JP2013165213A - 巻線素子用固定金具および固定金具付き巻線素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、鉛直方向な取り付け面であっても巻線素子を確実に取り付け得、誤って落とした場合でもコアを保護し得る巻線素子用固定金具および固定金具付き巻線素子を提供する。
【解決手段】本発明の巻線素子用固定金具10は、コイル21とコイル21を収納するコア22とを備える巻線素子20を所定の部材30に固定するための巻線素子用固定金具10であって、第1取り付け部材用貫通孔10dを有する帯板状の本体部10aと、本体部10aの両端から立設された一対の脚部10b−1、10b−2と、各脚部10b−1、10b−2の各端部から外方向にそれぞれ立設された一対の固定部10c−1、10c−2とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、巻線素子を所定の部材に固定するための巻線素子用固定金具およびこの巻線素子用固定金具を備えた固定金具付き巻線素子に関する。
長尺な導体部材を巻き回した巻線素子には、回路にリアクタンスを導入することを目的としたリアクトルや、電磁誘導を利用することによって複数の巻線(コイル)間でエネルギーの伝達を行うトランス(変成器、変圧器)等が知られている。このリアクトルは、例えば、力率改善回路における高調波電流の防止、電流型インバータやチョッパ制御における電流脈動の平滑化およびコンバータにおける直流電圧の昇圧等の様々な電気回路や電子回路等に用いられている。また、トランスは、電圧変換やインピーダンス整合や電流検出等を行うために、様々な電気回路や電子回路等に用いられている。
このような巻線素子は、通常、搭載部材や実装部材等の所定の部材に取り付けられて使用される。そして、巻線素子に電力が供給されると、巻線素子は、一般に発熱するため、放熱性を考慮してヒートシンクの機能を持つ所定の部材に取り付ける必要がある。この放熱性を考慮したリアクトルが例えば特許文献1に開示されている。
図9は、特許文献1に開示のリアクトルの取り付け態様を説明するための斜視図である。図9(A)は、第1取り付け態様を示し、図9(B)は、第2取り付け態様を示す。
図9において、リアクトル1001は、対向し合う直線状部分と、各直線状部分の端部同士を繋ぐU字状部分とからなる環状のコア1002と、コア1002の各直線状部分に巻回されたコイル1003とを備えている。そして、特許文献1に開示の第1取り付け態様では、図9(A)において、アルミナ製の平板状の放熱部分1004と、例えばケースの底板やヒートシンクの台座等の搭載部Lと、の間にリアクトル1001を挟み込んで、放熱部分1004の四隅に配置される脚状の部材である熱伝導部材1005の両端を、放熱部分1004および搭載部Lのそれぞれと、例えば溶接、接着およびねじ留め等によって、固定することで、リアクトル1001は、搭載部Lに固定される。また、特許文献1に開示の第2取り付け態様では、図9(B)において、搭載部Lに例えば溶接や接着等によって立設された板状の部材である熱伝導部材1006を、リアクトル1001の対向し合うコイル3間の間隙に挿通し、熱伝導部材1006の上側に例えば接着やねじ留め等で放熱部分1004を固定することで、リアクトル1001は、搭載部Lに固定される。
特開2009−147041号公報
ところで、巻線素子を取り付ける取り付け面が斜め方向や鉛直方向に設定される場合(取付面の法線方向が重力の作用する重力作用方向と交差する場合や略直交する場合)がある。前記特許文献1に開示の第1および第2取り付け態様では、搭載部Lは、水平方向(取付面の法線方向と重力作用方向とが平行)に設定されているため、リアクトル1001の自重で搭載部Lに搭載されており、第1取り付けた態様の放熱部分1004および熱伝導部材1005や、第2取り付け態様の放熱部分1004および熱伝導部材1006で、リアクトル1001を支持する必要がなく、また、前記特許文献1では、搭載部Lが鉛直方向に設定される場合は、想定されていない。
また、コアが圧粉コアである場合には、圧粉コアは、圧粉形成と、焼結温度未満の温度による加熱とによって製造されるため、粉末同士は、カシメられて形状を保持している。このため、巻線素子を誤って落下させてしまうと、落下衝撃時の衝撃荷重によって圧粉コアを破損してしまう虞がある。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、取り付け面が鉛直方向に設定される場合でも巻線素子を確実に取り付けることができ、誤って落とした場合でもコアを保護することができる巻線素子用固定金具およびこの巻線素子用固定金具を備えた固定金具付き巻線素子を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる巻線素子用固定金具は、コイルと前記コイルを収納するコアとを備える巻線素子を所定の部材に固定するための巻線素子用固定金具であって、貫通孔を有する帯板状の本体部と、前記本体部の両端からそれぞれ立設された一対の脚部と、前記各脚部の各端部からそれぞれ立設された一対の固定部とを備えることを特徴とする。
