JP4659545B2 - シロ−イノソースの製造方法 - Google Patents
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Description
特に細菌由来のミオ−イノシトールデヒドロゲナーゼはよく知られており、大きく2種類に分類されている。一つはNAD依存型可溶性酵素であり、シュードモナス属細菌(非特許文献1、2参照、特許文献1参照)、バチルス属細菌由来のものが知られている。バチルス属細菌由来の酵素では遺伝子配列まで報告されている(特許文献2、3参照)、もう一つはNAD非依存型膜酵素(酸素依存による酸化反応)であり、グルコノバクター属細菌(非特許文献3、4、5参照)、アセトバクター属細菌(特許文献1、4参照)由来のものが知られている。
なお、グルコノバクター属細菌のミオ−イノシトールデヒドロゲナーゼについて記載する前記非特許文献3、4、5中には、Acetobacter oxydansあるいはAcetobacter suboxydansと記載されているが、これらの菌株はその後グルコノバクター属として再分類され、Bergey's Manual of Determinative Bacteriologyの第8版(1974年)以降はGluconobacter suboxydansに移されている。
しかしながら、従来報告されているシロ−イノソースの製造方法は、工業的規模で実施する方法としては、変換活性が不十分、目的物質以外の代謝物の混入、シロ−イノソースの分解、あるいは培地価格(活性を有する静止菌体反応にはミオ−イノシトールを添加しなければならない等)など経済性の面、などで改善の余地があった。従って、工業規模で簡便に且つ効率良くシロ−イノソースを製造する方法が要望されている。
さらに、本菌株は、従来知られているシロ−イノソース生産用細菌と比べ、(I)変換効率が高く、ミオ−イノシトールを含む低栄養培地でシロ−イノソース培養生産が可能なこと、(II)生産するシロ−イノソースを分解せず、シロ−イノソース以外の副生物をほとんど生産しないこと、また、(III)触媒するミオ−イノシトールデヒドロゲナーゼの発現がミオ−イノシトールによる誘導型でなく、恒常的であるため、ミオ−イノシトールを含まない一般的な炭素源、窒素源を含有する培地で培養した静止菌体が、ミオ−イノシトールを含む水溶液中で、シロ−イノソースを効率的に生産することを明らかにした。
そして、シロ−イノソース生産用細菌として、これら多くの工業的利用価値を有することから、本菌株をグルコノバクター・エスピーAB10289菌株として産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P−20568の受託番号で寄託した。
以上により、本発明を完成させるに至った。
(1)ミオ−イノシトールにグルコノバクター・エスピーAB10289菌株(FERM P−20568)を作用させて、ミオ−イノシトールをシロ−イノソースへ変換することを特徴とする、シロ−イノソースの製造方法。
(2)グルコノバクター・エスピーAB10289菌株を、ミオ−イノシトールを含有する液体培地で培養することにより、ミオ−イノシトールをシロ−イノソースに変換し、該液体培地中にシロ−イノソースを生成蓄積させ、該液体培地からシロ−イノソースを回収することを特徴とする、(1)のシロ−イノソースの製造方法。
(3)グルコノバクター・エスピーAB10289菌株を液体培地で培養することにより得られた菌体を、ミオ−イノシトールを含む水溶液または緩衝液中でミオ−イノシトールと反応させ、該水溶液または緩衝液中にシロ−イノソースを生成させ、生成したシロ−イノソースを回収することを特徴とする、(1)のシロ−イノソースの製造方法。
(4)前記菌体が、グルコノバクター・エスピーAB10289菌株をミオ−イノシトールを含有しない液体培地で培養することにより得られた菌体である、(3)のシロ−イノソースの製造方法。
(5)前記ミオ−イノシトールを含有する液体培地が、ミオ−イノシトール以外の栄養素成分の総含有量が0.1%〜0.4%(w/v)である液体培地である、(2)のシロ−イノシトールの製造法。
(6)ミオ−イノシトールをシロ−イノソースに選択的に変換できる特性を有する、産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P−20568の受託番号で寄託されたグルコノバクター・エスピーAB10289菌株。
