JP4649702B2 - 離型ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムを基材とする離型ポリエステルフィルムに関し、特に、セラミックコンデンサー用のグリーンシート成形に用いられる離型ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル基材フィルムに離型層を積層した離型フィルムは、粘着ラベル、粘着テープの台紙等として広く用いられている。近年、セラミックコンデンサー用のグリーンシート成形用に離型フィルムを用いることが一般化される中、コンデンサーの大容量化、小型化に伴って、グリーンシートの薄膜化が進められてきた。
【0003】
グリーンシートの薄膜化に伴い、表面粗さが大きい離型フィルムを用いた際に、グリーンシートにピンホール等の欠陥が発生したり、剥離時に破断を発生する等の問題が発生する頻度が増加してきた。
【0004】
これらの問題を解決するために、離型フィルムの離型層表面の粗さを規制した技術が提案されている。例えば、特開平11−320524号公報、特開平11−320764号公報などに記載された離型層表面は、中心線平均粗さRaが30nm以下、離型層表面の突起高さが0.05〜0.3μmの範囲で、離型層表面の突起数Y(個/mm2)と離型層表面の突起高さX(μm)が特定式(LogY≧−5X)を満足し、離型層表面の突起高さ0.4μm以上の突起数が35個/mm2以下であることが開示されている。しかしながら、上記特定式は離型層表面の突起高さが0.05〜0.3μmの範囲で、突起数が1個/mm2以上あれば満足するような関係式であり、また実施例でもこの範囲の突起数がどの程度であるかに関してなんら記載されていない。したがって、離型層表面の突起高さを0.05〜0.3μmの範囲で具体的にどの程度の個数にすればよいかは不明確であった。
【0005】
しかしながら、これらの方法で離型フィルムの表面突起に起因するグリーンシートのピンホール等の欠点を低減することができたとしても、フィルムの製造工程や離型層形成以降の加工工程でフィルムに傷が発生したり、フィルム表面が削れるなどの問題が起こりやすい場合があることがわかった。
これらのフィルムの傷や削れは、グリーンシートに欠点を発生させる原因となるため好ましくない。このような問題点を改善する方法が、前記従来技術には開示されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、グリーンシートにフィルム表面突起由来のピンホール等の欠点を発生させず、かつ製造工程や加工工程で発生する傷や削れに起因するグリーンシートの欠点の発生を低減することができる離型ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記のフィルムの傷や削れの発生原因を鋭意検討したところ、離型層の表面形態をより精密に制御することが重要であることがわかった。具体的には、本願発明の技術思想は、離型層表面が平滑で、粗大突起が少なく、かつある程度以上の突起数を離型層表面に存在させることにより、フィルムの製造工程や離型層形成時等の加工時に、離型層表面の突起の存在しない地肌部に金属ロールなどに接触した際に、真実接触面積を小さくさせるとともに、離型層表面の高い突起への応力集中を緩和させ、離型層表面への傷や削れを改善することにある。
【0008】
本願発明は、上記のような技術思想に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた離型ポリエステルフィルムとは、以下の通りである。
【0009】
即ち、本発明の第1の発明は、ポリエステル基材フィルムの少なくとも片面に離型層が設けられた離型ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル基材フィルムがポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステルで構成されており、前記ポリエステル基材フィルムに平均粒子径0.1〜2.5μmの不活性粒子を0.02〜0.8重量%含み、前記離型層表面の粗さの中心面における単位面積当たりの突起数PCC値が2000個/mm2以上であり、かつ三次元平均表面粗さSRaが0.010〜0.030μmであり、SRzが1.0μm以下であることを特徴とする離型ポリエステルフィルム(但し、離型層に粒子を含むものを除く)である。
【0010】
第2の発明は、前記ポリエステル基材フィルムの、150℃における熱収縮率が2.0%以下で、かつ200℃における熱収縮率が3.0%以上であることを特徴とする第1の発明に記載の離型ポリエステルフィルムである。
