JP4585965B2 - 光反射性塗装金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、光反射性に優れた塗装金属板に関し、詳細には、長期的に安定して高い光反射率を維持し、例えば液晶パネルの反射板や照明器具の反射板などとして使用したときに、高い輝度を長期的に持続する光反射性と耐光性に優れた塗装金属板に関するものである。
光反射性の塗装金属板は、少ない消費電力で高度の明るさが得られる照明器具の反射板等として用いられている。例えば特許文献1では、白色顔料として酸化チタン(TiO)を含む樹脂塗膜を金属板上に形成することで、光反射率を高めている。また、特許文献2には、酸化チタンに加えて、視感度の低い(人間の目で明るさを感じにくい)波長の光を吸収し、視感度の高い光へと変換して発光する蛍光顔料を使用することで、より明るく感じることのできる照明器具用反射板が開示されている。
他方、液晶表示装置の輝度を高めてより明るい表示画面を得るため、種々の反射シートが提案されている。この種の反射シートとしては、例えば、多数の微細気泡を発生させることで白化させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(特許文献3など)や、高分子フィルムの表面にAlやAg等の金属薄膜を積層したもの(特許文献4など)が知られている。
ところで、液晶表示装置における反射シートの設置位置は光源に近接しているため、反射シートには耐熱性が求められる。ところが、上記従来のフィルム材料は耐熱性に劣るため、加工が容易で且つ耐熱・耐久性に優れた金属板そのものを反射板として利用する研究が進められている。また上記特許文献3では、反射シートに放熱シートを更に積層して放熱性を高めることも試みられているが、プラスチック材料は、それ自身が放熱性に劣るため、放熱性に優れた金属板を反射シートの基材として使用することの意義が高まっている。
特開2001−243819号公報 特開2003−73624号公報 特開2004−101693号公報 特開2004−145239号公報
本発明者らは上記の様な状況の下で、前記特許文献2に記載されている如く蛍光顔料を併用した反射板に注目して研究を行ったところ、初期の反射率は良好であるが、経時的に反射率が低下してしまうことがあることを知った。そこで、長期的に安定して高い光反射率を持続し得る様な塗装金属板の提供を期して研究を重ね、その成果として特願2004−234792号に記載の発明を開発し、特許出願を済ませた。
この先願発明は、白色顔料とバインダー樹脂を含む多層構造の光反射性塗装金属板において、少なくとも1つの塗膜層内に反射率向上成分として蛍光性物質を配合することとし、且つ、蛍光性物質を含む塗膜層の上層側には蛍光性物質を含まない塗膜層を形成することで蛍光性物質の光劣化を抑制し、耐光性を高めて光反射率の持続性を向上させたものである。
即ち蛍光性物質は、光線(特に紫外線)の照射を受けて徐々に劣化し蛍光特性を失っていくが、光は波長が短いほどエネルギーが大きく、蛍光性物質の分解を加速する。一方、光は波長が短いほど塗膜を透過するときの減衰量が大きいため、塗膜が厚くなると深部までエネルギーが及び難くなり、深部側に含まれる蛍光性物質は劣化し難い。
そこで上記先願発明では、蛍光性物質を含む塗膜層の上層側に、光減衰層として蛍光性物質を含まない塗膜層を形成することにより、蛍光性物質を含む塗膜層への光エネルギーの到達量を低減し、その結果として、蛍光性物質の光劣化を抑制し蛍光発色の持続性を高めることができるのである。
ところが、この手法で蛍光性物質の光劣化を抑制するには、最上層の塗膜厚さを厚くしなければならず、塗膜コストがアップするばかりか、厚くするほど得られる耐光性向上効果は緩慢になるため、実用性を考えると更なる改善が求められる。
