JP3564793B2 - 改質木材類および木材類の改質処理剤 - Google Patents

改質木材類および木材類の改質処理剤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、木材類、即ち、木、竹、籐等からなる材料に、塗布または含浸させることによって木質感を損なうことなく、木質内部から木材の諸性質、特に吸水防止、寸法安定性および汚れ防止を改良した改質木材類およびそれに用いる木材類の改質処理剤(以下「木材処理剤」と称する。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築材や工芸品等の材料として広く用いられている木材類の耐水性、寸法安定性、耐汚染性、耐火性、耐腐朽性、耐ひび割れ性および耐摩耗性等の諸性質を改良する目的で、木材類に様々な高分子化合物や低分子化合物、薬剤、無機物質等の処理剤を塗布または含浸させることが行われている。
【0003】
このうち、塗料や樹脂の改質剤として溌水性、耐汚染性および耐熱性等に実績のあるシリコ−ンを木材に応用しようとする試みが、数多くなされている。例えば、特開昭56−4408号には、比較的高粘度のシリコーンジオール100重量部に0.1〜50重量部の架橋剤を加えたものを、木材の表面に塗布し硬化させる方法が開示されている。しかし、この方法は、木材表面の木質感が損なわれる上、木材内部への含浸性は考慮されていないため、木材が現実に様々な用途に使用される過程で、表面の塗膜に少しでも傷がつくと、木質内部を保護する効果は消失してしまうという塗料に共通した欠点を有していた。
【0004】
これに対して、特開昭63−265601には、珪素アルコキシドを用いたゾル−ゲル法を木材に応用し、木材の細胞壁内部でシリコーンポリマーを生成させる改質木材の製造方法が開示されている。この方法では、木材中にシリコーンポリマーを生成させることが出来るので、表面の木質感が損なわれない上、木材表面に傷がついても効果が持続するという長所があるが、モノマーの反応性が低いため、塩酸や有機金属化合物等の触媒によって硬化促進させるという方法を採らざるを得ないもので、製造に手間やコストがかかり、触媒によって木材自体が劣化してしまうという問題点があった。
【0005】
また、この触媒反応によって生成するシリコーンポリマーは、木材の細胞内腔を充填する形で生成するため、吸水防止にはある程度効果が出ても、寸法安定性を向上させる効果は弱かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる現状に鑑み、耐水性、寸法安定性、耐汚染性、難燃性、耐腐朽性および耐摩耗性等に優れた改質木材類を、安価で簡便な方法で提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の問題を解決すベく鋭意検討した結果、下記A成分と下記B成分とからなる混合物、又は下記A成分と下記B成分との反応生成物を、木材類に塗布または含浸させることにより、木材類に耐水性、耐ひび割れ性、耐汚染性、難燃性、寸法安定性、耐腐朽性、耐摩耗性等の優れた改質効果を付与出来る事を見出し、本発明を完成するに至った。
A成分:下記式(1)で表されるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物。
Hn Si(OR)4-n ・・・(1)
〔ただし、Rは炭素数1〜4のアルキル基で、1分子中の複数のRは同じでも異なっていてもよい。nは1または2。〕
B成分:下記式(2)または(3)で表されるシリコーンポリオール。
【式5】
Figure 0003564793
【式6】
Figure 0003564793
【0008】
本発明におけるアルコキシシランは前記式(1)で表されるものである。
ここで、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり具体的には、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。Rは1分子中には2または3個あるが、これらは同じでも違う種類でもよいが、製造が容易なことから同じ種類の方が好ましい。Rの炭素数の少ないものほど加水分解反応が起き易いため、木材類と反応させたときに加水分解・縮合反応が早く進み、t−ブチルのように嵩高い場合は、加水分解反応が起き難く、木材類と反応させる時に時間がかかる反面、例えば木材処理剤を水系エマルジョン化したときの安定性が高まるという傾向がある。反応が早く、反応副成物が無害なエタノ−ルであるという点から、Rとして特に好ましいのはエチル基である。
【0009】
また、nとしては、n=2の場合は、部分加水分解縮合反応を起こす前のモノマーは化学的に不安定であり工業的に取扱いが難しいことから、n=1のアルコキシシラン、すなわちトリアルコキシシランが好ましい。
【0010】
本発明のアルコキシシランは、適当な条件で水に混合攪拌することで、容易に部分加水分解縮合反応物を得ることができる。
該部分加水分解縮合反応物は、単独のアルコキシシランを用いても2種以上を用いても構わない。部分加水分解縮合反応物の重合鎖は、分岐状でも直線状でも良く、そのどちらでも本発明に使用することができる。
【0011】
なお、本発明で用いられるアルコキシシランやシリコーンポリオールは、いずれも工業的に安価に製造することができる。また前述のとおりアルコキシシランから適当な条件で、容易に部分加水分解縮合反応物を得ることが出来るので、本発明の木材処理剤は工業的に容易に安価で得られるものである。
