JP4654317B1 - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【課題】騒音、加工コスト及び渦電流損を抑制しつつ、大きなインダクタンスが広い電流範囲で安定して発生するリアクトルを提供する。
【解決手段】本発明にかかるリアクトルD1では、空芯コイルを構成する導体部材の厚みtに対する導体部材の幅Wの比t/Wを1以下、より好ましくは1/10以下とし、空芯コイル1の最内周位置における、第1コア部材3の内壁面と第2コア部材4の内壁面との間隔L1と、空芯コイル1の最外周位置における、第1コア部材3の内壁面と第2コア部材4の内壁面との間隔L2との差(L1−L2)を平均値L3で除算した値(L1−L2)/L3の絶対値を1/50以下に設定し、空芯コイル1における軸芯Oから空芯コイル1の外周面までの半径Rと空芯コイル1(導体部材)の幅Wとの比R/Wを2≦R/W≦4とした。
【選択図】図1
【解決手段】本発明にかかるリアクトルD1では、空芯コイルを構成する導体部材の厚みtに対する導体部材の幅Wの比t/Wを1以下、より好ましくは1/10以下とし、空芯コイル1の最内周位置における、第1コア部材3の内壁面と第2コア部材4の内壁面との間隔L1と、空芯コイル1の最外周位置における、第1コア部材3の内壁面と第2コア部材4の内壁面との間隔L2との差(L1−L2)を平均値L3で除算した値(L1−L2)/L3の絶対値を1/50以下に設定し、空芯コイル1における軸芯Oから空芯コイル1の外周面までの半径Rと空芯コイル1(導体部材)の幅Wとの比R/Wを2≦R/W≦4とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、電気回路や電子回路等に好適に用いられるリアクトルに関する。
巻き線を利用した受動素子であるリアクトルは、例えば、力率改善回路における高調波電流の防止、電流型インバータやチョッパ制御における電流脈動の平滑化およびコンバータにおける直流電圧の昇圧等の様々な電気回路や電子回路等に用いられている。この種のリアクトルに関する技術文献として、例えば、特許文献1ないし特許文献4がある。
特許文献1には、コイルと、該コイルの内側および外周に充填された磁性粉末混合樹脂からなるコアと、前記コイルとコアとを収容するケースとを有し、該ケースの内壁面に突起部が形成されたリアクトルが開示されている。
特許文献2には、小型化および低損失化を目的として、コイルを巻回したボビンの中空孔に組み込まれ、コイルの取付け巻回軸となっている棒状の一対の軟磁性合金圧粉コアと、前記一対の軟磁性合金圧粉コアにおける各両端に組み合わされ、前記一対の軟磁性合金圧粉コアとで四辺形の複合コアを形成する板状の一対のソフトフェライトコアとを備えたリアクトルが記載されている。また、下記特許文献2に開示されているリアクトルでは、0A時に約2mHのインダクタンスとなるように、軟磁性合金圧粉コアとソフトフェライトコアとの対向部分にギャップが設けられている。
ところが、このようなギャップをコア部材に設けると、一般に、騒音や漏れ磁束の問題が生じてしまう。また、コア部材に設けるギャップは、その寸法精度がリアクトルのインダクタンス特性に影響するため、精度よく前記ギャップを形成する必要があり、そのため、リアクトルの加工コストが高くなるという不都合も生じてしまう。前記騒音対策としては、ギャップ部分にセラミック素材を用いることが挙げられるが、このような騒音対策ではリアクトルの加工コストが高くなるという問題がある。
一方、特許文献3および特許文献4には、空芯型のコイルを利用したリアクトルが提案されている。すなわち、特許文献3には、各コイルターンが複数の帯状単位導体を互いに重ねて成り、該コイルターンのリアクトルの半径方向における厚さが軸方向における幅よりも小さい空芯リアクトルが開示されている。
また、特許文献4には、磁気シールド鉄心で包囲された状態で、絶縁筒の周囲に巻回された複数の円板巻線が巻線軸方向に多段に積み重ねられて各円板巻線が互いに接続されて成るリアクトルが開示されている。
これら特許文献3および特許文献4に記載されている空芯型のリアクトルであれば、特許文献2のように構造が複雑ではなく、また、比較的広い電流範囲で安定したインダクタンス特性が得られる。
しかしながら、単純な空芯型のリアクトルでは、そもそもインダクタンスが低くなって所望の特性が得られにくい。また、コイル形状などによっては渦電流損が高くなるという問題もある。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、騒音、加工コストおよび渦電流損を抑制しつつ、大きなインダクタンスが広い電流範囲で安定して発生するリアクトルを提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるリアクトルは、軸方向の長さWに対する径方向の長さtの比t/Wが1以下となる形状を持った長尺の導体部材を巻回して成る空芯コイルと、前記空芯コイルの各両端部および外周部を覆うコア部とを備え、前記コア部における前記空芯コイルの一方端部に対向するコア部一方面と、前記コア部における前記空芯コイルの他方端部に対向するコア部他方面とを少なくともコイル端部を覆う領域において平行とし、且つ、前記コア部一方面に対し、前記空芯コイルを構成する導体部材の軸方向面が垂直とし、前記空芯コイルの導体部材における前記軸方向の長さWに対する前記空芯コイルにおける中心から外周までの半径Rとの比R/Wを2〜4であることを特徴とする。このような構成のリアクトルは、騒音、加工コストおよび渦電流損を抑制しつつ、大きなインダクタンスが広い電流範囲で安定して発生することができる。
そして、上述のリアクトルにおいて、さらに、前記コア部の各部位のうち前記空芯コイルの空芯部に面する部位に、前記空芯コイル側に突起部が上面側、底面側共に形成され、該突起部は、前記空芯コイルの空芯部の半径をRs、突起部のコイル端部に対向するコア面からの高さをa、突起部底面の半径をAとしたとき、
0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)
を満足するように形成されることを特徴とする。この構成によって、リアクトルのインダクタンスを更に向上させることができる。
0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)
を満足するように形成されることを特徴とする。この構成によって、リアクトルのインダクタンスを更に向上させることができる。
また、他の一態様では、これら上述のリアクトルにおいて、前記比t/Wは、1/10以下であることを特徴とする。あるいは、前記長さtは、当該リアクトルの駆動周波数に対する表皮厚み以下であることを特徴とする。これらの構成によれば、リアクトルの渦電流損の発生を大幅に低減することができる。
また、他の一態様では、これら上述のリアクトルにおいて、前記空芯コイルの内周端における、前記コア部一方面と前記コア部他方面との面間隔L1と、前記空芯コイルの外周端における、前記コア部一方面と前記コア部他方面との面間隔L2との差(L1−L2)を平均面間隔L0で除算した値を平行度と定義した場合に、前記平行は、平行度(L1−L2)/L0の絶対値が1/50以下であることを特徴とする。この構成によれば、空芯コイルの内部を通る磁束線を軸方向に平行にすることができ、空芯コイル内を通る磁束線の方向と前記導体部材の前記断面とを略平行とすることができる。よって、空芯コイルの内部を通る磁束線が軸方向に平行でないことにより渦電流損が増大してインダクタンスが小さくなるのを防止又は抑制することができる。
また、他の一態様では、これら上述のリアクトルにおいて、前記長尺の導体部材は、導体層と絶縁層とをその厚み方向に積層してなるものであり、該積層された長尺の導体部材の長手方向における端部は、前記コア部の外部、すなわち磁束線の存在しない場所において、隣り合う導体層同士を絶縁層を挟むことなく接合したものであることを特徴とする。この構成によれば、電流が流れる方向での導体の断面積を確保し、空芯コイルの電気抵抗の増加を抑制することができる。
また、他の一態様では、上述のリアクトルにおいて、前記積層された長尺の導体部材は、接合するにあたって、各導体層自体、あるいは各導体層からそれぞれ別々に口出しされたリード線が、前記コア部の外部に設けられたインダクタコアに互いに逆相になる様に経由されてから接合されているものであることを特徴とする。この構成によれば、効果的に渦電流を抑制することができる。
また、他の一態様では、これら上述のリアクトルにおいて、前記空芯コイルは、前記長尺の導体部材を絶縁材料で絶縁被覆するとともに前記長尺の導体部材を巻回して成る単層コイルを基本単位とした場合に、3個の前記単層コイルを厚み方向に積層して成るものであって、前記3個の前記単層コイルの巻き始めのそれぞれは、電流線路の第1端子として互いに独立しているとともに、前記3個の前記単層コイルの巻き終わりのそれぞれは、電流線路の第2端子として互いに独立していることを特徴とする。この構成によれば、1個分のコイルスペースで3相分のコイルを収容することができるので、同じ電力容量の従来型の三相リアクトルの体格に較べて、その体格を小さくすることができる。
また、他の一態様では、これら上述のリアクトルにおいて、前記コア部における前記空芯コイルの一方端部とこの空芯コイルの一方端部に対向するコア部一方面との間および前記コア部における前記空芯コイルの他方端部とこの空芯コイルの他方端部に対向するコア部他方面との間に少なくとも配置される絶縁部材をさらに備えることを特徴とする。この構成によれば、空芯コイルとコア部との間における絶縁耐力がより向上し得る。