このような構成の巻線素子用固定金具は、その縦断面がハット(hat,縦断面形状が横面視にて、_| ̄|_またはΠ)型となり、例えばボルト等の取り付け部材を前記本体部の前記貫通孔に挿通することで、巻線素子を抱え込むように、巻線素子に取り付けられる。そして、巻線素子用固定金具の一対の固定部で例えばヒートシンク等の所定の部材に固定される。このように、上記構成の巻線素子用固定金具は、巻線素子を抱え込むように巻線素子に取り付けられ、一対の固定部で所定の部材に固定されるので、前記所定の部材が鉛直方向に設定される場合でも、巻線素子を確実に取り付けることができる。そして、このように、上記構成の巻線素子用固定金具は、巻線素子を抱え込むように巻線素子に取り付けられるので、誤って落とした場合でもコアを保護することができる。
また、他の一態様では、上述の巻線素子用固定金具において、前記本体部に前記巻線素子を取り付けて前記所定の部材上に載置した場合に、前記固定部の底面と前記所定の部材との間に、隙間が生じることを特徴とする。
巻線素子用固定金具が固定部によって所定の部材に固定される場合には、前記隙間が無くなり、固定部の底面が所定の部材に当接される。このため、巻線素子用固定金具には、巻線素子を所定の部材に押し付ける付勢力が生じる。したがって、巻線素子は、この付勢力で巻線素子用固定金具によってより確実に押し付けられる。この結果、所定の部材がヒートシンクの機能を持つ場合には、巻線素子で発熱した熱が所定の部材に、より確実に伝熱し、放熱性を改善することができる。
また、他の一態様では、これら上述の巻線素子用固定金具において、前記本体部から前記一対の脚部が立設する各点をA、Bとし、前記一対の脚部のそれぞれから前記一対の固定部が立設する各点をC、Dとする場合に、AB間、CA間およびDB間の各長さは、前記本体部、前記一対の脚部および前記一対の固定部の厚さおよび帯幅が予め所与であって、前記所定の部材上に前記隙間を無くして固定した場合に生じる付勢力および予め所与の落下衝撃荷重がそれぞれ作用した場合に生じる各最大応力がその形成材料の降伏点または該降伏点と同等の物性値を下回るように、設定されていることを特徴とする。
このような構成の巻線素子用固定金具は、前記付勢力や所定の落下衝撃荷重が作用しても破壊することがない。
また、他の一態様では、これら上述の巻線素子用固定金具において、前記本体部から前記一対の脚部が立設する各点をA、Bとし、前記一対の脚部のそれぞれから前記一対の固定部が立設する各点をC、Dとし、AB間の長さをcとし、CA間およびDB間の長さをkとする場合に、0.02≦k≦0.07[m]の範囲において、少なくとも0.0236×k−1.07≦c/k≦0.0079×k−1.9を満たすことを特徴とする。
このような構成の巻線素子用固定金具は、前記本体部に前記巻線素子を取り付けて前記所定の部材上に載置した際に生じる前記固定部の底面と前記所定の部材との間の隙間をその上限値として0.2[mm]以下とした場合において、誤って落とした場合に生じる落下衝撃が5G(重力の5倍)まで耐えることができる。
また、他の一態様では、これら上述の巻線素子用固定金具において、前記本体部から前記一対の脚部が立設する各点をA、Bとし、前記一対の脚部のそれぞれから前記一対の固定部が立設する各点をC、Dとし、AB間の長さをcとし、CA間およびDB間の長さをkとする場合に、0.02≦k≦0.07[k]の範囲において、少なくとも7275.4×k−592.14×k+14.612≦c/k≦0.0053×k−2を満たすことを特徴とする。
このような構成の巻線素子用固定金具は、前記本体部に前記巻線素子を取り付けて前記所定の部材上に載置した際に生じる前記固定部の底面と前記所定の部材との間の隙間をその上限値として1.5[mm]以下とした場合において、誤って落とした場合に生じる落下衝撃が5Gまで耐えることができる。
また、他の一態様では、これら上述の巻線素子用固定金具において、前記本体部、前記一対の脚部および前記一対の固定部は、H12〜H38のいずれか1つの調質を実施したアルミニウム合金の帯状部材で形成されていることを特徴とする。
このような構成の巻線素子用固定金具は、非磁性で塑性変形し難いJISのH12〜H38のアルミニウム合金で形成されるので、巻線素子の特性に影響することなく、所定の部材が鉛直方向に設定される場合でも、巻線素子を所定の部材に押し付けて確実に取り付けることができる。
また、本発明の他の一態様にかかる固定金具付き巻線素子は、コイルと前記コイルを収納するコアとを備える巻線素子と、これら上述のうちのいずれか1つの巻線素子用固定金具とを備え、前記巻線素子のコアは、上面から底面まで貫通するコア貫通孔を有し、前記巻線素子は、前記巻線素子用固定金具の前記貫通孔および前記コア貫通孔を挿通する通しボルトによって前記巻線素子用固定金具に締結されていることを特徴とする。
このような構成の固定金具付き巻線素子は、これら上述のうちのいずれか1つの巻線素子用固定金具を備えるので、取り付け面が鉛直方向に設定される場合でも巻線素子を確実に取り付けることができ、誤って落とした場合でもコアを保護することができる。
本発明にかかる巻線素子用固定金具および固定金具付き巻線素子は、取り付け面が鉛直方向に設定される場合でも巻線素子を確実に取り付けることができ、誤って落とした場合でもコアを保護することができる。
