JP4658377B2 - 自動二輪車用ラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋回走行時の安定性を向上しうる自動二輪車用ラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車用ラジアルタイヤでは、図7に示すように、ラジアル構造のカーカスaと、このカーカスaのタイヤ半径方向外側かつトレッド部bの内部に配されたベルト層cなどを含むトレッド補強層dとを具えている。またこの種のタイヤは、車両を傾けることによりタイヤにキャンバー角を与えて旋回走行するため、トレッド端e、e間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド巾がタイヤ最大巾をなしかつトレッド面baがタイヤ半径方向外側に凸の円弧状に湾曲させて構成される特徴的な形状を具えている。
【0003】
また自動二輪車用ラジアルタイヤは、前記トレッド部bにおいて前記トレッド端間のトレッド面baを形成するトレッドゴムg1と、前記トレッド端eから半径方向内方にのびるバットレス面fを除いたサイドウォール部hの外面をなすサイドウォールゴムg2と、前記バットレス面fをなすウイングゴムg3とを具える。前記トレッドゴムg1は路面と接触するため、耐摩耗性の高い比較的硬質なゴムが用いられるが、サイドウォールゴムg2は、タイヤのサイド部を柔軟に屈曲させるためにトレッドゴムg1よりも柔らかいゴムが用いられる。また硬質のトレッドゴムg1と軟質のサイドウォールゴムg2との境界部となるバットレス部fには、走行中に比較的大きな歪が作用するため、サイドウォールゴムg2と同質ないしこれに近似した特性を有するゴム(すなわちトレッドゴムg1よりも柔軟なゴム)を有する前記ウイングゴムg3が配されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のウイングゴムg3は、図8に拡大して示すように、前記バットレス面fと、前記トレッド端eから前記トレッドゴムg1のタイヤ軸方向外端面と接続されて前記トレッド補強層dの端部付近まで一端がのびる外向き面jと、前記バットレス面fの半径方向内端からトレッド補強層dの端部近傍の一端までサイドウォールゴムg2と接してのびる内向き面kとを具えて構成されているが、外向き面jは、前記トレッド端eとトレッド補強層dの端部付近とを結ぶ略直線状に形成されていた。
【0005】
しかしながら、上述のようなウイングゴムg3の形状では、該トレッド端eの付近において、多くのウイングゴムg3がトレッド部b側に入り込むこととなる。このため、例えばトレッド端e付近が路面と接地するような限界に近い旋回走行時においては、路面からの反力Fをトレッドゴムg1によって支持する能力が相対的に低下し、逆に柔軟なウイングゴムg3が路面からの反力Fをより多く受け持つこととなるため、トレッド端e付近での剛性が著しく低下し旋回走行性能が急激に悪化するという問題があることを本発明者らは突き止めた。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ウイングゴムの前記外向き面を、前記トレッド端とトレッド補強層端部付近とを結ぶ直線よりもタイヤ軸方向外側に凹ませることにより、前記トレッドゴムに外膨らみ部を形成することを基本として、旋回走行時の悪化を防止しうる自動二輪車用ラジアルタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を通りビード部のビードコアに至るラジアル構造のカーカスと、前記トレッド部の内部かつカーカスの半径方向外方に配されたコードを有するトレッド補強層とを具え、かつトレッド端間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド巾がタイヤ最大巾をなししかもトレッド面がタイヤ半径方向外側に凸の円弧状で湾曲する自動二輪車用ラジアルタイヤであって、前記トレッド部において前記トレッド端間のトレッド面を形成するトレッドゴムと、前記トレッド端から半径方向内方にのびるバットレス面を除いたサイドウォール部の外面をなすサイドウォールゴムと、前記バットレス面をなすウイングゴムとを具えるとともに、前記ウイングゴムは、タイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、前記バットレス面と、前記トレッド端から前記トレッドゴムのタイヤ軸方向外端面と接続されて前記トレッド補強層端部付近まで一端がのびる外向き面と、前記バットレス面の半径方向内端からトレッド補強層端部近傍の一端までサイドウォールゴムと接してのびる内向き面とを具えるとともに、前記外向き面は、前記トレッド端とトレッド補強層端部付近とを結ぶ直線よりもタイヤ軸方向外側に凹ませることにより、前記トレッドゴムに外膨らみ部を形成するとともに、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに無負荷とした正規状態において、前記トレッド端を通るトレッド面に立てた法線L1と、トレッド面と、前記法線L1と平行かつ前記トレッド補強層のタイヤ軸方向の端部を通る直線L2と、ウイングゴムの前記内向き面とで囲まれるトレッド端縁領域の全面積Saと、このトレッド端部領域に含まれるトレッドゴムの全面積Stとの比(St/Sa)が0.7〜1.0であることを特徴としている。
