JP5024211B2 - 高反射性塗装金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、反射性の高い塗装皮膜を有する、主に照明器具、特に蛍光灯を光源とする照明器具の反射板として有用な高反射性塗装金属板に関する。
省エネの観点から、照明器具の器具効率を向上させることが求められている。従来から、光源(蛍光灯、水銀灯、白熱灯等)の発光効率を向上させることによって、器具効率の向上が図られてきた。しかし、近年、更なる器具効率の向上を図るために、照明器具の反射板について、反射性の向上が強く要求されるようになってきた。反射板の反射性が向上すると、同じ電球又は蛍光灯の光でも、より明るく感じられるようになるからである。
特開2000−212767号公報(特許文献1)には、有機樹脂と白色顔料としての酸化チタン及びタンニン又はタンニン酸を同時に含む下地処理層を有し、その上に白色顔料としての酸化チタンを含む塗膜層を有する白色のプレコート鋼板が提案されている。このプレコート鋼板は、塗膜層が薄膜であっても高白色(高反射性)を発現させることができると説明されている。
特許文献1に提案された技術によると、塗膜層中の酸化チタンの量を増大させたり、その膜厚をある程度大きくすることによって、鋼板の白色度(反射性)は向上する。しかし、全波長域にわたって一様に反射性を大きくするため、反射性の向上には限界があり、照明器具の反射板に用いた時に明るさが増したと実感できるほどの反射性の向上効果を得ることは困難であるか、そのようにすると他の特性の劣化を招くという問題がある。
特開2003−73624号公報(特許文献2)には、白色顔料のチタニアに加えて、特定の蛍光顔料を含有させることにより、人間の目の視感度のピークである555nm近傍での反射性に優れる白色皮膜が形成されることを利用した、高反射性の塗料及び塗装金属板が提案されている。確かにこの技術によると、555nm近傍での反射性を向上させることができる。しかし、可視領域全体にわたる反射特性が考慮されていないため、可視領域内の他の波長域での反射率が低下し、皮膜が着色するという問題がある。
特開2000−212767号公報 特開2003−73624号公報
本発明は、人間の目の視感度特性を利用して、視感度がピークとなる波長域で効率良く反射性を向上させることができ、かつ可視領域全体において可能な限り平坦(フラット)な反射特性を有し、従って着色の小さい、照明器具の反射板として好適な塗装金属板を提供することを課題とする。
人間の目が感じる波長範囲(可視領域)は380〜780nmである。しかし、その範囲内で、仮に波長ごとにそのエネルギーが等しいとしても、一律に同じ明るさとは感じない。385nmあたりからかろうじて明るさを感じ、感じる明るさは波長が増大するにつれて漸次大きくなり、555nmで明るさが最大となり、それからは漸次減少し始めて、765nmあたりで明るさを感じなくなる。このような明るさを感ずる度合いを、視感度と呼ぶ。
本発明者らは、この視感度に着目し、照明器具の反射板として効率良く反射性を向上させるには、入射光をできる限り視感度のピークである555nm近傍に変換して反射すればよいことに気付いた。そうすることによって、同じエネルギーの反射光を、最も明るく感じさせることが可能となる。
このような反射性能を実現するには、555nm近傍に発光特性(発光スペクトルのピーク)を有する蛍光顔料を用いた塗料を塗装して皮膜を形成すればよい。それにより、この蛍光顔料が、視感度の低い、より短波長の入射光を吸収し、555nm近傍の光に変換して反射光として発光するため、視感度の高い555nm近傍での反射率が100%を超えるような皮膜を形成することも可能となる。
一方、光源が蛍光灯である場合、430〜440nmの波長域で、水銀線(g線)に起因する極めて高い強度を有するスペクトルが照射される。この水銀線は波長が小さいため、先に述べた理由により、人間の目には明るさとして認識されにくい(視感度が小さい)が、大きなエネルギーを有しているので、この波長を視感度のピークである555nm近傍に変換できれば、効率良く反射性を向上させることができる。