実施形態における固定金具付き巻線素子の構成を示す斜視図である。 実施形態の固定金具付き巻線素子における巻線素子の構成を示す斜視図である。 実施形態の固定金具付き巻線素子におけるコア部材の構成を示す斜視図である。 実施形態の固定金具付き巻線素子における巻線素子用固定金具の各部に生じる応力を説明するための図である。 材質がアルミニウム合金であって変位量aが0.2mmである場合における、ヤング率で除した最大応力を示す図である。 材質がアルミニウム合金であって変位量aが1.5mmである場合における、ヤング率で除した最大応力を示す図である。 材質がステンレス(SUS304)であって変位量aが0.75mmである場合における、ヤング率で除した最大応力を示す図である。 実施形態の巻線素子用固定金具をアルミニウム合金(A5052−H38)で形成する場合における長さkと縦横比ζとの範囲を示す図である。 特許文献1に開示のリアクトルの取り付け態様を説明するための斜視図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における固定金具付き巻線素子の構成を示す斜視図である。図2は、実施形態の固定金具付き巻線素子における巻線素子の構成を示す斜視図である。図3は、実施形態の固定金具付き巻線素子におけるコア部材の構成を示す斜視図である。図4は、実施形態の固定金具付き巻線素子における巻線素子用固定金具の各部に生じる応力を説明するための図である。図4(A)は、固定部の底面と取り付け面との間にある隙間を無くすことによって生じる応力を説明するための図であり、図4(B)は、重力の作用によって生じる応力を説明するための図である。
図1において、固定金具付き巻線素子1は、巻線素子20と、巻線素子20を所定の部材30に固定するための巻線素子用固定金具10とを備え、巻線素子20は、取り付け部材40によって巻線素子用固定金具10に取り付けられている。
巻線素子20は、例えば、図2に示すように、一対の第1および第2端子部(口出配線、引出配線、電極線)25(25−1、25−2)を持つ1個のコイル21と、コイル21に通電(給電)した場合にコイル21によって生じた磁束を通すコア22とを備え、例えばリアクトルとして機能するものである。なお、巻線素子20は、複数のコイルを備えた多相用のリアクトルであってもよく、また、複数のコイルを備えたトランスであってもよい。このように巻線素子のコイル21は、1または複数であってよい。
コイル21は、絶縁状態で長尺の導体部材を所定の回数だけ巻き回したものであり、通電することによって、磁場を発生するものである。コイル21は、例えば断面丸形(○形)や断面矩形(□形)等の絶縁被覆した長尺な導体部材を巻回することによって構成されてもよいが、本実施形態では、いわゆる渦電流損失を低減する観点から、コイル21は、断面長方形([]形)の帯状の導体部材を、例えば絶縁被覆や絶縁シートを挟み込むこと等によって絶縁状態で、該導体部材の幅方向がコイル21の軸AX方向に沿うように、巻回することによって形成される。このように本実施形態のコイル21は、いわゆるフラットワイズ巻線構造のフラットワイズ型コイルである。
なお、帯状とは、導体部材の厚さ(径方向の長さ)Ctよりも幅(軸方向の長さ)Cwの方が大きい場合をいい、すなわち、幅Cwと厚さCtとの間に、Cw>Ct(Cw/Ct>1)の関係が成り立つ。
第1および第2端子部25−1、25−2は、外部の回路とコイル21(前記導体部材)とを電気的に接続するための端子である。これら第1および第2端子部25−1、25−2は、導体線材を例えば溶接や半田付け等で前記導体部材の両端部に取り付けることによって形成されてもよいが、本実施形態では、外力や加熱による剥離を防止し、より高い信頼性を確保するために、例えば、本実施形態では、これら第1および第2端子部25−1、25−2は、コイル21(前記導体部材)の端部を折り曲げることによって、コイル21の軸方向に直交する平面に交差する方向に引き出された部分である(例えば特開2011−205056号公報参照)。そして、これら第1および第2端子部25−1、25−2は、サイズを低減するとともに電気抵抗を低減する観点から、その軸方向に沿う折り曲げ線で折り曲げることによって多重構造とされている。例えば、第1および第2端子部25−1、25−2は、4層構造にされている。
コア22は、コイル21に通電した場合にコイル21に生じる磁場による磁束を通す部材であり、磁気的に(例えば透磁率が)等方性を有している。コア22は、例えば、図2および図3に示すように、第1および第2端子部25−1、25−2を挿通するための、内外を連通する第1および第2端子部用貫通孔が一方のコア部材に設けられている点を除き、同一の構成を有する第1および第2コア部材23、24を備える。第1および第2コア部材23、24は、それぞれ、例えば円板形状を有する円板部23a、24aの板面に、該円板部23a、24aと同径の外周面を有する円筒部23b、24bが連続して成る。図2に示す例では、第1コア部材23の円板部23aに、第1および第2端子部25−1、25−2のコイル21からの引出方向に沿った方向(本実施形態では該円板部23aをコイル21の軸方向)で貫通するように第1および前記第2端子部用貫通孔(図2参照、図3では不図示)が形成されている。そして、第1および第2コア部材23、24の各円板部23a、24aの略中央(中心)には、それぞれ、取り付け部材40を挿通するための第21および第22取り付け部材用貫通孔23e、24eが軸方向に沿って貫通形成されている。
コア22は、このような構成を有する第1および第2コア部材23、24が互いに前記各円筒部23b、24bの端面同士で重ね合わせられることによって、形成され、コア22内には、コイル21を内部に収容するための空間が形成され、第21および第22取り付け部材用貫通孔23e、24eが互いに通じることによって、コア22の一方面から他方面へ通じる、取り付け部材40を挿通するための第2取り付け部材用貫通孔26が形成される。
