JPH10183849A - 防音天井構造 - Google Patents

防音天井構造

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JPH10183849A
JPH10183849A JP8348369A JP34836996A JPH10183849A JP H10183849 A JPH10183849 A JP H10183849A JP 8348369 A JP8348369 A JP 8348369A JP 34836996 A JP34836996 A JP 34836996A JP H10183849 A JPH10183849 A JP H10183849A
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JP
Japan
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ceiling
vibration
sound
base material
floor
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Withdrawn
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JP8348369A
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English (en)
Inventor
Kenji Onishi
兼司 大西
Takeshi Nagata
豪 永田
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量衝撃時及び重量衝撃時のどちらに対して
も、階上から階下への振動の伝搬を抑制して床衝撃音を
低減させることができ、特に低周波数域での遮音性を向
上させる。 【解決手段】 天井基材1と、天井基材1の下部に空間
2を介して設置される天井材3とが吊り具4で互いに連
結された天井構造である。吊り具4は天井基材1に固定
される天井基材固定部4aと天井材3を支持する天井材
支持部4bとの間に防振材5が介装されて構成される。
防振材5は内部に液体が封入された弾性体より成る。防
振材5が振動減衰作用を持つことにより、階下への床衝
撃音を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、防音天井構造に
関し、詳しくは戸建住宅や集合住宅などにおいて、階上
から階下への床衝撃音を低減するための技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般的な戸建住宅や集合住宅などの天井
構造は、階上の床板に相当する部位(以下、「天井基材
1」という。)の下面の複数箇所に設置した吊り木を介
して天井材3を固定することにより、天井基材1と天井
材3との間に空間2を設けた構造となっている。その一
例を図10(a)(b)に示す。例えば戸建住宅の場合
は、図10(a)に示すように、階上の床を支持するた
めの天井基材1である梁30に吊り木31、野縁受け1
1、及び野縁10を固定した後、野縁10と天井材3と
を固定している。また、集合住宅の場合は、図10
(b)に示すように、天井基材1であるコンクリートス
ラブ32に吊りボルト33、野縁受け11、及び野縁1
0を固定した後、野縁10と天井材3とを固定してい
る。尚、このような天井構造に用いられる天井材3とし
ては、一般に、石膏ボード、合板などが用いられてい
る。
【0003】ところで、これら戸建住宅や集合住宅にお
いて、階下への床衝撃音が大きな問題となっている。つ
まり、床衝撃音の中でも、階上での飛びはねや、走り回
りに起因する重量衝撃音と、物の落下や椅子等の引きず
りなどに起因する軽量衝撃音の2種類に分類できる。い
ずれの床衝撃音に関しても、その伝搬経路としては、床
板、コンクリートスラブ、梁等の天井基材1の振動が吊
り木(或いは吊りボルト)を介して天井材3へ伝わる、
いわゆる固体伝搬経路と、天井基材1からの放射音が天
