JP2010059663A - 撥水性屋根葺き用材 - Google Patents

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JP2010059663A JP2008225456A JP2008225456A JP2010059663A JP 2010059663 A JP2010059663 A JP 2010059663A JP 2008225456 A JP2008225456 A JP 2008225456A JP 2008225456 A JP2008225456 A JP 2008225456A JP 2010059663 A JP2010059663 A JP 2010059663A
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芳人 大澤
Mitsuhiro Takarada
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Abstract

【課題】有機錫化合物を用いることのないシリコーンエマルジョン組成物による1度の処理で得られる、撥水性、吸水防止性、及び防腐性、防虫性、耐候性に優れ、その防腐・防虫薬剤の溶脱防止性等に優れた撥水性屋根葺き用材を提供する。
【解決手段】(A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物:0.5〜20質量部、(C)エポキシ基含有オルガノキシシラン及び/又はその部分加水分解物:0〜20質量部、(D)コロイダルシリカ及び/又はポリシルセスキオキサン:0〜50質量部を含む成分が水中に乳化分散されたシリコーンエマルジョン組成物を屋根葺き用材にスプレー又は浸漬し、乾燥してなる撥水性屋根葺き用材。
【選択図】なし

Description

本発明は、萱、唐檜等の屋根葺き用材の表面及び/又は内部で、錫などの硬化触媒不存在下、シリコーンエマルジョン組成物が架橋することによる、撥水性、吸水防止性、耐候性、防腐性に優れた撥水性屋根葺き用材に関し、更に、シリコーンエマルジョン組成物にホウ素系化合物などの防虫剤を添加混合した場合は、1度の塗布あるいは含浸処理で、虫に食われることがなく、雨水による防虫剤の溶脱も少ない、防腐・防虫性に優れた撥水性屋根葺き用材に関する。
神社、仏閣、合掌造り、文化財などの屋根材や建築材として萱葺き処方や唐檜葺きが多々採用されている。しかし、長期的な風雨、積雪で撥水性が失われ、苔藻の発生、腐食や雨漏りなどの不具合により、10年から15年で葺き替え工事がなされている。しかし、昨今の職人不足や高所作業の危険性、工賃の高騰、材料確保の困難性等の理由により、廃棄あるいは無機材料での屋根材化に成りつつある。これら萱や唐檜屋根材の耐水性、耐汚染性、耐腐朽性等の諸性質を改良する目的で、様々な高分子化合物や低分子化合物、薬剤、無機物質等の処理剤を塗布又は含浸させることが行われている。
このうち、塗料や樹脂の改質剤として撥水性、耐汚染性に実績のあるシリコーンを応用しようとする試みが数多くなされている。例えば、特開昭56−4408号公報(特許文献1)には、比較的高粘度のシリコーンジオール100質量部に0.1〜50質量部の架橋剤を加えたものを、木材の表面に塗布し、硬化させる方法が開示されている。しかし、この方法は、木材表面の木質感が損なわれる上、木材が現実に様々な用途に使用される過程で、表面の塗膜に少しでも傷がつくと、木質内部を保護する効果は消失してしまうという塗料に共通した欠点を有している。また、例えば内部に難燃剤や防白蟻剤などに使用されるリン酸やホウ酸などの無機塩を注入した木材に上記処理を行っても、雨水などにより簡単にその無機塩が溶脱してしまうという欠点があった。
これに対して、特開昭63−265601号公報(特許文献2)には、珪素アルコキシドを用いたゾル−ゲル法を木材に応用し、木材の細胞壁内部でシリコーンポリマーを生成させる改質木材の製造方法が開示されている。この方法では、木材中にシリコーンポリマーを生成させることができるので、表面の木質感が損なわれない上、木材表面に傷がついても効果が持続するという長所があるが、モノマーの反応性が低いため、塩酸や有機金属化合物等の触媒によって硬化促進させるという方法を採らざるを得ないもので、製造に手間やコストがかかり、触媒によって木材自体が劣化してしまうという問題点があった。
シリコーン以外のものとしては、木材の干割れ防止処理剤として、SBRラテックスを木材表面に塗布する方法が、特開昭54−110234号公報(特許文献3)に記載されているが、経時安定性が悪く、ラテックス皮膜が屋外暴露の際、劣化を起こし、薬剤の溶脱防止効果が得られない。
また、木材ひび割れ防止塗料として、SBRラテックスもしくはNBRラテックスとポリアルキレンオキサイド基を有する化合物とを含む塗料を、木材表面に塗布する方法が特開昭60−255866号公報(特許文献4)に記載されているが、ポリアルキレンオキサイド基を有する化合物は親水性化合物であり、長年風雨にさらされるとやはり溶脱し、良好な効果が得られない。