そして、図3に示す例では、コイル21をコア22内に収容した場合にコア22におけるコイル21の空芯部Sに面する箇所に、この空芯部Sに入り込む第1および第2突起部23f、24fが形成されている。より具体的には、コイル21をコア22内に収容した場合に第1コア部材23の内側底面におけるコイル21の空芯部Sに面する箇所に、この空芯部Sに入り込む円錐台形状の第1突起部23fが形成されており、コイル21をコア22内に収容した場合に第2コア部材24の内側底面におけるコイル21の空芯部Sに面する箇所に、この空芯部Sに入り込む円錐台形状の第2突起部24fが形成されている。このような第1および第2突起部23f、24fを形成することにより、巻線素子20のインダクタンスをさらに向上させることができる。また、各突起部23f、24f間におけるギャップ長を調整することにより、巻線素子20のインダクタンス値を調整することができる。また、第1および第2突起部23f、24fは、インダクタンス特性を制御するために任意の形状とすることが可能であり、円錐台形状に限定されるものではなく、例えば、円柱状であってもよい。
そして、第1および第2コア部材23、24には、前記互いに重ね合わされる円筒部23b、24bの各端面に、位置決めを行うための凸部23c、24cが設けられ、この凸部23c、24cに応じた凹部23d、24dが設けられている。なお、このような凸部23c、24cおよび凹部23d、24dは、無くてもよい。例えば、図3に示すように、第1および第2コア部材23、24における円筒部23b、24bの各端面には、略円柱形状の第1および第2凸部23c−1、23c−2;24c−1、24c−2が180゜の間隔(互いに対向する位置)で設けられ、このような略円柱形状の第1および第2凸部23c−1、23c−2;24c−1、24c−2が嵌り込むような略円柱形状の第1および第2凹部23d−1、23d−2;24d−1、24d−2が180゜の間隔(互いに対向する位置)で設けられている。そして、これら第1および第2凸部23c−1、23c−2;24c−1、24c−2ならびに第1および第2凹部23d−1、23d−2;24d−1、24d−2は、それぞれ、90゜間隔で設けられている。なお、図3には、第1および第2コア部材23、24の一方が示されている(前記第1および第2端子部用貫通孔は不図示)。このような位置決めの凸部23c、24cを円筒部23b、24bの各端面にさらに備えることによって第1および第2コア部材23、24をより確実に突き合わせることができる。
このような第1および第2コア部材23、24は、所定の磁気特性を有する。第1および第2コア部材23、24は、低コスト化の観点から、同一材料であることが好ましい。第1および第2コア部材23、24は、表面絶縁処理された純鉄であってよいが、本実施形態では、例えば、所望の磁気特性(比較的高い透磁率)の実現容易性および所望の形状の成形容易性の観点から、軟磁性体粉末を成形したものであることが好ましい。
この軟磁性粉末は、強磁性の金属粉末であり、より具体的には、例えば、純鉄粉、鉄基合金粉末(Fe−Al合金、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイ等)およびアモルファス粉末、さらには、表面にリン酸系化成皮膜などの電気絶縁皮膜が形成された鉄粉等が挙げられる。これら軟磁性粉末は、例えば、アトマイズ法等によって製造することができる。また、一般に、透磁率が同一である場合に飽和磁束密度が大きいので、軟磁性粉末は、例えば上記純鉄粉、鉄基合金粉末およびアモルファス粉末等の金属材料であることが好ましい。このような第1および第2コア部材23、24は、例えば、公知の常套手段を用いて軟磁性粉末を圧粉成形することによって形成することができる。
そして、巻線素子20は、第1および第2コア部材23、24を突き合わせることによって形成される内部空間に、その第1および第2端子部25−1、25−2を前記第1および第2端子部用貫通孔から外部に引き出してコイル21を収納することによって形成される。このように本実施形態の巻線素子20は、コイル21をコア22内に内蔵する、いわゆるポッド型の素子である。なお、本実施形態の巻線素子20は、図1および図2に示すように、漏れ磁束を低減するために、コイル21全体をコア22で内包するように構成されたが、コア22における、コイル21の周面に当たる部分等に開口が形成されてもよい。
このようなコイル21の外周にコア22を備える巻線素子20を所定の部材30に固定するための巻線素子用固定金具10は、第1取り付け部材用貫通孔10dを有する帯板状の本体部10aと、本体部10aの両端から略垂直方向にそれぞれ立設された板状の一対の脚部10b−1、10b−2と、各脚部10b−1、10b−2の各端部から略垂直外方向にそれぞれ立設された板状の一対の固定部10c−1、10c−2とを備えている。
本体部10aの第1取り付け部材用貫通孔10dは、取り付け部材40を挿通するための孔であり、対称性を考慮してその長手方向の略中央に形成されている。そして、各固定部10c−1、10c−2には、それぞれ、この巻線素子用固定金具10を前記所定の部材30に固定するための図略の固定部材を取り付ける固定部材用貫通孔10e−1,10e−2が形成されている。前記固定部材は、ネジ(ビス)、ボルトとナット等の締結部材であり、固定部材用貫通孔10e−1,10e−2内側面には、ネジ溝が形成されてよい。
