JP4182562B2 - 含浸紙の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含浸紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物の増加が大きな社会問題となっており、ひいては資源保護や省エネルギー・省資源問題とともに地球環境問題となっている中、廃棄物対策の一環として、廃棄物の減量化、リサイクル化が挙げられている。これを受けて、容器市場においてはリサイクルできる素材の利用、脱または省プラスチック製品の開発が盛んに行われている。このような背景から、紙を原料とした容器は焼却による廃棄物の減容化またはリサイクルが可能であり、この指向に極めて一致するものである。
【0003】
しかしながら、紙は本来セルロース繊維が絡み合ったものであり、吸水性を有する。これがリサイクルを促進できる要素である反面、紙の容器としての用途展開を制限するものでもあった。すなわち、吸水して形状の維持ができなくなり、強度が落ち、容器としての役割を果たせないものとなってしまうという欠点を有した。
【0004】
紙そのものの耐水性を向上させる手段として、樹脂をコーティングしてパルプ繊維間の空隙を埋める方法があるが、パルプ繊維の強化を図るものではないため、一時的な耐水性は発現しても、やがて吸水し、湿潤強度の向上は期待できない。
シリコーンオイルをスプレーする方法でも、単にシリコーンオイルが紙繊維に付着しているのみであり、容易にシリコーンオイルが流出して撥水性が経時的に低下する。また、この方法では紙表面に処理が行われているだけで紙全層にわたる耐水化は行えないので、処理後の紙を切断した端面の撥水性は充分でない。さらに、パルプ繊維間に新たな結合を生じさせているわけではないので、原紙と同等の湿潤強度しか持たない。
【0005】
上記のことを解決するために、特開昭64−6198号公報には、ケイ素アルコキシドの加水分解、縮合よりなるプレポリマー等を紙基材に含浸後、乾燥、硬化させることで紙の強度、耐火性、耐燃性等を向上させる有機−無機ハイブリッド紙が提案されている。しかしながら、この方法では湿潤強度は未だ不十分であり、また性能発現に時間がかかるために連続的に処理することは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、撥水性と湿潤強度の両方に優れた含浸紙の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
(1) シラン化合物を含有する処理液を原紙に含浸させ、その後硬化させることにより含浸紙を得る方法であって、
前記処理液は
ラン化合物として、エポキシ基を有するアルコキシシラン(1)と、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシラン(2)とを含有するか、および/または、エポキシ基と、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基とを有するアルコキシシラン(3)を含有するとともに、さらに、下記一般式(4)で示されるポリテトラアルコキシシラン(4)をも含有するものであって
前記シラン化合物の合計量に対して1/2モル以上となる含有量で水(ただし、pH4以下の酸液またはpH10以上のアルカリ液を除く。)を含ませて原紙に含浸させる、
ことを特徴とする、含浸紙の製造方法
【化2】
Figure 0004182562
(R、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基である。R10、R11は水素、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基である。nは2〜20である。)
【0009】
(2) 処理液が有機溶剤を含むものであり、シラン化合物と有機溶剤の合計量に対するシラン化合物の合計量が50重量%以下である、前記(1) 記載の含浸紙の製造方法
(3) 処理液の原紙への含浸量が原紙の坪量の0.01〜20%相当の重量範囲である、前記(1) または(2) に記載の含浸紙の製造方法
(4) 含浸紙の湿潤引張強度が、処理前の原紙の乾燥時引張強度の30%以上である、前記(1) から(3) までのいずれかに記載の含浸紙の製造方法
【0010】
【発明の実施の形態】
紙は主として紙の繊維(セルロース)間に働く水素結合によって乾燥状態での強度が保たれている。この水素結合は紙が湿潤すると切断されるため、紙は一般に湿潤強度が弱い。本発明者らは紙の湿潤強度を上げるためには湿潤時に切断されないような結合をセルロース間に形成することが必要であると考え、そのためにはセルロースとの反応性を有するエポキシ基を有するアルコキシシランを用いることが有効であることを見出した。そして、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシランを用いることで、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基に由来する高度な撥水性が発揮されることを見出した。さらに、これらアルコキシシランを紙に含浸し、加水分解・縮合の多くの部分を紙上(内)で生じさせることで性能発現に必要な熱処理時間を短縮することができ、連続的な加工も可能となることをも見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
