JP4223138B2 - 加工性,耐候性及び光触媒活性に優れたプレコート鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、加工性,耐候性及び光触媒活性に優れたプレコート鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
TiO2 を始めとする光触媒は、光照射で活性化し、有機物,NOX ,SOX 等を分解する作用を呈する。この作用を活用し、アナターゼ型のTiO2 粒子及びシリカを配合した塗膜を基材表面に設けることにより、塗装鋼板に光触媒活性を付与することが検討されている。
この種の塗装鋼板でベースとなる塗膜に有機物を使用すると、光触媒反応で生成した活性酸素(O2 -,・OH等)で有機塗膜が分解され、チョーキングによる塗膜剥離が懸念される。そのため、ベース樹脂として、無機系材料が一般的に使用されている(特開平7−113272号公報,特開平8−164334号公報,WO96・29375等参照)。
有機系塗膜は光触媒反応によって分解される虞れがあるが、比較的安定なフッ素樹脂をベースとするとき有機系塗膜の分解が抑えられる。そこで、フッ素樹脂をベースとしてアナターゼ型TiO2 粒子を添加した塗膜が提案されている(特開平7−171408号公報)。この塗膜は、ベース樹脂が有機質であるため比較的加工性に優れている。また、特開平10−225658号公報では、主としてシリカ−オルガノシラン系塗料にアナターゼ型TiO2 粒子を添加した有機・無機複合塗膜を形成した光触媒プレコート鋼板が紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
TiO2 の添加により光触媒活性を付与した無機系塗膜は、加工性に劣り、曲げ加工等でクラックが発生し、鋼板表面から塗膜が剥離し易い。そのため、曲げ加工等が必須になる建材,家電製品等の用途では、加工後に塗膜を形成するポストコートによって光触媒活性を付与せざるを得ない。しかし、ポストコートは生産性が低いことから、製造コストが低減できるプレコート化が要求されているが、建材,家電製品等の用途で要求される加工性を十分満足した無機系プレコート鋼板は開発されていない。
【0004】
他方、光触媒反応で生成した活性酸素による分解に対する抵抗力を高めるためフッ素系樹脂を用いた有機系塗装鋼板は、建材等に要求される耐候性を十分満足するには至っていない。たとえば、TiO2粒子の周りに他の無機物をコーティングしてTiO2粒子と有機系塗膜の直接接触を防止する方法、TiO2粒子の配合量を減らす方法等で有機系塗膜の分解を抑制しているが、何れの方法によってもTiO2粒子の光触媒活性が低下する。
光触媒活性を付与した有機・無機複合塗膜を形成した塗装鋼板では、無機系塗装鋼板と同様に加工性に劣る。たとえば、塗膜を膜厚1μm程度に薄くした場合にあっても、T曲げテープ剥離試験で10Tもクリアできず、光触媒プレコート鋼板に要求される特性(具体的には、T曲げテープ剥離試験で2T以下)が得られていない。
従って、本発明は、優れた光触媒活性を呈し、耐候性と加工性をバランスさせたプレコート鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のプレコート鋼板は、その目的を達成するため、アクリル樹脂と、オルガノアルコキシシランをコロイド状シリカの分散液中で加水分解して得られる生成物との重合反応で生成したシリカ含有アクリルシリケートの3次元網目構造に粒径200nm以下のTiO 2 粒子が分散している塗膜を膜厚0.2〜10μmで形成したプレコート鋼板であって、該塗膜を形成するベース樹脂が、コロイド状シリカ:10〜60重量%、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60重量%及びアクリル樹脂:20〜70重量%の組成をもち、該ベース樹脂100重量部に対して粒径200nm以下のTiO 2 粒子が10〜150重量部の割合で分散している塗膜をもつことを特徴とする。
【0006】
また、加工性を高めるため、鋼板及びTiO2分散塗膜の双方に対する密着性に優れた有機又は有機・無機複合塗膜を中間層として設けることもできる。中間層には、好ましくはベンゾトリアゾール、ジフェニルピクリルヒドラジル等のラジカル禁止剤が配合される。
【0007】