このような構成の巻線素子用固定金具10は、例えば、帯板状の部材を折り曲げる折り曲げ加工と、各貫通孔を穿孔する貫通孔形成工程とから作成することができる。このような作成方法では、本体部10a、各脚部10b−1、10b−2および各固定部10c−1、10c−2は、一体で形成され、各脚部10b−1、10b−2は、本体部10aから連続して成り、各固定部10c−1、10c−2は、各脚部10b−1、10b−2から連続して成る。
そして、このような構成の巻線素子20および巻線素子用固定金具10では、例えば、通しボルト等の取り付け部材40は、第1ワッシャを介して巻線素子用固定金具10の第1取り付け部材用貫通孔10dに挿通され、続いて、第2ワッシャを介して巻線素子20のコア22における第2取り付け部材用貫通孔26に挿通され、その他方端が第3ワッシャを介して例えばナット等の締結部材によって締結され、巻線素子用固定金具10が巻線素子20に取り付けられ、固定される。これによって固定金具付き巻線素子が作成される。次に、例えば回路基板やヒートシンク等の巻線素子20を取り付けるべき所定の部材(搭載部材、実装部材)30における取り付け位置に、この固定金具付き巻線素子が配置され、例えばネジ等の締結部材が、巻線素子用固定金具10の各固定部10c−1、10c−2における各固定部材用貫通孔10e−1,10e−2を介して、前記所定の部材30に締結され、固定される。これによって巻線素子20は、巻線素子用固定金具10によって所定の部材30に固定され、取り付けられる。
上記構成の巻線素子用固定金具10は、その縦断面の形状がハット(hat,横面視にて、_| ̄|_)型となり、例えばボルト等の取り付け部材40を本体部10aの第1取り付け部材用貫通孔10dに挿通することで、巻線素子20を抱え込むように、巻線素子20に取り付けられる。そして、巻線素子用固定金具10の一対の固定部10c−1、10c−2で例えばヒートシンク等の所定の部材30に固定される。このように、上記構成の巻線素子用固定金具10は、巻線素子20を抱え込むように巻線素子20に取り付けられ、一対の固定部10c−1、10c−2で所定の部材30に固定されるので、この所定の部材30が鉛直方向に設定される場合でも、巻線素子20を確実に取り付けることができる。そして、このように、上記構成の巻線素子用固定金具10は、巻線素子20を抱え込むように巻線素子20に取り付けられるので、誤って落とした場合でもコア22を保護することができる。
そして、本実施形態の巻線素子用固定金具10は、巻線素子用固定金具10の本体部10aに巻線素子20を取り付け部材40によって取り付けて前記所定の部材30上に載置した場合に、固定部10cの底面と前記所定の部材30の表面との間に、例えばサブミリメートルオーダーの隙間が生じるように、形成される。すなわち、巻線素子用固定金具10の本体部10aに巻線素子20を取り付け部材40によって取り付けた場合に、一対の固定部10c−1、10c−2の各底面よりも、巻線素子20のコア22の底面が突き出た状態となるように、一対の脚部10b−1、10b−2の長さおよび一対の固定部10c−1、10c−2の各厚さが調整されている。さらに、言い換えれば、本体部10aの内側面から固定部10cの底面までの距離(長さ)が、コア22の厚さ(本体部10aとコア22との間に第2ワッシャが介在する場合には第2ワッシャの厚さを含む)よりも短くなるように、一対の脚部10b−1、10b−2の長さおよび一対の固定部10c−1、10c−2の各厚さが調整されている。
このような構成の巻線素子用固定金具10では、巻線素子用固定金具10が各固定部10c−1、10c−2によって所定の部材30に固定される場合には、上記隙間が無くなり、各固定部10c−1、10c−2の各底面が所定の部材30の表面に当接される。このため、弾性範囲内では、巻線素子用固定金具10には、巻線素子20を所定の部材30に押し付ける付勢力が生じる。したがって、巻線素子20は、この付勢力で巻線素子用固定金具10によってより確実に所定の部材30に押し付けられる。この結果、所定の部材30がヒートシンクの機能を持つ場合には、巻線素子20で発熱した熱が所定の部材30に、より確実に伝熱し、放熱性を改善することができる。
ここで、このような前記付勢力が生じても巻線素子用固定金具10がバネとしての機能を維持するために塑性変形しないように、その材料、各部の板厚、板幅および長さを決定する必要がある。
このような前記付勢力を生じさせる場合では、前記隙間の長さ(寸法)をaとすると、図4(A)に示すように、前記付勢力は、巻線素子用固定金具10のみを各固定部10c−1、10c−2で所定の部材30に固定した状態で、本体部10aの中央位置Pで本体部10aの法線方向に沿った外方向に長さaだけ本体部10aを変形させるために、中央位置Pに加えられる力F1と同等である。したがって、前記付勢力が生じても巻線素子用固定金具10が破損しないためには、中央位置Pに力F1を作用させて変位量aだけ変位させても、巻線素子用固定金具10に生じる最大応力が巻線素子用固定金具10の材料の降伏点または該降伏点と同等の物性値よりも小さくなる必要がある(巻線素子用固定金具10の変形が弾性範囲内となる必要がある)。
一方、巻線素子20が、斜め方向や鉛直方向に設定された取り付け面に取り付けられる場合では、図4(B)に示すように、取り付け部材40によって巻線素子20を取り付ける第1取り付け部材用貫通孔10dの中央位置Pに、その方向に重力による力F2が作用し、この力F2は、取り付け面が鉛直方向である場合に最大となる。したがって、この力F2によって巻線素子用固定金具10に生じる最大応力が巻線素子用固定金具10の材料の降伏点または該降伏点と同等の物性値よりも小さくなる必要もある。
