JP4644894B2 - 耐水紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧板、壁紙などの建装材、トイレタリー用品や飲料、食料品などの包装材、またラベルその他の産業資材として使用される耐水紙に関するものである。詳しくは、温水や熱水にさらされる条件下においても、高い耐水性、耐温水性、耐熱水性に優れる耐水紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題が重要視され容器類ならびに包装材料の易廃棄性が必要とされ、易焼却性、リサイクル性、またはリサイクル材料使用の需要が高まっている。ボトル、トレイ形状の紙容器、および紙容器とプラスチックとの複合容器や、化粧板や壁紙などの建装材や、ラベルなどの産業資材分野においてもプラスチック使用量を大幅に低減したいわゆる紙製品や、容器分野においては廃棄時に紙とプラスチックの分別が可能な複合容器等が種々提案されている。
【0003】
しかしながら、従来の耐水紙は、例えば、紙容器として使用した場合は、とりわけ紙部材の端面から吸水し、紙基材の強度が著しく低下し、十分な強度を維持できず、耐水性を有するとは言い難いものであった。また従来の耐水紙からなる紙容器では、台所や洗面台での一時的に水や温水にさらされる程度の耐水性しか付与されておらず、浴室で常に温水にさらされる環境での使用に耐えるものではなかった。さらに食品類や飲料類においては熱水による殺菌処理や加熱調理が必要とされる容器用の耐水紙としては使用できないものであった。
【0004】
また、従来の耐水紙は、壁紙やラベルなどの建装材や産業資材においても、浴室用の内装材や、浴室で使用されるシャンプー、リンスなどのボトルに使用されるラベルでも、使用に耐えるものではなく、プラスチック材料からなる部材が使用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決することを課題として、優れた耐水物性および耐熱水物性を有することを特徴とすることにより、従来の耐水紙の常温湿潤状態での強度を大幅に向上するのみならず、熱水湿潤状態での強度向上を計り、浴室で使用される紙容器やプラスチックボトルのラベル、浴室の壁紙、さらに熱水調理/殺菌される食品の紙容器や紙ラベルに使用が可能な、耐温水性、耐熱水性に優れる耐水紙を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するものであり、請求項1の発明は、 原紙に樹脂を含浸することにより得られた耐水紙において、前記原紙の坪量が290g/m2であり、前記樹脂はイソホロンジイソシアネートのアダクト体を主成分とするイソシアネート系樹脂であり、前記樹脂の含浸量は7.5g/m2 であり、表面吸水量(コッブ吸水度)が1g/(m2*2分)以下であることを特徴とする耐水紙としたものである。
【0038】
以下本発明の実施の形態について、さらに詳細に説明する。
本発明の耐水紙に用いる繊維構造物としては、紙および含浸加工紙が使用されることが多い。紙の種類としては100%バ−ジンパルプからなるもの、100%再生故紙からなるもの、それらを任意の割合で混合したもの、NBKP材、LBKP材の使用率、木材パルプ以外のケナフ、バンブー等の植物繊維材料、又クレーコート処理された紙など、様々な種類の紙を用いることが可能である。またこれらを加工原紙として用い、湿潤時の紙力増強剤や耐水化剤、はっ水剤を含浸加工するための加工紙として使用することが可能である。これらの紙基材に抄紙段階あるいは抄紙後の二次加工として剛性、耐水性、耐熱水性を付与できる樹脂を含浸加工しても良い。ここでの繊維構造物、紙基材はパルプ等からなる繊維構造物を全て包含し、いわゆる紙の種類に限定されるものではない。
【0039】
耐水紙が紙をはじめとする繊維構造物基材に樹脂を含浸した構成の場合、含浸する樹脂として、乾燥強度および耐水性、湿潤強度を付与する場合は、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド、でんぷん等が、また、湿潤時紙力増強剤としては尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホムルアルデヒド樹脂、でんぷん、ポリアミドアミン、そのエピクロルヒドリン変性体、さらには各種ラテックス、例えば天然ゴムラテックス、SBR、NBR、ポリクロロプレン等の合成ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンもしくはこれらの共重合体の樹脂ラテックスなどが用いられる。
【0040】
また、耐熱水性まで付与する場合、含浸する樹脂としては、シラン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、イソシアネート系樹脂、などの熱硬化性樹脂の他に、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂なども要求される耐熱水温度により選択使用することが可能である。また、付加機能として高いはっ水性などが要求される場合においても、必要な耐熱水性を損なわない限り、要求機能レベルに応じて上記の樹脂材料を複合もしくは混合して使用することも可能である
【0041】
一方、耐水紙として使用する紙としては、紙の片面、あるいは紙の両面に樹脂層を有する用紙を使用することも可能であり、耐水紙にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂がラミネートされた構成のものが好ましく用いられる。
【0042】