本発明はこの様な状況の下でなされたものであって、その目的は、上層側の塗膜層厚さをそれほど厚くせずとも、下層側の蛍光物質含有層に到達する紫外線量を効果的に低減することができ、蛍光特性を長期的に持続し得る様な塗膜構成を明らかにし、その結果として、光反射性に優れると共にその反射性を長期的に持続し得る様な塗装金属板を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る光反射性塗装金属板は、白色顔料とバインダー樹脂を含む光反射性層が複数積層された構造を有する光反射性塗膜を備えた光反射性塗装金属板であって、該光反射性塗膜の少なくとも最表層は、蛍光性物質を含まない厚さ5μm以上の層であり、且つ、蛍光性物質を含む層もしくはその上層側には、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂層を存在せしめたところに特徴を有している。
本発明の上記塗装金属板において、上記光反射性塗膜における最表層の好ましい厚さは5〜50μmの範囲であり、また、メラミン架橋を有する上記ポリエステル系樹脂層は、蛍光性物質を含む層よりも表層側に設けることが望ましい。反射層内に含有させる白色顔料の種類は特に制限されないが、実用性を考慮して最も好ましいのは酸化チタンである。また、光反射性塗膜が形成されている面の反対側には、放熱性塗膜が形成されていてもよい。
複数積層構造を有する光反射性塗膜において、最表層に蛍光性物質を含ませないことに加えて、蛍光性物質を含む層よりも上の層にはバインダー樹脂としてメラミン架橋を有するポリエステル系樹脂を含有させることで、蛍光性物質含有層まで到達する紫外線量を大幅に低減することができ、その結果として蛍光性物質の寿命が大幅に延長され、長期的に安定して高い反射率を示す光反射性塗装金属板を提供できる。また、裏面側に放熱性塗膜を形成した塗膜構成とすれば、光反射性と共に放熱性も向上し、例えば液晶表示装置の反射板などとして有効に活用できる。そして本発明の反射塗装金属板は、液晶表示装置の反射板以外にも、光を反射させる必要のある種々の部材に幅広く活用できる。
本発明の光反射性塗装金属板は、積層構成の光反射性塗膜を有しており、該反射性塗膜は、バインダー樹脂に酸化チタン等の白色顔料を配合して反射率を高める他、反射率を一段と高めるため蛍光性物質を含有させている。蛍光性物質を含まない塗膜の場合、白色顔料として用いる例えば酸化チタンは430nm以下の光を吸収するため、塗膜やシートの反射率向上手段として一般的に採用される膜厚を厚くする手法でも、400〜430nmの光の反射率が上がらず、結果として全反射率は従来品(微細気泡含有PETフィルム)には及ばない。
ところが蛍光性物質は、波長400nm以下の紫外線を吸収して可視光を放射することで反射率を高める作用を有しているため、白色顔料と蛍光性物質の併用は反射率の増大に有効な手段となる。しかし、白色顔料として酸化チタンを使用し、これと蛍光性物質を含む樹脂塗膜を形成したサンプルについて、キセノンウエザーメーターを用いて耐光性促進試験を行ったところ、反射率が経時的に低下してしまう現象が認められた。これは、蛍光性物質が紫外線によって分解し、可視光を放射する作用が経時的に低下したためと考えられる。
また、最表層に含まれる蛍光性物質が紫外線によって分解した後でも、最表層は依然として相当の紫外線吸収能を有しているため、その後も最表層で紫外線が吸収されると考えられる。その結果、最表層よりも下側の層(より金属板に近い層)に含まれている蛍光性物質が、紫外線を吸収して可視光を放射することができなくなり、反射率向上効果が徐々に発現できなくなると考えられる。そこで、この反射率の経時低下についての対策を検討したところ、前掲の先願発明で明らかにした様に、光反射性塗膜の最表層には蛍光性物質を含ませないことが効果的であることを突き止めた。
そこで本発明では該先願発明の技術思想を活かし、第1の要件として、光反射性塗膜の最表層は蛍光性物質を含有させないこととした。
但し、この手法だけで耐光性の低下を抑えるには最表層を厚肉にしなければならず、コスト高となる。そればかりか、光反射性塗膜層全体が厚肉になって塗装金属板が分厚いものとなり、最終製品の軽量化やコンパクト性を阻害する原因になるため、更なる改善が求められる。