このため、上述のように、巻線素子用固定金具10が各固定部10c−1、10c−2で所定の部材30に固定され、巻線素子20が中央位置Pに取り付けられる場合、巻線素子用固定金具10に生じる応力を小さくするためには、力F1の方向のバネ定数K1を小さくする必要がある一方で、力F2の方向のバネ定数K2を大きくする必要がある。したがって、本体部10aから各脚部10b−1、10b−2が立設する各点(各屈曲点)をA、Bとし、各脚部10b−1、10b−2から各固定部10c−1、10c−2が立設する各点(各屈曲点)をC、Dとする場合に、力F1および力F2が巻線素子用固定金具10に作用した場合における巻線素子用固定金具10の塑性変形を抑制するために、AB間の長さcを長くするとともに、CA間およびDB間の各長さkを短くする必要がある。この結果、巻線素子用固定金具10の縦横比ζ(=c/k)には、最適な範囲が存在する。
この力F1および力F2が巻線素子用固定金具10に作用しても塑性変形しない前記長さkと縦横比ζとの範囲は、より具体的には、次のように求めることができる。
まず、第1に、力F1が巻線素子用固定金具10に作用する場合には、力F1は、図4(A)に二点鎖線で示す変形を生じさせるように巻線素子用固定金具10に作用する。この結果、CA間に、すなわち、巻線素子用固定金具10の脚部10b−1に作用する、ヤング率Eで除した最大応力σCA (1)/Eは、次式(1)で表され、AP間に、すなわち、巻線素子用固定金具10の本体部10aにおける一方端部Aから中央位置Pまでの部分に作用する、ヤング率Eで除した最大応力σAP (1)/Eは、次式(2)で表される。なお、tは、巻線素子用固定金具10の厚さ(板厚)である。
これら式(1)および式(2)から分かるように、最大応力σCA (1)および最大応力σAP (1)は、ヤング率E、変位量a、巻線素子用固定金具10の形状(t、c、k)の関数である。
また、第2に、力F2が巻線素子用固定金具10に作用する場合に、力F2は、図4(B)に二点鎖線で示す変形を生じさせるように巻線素子用固定金具10に作用する。この結果、CA間に作用する最大応力σCA (2)は、次式(3)で表され、AP間に作用する最大応力σAP (2)は、次式(4)で表され、PB間に、すなわち、巻線素子用固定金具10の本体部10aにおける中央位置Pから他方端部Bまでの部分に作用する最大応力σPB (2)は、次式(5)で表され、そして、BD間に、すなわち、巻線素子用固定金具10の脚部10b−2に作用する最大応力σBD (2)/Eは、次式(6)で表される。なお、bは、巻線素子用固定金具10の幅(板幅、帯幅)である。
なお、CA間、AP間、PB間およびBD間に生じる各最大応力σCA、σAP、σPB、σBDは、それぞれ、点C、点P、点Pおよび点Dで生じる。
これら式(3)ないし式(6)から分かるように、最大応力σCA (2)、最大応力σAP (2)、最大応力σPB (2)および最大応力σBD (2)は、力F2、巻線素子用固定金具10の形状(t、b、c、k)の関数である。
ここで、力F1および力F2が巻線素子用固定金具10に作用する場合、各区間において、曲げ方向が同じ場合では力F1および力F2による各応力は、加算され、曲げ方向が逆の場合では力F1および力F2による各応力は、相殺される。したがって、図4(A)に二点鎖線で示す変形態様と図4(B)に二点鎖線で示す変形態様とを参照すると、CA間では、力F1および力F2による各応力は、加算され、AP間では、力F1および力F2による各応力は、相殺され、PB間では、力F1および力F2による各応力は、加算され、そして、BD間では、力F1および力F2による各応力は、相殺される。よって、力F1および力F2による最大応力は、点Pまたは点Cで生じることとなり、点Pの最大応力は、式(1)と式(5)との加算で表され、点Cの最大応力は、式(2)と式(3)との加算で表される。
そして、巻線素子用固定金具10における前記範囲を探索するために、これら式(1)、式(2)、式(3)および式(5)の右辺を、この縦横比ζ=c/kの関係を用いることによって、これら各式の右辺を前記長さkと縦横比ζを用いて表し、前記長さkと縦横比ζを変化させ、F1とF2を同時に作用させたときの点Pの最大応力σAP (1+2)および点Cの最大応力σCA (1+2)を計算した。
図5は、材質がアルミニウム合金であって変位量aが0.2mmである場合に、ζを0〜3、kを0.02〜0.07の範囲で変化させた場合の、アルミニウム合金のヤング率で除した最大応力σAP (1+2)/E、σCA (1+2)/Eの等高線を示す図である。図6は、材質がアルミニウム合金であって変位量aが1.5mmである場合に、ζとkとを図5と同じ範囲で変化させた場合の、アルミニウム合金のヤング率で除した最大応力σAP (1+2)/E、σCA (1+2)/Eの等高線を示す図である。図7は、材質が非磁性のステンレスSUS304であって変位量aが0.75mmである場合に、ζとkとを図5,6と同じ範囲で変化させた場合の、SUS304のヤング率で除した最大応力σAP (1+2)/E、σCA (1+2)/Eの等高線を示す図である。図5(A)、図6(A)および図7は、点PでのσAP (1+2)/Eの計算結果を示し、図5(B)および図6(B)は、点CでのCA (1+2)/Eの計算結果を示す。図5ないし図7の横軸は、m単位で表すkであり、それらの縦軸は、ζである。