第3の発明は、前記不活性粒子は、外接円に対する面積が60%以上であり、粒子径のばらつき度が30%以下であることを特徴とする第1または2の発明に記載の離型ポリエステルフィルム。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の基材フィルムとして用いられるポリエステルは、ホモポリエステルでも共重合ポリエステルでも良い。酸成分および/またはグリコール成分にイソフタル酸、フタル酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸、マロン酸、1,1−ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、デカメチレンジカルボン酸等の酸成分やエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のグリコール成分やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールやそれらの共重合体等を共重合してもよい。また、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)等の脂肪族ポリエステルを用いることもできる。
【0015】
また、本発明の離型ポリエステルフィルムは、滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング性を改善するために、基材フィルム及び/または離型層中に無機粒子、有機塩粒子や架橋高分子粒子などの不活性粒子を含有させることが出来る。
【0016】
無機粒子としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム、ソジュウムカルシウムアルミシリケート等が挙げられる。
【0017】
有機塩粒子としては、蓚酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等が挙げられる。
【0018】
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他に、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機粒子を用いても良い。
【0019】
上記不活性粒子を基材フィルムとなるポリエステル中に含有させる方法は、特に限定されないが、(a)ポリエステル構成成分であるジオール中で不活性粒子をスラリー状に分散処理し、該不活性粒子スラリーをポリエステルの重合反応系へ添加する方法、(b)ポリエステルフィルムの溶融押出し工程でベント式二軸押出し機で、溶融ポリエステル樹脂に分散処理した不活性粒子の水スラリーを添加する方法、(c)ポリエステル樹脂と不活性粒子を溶融状態で混練する方法などが例示される。
【0020】
重合反応系に添加する方法の場合、不活性粒子のジオールスラリーを、エステル化反応またはエステル交換反応前から重縮合反応開始前の溶融粘度の低い反応系に添加することが好ましい。また、不活性粒子のジオールスラリーを調整する際には、高圧分散機、ビーズミル、超音波分散などの物理的な分散処理を行うとことが好ましい。さらに、分散処理したスラリーを安定化させるために、使用する粒子の種類に応じて適切な化学的な分散安定化処理を併用することが好ましい。
【0021】
分散安定化処理としては、例えば無機酸化物粒子や粒子表面にカルボキシル基を有する架橋高分子粒子などの場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物をスラリーに添加し、電気的な反発により粒子間の再凝集を抑制することができる。また、炭酸カルシウム粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などの場合にはトリポリ燐酸ナトリウムやトリポリ燐酸カリウムをスラリー中に添加することが好ましい。
【0022】
また、不活性粒子のジオールスラリーをポリエステルの重合反応系へ添加する際、スラリーをジオールの沸点近くまで加熱処理することも、重合反応系へ添加した際のヒートショック(スラリーと重合反応系との温度差)を小さくすることができるため、粒子の分散性の点で好ましい。
【0023】
本願発明の請求項1に記載の、粗さの中心面における突起数PCC値及び三次元平均表面粗さSRaは、フィルムの製膜条件及び不活性粒子によってコントロールすることができる。不活性粒子の種類及び含有量は、粗さの中心面における突起数PCC値、及び三次元平均表面粗さSRaが請求項1に記載の範囲内を満足すれば特に限定されるものではない。
【0024】
不活性粒子の平均粒子径は0.1μm以上2.5μm以下が好ましく、0.2μm以上1.0μm以下が特に好ましい。不活性粒子の平均粒子径が0.1μm未満では、三次元平均表面粗さSRaを0.010μm以上にすることが難しくなり、2.5μmを超えると、中心面における突起数PCC値を2000個/mm2以上で三次元平均表面粗さSRaが0.030μm以下にすること、およびSRzを1.0μm以下にすることが困難となる。
【0025】
また、ポリエステル基材フィルム中に不活性粒子を含有させる場合は、不活性粒子の含有量はポリエステルに対して0.02重量%以上0.8重量%以下が好ましく、特に好ましくは0.1重量%以上0.5重量%以下である。不活性粒子の含有量が0.02重量%未満では、中心面における突起数PCC値が2000個/mm2以上で三次元平均表面粗さSRaを0.010μm以上にすることが難しくなり、0.8重量%より大きいと三次元平均表面粗さSRaを0.030μm以下にすることが困難となる。
【0026】
また、本願発明で使用するポリエステル基材フィルムに含有させる不活性粒子は平均粒子径の異なる2種以上の粒子を併用することができる。2種以上の平均粒子径の異なる不活性粒子をフィルム中に含有させる場合、平均粒子径の大きな不活性粒子として平均粒子径の小さな不活性粒子よりもモース硬度の小さい不活性粒子を使用することが耐スクラッチ性や耐摩耗性の点から好ましい。