このプレコート鋼板は、オルガノアルコキシシランをコロイド状シリカの分散液中で加水分解して得られるシリカ分散液に、グリコール誘導体を加えた有機溶媒にアクリル樹脂を溶解して得られるアクリル樹脂液を配合し、重合反応させて、コロイド状シリカ:10〜60重量%、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60重量%及びアクリル樹脂:20〜70重量%の組成をもつベース樹脂を用意し、ベース樹脂100重量部に対して粒径200nm以下のTiO 2 粒子を10〜150重量部分散させて塗料を調製し、鋼板又は中間層を形成した鋼板に該塗料を塗膜の膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布することにより製造される。
【0008】
【作用】
無機系のシリカ樹脂及びアクリル樹脂を配合したベース樹脂にTiO2を分散させた塗料から作られた塗膜では、通常、光照射時にTiO2の光触媒反応によって生じる活性酸素によってアクリル樹脂が分解され、塗膜にチョーキング現象が生じ、耐候性が劣化する。
これに対し、本発明では、アクリル樹脂と、オルガノアルコキシシランをコロイド状シリカの分散液中で加水分解して得られる生成物との重合反応によりシリカ含有アクリルシリケートが生成する樹脂組成を採用している。シリカ含有アクリルシリケートは、TiO2粒子を巻き込んだ3次元の網目構造をとる。TiO 2 を分散させたシリカ含有アクリルシリケートの網目構造は、アクリルの一部分が活性酸素で分解・切断されてもシリケート側で3次元の網目構造が維持されるためチョーキング現象に至らず、塗膜の耐候性を向上させるものと推察される。また、アクリル成分の導入によって塗膜に可撓性が付与され、加工性も改善される。しかも、TiO2粒子を塗膜中に比較的高濃度まで分散できるため、優れた光触媒活性を付与できる。
【0009】
【実施の形態】
TiO2分散塗膜は、鋼板表面に直接設け(図1)、或いは中間層を介して鋼板表面(図2)に設けることができる。
鋼板1の表面に設けられるTiO2分散塗膜2は、コロイド状シリカ:10〜60重量%、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60重量%及びアクリル樹脂:20〜70重量%の組成をもつベース樹脂100重量部に、粒径200nm以下のTiO2粒子3を10〜150重量部配合した塗料から作られる。
コロイド状シリカの配合量が10重量%に満たないと塗膜の硬度が低下し、逆に60重量%を越える配合量では耐衝撃性が低下する。
【0010】
オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、オルガノアルコキシシランを酸性の水性コロイド状シリカ及び非水性コロイド状シリカの混合分散液中で次式に従って加水分解することにより得られるオルガノヒドロキシシラン又はその部分縮合物である。オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物の配合量が10重量%未満では塗膜の密着性が低下し、逆に60重量%を越える配合量では耐衝撃性が劣化する。
R1 Si(OR2 )3 → R1 Si(OH)3
ただし、R1 :炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メタクリルオキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基,γ−クロロプロピル基から選ばれた基
R2 :炭素数1〜3のアルキル基又はアリール基
【0011】
アクリル樹脂に使用される単量体としては、たとえばメチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等が使用され、スチレン等の他の単量体を少量配合しても良い。アクリル樹脂の配合量が20重量%未満では、塗膜を数μm以上の厚膜にできず、塗膜の熱収縮等に起因するクラックを抑制し、加工性を向上させることが困難になる。逆に70重量%を越える配合量では、光触媒性によるチョーキング現象が起こりやすくなり、塗膜の寿命が短くなる。
【0012】
TiO2 粒子としては、粒径が200nm以下のアナターゼ型,ルチル型等が使用される。TiO2 粒子は、ベース樹脂100重量部に対し10〜150重量部の割合で塗膜に分散させる。粒径が200nmを越えるTiO2 粒子では、塗膜中に分散しているTiO2 粒子の比表面積が小さくなり、十分な光触媒活性が得られない。TiO2 粒子の分散量が10重量部に満たない場合でも、十分な光触媒活性が得られない。しかし、150重量部を越える多量のTiO2 粒子を配合すると、樹脂成分の不足から緻密な塗膜が形成されず、加工等で容易に破壊され易くなる。
