JP5111733B2 - 木質系基材処理用水性塗装組成物、それを用いた塗装処理木質系基材の製造法およびそれにより得られる塗装処理木質系基材 - Google Patents

木質系基材処理用水性塗装組成物、それを用いた塗装処理木質系基材の製造法およびそれにより得られる塗装処理木質系基材 Download PDF

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本発明は、木質系基材処理用水性塗装組成物、それを用いた塗装処理木質系基材の製造法およびその製造法により得られる塗装処理木質系基材に関する。更に詳細には、木質系基材表面と塗料との間の密着安定性を増大させ、その塗膜寿命を伸長させ、美観を維持することを可能とし、更には、寸法安定性、防腐性および防蟻性を付与することが可能な木質系基材処理用水性塗装組成物、それを用いた塗装処理木質系基材の製造法およびそれにより得られる塗装処理木質系基材に関する。
木材を内装材料あるいは外装材料として利用するにあたって、保護または意匠性の点からその表面に塗装を施す場合が多い。しかしながら、特に外装材料としての木材を観察すると、紫外線、雨水といった因子により木材表面の劣化や、水分の木材への浸透による寸法変化あるいはカビ、木材腐朽菌の発生等による、塗膜と木材間の剥離や干割れ、または木材変色等の美観の低下を生じせしめるに至り、塗料が如何に耐久性あるいは耐色性を有していたとしても、良好な木材塗装としての塗膜耐久性あるいは耐色性つまり美観の持続性を得るには至らなかった。また、木材表面にカビや腐朽菌の発生を抑えるために、防カビ剤や防腐剤を処理する場合があるが、作業工程上、作業者への負荷が一般的に高いものである。
また、木材塗装方法としては、フッ素系、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、油脂系の樹脂あるいはモノマーを溶解させたものを木材に塗布・含浸させ、乾燥する方法が知られている。従来は、このような塗料としては、溶剤希釈型樹脂が主流であったが、近年、溶剤の環境に対する負の影響が水希釈型よりも一般的に大きく、また地球環境の保護や資源の活用の面からも溶剤を使用しない水希釈型樹脂の開発が活発になり、商品化され始めた。
他方、木質基材の吸水防止や寸法安定化処理方法として、金属アルコキシドのゾル−ゲル法が提案されている。即ち、金属アルコキシド−水−アルコール−触媒の出発溶液において、金属アルコキシドは加水分解と自己重縮合により金属酸化物のゾルになり、溶液は更に反応が進んでゲルとなる反応を、木材細胞内で行わせることで木材の金属酸化物による無機質複合化を行う手法である(非特許文献1)。ゾル−ゲル法による改質木材については既にゾルーゲル法による木材と無機質の複合化、多孔特性を維持した無機質複合化木材(非特許文献2)、ゾルーゲル法による木材と無機質の複合化、化学修飾木材の無機質複合化(非特許文献3)などが報告されている。また、ケイ素アルコキシドと加水分解性アルコキシリル基含有の防菌・防黴性有機ケイ素を木材中に含浸し、重縮合させること特徴とした防菌・防黴性無機質複合化木材の製造方法(特許文献1)、シロキサンオリゴマーを処理、硬化させることを特徴とする防菌・防黴性無機質複合化木材の製造方法(特許文献2)、有機ケイ素化合物とアミノ基含有アルコキシシランとの共加水分解縮合物により木質基材に撥水性を付与する方法(特許文献3)などが提案されている。
しかしながら、これらの従来の技術においては、木材表面に塗布処理を実施し、なおかつ塗料との密着性を保持しながら耐候性等、各種性能を発現させる場合、木材自体の吸水防止性や寸法安定性においては満足できるものの、水溶性の中塗り塗料や上塗り塗料との密着性に問題が生じていた。
ゾルーゲル法の科学、アグネ承風社 日本木材学会誌38(11)、1043(1992) 日本木材学会誌39(3)、301(1993) 特開平10−337705号公報 特開平11−70507号公報 特開2002−241744号公報
本発明はこれらの問題点に着目してなされたもので、本発明は、木質内装材さらには外装材においても良好な塗膜耐久性あるいは色保持性を付与し、木質系基材と中塗り塗料や上塗り塗料との良好な密着性を付与し、かつ防菌・防黴性をも付与することのできる木質系基材処理用水性塗装処理組成物を提供するものである。また、本発明は、それを用いた塗装処理木質系基材の製造法およびそれにより得られる塗装処理木質系基材を提供するものである。
本発明は、(A)下記(a)の有機ケイ素化合物またはその部分加水分解物100重量部と下記(b)のアミノ基含有アルコキシシランまたはその部分加水分解物0.5〜49重量部とを有機酸または無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物:
(a)下記一般式(1)
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)で示される有機ケイ素化合物:
(b)下記一般式(2)
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物、
(B)ホウ素を含む化合物及び/またはリンを含む化合物、
(C)水溶性有機溶剤、
および
(D)水、
からなる木質系基材処理用水性塗装組成物に関する。
更に本発明は、上記の木質系基材処理用水性塗装組成物を、木質系基材の表面に含浸させてから乾燥し、更に中塗り用塗料および/または上塗り用塗料で塗装することを特徴とする塗装処理木質系基材の製造法に関する。
更に本発明は、上記の製造法により得られる塗装処理木質系基材に関する。