【0027】
平均粒径の小さな不活性粒子としては、無機酸化物粒子が好ましく、中でも平均粒子径が0.01〜0.3μmのγ、δ、θ型のアルミナ微粒子、球状単分散シリカ微粒子、乾式法シリカ微粒子、酸化チタン微粒子が特に好ましい。また、フィルム中の含有量は0.1〜0.5重量%とすることが好ましい。
【0028】
平均粒子径の大きな不活性粒子としては、カルサイト型、バテライト型の合成炭酸カルシウムや前記に記載の架橋高分子粒子などが好ましく、かつ平均粒子径は0.4〜1.0μmの範囲のものが好ましい。また、フィルム中の含有量は0.01〜0.5重量%とすることが好ましい。
【0029】
更に、不活性粒子は球形に近く、粒子径が均一なものが好ましく、具体的には不活性粒子は、外接円に対する面積が60%以上であり、且つ粒子径のばらつき度が30%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、不活性粒子は、外接円に対する面積が80%以上であり、且つ粒子径のばらつき度が25%以下である。不活性粒子の外接円に対する面積が60%未満であると、製造時や加工工程においてフィルム表面が耐摩耗性が不十分となり、削れやすくなる。また、粒子径のばらつき度が30%より大きいと、グリーンシートにフィルムの突起に起因するピンホールが発生しやすくなる。
【0030】
本発明に用い得るポリエステル基材フィルムは、公知のフィルム製膜法によって形成し得る。フィルム製膜法としては、未延伸フィルムを縦方向又は横方向に延伸する一軸延伸法やインフレーション法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法などの二軸延伸法を行い、次いで熱固定処理する方法が用い得る。例えば、逐次二軸延伸法としては、縦延伸及び横延伸または横延伸及び縦延伸を順に行う方法のほか、横−縦−縦延伸法、縦−横−縦延伸法、縦−縦−横延伸法などの延伸方法を採用することができる。また、同時二軸延伸法としては、従来の同時二軸延伸法でもよいが、リニアモーター方式により駆動される新規の同時二軸延伸法が好ましい。なお、多段階に分けて同時二軸延伸してもよい。また、熱収縮率をさらに低減するために、必要に応じて、縦弛緩処理、横弛緩処理などを施してもよい。
【0031】
熱収縮率を低減するためには、熱固定処理時の温度および時間を最適化するだけでなく、縦弛緩処理を熱固定処理の最高温度より低い温度で行うことが好ましい。
【0032】
延伸条件については、フィルム中に含有させた不活性粒子によって適宜調整し、それらの組合せによって、粗さの中心面における突起数PCC値、及び三次元平均表面粗さSRaを本願発明の請求項記載の範囲内となるようにすれば、特に限定されるものではない。
【0033】
縦方向に1段以上延伸した後に横方向に延伸する逐次二軸延伸法の場合、縦方向の延伸が終了した後の縦方向の配向(ΔNx)を0.08以下にしておくことが好ましい。ΔNxを0.08を超えると、不活性粒子の含有量に対する表面突起の形成が不十分となりやすい。
【0034】
また、本願発明で用いるポリエステル基材フィルムは、2層以上のポリエステル層からなる積層フィルムとしてもよい。グリーンシートのピンホール検査は、本発明の離型ポリエステルフィルムにグリーンシートを形成させる工程中で光を透過させて行われるため、本願発明の離型ポリエステルフィルムにはある程度の透明性が必要とされる。そのため、本願発明の離型ポリエステルフィルムに設けた離型層の表面が請求項記載の範囲を満足すれば、積層ポリエステル基材フィルムのコア層に実質的に不活性粒子を含有していないポリエステルを使用することもできる。
【0035】
本願発明の離型ポリエステルフィルムは、フィルム表面にセラミックコンデンサー用グリーンシートを形成させた後グリーンシートを剥離するために、ポリエステル基材フィルムにグリーンシート形成面となる表面に離型層を設けることが必要である。離型層としてはグリーンシートに対して離型性を有する層、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0036】
シリコーン樹脂としては、公知の離型剤を用いることができる。例えば、「シリコーン材料ハンドブック」(東レダウコーニング編、1993.8)などに記載の中から選んで使用することができる。一般的に、熱硬化または電離放射線硬化型のシリコーン樹脂が用いられる。熱硬化型シリコーン樹脂としては、例えば縮合反応型および付加反応型のもの、電離放射線硬化型シリコーン樹脂としては、紫外線もしくは電子線硬化型のもの、などいずれの反応型のものも用いることができる。
【0037】
上記縮合反応型のシリコーン樹脂としては、例えば、末端−OH基を持つポリジメチルシロキサンと末端−H基を持つポリジメチルシロキサン(ハイドロジェンシラン)を有機錫触媒(例えば、有機錫アシレート触媒)を用いて縮合反応させ、三次元架橋構造をつくるものが挙げられる。
【0038】
付加反応型のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシランを白金触媒を用いて反応させ、三次元架橋構造をつくるものが挙げられる。
【0039】