すなわち、本発明の含浸紙は、シラン化合物を含有する処理液を原紙に含浸させ、その後硬化させることにより得られるものであり、前記処理液が、シラン化合物として、(1)エポキシ基を有するアルコキシシランと、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシランを含有するか、および/または、(2)エポキシ基と、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基とを有するアルコキシシランを含有することを特徴とする。
【0012】
エポキシ基を有するアルコキシシランとしては、一般式(1)
1 pSi(OR24-p (1)
(R1はエポキシ基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜20のアルキル基である。pは1〜3の整数である。)
で示されるアルコキシシランおよびこれらの部分加水分解縮合物を挙げることができる。具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ(エトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ(エトキシ)シランおよびこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらのアルコキシシランは単独で使用することも、また2種類以上を併用することもできる。
【0013】
アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシランとしては、一般式(2)
3 qSi(OR44-q (2)
(R3は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアルケニル基であり、R4は炭素数1〜20のアルキル基である。qは1〜3の整数である。)
で示されるアルコキシシランおよびこれらの部分加水分解縮合物を挙げることができる。具体的には、メチルトリメトキシ(エトキシ)シラン、n−プロピルトリメトキシ(エトキシ)シラン、イソプロピルトリメトキシ(エトキシ)シラン、イソブチルトリメトキシ(エトキシ)シラン、フェニルトリメトキシ(エトキシ)シラン、n−ヘキシルトリメトキシ(エトキシ)シラン、n−デシルトリメトキシ(エトキシ)シラン、ビニルトリメトキシ(エトキシ)シランおよびこれらの部分加水分解縮合物を挙げることができる。これらのアルコキシシランは単独で使用することも、また2種類以上を併用することもできる。但し、分子量の低いものは揮発性が高く危険であるので、フェニルトリメトキシ(エトキシ)シラン、n−ヘキシルトリメトキシ(エトキシ)シラン、n−デシルトリメトキシ(エトキシ)シランを用いる事が好ましい。
【0014】
エポキシ基を有するアルコキシシランとアルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシランとの使用比率は、目的とする撥水性と湿潤強度によって適宜決定することができ、エポキシ基を有するアルコキシシランの使用割合が高い場合には湿潤強度が大きくなり、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシランの使用割合が高い場合には撥水性が強くなる。
【0015】
エポキシ基と、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基とを有するアルコキシシランとしては、一般式(3)
5 r6 sSi(OR74-r-s (3)
(R5はエポキシ基を有する有機基であり、R6は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアルケニル基であり、R7は炭素数1〜20のアルキル基である。rおよびsは1または2である。)
で示されるアルコキシシランおよびこれらの部分加水分解縮合物を挙げることができる。具体的には、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランおよびこの部分加水分解縮合物を挙げることができる。これらのアルコキシシランは単独で使用することも、また2種類以上を併用することもできる。
【0016】