TiO2 分散塗膜は、0.2〜10μmの膜厚で鋼板表面を形成することが好ましい。0.2μm未満の膜厚では、鋼板表面の凹凸を吸収できず、凸部での膜切れを起点とした塗膜剥離が生じ易くなる。逆に10μmを越える厚膜では、建材,家電製品等で要求される加工性が得られなくなる。
【0013】
TiO2 分散塗膜の加工性は、鋼板1の表面及びTiO2 分散塗膜2の双方に対する密着性に優れた中間層4を介在させることにより改善される(図2)。中間層4は、仮にTiO2 分散塗膜2にクラックが加工時に発生しても、鋼板1からTiO2 分散塗膜2が剥離することを防止する。TiO2 粒子3は、TiO2 分散塗膜2中のクラックの有無に拘わらず、所期の光触媒活性を呈する。
中間層4としては、TiO2 分散塗膜2よりも優れた加工性が要求されることから、有機塗膜又は有機・無機複合塗膜が使用される。中間層4に使用される有機塗膜には、鋼板1及びTiO2 分散塗膜に対する密着性を考慮すると極性基をもつ樹脂塗料が好ましく、具体的にはエポキシ系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂,アクリル系樹脂,フッ素−アクリル混合樹脂等が使用される。有機・無機複合塗膜としては、アクリルシリケート系,ポリエステルシリケート系,フッ素−アクリルシリケート系等が好適である。
中間層4は、表層のTiO2 分散塗膜2で生成する活性酸素によって分解される虞れがある。そのため、ベンゾトリアゾール、ジフェニルピクリルヒドラジル等のラジカル禁止剤を中間層4に配合することが好ましい。ラジカル禁止剤は、TiO2 分散塗膜2で生成したラジカルをトラップし、中間層4を形成する有機成分の分解を抑制する作用を呈する。
【0014】
【実施例】
酸性の水性コロイド状シリカ分散液をメタノール性コロイド状シリカ分散液と混合した後、メチルトリエトキシシランを添加し、室温で約5時間攪拌して加水分解を完了させた。得られた生成物にイソプロピルアルコールを添加し、固形分約20重量%のコロイド状シリカ分散オルガノアルコキシシラン液(以下、シリカ分散液という)を用意した。
アクリル酸エステル(メチルメタクリレート:n−ブチルメタクリレート=2:1の混合物)をイソプロパノールとエチレングリコールモノブチルエーテルとの混合物(混合比2:5)で希釈し、窒素置換雰囲気中でAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を添加し、80℃で約6時間重合反応させ、固形分約30重量%のアクリル樹脂液(以下、単にアクリル樹脂液という)を用意した。
シリカ分散液にアクリル樹脂液を配合した後、アナターゼ型TiO2 粉末を分散させ、次に掲げる複数種類のTiO2 分散塗膜形成用塗料を調製した。
【0015】
塗装条件1(本発明例)
粒径100nmのアナターゼ型TiO2粉末を使用し、固形分比率でコロイド状シリカ:10重量%、メチルトリエトキシシラン:10重量%、アクリル酸エステル:70重量%、アナターゼ型TiO2:10重量%の塗料組成に調製した。
板厚0.4mmのステンレス鋼帯を脱脂し、塗料をロールコータで塗布し、250℃×1分間の焼成で膜厚3μmのTiO2分散塗膜を形成した。得られたTiO2分散塗膜は、白色を呈し、シリカ含有アクリルシリケート中にTiO2粒子が均一分散していることが塗膜断面のSEM観察で確認された。
塗装条件2(本発明例)
固形分比率でアクリル酸エステルの濃度を20重量%、アナターゼ型TiO2粉末の分散量を60重量%とする以外は、実施例1と同様にして膜厚3μmのTiO2分散塗膜を形成した。
【0016】
塗装条件3(本発明例)
固形分比率でコロイド状シリカの濃度を60重量%,アクリル酸エステルを20重量%とする以外は、実施例1と同様にして膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件4(本発明例)
固形分比率でメチルトリエトキシシランの濃度を60重量%,アクリル酸エステルを20重量%とする以外は、実施例1と同様にして膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件5(本発明例)