【0008】
また前記ウイングゴムの前記外向き面は、前記一端が前記内向き面の前記一端から離間してトレッド補強層の端部に連なることにより前記トレッドゴムと前記サイドウォールゴムとにウイングゴムが介在することが望ましい。
【0010】
なお「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"とする。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" であるが、タイヤが乗用車用である場合には180KPaとする。
【0011】
また前記トレッドゴムのJISデュロメータA硬さHs1は56〜68度、かつ前記サイドウォールゴムのJISデュロメータA硬さHs2は55〜65度、しかも前記ウイングゴムのJISデュロメータA硬さHs3は55〜65度であることが望ましい。さらに前記サイドウォールゴムとウイングゴムとのJISデュロメータA硬さの差|Hs3−Hs2|は0〜7度であることが望ましい。なおJISデュロメータA硬さは、JIS−K6253に準拠して測定する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態の自動二輪車用ラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)の断面図、図2はそのトレッド端付近の拡大図を示している。図において、タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を通りビード部4のビードコア5に至るラジアル構造のカーカス6と、前記トレッド部2の内部かつカーカスの半径方向外方に配されたコードを有するトレッド補強層7とを具えている。
【0013】
またタイヤ1は、エッジ状をなすトレッド端2e、2e間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド巾TWがタイヤ最大巾SWをなしかつトレッド面2aがタイヤ半径方向外側に凸の円弧状で湾曲して構成される。タイヤ1は、このようなトレッド部2を具えることにより、大きなキャンバー角を与えられた場合であっても、トレッド面2aを円滑に路面に追随させることができキャンバースラストを発生して旋回走行をなし得る。
【0014】
前記カーカス6は、例えばカーカスコードをタイヤ赤道Cに対して70〜90度の角度で配列した1枚以上のカーカスプライ6Aから構成される。本例では前記カーカスコードとして、ナイロン、レーヨン、ポリエステル等の有機繊維コードからなる2枚のカーカスプライ6Aが用いられる。また本例では各カーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビードコア5に至るプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向の内側から外側に巻上げられたプライ巻上げ部6b、6bを有する。また、前記プライ本体部6aとプライ巻上げ部6bとの間には、ビードコア5から半径方向外方にのびるビードエーペックスゴム8が充填され、ビード部4の曲げ剛性を適切に高めうる。
【0015】
また前記トレッド補強層7は、コードを有する1枚以上のプライから構成される。本例のトレッド補強層は、タイヤ半径方向の内、外2枚のベルトプライ7A、7Bから構成されたいわゆるベルト層により構成される。前記コード角度は、例えばタイヤ赤道に対して15〜45度程度とすることができ、本例ではコード角度を17度としている。また前記コードとしては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが好適であるが、必要に応じてスチールコードなども採用されうる。また前記ベルトプライ7A、7Bは、本例ではタイヤ半径方向内側のベルトプライ7Aが広幅をなし、その外端がトレッド補強層7のタイヤ軸方向の端部7eを形成している。この端部7eは、略トレッド端2eまでのびており、トレッド端2e付近での剛性を高めるのに役立つ。なお本例ではトレッド補強層7は、ベルト層のみからなるが、このベルト層に代えて又はベルト層とともにコードを実質的にタイヤ周方向に配列したいわゆるバンド層(図示省略)などを配することもできる。