上記したエポキシを有するアルコキシシラン、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシラン、エポキシ基とアルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基とを有するアルコキシシランとしてはアルコキシシランの部分加水分解縮合物を用いることもできるが、縮合反応の多くを紙上(内)で生じさせることで高い撥水性と湿潤強度が得られるため、含浸前の加水分解縮合はできる限り抑制することが好ましく、これらアルコキシシランとしては重量平均分子量2000以下、さらには1000以下のものを用いることが好ましい。
【0017】
本発明では、シラン化合物として、上記したアルコキシシランに加え、一般式(4)
【0018】
【化3】
Figure 0004182562
【0019】
(R8、R9は炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基である。R10、R11は水素、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基である。nは2〜20である。)
で示されるポリテトラアルコキシシランを用いることができる。上記したアルコキシシランは一般的に低分子シラン化合物であり揮発性が高く危険であるため、ポリテトラアルコキシシランを用いることで、低分子シラン化合物の濃度を減じて安全性を高めることができるので好ましい。ポリテトラアルコキシシランは含浸紙中で主に上記したアルコキシシランと反応することで、セルロース間に結合が形成するのを補助する役割を果たすものと推定される。また、ポリテトラアルコキシシランは重量あたりの価格が上記したアルコキシシランよりも一般に安価であるため経済的にも好ましい。
【0020】
ポリテトラアルコキシシランは前記一般式(4)で示されるような直鎖状のものであることが必要である。OR8基やOR9基が加水分解縮合した三次元構造のものでは、有機溶剤に可溶ではないため紙に含浸することが不可能となるためである。そのため、テトラアルコキシシランの加水分解縮合によりポリテトラアルコキシシランを製造するときの触媒としては、加水分解よりも縮合を促進させる傾向の強い酸触媒を用いることが好ましい。アルカリ触媒では、縮合よりも加水分解を促進させる傾向が強くポリテトラアルコキシシランが三次元化しやすいので好ましくない。
【0021】
また、ポリテトラアルコキシシランは前記一般式(4)に示されるように側鎖の両方にSi−OR基を有することが必要である。ポリトリアルコキシシラン等では側鎖にSi−R基を有することとなり、含浸紙が耐アルカリ性を有するようになるため、含浸紙をアルカリ処理してリサイクルすることが困難となる。
前記一般式(4)におけるnは2〜20であり、3〜10であることが好ましい。nが2未満では揮発性が高く、安全性に問題があり、20を越えると加水分解縮合反応が生じにくくなる。
【0022】
該ポリテトラアルコキシシランを加える量としては、含浸紙の撥水性および湿潤強度が充分に得られる量であれば特に制限はないが、シラン化合物全体中の70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。
本発明で用いられる処理液は、必要に応じて、有機溶媒と水と触媒とを含む。
【0023】
有機溶媒は、主に紙に対する含浸量の調整の為に用いられる。シラン化合物と有機溶剤の合計量に対するシラン化合物の量は、含浸手法により異なるため一概に規定できるものではないが、一般に50重量%以下となる量で用いることが好ましく、30重量%以下がより好ましい。特に連続加工を行う場合には処理時間と熱量の制限があるため、20重量%以下とすることがより好ましい。シラン化合物の濃度が前記範囲を上回ると、目的とする撥水性および湿潤強度を得るための処理時間が長くなり、連続加工に適さなくなる。
【0024】
用いる有機溶媒としては前述のアルコキシシランを溶解し、水を溶解するものであれば特に制限はなく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類を用いることができる。特に、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンが含浸後の溶媒の乾燥速度が適当であるので好ましい。
【0025】
水は、アルコキシシランの加水分解と縮合反応を生じさせる為に加えられる。加える水の量は特に制限はないが、十分な硬化速度を得る為にはシラン化合物の合計量に対して1/2モル以上、好ましくは2倍モル以上加えるのが良い。
触媒は、含浸後の乾燥工程において十分な硬化速度を得るために用いられる。触媒としては酸、有機金属化合物等を用いることができる。酸としては硫酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等を挙げることができる。また、有機金属化合物としてはアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビスエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物や、ジブチルすずラウレート等の有機すず化合物を挙げることができる。