耐水紙となる繊維構造物の基材として、抄紙工程もしくは抄紙後の二次加工の工程において含浸(内添もしくは外添)することにより、紙部材の厚み方向全体にわたり均等に前述の樹脂を配することができる。また抄紙段階で樹脂を含浸するため、本発明の複合容器として所望する紙部材の機能レベルに応じて、含浸紙の密度や厚み、内添する樹脂量など任意に決定することができる。
【0043】
これらの紙基材に抄紙段階あるいは抄紙後の二次加工として剛性、耐水性、耐熱水性を付与できる樹脂を含浸するものである。この外添による含浸方法としては、繊維構造物を含浸剤中に浸し過剰量の含浸剤を一時的に付与できるディッピング法や、好ましくは、含浸剤を一定量だけ塗工または含浸させるグラビアコーティング法やロールコーティング法などがあり、基材繊維構造物の表裏から含浸材を含浸することも可能である。
【0044】
さらに2ユニット以上あるグラビア含浸方法では、はじめに紙基材内部に含浸させる含浸材を片面もしくは両面より施し、基材内部にまで含浸材を浸透させる。その後の最後のユニットで紙基材の表面にコーティング被膜層の形成等が可能となる。そこで得られた含浸紙は、例えば含浸紙の内部全体にわたり湿潤紙力増強剤などが含浸され高い湿潤強度を有し、含浸紙表層にははっ水材等を配することにより高いはっ水効果を有することができる。すなわち紙基材に含浸材を供給できる方法であれば、使用される紙基材や含浸材の種類にもよるが、それらに応じて、いずれの方法を任意に選択することができる。さらにはこれらの加工は二次加工的に行われるため、抄紙工程に比較すると少量の加工が安価に行うことができる。
【0045】
耐水性を必要とする耐水紙は表面吸水量(コッブ吸水度)が1g/(m2*2分)以下の繊維構造物又はその成形体からなる。
【0046】
繊維構造物の表面吸水量が1g/(m2*2分)以下の耐水紙を用いることで、吸水や吸湿による繊維構造物の強度低下を抑えるものである。
【0047】
また、20℃の水の全体吸水量が、繊維構造物との重量比で30%以下の繊維構造物またはその成形体からなる。
【0048】
このように、繊維構造物の表面をはじめとする全体でのはっ水性、耐水性を有する繊維構造物の20℃の水の全体吸水量が、該繊維構造物との重量比で30%以下の耐水紙を用いることにより、吸水や吸湿による繊維構造物の強度低下を抑えることにある。
【0049】
耐水紙は、また湿潤状態での引張破断強度が60N/15mm以上の繊維構造物、またはその成形体からなる。
【0050】
このように繊維構造物の湿潤状態での引張破断強度が60N/15mm以上の耐水紙を用いることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0051】
耐水紙は、また湿潤強度の乾燥強度に対する比(wet/dry)が20%以上である繊維構造物又はその成形体からなる。
【0052】
このように繊維構造物の湿潤強度の乾燥強度に対する比(wet/dry)が20%以上とした耐水紙を用いることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0053】
耐水紙は、また湿潤状態での折り曲げ降伏強度が0.6N/40mm以上である繊維構造物またはその成形体からなる。
【0054】
このように繊維構造物の湿潤状態での折り曲げ降伏強度が0.6N/40mm以上の耐水紙を用いることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0055】
耐水紙は、また湿潤状態と乾燥状態での折り曲げ降伏強度比率(wet/dry)が15%以上である繊維構造物またはその成形体からなる。
【0056】
このように繊維構造物の折り曲げ降伏強度比率(wet/dry)が15%以上の耐水紙を用いることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0057】
耐水紙は、また湿潤状態での層間剥離強度が0.4N/10mm以上である繊維構造物またはその成形体からなる。
【0058】
このように繊維構造物の湿潤状態での層間剥離強度が0.4N/10mm以上の耐水紙を用いることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0059】
耐水紙は、また湿潤状態での寸法変化が1%以下である繊維構造物またはその成形体からなる。
【0060】
このように耐水紙として繊維構造物の湿潤状態での寸法変化が1%以下とすることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の形状を保持できる。
【0061】
耐水紙は、また湿潤状態での引張破断伸び率が10%以上である繊維構造物またはその成形体からなる。
【0062】
このように耐水紙として繊維構造物の湿潤状態での引張破断伸び率が10%以上とすることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0063】
耐水紙は、また湿潤状態でのリングクラッシュ強度が0.9N以上である繊維構造物またはその成形体からなる。
【0064】
このように耐水紙として繊維構造物の湿潤状態でのリングクラッシュ強度が0.9N以上とすることにより、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0065】
耐水紙が90℃以上の熱水の表面吸水量(コッブ吸水度)が100g/(m2*2分)以下の繊維構造物またはその成形体を用いることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、吸水や吸湿を防ぐことができる。これにより繊維構造物の強度低下を抑えることができる。
【0066】