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物により、木質系基材表面と塗料との間の密着安定性を増大させ、その塗膜寿命を伸長させ、美観を維持することができ、更には、寸法安定性、防腐性および防蟻性を改善することもできる。従って、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物は、内装材はもとより外装材、特に開口部の部材等に適用することによって、それらに高耐候性を付与し、長期間にわたって品質を維持できる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を構成する1つの成分である(A)共加水分解縮合物を得るための(a)成分は、一般式(1)で示される有機ケイ素化合物である。式(1)のR1は炭素原子数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。このような式(1)の有機ケイ素化合物の具体例としては、CH3Si(OCH33,CH3Si(OC253,CH3Si(OCH(CH323,CH3CH2Si(OCH33,CH3CH2Si(OC253,CH3CH2Si(OCH(CH323,C36Si(OCH33,C36Si(OC253,C36Si(OCH(CH323,C49Si(OCH33,C49Si(OC253,C49Si(OCH(CH323,C511Si(OCH33,C511Si(OC253,C511Si(OCH(CH323,C613Si(OCH33,C613Si(OC253,C613Si(OCH(CH323などが挙げられる。
このような各種有機ケイ素化合物を単独で使用してもよく、2種類以上の混合物を使用してもよく、混合物の部分加水分解物を使用してもよい。この場合、(a)成分としては、上記有機ケイ素化合物を部分加水分解縮合したアルコキシ基含有シロキサンを用いることが好ましい。この部分加水分解物であるシロキサンオリゴマーのケイ素原子の数は2〜10、特に2〜4であることが好ましい。更に、(a)成分としては、水中で炭素原子数1〜6のアルキルトリクロロシランとメタノールまたはエタノールとの反応により得られるものでもよい。この場合も、このシロキサンオリゴマーのケイ素原子数は2〜6、特に2〜4であることが好ましい。このようなシロキサンオリゴマーとしては、特に[CH3(OR22Si]2Oで表されるシロキサンダイマーが好ましい。この場合、シロキサントリマーやシロキサンテトラマーを含んでいてもよい。また、25℃で300mm2/s以下の粘度を有しているものが好ましく、特に1〜100mm2/sの粘度を有するものが好適である。
上記(A)共加水分解縮合物を得るための(b)成分は、一般式(2)で示されるアミノ基含有アルコキシシランまたはその部分加水分解物である。式(2)中のR3、R4としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等が挙げられる。R5としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が挙げられる。R6としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。このような式(2)のアミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、H2N(CH22Si(OCH33,H2N(CH22Si(OCH2CH33,H2N(CH23Si(OCH33,H2N(CH23Si(OCH2CH33,CH3NH(CH23Si(OCH33,CH3NH(CH23Si(OCH2CH33,CH3NH(CH25Si(OCH33,CH3NH(CH25Si(OCH2CH33,H2N(CH22NH(CH23Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33,CH3NH(CH22NH(CH23Si(OCH33,CH3NH(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33,C49NH(CH22NH(CH23Si(OCH33,C49NH(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33,H2N(CH22SiCH3(OCH32,H2N(CH22SiCH3(OCH2CH32,H2N(CH23SiCH3(OCH32,H2N(CH23SiCH3(OCH2CH32,CH3NH(CH23SiCH3(OCH32,CH3NH(CH23SiCH3(OCH2CH32,CH3NH(CH25SiCH3(OCH32,CH3NH(CH25SiCH3(OCH2CH32,H2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32,H2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32,CH3NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32,CH3NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32,C49NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32,C49NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32等が挙げられる。
