JP4120924B2 - 建物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物に係り、特にスキップフロアを備えた建物に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、住宅等において物品を保管、収容する場所として、建物内部には押入や納戸、床下収納庫、小屋裏収納部、天井裏収納部等の収納スペースが設けられ、また、屋外には物置等が設置されることがある。
しかし、近年における生活の質の向上や多様化に伴い、生活に使用する物品が多種多様化および多数化する傾向にあり、これらの物品を保管、収容するために従来の収納スペースでは広さや容量が不足し、また、建物が建てられる敷地の有効利用という観点から、屋外物置等の設置は望ましくないため、その内部により大きな収納スペースを備えた建物が望まれている。
【0003】
内部に大きな収納スペースを備える建物として、3階建ての建物の2階部分を収納階とし、この収納階に至る階段を設け、この階段の踊り場に面して収納室の出入り口が設けられた収納付き建物が提案されている(従来例1)。
このような収納付き建物では、収納階を大きな収納スペースとして有効に活用できるとともに、階段の踊り場から収納室に出入りできるので、物品の搬入、搬出を円滑にできる。
【0004】
また、従来例1の建物とは異なる収納付き建物として、上下に収納スペースおよび居室が積層された構造体同士を、水平方向にかつ段違い状に隣接配置したスキップフロアを備えた建物が提案されている(従来例2:特許第2912797号公報)。
このようなスキップフロア型建物では、収納スペースと水平方向に隣接して居室が配置されるため、収納スペースの出し入れ口を隣接する居室に開口することで、居室から水平方向に物品を搬入、搬出することができ、作業が容易になるという効果を奏する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来例1の収納付き建物では、3階建ての2階部分を収納スペースとしているため、収納スペースの天井高さに床の厚さ等が加えられることを考慮すると、通常の2階建ての建物と比較して、建物全体の高さが高くなってしまう。
また、従来例2のスキップフロア型建物においても、段違い状の上側に隣接配置した構造体の側では、通常の2階建ての建物よりも、段違いの高さ寸法だけ建物全体の高さが高くなってしまう。
従って、従来例1および従来例2の建物では、居室として利用できる階の床面積は、通常の2階建ての建物と同程度でありながら、建物全体の高さが高くなることで建設コストが増加するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、建物全体の高さを抑えて建設コストを低減でき、居室および収納スペースを有効に配置できる建物を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成する本発明の建物は、少なくとも1つの特定フロアと、この特定フロアの直上に位置する直上フロアとを有し、これらの特定フロアおよび直上フロアのそれぞれに少なくとも1つずつの居室が設けられた建物であって、
前記特定フロアおよび前記直上フロアは、それらの一部にそれぞれ設けられた中間床30,40と、この中間床の下側に形成された中間床下側空間31,41と、当該中間床の上側に形成された中間床上側空間32,42とを備え、前記特定フロアの中間床上側空間の少なくとも一部と、前記直上フロアの中間床下側空間の少なくとも一部とが連通された吹き抜け空間32が構成され、前記特定フロアの中間床下側空間は収納空間とされ、この収納空間の床面は前記特定フロアの床面と段差が無く互いに連続して形成され、前記直上フロアの中間床下側空間のうちの前記吹き抜け空間を構成しない中間床下側空間は、収納空間とされ、この収納空間の床面は前記直上フロアの床面と段差が無く互いに連続して形成され、前記直上フロアの中間床は、前記吹き抜け空間の上側と前記直上フロアの収納空間の上側とに渡って段差なく連続して形成され、前記吹き抜け空間は居室とされていることを特徴とする。
【0008】
なお、ここで、「特定フロア」および「直上フロア」とは、それぞれ建物の所定の階を意味し、例えば特定フロアを建物の1階とすれば、直上フロアは建物の2階を意味する。すなわち、本発明の建物は、少なくとも2階以上の複数階を備えた建物であって、例えば3階建ての建物において、特定フロアを建物の2階とすれば、直上フロアは建物の3階を意味し、また、特定フロアを建物の1階および2階とすれば、直上フロアは建物の2階および3階を意味する。