(7)ミオ−イノシトールの含有量が10〜12%(w/v)であり、ミオ−イノシトール以外の栄養素成分の総含有量が0.1%〜0.4%(w/v)であることを特徴とする低栄養液体培地。
前述したようにミオ−イノシトールからシロ−イノソースを生産する細菌は多種存在するが、本発明では、本発明者らが神奈川県厚木市の土壌より分離したグルコノバクター・エスピーAB10289菌株を使用する。
尚、本菌株の同定に当たっては、新細菌培地学講座(第2版、近代出版)、医学細菌同定の手引き(第2版、近代出版)、細菌学実習提要(丸善)に準じて実験を行い、実験結果をBergey's Manual of Systematic Bacteriology VOL. 1(1984)を参考にして同定した。
(a)形態的特徴
(1)細胞形態:球桿菌
(2)運動性:−(懸滴法)
(3)普通寒天培地上での生育:生育は中程度。色調は淡白黄色
(b)生理生化学的性状
(1)グラム染色: −
(2)OFテスト: O(Oxidative)
(3)好気条件での生育: +
(4)嫌気条件での生育: −
(5)生育温度: 10℃ − 12℃ ± 15℃ + 35℃ ± 38℃ −
(6)食塩耐性: 1% +
(7)グルコース耐性: 10% + 20% + 30% ±
(8)エタノール耐性試験: 1% + 2% + 5% ±
(9)生育pH: pH3.0 ± pH4.0 + pH5.0 + pH7.0 + pH8.0 ±
(10)色素の産生: GYC培地 なし
(11)チトクロームオキシダーゼ: −
(12)カタラーゼ: +
(13)硝酸塩還元性: −
(14)硫化水素産生: −
(15)ゼラチンの液化: −
(16)インドールの産生: −
(17)マロン酸の利用性: −
(18)クエン酸の利用性: −
(19)各種糖から酸の生成: D−グルコース +、D−マンノース +、L−アラビノース
+、D−フルクトース +、 L−ラムノース −、マンニトール +、シュークロース +、
エリスリトール +、ミオ−イノシトール −、ソルビトール +、D−セロビオース −、エタノール +、グリセロール +、リボース +、ラフィノース −
(20)炭素源の資化性: D−グルコース +、ガラクト−ス −、L−アラビノース −、D−キシロース −、グリセロール +、ミオ−イノシトール −、シュ−クロース −、L−ヒスチジン −、バリン −、L−アルギニン −、L−セリン −
(21)ユビキノンの分子種: ユビキノン10(Q10)
(22)静止菌体による酸化反応基質特異性: ミオ−イノシトール +、シロ−イノシトール −、D−キロ−イノシトール +、L−キロ−イノシトール +、アロ−イノシトール +、エピ−イノシトール +、D−ピニトール +、クエブラキトール −、(+)−プロト−クエルシトール +、(+)−エピ−クエルシトール +、(−)−ビボ−クエルシトール +、シュークロース −、グルコース +、マンニトール +、ソルビトール +
さらに16Sリボゾームの塩基配列解析結果から、本菌株の16Sリボゾーム塩基配列はグルコノバクター属に属する細菌であり、特にグルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)NBRC16669菌株と高い一致(99.9%)を示した。しかしながら、グルコノバクター・フラテウリとして同定されている菌株の全てが高い一致を示すものではなかった。
また、非特許文献3、4、5に記載の菌株は1924年に単離された同一の菌株を使用しており(Tijdschr.vergelijk.Geneesk.、10巻、p170(1924年)参照当時の名称はアセトバクター・サブオキシダンス)、1974年以降、グルコノバクター・オキシダンスに再分類されている。グルコノバクター・オキシダンス(または、グルコノバクター・サブオキシダンス)と本菌株の16SリボゾームRNA塩基配列比較では一致率は高いものでも99.4%であり、グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)NBRC16669菌株の一致率99.9%よりも低く、異なる菌株と考えられる。また、非特許文献5には静止菌体との酸化反応での基質特異性が示されており、D−ピニトールは、グルコノバクター・オキシダンス(非特許文献5記載)では反応しないが、本菌株は反応する点で異なることが判った。
