JP4656232B2 - プロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、左右一対のスピーカを備えたプロジェクタに関する。
プロジェクタで画像を投写する際に、部屋のレイアウト等の都合により、プロジェクタを被投写物(スクリーン等)の正面中央に設置できない場合がある。この場合には、プロジェクタを左右のいずれかにずらして設置して、斜め方向から画像を投写することになるが、投写される画像がプロジェクタの設置角度に応じて台形状に歪む現象(台形歪)が生じてしまう。また、左右一対のスピーカを備えたプロジェクタを、被投写物の正面中央からずらして設置した場合には、被投写物の正面中央で鑑賞する鑑賞者にとって、左右の音量バランスが崩れてしまう。
特許文献1には、予め逆方向に歪ませた画像を投写することによって台形歪を補正する機能を有するとともに、台形歪の補正量、即ちプロジェクタの設置角度に基づいて左右の音量バランスを調整可能なプロジェクタが提案されている。特許文献1に記載のプロジェクタを応用すれば、プロジェクタを被投写物の正面中央に設置できない場合でも、画像と音声とを、台形歪のない状態で、且つ適正な音量バランスで鑑賞することが可能となる。
特開2004−163453号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクタのように、画像を予め逆方向に歪ませて台形歪を補正する態様のプロジェクタは、画像を構成する画素の一部を間引くことによって画像を歪ませている。つまり、通常よりも少ない画素で画像が形成されることになるため、投写される画像の画質(解像度)が劣化してしまうという問題を有している。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るプロジェクタは、光源と、入力される画像情報に基づいて、前記光源から射出された光を変調して画像を形成する光変調装置と、前記光変調装置で形成された前記画像を投写する投写光学系と、前記投写光学系を投写方向に向かって左右に移動させ、前記画像の投写位置を調整する投写位置調整部と、前記画像情報とともに入力される音声情報に基づく音声を発する左右一対のスピーカと、前記投写位置調整部による前記投写位置の調整状態に基づいて、前記一対のスピーカから発せられる前記音声の音量レベルを個別に調整する音量調整部と、を備えたことを特徴とする。
このプロジェクタによれば、投写光学系を左右に移動させることによって投写位置を調整する構成であるため、プロジェクタを被投写物(スクリーン等)の正面に設置できない場合でもプロジェクタ(投写光学系の光軸)を傾ける必要がなくなるため、台形歪の発生が抑制される。つまり、台形歪の補正に伴う画質の劣化を抑制することが可能となる。さらに、音量調整部が、投写位置調整部の調整状態に基づいて、スピーカから発せられる音声の音量レベルを個別に調整するため、プロジェクタが被投写物の正面からずれている場合でも、被投写物の正面にいる鑑賞者にとって適正な音量バランスで音声を発することが可能となる。
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記音量調整部は、前記投写位置調整部が前記投写位置を正面よりも左側にずらしている場合には、前記左右一対のスピーカのうち右側のスピーカの音量レベルを左側のスピーカよりも大きくすることが望ましい。
このプロジェクタによれば、投写位置調整部が投写位置を正面よりも左側にずらしている場合に、右側のスピーカの音量レベルを大きくしている。ここで、投写位置が正面よりも左側にずれている場合には、プロジェクタは被投写物の正面よりも右側に位置していることになるため、被投写物の正面にいる鑑賞者とスピーカとの距離は、左側のスピーカよりも右側のスピーカのほうが長くなる。このため、右側のスピーカの音量レベルを大きくすることにより、被投写物の正面にいる鑑賞者にとって適正な音量バランスとすることが可能となる。
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記音量調整部は、前記投写位置調整部が前記投写位置を正面よりも右側にずらしている場合には、前記左右一対のスピーカのうち左側のスピーカの音量レベルを右側のスピーカよりも大きくすることが望ましい。
このプロジェクタによれば、投写位置調整部が投写位置を正面よりも右側にずらしている場合に、左側のスピーカの音量レベルを大きくしている。ここで、投写位置が正面よりも右側にずれている場合には、プロジェクタは被投写物の正面よりも左側に位置していることになるため、被投写物の正面にいる鑑賞者とスピーカとの距離は、右側のスピーカよりも左側のスピーカのほうが長くなる。このため、左側のスピーカの音量レベルを大きくすることにより、被投写物の正面にいる鑑賞者にとって適正な音量バランスとすることが可能となる。