低揮発性オリゴマーと水とのエマルジョンによる木材処理剤が、特開昭55−118044号公報(特許文献5)に、また、水溶性改質剤及びエマルジョンによる木材処理剤が、特開平5−69412号公報(特許文献6)に記載されているが、低揮発性オリゴマー、水溶性改質剤は、いずれも親水性化合物であり、経時で溶脱して十分な効果が得られない。
更には、木材内部に含浸してから硬化し、薬剤の溶脱を防止し、木の収縮を抑制する水溶性充填硬化剤からなる木材加工剤が、特開平4−307204号公報(特許文献7)に記載されているが、水溶性充填硬化剤がユリヤ/ホルマリン等の揮発性原料であるため作業環境に考慮を払う必要があり、また水溶性のために溶脱防止効果も不十分である。
最近、出願人は特開2007−161746号公報(特許文献8)で、オルガノハイドロジェンポリシロキサンエマルジョンを木材に処理して、撥水・防腐・防蟻性付与できることを提案したが、これは脱水素縮合による架橋方式を採用しているため、安全上での問題が有り、萱葺き屋根には不適である。
加えて、上記文献による木材の保護加工剤には、一般的な硬化触媒として有機錫化合物を用いて耐久性を付与していて、昨今の環境問題を鑑みるに、例え微量といえども有機錫化合物の雨水による環境溶出は由々しきもので、使用は控えるべきである。
特開昭56−4408号公報 特開昭63−265601号公報 特開昭54−110234号公報 特開昭60−255866号公報 特開昭55−118044号公報 特開平5−69412号公報 特開平4−307204号公報 特開2007−161746号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、有機錫化合物を用いることのないシリコーンエマルジョン組成物による1度の処理で得られる、撥水性、吸水防止性、防腐性、防虫性、及び耐候性に優れ、その防腐・防虫薬剤の溶脱防止性等に優れた撥水性屋根葺き用材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物、好ましくは更に(C)エポキシ基含有オルガノキシシラン及び/又はその部分加水分解物、(D)コロイダルシリカ及び/又はポリシルセスキオキサンを含む架橋してゴム質の皮膜を形成するシリコーンエマルジョン組成物、必要により更に(E)防虫剤、好ましくはホウ素系化合物を該組成物の固形分100質量部に対して0.1〜300質量部添加混合したシリコーンエマルジョン組成物を、萱、唐檜等の屋根葺き用材に塗布あるいは含浸処理することで、該萱、唐檜等の屋根葺き用材に撥水性、吸水防止性、更に防腐性及び防虫性を付与できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記撥水性屋根葺き用材を提供する。
〔請求項1〕
(A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物:0.5〜20質量部、
(C)エポキシ基含有オルガノキシシラン及び/又はその部分加水分解物:0〜20質量部、
(D)コロイダルシリカ及び/又はポリシルセスキオキサン:0〜50質量部
を含む成分が水中に乳化分散されたシリコーンエマルジョン組成物で屋根葺き用材を処理し、乾燥してなる撥水性屋根葺き用材。
〔請求項2〕
シリコーンエマルジョン組成物が、更に(E)防虫剤をシリコーンエマルジョン組成物の固形分100質量部に対し、0.1〜300質量部の割合で添加混合してなるものであることを特徴とする請求項1記載の撥水性屋根葺き用材。
〔請求項3〕
屋根葺き用材が、萱材、葦、唐檜又は樹木皮である請求項1又は2記載の撥水性屋根葺き用材。
本発明によれば、特定のシリコーンエマルジョン組成物を萱、唐檜等の屋根葺き用材に処理することにより、1度の処理で、該屋根葺き用材に良好な撥水性、吸水防止性、防腐性、防虫性を付与でき、また、使用した防腐・防虫剤の水による溶脱防止効果にも優れたものとなる。
本発明の撥水性屋根葺き用材は、萱、唐檜等の屋根葺き用材が下記成分を含有してなるシリコーンエマルジョン組成物により処理されたものである。
(A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、
(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物、
好ましくは更に
(C)エポキシ基含有オルガノキシシラン及び/又はその部分加水分解物、
(D)コロイダルシリカ及び/又はポリシルセスキオキサン、
(E)防虫剤。
上記シリコーンエマルジョン組成物において、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するものであり、下記一般式で示されるものが好ましい。
Figure 2010059663
[ここで、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、Xは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基又はヒドロキシル基、YはX又は−[O−Si(X)2c−Xで示される同一又は異種の基で、X及びY中の少なくとも2個はヒドロキシル基である。aは0〜1,000の正数、bは100〜10,000の正数、cは1〜1,000の正数である。]