これらの菌学的性質を総合して、本菌株はグルコノバクター(Gluconobacter)属に属する菌株であると判断した。現在、グルコノバクター属は、グルコノバクター・アサイ(Gluconobacter asaii)、グルコノバクター・セリナス(Gluconobacter cerinus)、グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)の4つの種(species)から構成されている。AB10289菌株の菌学的性状を上記の既知の種と比較検討した結果、AB10289菌株はグルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)に最も近縁の種であると考えられた。しかし、ミオイノシトールの資化性が低い点、16Sリボゾーム塩基配列結果から、上記NBRC16669菌株以外のグルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)の全てが、高い一致率を示さない点、など本菌株の有するいくつかの菌学的性質において、グルコノバクター・フラテウリの性状とは完全には一致しなかったので、本AB10289菌株を公知のものと区別するため、グルコノバクター・エスピーAB10289菌株と命名し、産業枝術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P−20568として寄託した(寄託日は平成17年6月23日)。
以下、本菌株を用いた、培養変換によるシロ−イノソースの製造について説明する。
本菌株を用いた、培養変換によるシロ−イノソースの製造方法は、ミオ−イノシトールを含む液体培地に、AB10289菌株を接種して培養することにより、シロ−イノソースを生成蓄積させることを特徴とする方法である。
液体培地の組成は、AB10289菌株が生育し、シロ−イノソースを生成させることができるものである限り何ら制限はなく、例えば、シロ−イノソースへの変換原料であるミオ−イノシトールに加えて、炭素源、窒素源、有機栄養源、無機塩類等を含有する培地が使用でき、合成培地・天然培地のいずれも使用できる。
ミオ−イノシトールの含有量は好ましくは0.1%〜30%(w/v)、より好ましくは10%〜25%(w/v)、特に好ましくは10〜12%(w/v)である。炭素源としては、グルコース、グリセ
ロール、シュークロース、マルトースあるいは澱粉を使用することができ、その濃度は好ましくは0.01%〜20%(w/v)である。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、カザミノ酸、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムあるいは尿素等を使用することができ、その濃度は好ましくは0.01%〜5.0%(w/v)である。
その他必要に応じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、マンガン、亜鉛、鉄、銅、モリブデン、リン酸、硫酸などのイオンを生成することができる無機塩類を培地中に添加することが有効である。培養液中の水素イオン濃度はpH4〜10、好ましくはpH5〜9に調整し培養すると、効率よくシロ−イノソースを得ることができる。
このような培地を用いることにより、精製段階では培養液から菌体を除去した後、培養上清液を活性炭で処理することにより、シロ−イノソース以外の不純物をほとんど除くことができる。この低栄養培地を使用する方法は、必要とするシロ−イノソースの純度条件を満たしていれば、このまま工業的に使用することが可能である。
次に、本菌株を用いた、静止菌体反応によるシロ−イノソースの製造について説明する。
本菌株を用いた、静止菌体反応によるシロ−イノソースの製造は、AB10289菌株を培養
して得られた菌体を、ミオ−イノシトールを含む緩衝液または液体培地中で反応させ、シロ−イノソースを生成させるものである。
菌体としては、上述した「培養変換によるシロ−イノソースの製造」に用いられた菌体を培養液から分離して集めて用いてもよく、また、前記細菌を別途適当な培養条件で培養して得たものを用いてもよい。集菌は、培養液から遠心分離、濾過等公知の方法により行えばよい。
また、本菌株はミオ−イノシトールを含まない培養液で培養しても、恒常的にミオ−イノシトールをシロ−イノソースへ酸化する酵素を発現する能力を有しており、そのため、安価な培地を用いて、菌を培養した後に、培養液から遠心分離、濾過等公知の方法により集菌を行ない、菌体を調製することができる。すなわち、工業的には安価に、高活性の静止菌体を得ることができる。
反応条件は、培地、緩衝液の種類によって異なるが、反応温度は5〜60℃、好ましくは10〜45℃であり、反応時間は1〜7日間、好ましくは2〜5日間であり、液体培地または緩衝液のpHは2〜10、好ましくは3〜6である。