板厚0.4mmのステンレス鋼板を脱脂した後、中間層用にアクリル樹脂液を使用し、ロールコータでアクリル樹脂液を鋼板表面に塗布し、230℃×1分間の焼成で中間層を形成した。次いで、塗装条件1を同じTiO2 分散塗料を中間層上にロールコータで塗布し、250℃×1分間の焼成で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
【0017】
塗装条件6(本発明例)
中間層形成用にTiO2 を含まないシリカ分散液とアクリル樹脂液との混合液を使用し、TiO2 分散塗膜形成用に塗装条件1と同じTiO2 分散塗料を使用した。板厚0.4mmのステンレス鋼板を脱脂した後、中間層形成用塗料をロールコータで塗布し、230℃×1分間で焼成し、次いでTiO2 分散塗料をロールコータで塗布し、250℃×1分間の焼成で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件7(本発明例)
中間層形成用の塗料にベンゾトリアゾールを1重量%添加する以外は、塗装条件5と同じ条件下で膜厚1μmの中間層及び膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
【0018】
塗装条件8(比較例)
粒径250nmのアナターゼ型TiO2 粉末を使用する以外は、塗装条件2と同様に膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件9(比較例)
固形分比率でメチルトリエトキシシランの濃度を15重量%,アナターゼ型TiO2 粉末を5重量%とする以外は、塗装条件1と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件10(比較例)
固形分比率でアクリル酸エステルの濃度を15重量%,アナターゼ型TiO2 粉末を65重量%とする以外は、塗装条件1と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件11(比較例)
固形分比率でアクリル酸エステルの濃度を15重量%,アナターゼ型TiO2 粉末を15重量%とする以外は、塗装条件3と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
【0019】
塗装条件12(比較例)
固形分比率でコロイド状シリカの濃度を5重量%,メチルトリエトキシシランを5重量%,アクリル酸エステルを80重量%とする以外は、塗装条件1と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件13(比較例)
メチルトリエトキシシランを添加することなく、固形分比率でアナターゼ型TiO2 粉末の濃度を20重量%とする以外は、塗装条件1と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件14(比較例)
コロイド状シリカを添加することなく、固形分比率でアナターゼ型TiO2 粉末の濃度を20重量%とする以外は、塗装条件1と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
【0020】
塗装条件15(比較例)
固形分比率でコロイド状シリカの濃度を65重量%,アクリル酸エステルを15重量%とする以外は、塗装条件1と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件16(比較例)
固形分比率でメチルトリエトキシシランの濃度を65重量%,アクリル酸エステルを15重量%とする以外は、塗装条件1と同じ条件下で膜厚3μmのTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件17(比較例)
ロールコータのアプリケータロールの周速を減速して膜厚を0.1μmに調製する以外は、塗装条件1と同じ条件下でTiO2 分散塗膜を形成した。
塗装条件18(比較例)
ロールコータのアプリケータロールの周速を増速して膜厚を15μmに調製する以外は、塗装条件1と同じ条件下でTiO2 分散塗膜を形成した。
【0021】
各塗装条件1〜18で得られた塗装鋼板から試験片を切り出し、加工性試験,耐候性試験及び光触媒活性試験に供した。
加工性試験では、試験片をT曲げした後、テープ剥離試験した。テープ剥離後の塗膜残存状況を目視観察し、0Tの曲げで塗膜に剥離が検出されないものを◎,2T以下の曲げで塗膜に剥離が検出されないものを○,5T以下の曲げで塗膜に剥離が検出されないものを△,5Tの曲げで塗膜に剥離が生じたものを×と評価した。