耐水紙は、また90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での全体吸水量が、繊維構造物との重量比で80%以下である。
【0067】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での全体吸水量が、該繊維構造物との重量比で80%以下とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、吸水や吸湿を防ぐことができる。これにより繊維構造物の強度低下を抑えることができる。
【0068】
耐水紙は、また90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での引張破断強度が30N/15mm以上である。
【0069】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での引張破断強度が30N/15mm以上とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0070】
耐水紙はまた、90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での湿潤強度と乾燥強度の比(wet/dry)が10%以上である。
【0071】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での繊維構造物の湿潤強度と乾燥強度の比(wet/dry)が10%以上とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0072】
耐水紙はまた、90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での折り曲げ降伏強度が0.6N/40mm以上である。
【0073】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での繊維構造物の湿潤状態での折り曲げ降伏強度が0.6N/40mm以上とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、外装容器として使用できる。
【0074】
耐水紙は、また90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤状態と乾燥状態での折り曲げ降伏強度比率(wet/dry)が10%以上である。
【0075】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での繊維構造物の湿潤状態と乾燥状態での折り曲げ降伏強度比率(wet/dry)が10%以上とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、外装容器として使用できる。
【0076】
耐水紙は、また90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での層間剥離強度が0.2N/10mm以上である。
【0077】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での繊維構造物の湿潤状態での層間剥離強度が0.2N/10mm以上とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0078】
耐水紙はまた、90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での寸法変化が2%以下である。
【0079】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での繊維構造物の湿潤状態での寸法変化が2%以下とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける外装容器としても、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物からなる外装容器の形状を保持できる。
【0080】
耐水紙はまた、90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での引張破断伸び率が7%以上である。
【0081】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での繊維構造物の湿潤状態での引張破断伸び率が7%以上とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0082】
耐水紙はまた、90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下でのリングクラッシュ強度が0.9N以上である。
【0083】
このように耐水紙として繊維構造物の90℃以上の熱水に1時間浸漬の湿潤条件下での繊維構造物の湿潤状態でのリングクラッシュ強度が0.9N以上とすることにより、例えば、ホット充填、ボイル殺菌工程、スチームなどの加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0084】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水の表面吸水量(コッブ吸水度)が100g/(m2*2分)以下である。
【0085】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水の表面吸水量(コッブ吸水度)が100g/(m2*2分)以下とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水や吸湿を防ぐことができる。