井基材1と天井材3との間の空気層を音波として伝わ
る、いわゆる空気伝搬経路が考えられる。これらいずれ
の伝搬経路に関しても、低周波域において遮音性が低
く、特に250Hz以下の周波数域における床衝撃音が
大きな問題となっている。
【0004】そこで、一般的に行なわれている階下への
床衝撃音の低減方策としては、例えば、(1)床材の構
造を変更し、天井材及び天井基材に伝搬する衝撃音を低
減させる方法、(2)天井基材を含む躯体構造を変更
し、天井基材からの放射音及び振動伝搬を低減させる方
法、或いは(3)天井材と天井基材の間の空間に多孔質
吸音材料を設置し、空気伝搬による衝撃音を低減させる
方法が挙げられる。
【0005】尚、上記(1)、(2)の方策は主に固体
伝搬経路に対する低減方策であり、また(3)の方策は
空気伝搬経路に対する低減方策である。上記(1)の方
策として、一般的に、床材裏面に緩衝材を有する防音直
貼床の設置が行なわれている。上記(2)の方策に関し
ては、階上の床構造を支持する、梁、コンクリートスラ
ブの剛性を高める方法や、或いは天井材と天井基材とを
完全に独立させ、振動の伝搬を抑制する独立天井構造等
の方法が挙げられ、主に建築物の躯体部分構造の変更に
よって、階下へ伝搬する床衝撃音の音源となる天井基材
の振動を抑制させ、その結果、床衝撃音を低減するもの
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記(1)
の防音直貼床の設置等の方策については、軽量衝撃音に
は効果があるものの、低周波数域における重量衝撃音に
対しては、その効果が小さく、また、前記(2)の躯体
部分構造の変更では床衝撃音の低減に効果があるもの
の、コスト、重量等の制限から、その効果についても限
界があった。
【0007】さらには、前記(3)の天井材と天井基材
の間の空間にグラスウールフェルト、ロックウールフェ
ルト、ウレタンといった多孔質吸音材料を設置する方法
においても、空気伝搬経路による床衝撃音の低減に効果
があるものの、固体伝搬経路による床衝撃音に対しては
充分な効果がないため、特に重量衝撃音に対しての遮音
性が得られないという問題があった。
【0008】以上のように、従来の天井構造では、床衝
撃音に関して、重量衝撃音と軽量衝撃音に対して、これ
らを同時に低減するのは困難であり、特に低周波数域に
おける階下への床衝撃音を低減する充分な効果が得られ
ていないのが現状である。本発明は、上記の点に鑑みて
なされたもので、軽量衝撃時及び重量衝撃時のどちらに
対しても、階上から階下への振動の伝搬を抑制して床衝
撃音を低減させることができ、特に低周波数域での遮音
性を向上させることができる防音天井構造を提供するこ
とを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、天井基材1と、天井基材1の下部に空間
2を介して設置される天井材3とが吊り具4で互いに連
結され、吊り具4は天井基材1に固定される天井基材固
定部4aと天井材3を支持する天井材支持部4bとの間
に防振材5が介装され、該防振材5は弾性体6内部に流
体を封入して構成されていることを特徴としており、こ
のように構成することで、天井基材1から吊り具4を介
して天井材3に振動が伝搬する際に、防振材5が振動減
衰作用を持つことにより、固体伝搬により生じる天井材
3の振動レベルを大幅に低減させることができる。
【0010】また上記天井基材固定部4aと天井材支持
部4bとの間に防振材5と並列に、バネ定数が1.0k
gf/mm以下のコイルバネ8を配設するのが好まし
く、この場合、吊り具4にかかる初期荷重をコイルバネ
8と防振材5の両方で受けることとなり、防振材5の持
つ振動減衰効果をより有効に作用させることが可能とな
り、特に低周波数域の遮音性を向上させることができ
る。
【0011】また上記天井材3は2枚以上の板材を貼着
して構成され、少なくとも天井基材1とは反対側の板材
がかさ密度が200kg/m3 〜500kg/m3 の範
囲内で、且つ曲げヤング率が1.0×108 N/m2
1.0×1010N/m2 の範囲内にある多孔質ボード3