また、他の一態様では、これら上述のリアクトルにおいて、前記コア部は、複数のコア部材を備えて構成され、前記コア部を取り付けるための取り付け部材に、前記コア部を固定する固定部材と、前記複数のコア部材を前記コア部とするために前記複数のコア部材を締結する締結部材とをさらに備え、前記コア部における前記固定部材の第1配設位置と前記締結部材の第2配置位置とは、互いに異なることを特徴とする。この構成によれば、固定部材の配設位置と締結部材の配設位置とを個別に設けたので、締結部材で複数のコア部材を締結した後に、このように構成されたコア部を固定部材で取り付け部材に固定することができる。このため、リアクトルの組み立てや取り付けの生産性が向上し得る。
また、他の一態様では、これら上述のリアクトルにおいて、前記コア部は、磁気的に等方性を有するものであって軟磁性体粉末を成形したものであることを特徴とする。あるいは、前記コア部は、磁気的に等方性を有するフェライトコアであることを特徴とする。これらの構成によれば、前記コア部について、所望の磁気特性が比較的容易に得られると共に、比較的容易に所望の形状に成形され得る。
本発明によれば、騒音、加工コストおよび渦電流損を抑制しつつ、大きなインダクタンスが広い電流範囲で安定して発生するリアクトルを実現することができる。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
本発明に係るリアクトルの実施形態について説明する。図1は、本発明に係るリアクトルの第1の実施形態を示す図であり、軸芯Oを含む平面で切断した断面図である。図2は、第1の実施形態のリアクトルにおけるコア部材の他の形態を示す斜視図である。
図1に示すように、リアクトルD1は、後述するフラットワイズ巻線構造を有する空芯コイル1と、該空芯コイル1を覆うコア部2とを備えて構成されている。なお、説明の都合上、コア部2から説明を行う。
コア部2は、磁気的に(例えば透磁率が)等方性を有し、同一の構成を有する第1および第2コア部材3,4を備える。第1および第2コア部材3,4は、それぞれ、例えば円板形状を有する円板部3a,4aの板面に、該円板部3a,4aと同径の外周面を有する円筒部3b,4bが連続して成る。コア部2は、このような構成を有する第1および第2コア部材3,4が互いに前記各円筒部3b,4bの端面同士で重ね合わせられることにより空芯コイル1を内部に収容するための空間を備えたものである。
なお、第1および第2コア部3,4は、前記互いに重ね合わされる円筒部3b,4bの各端面に位置決めを行うための凸部3c,4cが設けられ、この凸部3c,4cに応じた凹部3d,4dが設けられてもよい。例えば、図2に示すように、第1および第2コア部3,4における円筒部3b,4bの各端面には、略円柱形状の第1および第2凸部3c−1,3c−2;4c−1,4c−2が180゜の間隔(互いに対向する位置)で設けられ、このような略円柱形状の第1および第2凸部3c−1,3c−2;4c−1,4c−2がはまり込むような略円柱形状の第1および第2凹部3d−1,3d−2;4d−1,4d−2が180゜の間隔(互いに対向する位置)で設けられている。そして、これら第1および第2凸部3c−1,3c−2;4c−1,4c−2ならびに第1および第2凹部3d−1,3d−2;4d−1,4d−2は、それぞれ、90゜間隔で設けられている。なお、図2に示す例では、第1および第2コア部3,4は、互いに同形上であり、図2には、後述の突起部を備えた第1および第2コア部3,4の一方が示されている。このような位置決めの凸部3c,4cを円筒部3b,4bの各端面にさらに備えることによって第1および第2コア部材3,4をより確実に突き合わせることができる。
第1および第2コア部材3,4は、所定の磁気特性を有する。第1および第2コア部材3,4は、低コストの観点から、同一材料であることが好ましい。ここで、第1および第2コア部材3,4は、所望の磁気特性(比較的高い透磁率)の実現容易性および所望の形状の成形容易性の観点から、軟磁性体粉末を成形したものであることが好ましい。
この軟磁性粉末は、強磁性の金属粉末であり、より具体的には、例えば、純鉄粉、鉄基合金粉末(Fe−Al合金、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイ等)およびアモルファス粉末、さらには、表面にリン酸系化成皮膜などの電気絶縁皮膜が形成された鉄粉等が挙げられる。これら軟磁性粉末は、例えば、アトマイズ法等によって製造することができる。また、一般に、透磁率が同一である場合に飽和磁束密度が大きいので、軟磁性粉末は、例えば上記純鉄粉、鉄基合金粉末およびアモルファス粉末等の金属材料であることが好ましい。
このような第1および第2コア部材3,4は、例えば、公知の常套手段を用いることによって、軟磁性粉末を圧粉成形した所定の密度の部材であり、この部材は、例えば、図3に示す磁束密度−比透磁率特性を有している。図3は、鉄粉を含む磁性体における密度別の磁束密度−比透磁率特性を示す図である。図3の横軸は、磁束密度(T)であり、その縦軸は、比透磁率である。
図3に示すように、密度約6g/cc以上の部材(密度約5.99g/cc(□)、密度約6.5g/cc(×)、密度約7g/cc(△)、密度約7.5g/cc(◆))では、磁束密度−比透磁率特性は、比較的高い初期比透磁率から、磁束密度が増加すると比透磁率が徐々に増加してピーク(最大値)となり、その後、磁束密度の増加に従って徐々に比透磁率が減少して行くプロファイルである。
例えば、密度約7g/ccの部材では、磁束密度−比透磁率特性は、約120の初期比透磁率から、磁束密度が増加すると、磁束密度が0.35Tで比透磁率が約200まで急激に増加し、その後、磁束密度の増加に従って徐々に比透磁率が減少して行くプロファイルである。図3に示す例では、比透磁率が、初期比透磁率から磁束密度の増加に従って再び初期比透磁率となる磁束密度は、約1Tである。
また、密度約5.99g/ccの部材、密度約6.5g/ccの部材および密度約7.5g/ccの部材における初期比透磁率は、それぞれ、約70、約90および約160である。このように初期透磁率が約50〜250の材料は、この例では、約70〜約160の材料は、略同様に、磁束密度−比透磁率特性がプロファイルとなり、比較的高い比透磁率の材料である。
図1に戻り、空芯コイル1は、中心(軸芯O上)に所定の径を有する円柱状の空芯部S1を設けて、所定の厚みを有するリボン状の導体部材がその幅方向を軸芯方向に略一致させた態様で所定回数だけ巻き回されて成るものであり、前記コア部2の内部空間(第1および第2コア部材3,4の内壁面によって形成された空間)に設置されている。
このような構成のリアクトルD1は、例えば、次の工程によって作製可能である。図4は、第1の実施形態に係るリアクトルの作製工程を説明するための図である。
まず、図4(a)に示す所定の厚みを有するリボン状の導体部材を、図4(b)に示すように、中心(軸芯)から所定の径だけ離間した位置から所定回数だけ巻き回す。これにより、中心に所定の径を有する円柱状の空芯部S1を備えたパンケーキ構造の空芯コイル1が形成される。
次に、図4(c)に示すように、第1および第2コア部材3,4を、空芯コイル1を挟み込むように各円筒部3b,4bの端面同士で重ね合わせる。これにより、図4(d)に示すような例えば円板状のリアクトルD1が生成される。
このような構成を有するリアクトルD1にあっては、前記コア部2を持たないで空芯コイル1が外部に露出したリアクトル(比較例1という)や、空芯コイル1が前記コア部2により覆われ且つ軸芯O上(図1,図4に示す空芯部S1)に磁性体を備えたリアクトル(比較例2という)に対して次のような利点を有する。
図5は、リアクトルの構成と磁束線との関係を示す図である。図5(a)は、前記比較例1に係るリアクトルの構成を示す断面図、図5(b)は、本実施形態に係るリアクトルD1の構成を示す断面図、図5(c)は、比較例2に係るリアクトルの構成を示す断面図を示す。また、図5(d)は、比較例1に係るリアクトルの磁束線図、図5(e)は、本実施形態に係るリアクトルD1の磁束線図、図5(f)は、比較例2に係るリアクトルの磁束線図を示す。なお、図面の視認性を考慮して、図5(d)〜(f)においては、隣接する巻線間の境界線の記載を省略している。
また、図6は、本実施形態および比較例1,2に係るリアクトルにおいて、0〜200(A)までの範囲で電流を変化させたときのインダクタンスの変化についての実験結果を示す図であり、グラフAが比較例1に係るリアクトルのインダクタンスの変化を示すグラフ、グラフBが本実施形態に係るリアクトルD1のインダクタンスの変化を示すグラフ、そして、グラフCが比較例2に係るリアクトルのインダクタンスの変化を示すグラフである。
図6のグラフAを参照すると、比較例1に係るリアクトルにおいては、前記電流の全範囲において略一定のインダクタンスが安定的に得られる。しかし、図5(d)に示すように、このリアクトルでは、空芯コイル内の磁束線が軸方向に平行にならないため、渦電流損が大きくなる。そのため、図6のグラフAで示されるように、インダクタンスが絶対的に小さい。また、図5(d)に示すように、リアクトルから外部に漏出する磁束線が非常に多い。
また、比較例2に係るリアクトルにおいては、図5(f)に示すように、前記コア部2の存在によってリアクトルから磁束線が外部に漏出するのを防止又は抑制することができるとともに、図6のグラフCに示すように、電流が比較的小さい0(A)〜約30(A)の範囲において大きなインダクタンスが得られる。しかし、電流がこの範囲より大きくなると、磁性体が磁気飽和して、急激にインダクタンスが低下する。このようにインダクタンスの変化が大きいと、わずかな誤差によってインダクタンス特性が比較的大きく変化することとなるため、当該リアクトルを搭載するインバータの制御性が悪くなる。