そこで、更なる改善を期して研究を重ねた結果、蛍光性物質を含む層を含めて当該層もしくはそれより上の層に含まれるバインダー樹脂成分として、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂を使用すれば、他の架橋剤を含むポリエステル系樹脂を用いた場合に較べて耐光性が一段と改善されることが確認された。しかも、耐光性が高められるにつれて、蛍光性物質の反射率向上効果が損なわれることが懸念されたが、意外にも反射率の顕著な低下は見られなかった。その理由は未解明であるが、蛍光性物質の蛍光を発揮させる紫外線の波長域に比べて、蛍光性物質を劣化させる紫外線の波長域の方が短く、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂がその短い波長域の紫外線を選択的に吸収したためと考えている。
従って、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂は、蛍光性物質が含まれる層内のバインダー樹脂の少なくとも1部として含有させても構わないが、より好ましいのは、蛍光性物質が含まれる層よりも上方に位置する層に含有させるのがよく、より好ましいのは最表層に含有させることである。また、メラミン架橋を有する上記ポリエステル系樹脂は、蛍光性物質を含む層またはそれより上の層の1層のみに含有させておくだけでその効果を発揮するが、2つ以上の層に含有させればその効果が一段と有効に発揮され、その結果として多層積層構造の光反射性塗膜全体を薄肉にできるので好ましい。
ところで、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂は、自己縮合反応に由来して一般に高い架橋密度を有しているため加工性が悪く、特に塗膜が厚くなると塗装金属板を曲げ加工する際に塗膜割れを起こすことが懸念される。しかしこの懸念は、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂を含む層の下層側に、イソシアネートまたはブロックイソシアネートを架橋剤に用いたポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として用いた塗膜を形成しておくことで解消される。
従って、優れた耐光性と加工性が求められる用途に適用する場合の最良の形態は、最表層側を、白色顔料とメラミン架橋を有するポリエステル系樹脂バインダーを含む層とし、下層側は、白色顔料と蛍光性物質およびイソシアネート(またはブロックイソシアネート)を架橋剤に用いたポリエステル系樹脂バインダーを含む層とする2層構造以上の塗膜構成のものである。
かくして本発明によれば、先願発明に比べて反射率の経時低下が一段と少なく、且つ、相対的に薄肉で高い反射率を長期的に持続する光反射性塗装金属板を提供できる。
なお、本発明において、特に波長を限定せずに「反射率」と言うときは、400〜700nmの間を20nm毎に反射率を日本電色工業社製の色差計Σ90で測定し、下式にて求めた全反射率(%)を意味する。なお、下式において、R(λ)は波長λでの反射率を示す。
(全)反射率={[R(400)+R(420)+…R(660)+R(680)]+[R(420)+R(440)+…R(680)+R(700)]}×20÷2÷(700−400)
本発明において、耐光性の向上に重要となる最表層は5μm以上の厚さが必要であり、薄過ぎると、下層側に存在する蛍光性物質の光劣化を満足に防止できなくなる。ただし、蛍光性物質を含まないこの最表層が厚くなり過ぎると、メラミン架橋ポリエステル系樹脂の使用にも拘らず下層側に存在する蛍光性物質の反射率向上効果が発現され難くなるので、最表層の厚さは80μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは40μm以下とするのがよい。
本発明に係る光反射性塗装金属板における光反射性塗膜は、上記最表層と、蛍光性物質を含む層との2層タイプ、最表層−蛍光性物質を含む層−蛍光性物質を含まない層の3層タイプ、最表層−蛍光性物質を含む層−蛍光性物質を含まない層−蛍光性物質を含む層の4層タイプ等、様々な層構成を採用することができるが、いずれの場合も、蛍光性物質を含む層またはそれより上の層の少なくとも1つの層には、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂の含有を必須とする。なお、最表層が、バインダー樹脂の種類が異なる2層または3層以上を積層したものであっても、いずれの層にも蛍光性物質が含まれていない場合には、両層を併せて最表層と考え、その1方または双方にメラミン架橋を有するポリエステル系樹脂を含有させればよい。