【0086】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での全体吸水量が、該繊維構造物との重量比で100%以下である。
【0087】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での全体吸水量が、該繊維構造物との重量比で100%以下とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水や吸湿を防ぐことができる。
【0088】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での引張破断強度が30N/15mm以上である。
【0089】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での引張破断強度が30N/15mm以上とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0090】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤強度と乾燥強度の比(wet/dry)が10%以上である。
【0091】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤強度と乾燥強度の比(wet/dry)が10%以上とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0092】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤状態での折り曲げ降伏強度が0.6N/40mm以上である。
【0093】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤状態での折り曲げ降伏強度が0.6N/40mm以上とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0094】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤状態と乾燥状態での折り曲げ降伏強度比率(wet/dry)が10%以上である。
【0095】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤状態と乾燥状態での折り曲げ降伏強度比率(wet/dry)が10%以上とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0096】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での層間剥離強度が0.1N/10mm以上である。
【0097】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤状態での層間剥離強度が0.1N/10mm以上とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0098】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での寸法変化が2%以下である。
【0099】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤状態での寸法変化が2%以下とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物からなる外装容器の形状を保持できる。
【0100】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での引張破断伸び率が6%以上である。
【0101】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤状態での引張破断伸び率が6%以上とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0102】
耐水紙はまた、120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下でのリングクラッシュ強度が0.7N以上である。
【0103】
このように耐水紙として繊維構造物の120℃以上の熱水に30分間浸漬の湿潤条件下での湿潤状態でのリングクラッシュ強度が0.7N以上とすることにより、例えば、レトルト殺菌工程、加熱調理工程などにおける、吸水状態や吸湿状態においても繊維構造物の強度を保持できる。
【0104】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
<実施例1>耐水紙の原紙に坪量が290g/m2のカップ原紙を用い、これにイソホロンジイソシアネートのアダクト体を主成分とするイソシアネート系樹脂を請求項1に従い、グラビアコーティング法により含浸した。含浸量は、7.5g/m2であり原紙の坪量に対して約2.6%である。得られた耐水紙の20℃の水に対する耐水性評価における諸物性を表1に示す。
【0105】
【表1】
Figure 0004644894
【0106】
得られた耐水紙の物性は、表面吸水、端面部を含む全体吸水が小さく、湿潤状態における引張破断強度および折り曲げ降伏強度が大きく耐水性に優れる。またこの含浸紙は、吸水すろものの全体吸水を小さく抑えることができるため、破断伸度やリングクラッシュ強度が大きい。