これに対し、本実施形態に係るリアクトルD1においては、比較例2と同様に前記コア部2の存在によって比較例2に係るリアクトルと同等程度にリアクトルD1から磁束線が外部に漏出するのを防止又は抑制することができる上、図6のグラフBに示すように、前記電流の全範囲において、安定したインダクタンス特性が得られ、且つ、そのインダクタンスが前記比較例1に対して大きいという利点を有する。
次に、本実施形態のように、導体部材が径方向に重なるように巻回されたフラットワイズ巻線構造を有するリアクトルD1が、導体部材が軸方向に重なるように巻回されたエッジワイズ巻線構造を有するリアクトル(図7参照)に対する利点について述べる。図7は、エッジワイズ巻線構造を示す断面図である。また、図8は、リアクトルにおける周波数fと損失との関係を空芯コイルの巻線構造別(フラットワイズ巻線構造およびエッジワイズ巻線構造)に示した図であり、横軸は周波数fを示し、縦軸は損失を示す。図9は、導体部材およびコイルの断面形状を示す図である。
一般的に、空芯コイルに通電すると、空芯コイルは、導体から構成されているので、磁力線に垂直な面(直交面)に渦電流が発生し、それによって損失(ロス)が発生する。この渦電流の大きさは、磁束密度が同一である場合には、磁束線と交差する面積、すなわち、磁力線に垂直な連続する面の面積に比例する。空芯コイル内では軸方向に沿っているので、渦電流は、空芯コイルを構成する導体の、軸方向に直交する径方向の面の面積に比例することになる。
このため、エッジワイズ巻線構造では、図7に示すように、前記導体部材は、径方向の面積が大きく、渦電流を生じやすく、電気抵抗によって生じる損失よりも渦電流によって生じる損失の方が支配的となる。したがって、エッジワイズ巻線構造では、図8に示すように、損失が、通電電流の周波数に依存して周波数の増加に伴い増大し、比較的小さな電気抵抗によって初期損失が比較的小さくなる。
一方、本実施形態に係るリアクトルD1で採用されているフラットワイズ巻線構造では、図1に示すように、前記導体部材は、径方向の面積が小さく、渦電流を生じ難い一方で、軸方向の面積が大きい。したがって、フラットワイズ巻線構造では、渦電流が殆ど生じず、図8に示すように、損失は、通電電流の周波数によらず略一定であり、比較的小さな電気抵抗によって初期損失も比較的小さくなる。
さらに、図7の矢印Pに示すように、エッジワイズ巻線構造では、前記導体部材が軸方向に重ねられた構造であるが、図1に示すように、フラットワイズ巻線構造では、前記導体部材は、その幅方向が軸方向に略一致し、連続しているため、フラットワイズ巻線構造は、エッジワイズ巻線構造よりも効果的に熱伝導する。よって、前記損失および熱伝導の点でフラットワイズ巻線構造の方が前記エッジワイズ巻線構造よりも優れている。
さらに、本実施形態では、前記フラットワイズ巻線構造において、図9(a)に示すように、前記空芯コイル1を構成する導体部材の幅Wが、該導体部材の径方向の長さ(以下、厚みという)t以下の矩形断面を有する導体部材でリアクトルを構成している。換言すると、本実施形態では、前記導体部材の幅Wに対する前記導体部材の厚みtの比t/Wが1以下となる矩形断面を有する導体部材でリアクトルを構成している。
これにより、図9(b)に示すように、前記厚みtの方が前記幅Wより長い矩形断面を有する導体部材で構成されたリアクトルに比して、径方向の面積が小さくなる。その結果、前記損失の点でフラットワイズ巻線構造の方が前記エッジワイズ巻線構造よりも優れている理由と同様の理由により、渦電流損を小さくすることができる。そして、特に、前記導体部材の厚みtに対する幅Wの比t/Wを1/10以下とすると、渦電流損の発生を大幅に低減することができる。
ところで、このように導体部材の断面形状に係る条件を設定しても、空芯コイル1の上下両端面にそれぞれ対向する、第1コア部材3の内壁面(以下、上壁面という)と第2コア部材4の内壁面(以下、下壁面という)とを少なくともコイル端部を覆う領域において平行とし、且つ、該上壁面(下壁面)と空芯コイル1の導体部材の軸方向の面とを垂直にしておかないと、空芯コイル1の内部を通る磁束線が軸方向に平行にならない。そこで、本実施形態では、以下に説明するような平行度を設定し、第1コア部材3の前記上壁面と第2コア部材4の前記下壁面とを平行とみなせる平行度に設定するようにしている。
図10は、平行度の算出方法の説明図である。図10に示すように、第1コア部材3の前記上壁面と第2コア部材4の前記下壁面との間隔のうち最も内周側の位置(以下、最内周位置という)における間隔をL1、最も外周側の位置(以下、最外周位置という)における間隔をL2、最内周位置から最外周位置までの各間隔の平均値をL3とする。なお、前記平均値L3は、前記最内周位置1と前記最外周位置1との間を所定間隔で刻む複数の位置における各間隔の平均値である。
このとき、空芯コイル1の最内周位置における、第1コア部材3の前記上壁面と第2コア部材4の前記下壁面との間隔L1と、空芯コイル1の最外周位置における、第1コア部材3の前記上壁面と第2コア部材4の前記下壁面との間隔L2との差(L1−L2)を平均値L3で除算して得られる値(L1−L2)/L3を前記平行度として設定する。
図11は、前記平行度が−1/10ときの磁束線図であり、図12は、前記平行度が1/10ときの磁束線図であり、そして、図13は、前記平行度が1/100のときの磁束線図である。図13に示すように、前記平行度が1/100のときには、空芯コイル1の内部を通る磁束線(点線で示す部分の磁束線)が軸方向に平行になる。一方、図11、図12の矢印Q1,Q2に示すように、前記平行度が−1/10,1/10のときには、空芯コイル1の内部を通る磁束線が軸方向に平行にならない。空芯コイル1の内部を通る磁束線が平行にならないと、前述したように、渦電流損が大きくなり、そのインダクタンスが絶対的に小さくなる。
そこで、本発明者は、平行度を種々変えつつ磁束線の分布を検証した。その結果、空芯コイル1の内部を通る磁束線を平行にするためには、前記平行度の絶対値を1/50以下に設定する必要があるとの知見を得た。
なお、図14に示すように、空芯コイル1の軸芯O側に突起部Hが存在している場合にも、その形状によっては、近傍の磁束線が軸方向に平行にならないことがあるので、本実施形態では、突起部Hが形成されないように空芯コイル1を生成している。許容される突起部形状などについては後述するが、空芯コイル1の内部を通る磁束線が平行となる条件を満足するためには、少なくともコイル端部を覆う領域において第1コア部材3の前記上壁面と第2コア部材4の前記下壁面とを平行にする必要がある。
さらに、本発明者は、空芯コイル1の軸芯Oから該空芯コイル1の外周面までの半径R(図1参照)と空芯コイル1を構成する導体部材における前記幅Wとの比R/Wに着目し、この比R/Wを変化させたときの磁束線分布の態様についてシミュレーション実験を行った。
図15〜図24は、リアクトルD1の全体体積、前記導体部材の矩形断面の断面積、空芯コイル1の巻数をそれぞれ一定にして、前記比R/Wを「10」,「5」,「3.3」,「2.5」,「2」,「1.7」,「1.4」,「1.3」,「1.1」,「1」にそれぞれ設定した場合の磁束線図である。図15〜図24においては、隣接する巻線間の境界線の記載を省略している。
これらの磁束線図から判るように、前記比R/Wを5以上に設定した場合(図15、図16に示す場合)では、コア部2の外部に磁束が漏れており、周辺機器に影響を及ぼす虞があるため実用上問題がある。また、前記比R/Wを1.3以下に設定した場合(図22〜図24に示す場合)では、空芯コイル1の内部を通る磁束線が軸方向に対して平行にならないため、渦電流損が大きくなり、効率が低下する虞がある。
一方、リアクトルD1を搭載するインバータが良好な制御性を有するためには、電流の変化に対するインダクタンスの変化が少なく且つ安定していることが必要である。
ここで、本実施形態では、このインダクタンスの安定性を表す指標として、
安定度I(%)={(Lmax−Lmin)/Lav}×100 ・・・(1)
を設定する。
安定度I(%)={(Lmax−Lmin)/Lav}×100 ・・・(1)
を設定する。
なお、この算出式(1)において、Lminは、前記インバータに供給し得る電流の範囲(以下、使用範囲という)のうち最小の電流におけるインダクタンス(以下、最小インダクタンスという)であり、Lmaxは、前記使用範囲のうち最大の電流におけるインダクタンス(以下、最大インダクタンスという)であり、Lavは、前記使用範囲における各電流値に対応する各インダクタンスの平均値(以下、平均インダクタンスという)である。前記算出式(1)によれば、安定度Iの値が小さいほど、インダクタンスの安定性が高い。
そして、本発明者は、この安定度Iと前記比R/Wとの関係について検討した。図25は、比R/Wを横軸とし、前記安定度Iを縦軸として、前記比R/Wの変化に対する前記安定度Iの変化を表すグラフKを示している。なお、この図25には、各リアクトルのインダクタンスを別の縦軸で表し、前記比R/Wの変化に対する前記最大インダクタンスLmax,最小インダクタンスLmin,平均インダクタンスLavの変化を表すグラフも示している。
図25に示すように、最大インダクタンスLminは、前記比R/Wに略比例して増大し、最小インダクタンスは、前記比R/Wが約6のときに最大をとる山形波形を有するように変化し、平均インダクタンスは、前記比R/Wが約8のときに最大をとる山形波形を有するように変化する結果、安定度Iは、その増加率については前記比R/Wの値に応じて異なるものの、総じて前記比R/Wが大きくなるに伴って増大するという実験結果を得た。
インバータに良好な制御性能をもたせるためには、前記安定度Iを10%以下に抑えることが必要である。したがって、図25を参照すると、前記比R/Wは、
R/W≦4 ・・・(2)
に設定することが必要である。