aであるのが望ましく、この場合、多孔質ボード3aの
持つ放射音低減作用及び吸音作用によって、天井基材1
からの放射音が天井基材1と天井材3との間の空気層を
音波として伝わる空気伝搬経路による放射音についても
低減させることができる。
【0012】また、上記天井材3は、かさ密度が200
kg/m3 〜500kg/m3 の範囲内で、且つ曲げヤ
ング率が1.0×108 N/m2 〜1.0×1010N/
2の範囲内にある多孔質ボード3aで構成されている
のが好ましく、この場合、多孔質ボード3aの持つ放射
音低減作用及び吸音作用が得られると共に、天井基材1
と多孔質ボード3aとの間の空間2における吸音効果が
得られ、天井基材1からの放射音が天井基材1と天井材
3との間の空気層を音波として伝わる空気伝搬経路によ
る放射音についても低減させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の一例を
説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示してい
る。同図に示す天井構造は、戸建住宅や集合住宅などに
用いられ、図1(a)に示すように、階上の床板に相当
するコンクリートスラブや梁等の部位(以下、「天井基
材1」という。)と、この天井基材1の下部に空間2を
介して設置される天井材3とが吊り具4で互いに連結さ
れた構造を有している。天井材3は例えば石膏ボード、
合板などから成る。
【0014】吊り具4は、例えば吊りボルトから成り、
天井基材1に固定される天井基材固定部4aと、天井材
3を支持する天井材支持部4bとに分割されていると共
に、天井基材固定部4aと天井材支持部4bとの間に、
弾性体6内部に流体が封入された防振材5が介装されて
いる。この実施形態では、天井基材固定部4aの下端部
に略四角枠状の連結部4cを設け、連結部4cの内側に
弾性体6内部に流体が封入される空洞部7が設けられた
防振材5を配置すると共に、天井材支持部4bの上端部
を連結部4cの下端部を貫通して防振材5に連結してあ
り、これにより、天井基材1に衝撃が与えられて、天井
基材固定部4aから防振材5を介して天井材支持部4b
に振動が伝搬する際に、防振材5が振動減衰作用を持つ
ことによって、天井材3の振動レベルが低減されるよう
になっている。
【0015】すなわち軽量衝撃時或いは重量衝撃時にお
いて、床衝撃音の伝搬経路としては、床板、コンクリー
トスラブ、梁等の天井基材1の振動が吊り具4を介して
天井材3へ伝わる固体伝搬経路と、天井基材1からの放
射音が天井基材1と天井材3との間の空間2(空気層)
を音波として伝わる空気伝搬経路が考えられるが、本実
施形態の天井構造では、吊り具4の天井基材固定部4a
と天井材支持部4bの連結部4c間に弾性体6の内部に
流体が封入された防振材5を介装したことによって、天
井基材1に固定される天井基材固定部4aから防振材5
を介して天井材3を支持する天井材支持部4bに振動が
伝搬する際に、防振材5が振動減衰作用を持つことによ
り、固体伝搬により生じる天井材3の振動レベルを大幅
に低減させることができる。階下への床衝撃音の大きさ
は天井材3の振動レベルの大きさに影響を受けるため、
結果として、天井基材1から天井材3への振動伝搬を抑
制し、階下への床衝撃音を低減させることが可能とな
る。
【0016】ここで、防振材5の持つ振動減衰効果は、
防振材5の損失係数(tanδ)が決定され、損失係数
が大きいほど、防振材5を介して天井材3に伝搬する振
動レベルが低減することとなる。一般的に用いられる防
振ゴムの損失係数は0.1〜0.4の範囲内であるのに
対して、本実施形態で用いる防振材5は、弾性体6内部
に流体が封入された構造であるため、内部流体の粘性抵
抗により、損失係数が1.0以上と大きくなり、そのた
め、高い振動減衰効果を有することができる。
【0017】また、防振材5における弾性体6の材質に
ついて、例えば天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、
クロロプレンゴム等が挙げられるが、特にこれらに限定
されるものではない。また弾性体6内部に封入される流