ここで、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、トリル、ナフチル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基である。Xは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基又はヒドロキシル基であり、具体的には、ヒドロキシル基以外に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、トリル、ナフチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、テトラデシルオキシ基などが挙げられる。YはX又は−[O−Si(X)2c−Xで示される同一又は異種の基であり、aは1,000より大きくなると得られる皮膜の強度が不十分なものとなるので、0〜1,000の正数、好ましくは0〜200の正数とされ、bは100未満では皮膜の柔軟性が乏しいものとなり、10,000より大きいとその引裂き強度が低下するので、100〜10,000の正数、好ましくは1,000〜5,000の正数とされ、cは1〜1,000の正数とされる。また、架橋性の面から1分子中に少なくとも2個以上のヒドロキシル基を有する必要がある。なお、ヒドロキシル基は、少なくとも分子鎖末端に存在していることが好ましい。
このようなオルガノポリシロキサンの具体例としては、下記のものなどが挙げられる。
Figure 2010059663
(上記式中、a,b,cは上記の通りであるが、aは1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を2個以上含有するように選定される。)
このようなオルガノポリシロキサンは、公知の方法によって合成することができる。例えば、金属水酸化物のような触媒存在下にオクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンとα,ω−ジヒドロキシシロキサンオリゴマー等を平衡化反応させることにより得られる。また、この(A)成分はエマルジョンの形態で使用されることが好ましいので、このものは公知の乳化重合法でエマルジョンとすればよく、従ってこれは予め環状シロキサンあるいはα,ω−ジヒドロキシシロキサンオリゴマー、α,ω−ジアルコキシシロキサンオリゴマー、アルコキシシラン等をアニオン系界面活性剤あるいはカチオン系界面活性剤を用いて水中に乳化分散させた後、必要に応じて酸、アルカリ性物質等の触媒を添加して重合反応を行うことにより容易に合成することができる。
ここで、上記アニオン系界面活性剤あるいはカチオン系界面活性剤としては、特に制限はないが、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルアミン塩酸塩、アルキルアミン酢酸塩などが例示される。この使用量としては、シロキサン量の0.1〜20質量%程度である。
また、酸、アルカリ性物質等の触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、ギ酸、乳酸、トリフロロ酢酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアなどが例示され、これらは触媒量とすることができる。なお、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルリン酸などの酸性物質を使用する場合には、触媒を用いる必要はない。
(B)成分であるアミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物は、シリコーン皮膜と基材である屋根葺き用材との密着性を向上させるための成分であり、アミノ基含有アルコキシシランとジカルボン酸無水物とを反応させたものであることが好ましい。
ここで、原料であるアミノ基含有アルコキシシランは、下記一般式:
A(R)3Si
[式中、Rは前記と同じであり、少なくとも1つはアルコキシ基である。Aは式−R1(NHR1hNHR2(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜6のメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基などの2価炭化水素基、R2はR又は水素原子、hは0〜6の整数である)で表されるアミノ含有基である。]
で表されるものを用いることができ、具体的には下記のものが挙げられる。
(C25O)3SiC36NH2、 (C25O)2(CH3)SiC36NH2
(CH3O)3SiC36NH2、 (CH3O)2(CH3)SiC36NH2
(CH3O)3SiC36NHC24NH2
(CH3O)2(CH3)SiC36NHC24NH2
上記アミノ基含有アルコキシシランと反応させるためのジカルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物等を挙げることができる。これらの中でもマレイン酸無水物が好ましい。
アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応は、アミノ基/酸無水物(モル比)が0.5〜2、特に0.8〜1.5となるような上記両者の配合比により、必要に応じて親水性有機溶剤中で室温あるいは加温下に混合することで容易に実施することができる。この時の親水性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどが例示される。また、親水性有機溶剤の使用量としては、反応生成物量の0〜100質量%程度である。なお、反応温度は0〜100℃、特に5〜80℃が好ましく、反応時間は通常0.5〜40時間、特に1〜24時間である。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜20質量部であり、0.5質量部より少ない場合には屋根葺き用材との密着性効果が弱くなり、20質量部より多い場合には皮膜が硬くて脆いものとなる。より好ましくは1〜10質量部である。
なお、上述したように、親水性有機溶剤を用いてアミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応を行った場合、(B)成分は上記反応液をそのまま用いても良いし、溶剤を除いてから用いても良い。
(C)成分であるエポキシ基含有オルガノキシシラン及び/又はその部分加水分解物は、シリコーン皮膜と基材との密着性を向上させるための成分であり、エポキシ基含有オルガノキシシランとして、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシランなどが挙げられる。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0〜20質量部であり、20質量部より多い場合には皮膜が硬くて脆いものとなる。好ましくは0〜10質量部である。配合する場合は1質量部以上であることが好ましい。
(D)成分であるコロイダルシリカ及び/又はポリシルセスキオキサンは、皮膜補強剤として添加するものであり、具体的には、コロイダルシリカ、トリメトキシメチルシランの加水分解縮合物であるポリメチルシルセスキオキサン等が挙げられる。
コロイダルシリカとしては、市販のものを使用することも可能で、その種類に制限はないが、例えば平均粒径が5〜50nmで、ナトリウム、アンモニウム、アルミニウムなどで安定化したものでよく、具体的には、スノーテックス(日産化学工業社製)、ルドックス(グレース社製)、シリカドール(日本化学工業社製)、アデライトAT(ADEKA社製)、カタロイドS(触媒化成工業社製)などの市販品が挙げられる。
ポリメチルシルセスキオキサンとしては、界面活性剤水溶液に縮合触媒として硫酸などの酸、又は水酸化カリウム等のアルカリ化合物を添加し、更にトリメトキシメチルシランを滴下、撹拌することにより得られたポリメチルシルセスキオキサンを含有した乳化物を用いることができる。この際、ポリシルセスキオキサンの架橋度を調整するためにアルコキシトリアルキルシラン、ジアルコキシジアルキルシラン、テトラアルコキシシランなどを添加することは差し支えない。また、ポリシルセスキオキサンの反応性を高めるためにビニルシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、メタクリルシランなどを添加することも差し支えない。
また、上記(D)成分の平均粒子径は2〜200nm、特に5〜100nmが好適である。本発明において、平均粒子径は、BET法により測定した値である。
なお、(D)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して0〜50質量部であり、50質量部より多い場合にはシリコーン皮膜が硬くて脆いものとなる。好ましくは0〜30質量部であり、配合する場合10質量部以上とすることが好ましい。
更に、シリコーンエマルジョン組成物には、防腐・防虫効果を高める目的で、(E)成分として防虫剤を混合添加することもできる。(E)成分である防虫剤は、萱や唐檜等の屋根葺き用材に防腐性、防虫性を付与する成分であり、代表的な防虫剤としてはホウ素系化合物、リン系化合物、カルバネート系化合物、ピレステノイド系化合物、ネオニコチノイド系化合物、トリアゾール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、ネライストキシン系化合物、柑橘系果物から抽出された抽出油などが例示されるが、特にホウ素系化合物が好適である。ホウ素系化合物としては、ホウ酸、硼砂、Tim−borと呼ばれるU.S.Borax社のホウ酸塩化合物(Na2813・4H2O)、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル等のホウ酸トリアルキルなどが挙げられるが、特に硼砂、Tim−borなどのホウ酸塩が好ましい。