【0012】
部分加水分解縮合反応物の平均重合度は、2量体から100量体までが好ましい。重合度が高くなるほど該反応物の燃焼性が小さくなり、木材類中での硬化も早くなるが、あまり大きくなると粘度が高くなる等の理由で木材類への含浸性が悪くなる傾向がある。そこで木材類への含浸性が要求される場合は、2量体から10量体が好ましく用いられ、更に好ましくは2量体から5量体である。含浸性よりも乾燥時間の短縮や作業の安全性を重視する場合は、10量体から100量体が好ましく用いられる。
【0013】
次に、シリコーンポリオールについて説明する。
本発明で用いられるシリコーンポリオールに含まれる2個以上のOH基は、寸法安定性をもたらすゴム弾性機構を発現する作用を有する。OH基が2個の場合のシリコーンポリオールは、前記式(2)で表される。
一方、OH基が3個の場合は、前記式(3)で表される。
【0014】
OH基の数は、あまり多くなるとシリコーン鎖が木材類に固定されすぎて柔軟性が無くなり、かえって寸法安定性が下がるので2または3個に限定され、製造が容易な点で2個の場合、すなわち前記式(2)で表されるシリコーンジオールが特に好ましい。
【0015】
R’の具体例としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、フェニル基等の炭化水素基や、フルオロメチル、クロロメチル基等のハロゲン置換炭化水素基が挙げられる。R’は同じ分子内で1種であっても異種のR’が同時に含まれてもよいが、製造が容易な点から同じ種類の方が好ましい。R’としては容易に製造できることからメチル基が特に好ましいが、耐候性を上げるために一部をフェニル基や、フルオロメチル基に代えたものを用いることもできる。
【0016】
シリコーンポリオールの重合度(前記式(2)におけるmまたは前記式(3)におけるx+y+z)は、小さすぎると寸法安定性をもたらすゴム弾性機構が発現し難く、大きすぎると溶剤に溶け難くなるため、5〜100の間とし、中でも10〜60の場合は、該アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物に該シリコーンポリオールが溶解し易く無溶剤で使用することができるため特に好ましい。
【0017】
アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオールをそれぞれ別々に、または混合物として、あるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物として、無溶剤で木材類の処理に使うことができるほか、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサンまたはトルエン等の有機系溶媒と任意の割合で混合して使用することもできる。また、適当な乳化剤やpH調整剤等を用いることによって水系溶媒とも安定なエマルジョンを形成するので、水系の木材処理剤とすることも可能である。
【0018】
アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオールとは適当な条件で混合させることで反応生成物を得ることができ、副成するアルコールの量または減少したアルコキシシランの量等をガスクログラフィーで分析することにより反応の進行を確認することができる。反応が遅い場合は、加熱等の手段を採用することができる。
【0019】
本発明では、アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物とシリコーンポリオールの2種類の薬剤で木材類を処理するが、2種類の薬剤は、順次使用しても良く、同時に使用しても良く、予め2種類の薬剤を反応させてその反応生成物を使用しても良い。2種類を同時に使用する方法は、手間がかからないという意味で好ましいが、2種類の薬剤が反応し難い組み合わせの場合には、2種類の薬剤を反応させて得られる生成物を使用する方が好ましい。
【0020】
2種類の薬剤の濃度は、アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物100重量部に対して、シリコーンポリオールが1〜20重量部になるように設定すると、改質木材類の耐水性、耐汚染性、耐火性、耐腐朽性、寸法安定性、耐摩耗性および耐ひび割れ性等の諸性質がバランスよく現れるので好ましい。両方の反応生成物を製造する場合も、アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物とシリコーンポリオールの好ましい配合割合は、上記と同様前者100重量部に対して、後者1〜20重量部である。シリコーンポリオールが多すぎると、逆に耐水性や耐ひび割れ性が低下し易くなる。
【0021】
2種類の薬剤の他に溶剤を併用する場合は、一般的には2種類の薬剤の濃度の和が1〜100重量%になることが好ましく、さらに好ましくは10〜100重量%である。この時の2種類の薬剤の濃度比は、やはり実際に木材に含浸される2種類の薬剤がアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物100重量部に対してシリコーンポリオールが1〜20重量部になるように設定することが好ましい。2種類の薬剤を順次使用する場合も同様にして溶剤希釈して用いることができる。