体としては、例えばジメチルポリシロキサン等のシリコ
ンオイル類、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル等のポリグリコール類などが挙げられる。なお、封入
する流体の粘性係数が1.0×10-3Pa・S以下の粘
性の場合は、流体の粘性抵抗による振動減衰作用が小さ
くなり、床衝撃音の低減効果が得られなくなることか
ら、粘性係数が1.0×10-3Pa・S以上の粘性を有
する流体であることが望ましい。
【0018】また弾性体6内に流体が封入されて成る防
振材5に関して、そのサイズ、形状、及び流体の封入方
法について特に限定されないが、防振材5のバネ定数と
して、1.0kgf/mm以下であることが望ましい。
防振材5のバネ定数が上記範囲を外れると、250Hz
以下の低周波数域における振動減衰作用が小さくなり、
結果として床衝撃音の低減効果が得られなくなるからで
ある。またその際、防振材5の損失係数が1.0以上と
なるように、防振材5の構成を適宜選択、設計する必要
がある。
【0019】防振材5の他の実施形態として、図2に示
すように、天井基材に固定される天井基材固定部4aの
下部に水平に屈曲した連結部4c1 を設けると共に、天
井材3を支持する天井材支持部4bの上部に逆U字状に
屈曲した連結部4c2 を設け、連結部4c1 の上方に連
結部4c2 が位置するように両者を上下移動自在に係合
させると共に、連結部4c1 ,4c2 間に弾性体6内部
に流体が封入された防振材5を挟み込んだ構造としても
よいものである。
【0020】本発明の第2の実施形態として、図3に示
すように、天井基材固定部4aと天井材支持部4bとの
間に、防振材5と並列に、バネ定数が1.0kgf/m
m以下のコイルバネ8を配設するようにしてもよい。他
の構成は前記第1の実施形態と同様である。この実施形
態ではコイルバネ8の一端は、天井基材固定部4aの連
結部4cの上方位置で連結部4cと同方向に且つ略平行
に突出したバネ支持板の下面に連結されており、コイル
バネ8の他端は、天井材支持部4bの連結部4cの上面
に連結されており、これにより天井基材1に固定される
天井基材固定部4aに対して天井材3を支持する天井材
支持部4bがコイルバネ8によって吊り下げられた構造
となっている。コイルバネ8のバネ定数は1.0kgf
/mm以下が望ましく、防振材5の損失係数が1.0以
上となるように、防振材5の構成が適宜選択、設計され
ている。尚コイルバネ8の種類は、引張りコイルバネ、
圧縮コイルバネのいずれも使用できるものである。
【0021】ちなみに、コイルバネ8を用いずに、防振
材5のみを吊り具4に設けた場合は、天井材3の重量に
よって吊り具4にかかる初期の負荷荷重(以下、初期荷
重という)を全て防振材5で受けることになる。そのた
めに、防振材5が初期荷重により変形し、弾性体6内部
に封入した流体の粘性に起因する振動減衰効果が小さく
なる恐れがあり、また同時に、初期荷重により防振材5
による弾性体6部分のバネ定数が大きくなり、低周波数
域での振動減衰効果が損なわれる恐れがある。
【0022】そこで、本実施形態のように流体を封入し
た防振材5と並列に、コイルバネ8を吊り具4に設けた
ことによって、吊り具4にかかる初期荷重をコイルバネ
8と防振材5の両方で受けることになる。従って、コイ
ルバネ8により初期荷重による防振材5の変形を抑制す
ることができる。またコイルバネ8のバネ定数が1.0
kgf/mm以上の場合は、低周波数域での振動減衰効
果が低下し、コイルバネ8のバネ定数を1.0kgf/
mm以下とすることで、防振材5における弾性体6部分
のバネ定数の増加を抑制し、特に低周波数域での振動減
衰効果を高めることができる。これにより、防振材5の
持つ振動減衰効果をより有効に作用させることができる
ので、結果として天井基材1から天井材3への振動伝搬
を抑制し、階下への床衝撃音を低減させることが可能と
なる。
【0023】本発明の第3の実施形態を図4に示す。こ
の実施形態では、天井材3を表層材である多孔質ボード
3aと、多孔質ボード3aの裏面に貼着される天井下地