これらの中で、特に、H2N(CH22NH(CH23Si(OCH33(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、H2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、H2N(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、H2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)、H2N(CH23Si(OCH33(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、H2N(CH23SiCH3(OCH33−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、H2N(CH23Si(OCH2CH33(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、H2N(CH22SiCH3(OCH2CH32(3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)などが好適に用いられる。
上記(A)共加水分解縮合物を得るための(a)成分および(b)成分の使用割合は、(a)成分100部(重量部、以下同じ)に対して(b)成分0.5〜49部、好ましくは5〜30部である。(b)成分が0.5部未満であると、得られる本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物の水溶性が弱くなり、安定性が悪くなる。また、(b)成分が49部を超えると、長期吸水防止性、撥水性が悪くなったり、木質系基材を処理したときに黄変が激しくなる。モル換算としては、(a)成分のSi原子1モルに対し(b)成分のSi原子が0.01〜0.3モル、特に0.05〜0.2モルとなるように用いることが好ましい。
これら(a)成分および(b)成分を用いて上記(A)共加水分解縮合物を製造するには、有機酸または無機酸の存在下で共加水分解させればよい。この場合、最初に(a)成分を有機酸あるいは無機酸の存在下で加水分解し、この(a)成分の加水分解物と(b)成分を混合し、有機酸あるいは無機酸の存在下、更に加水分解させることが好ましい。まず、(a)成分を加水分解する際に使用される有機酸および無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸およびマレイン酸などから選ばれる少なくとも1種の酸が用いられる。特に好適なものは酢酸、プロピオン酸である。この酸の使用量は、(a)成分100部に対して2〜40部、特に3〜15部が好適である。酢酸の場合は特に3〜10部が好ましく、プロピオン酸の場合は特に5〜12部が好ましい。
加水分解の際は適度に溶剤で希釈した状態で行うのが好ましい。溶剤としては、アルコール系溶剤が好適であり、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好適である。この溶剤の使用量は、(a)成分100部に対して50〜300部、特に70〜200部が好ましい。溶剤の使用量が50部より少ないと、縮合が進んでしまう場合があり、また、300部を超えると、加水分解に時間がかかる。(a)成分を加水分解させるために加える水量は、(a)成分1モルに対し0.5〜4モル量、特に1〜3モル量が好適である。加える水量が0.5モル量より少ないとアルコキシ基が多く残存してしまう場合があり、4モル量を超えると縮合が進行しすぎる場合がある。(a)成分を加水分解させる際の反応条件は、反応温度10〜40℃、特に20〜30℃がよく、反応時間は1〜3時間で加水分解反応させるのがよい。
以上で得られた(a)成分と(b)成分とを反応させ、上記(A)共加水分解縮合物を合成する。反応条件は、反応温度60〜100℃、反応時間1〜3時間が好ましい。反応終了後は、溶剤の沸点以上まで温度を上げ、アルコール溶剤を留去させ、共加水分解縮合物を取り出してもよいし、留去せずにアルコール溶液のまま使用してもよい。また上記(A)共加水分解縮合物の重量平均分子量は500〜5000、特に800〜2000の範囲であることが望ましい。
ここで得られる共加水分解物縮合物(A)の固形分は、105℃で3時間乾燥後、残存したものを固形分とする。この(A)の固形分という場合、このものを指すこととする。
上述した方法で得られる(a)成分および(b)成分の共加水分解・縮合反応生成物からなる(A)共加水分解縮合物は、親水部(アミノ基、シラノール基)と疎水部(アルキルシリル基)のバランスが良いためか、適度な撥水性をもちかつ浸透性もよいため水溶性塗料との密着性を悪化させることがなく、また木材内部への水分の侵入、木材の割れ等を防ぐ効果がある。
本発明では、(A)の共加水分解縮合物と共に、(B)のホウ素を含む化合物および/またはもしくはリンを含む化合物を用いる。ホウ素を含む化合物としては、ホウ酸化合物が好ましく、具体的には、InBO3、Mg3(BO32などのオルトホウ酸塩;Mg225、Co225などの二ホウ酸塩;NaBO2、KBO2、LiBO2、Ca(BO22などのメタホウ酸塩;Na247などの四ホウ酸塩;KB58などの五ホウ酸塩等が挙げられる。また、オルトホウ酸(H3BO3)、メタホウ酸(HBO2)、四ホウ酸(H247)などのホウ酸;ホウ砂(Na24710H2O)などが挙げられる。リンを含む化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸、メタリン酸、メタ亜リン酸、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、次リン酸、ピロリン酸およびそれらの塩が挙げられる。塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、カドミウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。また、リンを含む化合物としては、例えば亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリプロピル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸トリアルキル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル等のリン酸トリアルキルなども挙げることができる。中でもリン酸トリメチル、リン酸トリエチルなどが好ましい。
