びTiO2を含む下塗り塗膜とTiO2含有上塗り塗膜で構成される。
バリア層は、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60質量%,不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体:20〜70質量%の組成をもつベース樹脂に10〜60質量%のコロイダルシリカを分散させている。
光触媒層は、バリア層と同じ組成のベース樹脂に10〜60質量%のコロイダルシリカ及び平均粒径200nm以下の光触媒粒子を10〜60質量%の割合で分散させている。
【0007】
【作用】
本発明者等は、白色塗装金属板の反射率に及ぼす塗膜の表面状態について種々検討した。その結果、比較的反射率の高い白色有機塗膜の上に、シリカ及びアクリルシリケートからなるバリア層を介して光触媒層を形成することにより反射率が一層向上し、白色塗装金属板の加工性も良くなることを見出した。
反射率の向上は、光触媒層に比較してバリア層の屈折率が低いことに原因がある。具体的には、アナターゼ型酸化チタン等の光触媒を分散させた光触媒層は屈折率が2.0〜2.2の範囲にあるのに対し、バリア層の屈折率は1.4〜1.6と低い値を示す。このような表層構造をもつ白色塗装金属板の表面に光が入射すると、光触媒層の表面や光触媒層/バリア層の界面における反射率が高くなり、白色有機塗膜の内部にまで到達する光がほとんどなくなる。その結果、塗膜の光吸収量が少なく、高い反射率が得られる。
【0008】
バリア層は、白色有機塗膜及び光触媒層に強固に結合することから、白色塗装金属板の加工性改善にも有効である。強固な結合は、バリア層及び光触媒層に有機成分が含まれ、バリア層の主成分であるアルコキシシランが白色有機塗膜に対して優れた親和性を呈することに依る。また、バリア層及び光触媒層のベース樹脂として同一組成の樹脂を使用することにより、バリア層に対する光触媒層の濡れ性及び結合力が良好となる。
【0009】
最表層となる光触媒層用の塗料としては、アクリル及びオルガノアルコキシシランの重合反応によりアクリルシリケートが生成する樹脂組成を採用している。アクリルシリケートは、三次元網目構造を形成し、三次元網目構造の中にコロイダルシリカ及び光触媒粒子を取り込んでいる。そのため、光触媒反応で生成する活性酸素でアクリルの一部が分解・切断されてもシリケート側で三次元網目構造が維持されるため、チョーキング現象に至らず、塗膜の劣化も抑制される。この点、無機系のシリカ樹脂及びアクリル樹脂を配合したベース樹脂にTiO2を分散させた塗料から作製された塗膜では、光触媒反応によって生成する活性酸素でアクリル樹脂が分解され、チョーキング現象によって塗膜が劣化しやすい。
【0010】
【実施の形態】
本発明に従った白色塗装金属板は、金属板1の上に白色有機塗膜2,バリア層3及び光触媒層4を順次積層している(図1)。
金属板1としては、材質が拘束されるものではなく、冷延鋼板,溶融亜鉛めっき鋼板,電気亜鉛めっき鋼板,亜鉛合金めっき鋼板,ステンレス鋼板,銅めっき鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板,銅板等を使用できる。金属板1は、必要に応じて反応型又は塗布型クロメート処理,リン酸塩処理等、適宜の塗装前処理が施された後、白色有機塗膜2,バリア層3,光触媒層4用の塗料が順次塗布される。塗料の塗布には、ロールコート法,カーテンコート法,スプレー法,バーコート法等、適宜の手段が採用される。
【0011】
金属板1の上に形成される白色有機塗膜2は、白色度を上げるため防錆顔料及びTiO2を含む下塗り塗膜2dとTiO2を含む上塗り塗膜2uの2層構成にしている。下塗り塗膜2dにストロンチウムクロメート,ジンククロメート等のクロム系防錆顔料を分散させると、下塗り塗膜2dの色調が黄色になりがちである。隠蔽力の大きな上塗り塗膜2uを形成するとき下塗り塗膜2dの色調が上塗り塗膜2uの色調に影響を及ぼすことはないが,白色の上塗り塗膜2uでは、隠蔽力に劣るため下塗り塗膜2dの色調が上塗り塗膜2uに現れやすい。そこで、TiO2粒子の分散によって下塗り塗膜2dの色調を白色に近づけ、上塗り塗膜2uに及ぼす下塗り塗膜2dの色調の影響を抑えている。また、TiO2粒子の分散によって上塗り塗膜2uの隠蔽率も向上するため、白色有機塗膜2の表面反射率が高くなる。
【0012】
下塗り塗膜2d用塗料には、JIS Z8722に準拠した色調測定によるL値を耐食性とバランスさせるため、TiO2/防錆顔料=3〜8(好ましくは4〜6)の割合でTiO2粒子及び防錆顔料を配合することが好ましい。ベース樹脂としては、ポリエステル系,アクリル系,フッ素系,これらの混合樹脂等が使用される。下塗り塗膜2dは、3〜15μm(好ましくは6〜9μm)の膜厚で形成される。