【0016】
またタイヤ1は、前記トレッド部2において前記トレッド端2e、2e間のトレッド面2aを形成するトレッドゴムTgと、前記トレッド端2eから半径方向内方にのびるバットレス面10を除いたサイドウォール部3の外面をなすサイドウォールゴムSgと、前記バットレス面10をなすウイングゴムWgとを具えている。
【0017】
前記トレッドゴムTgは、路面と接触して直進、旋回走行時の駆動力、横力の他、制動力などを好適に発揮し得るように、本例ではJISデュロメータA硬さHs1が56〜68度、より好ましくは60〜66度のゴム組成物が用いられている。またサイドウォールゴムSgは、タイヤのサイドウォール部3を屈曲させて振動を吸収し、あるいは旋回走行時においてサイド部の過度の屈曲を防止して走行性を高めるべく、本例ではJISデュロメータA硬さHs2が55〜65度、より好ましくは55〜60度のゴム組成物が用いられている。またサイドウォールゴムSgは、ビード部4からタイヤ半径方向外側にのび前記カーカス6とトレッド補強層7との間に介在しかつ先細状で終端している。
【0018】
また前記ウイングゴムWgは、タイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、前記バットレス面10と、前記トレッド端2eから前記トレッドゴムTgのタイヤ軸方向外端面Tgeと接続されて本例では前記トレッド補強層7の端部7eまで一端11eがのびる外向き面11と、前記バットレス面10の半径方向内端10iから本例ではトレッド補強層7の端部7eに達して終端する一端12eまでサイドウォールゴムSgと接してのびる内向き面12とを具えている。なお前記外向き面11、内向き面12の各一端11e、12eは、前記トレッド補強層7の端部7eに達する場合の他、前記端部7eの手前で途切れることにより該端部7e付近で終端する事もある。この場合、外向き面11、内向き面12の各一端11e、12eは、前記トレッド補強層7の端部7eまでの最小長さが2mm以下であることが望ましい。
【0019】
またウイングゴムWgの前記外向き面11は、本実施形態ではトレッド端2eとトレッド補強層7の端部7eとを結ぶ直線Nよりもタイヤ軸方向外側に凹ませている。具体的には、前記外向き面11は、凹円弧状に形成されている。これにより、本発明のタイヤ1のトレッドゴムTgは、その軸方向の端部Tgeに前記ウイングゴムWgの外向き面11と接する外膨らみ部13が形成される。このようなタイヤ1では、トレッド端2e付近が路面と接地するような限界に近い旋回走行時においても、トレッドゴムTgの外膨らみ部13によりトレッド端2e付近により多くのトレッドゴムTgを存在させることができるため、路面からの反力Fを確実に受け止めることができ、従来のようなトレッド端2e付近での剛性の著しい低下を防止でき旋回走行性能の急激な悪化を効果的に抑制しうる。
【0020】
また、ウイングゴムWgの前記外向き面11は、本例では前記トレッド端2eから前記トレッドゴムTgのタイヤ軸方向外端面Tgeと接続されて前記トレッド補強層7の端部7eにまで達して一端がのびている。このため、前記トレッドゴムTgと前記サイドウォールゴムSgとの間にウイングゴムWgが介在することにより、製造時においては硬質なトレッドゴムTgと柔軟なサイドウォールゴムSgとが直接接着されるのを防止しうる。これにより、物性が大きく異なる両ゴムの接着不良に起因する空気残りなどの成形不良を防止しうる。
【0021】
上述のようなウイングゴムWgは、JISデュロメータA硬さHs3が55〜65度、より好ましくは55〜60度とすることが望ましく、特に好ましくは前記サイドウォールゴムSgとウイングゴムWgとのJISデュロメータA硬さの差|Hs3−Hs2|を0〜7度とすることが望ましい。これにより、サイドウォールゴムSgとウイングゴムWgとの硬度差が一定範囲に規制されることにより、さらに両ゴムの接着性が向上し成形不良などを効果的に防止できる。なおゴムの前記硬さはHs3>Hs2とすることが望ましい。これにより、ゴムの硬さをタイヤ半径方向外側に向かうにつれて徐々に大にでき剛性段差を緩和でき、仕上がり後においても耐久性などを向上するのに役立つ。
【0022】
