JP4662512B2 - 住宅の室内構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、階段室を有する住宅の室内構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅内には、主寝室、子供部屋、書斎、リビングといった居室が配置されるとともに、二階建て以上の戸建て住宅やメゾネット形式の集合住宅では、これらの居室に階段室が加わることとなる。
【0003】
ここで、規模が大きな住宅ではともかく、敷地等の関係上、延床面積を大きくとれない小型住宅では、上述した各居室と階段室とをどのように配置するかが空間設計を行うにあたって重要な事項となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上下階を結ぶ通路である階段室については、その機能上、最低限確保すべき占有面積というものが自ずと存在し、住宅規模が小さければ小さいほど、延床面積に対する階段室の占有割合が大きくなり、その分、子供部屋等の居室面積を減らざるを得ず、その結果、居住性の低下を余儀なくされるという問題を生じていた。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、小型住宅においても階段室の機能を低下させることなく、十分な居室面積を確保可能な住宅の室内構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る住宅の室内構造は請求項1に記載したように、下階と上階をつなぐ階段のうち、下階中間高さ以下に設置された階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床を設置するとともに、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間を該ロフト空間に隣接する上階居室の居室空間に連通させた住宅の室内構造であって、所定の納戸を前記上階居室の反対側で前記ロフト空間に隣接するように配置するとともに、前記納戸内に所定の仕切り手段を設けて該納戸の内部空間を前記ロフト空間に連通するロフト連通空間と前記上階居室の反対側に拡がる上階空間に連通する上階連通空間とに分割したものである。
【0008】
また、本発明に係る住宅の室内構造は、前記仕切り手段を前記上階中間床と同一高さ近傍に水平設置された所定の仕切り板で構成し、該仕切り板の上方空間を前記ロフト連通空間、下方空間を前記上階連通空間としたものである。
【0009】
また、本発明に係る住宅の室内構造は、前記ロフト連通空間を前記上階居室の反対側に拡がる上階空間に連通させたものである。
【0010】
本発明に係る住宅の室内構造においては、下階と上階をつなぐ階段のうち、下階中間高さ以下に設置された階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床を設置し、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間を該ロフト空間に隣接する上階居室の居室空間に連通させる。
【0011】
このようにすると、従来、吹き抜け空間にすぎなかった階段室上方空間がロフト空間として上階居室の居室空間に一体化されることとなり、空間の有効利用が可能となるとともに、その結果、小型住宅においても階段室の機能を低下させることなく、所定の居室面積を確保することが可能となる。
【0012】
上階及び下階は、文字通り、上下の位置関係にある場合をすべて含むものであって二階と一階の関係に限定されるものではなく、一階と地階、三階と二階等にも適用される。
【0013】
また、住宅とは戸建て住宅のみならず、マンション等の集合住宅をも含む。
【0014】
下階中間高さ以下とは、必ずしも下階高を二等分する高さ位置以下を指すものではなく、要するに上階中間床を設置しても、かがむことなく昇降が可能な階段部分を意味するものであり、例えば、踊り場よりも下方の階段部分がこれに該当する。
【0015】
ここで、所定の納戸を前記上階居室の反対側で前記ロフト空間に隣接するように配置するとともに、前記納戸内に所定の仕切り手段を設けて該納戸の内部空間を前記ロフト空間に連通するロフト連通空間と前記上階居室の反対側に拡がる上階空間に連通する上階連通空間とに分割したならば、納戸を、上階居室の反対側に拡がる上階空間、例えば上階の廊下から利用することができるのみならず、ロフト空間ひいては上階居室からも利用することが可能となる。
【0016】
そして、さらに前記仕切り手段を前記上階中間床と同一高さ近傍に水平設置された所定の仕切り板で構成し、該仕切り板の上方空間を前記ロフト連通空間、下方空間を前記上階連通空間としたならば、納戸の下段が例えば上階廊下から利用できる空間、納戸の上段がロフト空間を介して上階居室から利用できる空間となり、納戸がより利用しやすくなる。
【0017】
同一高さ近傍とは、厳密に同一高さでなければならないという意味ではなく、要は、上方空間がロフト連通空間、下方空間が上階連通空間となるように仕切り板を水平設置すれば足りるものであり、上階中間床と仕切板との高さが多少ずれてもかまわない。
【0018】
ここで、前記ロフト連通空間を前記上階居室の反対側に拡がる上階空間に連通させたならば、ロフト連通空間をロフト空間を介して上階居室側から利用することができるのみならず、例えば上階廊下からも利用することができるようになり、収納の利便性がさらに向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る住宅の室内構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
(第1実施形態)
【0021】