【0009】
この発明によれば、特定フロアおよび直上フロアそれぞれを中間床で高さ方向に区切り、中間床下側空間および中間床上側空間を形成することによって、建物全体の高さが高くなることなく、各々の空間を居室や収納スペースとして有効に利用できる。従って、建物全体の高さが抑えられ、建設コストの増加を防止できる。また、特定フロアの中間床上側空間と、直上フロアの中間床下側空間とが連通され、吹き抜け空間が形成されることによって、この吹き抜け空間を居室として利用するのに十分な天井高さを確保できる。
また、特定フロアおよび直上フロアの中間床下側空間を収納空間とすることによって、各フロアに収納空間を設けることができ、建物内部に設けられる収納スペースの大きさを十分に確保できる。
さらに、各フロアの床面と収納空間の床面とが段差なく連続しているので、収納空間に物品を搬入、搬出する作業が容易にできる。すなわち、前述の従来例2のスキップフロア型建物では、収納スペースの床面と居室の床面とが必ずしも連続するものではなく、段差のある場合に重い物品の出し入れに手間が掛かるという問題を有しており、本発明によりこの問題を解決できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下の説明にあたって、同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図1ないし図3には、本発明の第1実施形態に係る建物としての住宅1が示され、図4、5には、本発明の第2実施形態に係る建物としての住宅50が示されている。そして、図6(A),(B)にはそれぞれ、本発明の第3実施形態および第4実施形態に係る建物としての住宅60,70が示されている。
【0016】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、住宅1の全体を示す斜視図であり、図2は、その断面図、図3(A)〜(D)は、その各高さ位置における平面図である。すなわち、図2は、図3(A)〜(D)に示す矢視II−II線断面図であり、図3(A)〜(D)は、図2の矢視IIIA−IIIA線、IIIB−IIIB線、IIIC−IIIC線、およびIIID−IIID線でそれぞれ示す高さ位置における平面図である。
【0017】
図1ないし図3において、住宅1は、基礎2の上に建物本体3が固定され、この建物本体3の上方が屋根4で覆われた2階建ての戸建て住宅である。建物本体3は、木質パネル工法やユニット工法等のプレハブ工法、木造軸組工法、鉄骨軸組工法等、設計条件に応じて適宜選択された構造および工法により構築される。そして、建物本体3には、外壁3Aによって外部と区画された内部空間を内床3Cで上下に区切ったフロア(階)が形成され、さらに各フロアを内壁3Bや図示しない間仕切壁等で区切ることで生活空間としての居室や廊下、ホール等が形成されている。
【0018】
図3(A)に示す住宅1の1階部分には、図中下方右側にリビングルーム11、その図中上方にキッチン12、その図中左側に廊下13および玄関ホール14がそれぞれ設けられ、玄関ホール14の図中下方には、洗面所や浴室等を有する水場居室15が設けられている。そして、玄関ホール14と水場居室15との間には、2階へ通じる階段16が設けられている。
図3(C)に示す住宅1の2階部分には、階段16と連続して2階ホール24が設けられ、この2階ホール24の図中左側に主寝室21が設けられ、2階ホール24の図中右側に副寝室22,23が図中上下に並んで設けられている。
【0019】
住宅1の特定フロアとしての1階部分において、リビングルーム11と水場居室15との間には、図2に示すように、中間床としての1階中間床30が設けられている。また、直上フロアとしての2階部分において、主寝室21と副寝室23との間にも同様に、中間床としての2階中間床40が設けられている。これらの1階中間床30および2階中間床40は、内床3Cと同等の床荷重を支持できる程度の強度を有し、外壁3Aや内壁3B、または図示しない支持部材によって支持されている。すなわち、住宅1は、1階中間床30および2階中間床40により中間フロアが形成された、スキップフロアを備える建物である。
【0020】