紫外線硬化型のシリコーン樹脂としては、例えば、最も基本的なタイプとして通常のシリコーンゴム架橋と同じラジカル反応を利用するもの、アクリル基を導入して光硬化させるもの、紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これによりエポキシ環を開裂させて架橋させるもの、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋させるもの等が挙げられる。電子線は紫外線よりもエネルギーが強く、紫外線硬化の場合のように開始剤を用いなくてもラジカルによる架橋反応が起こる。
【0040】
上記の硬化型シリコーン樹脂は、その重合度が50〜20万程度、特に1000〜10万程度のものが好ましく、これらの具体例としては、信越化学工業(株)製のKS−718、−774、−775、−778、−779H、−830、−835、−837、−838、−839、−841、−843、−847、−847H、X−62−2418、−2422、−2125、−2492、−2494、−5048、−470、−2366、−630、X−92−140、−128、KS−723A・B、−705F、−708A、−883、−709、−719、東芝シリコン(株)製のTPR−6701、−6702、−6703、−3704、−6705、−6721、−6722、−6700、XSR−7029、YSR−3022、YR−3286、ダウコーニング(株)製のDK−Q3−202、−203、−204、−205、−210、−240、−3003、−3057、SFXF−2560、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSD−7226、−7229、−7320、BY−24−900、−171、−312、−374、SRX−375、SYL−OFF23、SRX−244、SEX−290、アイ・シー・アイ・ジャパン(株)製のSILCOLEASE425等を挙げることができる。また、特開昭47−34447号公報、特公昭52−40918号公報等に記載のシリコーン樹脂も用いることができる。更には、これらの硬化型シリコーン樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0041】
フッ素樹脂としては、公知の離型用のものを用いることができる。この様なフッ素樹脂としては、例えばフッ素含有ビニル重合性単量体からなる重合体(オリゴマーを含む)またはその共重合体、またはフッ素含有ビニル重合性単量体とフッ素原子で置換されたアルキル基、官能基等を含まないビニル重合性単量体の少なくとも1種との共重合体、または、これらの混合物であってフッ素原子を5〜80モル%有するものが挙げられる。
【0042】
上記フッ素含有ビニル重合性単量体からなる重合体としては、これらの具体例として、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシ)エチルメタクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシ)エチルアクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシベンゾイルオキシ)エチルメタクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシベンゾイルオキシ)エチルアクリレート]、ポリ[2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート]、ポリ[2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート]、ポリ[2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート]、ポリ[2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート]、ポリ[1−メチル−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート]、ポリ[1−メチル−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルエチルメタクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルエチルアクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルビニルエーテル]、ポリ[α,β,β−トリフルオロスチレン]、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0043】