3bとで構成すると共に、多孔質ボード3aは、かさ密
度が200kg/m3 〜500kg/m3 の範囲内で、
且つ曲げヤング率が1.0×108 N/m2 〜1.0×
1010N/m2 の範囲内の板材が用いられている。ここ
で、多孔質ボード3aとして、かさ密度及び曲げヤング
率が上記物性値以外の場合には、放射音低減効果及び吸
音作用が少なく、上記物性値内のものを用いるのが好ま
しい。他の構成は図1の実施形態と同様である。また多
孔質ボード3aの種類は上記物性値の範囲内であれば特
に限定はされないが、具体的には、ロックウール繊維と
バインダーとからなるロックウール吸音板、或いはロッ
クウール、グラスウールといった無機繊維を、フェノー
ル樹脂などのバインダーで成形したボード、或いはウレ
タンボードのような発泡性樹脂ボードが挙げられる。ま
た天井下地3bとしては、特に限定されず、例えば石膏
ボード、合板などが用いられる。
【0024】しかして、天井材3を多孔質ボード3aと
天井下地3bの2層構造とし、多孔質ボード3aを天井
下地3bを挟んで天井基材1とは反対側に配置したか
ら、つまり、天井基材1から吊り具4を介して天井材3
へ伝わる振動により加振される天井材3の表面層を上記
物性値を有する多孔質ボード3aとしたから、放射音低
減効果及び吸音作用が大きくなり、従って、天井材3か
ら放射される音波のレベルが小さくなる。しかも、階下
にある室内に対して多孔質ボード3aが面しているた
め、階下室内へ伝搬した床衝撃音が多孔質ボード3aの
持つ吸音作用によって低減されるようになる。また、階
下への床衝撃音の大きさは、天井材3が振動して放射さ
れる放射音のレベル、或いは階下室内における室の吸音
作用にも影響を受けるため、天井基材1から天井材3へ
の振動伝搬を抑制する効果と、前記多孔質ボード3aの
持つ放射音低減効果及び吸音作用によって階下への床衝
撃音を低減させることが可能となる。
【0025】尚、本実施形態の吊り具4は、防振材5の
みを用いた第1の実施形態と、防振材5とコイルバネ8
とを並列に用いた第2の実施形態のいずれにも適用でき
るものであり、またいずれかの実施形態の構造に限定さ
れることもなく、要は天井基材1から天井材3への振動
伝搬を効果的に抑制する吊り具4を用いればよいもので
ある。ただし、吊り具4として、上記図3に示すよう
に、コイルバネ8と防振材5を並列に用いた方がより効
果的である。つまり、コイルバネ8を用いることによ
り、初期荷重による防振材5の変形を抑制すると共に、
防振材5における弾性体6部分のバネ定数の増加を抑制
し、その結果、防振材5の持つ振動減衰効果をより有効
に作用させることが可能となる。
【0026】本発明の第4の実施形態として、図5に示
すように、天井材3を、かさ密度が200kg/m3
500kg/m3 の範囲内で、且つ曲げヤング率が1.
0×108 N/m2 〜1.0×1010N/m2 の範囲内
にある1枚の多孔質ボード3aで構成してもよい。他の
構成は第1又は第2の実施形態と同様である。ここで天
井材3は上記物性値の範囲内であれば特に限定はされな
いが、具体的には、ロックウール繊維とバインダーから
成るロックウール吸音板、或いはロックウール、グラス
ウールといった無機繊維を、フェノール樹脂などのバイ
ンダーで成形したボード、或いはウレタンボードのよう
な発泡性樹脂ボードが挙げられる。
【0027】しかして天井材3全体が上記物性を持つ多
孔質ボード3aから成るので、多孔質ボード3aの持つ
放射音低減作用及び吸音作用によって、天井材3から放
射される音波のレベルを低減させる作用がある。さら
に、天井材3である多孔質ボード3aと天井基材1の間
に空間2(空気層)を挟んだ構造を有するため、天井基
材1からの放射音が天井基材1と天井材3との間の空気
層を音波として伝わる床衝撃音の空気伝搬経路に対し
て、多孔質ボード3aの持つ吸音作用が働き、これによ
り、天井材3を透過して階下に放射される床衝撃音が低
減される。しかも、吊り具4に設けた防振材5により、
固体伝搬経路である天井基材1から天井材3への振動伝
搬を減衰する作用に加えて、天井基材1からの放射音が
天井基材1と天井材3との間の空気層を音波として伝わ