このような反射性能を実現するには、430〜440nmの近傍に励起特性(励起スペクトルのピーク)を有する蛍光顔料を含有させた塗料を塗装して皮膜を形成すればよい。それにより、皮膜中の蛍光顔料が、蛍光灯から照射される水銀線に起因する大きなエネルギーを吸収して、視感度の高い(即ち、明るく感じられる)蛍光を発する。蛍光は、ストークスの法則により、励起スペクトルの波長より長波長となるが、発せられた蛍光が視感度のピークである555nm近傍であれば,この蛍光顔料は励起光である水銀線より視感度がずっと高い反射光を発することができ、こうして効率よく、表面の反射性を高めることができる。
しかし、このような蛍光顔料を単独で添加すると、励起の波長域では反射率が低下し、発光の波長域では反射率が増大するため、平坦な反射特性とならず、着色するという問題があった。通常、塗膜の調色は、複数の着色顔料を添加することで行われるが、汎用の着色顔料はその色以外の波長で吸収を有する。例えば、赤色系の着色顔料は、紫−藍−青−緑の波長域で吸収を有し、赤−橙−黄の波長域で相対的に強く反射するために赤色系と視認される。つまり、汎用の着色顔料を添加すると、その色以外の波長域での反射性は低下する。従って、上記の蛍光顔料を添加することで555nm近傍の反射率を増大させても、汎用の着色顔料で調色すると全体として反射性は低下してしまう。従って、調色にも、短波長域で励起し、長波長域で発光する蛍光顔料を用いることが必要である。
また、蛍光顔料は一般的に有機系のものが多く、耐光性に劣る。そのため、適当な紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤等を添加するのが好ましいが、更に効果的に耐光性を向上させるためには、紫外線の吸収性に優れるチタニアを含有する皮膜を最外層に設けることが有効である。
以上の知見に基づいて完成した本発明は、「金属板の少なくとも片面に反射性皮膜を有する塗装金属板であって、該反射性皮膜が、ベース皮膜成分中に白色チタニア顔料を全固形分に基づいて30〜60質量%含有し、かつ(a)発光スペクトルのピークが400〜480nmにある第1の蛍光顔料群、(b)発光スペクトルのピークが480〜580nmにある第2の蛍光顔料群、及び(c)発光スペクトルのピークが580〜700nmにある第3の蛍光顔料群のうち、第2の蛍光顔料群を含む少なくとも2つの群からそれぞれ少なくとも1種ずつ選ばれた蛍光顔料を含有し、該塗装金属板の450〜700nmの任意の波長における分光反射率が86%以上であって、JIS K 5600に示される(CIE 1976)L*a*b*色空間の色座標において、L*≧96、|a*|≦5、|b*|≦5であることを特徴とする、高反射性塗装金属板」である。
本発明の高反射性塗装金属板は、下記の1又は2以上の特徴をさらに備えることが好ましい:
・前記反射性塗膜が、少なくとも前記(a)の第1の蛍光顔料群から選ばれた1種以上の蛍光顔料及び前記(b)の第2の蛍光顔料群から選ばれた1種以上の蛍光顔料を含有する;
・前記反射性塗膜中の蛍光顔料の合計含有量が、ベース皮膜成分とチタニアとの合計量に対して0.1〜5質量%である;
・最外層として、白色チタニア顔料を3〜70質量%の量で含有し、蛍光性物質を含まない、厚さ3μm以上の皮膜を有する。
本発明によればまた、上記高反射性塗装金属板からなる、光源が蛍光灯である照明器具の反射板も提供される。
上記の分光反射率や色座標における各特性は、塗装金属板としての測定値である。従って、同じ皮膜であっても、基板金属板の種類によって測定値が変動することがある。なお、上記のチタニア顔料と少なくとも2種の蛍光顔料とを含有する皮膜の上に、さらに別の皮膜を外層として形成した塗装金属板の場合、前記の分光反射率や色座標の特性は、この外層皮膜を形成した後に測定した値である。
