JP3196188B2 - 木材処理剤 - Google Patents

木材処理剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、木材に含浸させるこ
とによって木質感を損なうことなく木材の諸性質を改良
することができる木材処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築材や工芸品等の材料として広く用い
られている木材の耐水性、耐火性、耐腐朽性、寸法安定
性、耐磨耗性などの諸性質を改良する目的で、木材に様
々な高分子化合物や低分子化合物、薬剤、無機物質等の
処理剤を含浸させることが行われている。しかしなが
ら、高分子化合物を主成分とする処理剤は、高分子化合
物の分子サイズが大きすぎて木材の細胞壁内にまでは含
浸されないため、木材に耐水性を付与することはできな
かった。また、高分子化合物のモノマーを含浸させて重
合することも試みられたが、モノマーは疎水性のため木
材の細胞壁内にまでは含浸できず、そのうえ重合反応が
完結しにくいために有害な残留モノマーが浸出してくる
問題があった。さらに、前記の高分子化合物をはじめと
して低分子化合物、薬剤、無機物等を含浸させる方法の
多くは、含浸処理をすることによって木材本来の木質感
が損なわれるという欠点を持つため、処理木材の用途が
限られるという基本的な問題があった。
【0003】木材の本来の木質感を損なうことなく耐水
性等の諸性質を改良する方法としては、木材をアセチル
化することが知られている。この木材のアセチル化は、
無水酢酸を大量に使用すること、および幾つかの反応ス
テップを経ること、反応過程で生成する酢酸を水で充分
に洗浄する必要があることなどの欠点を有し、実用上多
くの問題がある。
【0004】これに対して、安全で簡便に木材の諸性質
を改良する方法として、シランカップリング剤を用いる
方法が、たとえば特開平1−136704号公報に開示
されている。このシランカップリング剤は、そのアルコ
キシ基が常温で木材のOH基と反応してSi−O結合を
形成するため、本質的に安全で簡便な処理方法として永
続的な効果が期待できるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平1−136
704号で開示されたシランカップリング剤や有機シラ
ン類の応用は、有機機能性基のもつ架橋性や撥水性に効
果を期待しているので、有機基は鎖長が長く、分子の疎
水性が高いため、前記の高分子モノマーからなる処理材
と同様に木材の細胞壁内までは含浸させることができ
ず、木材のOH基とアルコキシ基との間でSi−O結合
を形成する反応も遅いために期待されたほどの効果を発
揮できないという問題点を有していた。
【0006】この発明はかゝる現状に鑑み、木材への含
浸性が優れ、しかも木材に耐水性、耐火性、寸法安定
性、耐腐朽性などの優れた改質効果を付与すると共に、
木質感の喪失がない木材処理剤を提供せんとするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、この発明の木材処理剤は、式H−Si(OR) 3 〔た
だし、Rは炭素数1〜4個のアルキル基である〕で表さ
れるトリアルコキシシランを含有することを特徴とする
ものである。
【0008】この発明において、式H−Si(OR) 3
表されるトリアルコキシシランの具体例として、たとえ
ば、トリメトキシシラン,トリエトキシシラン,トリプ
ロポキシシラン,トリイソプロポキシシラン,トリ−n
−ブトキシシラン,トリ−i−ブトキシシラン,トリ−
t−ブトキシシラン等を挙げることができ、これらの化
合物は1種もしくは2種以上を混合使用することができ
る。なお、式H−Si(OR) 3 で表されるトリアルコキ
シシランは、いずれも工業的に安価に製造することがで
きる。
【0009】式H−Si(OR) 3 で表されるトリアルコ
キシシランにおいて、Rに関しては、アルキル基の鎖長
が長くなるほど木材のOH基との反応が遅くなるので、
炭素数1〜3個を有するアルキル基が好ましいが、反応
が早くて反応副成物が無害なエタノールであるという点
で、がエチル基の場合、すなわち、トリエトキシシラ
ンが最も好適に使用されるものである。
【0010】トリアルコキシシランは、それ単独で木材
処理剤とすることができるほか、トルエン、ヘキサン、
イソプロパノール等の有機系溶媒と任意の割合で混合し
て使用することもできる。また、適当な乳化剤やpH調
整剤等を用いることによって水系溶媒とも安定なエマル
ジョンを形成するので、水系の木材処理剤とすることも
可能である。
【0011】木材処理剤中のアルコキシシランの濃度
は、溶媒の種類や含浸方法によって大きく異なるが、一
般的には1〜100重量%、好ましくは10〜100重
量%程度である。また、この発明の木材処理剤は、上記
の他、必要に応じて染料、顔料、薬剤、フィラー等を配
合することもできる。この発明の木材処理剤によって前
記した諸性質の改良が可能な木材の種類は、広葉樹、針
葉樹その他各種の多岐に亘る樹材を対象とすることがで
きる。また、アセチル化などの木材のOH基を置換して
しまうような方法以外であれば、樹脂含浸等の化学処理
を施した木材にも充分使用可能で、他の化学処理の前処
理として使用することにより、その効果を一層高めるこ
ともできる。
【0012】この発明の木材処理剤を木材に含浸させる
方法としては、たとえば、常温常圧で木材に浸すだけで
もよいが、減圧含浸、加圧含浸、木材に対する公知の薬
液注入法などのほかに気相による処理剤蒸気で含浸させ
てもよく、単に木材の表面にスプレー、塗布するだけで
もよい。この発明における木材処理剤中のトリアルコキ
シシランは、木材への浸透性がきわめて高く、いずれの
方法をとっても木質内部へ容易に含浸させることができ
る。この発明の木材処理剤は、これを木材に含浸して常