【0026】
本発明で用いられる処理液は、シラン化合物を含有する第一液と、水を含有する第二液とを使用直前に混合して調製することが好ましい。すなわち、シラン化合物を有機溶媒を用いて含浸時に使用する濃度に希釈した第一液を予め調製しておき、使用直前に水を含有する第二液と混合することが好ましい。これは、縮合反応が生じて新たなSi-O-Si結合が生じる時に撥水性を発現するアルキル基またはアリール基が空気界面に対して配向し、またセルロース繊維を取り込んで3次元架橋化して湿潤強度を発現するので、縮合反応の多くの部分を紙上(内)で生じさせるのが有利であるが、シラン化合物濃度が高い状態で水を添加すると加水分解縮合反応の進行及びエポキシ基の開裂が含浸液調整時にかなり進行するため、紙上(内)で生じる縮合反応の割合が低くなり、また有効なエポキシ基が減少するためである。
【0027】
このような処理液を原紙に含浸させ、その後硬化することで本発明の含浸紙を得ることができる。
処理液の含浸量としては固形分量換算で紙の坪量の0.01〜20%相当であることが好ましい。0.01%未満であっても性能は発現するが、樹脂コーティング品等の従来品の物性差が顕著ではない。20%を含浸すれば、その湿潤強度は乾燥原紙の強度と変わらない値となるため、これより多い含浸は意味をなさない。なお、本発明において処理液の含浸量とは、処理前の紙と処理後の紙を恒温恒湿環境(23±2℃、50±5%RH)に1日放置した後の重量差から求められるものであり、処理液中の処理薬剤が硬化した後の重量で表わされるものである。
【0028】
処理液の紙への含浸方法は特に限定されるものではなく、目的とする耐水化のレベルに応じて紙の一部または全部に処理液を含浸すればよい。紙の片面にのみ処理液を含浸した場合、処理面に強固な耐水性が付与されるため、水が一方のみからかかるような用途に適した耐水紙を提供することができる。紙のいずれの端面にも耐水性を付与するのであれば、全層に処理液が含浸処理された状態で硬化反応(加水分解縮合反応)を行うことが好ましく、このときより湿潤強度の強い紙を得ることができる。
【0029】
含浸処理の後の硬化反応において、含浸紙の耐水性は確実強固なものとなる。硬化反応の条件として最も重要なのは熱量である。加える熱量は加熱温度と時間の双方に依存する。容易に耐水性を得るためには110℃以上雰囲気中での加熱、望ましくは130℃雰囲気中で5分程度の加熱が好ましい。160℃以上雰囲気中の加熱では乾燥時間にかかわらず基材である紙自身の劣化を促進させる場合がある。
【0030】
このように処理して得られる含浸紙の湿潤引張強度は、処理前の原紙の乾燥時引張強度の30%以上、好ましくは50%以上のものとなる。原紙の湿潤引張強度が、乾燥時引張強度の10〜20%程度であることと比較すれば、含浸紙の湿潤引張強度が大きく向上しているものである。
本発明の含浸紙の用途としては特に限定されるものではないが、氷中、水中、高温多湿下、または温度変化が激しい環境で使用される際にその特徴を発揮しうる。具体的には、スーパーで使用されている生鮮食品向けのスチロールのトレイ代替えや、電子レンジ加熱される弁当容器、魚介類を運搬する際の容器としての利用が考えられ、現行のプラスチックに代わりうることが期待される。
【0031】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下の実施例において、耐水性、引張強度の評価は次にようにして行った。
[耐水性の評価]
得られた含浸紙をイオン交換水に1時間浸漬した後、吸収した水の重量を測定し、吸水前の含浸紙の重量に対する比率を吸水率として評価した。
[引張強度の評価]
試験を温度23±2℃、湿度50±5%RHで行った他は、JIS P 8113およびJIS P 8135に従って測定した。引張速度は30mm/分とした。水への浸漬時間は実施例4では30分、その他の実施例、比較例では1時間とした。
[含浸液の含浸量]
実施例4については、同一面積の含浸処理紙(未乾燥品)と未処理紙を105℃の乾燥器中で十分乾燥して絶乾状態にした後の、両者の重量差から、処理液中の処理薬剤が硬化した後の重量を求め、これを含浸液の含浸量とした。
【0032】
その他の実施例、比較例については、処理前の紙と処理後の紙を恒温恒湿環境(23±2℃、50±5%RH)に1日放置した後の重量差から、処理液中の処理薬剤が硬化した後の重量を求め、これを含浸液の含浸量とした。
<実施例1>