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記投写位置の調整状態を検出する投写位置検出部をさらに備え、前記音量調整部は、前記投写位置検出部の検出結果に基づいて、前記音声の音量レベルを調整することが望ましい。
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、入力操作を受け付ける入力操作部をさらに備え、前記投写位置調整部は、前記入力操作部が受け付けた前記入力操作に基づいて前記投写光学系を駆動して移動させ、前記音量調整部は、前記入力操作に基づいて前記音声の音量レベルを調整するようにしてもよい。
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクタにおいて、前記画像情報及び前記音声情報が記録された記録媒体から前記画像情報及び前記音声情報を再生する画像再生部をさらに備えるようにしてもよい。
以下、光源から射出された光を変調して画像を形成し、この画像を投写レンズからスクリーン等の被投写物(本明細書では、単に「スクリーン」とも呼ぶ。)に投写するプロジェクタについて説明する。
(第1実施形態)
本実施形態のプロジェクタは、DVDを再生可能なDVD再生部を備えており、DVDメディアに記録されている情報に基づく画像を投写することができる。また、本実施形態のプロジェクタは、投写レンズを投写方向(光軸方向)と垂直な方向に移動させること(以降、「レンズシフト」と呼ぶ。)によって画像の投写位置を調整することが可能になっている。
図1は、本実施形態のプロジェクタの斜視図であり、(a)は、前方より見た図、(b)は、後方より見た図である。
図1(a)、(b)に示すように、プロジェクタ1は、外装を構成する筐体2によって装置本体が覆われた構成を有しており、筐体2の前面2fには、投写レンズ13が露出している。プロジェクタ1は、投写レンズ13をスクリーンに正対させて、即ち投写レンズ13の光軸がスクリーンに垂直になるように設置され、投写レンズ13からスクリーンに画像を投写する。筐体2の上面2tには、複数の操作キー(操作ボタン)を備えて構成される入力操作部22が設けられており、筐体2の背面2rには、記録媒体であるDVDメディアを挿入するためのディスクスロット3が設けられている。また、筐体2の背面2rの左右両側には、左右一対のスピーカ27L,27Rが配設されている。つまり、筐体2の背面2rの左側には、左チャンネル用のスピーカ27Lが配設され、筐体2の背面2rの右側には、右チャンネル用のスピーカ27Rが配設されている。なお、本明細書における「左右」とは、前方(投写方向)を向いた場合の左右であり、これ以降、「投写方向に向かって左(左方向、左側)」のことを単に「左(左方向、左側)」とも呼び、「投写方向に向かって右(右方向、右側)」のことを単に「右(右方向、右側)」とも呼ぶ。
筐体2の上面2tには、レンズシフト機構15(図4参照)を構成する左右レンズシフトダイヤル15H及び上下レンズシフトダイヤル15Vが露出している。左右レンズシフトダイヤル15Hは、前後方向を軸方向とする回転操作が可能であり、上下レンズシフトダイヤル15Vは、左右方向を軸方向とする回転操作が可能になっている。レンズシフト機構15の本体は、筐体2の内部に配設され、左右レンズシフトダイヤル15H及び上下レンズシフトダイヤル15Vになされた回転操作を、投写レンズ13の直線運動に変換する。具体的には、ユーザにより左右レンズシフトダイヤル15Hが回転操作されると、レンズシフト機構15は、投写レンズ13を左右方向に移動させ、ユーザにより上下レンズシフトダイヤル15Vが回転操作されると、レンズシフト機構15は、投写レンズ13を上下方向に移動させる。
図2及び図3は、レンズシフトを説明するための説明図であり、図2は、画像が投写される位置(投写位置)を示す図、図3は、レンズシフトによって投写位置を調整した状態を示す平面図である。
図2に示すように、投写レンズ13が所定の基準位置(例えば、移動可能な範囲の中心位置)にある場合に、投写レンズ13の正面(投写レンズ13に正対する位置Pc)に画像が投写されるものとする。ここで、上下レンズシフトダイヤル15Vを操作して投写レンズ13を上方に移動させると、画像が投写される位置(投写位置)も上方に移動する。そして、投写レンズ13の位置が移動可能範囲の上端にある場合には、画像の投写位置は、位置Pcに対して略1画面分上方の位置Ptに移動する。同様に、上下レンズシフトダイヤル15Vを操作して投写レンズ13を下方に移動させると、画像の投写位置も下方に移動し、投写レンズ13の位置が移動可能範囲の下端にある場合には、画像の投写位置は、位置Pcに対して略1画面分下方の位置Pbに移動する。