R/W≦4 ・・・(2)
に設定することが必要である。
また、本実施形態に係るリアクトルの利用用途として、例えば、電鉄車両、電気自動車、ハイブリッド自動車、無停電電源、太陽光発電など産業用インバータ用、或いは、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの大出力家電用インバータ用としての利用用途を想定した場合には、これらの利用用途では取り扱う電力が大きいため、前記利用用途に使用されるリアクトルには大きなインダクタンスが要求され、少なくとも100μH以上のインダクタンスが必要である。したがって、図25を参照すると、前記比R/Wは、
R/W≧2 ・・・(3)
に設定することが必要である。
R/W≧2 ・・・(3)
に設定することが必要である。
本発明者は、前記式(2),(3)に基づき、前記比R/Wの条件として、
2≦R/W≦4 ・・・(4)
を見出した。
2≦R/W≦4 ・・・(4)
を見出した。
以上のように、本実施形態に係るリアクトルD1は、
(1)前記空芯コイルを構成する導体部材の厚みtに対する導体部材の幅Wの比t/Wを1以下とする点、
(2)空芯コイル1の上下両端面に対向する、第1コア部材3の内壁面(前記上壁面)と第2コア部材4の内壁面(前記下壁面)とを平行とみなせる平行度に設定する点、
(3)空芯コイル1における軸芯Oから空芯コイル1の外周面までの半径Rと空芯コイル1(導体部材)の幅Wとの比R/Wを2≦R/W≦4とする点
を具備することで、騒音、加工コストおよび渦電流損を抑制しつつ、大きなインダクタンスを広い電流範囲で安定して発生させることができる。
(1)前記空芯コイルを構成する導体部材の厚みtに対する導体部材の幅Wの比t/Wを1以下とする点、
(2)空芯コイル1の上下両端面に対向する、第1コア部材3の内壁面(前記上壁面)と第2コア部材4の内壁面(前記下壁面)とを平行とみなせる平行度に設定する点、
(3)空芯コイル1における軸芯Oから空芯コイル1の外周面までの半径Rと空芯コイル1(導体部材)の幅Wとの比R/Wを2≦R/W≦4とする点
を具備することで、騒音、加工コストおよび渦電流損を抑制しつつ、大きなインダクタンスを広い電流範囲で安定して発生させることができる。
また、
(4)前記コア部の各部位のうち前記空芯コイルの空芯部に面する部位に、前記空芯コイル側に突起部を上面側、底面側共に形成し、前記空芯コイルの空芯部の半径をRs、突起部のコイル端部に対向するコア面からの高さをa、突起部底面の半径をAとしたとき、
0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)
を満足するように前記突起部を形成するとインダクタンスを更に向上させることができる。
(4)前記コア部の各部位のうち前記空芯コイルの空芯部に面する部位に、前記空芯コイル側に突起部を上面側、底面側共に形成し、前記空芯コイルの空芯部の半径をRs、突起部のコイル端部に対向するコア面からの高さをa、突起部底面の半径をAとしたとき、
0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)
を満足するように前記突起部を形成するとインダクタンスを更に向上させることができる。
このように空芯部分のコア部に突起を設けることで、磁束が空気部分(すなわち、磁束にとって大きな抵抗となる部分)を通過する箇所が狭くなり、磁束の流れが良くなって、インダクタンスが増加するのである。
ただし、このような突起が存在すると、突起付近では磁束線が歪曲することとなる。前記したように、たとえば、図14に示すような突起部の形状によっては、空芯コイル1の一部において、内部を通る磁束線が軸方向に平行にならないこととなり、損失の増加を招く可能性がある。そのため、突起部を設けるにあたっては、空芯コイル1の内部を通る磁束線が軸方向で平行となるのを妨げないように、突起部の形状、空芯コイル1の配置を調整する必要がある。図26は、軸芯側に形成される突起部の概略図である。本発明者の検討の結果、図26に示すように、前記空芯コイルにおける空芯部の半径をRs、コイル端部に対向するコア面からの突起部の高さをa、突起部底面の半径をAとしたとき、
0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)
を満足するように前記突起部を形成すると、空芯コイル1の内部を通る磁束線が軸方向で平行となるのを妨げることなく、磁束の流れが良くなって、インダクタンスが増加することを見出した。
0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)
を満足するように前記突起部を形成すると、空芯コイル1の内部を通る磁束線が軸方向で平行となるのを妨げることなく、磁束の流れが良くなって、インダクタンスが増加することを見出した。
図27〜図30に、前記Rs,a,Aを変化させた際の磁束線図を示す。図27に示す例は、前記0<a≦W/3の条件は、満足するものの、Rs>√(A2+(W/2)2)の条件を満足していない例であり、空芯コイル1の一部(矢印Qで示す部分)において、内部を通る磁束線が軸方向に平行になっていない。しかし、図28〜図30に示す例では、前記0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)の関係を満足しているので、空芯コイル1の内部を通る磁束線は軸方向で平行となっている一方、突起部周辺での磁束線密度が高くなって、インダクタンス向上が図れることがわかる。図28〜図30は、図27に示す空芯コイルに対し、コア部2の形状は同一とし、矢印X1〜X3に示すように、突起部の形状を変えたものである。
また、図31に電流を横軸とし、インダクタンス変化(%)を縦軸として、前記突起部高さaを変化させた場合のインダクタンス変化の状況を示すグラフを示している。図31から分かるように、前記aがW/3を超えると、電流の増加に伴うインダクタンスの変化の変化率が10%を超えるようになって、安定度が悪くなっている。
さらに、
(5)前記比t/Wを1/10以下とする点
を具備することで、さらに渦電流損の発生を低減することができる。
(5)前記比t/Wを1/10以下とする点
を具備することで、さらに渦電流損の発生を低減することができる。
また、
(6)導体部材の厚みtを、導体表面から、角周波数、透磁率および電気伝導率で定まる厚みδ(以下、表皮厚みという)以下とすることも渦電流損の低減に有効である。
(6)導体部材の厚みtを、導体表面から、角周波数、透磁率および電気伝導率で定まる厚みδ(以下、表皮厚みという)以下とすることも渦電流損の低減に有効である。
すなわち、空芯コイル1に流れる電流は、導体部材の内部までは流れず、表皮厚みδまでの範囲でしか流れず、導体断面全体に一様に電流が流れない。この表皮厚みδは、
δ=(2/ωμσ)1/2(ω:各周波数、μ:透磁率、σ:電気伝導率)
で表される。
δ=(2/ωμσ)1/2(ω:各周波数、μ:透磁率、σ:電気伝導率)
で表される。
ここで、導体部材の厚みを前記表皮厚みδより厚くすると、導体部材内部に発生する渦電流損が増加することになる。そこで、本実施形態のリアクトルD1において、導体部材の厚みtをδ以下に設定すると渦電流損が減少できる。
(7)空芯コイル1の最内周位置における、第1コア部材3の前記上壁面と第2コア部材4の前記下壁面との間隔L1と、空芯コイル1の最外周位置における、第1コア部材3の前記上壁面と第2コア部材4の前記下壁面との間隔L2との差(L1−L2)を平均値L3で除算して得られる値(L1−L2)/L3の絶対値を1/50以下に設定する点
を具備することで、空芯コイルの内部を通る磁束線が軸方向に平行でないことにより渦電流損が増大してインダクタンスが小さくなるのを防止又は抑制することができる。
を具備することで、空芯コイルの内部を通る磁束線が軸方向に平行でないことにより渦電流損が増大してインダクタンスが小さくなるのを防止又は抑制することができる。
なお、本件は、前記実施形態に代えてまたは前記実施形態に加えて、次の様な形態も含むものである。
[1]図32は、空芯部にコア部の上面および下面から突出する長尺状の導体をリアクトルに設ける場合の該リアクトルの作製方法を示す図である。図32(d)に示すように、前記コア部2の空芯部S1に対応する部位に、該空芯部S1と同径の穴Hを形成し、この穴Hを介してコア部2を貫通する長尺状のコイルの口出しリードとなる導体を設置してもよい。なお、図32(b)では、円筒形状の導体を示しているが、円筒形状でも中実円柱形状でも同様のインダクタンス特性が得られる。
ただし、前記導体を円筒形状にすると、中空内に水や空気を流通させてリアクトルを強制冷却できるため、前記導体を円筒形状にする方が中実円柱形状にするよりも高い冷却性能をリアクトルに持たせることができる。
また、該導体が前記第1および第2コア部材3,4の上下面からそれぞれ突出することでリアクトルD1の放熱性能を向上させることができる。
このような構成を有するリアクトルは、例えば、次の工程によって作製可能である。まず、図32(c)に示すように、所定の厚みを有するリボン状の導体部材(図32(a))の端部を、前記円筒形状の導体(図32(b))の周面適所に接合した上で、図32(d)に示すように、該導体部材を所定回数だけ巻き回す。これにより、パンケーキ構造の空芯コイル1を有するユニットが形成される。
次に、図32(d)に示すように、このユニットの上下でそれぞれ突出している部位を、第1および第2コア部材3,4に形成された穴Hに貫通させた上で、第1および第2コア部材3,4を、空芯コイル1を挟むように各円筒部の端面同士で重ね合わせる。これにより、図32(e)に示すような上下面に突出部を有する例えば円板状のリアクトルが生成される。