(E)防虫剤の配合量は、上記シリコーンエマルジョン組成物の固形分(即ち、(A)〜(D)成分の総固形分量)100質量部に対し、0.1〜300質量部、好ましくは100〜300質量部である。(E)成分が0.1質量部未満であると防腐性、防虫性が弱くなる場合がある。またこの量が300質量部を超える量ではエマルジョンの安定性が悪くなる場合がある。
本発明において、(E)成分の混合方法は、(E)成分を水に溶解させた水溶液の形で、シリコーンエマルジョン組成物に添加混合するのが好ましい。この場合、(E)成分を溶解させる水量としては、(E)成分濃度が10質量%以上となるような水量とすることが好ましい。
また、本シリコーンエマルジョン組成物は室温で縮合反応して架橋するが、冬季時乾燥性を速める目的で、本シリコーンエマルジョン組成物に硬化触媒を添加することも可能である。素早く架橋硬化させるために、具体的には、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、酢酸亜鉛、オクチル酸鉄、アルミニウムトリアセチルアセトナート、チタンキレート等の有機酸金属塩、n−ヘキシルアミン、グアニジン等のアミン化合物などを挙げることができる。
なお、これらの硬化触媒は、水溶性である場合を除き、予め界面活性剤を用いて水中に乳化分散したエマルジョンの形態にしておくことが望ましい。
この硬化触媒の配合量は、(A)成分100質量部に対して0〜10質量部であり、10質量部を超えると不揮発分として皮膜中に残存する触媒成分が皮膜特性を阻害する場合がある。好ましい範囲は0〜5質量部であり、冬季時配合する場合0.5質量部以上とすることが好ましい。なお、冬期以外で配合する場合は0.1質量部以上配合することが好ましい。
本シリコーンエマルジョン組成物のコーティング皮膜の特性を更に向上させるために、本発明を逸脱しない範囲でシランカップリング剤やシリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリコーン樹脂パウダー等を添加配合することは任意である。シランカップリング剤としては、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、シアノ基等を含有する各種のものが挙げられる。シリコーン樹脂としては、トリアルキルシロキシポリシリケートなどが挙げられ、シリコーンオイルとしては、α,ω−ジヒドロキシアルキルポリシロキサン、アルキルポリシロキサンなど、シリコーン樹脂パウダーとしては、シリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダーなどが挙げられる。
また、本シリコーンエマルジョン組成物に、各種の増粘剤、顔料、染料、浸透剤、帯電防止剤、消泡剤、難燃剤、抗菌剤、防腐剤、撥水剤などを適宜配合することは任意である。
本発明の撥水性屋根葺き用材は、上記シリコーンエマルジョン組成物で、基材である屋根葺き用材を処理することにより得られる。該屋根葺き用材としては、萱材、葦、唐檜、樹木皮等が好適である。上記処理により得られるシリコーンエマルジョン皮膜は、吸水防止性に優れ、ゴム質であるため基材への追随性が良好であるので、クラックなども起こりづらく、屋根葺き時の加工条件に十分耐え、ゴム弾性を有しているのでボリューム感や復元性も得られる。かつ、雨水などの水による防腐・防虫剤の溶脱防止効果にも優れている。
また、本シリコーンエマルジョン組成物を塗工する方法については特に制限はなく、刷毛塗り、ロールコート、スプレー塗布などの表面処理や浸漬処理、減圧・加圧注入処理等の公知の方法により行うことができる。中でもスプレー処理、浸漬処理が好ましい。その後、常温で乾燥させることにより硬化皮膜が形成される。
なお、処理量は、基材に対して純分換算で0.01〜10質量%であることが好ましい。0.01質量%未満では撥水性に乏しい場合があり、10質量%より多くても効果は変わらないことから不経済である。より好ましくは0.05〜5質量%である。
以下、製造例、実施例及び使用例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部及び%はそれぞれ質量部と質量%を示し、粘度は回転粘度計により測定した値を示す。
[製造例1]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、トリエトキシフェニルシラン2g、10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液50g及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液50gを2リットルポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2リットルガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.4%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにして(A)成分を44.4%含有するエマルジョン「A−1」を得た。
[製造例2]