また、投写レンズ13が基準位置にある状態において、左右レンズシフトダイヤル15Hを操作して投写レンズ13を左方向に移動させると、画像の投写位置も左方向に移動する。そして、投写レンズ13の位置が移動可能範囲の左端にある場合には、画像の投写位置は、位置Pcに対して略半画面分左側の位置Plに移動する。同様に、左右レンズシフトダイヤル15Hを操作して投写レンズ13を右方向に移動させると、画像の投写位置も右方向に移動し、投写レンズ13の位置が移動可能範囲の右端にある場合には、画像の投写位置は、位置Pcに対して略半画面分右側の位置Prに移動する。
このように、プロジェクタ1は、レンズシフトによって投写レンズ13の正面からずれた位置に画像を投写することができるため、図3に示すように、プロジェクタ1をスクリーンSCの正面中央に設置できない場合でも、プロジェクタ1を傾けることなく、即ちスクリーンSCに対して投写レンズ13の光軸Lxを傾けることなくスクリーンSCに画像を投写することができる。このため、本実施形態のようにレンズシフトによって画像の投写位置を調整する場合には、プロジェクタ1(投写レンズ13の光軸Lx)を傾けて投写する場合のように画像に台形歪が生じることはない。
図4は、本実施形態のプロジェクタ1の回路構成を示すブロック図である。
図4に示すように、プロジェクタ1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、入力操作部22、DVD再生部23、画像処理部24、音声処理部25、音声出力部26、スピーカ27L,27R、レンズシフト検出部28等を備えている。
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、ライトバルブ駆動部14、レンズシフト機構15等で構成されている。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像(画像光)を形成し、この画像を投写レンズ13から投写してスクリーンSCに表示する。
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクタ11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレータ光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
レンズシフト機構15は、上述したように、画像の投写位置を調整するためのものであり、左右レンズシフトダイヤル15H及び上下レンズシフトダイヤル15Vになされた回転操作を直線運動に変換して投写レンズ13を移動させる。レンズシフト機構15は、左右レンズシフトダイヤル15Hの回転を左右方向の直線運動に変換するためのラック及びピニオン(図示せず)や、上下レンズシフトダイヤル15Vの回転を上下方向の直線運動に変換するためのラック及びピニオン(図示せず)等によって構成される。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクタ1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピュータとして機能する。
記憶部21は、フラッシュメモリ、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)等、書き換え可能な不揮発性のメモリにより構成されている。記憶部21には、プロジェクタ1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクタ1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
入力操作部22は、複数の操作キーを備えており、ユーザからの入力操作、即ち操作キーの操作(押下)を受け付ける。入力操作部22が備える操作キーには、電源のオン/オフを行うための電源キーや、DVDの再生を指示するための再生キー、DVDの再生を停止させるための停止キー、出力する音声の音量レベルを指定するためのボリュームキー等が含まれる。ユーザが入力操作部22の各種操作キーを操作すると、入力操作部22は、ユーザの操作内容(操作された操作キー)に応じた操作信号を制御部20に出力する。なお、入力操作部22として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部20に伝達する。