このように、前記リボン状の導体部材の端部を、前記コア部2を貫通する長尺状の導体の周面適所に接合して前記長尺状の導体と前記リボン状の導体部材とを電気的に接続し、前記長尺状の導体の周りにリボン状の導体部材を所定回数だけ巻き回して空芯コイル1を作成することで、空芯コイル1に設置すべき電極のうちの一方の電極としての機能と、空芯コイル1を作製する(リボン状の導体部材を巻きまわす)際のベース材としての機能とを前記長尺状の導体に兼ね備えることができる。
なお、前記長尺状の導体を熱伝導性の高い金属で構成すると、リアクトル内部の熱の放熱性を向上させることができる。
[2]前記変形形態[1]のように、前記空芯部S1に円筒形状の導体を設置する場合に、該導体の厚みを、リアクトルD1の駆動周波数に対する表皮厚みδ=(2/ωμσ)1/2の2倍以上とすると、該導体の表皮効果(交流磁束の遮蔽効果)により、空芯コイル1の周縁部における磁束線が強制的に垂直配向され、円筒内部に交流磁束線が入り込まないようにすることができる。そのため、固定用のボルト等を、リアクトル特性に影響を与えることなく、該円筒を貫通して挿入することができるなど、導体の直径に制限が課されず、リアクトルD1の形状や実装形態の自由度を大きくすることができる。
また、前記導体により、高調波成分がより効率的に発熱するため、フィルタ機能を付与することもできる。
[3]前記コア部2は、前記第1の実施形態のように、第1および第2コア部材3,4で作成されるものの他、例えば、図33(a),(b)に示すように、空芯コイル1の外径より導体部材の厚みt以上大きな径を有する円板形状をもつコア部材20,21と、該コア部材20,21と同径の円柱状外周面を有する円筒状のコア部材22とを備え、コア部材22の各端部に前記コア部材20,21を接着した構造としてもよい。図33は、コア部の変形形態を示す図である。図33(a)は、本実施形態に係るリアクトルにおけるコア部の組立斜視図であり、図33(b)は、本実施形態に係るリアクトルを、軸芯Oを含む平面で切断した断面図である。
なお、上述のリアクトルD1では、コイル1およびコア部2が外形円柱状の形状を基本形状としているが、これに限定されるものではなく、多角柱形状の形状を基本形状としてもよい。前記多角柱形状は、例えば、四角柱形状、六角柱形状および八角柱形状等である。また、円柱形状および多角柱形状の各形状を基本形状としてもよい。例えば、コイルが円柱形状の形状とされ、コア部が多角柱形状の形状とされてよく、また例えば、コイルが多角柱形状の形状とされ、コア部が円柱形状の形状とされてよい。ここでは、一例として、四角柱形状の形状を基本形状とするリアクトルD2について説明する。
図34は、他の形態にかかるリアクトルの構成を示す一部透過斜視図である。図34では、コア部の略半分を透過させて内部のコイルの構成が見えるように記載されている。図35は、図34に示すリアクトルにおける磁束密度をベクトルで示す図である。図35には、コア部を二分するようにその略中央で軸芯を含む平面で切断した場合におけるその断面図が示されている。図36は、図34に示すリアクトルにおけるインダクタンス特性を示す図である。図36の横軸は、電流(A)であり、その縦軸は、インダクタンス(μL)である。
この四角柱形状の形状を基本形状とするリアクトルD2は、図34に示すように、フラットワイズ巻線構造を有する空芯コイル6と、該空芯コイル6を覆うコア部7とを備えて構成されている。
コア部7は、コア部2と同様に、磁気的に(例えば透磁率が)等方性を有し、同一の構成を有する第1および第2コア部材8,9を備える。第1および第2コア部材8,9は、それぞれ、例えば四角形状(矩形状)を有する角板部8a,9aの板面に、該角板部8a,9aの四辺から成る四角形の大きさと同じ大きさ外周を有する断面四角形の筒部8b,9bが連続して成る。コア部7は、このような構成を有する第1および第2コア部材8,9が互いに前記各筒部8b,9bの端面同士で重ね合わせられることにより空芯コイル6を内部に収容するための空間を備えたものである。
そして、空芯コイル6は、中心(軸芯O上)に所定の大きさの四角形を有する四角柱状の空芯部S2を設けて、所定の厚みを有するリボン状の導体部材がその幅方向を軸芯方向に略一致させた態様でその外形が四角柱状となるように所定回数だけ巻き回されて成るものであり、前記コア部7の内部空間(第1および第2コア部材8,9の内壁面によって形成された空間)に設置されている。
このような構成な構成によっても、図35に示すように、空芯コイル6内の磁束線が軸方向に略平行となり、図1に示すリアクトルD1と同様な作用効果を有する。しかも、このような構成のリアクトルD2は、図36から分かるように、そのインダクタンスが図1に示すリアクトルD1のインダクタンスよりも大きい。なお、このような構成のリアクトルD2のインダクタンス特性は、図36に示すように、図1に示すリアクトルD1のインダクタンス特性と同様のプロファイルであり、そのインダクタンスは、通電電流の変化に対し、比較的電流値の小さい範囲(図36では約80A以下の範囲)では略一定であり、その範囲を越えると通電電流の増加に伴って徐々に減少している。
ここで、図36では、40Aでのインダクタンスが略同じになる条件で図1に示す構成のリアクトルD1と図34に示す構成のリアクトルD2とを比較している。
[4]前記変形形態[3]に係るコア部や前記第1の実施形態に係るコア部の内部に形成される空間(空芯コイル1を内蔵するための空間)には、低透磁性の磁性体を充填してもよい。
[5]空芯コイル1,6の上端面とそれに対向するコア部2,7の内壁面との間や、コイル1,6の下端面とそれに対向するコア部2,7との間に、例えばBN(チッ化ボロン)セラミック等の絶縁材を充填してもよい。絶縁材としては、例えば絶縁性および良熱伝導性の樹脂シートが想定され、その厚みは、1mm以下が好ましい。なお、前記絶縁材料は、コンパウンドが充填されて成るものでもよい。
この絶縁材により、空芯コイル1によって軸方向(上下方向)の熱伝導性が良くなるとともに、空芯コイル1に発生するジュール熱を前記絶縁材を介してコア部2,7に熱伝導させることができ、効率良く外部に廃熱することが可能となる。また、このため、外部から、より具体的にはコア部2を冷却することによって、リアクトルD1,D2の内部が高熱になるのを防止することができる。
[6]図37は、絶縁耐性用の絶縁部材をさらに備えたリアクトルの一部の構成を示す図である。図37は、前記絶縁部材にかかるリアクトルの部分を示している。図37(A)は、第1態様の絶縁部材を示し、図37(B)は、第2態様の絶縁部材を示し、そして、図37(C)は、第3態様の絶縁部材を示す。図38は、図37(A)に示す構成のリアクトルにおいて、絶縁部材の材料別およびその厚さ(μm)別に対する絶縁耐圧(2.0kV)の結果を示す図である。
上述の実施形態のリアクトルD1,D2において、コイル1,6とコア部2,7との間における絶縁耐性をより向上させるために、コア部2,7における空芯コイル1,6の一方端部とこの空芯コイル1,6の一方端部に対向するコア部一方面との間およびコア部2,7における空芯コイル1,6の他方端部とこの空芯コイル1,6の他方端部に対向するコア部他方面との間に少なくとも配置される絶縁部材ISをさらに備えて、リアクトルD1,D2が構成されてもよい。
このような絶縁部材ISは、例えば、PEN(ポリエチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性を有した樹脂である。絶縁部材ISは、このような樹脂のシートであり、例えば、図37(A)に示すように、コア部2における空芯コイル1の一方端部とこの空芯コイル1の一方端部に対向するコア部一方面との間およびコア部2における空芯コイル1の他方端部とこの空芯コイル1の他方端部に対向するコア部他方面との間に配置されるシート状の絶縁部材IS1−1,IS1−2であってよく、また例えば、図37(B)に示すように、空芯コイル1の内側面の一部分および外側面の一部分をそれぞれ覆うとともにコア部2における空芯コイル1の一方端部とこの空芯コイル1の一方端部に対向するコア部一方面との間に配置されるシート状の絶縁部材IS2−1、ならびに、空芯コイル1の内側面の一部分および外側面の一部分をそれぞれ覆うとともにコア部2における空芯コイル1の他方端部とこの空芯コイル1の他方端部に対向するコア部他方面との間に配置されるシート状の絶縁部材IS2−2であってよく、また例えば、図37(C)に示すように、空芯コイル1を内包するように、空芯コイル1の内側面の全部を覆い、空芯コイル1の外側面の全部を覆い、そして、コア部2における空芯コイル1,6の一方端部とこの空芯コイル1,6の一方端部に対向するコア部一方面との間およびコア部2,7における空芯コイル1,6の他方端部とこの空芯コイル1,6の他方端部に対向するコア部他方面との間にそれじれ配置される絶縁部材IS3であってよい。なお、上述では、リアクトルD1の場合について説明したが、リアクトルD2の場合も同様に説明することができる。
このような構成の絶縁部材ISをさらに備えることによって、リアクトルD1,D2は、空芯コイル1,6とコア部2,7との間における絶縁耐力をより向上することができる。