1階中間床30の下側には、中間床下側空間としての収納空間31が設けられ、その出入り口31Aを玄関ホール14に開口している。また、1階中間床30と2階中間床40との間には、1階中間床30の中間床上側空間の一部と2階中間床40の中間床下側空間の一部とが連通された吹き抜け空間が設けられ、この吹き抜け空間、すなわち中間居室空間32は、生活空間として使用される。中間居室空間32の出入り口32Aは、1階から2階に通じる階段16の踊り場16Aに面して設けられている。階段16および踊り場16Aを挟んで中間居室空間32の向かい側には、収納室33が1階中間床30の上に設けられている。
【0021】
2階中間床40の下側で、中間居室空間32と副寝室23との間には、中間床下側空間としての収納空間41が設けられている。この収納空間41の出入り口41Aは2階ホール24に開口して設けられている。また、2階中間床40の上側で屋根4との間には、中間床上側空間としての小屋裏収納空間42が設けられ、この小屋裏収納空間42に通じる階段26が2階ホール24と連続して設けられている。
【0022】
収納空間31,41の床である収納空間床10A,20Aと、1階の居室床10および2階の居室床20とは、それぞれのフロアにおいて互いの床面に段差が無く、互いに連続して形成されている。収納空間床10A,20Aの床上面と1階中間床30および2階中間床40の下面との間の距離、すなわち、収納空間31,41の天井高H1は、本実施形態において、1.0m〜1.4mの範囲に設定されている。また、1階中間床30の上面と2階中間床40の下面との距離、すなわち、中間居室空間32の天井高H2は、2.1m〜2.6mの範囲に設定されている。
【0023】
従って、本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)住宅1の1階部分および2階部分のそれぞれに1階中間床30および2階中間床40を設け、各フロアを上下に区切り、1階中間床30および2階中間床40の下側に収納空間31,41を設け、1階中間床30および2階中間床40の間に中間居室空間32を設けることによって、大きな収納スペースを備えながら居室として利用できる空間をも確保できるので、建物内空間を有効に利用できるとともに、住宅1の高さが通常の2階建ての建物と同程度に抑えられ、建設コストの増加を防止できる。
【0024】
(2)1階中間床30および2階中間床40の間の吹き抜け空間を中間居室空間32とすることによって、居室として利用するのに十分な天井高さ、具体的には2.1m〜2.6mの天井高H2を確保でき、この中間居室空間32を生活空間として快適に利用することができる。
【0025】
(3)1階の居室床10および2階の居室床20と、収納空間床10A,20Aとが段差なく連続しているので、収納空間31,41に物品を搬入、搬出する作業が容易にできる。すなわち、従来の収納スペースの床面と居室の床面とが必ずしも連続せず、段差があるスキップフロア型建物が有している重い物品の出し入れに手間が掛かるという問題を解決できる。
【0026】
(4)収納空間31,41の天井高H1を1.0m以上とすることで、大人が屈んで出入りできる高さを確保し、かつ、天井高H1を1.4m以下とすることで、収納容量を大きくしながら収納空間31,41の上方の空間を圧迫せず、住宅1の高さを抑えることができる。
【0027】
(5)中間居室空間32の天井高H2を2.1m以上とすることで、通常の生活に支障がない天井高さを確保でき、また、天井高を2.6m以下とすることによって、住宅1の高さを抑えながら中間居室空間32の上方に設けられた2階中間床40の上側空間も利用することができるので、さらに空間を有効利用できる。
【0028】
(6)住宅1の1階と2階との間を昇降するために設けられる階段16の踊り場16Aから中間居室空間32に出入りできるので、別途1階部分あるいは2階部分から中間居室空間32に通じる階段やはしご等を設ける必要がなく、建物内空間を有効利用できるとともに、建設コストを低減できる。
【0029】
(7)2階中間床40の上側に小屋裏収納空間42を設けることによって、2階中間床40で区切られた上方を収納スペースとして利用でき、さらに一層、建物内空間の有効利用を図ることができる。
【0030】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態に係る建物としての住宅50の全体を示す斜視図であり、図5は、その断面図である。
図4、5において、住宅50は、2階中間床40の上側空間の用途、形状が前述の第1実施形態の場合と異なるもので、その他の構成は、第1実施形態と同様である。すなわち、住宅50の2階中間床40の上側空間を上部居室空間52として利用する点が第1実施形態との相違点である。