DVD再生部23は、記録媒体(DVDメディアM)に記録されているDVDコンテンツを再生する。具体的には、DVD再生部23は、制御部20の制御に基づいて、ディスクスロット3に挿入されたDVDメディアMをスピンドルモータ(図示せず)で回転させるとともに、光ピックアップ(図示せず)を走査して、DVDメディアMに記録されている情報(データストリーム)を順次読み取る。このデータストリームは、符号化された画像情報や音声情報が多重化された情報であり、DVD再生部23は、読み取ったデータストリームを画像情報と音声情報とに分離する処理や、分離した画像情報や音声情報をデコード(復号化)する処理等を行う。そして、処理後の画像情報を画像処理部24に出力するとともに、処理後の音声情報を音声処理部25に出力する。なお、DVD再生部23が出力する音声情報には、左右2チャンネル分の音声情報が含まれている。
画像処理部24は、制御部20の制御に基づいて、DVD再生部23から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報、即ち各画素に印加する駆動電圧を規定するための画像情報に変換する。さらに、画像処理部24は、制御部20の制御に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための処理や、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳する処理等を行う。画像処理部24で各種処理がなされた画像情報は、ライトバルブ駆動部14に出力される。
ライトバルブ駆動部14が、入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像(画像光)を形成し、この画像が投写レンズ13からスクリーンSCに投写される。
音声処理部25は、制御部20の制御に基づいて、DVD再生部23から入力される音声情報に音質等を調整するための処理を施し、処理後の音声情報を音声出力部26に出力する。
音声出力部26は、図示しないデジタル−アナログ変換回路や増幅回路等を備えており、音声処理部25での処理がなされた音声情報をアナログの音声信号に変換するとともに、制御部20の制御に基づいて音声信号を増幅し、スピーカ27L,27Rに出力する。このため、制御部20が、音声出力部26に指示をして、入力操作部22のボリュームキーによって指定された音量レベルとなるように音声信号を増幅させると、DVD再生部23から入力される音声情報に基づく音声が、ボリュームキーによって指定された音量レベルでスピーカ27L,27Rから発せられる。また、制御部20は、左チャンネル用の音量レベルと、右チャンネル用の音量レベルとを個別に制御(調整)できるようになっており、音声出力部26は、この制御部20の制御に基づいて、左チャンネル用の音声と右チャンネル用の音声とを異なる音量レベルにすることができる。
レンズシフト検出部28は、左右方向のレンズシフトによる投写位置の調整状態、即ち投写レンズ13の左右方向の位置を検出し、検出結果を制御部20に出力する。投写レンズ13の位置を検出する方法としては、光センサやポテンショメータ等、様々な位置検出手段を用いることができる。また、投写レンズ13の位置を直接検出する代わりに、左右レンズシフトダイヤル15Hの回転角を検出するようにしてもよい。
本実施形態のプロジェクタ1は、上記のように構成されており、制御部20は、ボリュームキーによって指定された音量レベルを、レンズシフト検出部28の検出結果に応じて左右のチャンネル別に調整することにより、左右の音量バランスを調整することができるようになっている。この音量バランスの調整は、ボリュームキーによって指定された音量レベルに、レンズシフト検出部28の検出結果、即ち投写レンズ13の左右方向の位置に応じた左右個別の調整係数を乗じることによって行われる。
図5は、投写レンズ13の左右方向の位置と左右両チャンネルの調整係数との関係を示すグラフであり、図6(a)〜(c)は、音量バランスの調整を説明するための説明図である。
図5に示すように、投写レンズ13の左右方向の位置が基準位置(左右方向の移動可能範囲の中心)である場合には、調整係数は、左右両チャンネルとも1で等しくなっている。また、左チャンネル用の調整係数は、基準位置から左に移動するにつれて小さくなり、基準位置から右に移動するにつれて大きくなる一方、右チャンネル用の調整係数は、基準位置から左に移動するにつれて大きくなり、基準位置から右に移動するにつれて小さくなる。