図1乃至図3は、第1実施形態に係る住宅の室内構造を示した図であり、図1は断面透視図、図2は平面図、図3は鉛直断面図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る住宅の室内構造は、下階1と上階2を結ぶ計15段の階段3のうち、下階中間高さ以下に設置された階段部分、本実施形態では踊り場4になっている7段目以下の階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床5を設置するとともに、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間6を該ロフト空間に隣接する上階居室8の居室空間7に連通させてある。
【0022】
上階中間床5は、上階床高さと上階天井高さの間の所望高さに設置すればよいが、階段3の昇降に差し支えることがないよう、特に踊り場4で十分な高さが確保されるよう留意する。
【0023】
なお、踊り場9になっている8段目の階段部分の上方には、上階中間床5よりも階段3の一段分高く設置された収納床13を設けるとともに該収納床の上方に形成された収納空間10をロフト空間6に連通させてあり、上階居室8の収納スペースとして利用することができるようになっている。
【0024】
ここで、上階居室8の床面に立設され上階中間床5の縁部まで延びる壁11には梯子12が掛けてあり、該梯子を用いてロフト空間6に昇降できるようになっている。
【0025】
このようなロフト空間6や収納空間10は任意の用途に供すればよいが、上階居室8を子供部屋とする場合には、ロフト空間6をベッドスペースや遊びスペース、収納空間10を寝具置きなどに利用することができる。
【0026】
本実施形態に係る住宅の室内構造においては、下階1と上階2をつなぐ階段3のうち、踊り場4より下の階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床5を設置し、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間6を該ロフト空間に隣接する上階居室8の居室空間7に連通させてある。
【0027】
そのため、従来、吹き抜け空間にすぎなかった階段室上方空間がロフト空間6として上階居室8の居室空間7に一体化されることとなる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係る住宅の室内構造によれば、階段室上方の空間をロフト空間6として上階居室8の一部に一体化させたので、上階中間床5の分だけ、上階の居室面積が拡がることとなり、かくして小型住宅においても階段室の機能を低下させることなく、所定の居室面積を確保することが可能となる。
【0029】
(第2実施形態)
【0030】
図4は、第2実施形態に係る住宅の室内構造を示した平面図及び鉛直断面図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る住宅の室内構造は、下階1と上階2を結ぶ計15段の階段23のうち、下階中間高さ以下に設置された階段部分、本実施形態では踊り場24になっている7段目以下の階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床25を設置するとともに、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間26を該ロフト空間に隣接する上階居室28の居室空間27に連通させてある。
【0031】
ここで、上階中間床25も上階中間床5と同様、階段23の昇降に差し支えることがないよう、特に踊り場24で十分な高さが確保されるよう留意する。
【0032】
また、上階居室28の床面に立設され上階中間床25の縁部まで延びる壁31には梯子32が掛けてあり、該梯子を用いてロフト空間26に昇降できるようになっている。
【0033】
なお、本実施形態に係る住宅の室内構造においても、第1実施形態と同一の作用効果を奏するが、ここではその説明を省略する。
【0034】
(第3実施形態)
【0035】
図5は、第3実施形態に係る住宅の室内構造を示した平面図及び鉛直断面図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る住宅の室内構造は、下階1と上階2を結ぶ計15段の階段43のうち、下階中間高さ以下に設置された階段部分、本実施形態では踊り場44になっている5段目以下の階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床45を設置するとともに、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間46を該ロフト空間に隣接する上階居室48の居室空間47に連通させてある。
【0036】
ここで、上階中間床45も上階中間床5と同様、階段43の昇降に差し支えることがないよう、特に踊り場44で十分な高さが確保されるよう留意する。
【0037】
また、上階居室48の床面に立設され上階中間床45の縁部まで延びる壁51には梯子52が掛けてあり、該梯子を用いてロフト空間46に昇降できるようになっている。
【0038】
なお、本実施形態に係る住宅の室内構造においても、第1実施形態と同一の作用効果を奏するが、ここではその説明を省略する。
【0039】
(第4実施形態)
【0040】
図6は、第4実施形態に係る住宅の室内構造を示した平面図及び鉛直断面図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る住宅の室内構造は、第2実施形態と同様、下階1と上階2を結ぶ計15段の階段23のうち、下階中間高さ以下に設置された階段部分、本実施形態では踊り場24になっている7段目以下の階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床25を設置するとともに、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間26を該ロフト空間に隣接する上階居室28の居室空間27に連通させてあるが、本実施形態ではさらに、納戸61を上階居室28の反対側でロフト空間26に隣接するように配置してある。