本発明の塗装金属板は、可視領域の全域にわたって高い反射性を示し、かつ人間の視感度が高い555nm近傍において特に高い反射率を示すが、反射率の変化は比較的平坦であって、着色は最小限に抑えられる。また、蛍光灯から照射される430〜440nmの波長域の水銀線(g線)を視感度のピークである555nm近傍に変換できる。従って、本発明の塗装金属板は、各種照明器具(例、蛍光灯、水銀灯、白熱灯等)の反射板として有用であり、中でも蛍光灯の反射板として有用である。それにより、照明器具の明るさが増し、器具効率を高めることができるので、省エネにつながる。
本発明の高反射性塗装金属板は、金属板の少なくとも片面に反射性皮膜を有し、この反射性皮膜が、
(1)白色顔料であるチタニア顔料を30〜60質量%の量で含有し、かつ
(2)下記(a)〜(c)の3つの蛍光顔料群のうち少なくとも2つの群からそれぞれ少なくとも1種ずつ選ばれた蛍光顔料をさらに含有する:
(a)発光スペクトルのピークが400〜480nmにある第1の蛍光顔料群、
(b)発光スペクトルのピークが480〜580nmにある第2の蛍光顔料群、及び
(c)発光スペクトルのピークが580〜700nmにある第3の蛍光顔料群。
チタニア(酸化チタン)は、隠蔽性の高い白色顔料であり、これを含有させることにより、皮膜に高い反射性を付与することができる。皮膜中のチタニア顔料の含有量が30質量%未満では、皮膜の隠蔽性が不足する。チタニア顔料の含有量が60質量%を超えると、顔料が多すぎて、皮膜の曲げ加工性が低下する。皮膜中のチタニア顔料の好ましい含有量は40〜60質量%の範囲である。
チタニア顔料はチタニア単体でよく、その場合のチタニアはルチル型、アナターゼ型等のいずれであってもよい。また、表面にAl23、SiO2、ZnO等を被覆したチタニア顔料、或いは硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等と複合化したチタニア顔料も使用できる。
チタニア顔料だけを含有させた皮膜は、可視領域の全域において非常に平坦な高い反射率を示す(それ故に白色顔料となる)が、本発明では、視感度が高い555nm近傍での反射率をさらに高めるために、上記のように、第1の蛍光顔料群(a)、第2の蛍光顔料群(b)、及び第3の蛍光顔料群(c)のうち少なくとも2つの群からそれぞれ少なくとも1種ずつ選ばれた蛍光顔料をさらに含有させる。
前述のように、第2の蛍光顔料群(b)に属する蛍光顔料の発光スペクトルのピークは、視感度のピークである555nmに近い480〜580nmにあり、視感度の低いより低波長の入射光を、視感度のピークである555nm近傍の光に変換させることができ、人間の目の視感度の観点からみた反射性の向上に特に有効である。この蛍光顔料は、特に蛍光灯が発する水銀線からエネルギーを吸収して、視感度の高い光に変換させることができる。
前述した特許文献2は、原理的には、チタニアを含有する皮膜にこの第2の蛍光顔料群(b)に属する1種又は2種以上の蛍光顔料を適量配合することによって、高反射性の塗装金属板としたものである。
しかし、蛍光顔料として、第2の蛍光顔料群(b)に属するものだけをチタニア含有反射性皮膜に含有させると、特許文献2に関して上述したように、480〜580nmの波長範囲の反射性は高くなるが、反射スペクトルは平坦化せず、他の波長域での反射性が低下して、皮膜の着色が強くなる。特に480nmより短波長側の反射性が低下する。
本発明によれば、反射特性(反射スペクトル)を可能な限り平坦にして、着色を抑制するために、上記の(a)〜(c)の蛍光顔料群のうち少なくとも2種以上の群から各1種ずつ以上選ばれた蛍光顔料をチタニア含有皮膜に含有させる。その結果、視感度が小さい可視波長域(即ち、450nm未満と700nm超の波長域)を除く、450〜700nmでの分光反射率が86%以上で、かつJIS K 5600に示される(CIE 1976)L*a*b*色空間の色座標において、L*≧96であって(これは、従来の塗装金属板に比べて反射性が有意に高く、明るいことを意味する)、さらに、この色座標において|a*|≦5、|b*|≦5である(これは、無彩色(a*=0、b*=0)と比べても違和感を生じない程度に着色が小さいことを意味する)、照明器具の反射板として最適の高反射性と着色の少なさを有する塗装金属板を得ることができる。望ましくは、|a*|≦3、|b*|≦3である。