(B)の化合物を添加することにより、得られる本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物に防蟻性および/または難燃性を付与することができる。その配合量は、(A)の共加水分解縮合物の固形分100部に対して0.1〜75部、特に2〜50部であることが好ましい。少なすぎると防蟻性および/または難燃性が不十分となることがあり、多すぎると本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物の保存安定性が悪くなることがある。
本発明では、更に(C)の水溶性有機溶剤を用いる。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤が好適であり、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好適である。この溶剤の使用量は、(A)の共加水分解縮合物の固形分100部に対して、100〜750部、好ましくは200〜600部である。この量が600部より多いと、得られる本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物の安定性が悪化する場合がある。
本発明では、更に(D)として水を用いる。この水の使用量は、(A)の共加水分解縮合物固形分100部に対して、10〜625部、好ましくは50〜600部である。この量が10部より少ないと、得られる本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物の安定性が悪化する場合がある。また600部より多くても組成物の安定性が悪化する場合がある。
本発明では、上記した(A)から(D)の成分に加えて、(E)成分として、脂肪族第4級アンモニウム化合物を更に用いてもよい。脂肪族第4級アンモニウム化合物としては、下記一般式(3)
[(CH327N(CH23−SiR6 n(OR23-n+- (3)
(但し、式中R2、R6は上記と同様であり、R7は炭素原子数11〜22の1価炭化水素基、特にアルキル基、アルケニル基などである。nは0又は1である。)で示される4級アミノ基含有アルコキシシランまたはその部分加水分解物が好ましい。上記式(3)のR7としては、−C1123基、−C1225基、−C1631基、−C1633基、−C1837基、−C2041基、−C2245基等が挙げられる。このような上記式(3)の4級アミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、例えば、
[C1225(CH32N(CH23Si(OCH33+Cl-
[C1429(CH32N(CH23Si(OCH2CH33+Cl-
[C1633(CH32N(CH23Si(OCH33+Cl-
[C1633(CH32N(CH23Si(OCH2CH33+Cl-
[C1633(CH32N(CH23SiCH3(OCH32+Cl-
[C1633(CH32N(CH23SiCH3(OCH2CH33+Cl-
[C1837(CH32N(CH23Si(OCH33+Cl-
[C1837(CH32N(CH23Si(OCH2CH33+Cl-
[C1837(CH32N(CH23SiCH3(OCH32+Cl-
[C1837(CH32N(CH23SiCH3(OCH2CH33+Cl-
などが好適に用いられる。
上記(E)の脂肪族第4級アンモニウム化合物の添加により、得られる本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物に防菌性、防黴性を付与することができる。その配合量は、(A)の共加水分解縮合物の固形分100部に対して0.05〜25部、特に0.1〜15部であることが好ましい。少なすぎると防菌性、防黴性が不十分の場合があり、多すぎると組成物の保存安定性が悪くなることがある。
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物には、上記した(A)から(E)の成分に加えて、更に、通常使用されている防腐剤、防黴剤、防蟻剤、香料、着色剤、あるいはカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、水溶性アクリル樹脂、SBRラテックス、コロイダルシリカなどを、必要に応じて、副次的に添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常使用される量とすることができる。
また、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を、木質系基材のより内部まで深く浸透させたい場合には、その浸透性をより高めるために界面活性剤を加えてもよい。用いる界面活性剤に特に限定はないが、従来公知のノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤が適用可能である。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンなどのノニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩などのアニオン系界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型などの両性イオン型界面活性剤などを挙げることができる。これらの中でも、特にポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の添加量は、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物固形分100部に対して0.01〜50部が好ましく、より好ましくは0.2〜2.5部である。その量が0.01部未満であると、界面活性剤を使用しない場合と殆ど変化がなく、添加する意味がない。また50部を超える量を加えると、得られる本発明の組成物の吸水防止性や撥水性が弱くなる場合があるため好ましくない。