る床衝撃音の空気伝搬経路に対する多孔質ボード3aの
持つ吸音作用が同時に働くことにより、階下への床衝撃
音を低減することができるものである。
【0028】すなわち、軽量衝撃時或いは重量衝撃時
に、天井基材1の振動が吊り具4を介して天井材3へ伝
わる固体伝搬経路と、天井基材1からの放射音が天井基
材1と天井材3との間の空気層を音波として伝わる空気
伝搬経路に対し、天井基材1と天井材3の間に振動減衰
作用の大きな防振材5が介在されているため、固体伝搬
により生じる天井材3の振動レベルを低減させる働きが
あり、さらに天井材3を構成する多孔質ボード3aの持
つ放射音低減作用及び吸音作用によって、天井基材1か
らの放射音が天井基材1と天井材3との間の空気層を音
波として伝わる空気伝搬経路による放射音を低減させる
働きがあるので、結果として天井基材1から天井材3へ
の固体伝搬経路及び空気伝搬経路における振動伝搬を抑
制でき、階下への床衝撃音を一層低減させることが可能
となる。
【0029】
【実施例】次に前記第1〜第4の各実施形態における天
井構造の床衝撃音計測実験の一例について説明する。 (実施例1)天井基材1であるコンクリートスラブに、
図1に示す吊り具4、野縁受け11及び野縁10を固定
した後、この野縁10に天井材3を取付けた。このとき
コンクリートスラブと天井材3との間隔を300mmと
し、野縁受け11及び野縁10として45mm角の角材
を用い、また天井材3として厚み9.5mmの石膏ボー
ドを用いた。
【0030】吊り具4のうち、天井基材1に固定される
天井基材固定部4aと天井材3を支持する天井材支持部
4bとの間に防振材5を介装させた。防振材5として、
ブチルゴム内部に粘性係数が1.0×10-3Pa・S以
上であるシリコンオイルを封入したものを用いた。また
防振材5は直径30mm、高さ12mmの偏平な円柱形
状とした。
【0031】(実施例2)天井基材1に固定される天井
基材固定部4aに、弾性体6内部に流体を封入した防振
材5と、図3に示すバネ定数が1.0kgf/mm以下
のコイルバネ8とが並列に作用するように設置した。防
振材5の弾性体6としてブチルゴムを用い、弾性体6内
部の流体として粘性係数が1.0×10-3Pa・S以上
であるシリコンオイルを封入したものを用い、またコイ
ルバネ8としてバネ定数が1.0kgf/mm以下の引
張りバネを用いた。他の構成は実施例1と同様である。
【0032】(実施例3)天井材3として、図4に示す
厚み9.5mmの石膏ボード(下地材3b)の下面に厚
み9mm、密度400kg/m3 、曲げヤング率1.6
×108 N/m2のロックウールボードを貼着させて天
井材3を構成した。尚天井材3以外の野縁受け11、野
縁10、及び吊り具4の構造は実施例1と同様である。
【0033】(実施例4)天井材3として厚み9mm、
密度400kg/m3 、曲げヤング率1.6×108
/m2 のロックウールボードを用いた。尚天井材3以外
の野縁受け11、野縁10、及び吊り具4の構造は実施
例1と同様である。 (比較例)従来の天井構造において、図10に示す天井
基材1(梁、コンクリートスラブ)に吊り木、野縁受け
11、及び野縁10を固定した後、野縁10を天井材3
に取付けた。天井基材1と天井材3との間隔を300m
mとし、吊り木、野縁受け11及び野縁10として45
mm角の角材を用い、また天井材3として厚み9.5m
mの石膏ボードを夫々用いた。
【0034】次に、上記実施例1〜4で示した天井構造
と比較例で示した天井構造に関して、JISA1418
に示す建築物の現場における床衝撃音レベルの測定方法
に準じて、床衝撃音の計測を行なったところ、以下の床
衝撃音計測結果が得られた。ここで天井構造として、ス
ラブ厚150mm、スラブサイズ2.5m×4.0mの
コンクリートスラブ下部に、吊り木、或いは吊り具を固
定し、野縁受け及び野縁により天井材を固定した。
【0035】実施例1〜4で得られた床衝撃音の計測結
果をグラフ化したものを図6〜図9に夫々示す。図6〜
図9中では、本発明での効果を比較するため、本発明で
の計測結果を実線a、比較例での計測結果を点線bで夫
