JP4651502B2 - クリーンルームの防振架構構造 - Google Patents
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i)振動源を嫌振機器から遠く離し、いわゆる距離減衰により振動エネルギーを吸収する手法。構造体の縁切りなどもこの手法に含まれる。
ii)振動源からの加振力が構造躯体へ伝達される前に、弾性的支持(いわゆる防振支持)により振動エネルギーを吸収する手法。
iii)嫌振機器を弾性的に支持(所謂除振支持)することにより、構造体から嫌振機器へ振動が伝搬する前にエネルギーを吸収する手法。前記除振支持には、その構造により、パッシブ型とアクティブ型などがある。
また、上記ii)の手法は、多数の振動源に対して個別に防振処理を行う必要があり、防振点数が膨大となるため、対応しきれないし、手間がかかる上にコスト高の要因になる。また、クリーンルーム内の人の歩行や、設備機器などのように防振対策ができない振動源の振動には対応できないという問題点もある。
上記iii)の手法は、周辺からの振動伝搬を低減する目的で言えば、相対的に効果は高い。しかし、クリーンルーム内には数多くの嫌振機器が存在し、全ての嫌振機器を個別に防振措置すると、コスト高となる。また、嫌振機器の一部には、設置床面のアクセレランス(単位加振力当たりの加速度応答、若しくはイナータンス。)がスペックとして規定されるものが存在し、これらの除振台ではパッシブ型、アクティブ型ともにアクセレランスを満足させることはできない。更に、クリーンルーム架構には、鉄骨系の素材を用いる場合が多いため、モード減衰が小さく、一般的な耐震構造であっても、共振振動数領域の振動増幅によりアクセレランスを満足できない場合があった。
本発明の次の目的は、クリーンルームの床の防振、除振効果を高めると共に、同クリーンルーム内に設置される嫌振機器の配置やレイアウトの変更に多様に応答可能な防振架構構造を提供することである。
クリーンルームA、Bを構成する床架構2を柱3で支持する部分Mは、振動を伝搬させない構造に縁切りすると共に、同床架構の端部を、弾性的で、且つ振動を減衰する構造の複数の支持部P〜Sにより曲げモーメントを伝達する(あるいは回転を拘束する)構造で支持させること、
前記床架構2を間柱4で支持する部分Nも、振動を伝搬させない構造に縁切りすると共に、弾性的で、且つ振動を減衰する構造で支持させていることをそれぞれ特徴とする。
床架構2の弾性的な支持は、防振ゴム5を使用した支持、又はバネ材とダンパーとの組合せによる支持、若しくは吊り構造の支持であることを特徴とする。
クリーンルームA、Bを構成する床架構2は鉄骨梁を主体に構成され、柱3は鉄骨柱であることを特徴とする。
また、図7に基盤入力時の梁中央部の振動増幅率を示したように、周辺機器から入る振動の低減化性能も、特性曲線ニを参照して明らかなように、ピークを生じない程に優れた免振効果が得られる。
前記床架構2を間柱4で支持する部分Nも、振動を伝搬させない構造に縁切りすると共に、弾性的で、且つ振動を減衰する構造で支持させる。
まず図1は、クリーンルームA、Bが設備される建物1において、クリーンルームA、Bの床架構2を柱3及び間柱4で支持する部分M、Nの配置と構成概念図を示している。そして、図2〜図5は、前記支持部分M、Nの具体的な除振支持架構の構成例を示している。
この場合、柱3からは上下2箇所にブラケット7が突き出され、防振ゴム5を主体とする支持部P、Qは、その繋ぎ材6を介してクリーンルームA、Bの床架構2の下面と接合され、また、柱3から突き出させたブラケット7とも繋ぎ材6を介して接合して支持させている。但し、上位の支持部Pは、防振ゴム5が床架構2の上側フランジを支持しているので、上下のフランジ間の安易な変形を伝達するため、床架構2の端部の上下のフランジ間に補強用のスチフナー8が組み込まれ、もって同床架構2の端部の曲げモーメントを強力に伝達する構成とされている。
また、図2〜図5の実施例は、クリーンルームを構成する床架構2及び柱3がそれぞれ鉄骨梁、鉄骨柱として示されているが、この限りではない。例えば床架構2をトラス構造或いは現場打ち又はプレキャストコンクリート造として同様に実施することができる。
先ず図6は、床架構2の中央部加振時のアクセレランスを、振動数との関連で試験した結果を示す。図7は、大スパン構造と端部除振の振動特性解析事例を示す。図6中の曲線イは許容値事例を示す。図6及び図7中の曲線ロは、従来の端部回転伝達の支持で除振なしの場合を示すものである。一般に鉄骨系の減衰が小さい素材が使用されていることが多いため、固有振動数付近に大きな増幅が認められる。
曲線ハは、床架構2の端部を、バネ性と減衰性を合せ持つ支持機構で弾性的に支持した例の振動特性で、単純に支持した場合には、端部はピン接合の除振機構として挙動する。その結果、周辺の振動伝搬に対する増幅については、高振動数領域で除振効果は高いが、固有振動数による共振振動数は低く移動する。また、弾性支持機構がもつ減衰力が効果的に伝達されず、1次固有振動数のピークは低くなるものの、従来の曲線ロに較べてかなり増幅する領域ができる。
2 床架構
3 柱
P〜S 支持部
4 間柱
M、N 支持する部分
5 防振ゴム
Claims (3)
- クリーンルームの防振架構構造において、
クリーンルームを構成する床架構を柱で支持する部分は、振動を伝搬させない構造に縁切りすると共に、同床架構の端部を、弾性的で、且つ振動を減衰する構造の複数の支持部により曲げモーメントを伝達する構造で支持させていること、
前記床架構を間柱で支持する部分も、振動を伝搬させない構造に縁切りすると共に、弾性的で、且つ振動を減衰する構造で支持させていることをそれぞれ特徴とする、クリーンルームの防振架構構造。 - 床架構の弾性的な支持は、防振ゴムを使用した支持、又はバネ材とダンパーとの組合せによる支持、若しくは吊り構造の支持であることを特徴とする、請求項1に記載したクリーンルームの防振架構構造。
- クリーンルームを構成する床架構は鉄骨梁を主体に構成され、柱は鉄骨柱であることを特徴とする、請求項1に記載したクリーンルームの防振架構構造。
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