プラスチック製容器に、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM403)15g、n−デシルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製AY43-210MC)15g、ポリテトラメトキシシラン(三菱化学株式会社製MKCシリケートMS56)10g、イソプロピルアルコール360gを仕込み、常温にてマグネティックスターラーを用いて攪拌した。次に、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を20g加え15分間攪拌した。次に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート(川研ファインケミカル株式会社製アルミキレートD)を4g加えて攪拌し含浸液を調製した。
【0033】
得られた含浸液を縦長の容器に移し、板紙(宇都宮製紙製クラフト原紙・坪量280g/m)を4cm×25cmに切り出した物を15秒間浸漬し、取り出した後、150℃に設定した熱風乾燥機で所定時間(1分、2分、30分、60分)熱処理する事により含浸紙を得た。
参考例1
プラスチック製容器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM403)20g、n−デシルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製AY43-210MC)20g、イソプロピルアルコール360 gを仕込み、常温にてマグネティックスターラーを用いて撹拌した。次に、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を20g加え15分間撹拌した。次に、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート(川研ファインケミカル株式会社製アルミキレートD)を4 g加えて撹拌し含浸液を調製した。
【0034】
得られた含浸液を用いて実施例1と同様にして板紙に浸漬し、取り出した後、150℃に設定した熱風乾燥機で所定時間(1分、2分、30分、60分)熱処理する事により含浸紙を得た。
含浸紙を作製した。
<実施例
プラスチック製容器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM403)15g、n−デシルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製AY43-210MC)15g、ポリテトラメトキシシラン(三菱化学株式会社製MKC リケートMS56)10g、イソプロピルアルコール40gを仕込み、常温にてマグネティックスターラーを用いて撹拌した。次に、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を20g加え15分間撹拌した。その後、イソプロピルアルコールを320 g加えて撹拌し、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート(川研ファインケミカル株式会社製アルミキレートD)を4 g加えて撹拌し含浸液を調製した。
【0035】
得られた含浸液を用いて実施例1と同様にして板紙に浸漬し、取り出した後、風乾あるいは150℃に設定した熱風乾燥機で所定時間(1分、2分、30分、60分)熱処理する事により含浸紙を得た。
<比較例1>
プラスチック製容器に、ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製SH200)40gとメチルエチルケトン360gを仕込み、常温にてマグネティックスターラーを用いて攪拌した。次に、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を20g加え15分間攪拌した。次に、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート(川研ファインケミカル株式会社製アルミキレートD)を4g加えて攪拌し含浸液を調製した。
【0036】
得られた含浸液を用いて実施例1と同様にして板紙に浸漬し、取り出した後、150℃に設定した熱風乾燥機で所定時間(1分、2分、30分)熱処理する事により含浸紙を得た。
<比較例2>
プラスチック製容器にn−デシルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製AY43-210MC)40g、イソプロピルアルコール360gを仕込み、常温にてマグネティックスターラーを用いて攪拌した。次に、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を20g加え15分間攪拌した。次に、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート(川研ファインケミカル株式会社製アルミキレートD)を4g加えて攪拌し含浸液を調製した。
【0037】
得られた含浸液を用いて実施例1と同様にして板紙に浸漬し、取り出した後、150℃に設定した熱風乾燥機で所定時間(1分、2分、30分)熱処理する事により含浸紙を得た。