【0022】
本発明の改質木材類の製造方法または木材処理剤においては、必要に応じて染料、顔料、防黴剤、抗菌剤またはフィラー等を配合することができる。
本発明により諸性質の改良が可能な木材類としては、広葉樹、針葉樹その他各種の多岐に亘る樹材、あるいは竹、籐等からなる材料を対象とすることができる。また木質チップ、ファイバーまたは紙等の木質を原料とする製品にも応用することができる。
また、樹脂含浸等の化学処理木材にも充分使用可能であり、他の化学処理の前処理として使用することもできる。
【0023】
本発明の改質木材類は、木材類にアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオールをそれぞれ別々に、または混合物として、あるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物を、塗布または含浸させて得られる。木材類に含浸させる方法としては、常温常圧で木材類に浸すだけでもよいが、減圧含浸、加圧含浸、木材に対する公知の薬液注入法等の他に、気相による処理剤蒸気で含浸させてもよい。塗布する場合は木材類の表面にスプレー、コーター、刷毛塗り等公知の方法を用いることが出来る。アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物は、木材類への浸透性が極めて高く、いずれの方法をとっても木質内部へ容易に浸透させることができる。
【0024】
木材類に塗布または含浸させた場合、少ない量で大きな効果が得られるのが本発明の特徴であるが、実際の木材類の比重は樹種、部位、乾燥度等によって大きく変化するため、好ましい塗布または含浸量を特定することは難しい。しかし、大体処理前の木材類の重量に対する処理後の木材類の重量増加率が0.1%以上になるとき、明かな木材類の改質効果が表れる。そして1から40%の比較的少ない重量増加率でも、高レベルの改質効果が得られる。当該方法で使用する薬剤は木材に対する含浸性がよいので、さらに40%から150%以上の重量増加率を得る事は容易であり、この時木材の改質効果は徐々に最高レベルまで上昇する。すなわち、この木材類の処理剤は、木材類の処理後の重量増加率で0.1から150%以上の範囲で効果があるが、処理木材類が重くなることや薬剤コスト等を考えると好ましくは0.1〜40%、さらに好ましくは1〜40%の範囲で使用するのがよい。
【0025】
本発明の改質木材類は、アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオールをそれぞれ別々に、または混合物として、あるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物を、木材類に塗布または含浸させて常温で放置するだけで充分得ることができるが、加熱すると、化学変化が促進され処理時間を短縮することができる。加熱する場合の温度は、高いほど反応が早く進み、さらに処理剤硬化物が焼きしまって改質効果が高くなるが、あまり高いと木材類自体の変色や変質等が起きる恐れがあるので、好ましくは室温から400℃、さらに好ましくは40℃から200℃である。
【0026】
アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオールをそれぞれ別々に、または混合物として、あるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物を用いた場合、これらは木材類内部での反応性が高いため、従来技術のように加水分解触媒を添加することなく木材類処理を完結する事が出来るが、該処理剤に触媒を加えたり、予め木材類に触媒を含浸させておいたり、あるいは該処理剤を作用させた後、触媒を作用させることによって硬化を速める事も可能である。
【0027】
そのときの触媒としては、例えば塩酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、さらにジブチル錫ジラウリレート、ナフテン酸鉛、ジルコノセンクロリド、チタノセンクロリド等の有機金属化合物や、アミノシラン、アミン、アミン塩等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して用いても良い。
【0028】
アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物、シリコーンポリオールあるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物が、溶剤成分を含むときのその溶剤の除去、または該処理剤の硬化反応に伴って副生するアルコールの蒸発は、常温で放置するだけでも充分であるが、加熱することにより処理後の乾燥時間を短縮することができる。
【0029】
アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオール、あるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物は、硬化反応終了後は熱的に安定なので、乾燥時の加熱温度は木材類自体に変質のない程度において自由に設定することができ、また、減圧にして乾燥を速める方法も可能である。
【0030】
【作用】