上塗り塗膜2uの白色度は、TiO2粒子の配合量でなく、塗膜比重で管理することが好ましい。すなわち、TiO2粒子を配合した塗料では、TiO2粒子分散時の空気巻込みによって塗膜内部に空隙が発生しやすい。そのため、顔料配合量が多くても空隙率が高いと、実質的な顔料密度が低下する。これに対し、塗膜比重は、顔料密度に比例し、白色度を的確に表す指標として使用できる。
【0013】
上塗り塗膜2uに配合されるTiO2粒子の割合は、塗膜比重Nが1.75〜2.3の範囲になるように定めることが好ましい。1.75未満の塗膜比重Nでは、上塗り塗膜2uの隠蔽力が不足し、一部の入射光が吸収され、JIS Z8722に準拠した色調測定でのL値を90以上にできなくなることがある。逆に2.3を超える塗膜比重Nでは、L値が大きくなるものの塗膜の加工性が低下する。塗膜比重N=1.75〜2.3は、樹脂100重量部に対して100〜160重量部(好ましくは130〜150重量部)の割合でTiO2粒子を配合することにより得られる。TiO2粒子をAl2O3,SiO2,ZrO2等で表面処理すると、樹脂に対する分散性が向上する。
【0014】
L値を90以上にするためには、JIS Z8722に準拠した色調測定でのb値(黄味と青味の指標)を±1以内に収めることが好ましい。−1より小さなb値では青みが強くなり、1を超えるb値では黄味が強くなる。±1以内のb値は、平均粒径0.2〜0.3μmのTiO2粒子を使用することにより達成される。TiO2粒子の平均粒径が小さすぎると、短波長の青色光が吸収されやすく、青味がかった色調が発現する。また、補色関係にある色調を呈するベンガラ,紺青等の顔料を添加することにより、b値を±1以内に収めることもできる。
上塗り塗膜2u用塗料は、ポリエステル系,エポキシ系又はこれらの混合樹脂塗料にTiO2粒子を分散させることにより調製される。上塗り塗膜2uは、膜厚10〜25μm(好ましくは15〜18μm)で形成される。
【0015】
バリア層3は,白色有機塗膜2の有機成分が光触媒反応によって劣化しないように、膜厚0.1〜5μmで形成することが好ましい。膜厚0.1μm以下では、下地の凹凸を十分にカバーできず、下地の凸部で生じる膜切れを起点とした塗膜剥離が発生しやすくなる。逆に5μmを超える厚膜は、曲げ加工性に悪影響を及ぼす。バリア層3の上に形成される光触媒層4も、同様な理由から0.1〜5μmの膜厚で形成することが好ましい。
バリア層3用塗料には、シリカ−アクリルシリケート系が好ましい。無機系のシリカ樹脂は、光触媒層4で発生した活性酸素の伝播を阻止し、白色有機塗膜2の有機成分の分解や白色有機塗膜2/バリア層3界面におけるチョーキングを抑制する。また、アクリレート成分を配合しているので可撓性に富み、良好な曲げ加工性を呈する。
【0016】
バリア層3用塗料には、塗膜硬度及び耐衝撃性を両立させる上から、好ましくは10〜60質量%の割合でコロイダルシリカが配合される。他の成分であるオルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、式(1)で示されるオルガノシロキサン又はその部分縮合物であり、式(2)のオルガノアルコキシシランを加水分解することにより得られる。オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物の配合量が10質量%未満ではバリア層3の密着性が低下し、逆に60質量%を超える配合量では耐衝撃性が低下する。
R1Si(OH)3 ・・・・(1)
R1Si(OR2)3 ・・・・(2)
R1:炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メタクリルオキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はγ−クロロプロピル基
R2:炭素数1〜3のアルキル基又はアリール基
【0017】
不飽和エチレン性単量体には、メチルアクリレート,エチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,t−ブチルアクリレート,2−ヒドロキシメチルアクリレート,2−ヒドロキシエチルアクリレート,n−ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,t−ブチルメタクリレート,グリシジルメタクリレート,2−ヒドロキシエチルメタクリレート,2−ヒドロキシプロピルメタクリレート,ジメチルアミノエチルメタクリレート,ジエチルアミノエチルメタクリレート,2−エチルヘキシルメタクリレート,メトキシジエチレングリコールメタクリレート,メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート,アリルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルが挙げられる。スチレン等の他の単量体を不飽和エチレン性単量体に配合することもできる。