以下の表1に実施例、比較例、および参考例1の処理液組成についてまとめた。表2は、実施例、比較例、および参考例1で作製した含浸紙について、原紙の坪量に対する硬化後の薬剤の含浸量(%)、湿潤紙力、撥水性の評価結果をまとめたものである。含浸処理をしていない紙であっても熱風乾燥により若干撥水性と湿潤紙力が向上するため、参考例として原紙を熱風乾燥したものについても同様の性能の評価を行った。なお、含浸量が乾燥時間によって異なるのは、乾燥により加水分解縮合反応が進行する等して重量の変化が伴うためである。
【0038】
【表1】
Figure 0004182562
【0039】
【表2】
Figure 0004182562
【0040】
実施例1では、シラン化合物としてアルキル基を有するアルコキシシランと、エポキシ基を有するアルコキシシランと、さらにポリテトラアルコキシシランを用いたものである。得られた含浸紙は湿潤強度、撥水性ともに優れたものであり、性能発現までに必要な乾燥時間も短い。
参考例1では、シラン化合物としてアルキル基を有するアルコキシシランと、エポキシ基を有するアルコキシシランとを用いているが、ポリテトラアルコキシシランは用いていない。得られた含浸紙は湿潤強度、撥水性ともに優れたものであり、性能発現までに必要な乾燥時間も短い。
【0041】
実施例では、実施例1と同様、シラン化合物としてアルキル基を有するアルコキシシランと、エポキシ基を有するアルコキシシランと、さらにポリテトラアルコキシシランを用いたものであるが、含浸液調整時において水を加える時点でのシラン化合物濃度が高い。そのため、乾燥時間が短いときには撥水性や湿潤強度の向上は見られず、性能発現までに必要な乾燥時間は長い。その上、乾燥時間を長くしても実施例1の含浸紙ほどの性能は出ない。
【0042】
比較例1では、シラン化合物としてシリコーンオイルを用いたものである。撥水性は向上しているが、湿潤強度はほとんど改善していない。
比較例2では、シラン化合物としてアルキル基を有するアルコキシシランのみを用いたものである。撥水性は向上しているが、湿潤強度はほとんど改善していない。
<実施例
実施例の含浸液を用いて、含浸量と乾燥時間を変えて含浸紙を作製した。このとき原紙は坪量400g/mの高崎製紙製クラフト紙を使用した。実施例の含浸液を、紙の全層により多く含浸し、取り出した後、3つに切り分け、それぞれ乾燥温度110℃、130℃、150℃で5分間乾燥して含浸紙を作製した。含浸液の含浸量は紙の坪量の18%であった。それぞれの含浸紙について湿潤強度を測定したところ、乾燥温度110℃のものは原紙の乾燥引張強度の32%、130℃のものは72%、150℃のものは98%であった。
【0043】
処理紙の湿潤強度は乾燥温度により変化し、加熱量、塗工量とも充分であれば、湿潤時にも乾燥原紙に劣らぬ強度を発現できることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によると、撥水性と湿潤強度の両方に優れた含浸紙を、短い処理時間で得ることができる。

Claims (4)

  1. シラン化合物を含有する処理液を原紙に含浸させ、その後硬化させることにより含浸紙を得る方法であって、
    前記処理液は
    ラン化合物として、エポキシ基を有するアルコキシシラン(1)と、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基を有するアルコキシシラン(2)とを含有するか、および/または、エポキシ基と、アルキル基、アリール基およびアルケニル基から選ばれる少なくとも一種の基とを有するアルコキシシラン(3)を含有するとともに、さらに、下記一般式(4)で示されるポリテトラアルコキシシラン(4)をも含有するものであって
    前記シラン化合物の合計量に対して1/2モル以上となる含有量で水(ただし、pH4以下の酸液またはpH10以上のアルカリ液を除く。)を含ませて原紙に含浸させる、
    ことを特徴とする、含浸紙の製造方法
    Figure 0004182562
    (R、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基である。R10、R11は水素、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基である。nは2〜20である。)
  2. 処理液が有機溶剤を含むものであり、シラン化合物と有機溶剤の合計量に対するシラン化合物の合計量が50重量%以下である、請求項1に記載の含浸紙の製造方法
  3. 処理液の原紙への含浸量が原紙の坪量の0.01〜20%相当の重量範囲である、請求項1または2に記載の含浸紙の製造方法
  4. 含浸紙の湿潤引張強度が、処理前の原紙の乾燥時引張強度の30%以上である、請求項1から3までのいずれかに記載の含浸紙の製造方法
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