また、界面活性剤を予め本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物に添加するのでなく、本発明の組成物で木質系基材を処理する前に、木質系基材に界面活性剤の希釈溶液を前処理した後に、本発明の組成物で木質系基材を処理してもよい。その場合、例えば水あるいは有機溶剤100部に0.01〜5部、特に0.1〜2部の濃度で界面活性剤を希釈した溶液を調製し、ローラー、刷毛、スプレー等を用い、場合によっては浸漬法によって木質系基材を前処理し、その後に本発明の組成物を処理することにより、本発明の組成物を木質系基材内部まで深く浸透させることができる。
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物の処理対象となる木質系基材の木材としては、樹種は特に限定されないが、例えば、主要国産樹種であるスギ(Cryptomeria japonica(L.f.)D.DON)、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa (SIEB.ET ZUCC.)ENDL.)やアカマツ(Pinusdensiflora SIEB. ET ZUCC.)、カラマツ(Larix leptolepis (SIEB.ET ZUCC.)GORD.)もしくは外国産樹種であるオウシュウアカマツ(Pinus sylvestris L.)、ラジアータパイン(Pinus radiata D.DON.)あるいはファルカータ(Albizia falcataria Fosb.)等の植林木が好適なものとして挙げられる。これらの木材からなる木質加工材である、集成材、合板、パーティクルボード、MDFなどが、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物の処理対象として好適なものである。
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を木質系基材に含浸させる場合には、木質系基材は飽水状態よりはむしろ調湿状態である方が好ましく、予め木質系基材の含水率を10%〜50%に調湿しておくことが好ましい。なお、ここで示す含水率とは乾量基準含水率であり、一般に、含水率u=(Wu―W0)/W0x100 (Wu:乾燥前の重量、W0:全乾重量)で表される。
木質系基材の含水率を10%未満の状態に維持しておくのは実用上困難であり、また50%を超える場合は、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物における水の添加率が30%に近い場合、過剰の水が残留することにより、木質系基材の寸法変化が増大し、加工精度を損ねる一因となる。
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を木質系基材に塗布するには、ローラー、刷毛、スプレー等を用い、場合によっては浸漬法によってもよいし、常圧下または減圧下で処理してもよい。次に、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を木質系基材の表面に含浸した後、自然乾燥するか、木質系基材が熱分解しない範囲、好ましくは40℃〜110℃で乾燥する。この過程で、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物中の(A)成分の共加水分解縮合物が、加水分解重縮合し金属酸化物に変化する。また、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を木質系基材表面に含浸させた後、所定の水を木質系基材表面にスプレーあるいは刷毛等の汎用の塗布装置を用いて塗布後、養生し加熱乾燥することにより、(A)成分の共加水分解縮合物中のアルコキシドを完全に金属酸化物に変化させることもできる。養生期間および乾燥期間としては、室温で1日〜7日間程度放置することにより養生し、熟成させた後、50℃〜110℃で半日〜2日程度加熱乾燥することが好ましい。
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物の木質系基材表面への含浸量としては、50g/m〜250g/m が好ましく、より好ましくは100g/m〜230g/m 、さらに好ましくは150g/m〜200g/m である。木質系基材への含浸量が50g/m未満の場合、木質系基材への含浸量が少なすぎ、その効果が認められにくいという問題点があり、逆に250g/mを超える場合、中塗り塗料や上塗り塗料との密着の低下を引き起こす原因となる場合がある。中塗り塗装や上塗り塗装の工程で使用する水溶性塗料としては、フッ素系、アクリル系、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、油脂系等の樹脂があるが、これに限定されるものではない。これらのうち好適なのは、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂である。これらの塗料の塗布量については、塗料毎に異なるため、各々塗料の指定の塗布量および工程で塗装するのが望ましい。