々示している。また各図6(a)〜図9(a)は軽量衝
撃時の計測結果を示し、また各図6(b)〜図9(b)
は重量衝撃時の計測結果を示している。
【0036】
【表1】
【0037】上記表1では、比較例に示した従来の天井
構造に対する各実施例の63〜250Hzでの平均の床
衝撃音低減量を示す。上記グラフ及び表1により、実施
例1〜4における天井構造は、軽量衝撃及び重量衝撃時
に床衝撃音を低減させる効果があることが分かる。また
表1に示すように、石膏ボードを天井材3として用い、
天井基材1から吊り具4により支持された天井構造にお
いて、本発明の天井構造では、実施例1及び実施例2の
吊り具4部分に用いた防振材5の振動伝搬減衰効果によ
り重量衝撃及び重量衝撃のいずれに対しても、図6及び
図7に示すように、従来の天井構造より約1.5〜3.
55dB、床衝撃音レベルが低減していることが分か
る。
【0038】さらに、実施例3,4に示すように、天井
材3として多孔質ボード3aであるロックウールボード
を用いることにより、床衝撃音の低減作用が付与され、
従来の天井構造と比べて、図8及び図9に示すように、
軽量衝撃及び重量衝撃のいずれにおいても約5.0〜
7.0dBと大幅に床衝撃音レベルが低減していること
が分かる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1記載の発明は、天井基材と、天井基材の下部に空間
を介して設置される天井材とが吊り具で互いに連結さ
れ、吊り具は天井基材に固定される天井基材固定部と天
井材を支持する天井材支持部との間に防振材が介装さ
れ、該防振材は弾性体内部に流体を封入して構成されて
いるから、天井基材から吊り具を介して天井材に振動が
伝搬する際に、防振材が振動減衰作用を持つことによ
り、固体伝搬により生じる天井材の振動レベルを大幅に
低減させることができ、従って、軽量衝撃時及び重量衝
撃時のどちらに対しても、階上から階下への振動の伝搬
を抑制して床衝撃音を低減させることができる。
【0040】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の天井基材固定部と天井材支持部との間に防振材と並列
に、バネ定数が1.0kgf/mm以下のコイルバネを
配設したから、請求項1記載の効果に加えて、吊り具4
にかかる初期荷重をコイルバネと防振材の両方で受ける
ことができ、従って、コイルバネにより初期荷重による
防振材の変形を抑制することができ、さらにコイルバネ
のバネ定数が1.0kgf/mm以下であるために、防
振材における弾性体部分のバネ定数の増加を抑制し、低
周波数域での振動減衰効果を維持することができ、従っ
て、防振材の持つ振動減衰効果をより有効に作用させる
ことが可能となり、固体伝搬により生じる天井材の振動
レベルを大幅に低減させることができ、特に低周波数域
での遮音性の向上に有効となる。
【0041】また請求項3記載の発明は、請求項1又は
請求項2記載の天井材は2枚以上の板材を貼着して構成
され、少なくとも天井基材とは反対側の板材がかさ密度
が200kg/m3 〜500kg/m3 の範囲内で、且
つ曲げヤング率が1.0×108 N/m2 〜1.0×1
10N/m2 の範囲内にある多孔質ボードであるから、
請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、天井基材か
ら天井材への振動伝搬を抑制できる効果と同時に、多孔
質ボードの持つ放射音低減作用及び吸音作用によって、
天井基材からの放射音が天井基材と天井材との間の空気
層を音波として伝わる空気伝搬経路による放射音につい
ても低減させることができる。この結果、天井基材から
天井材への固体伝搬経路及び空気伝搬経路における振動
伝搬を抑制し、階下への床衝撃音を一層低減させること
が可能となる。
【0042】また請求項4記載の発明は、請求項1又は
請求項2記載の天井材は、かさ密度が200kg/m3
〜500kg/m3 の範囲内で、且つ曲げヤング率が
1.0×108 N/m2 〜1.0×1010N/m2 の範
囲内にある多孔質ボードで構成されているから、請求項