【0031】
住宅50の構造および各フロアの平面構成は、前述の第1実施形態と同様に、特定フロアとしての1階部分において、リビングルーム11と水場居室15との間に1階中間床30が設けられ、直上フロアとしての2階部分において、主寝室21と副寝室23との間に2階中間床40が設けられている。2階中間床40の上側には、中間床上側空間としての上部居室空間52が設けられ、この上部居室空間52と2階ホール24とは階段26で通じている。上部居室空間52の天井高H3は、最も低いところで2.1m以上に設定されている。
【0032】
また、住宅50の屋根は、互いに略同一の傾斜を有する2種類の屋根4A,4Bから構成され、屋根4Aは2階部分の主寝室21および副寝室22,23の上方を覆い、屋根4Bは上部居室空間52および2階ホール24の上方を覆っている。なお、屋根4A,4Bは、互いに異なる傾斜を有し、かつ、互いに屋根面を連続して形成されたものでもよい。すなわち、屋根4Aを屋根4Bよりも急な傾斜とし、互いの屋根面が連続するように形成することができる。
【0033】
従って、本実施形態によれば、前述の(1)〜(6)の効果に加えて、次のような効果が得られる。
(8)2階中間床40の上側空間に上部居室空間52を設けることによって、生活空間として利用可能な居室空間を多く確保でき、建物内空間を有効に利用できる。
【0034】
(9)上部居室空間52の天井高H2を最も低いところで2.1m以上に設定することで、通常の生活に支障がない天井高さを確保できる。
【0035】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6(A)は、第3実施形態に係る建物としての住宅60の概略を示す断面図である。
図6(A)において、住宅60は、2階中間床40の上側空間の用途、形状が前述の第1実施形態の場合と異なるもので、その他の構成は、第1実施形態と同様である。すなわち、住宅60の2階中間床40の上側空間をバルコニ空間として利用する点が第1実施形態との相違点である。
【0036】
図6(A)に簡略化して示されている住宅60の構造は、前述の第1実施形態と同様に、特定フロアとしての1階部分において、リビングルーム11と隣接して1階中間床30が設けられ、直上フロアとしての2階部分において、主寝室21と隣接して2階中間床40が設けられている。2階中間床40の上側には、バルコニ空間としてのルーフバルコニ62が設けられている。ルーフバルコニ62は、その上方の屋根4に開口が設けられて屋外に開放され、適宜手摺り壁等によって囲まれている。また、ルーフバルコニ62の床である2階中間床40には、図示しない防水構造および排水設備が設けられている。
【0037】
従って、本実施形態によれば、前述の(1)〜(6)の効果に加えて、次のような効果が得られる。
(10)2階中間床40の上側空間をルーフバルコニ62として利用することで、別途他のバルコニを設ける必要がなく、また、片持ち形式のバルコニを別途取り付ける場合と比較して、現場施工の効率化が図れ、部材数を削減することができるとともに、一体感と統一感を備えた良好な住宅60の外観を実現できる。
【0038】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図6(B)は、第4実施形態に係る建物としての住宅70の概略を示す断面図である。
図6(B)において、住宅70は、前述の第2実施形態の場合と同様の構成を備え、2階中間床40の上側空間を上部居室空間72として利用可能とされている。第2実施形態との相違点は、2階部分の居室の上方に小屋裏収納室73を設けた点である。
【0039】
図6(B)に簡略化して示されている住宅70の構造は、前述の第2実施形態と同様に、特定フロアとしての1階部分において、リビングルーム11と隣接して1階中間床30が設けられ、直上フロアとしての2階部分において、主寝室21と隣接して2階中間床40が設けられている。2階中間床40の上側には、上部居室空間72が設けられている。また、2階部分の居室である主寝室21の上方で屋根4との間には、小屋裏収納室73が設けられ、上部居室空間72側に小屋裏収納室73の出入り口73Aが開口している。
【0040】
従って、本実施形態によれば、前述の第2実施形態の効果に加えて、次のような効果が得られる。