【0041】
ここで、納戸61内には、仕切り手段としての仕切板62を上階中間床25と同一高さ位置に水平設置してあり、該納戸の内部空間をロフト空間26に連通するロフト連通空間63と上階居室28の反対側に拡がる上階空間64に連通する上階連通空間65とに分割してある。
【0042】
なお、本実施形態に係る住宅の室内構造においても、第1実施形態と同一の作用効果を奏し、ここではその説明を省略するが、かかる作用効果に加えて、上階に設けた納戸61の内部を仕切板62でロフト連通空間63と上階連通空間65に分割したことにより、同図矢印に示すように納戸61を上階空間64である上階の廊下から利用することができるのみならず、ロフト空間26ひいては上階居室28からも利用することが可能となるという作用効果や、仕切板62を上階中間床25と同一高さ位置に水平設置したことにより、納戸61の下段が上階の廊下から利用できる空間、納戸61の上段がロフト空間26を介して上階居室28から利用できる空間となり、納戸61がより利用しやすくなるという作用効果も奏する。
【0043】
本実施形態では、仕切板62を上階中間床25と同一高さ位置に水平設置するようにしたが、これに代えて仕切板62を上階中間床25よりも若干高い位置、例えば数十cm高い位置に設置するようにしてもよい。
【0044】
かかる構成によれば、上階中間床25にベッドや布団を置く場合であっても、ロフト連通空間63とロフト空間26とを仕切る壁に設けられた収納扉を開閉する際、上述したベッドや布団が邪魔になって開閉できないといった事態を未然に回避することができる。
【0045】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図7に示すように、ロフト連通空間63を上階空間64である上階の廊下に連通させたならば、該ロフト連通空間をロフト空間26を介して上階居室28の側から利用することができるのみならず、上階の廊下からも利用することができるようになり、収納の利便性がさらに向上する。
【0046】
また、本実施形態では、納戸61内を仕切る仕切り手段を上階中間床25と同一高さ位置に水平設置された仕切板62で構成したが、仕切り手段をどのように構成するかは任意であり、例えばかかる仕切り手段を、図8に示すようにL字断面仕切り材71で構成し、該納戸の内部空間をロフト空間26に連通するロフト連通空間73と上階居室28の反対側に拡がる上階空間64に連通する上階連通空間74に分割するようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る住宅の室内構造によれば、階段室上方の空間をロフト空間として上階居室の一部に一体化させたので、上階中間床の分だけ、上階の居室面積が拡がることとなり、かくして小型住宅においても階段室の機能を低下させることなく、十分な居室面積を確保することが可能となる。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る住宅の室内構造を示した断面透視図。
【図2】第1実施形態に係る住宅の室内構造を示した図であり、(a)は一階平面図、(b)は二階平面図。
【図3】第1実施形態に係る住宅の室内構造を示した図であり、(a)はA―A線に沿う鉛直断面図、(b)はB―B線に沿う鉛直断面図。
【図4】第2実施形態に係る住宅の室内構造を示した図であり、(a)は階段平面図、(b)は二階平面図、(c)はC―C線に沿う鉛直断面図、(d)はD―D線に沿う鉛直断面図。
【図5】第3実施形態に係る住宅の室内構造を示した図であり、(a)は階段平面図、(b)は二階平面図、(c)はE―E線に沿う鉛直断面図、(d)はF―F線に沿う鉛直断面図。
【図6】第4実施形態に係る住宅の室内構造を示した図であり、(a)は二階平面図、(b)はG―G線に沿う鉛直断面図。
【図7】変形例に係る住宅の室内構造を示した図であり、(a)は二階平面図、(b)はH―H線に沿う鉛直断面図。
【図8】変形例に係る住宅の室内構造を示した図であり、(a)は二階平面図、(b)はI―I線に沿う鉛直断面図。
【符号の説明】
1 下階
2 上階
3、23、43 階段
5、25、45 上階中間床
6、26、46 ロフト空間
7、27、47 居室空間
8、28、48 上階居室
61 納戸
62 仕切板(仕切り手段)
63、73 ロフト連通空間
64 上階空間
65、74 上階連通空間
71 L字断面仕切り材(仕切り手段)
Claims (3)
- 下階と上階をつなぐ階段のうち、下階中間高さ以下に設置された階段部分の上方でかつ上階床高さと上階天井高さの間に上階中間床を設置するとともに、該上階中間床の上方に拡がるロフト空間を該ロフト空間に隣接する上階居室の居室空間に連通させた住宅の室内構造であって、所定の納戸を前記上階居室の反対側で前記ロフト空間に隣接するように配置するとともに、前記納戸内に所定の仕切り手段を設けて該納戸の内部空間を前記ロフト空間に連通するロフト連通空間と前記上階居室の反対側に拡がる上階空間に連通する上階連通空間とに分割したことを特徴とする住宅の室内構造。
- 前記仕切り手段を前記上階中間床と同一高さ近傍に水平設置された所定の仕切り板で構成し、該仕切り板の上方空間を前記ロフト連通空間、下方空間を前記上階連通空間とした請求項1記載の住宅の室内構造。
- 前記ロフト連通空間を前記上階居室の反対側に拡がる上階空間に連通させた請求項2記載の住宅の室内構造。
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