上記フッ素含有ビニル重合性単量体と共重合し得る、フッ素原子で置換されたアルキル基、官能基等を含まないビニル重合性単量体としては、炭化水素系ビニル重合性単量体、炭化水素系非共役ジビニル重合性単量体、官能基含有ビニル重合性単量体等の化合物が挙げられ、炭化水素系ビニル重合性単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸セシル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸セシル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、ヘプタン酸アリル、酢酸アリル、カプリン酸アリル、カプロン酸アリル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、イソプレン等、炭化水素系非共役ジビニル重合性単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ジブロモネオペンチルグリコールジメタクリレート等、官能基含有ビニル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチロールダイアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられ、これらの中から選択されるが、特に限定されるものではない。
【0044】
本発明における離型層の厚みは、特に限定されないが、0.05〜5.0μmの範囲が好ましい。塗膜の厚みがこの範囲より薄くなると、離型性能が低下し、満足すべき性能が得られない。逆に、塗膜の厚みがこの範囲より厚くなると、キュアリングに時間がかかり生産上好ましくない。
【0045】
本願発明の離型ポリエステルフィルムにおいて、離型層をポリエステル基材フィルム表面に設ける方法は特に限定されないが、コーティング法が好ましく用いられる。例えば、コーティング法としては、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが挙げられる。
【0046】
また、離型層の塗膜の乾燥および/または硬化(熱硬化、電離放射線硬化等)は、それぞれ個別又は同時に行うことができる。同時に行う場合には、80℃以上の温度で行うことが好ましい。乾燥および硬化の条件としては、80℃以上で10秒以上が好ましい。乾燥温度が80℃未満または硬化時間が10秒未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなるため好ましくない。
【0047】
また、離型層には、本願発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤、例えば消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化剤、染料等を含有させてもよい。
【0048】
本願発明の離型ポリエステルフィルムにグリーンシートを形成させ、これを離型フィルムから剥離する際に静電気が発生する。特に、離型層にシリコーン樹脂を用いた場合、該離型層が非常に帯電しやすく、グリーンシートを剥離する際の剥離帯電も大きいために、いったん剥離したグリーンシートが、再度シリコーン離型層に再付着するなど、製品収率が低下し、好ましくない。このため、剥離帯電を小さくする、又は、帯電減衰を早くするために、本願発明の離型ポリエステルフィルムに帯電防止層を設けることが好ましい。
【0049】
帯電防止層は、帯電防止樹脂組成物をフィルムに塗布することによって形成される。この帯電防止樹脂組成物には、帯電防止剤を含有させることが必要であり、帯電防止層の表面固有抵抗値が1×1011Ω/□以下にすることが好ましい。表面固有抵抗値が1×1011Ω/□とは、通常のほこりが付着しない程度のレベルである。
【0050】
帯電防止層の上に離型層を積層する場合、帯電防止剤により離型剤の塗布液がはじくことがあるため、帯電防止層は離型層とは反対面に設けることが好ましい。したがって、表面固有抵抗値が帯電防止層のみならず、帯電防止層とは反対面(すなわち、離型層面)にも前記表面固有抵抗値を示すよう帯電防止剤を選択することが好ましい。
【0051】
このような帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン系帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン系帯電防止剤、などの各種界面活性剤型帯電防止剤、更には上記のような帯電防止剤を高分子量化した高分子型の帯電防止剤等が挙げられる。また、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有し、電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴマー、例えば、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー、それらの第4級化合物等の重合性帯電防止剤も使用できる。これらのうち、高分子型の帯電防止剤が特に好ましい。
【0052】
帯電防止層中には、帯電防止樹脂組成物のほかに、帯電防止層の塗膜の強度、基材フィルムへの密着性、耐水性、耐溶剤性、ブロッキング性等の向上のために、バインダーとして熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂および/または熱硬化性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の高分子化合物を含有させることが好ましい。
【0053】
さらに架橋剤として、メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系等の化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネートの少なくとも1種類を含有することが特に好ましい。