ここで、例えば、レンズシフト検出部28による検出の結果、投写レンズ13の左右方向の位置が基準位置である場合には、画像は、投写レンズ13の正面(図2における位置Pc)に向けて投写されていることになるため、プロジェクタ1は、スクリーンSCの正面に設置されているものと推定できる(図6(b)参照)。上述したように、投写レンズ13の左右方向の位置が基準位置である場合には、左右両チャンネルの調整係数をともに1としているため、左右のスピーカ27L,27Rから出力される音声の音量レベルは、ともにボリュームキーによって指定された音量レベルのままとなって等しくなる。このため、スピーカ27L,27Rから発せられる音声の音量バランスは、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aにとって略適正となる。
また、投写レンズ13が基準位置よりも左に位置している場合には、画像は、投写レンズ13の正面よりも左側に向けて投写されていることになるため、プロジェクタ1は、スクリーンSCの正面よりも右側にずれた位置に設置されているものと推定できる(図6(a)参照)。このとき、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aとスピーカ27L,27Rとの距離は、左チャンネル用のスピーカ27Lよりも右チャンネル用のスピーカ27Rのほうが長くなる。図5に示すように、投写レンズ13が基準位置よりも左に位置している場合には、右チャンネル用の調整係数は、左チャンネル用の調整係数よりも大きくなるため、右チャンネル用のスピーカ27Rから出力される音声の音量レベルは、左チャンネル用のスピーカ27Lから出力される音声の音量レベルよりも大きくなる。この結果、スピーカ27L,27Rから発せられる音声の音量バランスは、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aにとって略適正となる。
同様に、投写レンズ13が基準位置よりも右に位置している場合には、画像は、投写レンズ13の正面よりも右側に向けて投写されていることになるため、プロジェクタ1は、スクリーンSCの正面よりも左側にずれた位置に設置されているものと推定できる(図6(c)参照)。このとき、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aとスピーカ27L,27Rとの距離は、右チャンネル用のスピーカ27Rよりも左チャンネル用のスピーカ27Lのほうが長くなる。図5に示すように、投写レンズ13が基準位置よりも右に位置している場合には、左チャンネル用の調整係数は、右チャンネル用の調整係数よりも大きくなるため、左チャンネル用のスピーカ27Lから出力される音声の音量レベルは、右チャンネル用のスピーカ27Rから出力される音声の音量レベルよりも大きくなる。この結果、スピーカ27L,27Rから発せられる音声の音量バランスは、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aにとって略適正となる。
なお、図示は省略しているが、記憶部21には、図5に示したグラフに対応するLUT(Look Up Table)が記憶されており、制御部20は、レンズシフト検出部28の検出結果とこのLUTとに基づいて、投写レンズ13の位置に応じた調整係数をチャンネル別に定める。その後、制御部20は、ボリュームキーによって指定された音量レベルに調整係数を乗じる計算を行い、その計算結果を音量制御情報として音声出力部26に出力する。そして、音声出力部26が、この音量制御情報に基づく音量で音声が発せられるように、左右両チャンネルの音声信号を増幅すると、スピーカ27L,27Rから発せられる音声の音量バランスは、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aにとって略適正となる。また、制御部20は、上記の動作による音量バランスの調整を、電源キーが操作されて電源がオンとなった直後から、定期或いは不定期のタイミングで常時行うようになっている。
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態のプロジェクタ1によれば、投写レンズ13を左右に移動させることによって投写位置を調整する構成であるため、プロジェクタ1をスクリーンSCの正面に設置できない場合でも、プロジェクタ1(投写レンズ13の光軸Lx)を傾ける必要がなくなり、台形歪が抑制される。つまり、台形歪の補正に伴う画質の劣化を抑制することが可能となる。さらに、レンズシフト検出部28が投写レンズ13の位置を検出した結果に基づいて、制御部20及び音声出力部26が、スピーカ27L,27Rから発せられる音声の音量レベルを個別に調整するため、プロジェクタ1がスクリーンSCの正面からずれている場合でも、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aにとって適正な音量バランスで音声を発することが可能となる。