本発明の改質木材類の製造工程における作用機構は必ずしも明らかでないが、木材類への含浸性および反応性の高さ、少量の処理剤により効果が得られる点、並びに処理後の木材類の風合いや美観の保持等の特長は次の作用によって得られるものと推定される。
【0031】
アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオールをそれぞれ別々に、または混合物として、あるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物を、木材類に塗布または含浸させた際、アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物は、含浸性に非常に優れており、木材類の細胞壁内部およびその周辺に速やかに含浸する。さらに、分子内にSi−H結合を含むために、化学的な反応性が高く、木質の劣化、変色などの原因となる硬化触媒を加えなくても、木材類中の水分やOH基と速やかに反応することが特徴である。このアルコキシシランの硬化物がもたらす耐水性、耐火性、耐腐朽性、寸法安定性および耐摩耗性等により、改質木材の諸性質は優れた物となる。
【0032】
また、アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物は、シリコーンポリオールのOHとも容易に反応するため、該シリコーンポリオールの末端は、木質表面および内部に含浸硬化したアルコキシシラン硬化物と強固に化学結合する形になる。このシリコーン鎖は末端以外は自由に動けるため、そのゴム弾性により、水分変化や温度変化等で生じる応力によって木材の寸法が変化したり、その結果、木材類表面や内部でひび割れが起きることを防止する効果がある。これが、前述したゴム弾性機構である。また、溌水性のシリコーン鎖によって水性の汚れが防止される効果が生じるため、改質木材類の諸性質はさらに優れた物となる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例および比較例を掲げて、本発明をより具体的に説明する。
実施例1
トリエトキシシラン1000重量部に対して水50重量部を加え、撹拌して平均分子量300のトリエトキシシラン部分加水分解縮合反応物を得た。該反応物50重量部にエタノールを50重量部加えて希釈した溶液に、両末端シラノールのポリジメチルシロキサン(平均分子量2000)を5重量部加えて混合した。混合後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、両者の反応生成物ができており、これを実施例1の木材処理剤とした。
【0034】
木口縦30mm×横30mm×長さ100mmの2方まさ木取スギ辺材(気乾材)3個を、常温常圧で前記処理剤に10分間浸漬した後、常温で24時間乾燥し、実施例1の3個の試験片を得た。処理前木材重量に対する処理後の重量増加率は3個の試験片の平均で13.6%であった。これらの試験片について下記の吸水試験を実施した。
【0035】
すなわち、前記試験片の1つの木口を100番のサンドペーパーで10回こすって傷をつけた。この傷ついた木口面を残してパラフィンとワセリンの混合物を塗布して防水し、繊維方向が水面と平行になるように深さ5cmの水中に沈め、24時間後に取り出して下記の計算式(1)で吸水率を測定し、3つの試験片の平均値をもって代表値とした。
【0036】
計算式(1) 吸水率=(W−Wo)/Wo×100 (%)
Wo;水浸漬前の試験片の重量(g)
W ;水浸漬完了直後の試験片の重量(g)
【0037】
比較例1〜3
実施例1と同様、同寸法の無処理のスギ材辺(気乾材)3個を試験片とした(比較例1)。
【0038】
メチルトリメトキシシラン75重量部、テトラエトキシシラン20重量部、ジメチルジメトキシシラン5重量部、イソプロパノール100重量部およびジルコノセンジクロリド0.05重量部の混合液に、撹拌しながら0.1N塩酸2重量部および水35重量部を加え、3時間撹拌後8時間放置した液を処理剤として実施例1と同じ方法で試験片を作成した(比較例2)。
【0039】
室温での粘度が50,000cPのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)100重量部に、等容量のキシレンを加えて十分に溶解し、次いでメチルトリアセトキシシランの部分加水分解縮合反応物4重量部およびジブチルスズジラウリレート0.01重量部を追加して、湿気を遮断した状態で十分混合した液を処理剤として実施例1と同じ方法で試験片を作成した(比較例3)。
【0040】
以上の3種類各3個のスギ試験片についてそれぞれ実施例1で述べた吸水試験を実施した。なお、比較例2の処理前木材重量に対する処理後の重量増加率は3個の試験片の平均で6.8%であった。また、比較例3の処理前木材重量に対する処理後の重量増加率は3個の試験片の平均で9.3%であった。これら実施例1および比較例1〜3の試験片の吸水試験における吸水率(%)を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003564793
【0042】
実施例1の木材処理剤は、木材類に対して含浸性が高いので、木材を常温常圧で含浸するだけで充分な含浸量を得ることができ、また、木材内部での加水分解反応性も高いので、無触媒でも充分な処理後重量増加率を得ることができた。比較例2および3では触媒を用いたにもかかわらず、薬剤の含浸性や硬化反応性が悪いため処理後重量増加率は実施例1よりも少な目になった。