反応終了後の反応液からの目的物質を単離する方法は「培養変換によるシロ−イノソースの製造」と同様に行えばよい。
AB10289菌株(グルコノバクター属細菌FERM P-20568)と、既存特許寄託菌株(アセトバクター・エスピーAB10253株(FERM P-18868)、シュードモナス・エスピーAB10064株(FERM P-18330):シロ−イノソース変換活性を有する菌株:特開2003-102492)のシロ−イノソース変換活性の比較するために、それぞれの菌株を、スラント培地(Nutrient培地、寒天1.5%)に生育させ、これらを高栄養培地と、低栄養培地の2種類の液体培地(培地100ml/ワッフル付き500ml容三角フラスコ)に、1白金耳接種した。高栄養培地組成は、10%ミオ−イノシトール、1%酵母エキス(Difco社製)、1%グルコース、pH5.5であり、低栄養培地は、10%ミオ−イノシトール、0.1%酵母エキス(Difco社製)、0.1%グルコース、pH5.5である(混合後、121℃、15minオートクレーブで滅菌し、冷却して調製する)。
培養は、27℃、ロータリーシェーカー(180rpm)、好気条件にて行ない、3日目以降は7日目まで、各フラスコから試料100μlを取り出し、10倍希釈後、遠心分離を行ない上清をHPLCで分析した。HPLC分析条件は、カラム:Wakosil5NH2カラム(φ4.6mm×250mm)、移動相:80%アセトニトリル、カラム温度:20℃、流速:2.0ml/min、検出器:RI検出器であり、この条件で、シロ−イノソース、ミオ−イノシトールの順に溶出し、相互に明瞭に分離し、定量できた。シロ−イノソース変換率(%)は、定量値から、シロ−イノソース量/(シロ−イノソース量+ミオ−イノシトール量)×100の式で算出した。
AB10289菌株と、実施例1で使用した既存特許寄託菌株(AB10253菌株、AB10064菌株)のシロ−イノソース変換活性のミオ−イノシトールによる誘導効果を比較するために、それぞれの菌株を、スラント培地(Nutrient培地、寒天1.5%)に生育させ、これらをミオ−イノシトールを含まない培地(MI-培地)と、10%ミオ−イノシトールを含む培地(MI+培地)の2種類の液体培地(培地100ml/ワッフル付き500ml容三角フラスコ)に、1白金耳接種した。ミオ−イノシトールを含まない培地の組成は、1%酵母エキス(Difco社製)、1%グルコース、pH5.5であり、10%ミオ−イノシトールを含む培地は、10%ミオ−イノシトール、1%酵母エキス(Difco社製)、1%グルコース、pH5.5である(混合後、121℃、15minオートクレーブで滅菌し、冷却して調製する)。
培養は、27℃、ロータリーシェーカー(180rpm)、好気条件にて、3日間培養を行ない、各フラスコから試料1mlを取り出し、遠心分離後、上清を捨てて、菌体を得た。この菌体を100mMリン酸緩衝液pH5.5 1mlに懸濁し、遠心分離後、上清を捨てる操作を2回行ない、洗浄静止菌体を得た。
この静止菌体に3%ミオ−イノシトール溶液1mlを加えて懸濁後、27℃、レシプロシェーカー(135rpm)、好気条件にて、4時間菌体反応を行なった。反応終了後、3倍希釈し、遠心分離を行ない、上清をHPLCで分析した。HPLC分析条件は、実施例1と同様である。
AB10289菌株を、スラント培地(Nutrient培地、寒天1.5%)に生育させ、1%ミオ−イノシトールを含む400ml液体培地(培地100ml/ワッフル付き500ml容三角フラスコ×4本)に、各1白金耳接種した。培地の組成は、1%ミオ−イノシトール、1%酵母エキス(FNI205:Lallemand BI社製)、1%グルコース、pH5.5である(混合後、121℃、15minオートクレーブで滅菌し、冷却して調製する)。
培養は、27℃、ロータリーシェーカー(180rpm)、好気条件にて、24時間培養を行ない、この培養液400mlを種母溶液とした。本培養培地は、60L容ジャーファメンターに、10%ミオ−イノシトール、0.1%酵母エキス(FNI205:Lallemand BI社製)、0.1%グルコース、pH5.5になるように混合した40L培地を、121℃、15minオートクレーブで滅菌し、冷却して液体培地を調製した。この液体養液に種母溶液を加えて、通気攪拌条件(27℃、1vvm、200rpm)で、4日間培養した。少量取り出したサンプルのHPLC分析では100%変換であった。