【0018】
不飽和エチレン性単量体は、必要な膜厚を確保する上から20質量%以上の配合量にすることが好ましい。20質量%未満の配合量では、膜厚が不足しがちで、塗膜の熱収縮等に起因してクラックが発生しやすく,曲げ加工性も向上しない,逆に70質量%を超える配合量では、光触媒反応で生じた活性酸素によるチョーキング現象が発生しやすく、塗膜寿命が短くなる。
【0019】
光触媒層4も、同様に曲げ加工性及び耐候性をバランスさせることから、バリア層3と同じ組成のベース樹脂が使用される。該ベース樹脂に光触媒粒子5を分散させることにより、光触媒層4用の塗料が調製される。光触媒粒子5としては、TiO2,ZnO,WO3,FeTiO3,SrTiO3等があり、光触媒反応に必要な表面積を確保するために平均粒径200nm以下の微粉末が好ましい。なかでも、優れた光触媒活性を呈し且つ入手容易なことからアナターゼ型酸化チタンが光触媒粒子5として好適である。光触媒粒子5を10質量%以上の割合で分散させると十分な光触媒活性が得られるが、60質量%を超える過剰量では樹脂分が不足して緻密な塗膜が形成されず、曲げ加工等の際にクラック,剥離等が生じやすくなる。
【0020】
このようにして白色有機塗膜2の上にバリア層3及び光触媒層4が形成された白色塗装金属板は、高い白色度及び反射率を示すため、照明灯用反射板として使用するとき、光源からの光を効率よく反射させ、高いエネルギー効率で周囲を明るくすることに有効である。また、照明灯用反射板に限らず、家電機器の外板,家具の表層材,内装材,外装材等として使用する場合でも、白色度及び反射率が高いことから周囲の明度を高く維持する。
【0021】
【実施例】
各種溶液の調製
酸性の水性コロイダルシリカ分散液とメタノール性コロイダルシリカ分散液とを混合した後、メチルトリエトキシシランを添加し、室温で約5時間攪拌することにより加水分解を完了させた。得られた生成物にイソプロピルアルコールを添加し、固形分約20%の溶液Aを調製した。
アクリル酸エステル(メチルメタクリレートとn‐ブチルメタクリレートの混合物,混合比=2/1)をイソプロパノールとエチレングリコールモノブチルエーテルとの混合物(混合比=2/5)で希釈し、窒素雰囲気中でAIBN(アゾビスイソブチルニトリル)を添加し、80℃で約6時間重合させ、固形分約30%の樹脂溶液Bを調製した。
【0022】
溶液Aと樹脂溶液Bとを配合し、バリア層3用の樹脂溶液Cを調製した。溶液Cに更に光触媒粒子5としてアナターゼ型酸化チタンを分散させることにより,光触媒層4用の樹脂溶液Dを調製した。
溶液A〜Cの調製に際しては、それぞれ固形分比率でコロイダルシリカ:15質量%,メチルエトキシシラン:15質量%,アクリル酸エステル:70質量%とした。アナターゼ型酸化チタン粒子には平均粒径7nmの微粉末を使用し、ベース樹脂とTiO2との塗膜全体に対して60質量%となるように樹脂溶液Cに配合した。
【0023】
成 膜 条 件
板厚0.6mm,片面当りめっき付着量45g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板を塗装原板に使用した。塗装原板に塗布型クロメート処理を施した後、下塗り塗料を塗布し215℃で40秒間加熱乾燥することにより乾燥膜厚7μmの下塗り塗膜2dを形成した。下塗り塗料としては、ポリエステル系樹脂をベースとし、樹脂100重量部にAl2O3で表面処理した平均粒径0.25μmのTiO2粉末を81.8重量部,ストロンチウムクロメート系の防錆顔料を18.2重量部配合した塗料を使用した。
【0024】
下塗り塗膜2d形成後、ベース樹脂100重量部に対しAl2O3で表面処理した平均粒径0.25μmのTiO2粉末を130重量部配合した上塗り塗料を塗布し、230℃で50秒間焼付け乾燥することにより、乾燥膜厚17μmの上塗り塗膜2u(白色有機塗膜)を形成した。
次いで、上塗り塗膜2uの上に樹脂溶液Cを塗布し、170℃で1分加熱乾燥することにより、バリア層3を形成した。更に、バリア層3の上に樹脂溶液Dを塗布し、200℃で1分間加熱乾燥することにより光触媒層4を形成した。
得られた各塗装鋼板の塗膜構成を表1に示す。
【0025】
【0026】
得られた各塗装鋼板から試験片を切り出し、次の試験に供した。
(1)塗膜比重測定試験
JIS K7112に規定されている浮沈法で乾燥塗膜の比重を測定した。
(2)L値測定試験