ここで、図37(A)に示す第1態様の絶縁部材IS1をさらに備えたリアクトルD1について、その絶縁耐圧が図38に示されている。図38には、絶縁部材IS1としてカプトンシート(ポリイミド)が用いられ、その厚さが25μm、50μmおよび100μmの各場合について電圧2.0kVを印加した場合における絶縁耐圧の結果、絶縁部材IS1としてPENシートが用いられ、その厚さが75μmおよび125μmの各場合について電圧2.0kVを印加した場合における絶縁耐圧の結果、絶縁部材IS1としてPPSが用いられ、その厚さが100μmの場合について電圧2.0kVを印加した場合における絶縁耐圧の結果、および、絶縁部材IS1としてノーメックスが用いられ、その厚さが100μmの場合について電圧2.0kVを印加した場合における絶縁耐圧の結果がそれぞれ示されている。図38から分かるように、絶縁部材IS1としてカプトンシート(ポリイミド)を用い、その厚さを100μmとした場合、絶縁部材IS1としてPENシートを用い、その厚さを125μmとした場合、絶縁部材IS1としてPPSを用い、その厚さを100μmとした場合、および、絶縁部材IS1としてノーメックスを用い、その厚さを100μmとした場合では、空芯コイル1とコア部2との間で良好な絶縁が得られている。したがって、絶縁部材ISは、100μm以上であることが好ましい。
[7]図39は、コア部2の変形形態を示す平面図である。図39に示すように、コア部2の上面に、軸芯O近傍から外周側に向けて放射状に複数の凹溝Yを設け、その凹溝Yに沿って空気や冷却水などの冷却媒体を流通させることによってコア部2を強制冷却させるようにすると、リアクトルD1の放熱性能を向上することができる。
[8]図40は、ヒートシンクをさらに備えた第1態様のリアクトルの構成を示す図である。図41は、ヒートシンクをさらに備えた第2態様のリアクトルの構成を示す図である。図42は、ヒートシンクをさらに備えた第3態様のリアクトルの構成を示す図である。これら図40〜図42において、(A)は、全体構成を示し、(B)は、コア部内の伝熱部材の部分を示している。図43は、ヒートシンクをさらに備えた比較態様のリアクトルの構成を示す図である。
上述の実施形態のリアクトルD1,D2において、リアクトルD1,D2で生じた熱をリアクトルD1,D2外へ放熱させるためのいわゆるヒートシンクHSをさらに備えてもよい。この場合において、コイル1,6における巻き回された導体部材間を絶縁するために用いられる絶縁材の絶縁性を維持するために、コイル1,6の熱をコア部2,7へ伝導する伝熱部材がコイル1,6とコア部2,7との間に設けられることが好ましい。
このようなヒートシンクHSをさらに備えたリアクトルD1,D2は、図40〜図42に示すように、ヒートシンクHS上に伝熱部材PG1を介して固定される。そして、ヒートシンクHSをさらに備えたリアクトルD1は、例えば、第1態様では、図40に示すように、コア部2における空芯コイル1の一方端部とこの空芯コイル1の一方端部に対向するコア部一方面との間に伝熱部材PG2をさらに備えて構成されてよく、また例えば、第2態様では、図41に示すように、コア部2における空芯コイル1の一方端部とこの空芯コイル1の一方端部に対向するコア部一方面との間に伝熱部材PG2をさらに備えるとともに、コア部2における空芯コイル1の他方端部とこの空芯コイル1の他方端部に対向するコア部他方面との間に伝熱部材PG3をさらに備えて構成されてよく、また例えば、コア部2の内部空間略全体に亘って(もちろんコイル1の部分を除く)伝熱部材PG4をさらに備えて構成されてよい。なお、図40〜図42に示すリアクトルD1は、上述の絶縁部材ISをさらに備えている。伝熱部材PG(PG1〜PG4)は、コイル1,6の熱をコア部2,7に伝導するための部材であり、比較的高い熱伝達係数を有する材料であることが好ましく、そして、コイル1,6とコア部2,7とを密着させることが好ましい。伝熱部材PGは、例えば、伝熱グリス等である。また、上述では、リアクトルD1の場合について説明したが、リアクトルD2の場合も同様に説明することができる。
このような構成のヒートシンクSHをさらに備えるリアクトルD1,D2では、リアクトルD1,D2の空芯コイル1,6で発生した熱を、コア部2,7を介してヒートシンクHSに伝導し、ヒートシンクHSから効率よく放熱することができ、リアクトルD1,D2の温度上昇を低減することができる。そして、図40〜図42に示すように空芯コイル1,6とコア部2,7との間に伝熱部材GPをさらに備えることによって、リアクトルD1,D2の空芯コイル1,6で発生した熱を、コア部2,7を介してヒートシンクHSにより効率よく伝導することができ、ヒートシンクHSから放熱することができる。このため、コイル1,6における巻き回された導体部材間を絶縁するために用いられる絶縁材の絶縁性の低下(劣化)を防ぎ、前記絶縁材の絶縁性を維持することが可能となる。
ここで、コイル1,6における巻き回された導体部材間の絶縁や前記絶縁部材ISとしてポリイミドやPEN等の樹脂材料を用いた場合では、比較形態として図43に示すヒートシンクSHをさらに備えるが、空芯コイル1,6とコア部2,7との間に伝熱部材GPを備えない場合では、リアクトルD1,D2の温度がこれら樹脂の耐熱温度を超えてしまうが、図40〜図42に示すヒートシンクSHおよび空芯コイル1,6とコア部2,7との間に伝熱部材GPを備える場合では、リアクトルD1,D2の温度は、高くても140℃程度で略定常状態(熱平衡状態)となり、これら樹脂の耐熱温度以下であった。伝熱部材PGの熱伝導率は、0.2W/mK以上であることが好ましく、1.0W/mK以上であることがより好ましい。
[9]図44および図45は、固定部材および締結部材をさらに備えたリアクトルの構成を示す図である。図44(A)および図45(A)は、上面図を示し、図44(B)は、図44(A)に示すA1切断線における断面図を示し、そして、図45(B)は、図45(A)に示すA2切断線における断面図を示す。なお、図44および図45は、1つのリアクトルについて示している。
上述の実施形態のリアクトルD1,D2において、コア部2,7は、複数のコア部材を備えて構成され、コア部2,7を取り付けるための取り付け部材に、コア部2,7を固定する固定部材と、複数のコア部材をコア部2,7とするために複数のコア部材を締結する締結部材とをさらに備え、コア部2,7における前記固定部材の第1配設位置と前記締結部材の第2配置位置とは、互いに異なように、リアクトルD1,D2が構成されてもよい。このような構成のリアクトルD1,D2では、固定部材の配設位置と締結部材の配設位置とを個別に設けたので、締結部材で複数のコア部材を締結した後に、このように構成されたコア部を固定部材で取り付け部材に固定することができる。このため、リアクトルの組み立てや取り付けの生産性が向上し得る。
このような固定部材は、例えば、ボルトであり、締結部材は、例えば、ボルトとナットである。取り付け部材は、例えば、基板や、上述のヒートシンクHSや、該リアクトルD1,D2を用いる製品の筐体等である。
このような固定部材および締結部材をさらに備えたリアクトルD1,D2は、例えば、図44および図45に示すように、フラットワイズ巻線構造を有する空芯コイル51と、該空芯コイル51を覆うコア部52とを備えて構成されるリアクトルD3である。
コア部52は、コア部2と同様に、磁気的に(例えば透磁率が)等方性を有し、同一の構成を有する第1および第2コア部材53,54を備える。第1および第2コア部材53,54は、それぞれ、例えば六角形状を有する六角板部53a,54aの板面に、該六角板部53a,54aの六辺から成る六角形の大きさと同じ大きさ外周を有する断面六角形の筒部53b,54bが連続して成る。コア部52は、このような構成を有する第1および第2コア部材53,54が互いに前記各筒部53b,54bの端面同士で重ね合わせられることにより空芯コイル51を内部に収容するための空間を備えたものである。
空芯コイル51は、空芯コイル1と同様に、中心(軸芯O上)に所定の径を有する円柱状の空芯部を設けて、所定の厚みを有するリボン状の導体部材がその幅方向を軸芯方向に略一致させた態様で所定回数だけ巻き回されて成るものであり、前記コア部52の内部空間(第1および第2コア部材53,54の内壁面によって形成された空間)に設置されている。
そして、このリアクトルD3における第1およびコア部材53,54には、軸芯O方向に沿って形成された、締結部材55(55−1〜55−3)および固定部材56(56−1〜56−3)のそれぞれを挿通するための貫通孔がそれぞれ設けられている。これら貫通孔は、前記六角形の第1および第2コア部材53,54における角内側(頂点内側)に形成されており、締結部材55用の貫通孔と固定部材56用の貫通孔とは、交互に設けられている。すなわち、隣接する2つの貫通孔と軸芯Oとの成す角は、図44および図45に示す例では六角形であることから60゜であり、締結部材55用の貫通孔のみに着目すれば、隣接する2つの締結部材55用の貫通孔と軸芯Oとの成す角は、この例では120゜であり、そして、固定部材56用の貫通孔のみに着目すれば、隣接する2つの固定部材56用の貫通孔と軸芯Oとの成す角は、この例では120゜である。このように締結部材用の前記貫通孔と固定部材用の前記貫通孔とは、互いに異なる位置に形成されており、コア部2,7における固定部材56の第1配設位置と締結部材55の第2配置位置とは、互いに異なっている。そして、締結部材55は、さらに、第1および第2コア部材53、54の中心位置(軸芯Oの位置)にも締結部材55−4用の貫通孔が設けられる。このような構成のリアクトルD3では、第1および第2コア部材53、54を互いに当接させ、締結部材用の前記貫通孔に締結部材55(55−1〜55−4)のボルトを挿通させ、そして、前記ボルトおよびナットで第1および第2コア部材53,54が互いに締め付けられる。
なお、上述の伝熱部材PGが用いられ、この伝熱部材PGが硬化性樹脂である場合には、この締結された状態で、伝熱部材PGが硬化されることが好ましい。
一方、取り付け部材、図44および図45に示す例では、ヒートシンクHSには、固定部材56(56−1〜56−3)を固着させるための凹部が形成されている。より具体的には、固定部材56にかかるボルトの一方端部に形成された雄ねじと螺着するために、凹部の内周側面には、雌ねじが形成されている。そして、固定部材用の前記貫通孔に固定部材56のボルトを挿通させ、前記凹部に螺着させて、リアクトルD3がヒートシンクHSに固定されて取り付けられる。