具体的には、投写レンズ13が基準位置よりも左に移動している場合、即ち投写位置が投写レンズ13の正面よりも左側にずれている場合には、プロジェクタ1は、スクリーンSCの正面よりも右側に位置していることになる。このため、この場合には、左右一対のスピーカ27L,27Rのうち、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aとの距離が長いほうのスピーカ(右チャンネル用のスピーカ27R)から発せられる音声の音量レベルを、他方のスピーカ(左チャンネル用のスピーカ27L)よりも大きくすることにより、鑑賞者Aにとって適正な音量バランスとすることが可能となる。
同様に、投写レンズ13が基準位置よりも右に移動している場合、即ち投写位置が投写レンズ13の正面よりも右側にずれている場合には、プロジェクタ1は、スクリーンSCの正面よりも左側に位置していることになる。このため、この場合には、左右一対のスピーカ27L,27Rのうち、左チャンネル用のスピーカ27Lから発せられる音声の音量レベルを、右チャンネル用のスピーカ27Rよりも大きくすることにより、鑑賞者Aにとって適正な音量バランスとすることが可能となる。
言い換えれば、左右一対のスピーカ27L,27Rのうち、投写レンズ13が移動している方向、即ち投写位置がずれている方向のスピーカから発せられる音声の音量レベルよりも、他方のスピーカから発せられる音声の音量レベルを大きくすることにより、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aにとって適正な音量バランスとすることが可能となる。
なお、本実施形態では、レンズシフト機構15が投写位置調整部に相当し、音量レベルを調整する際の制御部20と音声出力部26とが音量調整部に相当する。また、DVD再生部23が画像再生部に相当する。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、左右レンズシフトダイヤル15H及び上下レンズシフトダイヤル15Vの回転操作によって投写レンズ13の移動(レンズシフト)を行う態様を示したが、本実施形態では、入力操作部22になされる入力操作に基づいて電動でレンズシフトを行うようになっている。
図7は、第2実施形態のプロジェクタ1の回路構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態のプロジェクタ1は、モータ等(図示せず)で構成されるレンズシフト駆動部29を備えている。レンズシフト駆動部29は、制御部20の制御に基づいて、レンズシフト機構15を駆動する。レンズシフト機構15は、上記第1実施形態と同様、ラック及びピニオン等(図示せず)で構成され、レンズシフト駆動部29のモータの回転駆動を直線運動に変換し、投写レンズ13を上下及び左右に移動させる。
入力操作部22には、上下左右に対応する4つのレンズシフトキー(図示せず)が配設されており、ユーザによりレンズシフトキーが操作されると、制御部20は、レンズシフト駆動部29に指示をしてレンズシフト機構15を駆動させ、操作されたレンズシフトキーに対応する方向に所定量だけ投写レンズ13を移動させる。ユーザは、レンズシフトキーの操作を繰り返すことにより、投写レンズ13を必要な量だけ移動させることができる。なお、レンズシフトキーが長押しされた場合、即ちレンズシフトキーを操作した状態が維持された場合にも、制御部20は、レンズシフトキーが複数回操作されたものとみなし、その分だけ所定量の移動を繰り返す。
また、制御部20は、レンズシフトキーが操作されて投写レンズ13を移動させる度に、現時点の投写レンズ13の位置を、位置情報として記憶部21に記憶するようになっている。このため、制御部20は、レンズシフト検出部28(図4参照)による検出を行うことなく、記憶部21に記憶されている位置情報に基づいて投写レンズ13の位置を認識することができる。なお、投写レンズ13が、移動可能範囲内における上下左右いずれかの方向の端部(上端、下端、左端、右端)に位置している場合で、さらにその方向のレンズシフトキーが操作された場合には、制御部20は、レンズシフト駆動部29にレンズシフト機構15の駆動を行わせない。
上述した構成以外の構成については、上記第1実施形態と同一である。