(11)2階中間床40の上側空間を上部居室空間72として利用するとともに、2階部分の居室の上方に小屋裏収納室73を設けることによって、居室として利用できる空間を確保しながら大きな収納スペースを備えることができるので、建物内空間を有効に利用できる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述の各実施形態では、建物を住宅1,50,60,70としたが、これに限らず、事務所用や店舗用に建築される建物等でもよい。また、住宅1,50,60,70を2階建てとしたが、これに限らず、3階建てやそれ以上の階数を備える建物でもよく、その際、2階部分やそれ以上の階を特定フロアとし、その直上階を直上フロアとしてもよい。
【0042】
また、前述の各実施形態では、1階中間床30の中間床上側空間の一部と2階中間床40の中間床下側空間の一部とが連通された吹き抜け空間を設けたが、これに限らず、特定フロアの中間床上側空間の一部と直上フロアの中間床下側空間の全部とが連通されて、吹き抜け空間を形成するものでもよく、また、特定フロアの中間床上側空間の全部と直上フロアの中間床下側空間の一部とが連通されて、吹き抜け空間を形成するものでもよい。
【0043】
このような特定フロアの中間床上側空間の全部と直上フロアの中間床下側空間の一部とが連通されて、吹き抜け空間が形成された建物として、例えば、図7(A)〜(D)に示す住宅80では、特定フロアとしての1階部分に設けられた中間床の上側空間の全部と、直上フロアとしての2階部分に設けられた中間床の下側空間の一部とが連通されて、吹き抜け空間としての中間居室空間32が形成されている。
【0044】
すなわち、1階部分の中間床は、図7(A)に示す収納空間31の上方に配置されており、この1階部分の中間床の上側空間の全てが、吹き抜け空間として図7(B)に示す中間居室空間32とされている。そして、図7(D)に示す上部居室空間83,84の床は、2階部分の中間床で構成されており、この2階部分の中間床の下側空間の一部が吹き抜け空間としての中間居室空間32とされ、他の一部が図7(C)に示す収納空間41とされている。また、住宅80では、1階から2階まで通じる階段16とは別に、1階から中間居室空間32まで通じる階段81および、2階から上部居室空間83,84まで通じる階段82が設けられている。
【0045】
以上のような住宅80では、1階部分の中間床の上側空間全部を吹き抜け空間としての中間居室空間32とすることによって、当該部分の内壁3Bが1階から2階まで同一平面位置に配置されるので、耐力壁等として有効な内壁の配置とすることができる。また、中間居室空間32に通じる階段81および上部居室空間83,84に通じる階段82を別途設けたことによって、中間居室空間32および上部居室空間83,84の独立性を高めることができ、建物内空間の居室配置に関する設計の自由度を高めることができる。
【0046】
また、前述の各実施形態では、1階中間床30および2階中間床40は各フロアに1箇所ずつ設けたが、複数箇所に設けてもよい。
例えば、図8(A)〜(D)に示す住宅90では、直上フロアとしての2階部分に、中間床が2箇所設けられ、それぞれの中間床の上部空間が図8(D)に示す上部居室空間91,92とされている。
すなわち、図8(A)に示す収納空間31の上方に1階部分の中間床が配置され、この1階部分の中間床の上側空間の全てが吹き抜け空間として図8(B)に示す中間居室空間32とされている。そして、図8(C)に示す収納空間41の上方に2階部分の中間床が配置され、また、中間居室空間32の上方にも2階部分の中間床が配置され、それぞれの2階部分の中間床の上部空間が、図8(D)に示す上部居室空間91,92とされている。このような住宅90では、各フロアに適宜必要な数の中間床を設けることによって、建物内空間の居室配置に関する設計の自由度を高めることができる。
【0047】
また、前述の各実施形態では、収納空間31,41の天井高H1を1.0m〜1.4mの範囲に設定したが、収納空間の天井高は、1.0m〜1.2mの範囲であることが望ましい。このような収納空間の天井高とすることで、建物全体の高さを高くすることなく、吹き抜け空間や上部居室空間等の天井高さを高くし、快適な生活空間を得ることができる。さらに、収納空間の天井高は、1.0m〜1.3mの範囲とすることもできる。