オクタメチルシクロテトラシロキサン500g、10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液50g及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液50gを2リットルポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2リットルガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.5%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンはHO−[(CH32SiO]n−Hで示され、粘度1,000Pa・s以上の生ゴム状のものであった。このようにして(A)成分を44.5%含有するエマルジョン「A−2」を得た。
[製造例3]
マレイン酸無水物154gをエタノール500gに溶解した後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン346gを室温下、1時間で滴下し、更に80℃でエタノール還流下、24時間反応を行い、淡黄色透明な(B)成分を50%含有する溶液「B−1」を得た。この溶液は、105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.1%であり、溶液中の反応生成物は、IR、GC、NMR、GCMS等の機器分析を行ったところ、約60%が下記式で示されるものの混合物であり、残りの約40%がそれらから誘導されたオリゴマーであった。
(C25O)3SiC36−NHCO−CH=CHCOOH、
(C25O)3SiC36NH3 + -OCOCH=CHCOOC25
[製造例4]
U.S.Borax社のTim−borと呼ばれるホウ酸塩化合物(Na2813・4H2O)を15g、イオン交換水85gを混合溶解させ、(E)成分のホウ酸塩化合物の15%の水溶液を得た。
[実施例1〜5]
表1に示す純分配合組成で、(C)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン「C−1」、(D)成分としてコロイダルシリカ(日産化学工業社製スノーテックスC:有効成分20%)「D−1」を用いて各種シリコーンエマルジョン1〜4を得た。
Figure 2010059663
表1で得られたシリコーンエマルジョンに、表2に示す有姿配合組成で(E)成分を添加混合し、有効成分5%に水希釈したシリコーンエマルジョン組成物を収容した浸漬槽に萱を3分間浸漬後、引き上げて約25℃で1週間養生し、該組成物の硬化皮膜の付着量が0.5質量%の萱を得た。その萱をSWOM(スガ試験機株式会社製)にて1,000時間暴露後の、外観及び撥水性を調べた。撥水性はスポイトで水を垂らし、濡れ具合を見た。外観及び撥水性は、下記の基準により評価した。結果を表3に示す。
外観評価 ○:外観変化なし、 △:黄変あり、 ×:黄変大
撥水性評価 ○:濡れなし、 △:濡れ少しあり、 ×:濡れ大
[比較例1]
温度計、撹拌装置、還流冷却器及び滴下ロートを備えた反応容器に反応型乳化剤(アデカリアソープSE−10N、ADEKA社製)2.0gと水342.1gを加え、温度を75℃に昇温した。一方、水244.5gに、反応型乳化剤(アデカリアソープSE−10N)2.0gを加えて溶解し、これにアクリル酸2−エチルヘキシル230g、スチレン230g、グリシジルメタクリレート19g及びメタクリル酸12.5gの不飽和モノマー混合物を添加撹拌し、よく乳化してからこれを滴下ロートに入れた。次に、このモノマー混合物の5%を反応容器に移し、重合開始剤として0.5gの過硫酸カリウムを加えて80℃に昇温してから10分保持した後、残りのモノマー混合物の乳化物と3%の過硫酸カリウム水溶液50.0gとを3時間かけて反応容器に均一滴下した。滴下終了後、80℃で1時間熟成反応を行った後、室温に冷却し、アンモニア水3.5gを加えて中和し、固形分濃度が45%のエマルジョン5を得た。このエマルジョンを有効成分5%に水希釈し、実施例と同様にして、萱に処理し、評価した。結果を表3に示す。
Figure 2010059663
Figure 2010059663

Claims (3)

  1. (A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物:0.5〜20質量部、
    (C)エポキシ基含有オルガノキシシラン及び/又はその部分加水分解物:0〜20質量部、
    (D)コロイダルシリカ及び/又はポリシルセスキオキサン:0〜50質量部
    を含む成分が水中に乳化分散されたシリコーンエマルジョン組成物で屋根葺き用材を処理し、乾燥してなる撥水性屋根葺き用材。
  2. シリコーンエマルジョン組成物が、更に(E)防虫剤をシリコーンエマルジョン組成物の固形分100質量部に対し、0.1〜300質量部の割合で添加混合してなるものであることを特徴とする請求項1記載の撥水性屋根葺き用材。
  3. 屋根葺き用材が、萱材、葦、唐檜又は樹木皮である請求項1又は2記載の撥水性屋根葺き用材。
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