本実施形態のプロジェクタ1は、このように構成されているため、ユーザによりレンズシフトキーが操作されると、制御部20は、レンズシフト駆動部29に投写レンズ13を移動させるとともに、記憶部21に記憶されている位置情報を更新する。そして、更新した位置情報と上述したLUTとに基づいて、新たな投写レンズ13の位置に応じた調整係数をチャンネル別に定める。その後、上記第1実施形態と同様、制御部20は、ボリュームキーによって指定された音量レベルに調整係数を乗じる計算を行い、その計算結果を音量制御情報として音声出力部26に出力する。そして、音声出力部26が、この音量制御情報に基づく音量で音声が発せられるように、左右両チャンネルの音声信号を増幅すると、スピーカ27L,27Rから発せられる音声の音量バランスは、スクリーンSCの正面にいる鑑賞者Aにとって略適正となる。なお、電源キーが操作されて電源がオンとなった直後には、制御部20は、記憶部21に記憶されている位置情報を読み出し、この位置情報と上述したLUTとに基づいて音量バランスを調整する。
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、上記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本実施形態のプロジェクタ1によれば、入力操作部22のレンズシフトキーになされる入力操作に基づいて電動でレンズシフトを行う構成であるため、この入力操作部22(レンズシフトキー)をリモコンに配設することにより、離れた場所からレンズシフトを行うことが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
本実施形態のプロジェクタ1によれば、レンズシフト駆動部29が、レンズシフトキーの操作に応じて所定量ずつ投写レンズ13を移動させるため、制御部20は、駆動した回数等によって投写レンズ13の位置を認識することができる。このため、投写レンズ13の位置を検出する手段(レンズシフト検出部28)が不要となる。
なお、本実施形態では、入力操作部22に備わるレンズシフトキー、レンズシフト機構15、及びレンズシフト駆動部29とが投写位置調整部に相当する。
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
上記実施形態では、投写レンズ13が基準位置から左に移動するにつれて、左チャンネル用の調整係数(音量レベル)を小さくするとともに、右チャンネル用の調整係数(音量レベル)を大きくし、さらに、投写レンズ13が基準位置から右に移動するにつれて、左チャンネル用の調整係数を大きくするとともに、右チャンネル用の調整係数を小さくしている(図5参照)。しかし、投写レンズ13の位置と調整係数(音量レベル)との関係はこれに限定されず、投写レンズ13が基準位置よりも左側に位置している場合に右チャンネルの音量レベルが左チャンネルよりも大きくなり、基準位置よりも右側に位置している場合に左チャンネルの音量レベルが右チャンネルよりも大きくなればよい。例えば、図8(a)に示すように、投写レンズ13が基準位置から左に移動するにつれて、右チャンネル用の調整係数を大きくするとともに、左チャンネル用の調整係数を1のまま維持し、投写レンズ13が基準位置から右に移動するにつれて、左チャンネル用の調整係数を大きくするとともに、右チャンネル用の調整係数を1のまま維持するようにしてもよい。また、図8(b)、(c)に示すように、基準位置からの距離に応じて段階的に調整係数(音量レベル)を変化させる態様にすることも可能である。この場合の段階数は、図示するように左右それぞれ1段階ずつに限られず、複数段階に変化させるようにしてもよい。
上記実施形態では、DVDコンテンツを再生可能なDVD再生部23を備えた構成を示しているが、DVDメディアM以外の他の記録媒体に記録された画像及び音声を再生可能な画像再生部を備えるようにしてもよい。また、このような画像再生部は必須の構成ではなく、外部の装置から入力される画像情報に基づく画像を投写するとともに、外部の装置から入力される音声情報に基づく音声を発する構成であってもよい。
上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
上記実施形態では、光源11は、放電型の光源ランプ11aによって構成されているが、LED光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
プロジェクタの斜視図であり、(a)は、前方より見た図、(b)は、後方より見た図。 レンズシフトを説明するための説明図であり、画像が投写される位置(投写位置)を示す図。 レンズシフトを説明するための説明図であり、レンズシフトによって投写位置を調整した状態を示す平面図。 第1実施形態のプロジェクタの回路構成を示すブロック図。 投写レンズの左右方向の位置と左右両チャンネルの調整係数との関係を示すグラフ。 (a)〜(c)は、音量バランスの調整を説明するための説明図。 第2実施形態のプロジェクタの回路構成を示すブロック図。 変形例において投写レンズの左右方向の位置と左右両チャンネルの調整係数との関係を示すグラフ。