以下、実施例、比較例および試験例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例に制限されるものではない。なお、下記の例において部は重量部を示す。
実施例1
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物1の製造
冷却管、温度計および滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154gおよび酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度71mm2/sの薄黄色透明溶液81gを得た(重量平均分子量1100)。このものの系内のメタノール残存量は5重量%であった。固形分換算としてこの薄黄色透明溶液をビーカーに2gとり、105℃で3時間乾燥させたところ、不揮発分は1.6gであり、80%の比率であった。つまり81g中固形分は64.8gであった。
上記、合成した部分加水分解縮合物を固形分換算で10部(実際取得量は12.5部)、3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムを1部、およびホウ酸を1部、および水を44部、エタノールを44部混合溶解させたものを本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物1とした。なお、該組成物のpHは4.3であった。
実施例2
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物2の製造
冷却管、温度計および滴下漏斗を備えた1Lの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー129.7g(ダイマー換算で0.58モル)、エタノール355.3g及び酢酸7.7gを入れ、撹拌しているところに水10.3g(0.57モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン12.7g(0.057モル)を滴下した。その後、エタノールの還流温度まで加熱して1時間反応させた。このものの重量平均分子量は1000であった。固形分換算としてこの溶液をビーカーに2gとり、105℃で3時間乾燥させたところ、不揮発分は0.40gであり、20%の比率であった。つまりこの溶液515.7g中固形分は103.1gであった。
ここに3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムの50%メタノール溶液を23.3g、およびホウ酸を40.2g、更に水を301.1gを順次添加し、混合溶解させた。得られた透明溶液を本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物2とした。なお、該組成物のpHは4.2であった。
比較例1
比較組成物1の製造
実施例1において、合成された部分加水分解縮合物を固形分換算で10部のみ使用し、3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウム、およびホウ酸は混合せず、水を45部、エタノールを45部混合溶解させたものを比較組成物1とした。
実施例3
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物1を用いた木質系基材処理および上塗りにアクリル樹脂塗料を用いた塗装処理による塗装処理木質系基材の製造
試験体には宮崎県日向産スギ(Cryptomeria japonica D.DON)気乾材を用いた。この試験片の含水率は約15%であり、予め240番のサンドペーパーで研磨を行った。木地塗装として、実施例1で得られた本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物1を、室温中でスギ試験片に市販の塗装用刷毛にて塗布量150g/mで塗布した。これらの試験片を室温中で約7日間静置して乾燥し、試験片内でゲルの熟成を行った。熟成の完了した試験片に対して、240番のサンドペーパーで研磨した後、上塗り塗料として、ガードラック アクア(アクリル樹脂塗料、和信化学工業(株)製)を用い、市販の塗装用刷毛にて塗布量100g/mで塗布した。これらの試験片を室温中で約7日間静置して乾燥させた。なお、繰り返し試験片数は3片とした。
実施例4
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物1を用いた木質系基材処理および上塗りにフッ素樹脂塗料を用いた塗装処理による塗装処理木質系基材の製造
実施例3と同様の木材試験片と本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物1を用い、同様の木地塗装、乾燥・熟成を行った。熟成の完了した試験片に対して、240番のサンドペーパーで研磨した後、上塗り塗料として、フッカー21クリア(フッ素樹脂塗料、(株)セクセブン製)を用い、専用硬化剤を主剤に対して25重量%混合した後、塗装用刷毛にて塗布量100g/mで塗布した。これらの試験片を室温中で約7日間静置して乾燥させた。なお、繰り返し試験片数は3片とした。
実施例5
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物2を用いた木質系基材処理および上塗りにフッ素樹脂塗料を用いた塗装処理による塗装処理木質系基材の製造
実施例1で得られた木質系基材処理用水性塗装組成物1を用いる代わりに、実施例2で得られた木質系基材処理用水性塗装組成物2を用いた以外は、実施例3と同様の木材試験片を用い、同様の木地塗装、乾燥・熟成を行った。熟成の完了した試験片に対して、240番のサンドペーパーで研磨した後、上塗り塗料として、フッカー21クリア(フッ素樹脂塗料、(株)セクセブン製)を用い、専用硬化剤を主剤に対して25重量%混合した後、塗装用刷毛にて塗布量100g/mで塗布した。これらの試験片を室温中で約7日間静置して乾燥させた。なお、繰り返し試験片数は3片とした。