耐候性試験では、63℃サンシャインウエザー促進試験機に試験片を1000時間保持し、試験前後の光沢保持率で耐候性を調査した。光沢保持率が90%以上を◎,80%以上を○,70%以上を△,70%未満を×と評価した。
光触媒活性試験では、付着量0.2mg/cm2 でサラダ油を試験片表面に付着させ、5mW/cm2 の紫外光を24時間照射した後、試験片に残存しているサラダ油の重量を測定した。そして、紫外光照射前のサラダ油に比較して紫外光照射後のサラダ油の重量減少率を求め、この重量減少率を油分解率として光触媒活性を判定し、油分解率40%以上を○,40%未満を×と評価した。
【0022】
調査結果を塗膜構成と併せて表1(本発明例)及び表2(比較例)に示す。表1と表2の対比から明らかなように、シリカ含有アクリルシリケートの3次元網目構造に、TiO2を分散させた本発明例のプレコート鋼板は、何れも加工性、耐候性及び光触媒活性の間でバランスが良く、加工性が要求される建材、家電製品等の用途にセルフクリーニング作用のある塗装鋼板として使用できることが判る。なかでも、下地鋼板とTiO2分散塗膜との間に中間層を介在させた試験番号5〜7では優れた加工性が得られ、更にラジカル禁止剤を添加した試験番号7では耐候性も改善されていた。
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のプレコート鋼板は、アクリル樹脂と、オルガノアルコキシシランをコロイド状シリカの分散液中で加水分解して得られる生成物との反応・重合で生成したシリカ含有アクリルシリケートの3次元網目構造に巻き込まれる形態でTiO2粒子を分散させた塗膜を鋼板表面に形成している。この塗膜構造のため、光触媒反応で生成する活性酸素による塗膜のチョーキング現象が抑制され、TiO2粒子の光触媒活性を維持しつつ耐候性及び加工性が改善される。このようにして得られたプレコート鋼板は、優れた光触媒活性、耐候性、加工性を活用し、建材、家電製品用ハウジングを始めとして広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼板表面にTiO2 分散塗膜を直接設けたプレコート鋼板
【図2】 中間層を介してTiO2 分散塗膜を直接設けたプレコート鋼板
【符号の説明】
1:鋼板 2:TiO2 分散塗膜 3:TiO2 粒子 4:中間層
Claims (4)
- アクリル樹脂と、オルガノアルコキシシランをコロイド状シリカの分散液中で加水分解して得られる生成物との重合反応で生成したシリカ含有アクリルシリケートの3次元網目構造に粒径200nm以下のTiO2粒子が分散している塗膜を膜厚0.2〜10μmで形成したプレコート鋼板であって、該塗膜を形成するベース樹脂が、コロイド状シリカ:10〜60重量%、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60重量%及びアクリル樹脂:20〜70重量%の組成をもち、該ベース樹脂100重量部に対して粒径200nm以下のTiO 2 粒子が10〜150重量部の割合で分散していることを特徴とする加工性、耐候性及び光触媒活性に優れたプレコート鋼板。
- 鋼板及びTiO2分散塗膜の双方に対する密着性に優れた有機又は有機・無機複合塗膜が中間層として設けられている請求項1に記載の加工性、耐候性及び光触媒活性に優れたプレコート鋼板。
- 中間層にラジカル禁止剤が配合されている請求項2に記載の加工性、耐候性及び光触媒活性に優れたプレコート鋼板。
- オルガノアルコキシシランをコロイド状シリカの分散液中で加水分解して得られるシリカ分散液に、グリコール誘導体を加えた有機溶媒にアクリル樹脂を溶解して得られるアクリル樹脂液を配合し、重合反応させて、コロイド状シリカ:10〜60重量%、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:10〜60重量%及びアクリル樹脂:20〜70重量%の組成をもつベース樹脂を用意し、ベース樹脂100重量部に対して粒径200nm以下のTiO2粒子を10〜150重量部分散させて塗料を調製し、鋼板又は中間層を形成した鋼板に該塗料を塗膜の膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布することを特徴とする加工性、耐候性及び光触媒活性に優れたプレコート鋼板の製造方法。
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