計算の条件は、次の通りである。これら図5ないし図7では、前記長さkは、0.02ないし0.07[m]の範囲、縦横比ζは、0ないし3の範囲とした。ここで、巻線素子用固定金具10は、巻線素子用であることから、巻線素子20の特性に影響を与えない非磁性であることが好ましい。非磁性の材料として、例えば、アルミニウムやステンレスが挙げられる。アルミニウムのヤング率Eは、70[GPa]であり、非磁性のステンレス(SUS304)のヤング率Eは、205[GPa]である。
また、変位量aは、次のように規定した。巻線素子20は、様々な温度環境で使用される一方、通電されると、一般に、コイル21が発熱し、昇温する。巻線素子20が昇温すると、巻線素子用固定金具10も昇温し、巻線素子用固定金具10は、一般に、熱膨張する。したがって、前記付勢力が生じるためには、例えば仕様によって規定される最低使用温度において、隙間の長さ(変位量)aが正値(0より大きな値)である必要がある。例えば、巻線素子20の使用温度は、例えば厳冬期の使用温度および絶縁材料の耐熱温度を考慮し、−20[℃]ないし+150[℃]の温度範囲を想定した。この使用温度範囲と、さらに、巻線素子20の寸法公差を±0.2[mm]としてこの寸法公差を考慮すると、変位量aは、0.2ないし1.5[mm]の範囲となる(0.2≦a≦1.5)。
また、力F2は、次のように規定した。巻線素子用固定金具10は、巻線素子20に応じてその寸法も大きくなることから、巻線素子20の高さおよび直径は、巻線素子用固定金具10の前記長さkおよび前記長さcと同値であるとみなして、巻線素子20の質量が求められた。この巻線素子20に作用する重力F2は、k、ζの変化により、0.1[N]ないし926.7[N]の範囲とした。そして、力F2は、巻線素子20に作用する重力(mg)だけでもよいが、本実施形態では、落下衝撃が考慮され、その落下衝撃の荷重は、重力の5倍(5G)とした。
そして、ステンレスSUS304の降伏点と、アルミニウム5052合金の耐力(弾性限)は、表1に示す通りである。
この表1には、SUS304、および、JISで規定された調質O、H32、H34、H36、H38のアルミニウム合金(5052合金)に対し、ヤング率E[GPa]、降伏点または耐力σ0.2[MPa]およびσ0.2/Eの各値が記載されている。
このような諸条件の下に計算した結果を図5ないし図7に示す。図5には、巻線素子用固定金具10が厚さ2.0[mm]のアルミニウムで形成され、変位量aが最低の0.2[mm]である場合における結果が示され、図6には、巻線素子用固定金具10が厚さ2.0[mm]のアルミニウムで形成され、変位量aが最高の1.5[mm]である場合における結果が示され、そして、図7には、巻線素子用固定金具10が厚さ2.0[mm]のSUS304で形成され、変位量aが0.75[mm]である場合における結果が示されている。なお、各図右横の凡例は、σAP (1+2)/E,σCA (1+2)/Eの等高線の値を示しており、図5および図6に示した等高線は、弾性限が最も高い、H38の調質を行ったアルミ5052合金の弾性限をアルミ合金のヤング率で除した値σ0.2/Eよりも小さい範囲のみを、図7に示した等高線はSUS304の降伏点をSUS304のヤング率で除した値σ0.2/Eよりも小さい範囲のみを示している。
巻線素子用固定金具10の寸法、形状および上述の諸条件が同じである場合では、SUS304の巻線素子用固定金具10は、力F1方向のバネ定数K1が大きくなり、巻線素子用固定金具10に生じる応力は、大きくなる。このため、図5ないし図7から分かるように、巻線素子用固定金具10が塑性変形しない条件(最大応力が降伏点または耐力σ0.2未満である条件)での前記長さkおよび縦横比ζの範囲は、SUS304では、ほとんど無く、k=0.04[m]付近およびζ=3付近に僅かに存在するだけである。したがって、巻線素子用固定金具10の形成材料は、アルミニウム(その合金を含む)が好ましい。
このため、アルミニウムについて、力F1および力F2が作用する場合における点Pと点Cに生じる最大応力σAP (1+2)、σCA (1+2)をアルミのヤング率Eで除したσAP (1+2)/E、、σCA (1+2)/Eが同時にアルミニウムの耐力σ0.2/Eよりも小さくなる前記長さkと縦横比ζとの範囲を、上述の図5および図6の結果から求めると、この前記長さkと縦横比ζとの範囲は、例えば、JIS表示でA5052−H38の場合では、図8に網掛けで示す通りである。
図8は、実施形態の巻線素子用固定金具をアルミニウム合金(A5052−H38)で形成する場合における前記長さkと縦横比ζとの範囲を示す図である。図8の横軸は、長さkであり、その縦軸は、縦横比ζである。
図8に示すように、変位量aが最小値0.2[mm]である場合には、0.02≦k≦0.07[m]の範囲において、少なくとも0.0236×k−1.07≦ζ(=c/k)≦0.0079×k−1.9を満たす必要がある。そして、変位量aが最大値1.5[mm]である場合には、0.02≦k≦0.07[m]の範囲において、少なくとも7275.4×k−592.14×k+14.612≦c/k≦0.0053×k−2を満たす必要がある。
なお、上述では、A5052−H38の結果を図8に示したが、A5000系の他の調質やA3000系も、同様に求めることができ、それぞれ、アルミニウムについて、力F1および力F2が作用する場合における点Pのσ/Eおよび点Cのσ/Eが同時にアルミニウムの耐力σ0.2/Eよりも小さくなる前記長さkと縦横比ζとの範囲が存在する。このため、A3000系やA5000系であって調質H12〜H38のアルミニウムが好ましい。