このような構成のリアクトルD3では、上述したように、リアクトルの組み立てや取り付けの生産性が向上し得る。より具体的には、例えば、第1および第2コア部材を互いに密着させた状態でコア部として固定する方法には、クランプで密着固定する方法や、ボルトとナットとで密着固定する方法が考えられる。取り付け部材にリアクトルを固定する際には、このクランプを外してリアクトルを取り付け部材に固定する必要があるため、組み立ての生産性が低くなる。また、ボルトとナットとで密着固定する場合には、一旦組立のために締結されたナットを外して取り付け部材にボルトで固定することになるため、取り付けの生産性が低くなる。一方、上述の方法では、固定部材56の第1配設位置と締結部材55の第2配置位置とは、互いに異なるので、第1および第2コア部材の締結とリアクトルの固定とを個別に行うことができるので、リアクトルの組み立てや取り付けの生産性が向上し得る。
さらに、このような構成のリアクトルD3では、締結部材用の前記貫通孔は、これらを結ぶと、例えば、これらの中心を結ぶと、これらの中心を各頂点とする三角形、例えば正三角形を形成し、これら3点で第1および第2コア部材53,54は、締結部材55によって締結されるから、安定的に締結することができる。そして、残余の、固定部材用の前記貫通孔は、同様に、これらを結ぶと、三角形、例えば正三角形を形成し、これら3点でコア部材52は、取り付け部材(ヒートシンクHS)に固定部材56によって固定されるから、安定的に固定することもできる。
[8]図46は、空芯部S1に円筒形状又は中実円柱形状の導体を設置する場合の該導体の外観斜視図である。図46に示すように、空芯部S1に円筒形状又は中実円柱形状の導体を設置する場合、該導体に、軸方向に延びるスリットZを形成すると、リアクトルD1のインダクタンスの増大に寄与することができる。
[9]前記コア部2を、磁気的に等方性を有するフェライトコアで構成してもよい。ただし、漏れ磁束が無いように空芯コイルを磁性体で囲む場合、電磁鋼板のような積層コアでは、必ず磁束線が平面を貫通するため、コア部に生じる渦電流損が大きくなる。磁束密度が高い方が漏れ磁束を抑制でき且つ小型化できるため、ソフトフェライトよりも鉄系軟磁性粉末の圧粉コアが好ましい。
[10]絶縁された複数の細い導体素線を集めて撚合わせたリッツ線によって空芯コイル1を構成してもよい。
[11]空芯コイル1を構成する前記リボン状の導体部材は、均一な材質からなるものの他、図47(a),(b)に示すように、導体層と絶縁層とをその厚み方向に積層してなる導体部材も採用可能である。図47(a)は、本実施形態に係るリボン状の導体部材の外観斜視図であり、図47(b)は、図47(a)のB−B線断面図である。
すなわち、渦電流の大きさは、磁束密度が同一である場合には、磁力線に垂直な連続する面(一続きの面)の面積に比例する。本実施形態では、磁力線に垂直に交差する導体部材の面が不連続部分を構成する絶縁層により分割され、均一な材質からなるリボン状の導体部材で空芯コイル1を構成した場合(図47(c)参照)に比して磁力線に垂直に交差する連続面の面積が小さくなるから、渦電流を小さくすることができる。
なお、このような複合(積層)線材を1本の導体として機能させるためには、コア部の外部、すなわち磁束線の存在しない場所において、図47(a)の矢印Xで示すように、リボン状の導体部材の長手方向における端部においては、隣り合う導体層同士を絶縁層を挟むことなく接合する構成とする必要がある。このようにすることで、複合(積層)線材を1本の導体として機能させることができ、電流が流れる方向での導体の断面積を確保し、空芯コイル1の電気抵抗の増加を抑制することができる。
また、渦電流は、磁場中では線材の表裏で逆方向に流れ、磁場が減少するにつれて徐々に導体内をリターンするし、磁場の交差状況が変化するところで突然に導体内をリターンする。そのため、コイル中心付近や、円筒パイプを設ける場合には、該円筒パイプ部付近において発熱が顕著となる傾向がある。コア部の外部において、リボン状の導体部材の長手方向における端部を接合する構成によれば、コアから離れた場所で渦電流のリターンを生じさせることが出来て、コイル内部の発熱を防止することもできる。
[12]前記リボン状の導体部材を導体層と絶縁層とをその厚み方向に積層して用いる場合に、各導体層自体、あるいは各導体層からそれぞれ別々に口出しされたリード線を、前記コア部の外部に設けられたインダクタコア100に互いに逆相になる様に経由してから接合する様にすると、更に効果的に渦電流を抑制することができる。
たとえば、導体層が2層の場合の例である図48に示すように、コア部2の外部にインダクタコア部100を設けて、前記各導体層をそれぞれ流れる電流を互いに逆相になるように各導体層の一方端からインダクタコア部100を経由させると、設けられたインダクタコア部100は、逆位相の渦電流にのみ大きな抵抗として働いて、その電流を抑制するが、同位相で流れてくる駆動電流に対しては何ら影響を与えない。したがって効果的に渦電流のみを低減し、全体の損失を低減させることができる。なお、図48は、導体層が2層の場合の例であるが、図49は、導体層が3層の場合の外部インダクタコア部100の状態を示す概略図であり、図50は、導体層が4層の場合の外部インダクタコア部100の状態を示す概略図である。
図49に示すように、導体層が3層の場合には、インダクタコア部100を2つ設け、一方のインダクタコア部100により、第1導体層を流れる電流と第2導体層を流れる電流とを互いに逆相とし、また、第3導体層を流れる電流と前記一方のインダクタコア部100を経由した第2導体層を流れる電流とを他方のインダクタコア部100により互いに逆相としたのち、各インダクタコア部100を流れた電流を合流させている。
図50に示すように、導体層が4層の場合には、インダクタコア部100を3つ設け、第1のインダクタコア部100により、第1導体層を流れる電流と第2導体層を流れる電流とを互いに逆相としたのちそれらの電流を合流させるとともに、第2のインダクタコア部100により、第3導体層を流れる電流と第4導体層を流れる電流とを互いに逆相としたのちそれらの電流を合流させ、さらに、それぞれ合流されてなる前記2つの電流を第3のインダクタコア部100により互いに逆相としたのち合流させている。
ちなみに、導体層が単層でその厚みを0.6mmとし、コイル巻き数を32巻として構成された図1のようなリアクトルを基本とし、導体層を厚さ0.3mmの導体2層で構成し、コア部の外部において、各導体の端部を接合した構成のもの(複層リアクトル1)、および、導体層を厚さ0.3mmの導体2層で構成し、各導体層から夫々別々に口出しされたリード線を、前記コア部の外部に設けられたインダクタコアに互いに逆相になる様に経由してから接合した構成のもの(複層リアクトル2)の渦電流損がどの程度変化するか調べてみた(LCRメータを用いて、10kHzのときの抵抗値で測定した)。
その結果、複層リアクトル1で渦電流損は単層(基本)の場合の約56%に、複層リアクトル2での渦電流損は単層(基本)の場合の約32%に、それぞれ低減できていた。
[13]一般に、リアクトルは、変圧器として用いることが可能であり、例えば、特開2001−345224号公報に開示の三相変圧器がある。この3相変圧器は、ケーブル巻き線型であって、この三相変圧器には、U相、V相およびW相の三相に対応する3個の鉄心の上部と下部とに鉄心ヨークがあって、磁気回路が形成されている。このような鉄心が漢字の“日”の字の形に組み合わされることによって、磁力線の導線が構成されている。このような構成の三相変圧器(リアクトル)は、電力伝送系統の途中に置かれ、電圧の安定化に供されている。また、近年のインバータ技術の進歩により、メンテナンスフリーの観点から、交流電動機が工場やハイブリッド自動車や電気自動車等に配置されるようになってきている。このような場合に、例えばインバータから3本の三相交流の動力電線が交流電動機へ向かうことになるが、力率改善のために、通常、インバータと電動機との間に、三相変圧器(リアクトル)が直列に接続される。
近年のハイブリッド自動車等の動力源は、永久磁石を内蔵する同期交流電動機が主流である。この電動機には、乗り心地を向上する観点から、回転の滑らかさが要求される。永久磁石型同期交流電動機は、例えば、回転子側の磁極数が4で固定子側の磁極数が6である組合せ(4対6)を基本とする場合に、8対12や16対24の組合せが現実的に用いられており、極数の増加に従ってトルク変動、いわゆるコギングトルクが緩和され、振動発生が抑えられて乗り心地の向上に繋がっている。
ところで、上述のように、回転子と固定子との磁極数が異なるため、回転子の回転に伴って、U相、V相およびW相の励磁コイルインダクタンスが非対称に変化し、その結果、インバータから印加される三相交流電圧波形に歪みが生じることによって理想とする正弦波波形と成らないため、トルク変動が起きてしまう。そのため、ハイブリッド自動車等に車載される車載インバータと電動機との間に三相リアクトルを挿入することによって、非線形インダクタンスに起因する不要な電圧波形、すなわち、高調波電圧成分を吸収して緩和する対策が有効である。
しかしながら、上述の従来の三相変圧器は、その形状特性から比較的体格が大きく、搭載スペースに限りがある自動車へ搭載する際に不都合である。
そこで、図51に示すように、上述の空芯コイル1は、前記長尺の導体部材を絶縁材料で絶縁被覆するとともに前記長尺の導体部材を巻回して成る単層コイルを基本単位とした場合に、3個の前記単層コイル11u,11v,11wを厚み方向に積層して成る3層空芯コイル11であって、これら3個の単層コイル11u,11v,11wの巻き始めのそれぞれは、互いに電流線路の第1端子11au,11av,11awとして独立しているとともに、これら3個の単層コイル11u,11v,11wの巻き終わりのそれぞれは、互いに電流線路の第2端子11bu,11bv,11bwとして独立している。