また前記トレッドゴムTgの外膨らみ部13を定量的に把握するために、例えばタイヤ1を正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに無負荷とした正規状態において、図3に示すように、前記トレッド端2eを通るトレッド面2aに立てた法線L1と、トレッド面2aと、前記法線L1と平行かつ前記トレッド補強層7のタイヤ軸方向の端部7eを通る直線L2と、ウイングゴムWgの前記内向き面12とで囲まれるトレッド端縁領域Eの全面積Saと、このトレッド端部領域Eに含まれるトレッドゴムTgの全面積Stとの比(St/Sa)を限定することができる。前記比(St/Sa)が小さすぎると、トレッド端縁領域Eに含まれるトレッドゴムの割合が低下するため、該トレッド端縁領域Eの剛性が低下して旋回性能が悪化する傾向があり、逆に前記比(St/Sa)が過大になると、トレッド端縁領域Eに占めるウイングゴムWgの面積が過小となって、トレッドゴムTgとサイドウォールゴムSgとが接触しやすくなる。このような観点より、前記比(St/Sa)は、0.7〜1.0とする。
【0023】
このようなタイヤ1の製造方法については、従来と同様、TOS(Tread Over Sidewall)構造を有するラジアルタイヤの2ステージ成型法が従来通り採用できる。すなわち、図4に示すように円筒状をなす成型用ドラム20にカーカスプライ6Aを巻き付け、ビードコア5、ビードエーペックス8などをセットする。その後に、カーカスプライ6Aの両端を折り返し、サイドウォールゴムSgを張りつけする。
【0024】
しかる後に、図5に示すように、一対のビード部4、4の間隔を狭めつつ、タイヤの内腔側からブラダなどの膨張体21でカーカスプライ6Aをトロイド状に膨張変形させつつ、例えば別ステージでリング状に形成されたトレッド補強層7、未加硫のトレッドゴム体22と合体され、タイヤの生カバーを形成しこれを加硫成形する。これにより本発明のタイヤ1を容易に製造しうる。
【0025】
この際、前記トレッドゴム体22は、例えば図6(A)に示すように、トレッドゴムTg、ウイングゴムWg及びトレッドゴムTgとウイングゴムWgとのタイヤ半径方向内側面に配された小厚さのアンダートレッドゴムUgを一つの押出機により一体に押し出した一体押し出し品が用いられる。またウイングゴムWgは、トレッドゴムTgとの接続部をトレッドゴム体22の巾方向の外側に向かって凹ませることにより、トレッドゴムTgの端部に前記外膨らみ部13を予め形成している。
【0026】
また前記アンダートレッドゴムUgは、トレッドゴムTg、ウイングゴムWgの両ゴムに跨って配されることにより、両ゴムの剥離を防ぎ一体化するのに役立つ。またこのような、アンダートレッドゴムUgは、例えば0.5〜1.5mm程度の小厚さをなすことにより、実質的にトレッドゴムTgの性能には影響を与えることはなく、トレッドゴム体Tgとカーカスプライ6Aとの接着性を向上するために機能しうる。なお従来のトレッドゴム体を図6(B)に示す。
【0027】
【実施例】
タイヤサイズが、190/50ZR17(73W)であり、図1、図7に示すタイヤ(実施例、比較例)を表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤをリム(17×MT6.00)、内圧(290kPa)の条件の基で自動二輪車(排気量750cm3 )の後輪に装着して、乾燥舗装道路を実車走行し、直進安定性、旋回時の限界速度、旋回時の過渡特性(キャンバー角、旋回速度を徐々に増していく際の車両の挙動変化)をドライバーによる官能評価によって比較した。評価は、5点法を用い、点数が大なほど性能に優れている。テストの結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示すように、実施例のタイヤでは、旋回時の限界速度が比較例に比べて大となっており、また旋回時の過渡特性についても急激な車両の挙動変化が少なく非常に良好な結果が得られた。
【0030】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明では、トレッドゴムのタイヤ軸方向外端面と接続されたウイングゴムの外向き面は、トレッド端とトレッド補強層の端部付近とを結ぶ直線よりもタイヤ軸方向外側に凹むことにより、前記トレッドゴムの軸方向の端部にウイングゴムの外向き面と接する外膨らみ部を具える。これにより、トレッド端付近が路面と接地するような限界に近い旋回走行時においても、トレッドゴムの外膨らみ部によりトレッド端付近により多くのトレッドゴムを存在させることができるから、従来のようなトレッド端付近での剛性の著しい低下を防止でき旋回走行性能の急激な悪化を効果的に抑制しうる。また、タイヤの正規状態において、規定されたトレッド端縁領域の全面積Saと、このトレッド端部領域に含まれるトレッドゴムの全面積Stとの比(St/Sa)を0.7〜1.0に規制することにより、トレッドゴムの外膨らみ部を定量的に規制することができ、より確実に旋回走行性能を向上しうる。
【0031】