使用する蛍光顔料は、(a)〜(c)の蛍光顔料群のうちいずれか2群以上から選択すればよい。しかし、上に説明したように、蛍光灯から照射される水銀線のようなエネルギーが強いより低波長の光を吸収して視感度のピークである555nm近傍の光に変換させることができるのは、第2の蛍光顔料群(b)の蛍光顔料であるので、蛍光顔料群(b)をまず選択することが好ましい。そして、(b)に属する蛍光顔料は、低波長側での反射性が低くなるので、それを補うために、より低波長側に発光スペクトルのピークを有する第1の蛍光顔料群(a)を組み合わせることが好ましい。さらに、第3の蛍光顔料群(c)の蛍光顔料も配合すると、塗装金属板の反射スペクトルはより一層平坦化する。
従って、本発明で使用する蛍光顔料としては、蛍光顔料群(a)〜(c)のうち、(a)から選んだ少なくとも1種と(b)から選んだ少なくとも1種の蛍光顔料を使用することが好ましく、より好ましくは(a)〜(c)の各群からそれぞれ少なくとも1種の蛍光顔料を使用する。
上記蛍光顔料の皮膜中の合計含有量は、ベース皮膜成分とチタニア顔料との合計量に対して0.1〜5質量%の範囲内とすることが好ましい。蛍光顔料の合計含有量が0.1質量%未満では、蛍光顔料による反射性向上効果が不十分である。一方、5質量%を超える蛍光顔料を含有させると、反射性がかえって低下することがある。蛍光顔料は、励起スペクトル以外にも吸収スペクトルを有するため、照射光の一部が吸収されるが、蛍光顔料の含有量が多過ぎると、この吸収により反射性が低下するためである。蛍光顔料のより好ましい合計含有量は、ベース皮膜成分とチタニア顔料との合計量に対して0.5〜3質量%の範囲内である。
(a)〜(c)の各群の蛍光顔料の量の割合は特に制限されるものではなく、平坦かつ高度の反射性、即ち、450〜700nmでの分光反射率が86%以上で、かつJIS K 5600に示される(CIE 1976)L*a*b*色空間の色座標において、L*≧96、|a*|≦5、|b*|≦5である塗装金属板が得られるように決定すればよい。
高反射性の皮膜は、上記のチタニア顔料と蛍光顔料以外に、他の顔料を含有していてもよい。他の顔料としては、チタニア以外の白色顔料、着色顔料、防錆顔料などが挙げられる。ただし、着色顔料を添加すると、前述の理由で反射性が低下するので、添加しないか、最小限にとどめることが望ましい。従って、本発明の塗装金属板の外観は通常は白色又は淡色である。
皮膜中の顔料の合計量、即ち、チタニア顔料、蛍光顔料、及び存在すれば他の顔料の合計量は、80質量%を超えないことが好ましい。
一般に、蛍光顔料は有機物であり、耐光性に劣るため、皮膜に紫外線吸収剤又はラジカル捕捉剤のような適当な耐光性向上成分を適量配合して、塗装金属板の耐光性を向上させることが好ましい。
塗装金属板の耐光性を更に効果的に向上させるには、紫外線の吸収性に優れるチタニア顔料を含有し、蛍光性物質(蛍光を発する物質、蛍光顔料を包含する)を含まない皮膜を、最外層に設けることが有効である。この最外層が薄過ぎると、下層の皮膜に含有される蛍光顔料の耐光性を改善する効果が小さいため、最外層は3μm以上の厚さとすることが望ましい。また、この最外層が厚過ぎると、下層に含有される蛍光性物質による反射性向上効果が発現し難いため、最外層の厚みの上限は20μmが好ましく、15μmがより好ましい。
この最外層は、本発明に従って形成するチタニア顔料と2群以上から選んだ蛍光顔料とを含有する皮膜のすぐ上に形成することができるが、この皮膜と最外層との間にさらに別の皮膜を介在させることも可能である。この最外層におけるチタニア顔料の含有量は3〜70質量%であり、好ましくは5〜60質量%である。
上述した蛍光顔料を含む皮膜や最外層皮膜を含む各皮膜において、そのバインダとなるベース皮膜成分は特に制限されない。一般的な有機樹脂であっても、無機物であってもよい。代表的な有機樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。無機物としては、シリカ、チタニアで代表される金属酸化物(例、金属アルコキシド又はハロゲン化物の加水分解と縮合で形成される)が例示される。