【0054】
帯電防止層を基材フィルム表面に形成させる方法としては、特に限定されないが、コーティング法が好ましく用いられる。例えばコーティング法としては、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが挙げられる。
【0055】
また、帯電防止層の乾燥温度は、60〜150℃の範囲であればよく、80〜130℃の範囲が好ましい。乾燥温度が60℃未満であると、硬化時間が長くなり、生産性が低下するので好ましくない。
【0056】
本発明で用いるポリエステル基材フィルムは離型層との接着性を改良する目的で、易接着層を設けてもよい。特に好ましくは、フィルムの製膜時において最終の延伸をする工程の前に易接着層を設ける。また、ポリエステル基材フィルムと離型層との接着性を改良するために、コロナ処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理を行ってもよい。
【0057】
本発明の離型ポリエステルフィルムは、離型層表面の粗さの中心面における単位面積当たりの突起数PCC値が2000個/mm2以上であることが必要である。好ましくは、突起数PCC値が3000個/mm2以上である。PCC値が2000個/mm2未満では、フィルムの製造時および加工時に傷や削れが発生し、グリーンシートに欠点が発生するため好ましくない。また、PCC値の上限は規制されないが10000個/mm2より大きいと、表面粗さが大きくなり、グリーンシートにフィルム表面の突起に起因する欠点が発生するため好ましくない。
【0058】
また、本発明の離型ポリエステルフィルムにおいて、離型層表面の三次元平均表面粗さSRaが0.010μm以上であることが必要である。三次元平均表面粗さSRaが0.010μm未満では、フィルムの製造時および加工時に傷や削れを発生する。そのため、これらによりグリーンシートに欠点が発生するため、好ましくない。また、三次元平均表面粗さSRaが0.030μmを超えると、グリーンシートにフィルム表面の突起に起因する欠点が発生するため好ましくない。
【0059】
さらに、三次元十点表面粗さSRzが1.0μm以下であることが必要である。好ましくは、三次元十点表面粗さSRzが0.8μm以下である。三次元十点表面粗さSRzが1.0μmを超えると、グリーンシートにフィルム表面の突起に起因する欠点が発生するため好ましくない。ここで、SRzとは測定した範囲内で突起の高さが最も高いものから十点の平均粗さとして定義され、フィルム表面の突起高さが不均一であったり、粗大突起が存在するとSRzは大きくなる。
【0060】
本発明の離型ポリエステルフィルムは、離型層表面を上記の中心面における単位面積当たりの突起数PCC値および三次元表面粗さSRa、SRzを特定の範囲内とすることにより、離型層表面の傷や削れを低減することができる。さらに、ポリエステル基材フィルムの、150℃における熱収縮率が2.0%以下、好ましくは1.5%以下で、かつ200℃における熱収縮率が3.0%以上、好ましくは4.0%以上、更に好ましくは5.0%以上とすることにより、更に離型層表面の傷や削れを低減することができる。
【0061】
ポリエステル基材フィルムの200℃における熱収縮率が3.0%未満であると、製造工程中および加工工程中において、傷や削れを発生しやすくなり好ましくない。また、ポリエステル基材フィルムの150℃の熱収縮率が2.0%を超えると、加工工程における熱履歴で平面性を悪化させやすいので好ましくない。
【0062】
また、ポリエステルとしてポリ乳酸を用いる場合には、120℃の熱収縮率を5.0%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは4%以下である。120℃の熱収縮率が5.0%より大きいと、加工工程において平面性が乱れやすくなるため好ましくない。
【0063】
【実施例】
以下に実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、フィルムの評価方法は以下の通りである。
【0064】
(1)三次元表面粗さSRa、SRz
離型ポリエステルフィルムの離型層表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30mg、針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRaおよび三次元十点平均粗さSRzを求めた。SRa及びSRzの単位は、いずれもμmである。
【0065】
(2)PCC値
前記(1)記載の三次元平均表面粗さSRaの算出時における基準高さを有する基準面から0.00625μm以上の高さをもつ突起数(個)を1mm2当たりの個数で示したものである。このデータは、前記(1)記載の三次元表面粗さパラメータSRa及びSRzの測定時に、自動的にアウトプットされる。
【0066】
(3)熱収縮率
フィルムの長手方向に、幅10mm、長さ250mmのサンプルを切り出し、200mm間隔で印をつけ、5gの一定張力で間隔Aを測る。続いて、120℃、150℃、または200℃の雰囲気中のオーブンに無荷重で30分間放置した。オーブンから取り出し室温まで冷却後に、5gの一定張力で間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