【0043】
そして、吸水試験の結果は、本発明で処理した木材は最も優れた耐水性を持つことを示している。比較例2では、吸水防止効果は実施例1に比べて低い値であり、比較例3ではサンドペーパーによって塗膜に傷がついた場合、ほとんど吸水防止効果が無くなってしまうことを示している。
なお、これら各試験片を薬剤処理・乾燥した後の木材の外観は、実施例1、比較例1、2は全く同じ外観を示し、薬剤処理による外観変化は認められなかったが、比較例3では、表面にパラフィン状の半透明の膜が付着しているのが認められた。サンドペーパーをかけた後の表面の外観は実施例1、比較例1〜3で全く同じだった。
【0044】
また、この吸水試験後の試験片を、繊維方向を地面と並行にして屋上のコンクリート面に並べ、1ヶ月間の屋外暴露試験にかけた後、試験前にサンドペーパーをかけた木口面を目視したところ、屋外暴露前と比べて次のような変化が認められた。
【0045】
【表2】
Figure 0003564793
【0046】
実施例1では、木材に含浸した薬剤の耐汚染効果により、ほとんど汚れはなかったが、無処理の比較例1では、雨水や空気中の汚れを吸って木口面はかなり黒く変色してしまった。比較例2では、耐汚染効果が実施例1に比べて低く、比較例3ではサンドペーパー処理により耐汚染効果が無くなっていた。
【0047】
実施例2
木口縦30mm×横30mm×長さ5mmの2方まさ木取スギ辺材(気乾材)3個を用い、実施例1と同じ木材処理剤を常温常圧で10分間含浸した後、温度80℃で4時間乾燥させたところ、処理前木材重量に対する処理後の重量増加率は3個の試験片の平均で14.1%であった。この試験片の両木口面を100番のサンドペーパーで10回ずつこすった後、各辺の長さを測定し、温度40℃相対湿度90%で24時間保存し、再び長さを測定した。
【0048】
比較例4
比較例4として比較例2と同じ処理剤を用い、処理方法は実施例2と同様に処理した3個の試験片についてそれぞれ実施例2で述べた吸湿試験を実施した。なお、比較例4の処理前木材重量に対する処理後の重量増加率は3個の試験片の平均で7.8%であった。
【0049】
比較例5
比較例5として比較例3と同じ処理剤を用い、処理方法は実施例2と同様に処理した3個の試験片についてそれぞれ実施例2で述べた吸湿試験を実施した。なお、比較例5の処理前木材重量に対する処理後の重量増加率は3個の試験片の平均で11.5%であった。この他にブランクとして同寸法の無処理のスギ材3個を試験片として同じ条件で乾燥した後、吸湿試験を実施し、測定結果からASE(抗膨潤能)値を計算した。
【0050】
ASE値の定義は計算式(2)で表される。実施例2および比較例4および5の計算結果を表3に示した。
Figure 0003564793
【0051】
【表3】
表3:24時間吸湿試験後のASE値(各3試験片の平均値)
Figure 0003564793
【0052】
吸湿後の寸法安定性では、実施例2がたいへん高い寸法安定性を示したのに対して比較例4のASE値は低く、比較例5ではほとんど寸法安定性の向上はなかった。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物と、シリコーンポリオールをそれぞれ別々に、または混合物として、あるいは前記アルコキシシランまたは前記部分加水分解縮合反応物のいずれかもしくは両者と前記シリコーンポリオールとの反応生成物を、木材類に含浸または塗布することによって、木質内部から木材の諸性質を改良し、特に吸水防止、寸法安定性と汚れ防止に優れた改質木材類を得る事が出来る。

Claims (3)

  1. 下記A成分と下記B成分とからなる混合物、又は下記A成分と下記B成分との反応生成物を、塗布または含浸させてなる改質木材類。
    A成分:下記式(1)で表されるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物。
    Hn Si(OR)4-n ・・・(1)
    〔ただし、Rは炭素数1〜4のアルキル基で、1分子中の複数のRは同じでも異なっていてもよい。nは1または2。〕
    B成分:下記式(2)または(3)で表されるシリコーンポリオール。
    【式1】
    Figure 0003564793
    【式2】
    Figure 0003564793
  2. 式(1)で表されるアルコキシシランが、Rの炭素数1〜3のトリアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物であり、シリコーンポリオールが、式(2)で表され、R' がメチル基、フェニル基またはフルオロメチル基で、m=10〜60のシリコーンジオールであり、かつ前者100重量部に対し後者1〜20重量部からなるか、あるいはそれらをこの割合で反応させて得られる反応生成物を、塗布または含浸させてなる請求項1の改質木材類。
  3. 下記A成分と下記B成分とからなる混合物、又は下記A成分と下記B成分との反応生成物からなる木材類の改質処理剤。
    A成分:上記式(1)で表されるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合反応物。
    B成分:上記式(2)または(3)で表されるシリコーンポリオール。
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