さらにこの耐水紙に印刷を施し、容器のブランク形状に打ち抜いた。さらにこのブランクを折り曲げ加工を施し真空成形の金型の内部に装填した後、厚みが160μmのポリプロピレン製シートより内装の一次容器を真空成形にて満容量が330mlのトレー形状をした複合容器を成形した。あらかじめポリプロピレンシートの外面すなわち二次容器と接合する面には接着剤が塗布されており、一次容器を真空成形する工程にて、外装二次容器と内装一次容器が接着されて複合容器を得た。複合容器の二次容器となった耐水紙は、表1に示すように耐水性に優れるため、得られた複合容器は表面吸水、端面部を含む全体吸水が小さく抑えられ、湿潤状態での曲げ降伏強度やリングクラッシュ強度が高く維持できていることから、複合容器の座屈強度を大きく保つことができた。さらに引張破断強度、湿潤強度、破断伸度が大きいため複合容器の落下破袋高さを大きく維持することができ、洗面台や台所での使用に耐える、耐水性を有する複合容器が得られた。
【0107】
<実施例2>
実施例1で作成した耐水紙の90℃の水に対する耐水性評価における諸物性を表2に示す。耐水紙の物性は、表面吸水、端面部を含む全体吸水が小さく、湿潤状態における引張破断強度および折り曲げ降伏強度が大きく耐水性に優れる。またこの含浸紙は、吸水するものの全体吸水を小さく抑えることができるため、破断伸度やリングクラッシュ強度が大きい。
【0108】
【表2】
Figure 0004644894
【0109】
さらにこの耐水紙を用いて実施例1と同じ複合容器を成型した。複合容器の二次容器となった耐水紙は、表2に示すように耐熱水性に優れるため、得られた複合容器は表面吸水、端面部を含む全体吸水が小さく抑えられ、湿潤状態での曲げ降伏強度やリングクラッシュ強度が高く維持できていることから、複合容器の座屈強度を大きく保つことができた。さらに引張破断強度、湿潤強度、破断伸度が大きいため複合容器の落下破袋高さを大きく維持することができ、洗面台や台所での使用に耐え、さらに、食品容器としても熱水での加熱調理やボイル殺菌工程での使用に耐える複合容器が得られた。
【0110】
<実施例3>
実施例1で作成した耐水紙の120℃の水に対する耐水性評価における諸物性を表3に示す。耐水紙の物性は、表面吸水、端面部を含む全体吸水が小さく、湿潤状態における引張破断強度および折り曲げ降伏強度が大きく耐水性に優れる。またこの含浸紙は、吸水するものの全体吸水を小さく抑えることができるため、破断伸度やリングクラッシュ強度が大きい。
【0111】
【表3】
Figure 0004644894
【0112】
さらにこの耐水紙を用いて実施例1と同じ複合容器を成型した。複合容器の二次容器となった耐水紙は、表3に示すように耐熱水性に優れるため、得られた複合容器は表面吸水、端面部を含む全体吸水が小さく抑えられ、湿潤状態での曲げ降伏強度やリングクラッシュ強度が高く維持できていることから、複合容器の座屈強度を大きく保つことができた。さらに引張破断強度、湿潤強度、破断伸度が大きいため複合容器の落下破袋高さを大きく維持することができ、洗面台や台所での使用に耐え、さらに、食品容器としても熱水での加熱調理やボイル殺菌、レトルト殺菌工程での使用に耐える複合容器である。
【0113】
<比較例1>
実施例1と坪量が同じ290g/m2のエピクロルヒドリン系薬剤とロジン系薬剤が添加された市販の耐水カップ原紙の緒物性を表4に示す。得られた外装二次容器となる含浸紙の物性は、表面吸水、端面部を含む全体吸水は比較的小さいが、湿潤状態における引張破断強度および折り曲げ降伏強度が小さく耐水性に優れるとは言えない。またこの耐水紙は、吸水量は比較的小さいものの、破断伸度やリングクラッシュ強度の低下が大きい。
【0114】
【表4】
Figure 0004644894
【0115】
さらにこの耐水紙を用いて実施例1と同じ複合容器を成型した。複合容器の二次容器となった耐水紙は、表4に示すように耐水性に優れるとは言えず、得られた複合容器は表面吸水、端面部を含む全体吸水は小さく抑えられるものの、湿潤状態での曲げ降伏強度やリングクラッシュ強度が小さく、複合容器の座屈強度が小さい。さらに引張破断強度、湿潤強度、破断伸度が小さいため複合容器の落下破袋高さを大きく維持することができず、洗面台や台所での使用に耐えるものではない。
【0116】
【発明の効果】
本発明の耐水紙は以上のような作用があるから、優れた耐水物性および耐熱水物性を有し、従来の耐水紙の常温湿潤状態での強度を大幅に向上するのみならず、熱水湿潤状態での強度向上があり、浴室で使用される紙容器やプラスチックボトルのラベル、浴室の壁紙、さらに熱水調理/殺菌される食品の紙容器や紙ラベルに使用が可能な、耐温水性、耐熱水性に優れる耐水紙とすることができる。
【0117】
また本発明により、プラスチックからなる一次容器の外側が紙からなる二次容器で被覆されており、内装プラスチック容器と外装紙容器が接合されている複合容器において、外装となる紙容器に本発明の耐水紙を用い、優れた耐水物性および耐熱水物性を有することを特徴とする複合容器により、熱水による吸湿状態、湿潤状態における複合容器の強度向上を計り、ボイル殺菌処理、レトルト殺菌処理、熱水処理による調理が可能な、極めて耐熱水性に優れる複合容器を得ることが可能となった。

Claims (1)

  1. 原紙に樹脂を含浸することにより得られた耐水紙において、
    前記原紙の坪量が290g/m2であり、前記樹脂はイソホロンジイソシアネートのアダクト体を主成分とするイソシアネート系樹脂であり、前記樹脂の含浸量は7.5g/m2 であり、表面吸水量(コッブ吸水度)が1g/(m2*2分)以下であることを特徴とする耐水紙。
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