【0067】
(4)ΔNx
アタゴ光学社製アッベ屈折計4Tまたは1Tを用い、フィルムの長手方向、幅方向および厚み方向の屈折率を測定し、下記式からΔNxを求めた。
ΔNx=Nx−(Ny+Nz)/2
【0068】
(5)不活性粒子の外接円に対する面積率
不活性粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−510型)で観察し、写真撮影したものを拡大コピーし、更にトレースを行ってランダムに200個の粒子を黒く塗りつぶした。このトレース像より任意に20個の粒子を選び、それぞれの粒子について投影断面積を画像解析装置(ニレコ株式会社、ルーゼックスIID)で測定した。また、各粒子に外接する円の面積を算出することにより下式を用いて面積率を求めた。
外接円に対する面積率(%)=粒子の投影断面積/粒子に外接する円の面積×100
【0069】
(6)不活性粒子の平均粒子径及び粒子径のばらつき度
不活性粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−510型)で観察し、写真撮影したものを拡大コピーし、更にトレースを行ってランダムに200個の粒子を黒く塗りつぶした。この像を画像解析装置(ニレコ株式会社、ルーゼックスIID)を用いて、水平方向のフェレ径を測定し、その平均値を下式で使用する平均粒子径とした。また、粒子径のばらつき度は下式により算出した。
ばらつき度(%)=(粒子径の標準偏差/平均粒子径)×100
平均粒子径(μm)=各粒子の水平方向におけるフェレ径の和/測定した粒子数
【0070】
(7)フィルムの加工時の傷および削れ評価
離型剤として付加反応型シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製、KS−778;固形分30重量%のトルエン溶解液)100重量部と、白金触媒(信越化学工業(株)製;PL−50T)1重量部とをトルエンに溶解して、全体の固形分が3重量%のトルエン溶液(離型層用塗布液)を調整した。この塗布液を用い、6g/m2 (塗液量ベース)の塗布量で塗布し、120℃で1分間の加熱乾燥および付加重合反応を行い、片面に離型層を形成した離型ポリエステルフィルムを得た。この離型ポリエステルフィルムを細幅にスリットしてテープ状とし、離型層面を金属製ガイドロールにこすり付けて、30m/minの速度で1000m走行させた。このガイドロール擦過後の離型ポリエステルフィルムの離型層における傷の発生量およびガイドロールの表面に発生する白紛量の多少を、それぞれ以下に示すように5段階評価し、ランク付けした。
【0071】
(イ)傷
1級;擦り傷かなり多い
2級;擦り傷多い
3級;擦り傷ややあり
4級;擦り傷ほとんどなし
5級;擦り傷発生なし
【0072】
(ロ)削れ
1級;白紛の発生非常に多い
2級;白紛に発生多い
3級;白紛の発生ややあり
4級;白紛の発生ほぼなし
5級;白紛の発生なし
【0073】
(8)グリーンシートの評価
前記(5)で作成した離型ポリエステルフィルムの離型層面に、セラミックスラリーを乾燥後の厚みで3μmになるように塗布し、120℃で1分間乾燥した。セラミックスラリーは溶剤(トルエン)、セラミック原料(富士チタン製、BaTiO3)、結合材、可塑剤などを混合し、ペースト状にした後、ボールミルにて分散し、調整した。このグリーンシートを600cm2の面積の範囲に反対面から光を当て、ピンホールの発生状況を観察し、3段階評価を行った。
1級;ピンホールが多数あり
2級;ピンホールはほとんどなし
3級;ピンホールなし
【0074】
実施例1
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4重量部およびエチレングリコールを64.6重量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017重量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064重量部、トリエチルアミンを0.16重量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.014重量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012重量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、さらにトリポリ燐酸ナトリウム水溶液を炭酸カルシウム粒子に対しナトリウム原子として0.2重量%含有させ、遠心分離処理により粗粒部を35%カットし、且つ目開き5μmの金属フィルターでろ過処理を行った平均粒子径0.80μmのカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子含有量として1.0重量部添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行い、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(A)を得た。(以後、PET(A)と略す。)
【0075】