培養終了後、連続遠心分離機で、菌体を培養液から分離し、上清約39Lを活性炭カラム(φ15cm×30cm)を通過させて、脱色した。カラム通過液42L(39L原液通過液+3L水(カラム通過洗浄液))は、加熱減圧下に11Lまで濃縮を行ない、4℃保存3日間かけてシロ−イノソース2量体を析出させた。このシロ−イノソース2量体をろ過して取りだし、乾燥後、シロ−イノソース2量体3.5kgを得た(収率86%)。本物質を1%になるように温水に溶解し、HPLC分析した結果、シロ−イノソース以外には類縁物質は含まれず、また、NMR分析結果では、シロ−イノソース以外のシグナルは観察されず、高純度のシロ−イノソースであった。
AB10289菌株を、スラント培地(Nutrient培地、寒天1.5%)に生育させ、100ml液体培地(培地100ml/ワッフル付き500ml容三角フラスコ)に、1白金耳接種した。培地の組成は、1%酵母エキス(FNI205:Lallemand BI社製)、1%グルコース、pH5.5である(混合後、121℃、15minオートクレーブで滅菌し、冷却して調製する)。
培養は、27℃、ロータリーシェーカー(180rpm)、好気条件にて、24時間培養を行ない、この培養液40mlを種母溶液とした。本培養培地は、6L容ジャーファメンターに、1.5%酵母エキス(FNI205:Lallemand BI社製)、1.5%グルコース、pH5.5になるように混合した4L培地を、121℃、15minオートクレーブで滅菌し、冷却して液体培地を調製した。この液体養液に種母溶液を加えて、通気攪拌条件(27℃、1vvm、310rpm)で、3日間培養した。
培養終了後、連続遠心分離機で、菌体を培養液から分離し、静止菌体を得た。静止菌体反応溶液は、60L容ジャーファメンターに、10%ミオ−イノシトール水溶液40Lを調製した。この反応溶液に静止菌体を加えて、通気攪拌条件(27℃、1vvm、200rpm)で、5日間静止菌体反応を行なった。少量取り出したサンプルのHPLC分析では100%変換であった。
静止菌体反応終了後、連続遠心分離機で、菌体を培養液から分離し、上清約38Lを活性炭カラム(φ15cm×30cm)を通過させて、脱色した。カラム通過液42L(38L原液通過液+4L水(カラム通過洗浄液))は、加熱減圧下に11Lまで濃縮を行ない、4℃保存3日間かけてシロ−イノソース2量体を析出させた。このシロ−イノソース2量体をろ過して取りだし、乾燥後、シロ−イノソース2量体3.6kgを得た(収率91%)。本物質を1%になるように温水に溶解し、HPLC分析した結果、シロ−イノソース以外には類縁物質は含まれず、また、NMR分析結果では、シロ−イノソース以外のシグナルは観察されず、高純度のシロ−イノソースであった。
Claims (6)
- ミオ−イノシトールにグルコノバクター・エスピーAB10289菌株(FERM P−20568)を作用させて、ミオ−イノシトールをシロ−イノソースへ変換することを特徴とする、シロ−イノソースの製造方法。
- グルコノバクター・エスピーAB10289菌株を、ミオ−イノシトールを含有する液体培地で培養することにより、ミオ−イノシトールをシロ−イノソースに変換し、該液体培地中にシロ−イノソースを生成蓄積させ、該液体培地からシロ−イノソースを回収することを特徴とする、請求項1記載のシロ−イノソースの製造方法。
- グルコノバクター・エスピーAB10289菌株を液体培地で培養することにより得られた菌体を、ミオ−イノシトールを含む水溶液または緩衝液中でミオ−イノシトールと反応させ、該水溶液または緩衝液中にシロ−イノソースを生成させ、生成したシロ−イノソースを回収することを特徴とする、請求項1記載のシロ−イノソースの製造方法。
- 前記菌体が、グルコノバクター・エスピーAB10289菌株をミオ−イノシトールを含有しない液体培地で培養することにより得られた菌体である、請求項3に記載のシロ−イノソースの製造方法。
- 前記ミオ−イノシトールを含有する液体培地が、ミオ−イノシトール以外の栄養素成分の総含有量が0.1%〜0.4%(w/v)である液体培地である、請求項2に記載のシロ−イノシトールの製造法。
- ミオ−イノシトールをシロ−イノソースに選択的に変換できる特性を有する、産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P−20568の受託番号で寄託されたグルコノバクター・エスピーAB10289菌株。
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