温で放置するだけで充分であるが、加熱することにより
木材処理剤の化学変化を促進し処理時間を短縮すること
ができる。加熱する場合の温度は、トリアルコキシシラ
ンの沸点以下が好ましく、トリアルコキシシランの沸点
はおおむね130℃である。
【0013】また、木材処理剤が溶剤成分を含むとき
は、その除去および副生するアルコールの蒸発は、常温
で放置するだけでも充分であるが、加熱することにより
乾燥時間を短縮することができる。この発明の木材処理
剤は、反応後は熱的に安定なので、乾燥時の加熱温度は
木材自体に変質のない程度において自由に設定すること
ができ、また、減圧にして乾燥を速める方法も可能であ
る。
【0014】
【作用】この発明の作用機構は定かではないが、木材処
理剤が細胞壁が詰まっている木質部と、水分等が流れて
いた導管部に速やかに含浸し、細胞壁あるいは導管部に
おける導管の管壁のOH基とアルコキシ基との間に強固
なSi−O結合が形成され、耐水化作用を示すと考えら
れる。したがって、この発明の木材処理剤で処理した木
材を吸水試験にかけた場合、ごく初期の短時間には導管
への水の侵入によって木材の吸水重量が増加するが、そ
の後に長時間の浸水を行っても導管から木質部への吸水
が進行しないため木材の吸水重量は変化せず、寸法変化
もない。また、吸水後に再乾燥した場合も導管部の水が
容易に抜けるため、木材は速やかに吸水試験前の重量に
戻り、寸法変化もない。一方、木質部においては細胞壁
が強固なSi−O結合で覆われるため、木材腐朽菌の繁
殖が抑えられ、火炎に曝された場合にも、燃焼の進行に
伴う表面の灰化崩落現象を抑えて木材深部への燃焼進行
を抑制する。
【0015】
【実施例】以下、実施例および比較例を掲げてこの発明
の木材防止剤をより具体的に説明する。実施例1 縦60mm×横100mm×厚さ10mmの杉板3枚
を、常温常圧で濃度100%のトリエトキシシランから
なる木材処理剤に10分間浸漬した後、常温で24時間
定着乾燥し、実施例1の3枚の試験片を得た。これらの
試験片について下記の吸水試験を実施した。すなわち、
前記試験片の繊維方向が水面と平行になるように深さ5
cmの水中に沈め、定期的に取り出して下記の計算式
(1)で吸水率を測定し、3つの試験片の平均値をもっ
て代表値としたものである。 計算式(1) 吸水率=(W−Wo)/Wo×100
(%) Wo;浸漬前の試験片の重量(g) W ;浸漬直後の試験片の重量(g)
【0016】比較例1〜3 比較例1としてこの発明の木材処理剤を使用しない無処
理の杉板材3枚を試験片とし、また、比較例2として濃
度100%のヘキシルトリエトキシシランにより実施例
1と同様に処理した3枚の試験片および比較例3として
濃度100%のテトラエトキシシランにより実施例1と
同様に処理した3枚の試験片についてそれぞれ実施例1
で述べた吸水試験を実施した。これら実施例1および比
較例1〜3の試験片の吸水試験における吸水率(%)と
吸水時間(時間)との関係を図1に示す。この図1から
判るように、トリエトキシシラン処理した実施例1の試
験片は、初期に木材の導管への吸水が認められただけ
で、その後約6日間水中に沈めておいても吸水の進行は
ほとんどなかった。
【0017】また、図1において、トリエトキシシラン
処理した実施例1の試験片は、無処理の試験片による比
較例1、前記の式におけるR1 が炭素数6個のアルキル
基であるヘキシルトリエトキシシランで処理した比較例
2の試験片およびアルコキシ基が4個のテトラエトキシ
シランで処理した比較例3の試験片に対していずれも圧
倒的に低い安定した吸水率を示していることが判る。ま
た、これら各試験片を定着乾燥した後の木材の外観は、
トリエトキシシラン処理した実施例1の試験片は無処理
の比較例1の試験片とまったく同じ外観を示し、ヘキシ
ルトリエトキシシラン処理した比較例2の試験片は、若
干油をひいたように木材の色が濃くなっていた。
【0018】実施例2 縦60mm×横100mm×厚さ10mmの杉板3枚を
常温常圧で濃度100%のトリエトキシシランからなる
木材処理剤に10分間浸漬した後、温度60℃で8時間
定着乾燥させた。そして深さ5cmの水中に24時間沈
めて膨潤させ、それぞれASE値を測定した。ASE値
の定義は計算式(2)で表され、この測定によるトリエ
トキシシラン処理したASE値の平均値は40%であ
り、優れた寸法安定性を示した。 計算式(2) ASE=(Sc−St)/Sc×100
(%) Sc;無処理材の体積膨潤率(%) St;処理材の体積膨潤率(%)
【0019】
【発明の効果】この発明の木材処理材は、水素原子とア
ルキル基の鎖長が短い炭素数のトリアルコキシ基とを有
するトリアルコキシシランからなるため、木材への含浸
がきわめて速やかに行われ、木質部の細胞壁と導管部の
管壁に強固なSi−O結合を形成し耐水化することがで
きるので寸法安定性がよく、木質部は腐朽菌の繁殖を抑
え、木材深部への燃焼進行を抑制し、かつ木質感を損な
うことなく木材に耐水性、耐火性、寸法安定性、耐腐朽
性などを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1〜3の水分吸収率を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−227201(JP,A) 特表 昭56−500407(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 3/34 - 3/52

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式H−Si(OR) 3 〔ただし、Rは炭
    数1〜4個のアルキル基である〕で表されるトリアルコ
    キシシランを含有することを特徴とする木材処理剤。
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