比較例2
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を用いない木質系基材処理および上塗りにアクリル塗料を用いた塗装処理による塗装処理木質系基材の製造
木地塗料に、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を用いる代わりに、サドリンアクアベース(水性木材保護剤、アルキド系、Sadolin Nobel製)を用いた以外は、実施例3と同様の塗装処理を施した。
比較例3
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を用いない木質系基材処理および上塗りにフッ素樹脂塗料を用いた塗装処理による塗装処理木質系基材の製造
木地塗料に、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を用いる代わりに、サドリンアクアベース(水性木材保護剤、アルキド系、Sadolin Nobel製)を用いた以外は、実施例4と同様の塗装処理を施した。即ち、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を用いた木地塗装を行わず、240番のサンドペーパーで研磨した後、上塗り塗料として、フッカー21クリア(フッ素樹脂塗料、(株)セクセブン製)を用い、専用硬化剤を主剤に対して25重量%混合した後、塗装用刷毛にて塗布量100g/mで塗布した。これらの試験片を室温中で約7日間静置して乾燥させた。なお、繰り返し試験片数は3片とした。
比較例4
比較組成物1を用いた木質系基材処理および上塗りにフッ素樹脂塗料を用いた塗装処理による塗装処理木質系基材の製造
本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物1を用いる代わりに、比較組成物1を用いた以外は実施例4と同様の処理を行った。なお、繰り返し試験片数は3片とした。
試験例1
実施例3から5および比較例2から4で得られた試験片である塗装処理木質系基材について各種の物性評価を行った。物性測定は下記の方法で行った。
(1)キセノンウエザーメーターによる促進劣化試験および色差測定
上記の試験片に対して、キセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)WEL−6XS−HC・B・Ec)による耐候性試験を実施した。その試験条件は下記の通りである。
キセノンウエザーメーター照射条件
1.照射 ブラックパネル温度63℃、48mins
2.照射+シャワ−リング ブラックパネル温度63℃、12mins
を1サイクル(合計60mins)
0、200、400時間時に試験片の色を色差計(ミノルタ(株)製CR−200)を用いてL*、a*、b*表色系により測定した。
これらの値から下記の式により、色差ΔEを算出し、3試験片の平均値を求めた。

L*、a*、b* ;所定時間毎に測定した値
L0*、a0*、b0* ;照射試験開始前に測定した値
(2)塗膜の割れおよび剥がれ
上記(1)の1,000時間毎に試験片の表面状態を観察し、割れの観察を実施した。塗膜の割れ、剥がれの認められなかった試験片については○、小さい割れ、剥がれの認められた試験片については△、大きく目立った割れ、剥がれの認められた試験片については×で評価した。
(3)光沢計による光沢度残存率の算出
上記のキセノンウエザーメーターによる促進劣化試験片に対して、光沢計(MINOLTA GM-268)を用い、入射光85°の光沢度を経時的に測定し、光沢残存率を下記の式により、算出し、3試験片の平均値を求めた。
[数2]
G=G*/G0 x 100 (%)
G* ;所定時間毎に測定した値
G0 ;照射試験開始前に測定した値
(4)接触角計による撥水度残存率の算出
上記のキセノンウエザーメーターによる促進劣化試験片に対して、水滴を落とし、接触角計(協和界面科学(株) CA-X200型)を用い、試験片面と液体面のなす角、すなわち接触角を経時的に測定し、撥水残存率を下記の式により、算出し、3試験片の平均値を求めた。
[数3]
γ=γ*/γ0 x 100 (%)
γ* ;所定時間毎に測定した値
γ0 ;照射試験開始前に測定した値
(5)結果
キセノンウェザーメーターによる耐候性試験の内、色差に関して、実施例3から4および比較例2から3の試験片についての試験結果を図1に示した。光沢度残存率に関して、実施例3から4および比較例2から3の試験片についての試験結果を図2に示した。撥水度残存率に関して、実施例3から4および比較例2から3の試験片についての試験結果を図3に示した。
これらの結果から、木材の木地に予め、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を使用した後、塗装処理して得られた実施例3から4の試験片は、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を使用せずに、あるいは本発明以外の組成物を使用した後、塗装処理して得られた比較例2から3の試験片に比べて、色差、光沢度残存率、撥水度残存率のいずれにおいても優れていた。
また、塗膜の割れ、剥がれに関して、実施例3から5および比較例2から4の試験片についての試験結果を表1に示した。表1に示す通り、塗膜の割れ、剥がれについても、実施例3から5の試験片は、促進劣化試験7,000時間経過しても著しい損傷が認められず、健全な状態を維持していた。