また、請求項2記載の発明では、ウイングゴムの外向き面は、前記一端が前記内向き面の前記一端から離間してトレッド補強層の端部に連なることにより前記トレッドゴムと前記サイドウォールゴムとの間にウイングゴムが介在し、前記トレッドゴムとサイドウォールゴムとが直接接触するのを防止しうる結果、例えば生カバー成型時のゴムの接着不良などを防止し成形不良などを防止するほか、タイヤの耐久性などをも向上しうる。
【0033】
また請求項3記載のように、トレッドゴム、サイドウォールゴム、ウイングゴムのゴム硬さを一定の範囲に規制することにより、旋回走行性能を維持しつつウイングゴムがトレッドゴムとサイドウォールゴムとの剛性段差を緩和し各ゴムの接着性を向上しタイヤの耐久性をも高めうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す自動二輪車用ラジアルタイヤの断面図である。
【図2】そのトレッド端付近の拡大図である。
【図3】トレッド端部領域を説明する拡大図である。
【図4】本発明のタイヤの製造工程を説明する略図である。
【図5】その工程を説明する略図である。
【図6】(A)は本発明のタイヤを製造する際に用いるトレッドゴム体の断面図、(B)は従来のトレッドゴム体の断面図である。
【図7】従来の自動二輪車用ラジアルタイヤの断面図である。
【図8】そのトレッド端付近の拡大図である。
【符号の説明】
1 自動二輪車用ラジアルタイヤ
2 トレッド部
2e トレッド縁
2a トレッド面
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 トレッド補強層
10 バットレス面
11 外向き面
12 内向き面
Wg ウイングゴム
Tg トレッドゴム
Sg サイドウォールゴム
Claims (3)
- トレッド部からサイドウォール部を通りビード部のビードコアに至るラジアル構造のカーカスと、前記トレッド部の内部かつカーカスの半径方向外方に配されたコードを有するトレッド補強層とを具え、かつトレッド端間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド巾がタイヤ最大巾をなししかもトレッド面がタイヤ半径方向外側に凸の円弧状で湾曲する自動二輪車用ラジアルタイヤであって、
前記トレッド部において前記トレッド端間のトレッド面を形成するトレッドゴムと、前記トレッド端から半径方向内方にのびるバットレス面を除いたサイドウォール部の外面をなすサイドウォールゴムと、前記バットレス面をなすウイングゴムとを具えるとともに、
前記ウイングゴムは、タイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、
前記バットレス面と、
前記トレッド端から前記トレッドゴムのタイヤ軸方向外端面と接続されて前記トレッド補強層端部付近まで一端がのびる外向き面と、
前記バットレス面の半径方向内端からトレッド補強層端部近傍の一端までサイドウォールゴムと接してのびる内向き面とを具えるとともに、
前記外向き面は、前記トレッド端とトレッド補強層端部付近とを結ぶ直線よりもタイヤ軸方向外側に凹ませることにより、前記トレッドゴムに外膨らみ部を形成するとともに、
正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに無負荷とした正規状態において、前記トレッド端を通るトレッド面に立てた法線L1と、トレッド面と、前記法線L1と平行かつ前記トレッド補強層のタイヤ軸方向の端部を通る直線L2と、ウイングゴムの前記内向き面とで囲まれるトレッド端縁領域の全面積Saと、このトレッド端部領域に含まれるトレッドゴムの全面積Stとの比(St/Sa)が0.7〜1.0であることを特徴とする自動二輪車用ラジアルタイヤ。 - 前記ウイングゴムの前記外向き面は、前記一端が前記内向き面の前記一端から離間してトレッド補強層の端部に連なることにより前記トレッドゴムと前記サイドウォールゴムとにウイングゴムが介在することを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用ラジアルタイヤ。
- 前記トレッドゴムのJISデュロメータA硬さHs1が56〜68度、かつ前記サイドウォールゴムのJISデュロメータA硬さHs2が55〜65度、しかも前記ウイングゴムのJISデュロメータA硬さHs3が55〜65度であり、かつ前記サイドウォールゴムとウイングゴムとのJISデュロメータA硬さの差|Hs3−Hs2|が0〜7度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車用ラジアルタイヤ。
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