光反射性塗膜の厚みは特に制限されないが、好ましいのは、最表層を含めて30〜150μm程度である。
本発明において、バインダーとして用いる樹脂は、塗料分野で公知の樹脂がいずれも使用でき、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、ポリエステル系樹脂、或は変性ポリエステル系樹脂(エポキシ変性ポリエステル系樹脂、フェノール誘導体を骨格に導入したポリエステル系樹脂等の熱硬化性ポリエステル系樹脂または不飽和ポリエステル系樹脂)である。
耐光性を高めるために用いる前記メラミン架橋ポリエステル系樹脂、或は加工性改善のために用いるイソシアネート(またはブロックイソシアネート)架橋ポリエステル系樹脂は、上記バインダー樹脂とは別に使用してもよいが、好ましいのはバインダー樹脂を兼ねて使用することである。
白色顔料としては、酸化チタンや酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられるが、耐光性や反射率を高める上で特に好ましいのは酸化チタンであり、アナターゼ型、ルチル型いずれも使用可能である。中でも耐光性の観点から特に好ましいのはルチル型の酸化チタンである。粒径は、0.1〜1μm程度が好ましい。樹脂への分散性を高めるため、アルミナ、シリカ、ジルコニア等で表面処理した酸化チタンも好ましく使用できる。バインダー樹脂に対する白色顔料の配合量は、両者の合計(メラミン架橋ポリエステル系樹脂やイソシアネートまたはブロックイソシアネート架橋ポリエステル系樹脂を添加する場合はそれらを含めた合計)を100質量%としたときに、白色顔料を30〜70質量%の範囲にするのがよい。少ないと反射率が低くなり、多過ぎると、塗膜としての機械的強度が低下する恐れがあるからである。
蛍光性物質としては、紫外線領域(400nm未満)の光を吸収し、可視光(400nm以上)として放射することのできる物質であれば全て使用可能である。例えば、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキサゾリル(2)]チオフェンは、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「UVITEX OB」(最大吸収波長375nm;最大放射波長435nm)として市販されており、またその他の蛍光性物質は、日本化学工業所製の商品名「ニッカフローSC200」、日本化薬社製の商品名「カヤライトK」などとして入手できる。
蛍光性物質を含む層における蛍光性物質の量は、層中0.1〜15%が好ましい。少な過ぎても多過ぎても反射率向上効果が発現し難くなるからである。下限は0.4%がより好ましく、0.8%が更に好ましい。また、上限は10%がより好ましく、8%が更に好ましい。
金属板上に光反射性塗膜を形成するには、バインダー樹脂と白色顔料を含む塗膜形成用塗料(蛍光性物質、或は更にメラミン架橋ポリエステル系樹脂やイソシアネート架橋樹脂を含む層を形成するときには、更にそれらを含む)を調製し、公知の塗布方法、すなわち、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法、バーコート法、ディッピング法等を用いて、金属板表面に少なくとも2層以上に塗工すればよい。塗膜形成用塗料が溶剤を含む場合や、バインダー樹脂が熱架橋するタイプの場合は、塗工後に加熱することが好ましい。塗膜形成用塗料には、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化チタン以外の顔料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の塗料分野で公知の添加剤を適宜添加してもよい。