このように本実施形態の巻線素子用固定金具10における本体部10a、一対の脚部10bおよび一対の固定部10cにおいて、そのAB間の長さc、CA間およびDB間の前記長さkは、本体部10a、一対の脚部10bおよび一対の固定部10cの厚さtおよび帯幅bが予め所与であって、所定の部材30上に前記寸法aの前記隙間を無くして固定した場合に生じる付勢力および予め所与の落下衝撃荷重がそれぞれ当該巻線素子用固定金具10に作用した場合に生じる各最大応力σが当該巻線素子用固定金具10の形成材料の降伏点または該降伏点と同等の物性値を下回るように、設定されている。このため、本実施形態の巻線素子用固定金具10は、設計の範囲内で、前記付勢力や所定の落下衝撃荷重が作用しても破壊することがない。
なお、上述では、巻線素子用固定金具10は、各固定部10c−1、10c−2が各脚部10b−1、10b−2から略垂直外方向に立設する、その縦断面形状が横面視にて、_| ̄|_形状のハット型であったが、Π形状のハット型であってもよい。このような場合には、一対の固定部10c−1、10c−2の各端部間の距離が、固定すべき巻線素子20の直径よりも長くなるように、巻線素子用固定金具10は、形成される。このような場合の巻線素子用固定金具10も、上述と同様に解析することが可能である。また、図示していないが、AB区間を平坦なまま用いるか、開口部を設けて曲げ剛性を低下させることも有効である。これにより,点Pに変位aを与えた場合、すなわち力F1によりAB間に生じる応力を低下させる効果が期待できる。また、CA区間とDB区間については凸凹加工を加えてその曲げ剛性を高めることも有効である。これにより、力F2によりCAおよびDB間に生じる応力を低下させる効果を期待できる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
10 巻線素子用固定金具
10a 本体部
10b 脚部
10c 固定部
10d 第1取り付け部材用貫通孔
10e 固定部材用貫通孔
20 巻線素子
26 第2取り付け部材用貫通孔
40 取り付け部材

Claims (7)

  1. コイルと前記コイルを収納するコアとを備える巻線素子を所定の部材に固定するための巻線素子用固定金具であって、
    貫通孔を有する帯板状の本体部と、
    前記本体部の両端からそれぞれ立設された一対の脚部と、
    前記各脚部の各端部からそれぞれ立設された一対の固定部とを備えること
    を特徴とする巻線素子用固定金具。
  2. 前記本体部に前記巻線素子を取り付けて前記所定の部材上に載置した場合に、前記固定部の底面と前記所定の部材との間に、隙間が生じること
    を特徴とする請求項1に記載の巻線素子用固定金具。
  3. 前記本体部から前記一対の脚部が立設する各点をA、Bとし、前記一対の脚部のそれぞれから前記一対の固定部が立設する各点をC、Dとする場合に、AB間、CA間およびDB間の各長さは、前記本体部、前記一対の脚部および前記一対の固定部の厚さおよび帯幅が予め所与であって、前記所定の部材上に前記隙間を無くして固定した場合に生じる付勢力および予め所与の落下衝撃荷重がそれぞれ作用した場合に生じる各最大応力がその形成材料の降伏点または該降伏点と同等の物性値を下回るように、設定されていること
    を特徴とする請求項2に記載の巻線素子用固定金具。
  4. 前記本体部から前記一対の脚部が立設する各点をA、Bとし、前記一対の脚部のそれぞれから前記一対の固定部が立設する各点をC、Dとし、AB間の長さをcとし、CA間およびDB間の長さをkとする場合に、0.02≦k≦0.07[m]の範囲において、少なくとも0.0236×k−1.07≦c/k≦0.0079×k−1.9を満たすこと
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の巻線素子用固定金具。
  5. 前記本体部から前記一対の脚部が立設する各点をA、Bとし、前記一対の脚部のそれぞれから前記一対の固定部が立設する各点をC、Dとし、AB間の長さをcとし、CA間およびDB間の長さをkとする場合に、0.02≦k≦0.07[m]の範囲において、少なくとも7275.4×k−592.14×k+14.612≦c/k≦0.0053×k−2を満たすこと
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の巻線素子用固定金具。
  6. 前記本体部、前記一対の脚部および前記一対の固定部は、H12〜H38のいずれか1つの調質を実施したアルミニウム合金の帯状部材で形成されていること
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の巻線素子用固定金具。
  7. コイルと前記コイルを収納するコアとを備える巻線素子と、
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の巻線素子用固定金具とを備え、
    前記巻線素子のコアは、上面から底面まで貫通するコア貫通孔を有し、
    前記巻線素子は、前記巻線素子用固定金具の前記貫通孔および前記コア貫通孔を挿通する通しボルトによって前記巻線素子用固定金具に締結されていること
    を特徴とする固定金具付き巻線素子。
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