また、前述の各実施形態では、吹き抜け空間としての中間居室空間32の天井高H2を、2.1m〜2.6mの範囲に設定したが、吹き抜け空間の天井高は、2.1m〜2.4mの範囲であることが望ましい。このような吹き抜け空間の天井高とすることで、吹き抜け空間の上方に小屋裏収納空間や上部居室空間等が設けられても、建物全体の高さが高くならないので、建物内空間を有効利用できるとともに建設コストを低減できる。さらに、吹き抜け空間の天井高は、2.1m〜2.5mの範囲とすることもできる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の建物によれば、次のような効果が得られる。
請求項1に記載の建物によれば、特定フロアおよび直上フロアそれぞれを中間床で高さ方向に区切り、中間床下側空間および中間床上側空間を形成することによって、建物全体の高さが高くなることなく、各々の空間を居室や収納スペースとして有効に利用できる。従って、建物全体の高さが抑えられ、建設コストの増加を防止できる。また、特定フロアの中間床上側空間と、直上フロアの中間床下側空間とが連通され、吹き抜け空間が形成されることによって、この吹き抜け空間を居室として利用するのに十分な天井高さを確保できる。
また、特定フロアおよび直上フロアの中間床下側空間を収納空間とすることによって、各フロアに収納空間を設けることができ、建物内部に設けられる収納スペースの大きさを十分に確保できる。
さらに、各フロアの床面と収納空間の床面とが段差なく連続しているので、収納空間に物品を搬入、搬出する作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建物を示す斜視図である。
【図2】前記実施形態に係る建物の断面図である。
【図3】 (A)〜(D)は、前記実施形態に係る建物の各高さ位置における平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る建物を示す斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る建物の断面図である。
【図6】 (A)、(B)は、本発明の第3実施形態および第4実施形態に係る建物を示す概略断面図である。
【図7】 (A)〜(D)は、本発明の変形例を示す平面図である。
【図8】 (A)〜(D)は、本発明の図7とは異なる変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
1,50,60,70 住宅(建物)
10,20 居室床
10A,20A 収納空間床
16 階段
16A 踊り場
30,40 中間床
31,41 収納空間
32 中間居室空間(吹き抜け空間)
32A 出入り口
42 小屋裏収納空間
52,72 上部居室空間
62 ルーフバルコニ(バルコニ空間)
H1,H2 天井高

Claims (3)

  1. 少なくとも1つの特定フロアと、この特定フロアの直上に位置する直上フロアとを有し、これらの特定フロアおよび直上フロアのそれぞれに少なくとも1つずつの居室が設けられた建物であって、
    前記特定フロアおよび前記直上フロアは、それらの一部にそれぞれ設けられた中間床30,40と、この中間床の下側に形成された中間床下側空間31,41と、当該中間床の上側に形成された中間床上側空間32,42とを備え、前記特定フロアの中間床上側空間の少なくとも一部と、前記直上フロアの中間床下側空間の少なくとも一部とが連通された吹き抜け空間32が構成され、前記特定フロアの中間床下側空間は収納空間とされ、この収納空間の床面は前記特定フロアの床面と段差が無く互いに連続して形成され、前記直上フロアの中間床下側空間のうちの前記吹き抜け空間を構成しない中間床下側空間は、収納空間とされ、この収納空間の床面は前記直上フロアの床面と段差が無く互いに連続して形成され、前記直上フロアの中間床は、前記吹き抜け空間の上側と前記直上フロアの収納空間の上側とに渡って段差なく連続して形成され、前記吹き抜け空間は居室とされていることを特徴とする建物。
  2. 請求項1に記載の建物において、前記収納空間の天井高は1.0m〜1.4mとされ、前記吹き抜け空間は中間居室空間とされ、この中間居室空間の天井高は、2.1m〜2.6mとされていることを特徴とする建物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の建物において、前記特定フロアから前記直上フロアまで達する階段が前記吹き抜け空間に隣接して設けられ、前記階段の踊り場に面して前記吹き抜け空間の出入り口が設けられていることを特徴とする建物。
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