本発明の塗装金属板は、適宜希釈したバインダ又は溶媒に溶解ないし分散させたバインダに、チタニアと上記蛍光顔料と、使用する場合にはさらに追加の顔料や耐光性向上成分を添加し、それらを均一に分散させることによって塗料を調製し、その塗料を基板の金属板に塗装し、必要に応じて塗膜を焼付けることによって、高反射性の皮膜を形成することにより製造される。この塗料には、塗料に慣用されている各種添加剤、例えば、平滑剤、消泡剤、分散剤等も所望に応じて添加できる。塗料は水系でも溶剤系でもよい。
形成された高反射性皮膜の厚みは5〜100μmの範囲とするのが好ましく、より好ましくは10〜50μmの範囲である。皮膜が薄過ぎては、隠蔽性と反射性が不十分となり、皮膜が厚過ぎると加工性が低下する。塗装は、基板の片面に行っても、両面に行ってもよい。
塗装は、金属板の塗装に慣用されている各種の方法(例、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、浸漬、バーコート、刷毛塗り等)で実施できる。焼付け条件は、使用したバインダ又は有機樹脂に応じて設定され、当業者であればその設定は容易になしうる。
基板となる金属板としては、鋼板、めっき鋼板、アルミニウム板、チタン板などが挙げられるが、これらに制限されない。めっき鋼板の例は、亜鉛又は亜鉛合金めっき鋼板、アルミニウム又はアルミニウム合金めっき鋼板、錫めっき鋼板などである。鋼板は、ステンレス鋼板その他の合金鋼板も含む。
高反射性皮膜を形成するための塗料を塗装する前に、塗膜密着性、防錆性、塗装仕上がりなど向上させる目的で、基板の金属板に、下地処理、下塗り(プライマー)や中塗りの塗装などを施すことも可能である。これらは従来技術に従って実施すればよい。また、本発明の塗料を塗装した後に、クリアー皮膜などの透明保護皮膜を形成してもよい。
(高反射性塗料の調製)
下記の顔料を用意した。
(1)白色顔料:チタニア顔料、石原産業製「タイペークCR−50」
(2)蛍光顔料A:400〜480nmに発光スペクトルのピークを有する蛍光増白剤、チバ・ジャパン製「UVITEX OB」(発光ピーク波長:約440nm)
(3)蛍光顔料B−1:480〜580nmに発光スペクトルのピークを有する蛍光顔料、DayGlo社製「LFY」(発光ピーク波長:約500nm)
(4)蛍光顔料B−2:480〜580nmに発光スペクトルのピークを有する蛍光顔料、DayGlo社製「CH 5510」(発光ピーク波長:約510nm)
(5)蛍光顔料C−1:580〜700nmに発光スペクトルのピークを有する蛍光顔料、DayGlo社製「OY 5512」(発光ピーク波長:約590nm)
(6)蛍光顔料C−2:580〜700nmに発光スペクトルのピークを有する蛍光顔料、DayGlo社製「OG 5513」(発光ピーク波長:約600nm)
固形分基準で、バインダ成分(ポリエステル樹脂とメラミン架橋剤)45質量部と白色顔料の上記チタニア顔料55質量部とを、ボールミルを用いて分散混合することにより、チタニア含有ベース塗料を作製した。溶媒としては適量のシクロヘキサノンを用いた。このベース塗料100質量部に対して、上記蛍光顔料の1種又は2種以上を表1に示す種々の量で添加し、ボールミルを用いて分散混合することによって試験用の反射性塗料を調製した。
(塗装金属板の調製)
基板として、厚さ0.5mmの冷間圧延鋼板を母材としたJIS−G3302に規定される溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量は片面あたり60g/m2)を使用した。この基板の片面に、上記の各反射性塗料を、乾燥膜厚が35μmとなるようにバーコータで塗装し、220℃で50秒間の焼付けを行って、反射性塗装金属板を得た。
得られた塗装金属板の塗装面の反射スペクトルを、マクベス社製分光光度計CE−2145を用いて測定した。また、色調をミノルタ(株)製色差計CR−300で測定した。