金属板としては、鋼板や各種金属板を用いることができ、めっき処理や、各種公知の下地処理等が施されていても構わない。また光反射性塗膜の上にクリアー塗膜等の公知の保護膜が形成されていてもよい。
本発明の反射性塗装金属板を、液晶表示装置の反射板として使用する場合には、反射性塗膜が形成されている面の反対側に放熱性塗膜を設け、放熱性を付与することが望ましい。放熱性塗膜としては、粒径5〜100nmの黒色添加剤(カーボンブラック、Fe、Co等)を前述した様なバインダー樹脂(好ましくは、変性ポリエステル系樹脂と架橋剤との併用系)に4〜15質量%(塗膜中での量)添加した3〜30μm程度の厚さの塗膜が好ましい。また、塗膜に導電性が求められる場合は、導電性フィラー(Ni、Ag、Zn、Fe等)を10〜50質量%(塗膜中の含量)含ませるとよい。なお、放熱性塗膜については、本件出願人が先に開示した特開2004−74412号に詳細に説明されており、この公報に記載の放熱性塗膜が形成された反射性塗装金属板は、全て本発明に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実験例1
(No.1〜19)
厚さ0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板に、バーコーターで各層の塗膜厚が20μmまたは25μmとなる様に光反射性塗料を塗布した後、焼付け炉で到達板温が220℃となる様に120秒間焼付けを行って光反射性塗膜を形成した。表1に塗膜の積層構成を示す。
塗膜の各層を構成するバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製の商品名「バイロン29XS」)100質量部にメラミン樹脂(住友化学社製の商品名「スミマールM−40ST」)(符号M)を20質量部加えたもの、またはブロックイソシアネート(日本ポリウレタン社製の商品名「コロネート2507」)(符号I)を20質量部加えたものを使用し、白色顔料としては酸化チタン(テイカ社製の商品名「JR−603」、平均粒径0.28μm)を50質量%添加した。また蛍光物質としては、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「UVITEX OB」(符号O)、日本化学工業所製の商品名「ニッカフローSC200」(符号S)または日本化薬社製の商品名「カヤライトK」(符号K)を1質量%または2質量%添加した。
この実験例において、光反射性塗膜は、鋼板側から見て1層目、2層目、3層目、4層目と数える。そして表1に示す4層タイプのもので、蛍光性物質が含まれる層の上層側に蛍光性物質を含まない層が形成されており、且つ、該蛍光性物質が含まれる層若しくはそれよりも上層側にメラミン架橋構造のポリエステル系樹脂が含まれているものが実施例、また、蛍光性物質が含まれる層若しくはそれよりも上層側にメラミン架橋構造のポリエステル系樹脂が含まれていないものが比較例である。
各光反射性塗装金属板について行った耐光性試験結果を表2に示す。表2中、「耐光性試験後」とあるのは、キセノンウエザーメーターを用いて、ブラックパネル温度63℃、降雨なしの条件で、500時間耐光性促進試験を行った後の全反射率である。
Figure 0004585965
Figure 0004585965
表1,2において、No.1,2,3はメラミン架橋を有する塗膜層が蛍光物質を含む層の上層側に存在する実施例であり、No.4,5,6の比較例に比べて耐光性保持率が高く、低下量も少ない。No.4は、蛍光性物質を含む塗膜層中にメラミン架橋を有する実施例であり、やはり、当該層にも又その上の層にもメラミン架橋が導入されていないものよりも優れた耐光性が得られている。尚、No.4よりもNo.1〜3のほうが優れた耐光性を示していることから、メラミン架橋を有する塗膜層は蛍光性物質を含む塗膜層の上層側に設けた方が効果的であることが分かる。
No.8,9は、蛍光性物質を含む層の上層側にメラミン架橋を有する塗膜層が形成された実施例であり、No.10,11,12の比較例に比べて格段に優れた耐光性を有している。尚、これらの例では、比較例の方が実施例よりも高い初期反射率を有しているが、比較例では耐光性試験によって反射率が大幅に低下するため、品質の長期安定性や製品寿命の観点からすると、実施例の方が明らかに優れたものといえる。