一方、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の製造において、炭酸カルシウム粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
【0076】
PET(A)とPET(B)を真空乾燥し、表1に示した粒子含有量となるように混合比率を変えて混合した。これを290℃で溶融し、4μmの粒子が95%除去できるフィルターを用いて溶融PET混合物をろ過し、Tダイから押し出し、静電荷により表面温度が30℃のキャスティングドラムに密着させ、未延伸フィルムを得た。
【0077】
前記未延伸フィルムを90℃になるように、セラミックロールで加熱し、長手方向に3.5倍延伸した。更に、テンターで幅方向に95℃から150℃にフィルム温度を昇温しながら4.2倍延伸し、215℃に加熱して熱固定処理を行った。その後、150℃に冷却しながら幅方向に3%弛緩処理した。さらに、フィルム温度が140℃になったところで、テンターの端部でフィルムをカットしクリップから切り離し、テンター速度に対し1%遅い速度でフィルム巻き取り工程に搬送した。得られたフィルムの物性を表2に示した。
【0078】
実施例2
実施例1において、235℃で熱固定温度を行い、150℃に冷却しながら幅方向に3%弛緩処理後、フィルム温度が50℃になったところで、テンターの端部でフィルムをカットしクリップから切り離し、テンター速度と同じ速度でフィルム巻き取り工程に搬送した以外は同様に行った。得られたフィルムの物性を表2に示した。
【0079】
比較例1
実施例1において、炭酸カルシウム粒子の代わりに、表1に示したシリカ粒子を用い、ポリエステル重合後に使用するフィルターの目開きを10μmとし、更にフィルム製膜時の押出し工程で使用するフィルターを10μmの粒子が95%除去できるフィルターを用いた以外は同様に行った。得られたフィルムの物性を表2に示した。
【0080】
比較例2
実施例1において、炭酸カルシウムの含有量がポリエステルに対し0.03重量部になるように、PET(A)とPET(B)の混合比率を変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムの物性を表2に示した。
【0081】
参考例3
重量平均分子量が200,000のポリ−L−乳酸100重量部に対し、実施例1で使用したものと同様の炭酸カルシウム粒子1.0重量部を210℃で溶融混練し、炭酸カルシウム粒子を分散処理した後、目開き5μmの金属フィルターでろ過処理を行った。この炭酸カルシウム粒子含有ポリ−L−乳酸と、粒子を含有していないポリ−L−乳酸を、粒子含有量が0.25重量部になるように混合した。次いで、210℃で溶融し、4μmの粒子が95%除去できるフィルターを用い溶融ポリ−L−乳酸をろ過処理した後、Tダイから押し出し、静電荷により30℃のキャスティングドラムに密着させ、未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを70℃になるように、セラミックロールで加熱し、長手方向に3.0倍延伸した。更に、テンターで幅方向に68℃から78℃にフィルム温度を昇温しながら6.0倍延伸し、150℃に加熱して熱固定処理を行った。その後130℃に冷却しながら幅方向に3%弛緩処理した。さらに、フィルム温度が120℃になったところで、テンターの端部でフィルムをカットしクリップから切り離し、テンター速度に対し1%遅い速度でフィルム巻き取り工程に搬送した。得られたフィルムの物性を表2に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】
本発明の離型ポリエステルフィルムは、セラミックコンデンサー用のグリーンシート成形に用いられるグリーンシートにフィルム表面突起由来のピンホール等の欠点が発生せず、かつ製造工程や加工工程で発生するフィルム表面の傷や削れに起因するグリーンシートの欠点の発生を低下することができるので、特に厚みが3μmの非常に薄いグリーンシートにも好適に用いることができる。
Claims (3)
- ポリエステル基材フィルムの少なくとも片面に離型層が設けられた離型ポリエステルフィルムであって、
前記ポリエステル基材フィルムがポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステルで構成されており、
前記ポリエステル基材フィルムに平均粒子径0.1〜2.5μmの不活性粒子を0.02〜0.8重量%含み、
前記離型層表面の粗さの中心面における単位面積当たりの突起数PCC値が2000個/mm2以上であり、かつ三次元平均表面粗さSRaが0.010〜0.030μmであり、SRzが1.0μm以下であることを特徴とする離型ポリエステルフィルム(但し、離型層に粒子を含むものを除く)。 - 前記ポリエステル基材フィルムの、150℃における熱収縮率が2.0%以下で、かつ200℃における熱収縮率が3.0%以上であることを特徴とする請求項1記載の離型ポリエステルフィルム。
- 前記不活性粒子は、外接円に対する面積が60%以上であり、粒子径のばらつき度が30%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型ポリエステルフィルム。
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