反射性の評価指標としては、450〜700nmの分光反射率が86%以上であり、かつ、JIS K 5600に示される(CIE 1976)L*a*b*色空間の色座標において、L*≧96であるものを反射性に優れると評価した。また、(CIE 1976)L*a*b*色空間の色座標において、|a*|≦5、|b*|≦5であるものを、平坦な反射特性を有し、着色の小さいものと評価した。試験結果も表1に併記する。
Figure 0005024211
表1に示すように、蛍光顔料を用いないか、1種類のみを単独で添加した皮膜をもつ塗装金属板には、450〜700nmでの分光反射率が86%以上であって、かつL*値が96以上であるものはなかった。また、選択した蛍光顔料の種類によっては、|a*|と|b*|の一方又は両方が5を超え、反射特性の平坦度に劣り、従って、着色が強くなった。
一方、本発明に従って発光スペクトルのピーク波長が異なる(a)〜(c)の2群以上から選んだ2種以上の蛍光顔料を添加した皮膜をもつ塗装金属板では、両者を満足させることができ、高い反射性を有する塗装金属板を得ることができる。また、|a*|≦5、かつ|b*|≦5の条件を満たし、さらには|a*|≦3、|b*|≦3とすることも可能であって、反射スペクトルが平坦で、無彩色(a*=0、b*=0)と比べても違和感のない、ほぼ白色の照明器具反射板用に適した塗装金属板を得ることができた。
図1〜6に比較例1、2、3、5、7、9の塗装金属板の反射スペクトルを、図7〜9に実施例1、3及び6の塗装金属板の反射スペクトルをそれぞれ示す。
図1は、顔料としてチタニアのみを含有し、蛍光顔料を全く添加していない皮膜をもつ比較例1の塗装金属板の反射スペクトルである。450〜700nmの波長域での反射スペクトルが非常に平坦であり、色座標での|a*|と|b*|の値が極めて小さいことと一致していた。しかし、チタニアのみでは、色座標のL*値が目標の96を下回り、反射性が不十分であった。
図2は、蛍光顔料として、発光スペクトルのピークが400〜480nmにある第1の蛍光顔料群(a)のみを添加した皮膜をもつ比較例2の塗装金属板の反射スペクトルである。450nmより短波長側に100%を超える非常に高い反射スペクトルのピークが現れるが、なお色座標のL*値が目標の96より小さかった。また、上記反射スペクトルのために、塗装金属板の外観は青みを帯びていた。
図3及び図4は、発光スペクトルのピークが480〜580nmにある第2の蛍光顔料群(b)に属する異なる蛍光顔料を単独で添加した皮膜をもつ、比較例3及び5の塗装金属板の反射スペクトルである。500nmより長波長側の反射性が高くなり、特に視感度のピークである555nmでの反射率は非常に高い(それが、高いL*値に反映している)が、反射スペクトルの平坦性に劣っていた。
図5及び図6は、発光スペクトルのピークが580〜700nmにある第3の蛍光顔料群(c)に属する異なる蛍光顔料を単独で添加した皮膜をもつ、比較例7及び9の塗装金属板の反射スペクトルである。580nmより長波長側の反射性が高くなるが、反射スペクトルの平坦性はやはり劣っていた。特に450〜500nmの波長域での反射率が低いため、塗装金属板の外観が赤みを帯びていた。
図7〜9は、本発明に従って2群以上の蛍光顔料を添加した塗装金属板の例として、それぞれ実施例1、3及び6の塗装金属板(実施例1は(a)と(b)の2群の蛍光顔料を各1種ずつ、実施例3及び6は(a)〜(c)の3群すべての蛍光顔料を各1種ずつ含有)の反射スペクトルを示す。図中の点線は、反射性は低いが平坦性に優れた、図1に示した比較例1(蛍光顔料を添加せず)の反射スペクトルを示す。
図7〜9に示した実施例1、3及び6の塗装金属板では、比較例1の蛍光顔料を含有しない塗装金属板に比べて、視感度のほとんどない450nm未満の波長域での吸収がやや低下したが、450〜550nmの波長域での反射性は向上していた。このように、視感度の低い波長域の反射スペクトルが、視感度のピークである555nmに近い波長域にシフトし、かつ比較的平坦な反射特性を有するため、着色が小さく、かつ、表1に示すようにL*値が96以上と高い塗装照明器具反射板用塗装金属板を得ることができた。