また、No.13,14,15の実施例とNo.16,17の比較例、およびNo.18の実施例とNo.19の比較例からも、同様に、蛍光性物質を含む塗膜層の上層側にメラミン架橋を有する塗膜層を設けることで、耐光性が大幅に改善されることを確認できる。
実験例2
上記実験例1における光反射性塗装金属板No.1の裏面(光反射性塗膜面の反対側)に放熱性塗膜を形成した。放熱性塗膜は、前記ポリエステル樹脂50質量%、前記メラミン樹脂10質量%、黒色添加剤としてのカーボンブラック(「MA100」;三菱化学社製)10質量%、導電性フィラーとしてのNi粉末(「HCA−1」;山石金属社製;)30質量%からなり、厚みは9μmである。
放熱性の評価は、赤外線積分放射率と放熱性により行った。赤外線積分放射率は、以下の方法で測定した。
装置:日本電子(株)製「JIR−5500型フーリエ変換赤外分光光度計」
および放射測定ユニット「IRR−200」
測定波長範囲:4.5〜15.4μm
測定温度:試料の加熱温度を100℃に設定する
積算回数:200回
分解能 :16cm−1
上記装置を用い、赤外線波長域(4.5〜15.4μm)における試料の分光放射強度(実測値)を測定した。上記試料の実測値は、バックグラウンドの放射強度および装置関数が加算/付加された数値として測定されるため、これらを補正する目的で放射率測定プログラム[日本電子(株)製放射率測定プログラム]を用い、積分放射率を算出した。算出方法の詳細は以下の通りである。
Figure 0004585965
式中、
ε(λ) :波長λにおける試料の分光放射率(%)
E(T) :温度T(℃)における試料の積分放射率(%)
M(λ,T) :波長λ、温度T(℃)における試料の分光放射強度
(実測値)
A(λ) :装置関数
KFB(λ) :波長λにおける固定バックグラウンド(試料によって
変化しないバックグラウンド)の分光放射強度
KTB(λ,TTB):波長λ、温度TTB(℃)におけるトラップ黒体の
分光放射強度
KB(λ,T) :波長λ、温度T(℃)における黒体の分光放射強度
(プランクの理論式からの計算値)
λ,λ :積分する波長の範囲
をそれぞれ意味する。
ここで、上記A(λ:装置関数)、及び上記KFB(λ:固定バックグラウンドの分光放射強度)は、2つの黒体炉(80℃、160℃)の分光放射強度の実測値、及び当該温度域における黒体の分光放射強度(プランクの理論式からの計算値)に基づき、下記式によって算出したものである。
Figure 0004585965
式中、
M160℃(λ,160℃):
波長λにおける160℃の黒体炉の分光放射強度(実測値)
M80℃(λ,80℃):
波長λにおける80℃の黒体炉の分光放射強度(実測値)
K160℃(λ,160℃):
波長λにおける160℃の黒体炉の分光放射強度
(プランクの理論式からの計算値)
K80℃(λ,80℃):
波長λにおける80℃の黒体炉の分光放射強度
(プランクの理論式からの計算値)
をそれぞれ意味する。
なお、積分放射率E(T=100℃)の算出に当たり、KTB(λ,TTB)を考慮しているのは、測定に当たり、試料の周囲に、水冷したトラップ黒体を配置している為である。上記トラップ黒体の設置により、変動バックグランド放射(試料によって変化するバックグラウンド放射を意味する。試料の周囲からの放射が試料表面で反射されるため、試料の分光放射強度の実測値は、このバックグランド放射が加算された数値として表れる)の分光放射強度を低くコントロールすることができる。上記のトラップ黒体は、放射率0.96の疑似黒体を使用しており、前記KTB[(λ,TTB):波長λ、温度TTB(℃)におけるトラップ黒体の分光放射強度]は、以下の様にして算出する。
KTB(λ,TTB)=0.96×KB(λ,TTB)
式中、KB(λ,TTB)は、波長λ、温度TTB(℃)における黒体の分光放射強度を意味する。
放熱性塗膜を形成した光反射性塗装金属板の赤外線放射率は、表面(光反射性塗膜側)が0.85、裏面(放熱性塗膜側)が0.86であった。また、放熱性塗膜を付けない場合、裏面の放射率は0.04であった。