すなわち、3個の単相コイルのうちの第1単層コイル11uは、例えば、3相交流のU相用のコイルであり、フィルム状の電気絶縁層で絶縁被覆された長尺の導体部材が中心から渦巻き状に巻き回され、例えば仕様等に応じた所定のインダクタンスにて巻きが終了する。その巻き始めの一方端は、電流線路の第1端子11auであって、コア部2の軸心に穿設された孔から外部へ引き出される。そして、その巻き終わりの他方端は、電流線路の第2端子11buであって、コア部2の円筒部3b(4b)に穿設された孔から外部へ引き出される。
3個の単相コイルのうちの第2単層コイル11vは、例えば、3相交流のV相用のコイルであり、フィルム状の電気絶縁層で絶縁被覆された長尺の導体部材が中心から渦巻き状に巻き回され、例えば仕様等に応じた所定のインダクタンスにて巻きが終了する。その巻き始めの一方端は、電流線路の第1端子11avであって、コア部2の軸心に穿設された孔から外部へ引き出される。そして、その巻き終わりの他方端は、電流線路の第2端子11bvであって、コア部2の円筒部3b(4b)に穿設された孔から外部へ引き出される。
同様に、3個の単相コイルのうちの第3単層コイル11wは、例えば、3相交流のW相用のコイルであり、フィルム状の電気絶縁層で絶縁被覆された長尺の導体部材が中心から渦巻き状に巻き回され、例えば仕様等に応じた所定のインダクタンスにて巻きが終了する。その巻き始めの一方端は、電流線路の第1端子11awであって、コア部2の軸心に穿設された孔から外部へ引き出される。そして、その巻き終わりの他方端は、電流線路の第2端子11bwであって、コア部2の円筒部3b(4b)に穿設された孔から外部へ引き出される。
そして、これら3個の単相コイル11u,11v,11wは、前記電気絶縁フィルムで電気的に絶縁されつつ厚み方向に積層され、コア部2内に緊結に固定される。前記長尺の導体部材の断面は、積層し易いように、平角形状であることが好ましい。
これら積層された3個の単相コイル11u,11v,11wは、電気的には絶縁され、導通しないが、積層による近接効果で磁気的には相互結合しており、従来の三相リアクトルのように磁気回路を形成している。
このように構成することによって、1個分のコイルスペースで3相分のコイルを収容することができるので、同じ電力容量の従来型の三相リアクトルの体格に較べて、その体格を小さくすることができる。このような構成のリアクトルD1は、特に、搭載スペースの限られた電気自動車、ハイブリッド自動車、電車およびバス等の移動体(車両)に搭載される場合に好適である。また、このような構成のリアクトルD1は、インバータから交流電動機への動力線において、インバータからの高調波歪電圧(いわゆるリップル)を吸収し、平滑化することができ、この結果、正弦波波形に近づけることができる。このことにより、前記高調波を電動機へ出力することが無くなり、リップル電圧、サージ電圧の発生を抑制でき、異常電流による機器の損傷を防ぐことができる。ひいては、インバータ出力素子の耐電圧を下げることができ、より安価な部品(素子)を使うことが可能となる。さらに、交流電動機で発生する逆起電力に起因する異常な逆電圧が、インバータに逆流することを途中で吸収し、インバータ出力素子の損傷も防ぐことが可能となる。また、このような構成のリアクトルD1は、電気絶縁フィルムとともに3相分のコイルが緊結に固定されるので、構造体として高い剛性を備えており、交流電流の印加によって生じる磁気力収縮振動を抑制することもできる。
ここで、このような構成のリアクトル(三相リアクトル)Dにおいて、図52に示すように、コア部2の空芯部S1に対応する部位に、この空芯部S1と略同径の穴Hを形成し、この穴Hを介してコア部2を貫通する冷却パイプPYを設置してもよい。冷却パイプPYには、例えば、空気等の気体や水等の液体等の流体が流通される。上述の3単相コイル積層型空芯コイル11の中心部分は、図51に示す構成ではコア部2の中央にあるため、通電による電流ジュール熱が容易に廃熱されずに籠もってしまうが、このように構成することによって、前記電流ジュール熱を冷却パイプPYを流通する流体によって外部へ導き、廃熱することが可能となる。なお、冷却パイプPYが導電性を持つ場合では、例えば単層コイル11u,11v,11wの巻き始め部分等の単層コイル11u,11v,11wと接触し得る冷却パイプPYの部位に、電気絶縁フィルム等の絶縁部材が用いられる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
1,6 空芯コイル
2,7 コア部
3,4,8,9 第1,第2コア部材
3a,4a,8a,9a 円板部
3b,4b,8b,9b 円筒部
3c,4c 凸部
3d,4d 凹部
20〜22 コア部材
D1,D2 リアクトル
S1,S2 空芯部
Y 凹溝
Z スリット
2,7 コア部
3,4,8,9 第1,第2コア部材
3a,4a,8a,9a 円板部
3b,4b,8b,9b 円筒部
3c,4c 凸部
3d,4d 凹部
20〜22 コア部材
D1,D2 リアクトル
S1,S2 空芯部
Y 凹溝
Z スリット
Claims (11)
- 軸方向の長さWに対する径方向の長さtの比t/Wが1以下となる形状を持った長尺の導体部材を巻回して成る空芯コイルと、
前記空芯コイルの各両端部及び外周部を覆うコア部とを備え、
前記コア部における前記空芯コイルの一方端部に対向するコア部一方面と、前記コア部における前記空芯コイルの他方端部に対向するコア部他方面とは、少なくともコイル端部を覆う領域において平行であり、且つ、前記コア部一方面に対し、前記空芯コイルを構成する導体部材の軸方向面が垂直であり、
前記空芯コイルの導体部材における前記軸方向の長さWに対する前記空芯コイルにおける中心から外周までの半径Rとの比R/Wは、2〜4であり、
前記コア部の各部位のうち前記空芯コイルの空芯部に面する部位には、前記空芯コイル側に突起部が上面側、底面側共に形成され、該突起部は、前記空芯コイルの空芯部の半径をRs、突起部のコイル端部に対向するコア面からの高さをa、突起部底面の半径をAとしたとき、
0<a≦W/3、且つ、Rs>√(A2+(W/2)2)
を満足するように形成されていること
を特徴とするリアクトル。 - 前記比t/Wは、1/10以下であること
を特徴とする請求項1に記載のリアクトル。 - 前記長さtは、当該リアクトルの駆動周波数に対する表皮厚み以下であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のリアクトル。 - 前記空芯コイルの内周端における、前記コア部一方面と前記コア部他方面との面間隔L1と、前記空芯コイルの外周端における、前記コア部一方面と前記コア部他方面との面間隔L2との差(L1−L2)を平均面間隔L0で除算した値を平行度と定義した場合に、
前記平行は、平行度(L1−L2)/L0の絶対値が1/50以下であること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記長尺の導体部材は、導体層と絶縁層とをその厚み方向に積層してなるものであり、該長尺の導体部材の長手方向における端部は、前記コア部の外部において、隣り合う導体層同士を絶縁層を挟むことなく接合したものであること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記長尺の導体部材は、各導体層自体が、あるいは各導体層から夫々別々に口出しされたリード線が、前記コア部の外部に設けられたインダクタコアに互いに逆相になる様に経由されてから接合されているものであること
を特徴とする請求項5に記載のリアクトル。 - 前記空芯コイルは、前記長尺の導体部材を絶縁材料で絶縁被覆するとともに前記長尺の導体部材を巻回して成る単層コイルを基本単位とした場合に、3個の前記単層コイルを厚み方向に積層して成るものであって、
前記3個の前記単層コイルの巻き始めのそれぞれは、電流線路の第1端子として互いに独立しているとともに、前記3個の前記単層コイルの巻き終わりのそれぞれは、電流線路の第2端子として互いに独立していること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記コア部における前記空芯コイルの一方端部とこの空芯コイルの一方端部に対向するコア部一方面との間および前記コア部における前記空芯コイルの他方端部とこの空芯コイルの他方端部に対向するコア部他方面との間に少なくとも配置される絶縁部材をさらに備えること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記コア部は、複数のコア部材を備えて構成され、
前記コア部を取り付けるための取り付け部材に、前記コア部を固定する固定部材と、
前記複数のコア部材を前記コア部とするために前記複数のコア部材を締結する締結部材とをさらに備え、
前記コア部における前記固定部材の第1配設位置と前記締結部材の第2配置位置とは、互いに異なること
を特徴とする請求項1ないし請求項4に記載のリアクトル。 - 前記コア部は、磁気的に等方性を有するものであって軟磁性体粉末を成形したものであること
を特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記コア部は、磁気的に等方性を有するフェライトコアであること
を特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のリアクトル。
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