JIS Z8722に準拠した物体色の測定に使用される分光測色計(CM−3700:ミノルタ株式会社製,光源C)を用いて、上塗り塗膜2uのL値を測定した。
(3)反射率測定
L値測定試験と同じ分光測色計を用いて波長450nm,550nmの反射率を測定した。両波長の反射率が83%以上を◎,82〜83%を○,何れか一方でも反射率が82%を下回るものを×として反射率を評価した。
【0027】
(4)屈折率測定
JIS Z7142に規定されているA法(アッベ屈折計を用いる方法)により、屈折率を測定した。
(5)塗膜加工性試験
温度20℃の恒温槽に放置しておいた試験片の上塗り塗膜2uの反対側に同じ厚さの板2枚を挟んで、180度折曲げ試験(2t)を行い、折曲げ部の塗膜にクラックが発生していないものを○,クラックが検出されたものを×として塗膜の加工性を評価した。
【0028】
(6)光触媒活性試験
幅300mm,高さ500mm,奥行き300mmの試験室の天井面に試験片を貼り付け、試験片表面の光触媒層4にタバコのヤニを付着させた。ヤニ付着前後のΔb値が1以上になるまでヤニを付着させた後、試験片から10cm離れた位置に配置した蛍光灯を点灯し,試験片を照射した。照射を24時間継続した後でb値を測定し、次式に従ってヤニ分解率を算出し、ヤニ分解率50%以上を◎,25〜50%を○,10〜25%を△,10%未満を×として光触媒活性を評価した。
ヤニ分解率=(ヤニ付着後のb値−ヤニ付着前のb値)/(蛍光灯照射後のb値ーヤニ付着前のb値)
【0029】
表2の調査結果にみられるように、試験番号1〜15(本発明例)では、何れもL値及び反射率が優れ、光触媒反応によるヤニ分解特性も良好で、曲げ加工によっても塗膜にクラックが発生しなかった。反射率が高い値を示したことは、バリア層3よりも光触媒層4の屈折率が大きいことに起因するものと考えられる。
これに対し、試験番号16〜18(比較例)では、バリア層3及び光触媒層4を形成した実施例に試験番号1〜15(本発明例)に比較してL値及び反射率共に低い値を示した。また、光触媒層4がないため、光触媒反応によるヤニ分解作用のない汚れの目立つ皮膜であった。
【0030】
【0031】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の白色塗装金属板は、金属板の上に白色有機塗膜、バリア層、光触媒層を順次形成し、バリア層よりも光触媒層の光屈折率を大きくしているので、JIS Z8722に準拠した色調測定でのL値が90を超える高い白色度を呈し、白色有機塗膜への光吸収を抑えることにより反射率も向上させている。しかも、光触媒層により光触媒活性が付与され耐汚れ付着性に優れた塗膜表面となり、付着汚れに起因する白色度や反射率の低下が少なく、白色有機塗膜と光触媒層との間にバリア層が形成されているため加工性も向上する。
このようにして得られた白色塗装金属板は、優れた光反射性,光触媒活性,加工性を活用し、蛍光灯用反射板,家電機器用外板,表層材,内装材,外装材等、広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った白色塗装金属板の塗膜構成を示す模式図
【符号の説明】
1:金属板 2;白色有機塗膜 2d:下塗り塗膜 2u:上塗り塗膜
3:バリア層 4:光触媒層 5:光触媒粒子
Claims (3)
- 下地金属板の表面に、
防錆顔料及びTiO 2 を、TiO 2 /防錆顔料が3〜8の質量比で含む下塗り塗膜と、TiO 2 を含有し、塗膜比重が1.75〜2.3である上塗り塗膜と、から構成される白色有機塗膜、
シリカ及びアクリルシリケートからなるバリア層、及び
該バリア層より光屈折率の大きな光触媒層、
が順次形成されていることを特徴とする白色塗装金属板。 - 前記バリア層が、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60質量%,不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体:20〜70質量%の組成をもつベース樹脂に、10〜60質量%のコロイダルシリカを分散させている請求項1記載の白色塗装金属板。
- 前記光触媒層が、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60質量%,不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体:20〜70質量%の組成をもつベース樹脂に、10〜60質量%のコロイダルシリカ及び平均粒径200nm以下の光触媒粒子を10〜60質量%の割合で分散させている塗料から形成される請求項1記載の白色塗装金属板。
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