符号の説明
1…プロジェクタ、2…筐体、3…ディスクスロット、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動部、15…レンズシフト機構、15H…左右レンズシフトダイヤル、15V…上下レンズシフトダイヤル、20…制御部、21…記憶部、22…入力操作部、23…DVD再生部、24…画像処理部、25…音声処理部、26…音声出力部、27L,27R…スピーカ、28…レンズシフト検出部、Lx…光軸、M…DVDメディア、SC…スクリーン。

Claims (6)

  1. 光源と、
    入力される画像情報に基づいて、前記光源から射出された光を変調して画像を形成する光変調装置と、
    前記光変調装置で形成された前記画像を投写する投写光学系と、
    前記投写光学系を投写方向に向かって左右に移動させ、前記画像の投写位置を調整する投写位置調整部と、
    前記画像情報とともに入力される音声情報に基づく音声を、前記投写方向に向かって左側に発する第1のスピーカと、
    前記画像情報とともに入力される音声情報に基づく音声を、前記投写方向に向かって右側に発する第2のスピーカと、
    前記投写位置調整部による前記投写位置の調整状態に基づいて、前記第1のスピーカ及び前記第2のスピーカから発せられる前記音声の音量レベルを個別に調整する音量調整部と、
    を備え
    前記音量調整部は、前記投写位置調整部が前記投写位置を正面よりも左側にずらしている場合には、前記第1のスピーカ及び前記第2のスピーカのうち前記第2のスピーカの音量レベルを前記第1のスピーカよりも大きくすることを特徴とするプロジェクタ。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタであって、
    前記音量調整部は、前記投写位置調整部が前記投写位置を正面よりも右側にずらしている場合には、前記第1のスピーカ及び前記第2のスピーカのうち前記第1のスピーカの音量レベルを前記第2のスピーカよりも大きくすることを特徴とするプロジェクタ。
  3. 光源と、
    入力される画像情報に基づいて、前記光源から射出された光を変調して画像を形成する光変調装置と、
    前記光変調装置で形成された前記画像を投写する投写光学系と、
    前記投写光学系を投写方向に向かって左右に移動させ、前記画像の投写位置を調整する投写位置調整部と、
    前記画像情報とともに入力される音声情報に基づく音声を、前記投写方向に向かって左側に発する第1のスピーカと、
    前記画像情報とともに入力される音声情報に基づく音声を、前記投写方向に向かって右側に発する第2のスピーカと、
    前記投写位置調整部による前記投写位置の調整状態に基づいて、前記第1のスピーカ及び前記第2のスピーカから発せられる前記音声の音量レベルを個別に調整する音量調整部と、
    を備え、
    前記音量調整部は、前記投写位置調整部が前記投写位置を正面よりも右側にずらしている場合には、前記第1のスピーカ及び前記第2のスピーカのうち前記第1のスピーカの音量レベルを前記第2のスピーカよりも大きくすることを特徴とするプロジェクタ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクタであって、
    前記投写位置の調整状態を検出する投写位置検出部をさらに備え、
    前記音量調整部は、前記投写位置検出部の検出結果に基づいて、前記音声の音量レベルを調整することを特徴とするプロジェクタ。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクタであって、
    入力操作を受け付ける入力操作部をさらに備え、
    前記投写位置調整部は、前記入力操作部が受け付けた前記入力操作に基づいて前記投写光学系を駆動して移動させ、
    前記音量調整部は、前記入力操作に基づいて前記音声の音量レベルを調整することを特徴とするプロジェクタ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロジェクタであって、
    前記画像情報及び前記音声情報が記録された記録媒体から前記画像情報及び前記音声情報を再生する画像再生部をさらに備えたことを特徴とするプロジェクタ。
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