1又は請求項2記載の効果に加えて、天井基材から天井
材への振動伝搬を抑制できる効果と同時に、多孔質ボー
ドの持つ放射音低減作用及び吸音作用が得られると共
に、天井基材と多孔質ボードとの間の空間における吸音
効果が得られ、天井基材からの放射音が天井基材と天井
材との間の空気層を音波として伝わる空気伝搬経路によ
る放射音についても低減させることができ、この結果、
天井基材から天井材への固体伝搬経路及び空気伝搬経路
における振動伝搬を抑制し、階下への床衝撃音を一層低
減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態の断面図、
(b)は防振材の説明図である。
【図2】同上の防振材の一例を説明する断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態の断面図である。
【図6】(a)(b)は第1の実施形態の重量床衝撃音
レベルを説明するグラフである。
【図7】(a)(b)は第2の実施形態の重量床衝撃音
レベルを説明するグラフである。
【図8】(a)(b)は第3の実施形態の重量床衝撃音
レベルを説明するグラフである。
【図9】(a)(b)は第4の実施形態の重量床衝撃音
レベルを説明するグラフである。
【図10】(a)は従来の戸建住宅の天井構造の説明
図、(b)は従来の集合住宅の天井構造の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 天井基材 2 空間 3 天井材 3a 多孔質ボード 4 吊り具 4a 天井基材固定部 4b 天井材支持部 5 防振材 6 弾性体 8 コイルバネ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天井基材と、天井基材の下部に空間を介
    して設置される天井材とが吊り具で互いに連結され、吊
    り具は天井基材に固定される天井基材固定部と天井材を
    支持する天井材支持部との間に防振材が介装され、該防
    振材は弾性体内部に流体を封入して構成されていること
    を特徴とする防音天井構造。
  2. 【請求項2】 天井基材固定部と天井材支持部との間に
    防振材と並列に、バネ定数が1.0kgf/mm以下の
    コイルバネを配設したことを特徴とする請求項1記載の
    防音天井構造。
  3. 【請求項3】 天井材は2枚以上の板材を貼着して構成
    され、少なくとも天井基材とは反対側の板材がかさ密度
    が200kg/m3 〜500kg/m3 の範囲内で、且
    つ曲げヤング率が1.0×108 N/m2 〜1.0×1
    10N/m2の範囲内にある多孔質ボードであることを
    特徴とする請求項1又は請求項2記載の防音天井構造。
  4. 【請求項4】 天井材は、かさ密度が200kg/m3
    〜500kg/m3の範囲内で、且つ曲げヤング率が
    1.0×108 N/m2 〜1.0×1010N/m2 の範
    囲内にある多孔質ボードで構成されていることを特徴と
    する請求項1又は請求項2記載の防音天井構造。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007211415A (ja) * 2006-02-07 2007-08-23 Toyota Motor Corp 建物用制振構造及び建物
JP2011008196A (ja) * 2009-06-29 2011-01-13 Japan Pile Corp 超低周波音低減装置及び低減方法
KR101274568B1 (ko) * 2011-12-28 2013-06-13 주식회사 문인 천정판넬 내진 시공장치
KR101328639B1 (ko) * 2011-03-08 2013-11-14 문인수 층간 소음 저감용 방진장치
CN114108928A (zh) * 2021-12-16 2022-03-01 北京建院装饰工程设计有限公司 一种大摆度结构柱与内装衔接的变形调节构造

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