一方、放熱性(ΔT)の評価は図1に示した放熱性評価装置で行った。図1は、内部空間が100mm(縦)×130mm(横)×100mm(高さ)である直方体の装置の側部断面図である。図1中、1は供試材(被験体、測定面積は100×130mm)、2は断熱材、3は発熱体[底面積は1300mm、当該発熱体面積内で引ける最も長い直線の長さ(図1では、対角線の長さ)は164mm]、5は測温装置である。発熱体3には、シリコンラバーヒーターを用い、その上にアルミ板(赤外線放射率は0.1以下)を密着したものを使用する。また、図1のT1位置[内部空間の中央部(発熱体3から50mm上方)]に、測温装置5として熱電対を固定する。発熱体からの熱輻射の影響を排除する目的で、熱電対の下部をカバーしておく。また、断熱材2は、赤外線放射率が0.03〜0.06の金属板[例えば電気亜鉛めっき鋼板(JIS SECC等)]であり、T1位置の雰囲気温度(絶対値温度)が約73〜74℃の範囲になる様に、あらかじめ断熱材2の貼り方等を調整しておく。なお、放熱性の測定は、外気温の影響を除くため、温度:23℃、相対湿度:60%の部屋で行った。
図1の装置中に、上記放熱性光反射塗装金属板を光反射性塗膜面が発熱体3側になる様に設置し(液晶表示装置での熱源であるランプ位置を考慮)、電源を入れて発熱体3を140℃にまで加温する。発熱体3の温度が安定して140℃となり、T1位置の温度が60℃以上になっていることを確認した後、一旦、光反射性塗装金属板を取り外す。箱内温度が50℃まで下がった時点で、再び光反射性塗装金属板を設置し、設置してから90分後の箱内温度を測定する。なお、ΔTは、各供試材につき5回ずつ測定し、そのうち上限、下限を除いた3点のデータの平均値を、本発明におけるΔTと定めた。
本実験では、上記放熱性塗膜が付与された光反射性塗装金属板を用いたときの温度と、放熱性塗膜を有しない光反射性塗装金属板No.1を用いたときの温度の差(ΔT)を算出したところ、放熱性塗膜を形成した光反射性塗装金属板の放熱性ΔTは1.9℃であった。
なお、上記放熱性塗膜が付与された光反射性塗装金属板を用いたときの温度と、電気亜鉛めっき鋼板そのものを用いたときとの放熱性ΔTは、3.9℃であった。
本発明の光反射性塗装金属板は、加工し易く、耐熱性・耐久性に優れ、かつ長期的に安定して高い反射率を示すので、例えば、エッジライト式や直下式の液晶パネルの反射板等に有用である。
放熱性測定装置の側部断面図である。
符号の説明
1 供試材(被験体)
2 断熱材
3 発熱体
5 測温装置

Claims (6)

  1. 白色顔料とバインダー樹脂を含む光反射性層が複数積層された構造を有する光反射性塗膜を備えた光反射性塗装金属板であって、該光反射性層の少なくとも一層は蛍光性物質を含む層であり、且つ、該光反射性塗膜の少なくとも最表層は、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂を含有し、蛍光性物質含まない厚さ5μm以上の層であることを特徴とする光反射性塗装金属板。
  2. 上記光反射性塗膜における最表層の厚さが5〜50μmである請求項1に記載の光反射性塗装金属板。
  3. 蛍光性物質を含む層の少なくとも一つが、メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂を含有する請求項1または2に記載の光反射性塗装金属板。
  4. 白色顔料が酸化チタンである請求項1〜3のいずれかに記載の光反射性塗装金属板。
  5. 光反射性塗膜が形成されている面の反対側に熱放射性塗膜が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の光反射性塗装金属板。
  6. メラミン架橋を有するポリエステル系樹脂を含む層の下層側に、イソシアネートまたはブロックイソシアネートを架橋剤に用いたポリエステル系樹脂を含む層が形成された請求項1〜5のいずれかに記載の光反射性塗装金属板。
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