表1の実施例6及び7の塗装金属板の塗装面の上に、白色顔料としてチタニアを含有する皮膜を乾燥膜厚が3μm又は10μmとなるようにバーコータで塗装し、焼付けを行って、上層皮膜(最外層皮膜)を形成した。使用した塗料は、チタニア、バインダ及び溶媒は上記と同じであり、全固形分に基づくチタニアの含有量は55質量%であった。
これらの塗装金属板と上層皮膜のない実施例6及び7の塗装金属板について、サンシャインウェザーメーターを用いて耐光性促進試験を120時間行った後の分光反射率と色調を上記と同様にして測定した。試験結果を、耐光性促進試験前の結果と一緒に表2に示す。表中のΔEは試験前のものとの色調差である。
Figure 0005024211
表2に示す通り、外層としてチタニアを含有する薄い皮膜を設けることによって、耐光性が改善された(ΔEが低下した)照明器具反射板用塗装金属板を得ることができる。上層皮膜の膜厚が10μmと厚い方が、耐候性の改善効果が大きかった。
比較例1の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 比較例2の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 比較例3の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 比較例5の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 比較例7の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 比較例9の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 実施例1の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 実施例3の塗装金属板の反射スペクトルを示す。 実施例6の塗装金属板の反射スペクトルを示す。

Claims (5)

  1. 金属板の少なくとも片面に反射性皮膜を有する塗装金属板であって、
    該反射性皮膜が、ベース皮膜中に白色チタニア顔料を全固形分に基づいて30〜60質量%含有し、かつ(a)発光スペクトルのピークが400〜480nmにある第1の蛍光顔料群、(b)発光スペクトルのピークが480〜580nmにある第2の蛍光顔料群、及び(c)発光スペクトルのピークが580〜700nmにある第3の蛍光顔料群のうち、第2の蛍光顔料群を含む少なくとも2つの群からそれぞれ少なくとも1種ずつ選ばれた蛍光顔料を含有し、
    該塗装金属板の450〜700nmの任意の波長における分光反射率が86%以上であって、JIS K 5600に示される(CIE 1976)L*a*b*色空間の色座標において、L*≧96、|a*|≦5、|b*|≦5であることを特徴とする、高反射性塗装金属板。
  2. 前記反射性塗膜が、少なくとも前記(a)の第1の蛍光顔料群から選ばれた1種以上の蛍光顔料及び前記(b)の第2の蛍光顔料群から選ばれた1種以上の蛍光顔料を含有する、請求項1に記載の高反射性塗装金属板。
  3. 前記反射性塗膜中の蛍光顔料の合計含有量が、ベース皮膜成分とチタニア顔料との合計量に対して0.1〜5質量%である、請求項1又は2に記載の高反射性塗装金属板。
  4. 最外層として、白色チタニア顔料を3〜70質量%の量で含有し、蛍光性物質を含まない、厚さ3μm以上の皮膜を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の高反射性塗装金属板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高反射性塗装金属板からなる、光源が蛍光灯である照明器具の反射板。
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