以上に示したように、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を用いて塗装処理木質系基材を製造することにより、通常の塗装仕様による木材の耐候性よりも、さらに高い耐候性を木材などの木質系基材に付与することができる。また、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物による処理では木材などの木質系基材固有の多孔性、低比重、易加工性(切削性、保釘力、接着性、塗装性等)を阻害することなく寸法安定性も付与することができる。さらには防腐・防黴性をも付与することが可能となる。従って、本発明の木質系基材処理用水性塗装組成物を使用することにより、内装材はもとより外装材、特に開口部の部材として使用される木質系基材に、高耐候性を付与することができ、長期間にわたって木質系基材の品質を高く維持できるものである。
キセノンウェザーメーターによる耐候性試験の内、色差に関して、実施例3から4および比較例2から3の試験片についての試験結果を示す。 光沢度残存率に関して、実施例3から4および比較例2から3の試験片についての試験結果を示す。 撥水度残存率に関して、実施例3から4および比較例2から3の試験片についての試験結果を示す。

Claims (8)

  1. 下記木質系基材処理用水性塗装組成物:
    (A)下記(a)の有機ケイ素化合物またはその部分加水分解物100重量部と下記(b)のアミノ基含有アルコキシシランまたはその部分加水分解物0.5〜49重量部とを有機酸または無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物:
    (a)下記一般式(1)
    (R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
    (但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.95≦(a+b≦4を満足する正数である。)で示される有機ケイ素化合物:
    (b)下記一般式(2)
    34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
    (但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物、
    (B)ホウ酸、
    (C)水溶性有機溶剤、
    (D)水、および
    (E)3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、
    からなり、(A)共加水分解縮合物固形分100重量部に対して(B)ホウ酸および(E)3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドをそれぞれ10〜75重量部および10〜25重量部を含む木質系基材処理用水性塗装組成物を、木質系基材の表面に含浸させてから乾燥し、更に中塗り用塗料および/または上塗り用塗料で塗装することを特徴とする塗装処理木質系基材の製造方法。
  2. 中塗り用塗料および/または上塗り用塗料がフッ素系樹脂塗料である請求項1の塗装処理木質系基材の製造方法。
  3. (A)共加水分解縮合物固形分100重量部に対して、(C)水溶性有機溶剤100〜750重量部および(D)水10〜625重量部を含む木質系基材処理用水性塗装組成物を用いる請求項1または2の塗装処理木質系基材の製造方法。
  4. (A)共加水分解縮合物を得るための(a)成分の有機ケイ素化合物がシロキサンオリゴマーである木質系基材処理用水性塗装組成物を用いる請求項1〜3のいずれかの塗装処理木質系基材の製造方法。
  5. シロキサンオリゴマーが[CH3(OR22Si]2O(但し、R2は上記と同じである)で表されるシロキサンダイマーである木質系基材処理用水性塗装組成物を用いる請求項4の塗装処理木質系基材の製造方法。
  6. (A)共加水分解縮合物を得るための(b)成分のアミノ基含有アルコキシシランが、
    2N(CH22NH(CH23Si(OCH33(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、
    2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、
    2N(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、
    2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)、
    2N(CH23Si(OCH33(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、
    2N(CH23SiCH3(OCH3(3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、
    2N(CH23Si(OCH2CH33(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、または
    2N(CH22SiCH3(OCH2CH32(3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)
    である木質系基材処理用水性塗装組成物を用いる請求項1から5のいずれかの塗装処理木質系基材の製造方法。
  7. (a)成分と(b)成分とから得られる(A)共加水分解縮合物の重量平均分子量が500〜5000である木質系基材処理用水性塗装組成物を用いる請求項1から6のいずれかの塗装処理木質系基材の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかの製造方法により得られる塗装処理木質系基材。
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